説明

情報処理装置および出力連動制御方法

【課題】外部接続される例えばテレビジョン放送受信機への音声信号の出力を、映像信号の出力と連動させて行うことを実現する情報処理装置を提供する。
【解決手段】映像/サウンド出力連動ユーティリティ101は、ディスプレイドライバ1001およびサウンドドライバ1002に対する出力先設定の指示経路に介在する常駐型のプログラムであり、そのために、ディスプレイドライバ1001に関するイベントの発生を通知するようにOS100に依頼する。そして、出力先切替制御モジュール1011は、映像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替えるイベントの発生をOS100からの通知を受けると、その指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に、音声信号の出力先をスピーカ21からHDMIコネクタ26に切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばテレビジョン放送受信機等に対して映像信号を送出可能な画像再生機能を有するパーソナルコンピュータに適用して好適な音声信号の出力制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン放送番組データを受信・視聴したり、DVD(Digital Versatile Disc)に格納されたAV(Audio and Visual)コンテンツを再生したりする機能を有するパーソナルコンピュータが広く普及している。これにより、例えばバッテリ駆動可能なノートブック型のパーソナルコンピュータを携行すれば、移動中や外出先でも、(音声を含む)画像データを利用できるようになった。
【0003】
また、最近では、映像の高精細化が進められており、HD(High Definition) DVD規格の記録メディアに格納された高精細画像データを再生可能なパーソナルコンピュータも普及し始めている。この種のパーソナルコンピュータでは、高精細映像信号を外部出力する機構を備えるのが一般的なので、例えば在宅時には、大画面の高精細テレビジョン放送受信機等と接続することにより、当該パーソナルコンピュータに再生させた高精細映像を大画面の高精細テレビジョン放送受信機で楽しむことも可能となる。
【0004】
このパーソナルコンピュータとテレビジョン放送受信機とを接続する場合のように、画像データや音声データを再生する機能を各々が有する複数の電子機器を接続する利用形態が増えてきている。そのため、例えばソース切り替えを効率的に行うための提案等が種々なされるに至っている(例えば特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平7−192443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パーソナルコンピュータは、オペレーティングシステム(OS)によって資源管理が一元的に行われており、このOSの制御下で、映像信号の出力先や音声信号の出力先が設定される。これらの設定を行うためのインタフェースは、現状、それぞれ個別に用意されているため、前述のように、パーソナルコンピュータに再生させた高精細映像を大画面の高精細テレビジョン放送受信機で楽しもうとした場合、(1)映像信号の出力先をテレビジョン放送受信機に切り替える、(2)音声信号の出力先をテレビジョン放送受信機に切り替える、の2つの作業をそれぞれ行わなければならない。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、外部接続される例えばテレビジョン放送受信機への音声信号の出力を、映像信号の出力と連動させて行うことを実現する情報処理装置および出力連動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、この発明の情報処理装置は、ディスプレイと、スピーカと、映像信号および音声信号を出力するためのコネクタと、前記ディスプレイおよび前記コネクタに対する映像信号の出力を制御するディスプレイドライバと、前記スピーカおよび前記コネクタに対する音声信号の出力を制御するサウンドドライバと、前記ディスプレイドライバに対して前記コネクタからの映像信号の出力を指示する事象が発生した場合、前記コネクタからの音声信号の出力を前記サウンドドライバに指示する出力連動制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、この発明の出力連動制御方法は、ディスプレイと、スピーカと、画像信号および音声信号を出力するためのコネクタと、前記ディスプレイおよび前記コネクタに対する映像信号の出力を制御するディスプレイドライバと、前記スピーカおよび前記コネクタに対する音声信号の出力を制御するサウンドドライバと、を具備する情報処理装置の出力連動制御方法であって、前記ディスプレイドライバに対して前記ディスプレイから前記コネクタへの映像信号の出力先の切り替えを指示する事象が発生した場合、音声信号の出力先を前記スピーカから前記コネクタへと切り替えるように前記サウンドドライバに指示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、外部接続される例えばテレビジョン放送受信機への音声信号の出力を、映像信号の出力と連動させて行うことを実現する情報処理装置および出力連動制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態を説明する。図1に、本実施形態に係る情報処理装置の一利用態様を示す。この情報処理装置1は、例えばノートブック型のパーソナルコンピュータ(PC)等として実現されている。
【0011】
図1に示すように、ここでは、情報処理装置1を映像機器2とHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルAで接続する場合を想定する。映像機器2は、大画面の高精細テレビジョン放送受信機(TV)である。情報処理装置1には、高精細画像データを再生するソフトウェア(アプリケーションプログラム)が種々インストールされており、HDMIケーブルAで接続することにより、これらアプリケーションプログラムが再生した高精細映像を映像機器2によって楽しむことができる。また、このHDMIケーブルAで接続される情報処理装置1と映像機器2とは、当該HDMIケーブルAを介して、接続相手を動作制御するための各種コマンドを相互に送受信することができる。
【0012】
ここで、図2を参照して、情報処理装置1における映像信号および音声信号の基本的な出力制御機構について説明する。パーソナルコンピュータ等として実現される本情報処理装置1の資源管理は、OSによって一元的に行われ、このOS内のモジュールであるディスプレイドライバおよびサウンドコントローラによって、映像信号および音声信号の出力先の切り替え等が各々制御される。
【0013】
より具体的に説明すると、映像信号の出力は、図2(A)に示すように、ディスプレイドライバによって、例えばLCD等にディスプレイ表示されたり、HDMIコネクタ経由で外部出力されたり、その両方が行われたり、が設定される。例えばLCD等へのディスプレイ表示からHDMIコネクタ経由の外部出力へ切り替えるための設定は、ユーザによる明示的な操作が行われた場合のほか、映像機器2からのコマンドにより本情報処理装置1が電源オンした場合等、種々の事象発生に起因して行われる。
【0014】
一方、音声信号の出力は、図2(B)に示すように、サウンドドライバによって、例えばスピーカ出力されたり、HDMIコネクタ経由で外部出力されたり、その両方が行われたり、が設定される。そして、これらのサウンドドライバによる設定は、(OSの仕様上)ディスプレイドライバによる設定とは完全に独立している。
【0015】
従って、情報処理装置1で再生させた映像を映像機器2で楽しもうと考えて、例えば映像信号の出力先を映像機器2に切り替える操作を行ったユーザは、(音声も映像機器2で楽しもうと考えるのが一般的なので)この映像信号に追従させるべく、音声信号の出力先を映像機器2に切り替える操作を行うことになる。本情報処理装置1は、このような映像機器2への音声信号の出力を、(ユーザを介在させることなく)映像信号の出力と連動させて行えるようにする仕組みを提供するものであり、以下、この点について詳述する。
【0016】
図3は、本情報処理装置1の構成を示す図である。図3に示すように、本情報処理装置1は、CPU11、ノースブリッジ12、主メモリ13、グラフィックスコントローラ14、VRAM14A、ディスプレイ15、サウスブリッジ16、BIOS−ROM17、HDD18、光磁気ディスク駆動装置(ODD)19、サウンドコントローラ20、スピーカ21、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)22、キーボード23、タッチパッド24、ネットワークコントローラ25、HDMIコネクタ26およびCEC(機器間双方向制御)コントローラ27等を備えている。
【0017】
CPU11は、本情報処理装置1内の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU11は、HDD18から主メモリ13にロードされるオペレーティングシステム(OS)100や、このOS100の制御下で動作する、ユーティリティおよびAVコンテンツを取り扱うアプリケーションを含む各種プログラムを実行する。このユーティリティの1つとして、後述する映像/サウンド出力連動ユーティリティ101が存在する。また、CPU11は、BIOS−ROM17に格納された基本入出力システム(BIOS)も実行する。なお、以下では、このBIOS−ROM17に格納された基本入出力システム自体をBIOS17と称することがある。
【0018】
ノースブリッジ12は、CPU11のローカルバスとサウスブリッジ16との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ12は、バスを介してグラフィックスコントローラ14との通信を実行する機能を有しており、また、主メモリ13をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。グラフィックスコントローラ14は、本情報処理装置1側のディスプレイ15を制御する表示コントローラである。グラフィックスコントローラ14は、VRAM14Aに書き込まれた画像データからディスプレイ15に送出すべき映像信号を生成する。グラフィックスコントローラ14は、映像信号をHDMIコネクタ26から外部出力する機能も有している。
【0019】
サウスブリッジ16は、PCIバスおよびLPCバス上の各種デバイスを制御するコントローラである。また、このサウスブリッジ16には、BIOS−ROM17、HDD18、ODD19およびサウンドコントローラ20が直接的に接続され、これらを制御する機能も有している。HDD18には、例えばテレビジョン放送番組データやインターネット経由でダウンロードされたAVコンテンツ等が格納され、ODD19には、AVコンテンツを格納した例えばHD DVD等が収容される。サウンドコントローラ20は、スピーカ21を制御する音源コントローラである。サウンドコントローラ20は、音声信号をHDMIコネクタ26から外部出力する機能も有している。
【0020】
EC/KBC22は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード23およびタッチパッド24を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。ネットワークコントローラ25は、例えばインターネットなどの外部ネットワークとの通信を実行する通信装置である。EC/KBC22は、本情報処理装置1が電源オフ中も動作し、例えば電源オン操作が行われていないか等を監視して、電源オンすべきイベントが発生したら、本情報処理装置1を起動させるための制御を実行する。EC/KBC22は、CECコントローラ27に対する電力供給も、本情報処理装置1が電源オフ中も継続して実行する。
【0021】
HDMIコネクタ26は、HDMIケーブルAを取り外し自在に接続するために設けられる端子である。そして、CECコントローラ27は、EC/KBC22の制御下で、HDMIコネクタ26を介して動作制御用の各種コマンドを送受信するためのデータ転送制御を実行する。EC/KBC22が監視する、電源オンすべきイベントの1つに、このCECコントローラ27による電源オン要求コマンドの受信が存在する。
【0022】
図4は、このような構成の本情報処理装置1において実現される(映像信号との)音声信号の連動出力制御に関する機能ブロックを示す図である。
【0023】
例えばキーボード23を使って画像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替える操作が行われると、そのキーボード操作に対応するキーコードがEC/KBC22によって発生され、BIOS17によってOS100に渡される。通常は、この操作に基づき、OS100の制御下において、グラフィックスコントローラ14を駆動制御するディスプレイドライバ1001が、映像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替える。なお、映像機器2からのコマンドによる場合も、EC/KBC22は、CECコントローラ27から当該コマンドを受信した通知を受けた際、前述のキーボード操作に対応するキーコードを発生させる。
【0024】
映像/サウンド出力連動ユーティリティ101は、映像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替える際、これに連動させて、音声信号の出力先をスピーカ21からHDMIコネクタ26に自動的に切り替えるために設けられたプログラムであり、本情報処理装置1の電源オン時には常時動作する常駐型のプログラムとして登録されている。そして、本情報処理装置1では、この映像/サウンド出力連動ユーティリティ101を、ディスプレイドライバ1001およびサウンドドライバ1002に対する出力先設定の指示経路に介在させる。そのために、映像/サウンド出力連動ユーティリティ101は、EC/KBC22によって発生されたキーコードがディスプレイドライバ1001に関するものであった場合に、そのイベントの発生を通知するようにOS100に依頼する。
【0025】
この常駐型のプログラムである映像/サウンド出力連動ユーティリティ101は、出力先切替制御モジュール1011、表示状態検知モジュール1012、出力先設定モジュール1013を有しており、出力先切替制御モジュール1011は、映像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替えるイベントの発生をOS100からの通知を受けると、その指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に、音声信号の出力先をスピーカ21からHDMIコネクタ26に切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える機能を基本機能として備えている。これにより、OS100の仕様上、映像信号および音声信号のそれぞれについて、出力先の切り替え操作が各々必要であったものを、音声信号の出力先の切り替えを映像信号に連動させることができるので、ユーザの使い勝手を向上させることを実現する。なお、出力先切替制御モジュール1011は、映像信号の出力先がHDMIコネクタ26のみになる場合に、この音声信号の出力先の自動切り替えを実施する。即ち、映像信号の出力先がディスプレイ15のみからディスプレイ15およびHDMIコネクタ26の両方とする切り替えが行われた場合には、音声信号のスピーカ21からの出力を維持し、ユーザからの明示的な操作指示を受けて、例えば音声信号の出力先をスピーカ21およびHDMIコネクタ26の両方とする切り替えを実施する。仕様によっては、音声信号の出力先をスピーカ21およびHDMIコネクタ26の両方とする切り替えを自動化することも当然に可能である。
【0026】
図5は、本実施形態の情報処理装置1が実行する(映像信号との)音声信号の出力連動制御の動作手順を示すフローチャートである。
【0027】
HDMIケーブルAで接続された映像機器2に映像を出力させる操作が行われると(ステップA1)、そのイベントの発生の通知をOS100から受ける出力先切替制御モジュール1011は、映像機器2のみへの出力かどうかを調べ(ステップA2)、映像機器2のみへの出力であったならば(ステップA2のYES)、映像の出力先を映像機器2に切り替える指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に(ステップA3)、これに連動させて、音声の出力先を映像機器2に切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える(ステップA4)。
【0028】
一方、映像機器2のみへの出力でなければ(ステップA2のNO)、出力先切替制御モジュール1011は、本情報処理装置1での表示に加えて、映像機器2側にも映像を出力させる指示をディスプレイドライバ1001のみに与える(ステップA5)。
【0029】
なお、ここでは、映像信号の出力先をディスプレイ15からHDMIコネクタ26に切り替える操作が行われた場合に、それに連動させて、音声信号の出力先をスピーカ21からHDMIコネクタ26に自動的に切り替える例を示したが、これとは逆に、映像信号の出力先をHDMIコネクタ26からディスプレイ15に切り替える操作が行われた場合も、同様に、それに連動させて、出力先切替制御モジュール1011は、音声信号の出力先をHDMIコネクタ26からスピーカ21に自動的に切り替える。
【0030】
また、出力先切替制御モジュール1011は、この基本機能のほか、次のような機能を備えている。いま、本情報処理装置1と映像機器2とがHDMIケーブルAで接続されており、かつ、情報処理装置1で再生された映像が映像機器2にて表示されているものと想定する。また、この時、音声は映像機器2のみにて出力されているものとし、例えばその再生が終了したので、HDMIケーブルAがHDMIコネクタ26から引き抜かれたと想定する。
【0031】
表示状態検知モジュール1012は、このHDMIケーブルAの接続状態を含む映像信号の表示状態をOS100から取得する。そして、HDMIケーブルAがHDMIコネクタ26から引き抜かれたことをOS100を介して検知した表示状態検知モジュール1012は、その旨を出力先切替制御モジュール1011に通知する。この通知を受けると、出力先切替制御モジュール1011は音声信号の出力先をHDMIコネクタ26からスピーカ21に切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える。
【0032】
映像は情報処理装置1および映像機器2の両方に出力し、音声だけは映像機器2のみに出力している状態を考えると、HDMIケーブルAが引き抜かれて情報処理装置1単体になったとしても、ディスプレイ15による映像信号の表示は行われているので、映像に関する出力先の切り替え作業は行われない。よって、音声の出力先をスピーカ21に切り替える契機を得られない。そこで、このような場合を考慮して、出力先切替制御モジュール1011は、HDMIケーブルAがHDMIコネクタ26から引き抜かれたことを表示状態検知モジュール1012からの通知で検知した際、音声信号の出力先をHDMIコネクタ26からスピーカ21に自動的に切り替える機能を備える。
【0033】
また、パーソナルコンピュータは、電源オン時に、前回の電源オフ時の状態を復元するレジューム機能をもはや標準的に装備している。そこで、本情報処理装置1と映像機器2とがHDMIケーブルAで接続されており、かつ、情報処理装置1で再生された映像が情報処理装置1および映像機器2の両方にて表示され、音声は映像機器2のみにて出力されている状態で、サスペンドが実施された場合を考える。この場合も、後日、情報処理装置1単体でレジュームが実施されると、ディスプレイ15による映像信号の表示は行われるので、映像に関する出力先の切り替え作業は行われない。よって、音声の出力先をスピーカ21に切り替える契機を得られない。
【0034】
このような場合を考慮して、まず、表示状態検知モジュール1012が、レジュームが実施された際、復元された映像信号および音声信号の出力状態をOS100から取得し、その結果を出力先切替制御モジュール1011に通知する。そして、出力先切替制御モジュール1011は、この通知内容が、音声信号の出力先がHDMIコネクタ26のみであり、かつ、映像信号の出力先がHDMIコネクタ26のみ以外であった場合、音声信号の出力先をHDMIコネクタ26からスピーカ21に自動的に切り替える機能をさらに備える。
【0035】
ところで、映像が本情報処理装置1および映像機器2の両方で表示されている、つまり映像信号がディスプレイ15およびHDMIコネクタ26の両方から出力されている状態として、最近のパーソナルコンピュータにおいては、同一の画面を同時表示するクローン表示のほか、同一の画面を分割表示するマルチ表示も考えられる。図6を参照して、このクローン表示およびマルチ表示の概要を示す。
【0036】
図6中の(A)が、表示対象の画面であり、この画面中の予め選択した範囲の部分画像を各々表示させるのがマルチ表示である(図6(B))。また、この画面全体を各々表示させるのがクローン表示である(図6(C))。そして、マルチ表示の場合、一方をプライマリとして位置づけることができる。さらに、このプライマリの位置づけは、動的に切り替えることが可能である。そこで、表示状態検知モジュール1012は、マルチ表示が行われている場合に、いずれがプライマリとなっているのかをOS100から適宜に取得し、その結果を出力先切替制御モジュール1011に通知する。そして、出力先切替制御モジュール1011は、プライマリとなっている側で音声信号が出力されるように、音声信号の出力先をスピーカ21およびHDMIコネクタ26間で切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える機能を備える。
【0037】
さらに、クローン表示についても、前述の説明では、クローン表示が開始された際、つまり映像信号の出力先がディスプレイ15およびHDMIコネクタ26の両方とする切り替えが行われた場合には、音声信号のスピーカ21からの出力を維持し、仕様によっては、音声信号の出力先をスピーカ21およびHDMIコネクタ26の両方とする切り替えを自動化することも可能である旨を示したが、情報処理装置1および映像機器2のいずれに音声出力を行わせるのかをユーザに予め設定されることも有用である。
【0038】
出力先設定モジュール1013は、このクローン表示の際、情報処理装置1および映像機器2のいずれに音声出力を行わせるのかをユーザが設定するためのインタフェースを提供し、映像/サウンド出力連動ユーティリティ101は、この出力先設定モジュール1013による設定内容を設定データ1014として保持する。そして、出力先切替制御モジュール1011は、クローン表示の開始時、この設定データ1014を参照し、その設定内容に基づき、音声信号の出力先をスピーカ21およびHDMIコネクタ26間で切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える。
【0039】
図7は、このマルチ表示およびクローン表示を考慮した、本実施形態の情報処理装置1が実行する(映像信号との)音声信号の出力連動制御の動作手順を示すフローチャートである。
【0040】
HDMIケーブルAで接続された映像機器2に映像を出力させる操作が行われると(ステップB1)、そのイベントの発生の通知をOS100から受ける出力先切替制御モジュール1011は、映像機器2のみへの出力かどうかを調べ(ステップB2)、映像機器2のみへの出力であったならば(ステップB2のYES)、映像の出力先を映像機器2に切り替える指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に(ステップB3)、これに連動させて、音声の出力先を映像機器2に切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える(ステップB4)。
【0041】
一方、映像機器2のみへの出力でなければ(ステップB2のNO)、続いて、これがマルチ表示によるものかどうかを調べる(ステップB5)。もし、マルチ表示によるものであれば(ステップB5のYES)、出力先切替制御モジュール1011は、本情報処理装置1での表示に加えて、映像機器2側にも映像を出力させる指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に(ステップB6)、プライマリとなっている側で音声信号が出力されるように、音声の出力先を本情報処理装置1および映像機器2間で切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える(ステップB7)。
【0042】
また、マルチ表示によるものでない、つまりクローン表示によるものであれば(ステップB5のNO)、出力先切替制御モジュール1011は、本情報処理装置1での表示に加えて、映像機器2側にも映像を出力させる指示をディスプレイドライバ1001に与えると共に(ステップB8)、設定データ1004で示される予め選択された側に音声が出力されるように、音声の出力先を本情報処理装置1および映像機器2間で切り替える指示をサウンドドライバ1002に与える(ステップB9)。
【0043】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1によれば、HDMIケーブルAで接続される映像機器2への映像信号の出力に連動させて、ユーザを介在させず、かつ、ユーザの意図する通りに、音声信号を映像機器2に出力することを実現する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の一実施形態に係る情報処理装置(パーソナルコンピュータ)の一利用態様を示す図
【図2】同実施形態の情報処理装置における映像信号および音声信号の基本的な出力制御機構を示す図
【図3】同実施形態の情報処理装置の構成を示す図
【図4】同実施形態の情報処理装置において実現される(映像信号との)音声信号の連動出力制御に関する機能ブロックを示す図
【図5】同実施形態の情報処理装置が実行する(映像信号との)音声信号の出力連動制御の動作手順を示すフローチャート
【図6】クローン表示およびマルチ表示の概要を示す図
【図7】同実施形態の情報処理装置がマルチ表示およびクローン表示を考慮して実行する(映像信号との)音声信号の出力連動制御の動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0046】
1…情報処理装置(パーソナルコンピュータ)、2…映像機器(テレビジョン放送受信機)、3…リモートコントローラ、11…CPU、12…ノースブリッジ、13…主メモリ、14…グラフィックスコントローラ、14A…VRAM、15…ディスプレイ、16…サウスブリッジ、17…BIOS−ROM、18…HDD、19…光磁気ディスク駆動装置(ODD)、20…サウンドコントローラ、21…スピーカ、22…エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)、23…キーボード、24…タッチパッド、25…ネットワークコントローラ、26…HDMIコネクタ、27…CECコントローラ、100…オペレーティングシステム(OS)、101…映像/サウンド出力連動ユーティリティ、1001…ディスプレイドライバ、1002…サウンドドライバ、1011…出力先切替制御モジュール、1012…表示状態検知モジュール、1013…出力先設定モジュール、1014…設定データ、A…HDMIケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
スピーカと、
映像信号および音声信号を出力するためのコネクタと、
前記ディスプレイおよび前記コネクタに対する映像信号の出力を制御するディスプレイドライバと、
前記スピーカおよび前記コネクタに対する音声信号の出力を制御するサウンドドライバと、
前記ディスプレイドライバに対して前記コネクタからの映像信号の出力を指示する事象が発生した場合、前記コネクタからの音声信号の出力を前記サウンドドライバに指示する出力連動制御手段と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力連動手段は、前記ディスプレイドライバに対する指示によって、映像信号が前記コネクタのみから出力される場合に、音声信号を前記コネクタのみから出力するように前記サウンドドライバに指示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コネクタは、HDMI(High-Definition-Multimedia Interface)ケーブルを取り外し自在に接続することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力連動手段は、前記ディスプレイドライバに対して前記コネクタから前記ディスプレイへの映像信号の出力先の切り替えを指示する事象が発生した場合、音声信号の出力先を前記コネクタから前記スピーカへと切り替えるように前記サウンドドライバに指示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コネクタからケーブルが取り外されたことを検知する検知手段を具備し、
前記出力連動手段は、音声信号が前記コネクタのみから出力されている状態で、前記コネクタからケーブルが取り外されたことを前記検知手段が検知した場合、音声信号の出力先を前記コネクタから前記スピーカへと切り替えるように前記サウンドドライバに指示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
電源オン時に、前回の電源オフ時の状態を復元するレジューム手段を具備し、
前記出力連動手段は、電源オン時、前記レジューム手段により、音声信号が前記コネクタのみから出力される状態が復元された場合、映像信号が前記コネクタのみから出力される状態以外であったときに、音声信号の出力先を前記コネクタから前記スピーカへと切り替えるように前記サウンドドライバに指示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力連動制御手段は、同一の表示画面を複数の表示装置で分割表示するマルチ表示のために前記コネクタからの映像信号の出力が行われる場合、前記コネクタから出力される映像信号の画面がプライマリとなるときに、前記コネクタからの音声信号の出力を前記サウンドドライバに指示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コネクタを介して接続される他の機器と共に同一の表示画面を同時表示するクローン表示を行う場合の音声信号の出力先を設定する設定手段を具備し、
前記出力連動制御手段は、前記クローン表示のために前記コネクタからの映像信号の出力が行われる場合、音声信号の出力先が前記設定手段によって前記他の機器に設定されていたときに、前記コネクタからの音声信号の出力を前記サウンドドライバに指示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
ディスプレイと、スピーカと、画像信号および音声信号を出力するためのコネクタと、前記ディスプレイおよび前記コネクタに対する映像信号の出力を制御するディスプレイドライバと、前記スピーカおよび前記コネクタに対する音声信号の出力を制御するサウンドドライバと、を具備する情報処理装置の出力連動制御方法であって、
前記ディスプレイドライバに対して前記ディスプレイから前記コネクタへの映像信号の出力先の切り替えを指示する事象が発生した場合、音声信号の出力先を前記スピーカから前記コネクタへと切り替えるように前記サウンドドライバに指示する、
ことを特徴とする出力連動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−44253(P2009−44253A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204608(P2007−204608)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】