説明

情報処理装置および方法、並びにプログラム

【課題】プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができるようにする。
【解決手段】 2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、タイムコード処理部26より供給されるタイムコードの値が5の整数倍となるフレームにおいて2−3プルダウン変換処理部23にシーケンスリセットを行わせる。また、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、画像データの記録処理の開始終了タイミングを制御するために、2−3プルダウン変換処理のシーケンスの位相情報を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。記録制御処理タイミング制御部28は、そのシーケンスの位相情報に基づいて、記録制御処理部24の動作を制御し、画像データの記録開始タイミングと終了タイミングをシーケンスに同期させる。本発明は、例えば、カムコーダに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができるようにした情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データには様々な方式が存在し、毎秒当たりのフレーム数についても複数の方式が存在する。例えば、地上波アナログカラーテレビジョン放送に利用されるNTSC(National Television Standards Committee)方式のテレビジョン信号のように、30フレーム毎秒のインターレス方式(すなわち、60フィールド毎秒)(60i)がある。また、この他にも、例えば、映画の記録等に利用される、フィルム映像と同様の24フレーム毎秒のプログレッシブ方式(24P)もある。
【0003】
このような複数の方式の間で一方の方式から他方の方式に変換する方法も存在する。例えば、24Pの画像データを60iに変換する2−3プルダウン変換処理が存在する。2−3プルダウン変換処理は、図1に示されるように、24Pの画像データ1の4フレームを60iの画像データ2の10フィールド(5フレーム)に変換し、これを1シーケンスとして繰り返すことにより、24Pの画像データを60iの画像データに変換する。
【0004】
図1において、画像データ1は、24Pの画像データであり、フレームA乃至フレームDは、変換処理の1シーケンスを構成する画像データ1の4フレームを示す。また、画像データ2は、60iの画像データを示し、シーケンス番号No.0乃至No.4は、変換処理の1シーケンスを構成する画像データ2の5フレームを示す。また、「Ao」は、24Pの画像データ1のフレームAが変換された60iの画像データ2の第1フィールド(オットフィールド)を示し、「Ae」は、24Pの画像データ1のフレームAが変換された60iの画像データ2の第2フィールド(イーブンフィールド)を示す。同様に、「Bo」は、24Pの画像データ1のフレームBが変換された60iの画像データ2の第1フィールドを示し、「Be」は、24Pの画像データ1のフレームBが変換された60iの画像データ2の第2フィールド(イーブンフィールド)を示し、「Co」は、24Pの画像データ1のフレームCが変換された60iの画像データ2の第1フィールドを示し、「Ce」は、24Pの画像データ1のフレームCが変換された60iの画像データ2の第2フィールド(イーブンフィールド)を示し、「Do」は、24Pの画像データ1のフレームDが変換された60iの画像データ2の第1フィールドを示し、「De」は、24Pの画像データ1のフレームDが変換された60iの画像データ2の第2フィールド(イーブンフィールド)を示す。
【0005】
すなわち、2−3プルダウン変換処理によって、図1に示されるように、画像データ1のフレームAは、画像データ2のシーケンス番号No.0のフレームの第1フィールドと第2フィールドの2つのフィールドに変換される。また、画像データ1のフレームBは、画像データ2のシーケンス番号No.1のフレームの第1フィールドと第2フィールド、並びに、シーケンス番号No.2のフレームの第1フィールドの3つのフィールドに変換される。さらに、画像データ1のフレームCは、画像データ2のシーケンス番号No.1のフレームの第2フィールド、並びに、シーケンス番号No.3のフレームの第1フィールドの2つのフィールドに変換される。また、画像データ1のフレームDは、画像データ2のシーケンス番号No.3のフレームの第2フィールド、並びに、シーケンス番号No.4のフレームの第1フィールドと第2フィールドの3つのフィールドに変換される。そして、この変換処理が1シーケンスとして繰り返される。
【0006】
従って、この60iの画像データ2を24Pに2−3プルダウン逆変換する場合、2−3プルダウン変換時のシーケンスを保つ必要がある。例えば、図1に示されるように、画像データ2のタイムコードがシーケンス番号No.4のフレームより開始される場合(シーケンス番号No.4のフレームのタイムコードの値を「0」とする場合)、このタイムコードに従って2−3プルダウン逆変換処理を行う(タイムコードの値が「0」のフレームを先頭フレームとして2−3プルダウン逆変換処理を行う)と、画像データ3のフレームA´乃至フレームD´のように、1シーケンスを構成するフレームが画像データ1とずれてしまう。
【0007】
具体的には、図1の場合、画像データ3のフレームA´は、フィールド「Do」とフィールド「De」により構成される。また、フレームB´は、フィールド「Ao」、フィールド「Ae」、およびフィールド「Bo」により構成される。さらに、フレームC´は、フィールド「Be」およびフィールド「Co」により構成される。また、フレームD´は、フィールド「Ce」、フィールド「Do」、およびフィールド「De」により構成される。このように、画像データ3のフレームA´乃至フレームD´は、それぞれ、画像データ1のフレームA乃至フレームDと異なる画像により構成されるのでその再生映像に位相ずれが生じてしまう。
【0008】
さらに、画像データ3のフレームBやフレームDの場合、元々互いに異なるフレームの画像により構成されるので、不自然なフレーム画像となり、その再生映像にユーザが違和感を覚える恐れがあった。
【0009】
そこで、このような2−3プルダウン変換処理において、各シーケンスの先頭フレームを示す位相基準位置信号を生成し、それを変換後の画像データと関連付けることにより、その画像データの再生時や逆変換時において位相ずれなどの発生を抑制するようにする方法が考えられた(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−289512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、以上のような方法の場合、この位相基準位置信号は、汎用の技術でなく、画像データを再生または編集する装置が、この機能に対応し、位相基準位置信号を検出してシーケンスの位相を制御する機能を有する必要があるという課題があった。また、変換後の画像データを記録媒体に記録するとき、その位相基準位置信号も記録しなければならず、その分データ量が増大してしまう恐れもあった。さらに、複数の画像データを連続して再生するような場合、各画像データの先頭フレームが必ずシーケンスの先頭フレームとなるとは限らず、また、各画像データの最終フレームも必ずシーケンスの最終フレームとなるとは限らない。従って、再生する画像データを切り替える際に、位相ずれが生じてしまい、再生画像が不自然なものとなる恐れがあった。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像データの各フレームのシーケンスに対する位相を制御することにより、プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の情報処理装置は、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御手段と、シーケンス制御手段により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
前記プルダウン変換処理は、毎秒24フレームのプログレッシブ方式の画像データを、毎秒60フィールドのインターレス方式の画像データに変換する2−3プルダウン変換処理であるようにすることができる。
【0015】
前記シーケンス制御手段は、シーケンスの開始タイミングを強制的に移動させる開始タイミング変更手段を備えるようにすることができる。
【0016】
前記シーケンス制御手段は、開始タイミング変更手段によりシーケンスの開始タイミングを、画像データのタイムコードの値が5の整数倍となるフレームに合わせるようにすることができる。
【0017】
前記処理タイミング制御手段は、シーケンスの開始タイミングに応じて、画像データに対する処理の開始タイミングを制御するようにすることができる。
【0018】
前記処理タイミング制御手段は、シーケンスの終了タイミングに応じて、画像データに対する処理の終了タイミングを制御するようにすることができる。
【0019】
前記処理タイミング制御手段は、プルダウン変換された画像データを記録媒体に記録する処理のタイミングを制御するようにすることができる。
【0020】
前記処理タイミング制御手段は、プルダウン変換された画像データを外部に出力する処理のタイミングを制御するようにすることができる。
【0021】
本発明の情報処理方法は、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御ステップと、シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明のプログラムは、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御ステップと、シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングが制御され、プルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングが、シーケンスのタイミングに応じて制御される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0026】
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定したりするものではない。
【0027】
本発明においては、画像データ(例えば、図9のCCDOUT)を処理する情報処理装置(例えば、図2のカムコーダ)が提供される。この情報処理装置は、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンス(例えば、図3の1シーケンス)の開始タイミング(例えば、図3のフレームA)を制御するシーケンス制御手段(例えば、図2の2−3プルダウン変換処理タイミング制御部)と、シーケンス制御手段により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御手段(例えば、図2の記録制御処理タイミング制御部)とを備える。
【0028】
前記プルダウン変換処理は、毎秒24フレームのプログレッシブ方式の画像データ(例えば、図1の画像データ1)を、毎秒60フィールドのインターレス方式の画像データ(例えば、図1の画像データ2)に変換する2−3プルダウン変換処理であるようにすることができる。
【0029】
前記シーケンス制御手段は、シーケンスの開始タイミングを強制的に移動させる開始タイミング変更手段(例えば、図2のリセット処理部)を備えるようにすることができる。
【0030】
前記シーケンス制御手段は、開始タイミング変更手段によりシーケンスの開始タイミングを、画像データのタイムコードの値が5の整数倍(例えば、図3の5N)となるフレームに合わせるようにすることができる。
【0031】
前記処理タイミング制御手段は、シーケンスの開始タイミングに応じて、画像データに対する処理の開始タイミング(例えば、図4の記録開始)を制御するようにすることができる。
【0032】
前記処理タイミング制御手段は、シーケンスの終了タイミングに応じて、画像データに対する処理の終了タイミング(例えば、図5の記録終了)を制御するようにすることができる。
【0033】
前記処理タイミング制御手段は、プルダウン変換された画像データを記録媒体(例えば、図2の記録媒体)に記録する処理(例えば、図2の記録制御処理部の処理)のタイミングを制御するようにすることができる。
【0034】
前記処理タイミング制御手段は、プルダウン変換された画像データを外部に出力する処理(例えば、図4の出力制御処理部の処理)のタイミングを制御するようにすることができる。
【0035】
本発明においては、画像データ(例えば、図9のCCDOUT)を処理する情報処理装置(例えば、図2のカムコーダ)の情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンス(例えば、図3の1シーケンス)の開始タイミング(例えば、図3のフレームA)を制御するシーケンス制御ステップ(例えば、図7のシーケンスタイミング制御処理)と、シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップ(例えば、図8の記録制御処理)とを含む。
【0036】
本発明においては、画像データ(例えば、図9のCCDOUT)に関する処理をコンピュータ(例えば、図2のカムコーダ)に行わせるプログラムが提供される。このプログラムは、画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンス(例えば、図3の1シーケンス)の開始タイミング(例えば、図3のフレームA)を制御するシーケンス制御ステップ(例えば、図7のシーケンスタイミング制御処理)と、シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された画像データに対する処理のタイミングを、シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップ(例えば、図8の記録制御処理)とを含む。
【0037】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
図2は、本発明を適用したカムコーダの一実施の形態の構成例を示している。
【0039】
このカムコーダ11は、被写体を撮影し、得られた画像データを記録媒体に記録する装置である。カムコーダ11は、入力部21、撮影部22、2−3プルダウン変換処理部23、記録制御処理部24、ドライブ25、タイムコード処理部26、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27、および記録制御処理タイミング制御部を有している。
【0040】
入力部21は、各種のボタンやスイッチなどよりなり、ユーザからの入力を受け付ける。入力部21は、ユーザに操作されて入力された各種のユーザ入力情報を、必要に応じて、撮影部22、タイムコード処理部26、または、記録制御処理タイミング制御部28等に供給する。
【0041】
撮影部22は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を利用した光電変換素子を有しており、入力部21より供給されるユーザ指示に基づいて被写体を撮影し、得られた毎秒24フレームプログレッシブ方式(以下、24Pと称する)の画像データを2−3プルダウン変換処理部23に供給する。
【0042】
2−3プルダウン変換処理部23は、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27に制御されるタイミングで2−3プルダウン変換処理を行い、撮影部22より供給される24Pの画像データを毎秒60フィールドのインターレス方式(以下、60iと称する)の画像データに変換する。2−3プルダウン変換処理部23は、変換した画像データを記録制御処理部24に供給する。
【0043】
記録制御処理部24は、タイムコード処理部26より供給されるタイムコードに同期して2−3プルダウン変換処理部23より供給された60iの画像データをタイムコードとともにドライブ25に供給し、それらをドライブ25に装着された光ディスク31に記録させる。このとき、記録制御処理部24は、記録制御処理タイミング制御部28によって制御されたタイミングでその記録制御の開始したり、終了したりする。
【0044】
ドライブ25には、書き込み可能な不揮発性の記録媒体である光ディスク31が適宜装着される。ドライブ25は、記録制御処理部24に制御され、記録制御処理部24より供給される画像データやタイムコードを光ディスク31に記録する。
【0045】
光ディスク31は、例えば、DVD-R(Digital Versatile Disc - Recordable)、DVD-RW(Digital Versatile Disc - ReWritable)、DVD+R(Digital Versatile Disc + Recordable)、DVD+RW(Digital Versatile Disc + ReWritable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disc - Random Access Memory)、Blu-rayDisc、またはProfessional Disc for DATA(いずれも登録商標)等のような書き込み可能な大容量の記録媒体であり、画像データ等を記録する。
【0046】
タイムコード処理部26は、光ディスク31に記録される画像データのタイムコードに関する処理を行う。タイムコード処理部26は、タイムコード生成部41とタイムコード遅延処理部42を有している。
【0047】
タイムコード生成部41は、60iの画像データ用のタイムコードの生成に関する処理を行い、生成したタイムコードをタイムコード遅延処理部42に供給する。タイムコード生成部41は、例えば、入力部21より撮影開始の指示入力を取得すると、その指示に基づいて、撮影開始のタイミングに合わせてタイムコード生成処理を開始する。また、タイムコード生成部41は、例えば、入力部21を介して入力された初期値を取得し、その初期値より始まるタイムコードを生成する。
【0048】
さらに、タイムコード生成部41は、カムコーダ11の外部より供給される外部入力タイムコードを受け付け、そのタイムコードをタイムコード遅延処理部42に供給する。外部入力タイムコードは、例えば、複数のカムコーダにおいて同期をとるための共通のタイムコードとして入力される。
【0049】
タイムコード遅延処理部42は、タイムコード生成部41より供給されるタイムコードを所定の期間保持し、所定のタイミングでそのタイムコードを記録制御処理部24や2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27に供給する。2−3プルダウン変換処理部23による2−3プルダウン変換処理により、画像データには、例えば約2フレーム分程度の遅延時間が発生する。つまり、同時刻で比較すると、撮影部22が出力する画像データのフレームと、記録制御処理部24が受け取る画像データのフレームは、約2フレーム程度ずれている。タイムコード遅延処理部42は、タイムコード生成部41が撮影部22の撮影タイミングに合わせて生成したタイムコードを、この遅延時間に応じて遅延させてから(供給先のタイミングに合わせて)、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27や記録制御処理部24に供給する。
【0050】
2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、2−3プルダウン変換処理部23において行われる2−3プルダウン変換処理のタイミングを制御する処理部であり、後述するように、タイムコード処理部26より供給されるタイムコードの値に基づいて、2−3プルダウン変換処理部23にシーケンスリセットを行わせることにより、2−3プルダウン変換処理のシーケンス位相を制御する。例えば、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、タイムコード処理部26より供給されるタイムコードの値が5の整数倍となるフレームにおいて2−3プルダウン変換処理部23にシーケンスリセットを行わせることにより、シーケンスの先頭フレームのタイムコードの値が必ず5の整数倍となるようにする。
【0051】
また、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、画像データの記録処理の開始終了タイミングを制御するために、2−3プルダウン変換処理のシーケンスのタイミングに関する情報を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。
【0052】
この2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、タイムコード判定部51、TC(Time Code)シーケンス番号算出部52、シーケンスカウンタ53、フィールド判定部54、およびリセット処理部55を有している。
【0053】
タイムコード判定部51は、タイムコード処理部26より供給されるタイムコードを取得し、タイムコードの値が連続して増加しているか否か等の、そのタイムコードに関する判定処理を行い、その判定結果やタイムコードをTCシーケンス番号算出部52やシーケンスカウンタ53に供給する。
【0054】
TCシーケンス番号算出部52は、2−3プルダウン変換処理の、供給されるタイムコードに対する理想のシーケンス位相を示すTCシーケンス番号を算出し、その値をシーケンスカウンタ53に供給する。例えば、TCシーケンス番号算出部52は、タイムコード判定部51より供給されるタイムコードの値を5で割り、その余りの値をTCシーケンス番号とする。
【0055】
シーケンスカウンタ53は、2−3プルダウン変換処理部23における2−3プルダウン変換処理のシーケンスにおける位相を管理する。また、シーケンスカウンタ53は、その位相情報を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。
【0056】
フィールド判定部54は、2−3プルダウン変換処理部23において処理されている画像データのフィールドが第1フィールドであるか第2フィールドであるかを判定する。
【0057】
リセット処理部55は、シーケンスカウンタ53のカウント値に基づいて、2−3プルダウン変換処理部23における2−3プルダウン変換処理に対してシーケンスを初期化するシーケンスリセットを行う。
【0058】
記録制御処理タイミング制御部28は、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27より供給されるシーケンスの位相情報に基づいて、記録制御処理部24の動作を制御し、画像データの記録開始タイミングと終了タイミングをシーケンスに同期させる。
【0059】
つまりカムコーダ11は、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27が、2−3プルダウン変換処理部23の2−3プルダウン変換処理において、図3に示されるように、タイムコードに合わせてシーケンスの開始フレームを制御する。
【0060】
図3の一番上の例において、撮影部22より2−3プルダウン変換処理部23に供給される24Pの画像データ61において、変換処理のシーケンスの開始フレームAは、タイムコード処理部26において生成される60iのタイムコードの値に同期していない。
【0061】
これに対して、図3の上から2番目の例のように、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、2−3プルダウン変換処理部23にシーケンスリセット62をかけさせることにより、変換処理のシーケンスの開始フレームAを、タイムコードの値が5の整数倍となるタイミングに移動させる。
【0062】
このようにすることにより、図3の一番下の例のように、変換後の60iの画像データ63において、シーケンス番号No.0のフレーム(フレームA)は、必ず、タイムコードの値が5N(Nは整数)となる。つまり、この画像データ63は、タイムコードの値が5Nのフレームがシーケンス開始フレーム(フレームA)となっている。従って、この画像データ63を再生したり逆変換したりする装置は、タイムコードの値から、シーケンス開始フレームを容易に特定することができ、位相ずれ等の不具合の発生を抑制することができる。
【0063】
また、カムコーダ11は、記録制御処理タイミング制御部28が、記録制御処理部24を制御し、図4に示されるように、タイムコードに合わせて記録開始位置を制御する。
【0064】
図4の一番上の例に示されるように、2−3プルダウン変換処理部23より記録媒体制御処理部24に供給される60iの画像データ71のシーケンス番号No.3のフレームにおいて、入力部21が記録開始を指示するユーザ指示を受け付けるとする。このとき、従来の装置のように記録制御処理タイミング制御部28が制御しなければ、光ディスク31には、図4の上から2番目の例のような画像データ72が記録される。画像データ72は、シーケンス番号No.4のフレームから記録が開始されており、その先頭フレームはフレームDとなっている。つまり、この画像データ72は、シーケンス開始位置と記録開始位置とが異なっている。従って、例えば、再生装置がこの画像データ72を先頭フレームより再生する場合、シーケンスの途中から再生処理を開始しなければならず、不具合が生じてしまう。
【0065】
これに対して、カムコーダ11の記録制御処理タイミング制御部28は、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27より供給されるシーケンスカウンタのカウント値に基づいて、記録開始タイミングを制御するので、光ディスク31には、図4の一番下の例のような画像データ73が記録される。
【0066】
画像データ73は、シーケンス番号No.0のフレームから記録が開始されており、その先頭フレームはフレームAとなっている。つまり、この画像データ73は、シーケンス開始位置と記録開始位置とが一致している。従って、例えば、再生装置がこの画像データ73を先頭フレームより再生する場合、必ずシーケンスの先頭から再生処理が開始されるようになり、不具合の発生が抑制される。
【0067】
さらに、カムコーダ11は、記録制御処理タイミング制御部28が、記録制御処理部24を制御し、図5に示されるように、タイムコードに合わせて記録終了位置を制御する。
【0068】
図5の一番上の例に示されるように、2−3プルダウン変換処理部23より記録媒体制御処理部24に供給される60iの画像データ81のシーケンス番号No.2のフレームにおいて、入力部21が記録終了を指示するユーザ指示を受け付けるとする。このとき、従来の装置のように記録制御処理タイミング制御部28が制御しなければ、光ディスク31には、図5の上から2番目の例のような画像データ82が記録される。画像データ82は、記録終了が指示されたシーケンス番号No.2のフレームで記録が終了されている。つまり、この画像データ72は、シーケンス終了位置と記録終了位置とが異なっている。従って、例えば、再生装置がこの画像データ72の再生に続けて他の画像データを再生する場合、この画像データの再生がシーケンスの途中で終了してしまうので、次の画像データの再生処理において不具合が生じてしまう。
【0069】
これに対して、カムコーダ11の記録制御処理タイミング制御部28は、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27より供給されるシーケンスカウンタのカウント値に基づいて、記録終了タイミングを制御するので、光ディスク31には、図5の一番下の例のような画像データ83が記録される。
【0070】
画像データ83は、シーケンス番号No.4のフレームで記録が終了されており、その最終フレームはフレームD(シーケンス終了フレーム)となっている。つまり、この画像データ83は、シーケンス終了位置と記録終了位置とが一致している。従って、例えば、再生装置がこの画像データ83の再生に続けて他の画像データを再生する場合、この画像データの再生が必ずシーケンスの最後で終了するので、不具合の発生が抑制される。
【0071】
以上のようなカムコーダ11において実行される処理の具体的な流れについて説明する。
【0072】
まず、タイムコード処理部26によるタイムコードに関する処理について説明する。タイムコード処理部26は、外部入力タイムコードを利用する場合、タイムコードを生成せずにその外部入力タイムコードを供給する。また、外部入力タイムコードを利用しない場合、タイムコード処理部26は、タイムコードを生成してそれを供給する。ただし、画像データの撮影記録処理にはフリーランモードとレックランモードとが存在するので、タイムコード処理部26は、各モードに応じてタイムコードを生成する。
【0073】
フリーランモードは、記録処理の実行に関わらず、タイムコードを進行させる方法である。このモードの場合、タイムコードは撮影作業全体において連続するので、光ディスク31に記録された画像データのタイムコードは、撮影作業全体に対する記録タイミングを示すことになる。例えば、記録順に並ぶ複数の画像データにおいて、ある画像データの記録終了時刻と、その次の画像データの記録開始時刻との間に間隔がある場合、それらの画像データのタイムコードは互いに連続しない。
【0074】
レックランモードは、記録処理が行われている間だけタイムコードを進行させる方法である。このモードの場合、記録処理が行われていない間はタイムコードの値は増加しない。従って、例えば、記録順に並ぶ複数の画像データにおいて、ある画像データの記録終了時刻と、その次の画像データの記録開始時刻との間に間隔がある場合であっても、それらの画像データのタイムコードは互いに連続する。
【0075】
タイムコード処理部26は、カムコーダ11が撮影を行う撮影モードに移行すると、タイムコード処理を実行して、このような制御処理を行う。このタイムコード処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0076】
最初に、ステップS1において、タイムコード生成部41は、タイムコードを内部生成するか否かを判定し、内部生成すると判定した場合、処理をステップS2に進める。ステップS2において、タイムコード生成部41は、記録処理のモードがフリーランモードであるか否かを判定し、フリーランモードであると判定した場合、処理をステップS3に進める。
【0077】
ステップS3において、タイムコード生成部41は、現在の値を「1」インクリメントした新たなタイムコードの値を生成し、それをタイムコード遅延処理部42に供給する。タイムコード遅延処理部42は、ステップS4においてそのタイムコードを所定時間遅延させた後、ステップS5においてそのタイムコードを2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27のタイムコード判定部51と、記録制御処理部24に供給する。
【0078】
ステップS6において、タイムコード生成部41は、タイムコード処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、処理をステップS3に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS6においてタイムコード処理を終了すると判定した場合、タイムコード生成部41はタイムコード処理を終了する。
【0079】
また、ステップS2において、記録処理のモードがレックランモードであると判定した場合、タイムコード生成部41は、処理をステップS7に進める。
【0080】
ステップS7において、タイムコード生成部41は、現在、画像データを記録中であるか否かを判定し、記録中であると判定した場合、ステップS8に処理を進める。ステップS8において、タイムコード生成部41は、現在の値を「1」インクリメントした新たなタイムコードの値を生成し、それをタイムコード遅延処理部42に供給してステップS9に処理を進める。ステップS7において、画像データを記録中でないと判定した場合、タイムコード生成部41は、タイムコードを、その値をインクリメントせずにタイムコード遅延処理部42に供給し、ステップS9に処理を進める。
【0081】
タイムコード遅延処理部42は、ステップS9においてそのタイムコードを所定時間遅延させた後、ステップS10においてそのタイムコードを2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27のタイムコード判定部51と、記録制御処理部24に供給する。
【0082】
ステップS11において、タイムコード生成部41は、タイムコード処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、処理をステップS7に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS11においてタイムコード処理を終了すると判定した場合、タイムコード生成部41はタイムコード処理を終了する。
【0083】
また、ステップS1において、タイムコードを内部生成せずに、外部入力タイムコードを利用すると判定した場合、タイムコード生成部41は、処理をステップS12に進め、外部入力タイムコードを受け付け、それをタイムコード遅延処理部42に供給する。
【0084】
タイムコード遅延処理部42は、ステップS13においてその外部入力タイムコードを所定時間遅延させた後、ステップS10においてその外部入力タイムコードを2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27のタイムコード判定部51と、記録制御処理部24に供給する。
【0085】
ステップS15において、タイムコード生成部41は、タイムコード処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、処理をステップS12に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS15においてタイムコード処理を終了すると判定した場合、タイムコード生成部41はタイムコード処理を終了する。
【0086】
以上のようにタイムコード処理部26がタイムコード処理を行うことにより、タイムコード生成部41は、供給先の処理に応じたタイミングで正しいタイムコードを供給することができる。
【0087】
次に、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27が、2−3プルダウン変換処理部23による2−3プルダウン変換処理を制御するために実行するシーケンスタイミング制御処理について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
ステップS31において、フィールド判定部54は、2−3プルダウン変換処理部23において2−3プルダウン変換された60iの画像データの現在のフィールドが第2フィールドであるか否かを判定し、第2フィールドであると判定した場合、処理をステップS32に進める。
【0089】
ステップS32において、タイムコード判定部51は、タイムコード処理部26よりタイムコードが供給されているか否かを判定し、供給されていると判定した場合、ステップS33に処理を進め、その供給されたタイムコードの値が歩進(1つずつインクリメント)しているか否かを判定する。タイムコードの値が歩進していると判定した場合、タイムコード判定部51は、処理をステップS34に進める。
【0090】
ステップS34において、TCシーケンス番号算出部52は、タイムコードの値からTCシーケンス番号を算出する。TCシーケンス番号算出部52は、タイムコードの値を「0」からの連続整数に変換し、その値を値「5」で割った余りをTCシーケンス番号とする。TCシーケンス番号算出部52は、算出したTCシーケンス番号をシーケンスカウンタ53に供給する。
【0091】
TCシーケンス番号を供給されたシーケンスカウンタ53は、ステップS35において、現在のカウント値を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。
【0092】
シーケンスカウンタ53は、ステップS36において、カウンタ値をTCシーケンス番号の値で更新し、その更新した値をリセット処理部55に供給する。ステップS37において、リセット処理部55は、その供給されたシーケンスカウンタのカウント値が「4」であるか否かを判定し、カウント値が「4」であると判定した場合、処理をステップS38に進め、2−3プルダウン変換処理のシーケンスをリセットする。シーケンスをリセットしたリセット処理部55は、処理をステップS39に進める。
【0093】
また、ステップS37において、供給されたカウント値が「4」であると判定した場合、リセット処理部55は、ステップS38の処理を省略してステップS39に処理を進める。
【0094】
ステップS39において、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、シーケンスタイミング制御処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、処理をステップS31に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS39において、シーケンスタイミング制御処理を終了すると判定した場合、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、シーケンスタイミング制御処理を終了する。
【0095】
また、ステップS32においてタイムコード処理部26よりタイムコードが供給されていないと判定した場合、または、ステップS33においてタイムコードの値が歩進していないと判定した場合、タイムコード判定部51は、処理をステップS40に進める。
【0096】
ステップS40において、シーケンスカウンタ53は、カウント値が「4」より小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合、ステップS41に処理を進め、現在のカウント値を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。ステップS42において、シーケンスカウンタ53は、そのカウント値を「1」インクリメントし、処理をステップS39に戻し、それ以降の処理を繰り返す。
【0097】
また、ステップS40において、カウント値が「4」であると判定した場合、処理をステップS43に進める。ステップS43において、シーケンスカウンタ53は、現在のカウント値を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。シーケンスカウンタ53は、ステップS44において、そのカウント値を「0」にセットする。ステップS45において、リセット処理部55は、2−3プルダウン変換処理のシーケンスをリセットする。シーケンスをリセットしたリセット処理部55は、処理をステップS39に戻し、それ以降の処理を繰り返す。
【0098】
また、ステップS31において、2−3プルダウン変換処理部23において2−3プルダウン変換された60iの画像データの現在のフィールドが第1フィールドであると判定した場合、フィールド判定部54は、処理をステップS46に進める。ステップS46において、シーケンスカウンタ53は、現在のカウント値を記録制御処理タイミング制御部28に供給する。カウント値を供給したシーケンスカウンタ53は、処理をステップS39に戻し、それ以降の処理を繰り返す。
【0099】
以上のようにシーケンスタイミング制御処理を実行することにより、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27は、2−3プルダウン変換処理部23において実行される2−3プルダウン変換処理のシーケンス開始位置を、タイムコードの値に合わせて正確に制御することができる。
【0100】
次に、記録制御処理タイミング制御部28が記録制御処理部24を制御するために実行する記録制御処理について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0101】
ステップS61において、記録制御処理タイミング制御部28は、記録開始が指示されたか否かを判定し、指示されたと判定した場合、処理をステップS62に進める。ステップS62において、記録制御処理タイミング制御部28は、次のシーケンス開始位置より記録を開始する。ステップS63において、記録制御処理タイミング制御部28は、記録終了が指示されたか否かを判定し、指示されたと判定するまで待機する。記録終了が指示されたと判定した場合、記録制御処理タイミング制御部28は、処理をステップS64に進め、次のシーケンス終了位置で記録を終了する。記録を終了した記録制御処理タイミング制御部28は、処理をステップS65に進める。
【0102】
また、ステップS61において、記録開始が指示されていないと判定した場合、記録制御処理タイミング制御部28は、処理をステップS65に進める。
【0103】
ステップS65において、記録制御処理タイミング制御部28は、記録制御処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、ステップS61に処理を戻し、それ以降の処理を繰り返す。
【0104】
また、ステップS65において、記録制御処理を終了すると判定した場合、記録制御処理タイミング制御部28は、ステップS66において、終了処理を行った後、記録制御処理を終了する。
【0105】
以上のように記録制御処理を行うことにより、記録制御処理タイミング制御部28は、記録開始位置をシーケンス開始位置に一致させ、記録終了位置をシーケンス終了位置に一致させることができる。
【0106】
次に、以上のような制御処理における各信号の値の変化について説明する。
【0107】
図9は、シーケンスリセットに関する信号の値の変化について説明する図である。
【0108】
図9において、タイムコード遅延処理部42に入力される入力タイムコード101に対して、タイムコード遅延処理部42より出力され、記録制御処理部24によりドライブ25に供給されて光ディスク31に画像データとともに記録されるタイムコードである記録タイムコード102の値は、2フレーム分遅延している。
【0109】
このとき、タイムコード処理部26より2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27に供給される信号A103は、記録タイムコード102と同タイミングのタイムコードである。また、2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27から記録制御処理タイミング制御部28には、信号B104が供給される。信号B104は、シーケンスカウンタ53のカウント値、すなわち、「0」乃至「4」のシーケンス番号である。
【0110】
シーケンスリセット信号105が、シーケンスリセット111で示されるタイミングで発生すると、撮影部22より出力される画像データであるCCDOUT106においてシーケンスに対する位相が図9に示されるように変化し、それによって、2−3プルダウン変換後の変換後データ107のフィールドにおけるシーケンスの位相も図9のように変化する。
【0111】
図10は、記録開始終了の制御に関する信号の値の変化について説明する図である。
【0112】
図9と同様の各信号に対して、記録制御処理タイミング制御部28は、記録制御信号121を図10に示されるようなタイミングで記録制御処理部24に供給する。すなわち、記録開始を指示する制御信号の場合、記録制御処理タイミング制御部28は、その記録制御信号121を、記録タイムコード102の値が5の整数倍である「00:10」から記録処理が開始されるように、記録開始122のタイミングで記録制御処理部24に供給する。また、記録終了を指示する制御信号の場合、記録制御処理タイミング制御部28は、その記録制御信号121を、記録タイムコード102の値が5の整数倍の1つ前である「00:14」で記録処理が終了されるように、記録終了123のタイミングで記録制御処理部24に供給する。
【0113】
これにより、記録処理は記録タイムコード102において、「00:10」から「0014」まで行われる。これにより、変換後データ107の両矢印で示される範囲が記録データとして光ディスク31に記録される。
【0114】
以上のように制御することにより、光ディスク31に記録された画像データの2−3プルダウン変換処理のシーケンスは、タイムコードの「5」の整数倍に常に同期し、その画像データの開始フレームはシーケンスの先頭フレームとなり、その画像データの終了フレームはシーケンスの最終フレームとなる。
【0115】
図11は、このように記録された画像データに対して、2−3プルダウン逆変換処理を行う2−3プルダウン逆変換装置の構成例を示すブロック図である。
【0116】
図11において、2−3プルダウン逆変換装置は、ドライブ141、画像データ読み出し部142、2−3プルダウン逆変換処理部143、タイムコード読み取り部144、シーケンス制御部145、および画像データ出力部146を有している。
【0117】
画像データ読み出し部142は、ドライブ141に適宜装着される光ディスク31に、上述したように記録された画像データを読み出して、それを2−3プルダウン逆変換処理部143とタイムコード読み取り部144に供給する。
【0118】
2−3プルダウン逆変換処理部143は、シーケンス制御部145によりシーケンスのタイミングを制御されて、画像データ読み出し部142より供給される画像データに対して、2−3プルダウン逆変換処理を行い、60iの画像データを24Pの画像データに変換する。そして、2−3プルダウン逆変換処理部143は、変換後の24Pの画像データを画像データ出力部146に供給する。
【0119】
タイムコード読み取り部144は、画像データ読み出し部142より供給された画像データに付加されたタイムコードを読み取り、その値をシーケンス制御部145に供給する。シーケンス制御部145は、タイムコード読み取り部144より供給されるタイムコードの値に基づいて、2−3プルダウン逆変換処理部143において実行される2−3プルダウン逆変換処理のシーケンスを制御する。
【0120】
画像データ出力部146は、2−3プルダウン逆変換処理部143より供給された画像データを2−3プルダウン逆変換装置131の外部に出力する。
【0121】
次に、この2−3プルダウン逆変換装置131により実行される2−3プルダウン逆変換処理を図12のフローチャートを参照して説明する。
【0122】
ステップS81において、画像データ読み出し部142は、ドライブ141に装着された光ディスク31に記録されている画像データを読み出す。この画像データは、上述したように、カムコーダ11により、シーケンスを制御されて2−3プルダウン変換された画像データであり、その先頭フレームおよび終了フレームの、2−3プルダウン変換処理のシーケンスに対する位相も制御されている。画像データを読み出すと、画像データ読み出し部142は、その画像データを2−3プルダウン逆変換処理部143とタイムコード読み取り部144に供給し、処理をステップS82に進める。
【0123】
ステップS82において、タイムコード読み取り部144は、画像データ読み出し部142に供給された画像データに付加されたタイムコードの値を読み取り、その値をシーケンス制御部145に供給する。シーケンス制御部145は、ステップS83において、供給されたタイムコードの値が「5」の整数倍であるか否かを判定する。「5」の整数倍であると判定した場合、シーケンス制御部145は、ステップS84に処理を進め、2−3プルダウン逆変換処理部143における2−3プルダウン逆変換処理のシーケンスをリセットする。シーケンスをリセットしたシーケンス制御部145は、処理をステップS85に進める。また、ステップS83において、タイムコードの値が「5」の整数倍でないと判定した場合、シーケンス制御部145は、処理をステップS85に進める。
【0124】
ステップS85において、2−3プルダウン逆変換処理部143は、2−3プルダウン逆変換を行い、その変換後の画像データを画像データ出力部146に供給する。画像データ出力部146は、ステップS86において供給された画像データを2−3プルダウン逆変換装置131の外部に出力する。
【0125】
画像データを出力した画像データ出力部146は、ステップS87において、2−3プルダウン逆変換処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合、処理をステップS81に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS87において終了すると判定した場合、画像データ出力部146は、2−3プルダウン逆変換処理を終了する。
【0126】
以上のように、2−3プルダウン逆変換装置131は、タイムコードを参照するだけで、2−3プルダウン逆変換処理のシーケンスを容易に制御することができるので、2−3プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができる。
【0127】
以上のような、2−3プルダウン変換処理の制御は、2−3プルダウン変換処理を行う装置であれば、図2に示されるカムコーダ11以外の装置においても適用することができる。図13は、装置の外部より入力された画像データを光ディスク31に記録するレコーダの構成例を示すブロック図である。
【0128】
図13において、レコーダ201は、基本的に図2のカムコーダ11と同様の構成であるが、カムコーダ11の撮影部22の代わりに、装置外部からの画像データの入力を受け付ける画像データ入力部211を有している。
【0129】
画像データ入力部211は、入力インタフェース部222、再生用ドライブ223、および通信部224を有している。入力インタフェース部222は、所定の方式で接続された、画像データを供給する他の装置より24Pの画像データを取得し、それを2−3プルダウン変換処理部23に供給する。再生用ドライブ223は、24Pの画像データが記録された記録媒体が装着され、その画像データを読み出して2−3プルダウン変換処理部23に供給する。通信部224は、インターネットに代表されるネットワークに接続され、そのネットワークを介して接続される他の装置と通信を行い、24Pの画像データを取得すると、それを2−3プルダウン変換処理部23に供給する。
【0130】
以上のように、レコーダ201はカムコーダ11と基本的に同様の構成であるので、カムコーダ11について説明した2−3プルダウン変換処理の制御に関する処理の説明は、レコーダ201にも適用することができる。
【0131】
さらに、以上のように制御されて2−3プルダウン変換処理された画像データは、記録媒体に記録されなくてもよい。図14は、入力された24Pの画像データを、上述したようにシーケンス制御して2−3プルダウン変換し、その変換した画像データを装置の外部に出力する2−3プルダウン変換装置の構成例を示すブロック図である。
【0132】
図14において、2−3プルダウン変換装置301は、カムコーダ11と同様の入力部21、2−3プルダウン変換処理部23、タイムコード処理部26、および2−3プルダウン変換処理タイミング制御部27を有している。また、2−3プルダウン変換装置301は、カムコーダ11の記録制御処理タイミング制御部28の代わりに出力制御処理タイミング制御部311を有し、カムコーダ11の記録制御処理部24およびドライブ25の代わりに出力制御処理部312を有している。
【0133】
出力制御処理部312は、出力制御処理タイミング制御部311に制御されたタイミングで画像データ(60i)の出力処理を行う。出力制御処理タイミング制御部311は、カムコーダ11の記録制御処理タイミング制御部28と同様に動作し、シーケンスの先頭フレームにおいて出力処理を開始し、シーケンスの最終フレームにおいて出力処理を終了するように出力制御処理部312の動作を制御する。
【0134】
すなわち、2−3プルダウン変換装置301は、カムコーダ11と比較して、画像データの入力と出力に関する処理が異なるだけであり、2−3プルダウン変換処理のシーケンス制御に関する処理は、上述したカムコーダ11の場合と同様に行われる。
【0135】
従って、図13のレコーダ201および図14の2−3プルダウン変換装置301も、図2のカムコーダ11の場合と同様に、画像データの各フレームのシーケンスに対する位相を制御することができ、プルダウン変換されたデータを、容易かつ正確に、再生または逆変換することができるようにすることができる。
【0136】
なお、以上においては、2−3プルダウン変換処理について説明したが、本発明は、画像のフレームレートを変換する処理であればどのような変換処理であっても適用することができる。
【0137】
なお、上述したカムコーダ11、レコーダ201、および2−3プルダウン変換装置301の各装置は、それぞれ一部の機能を別体として(複数の装置として)構成されるようにしてもよい。
【0138】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図2のカムコーダ11、図13のレコーダ201、または図14の2−3プルダウン変換装置301は、図15に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0139】
図15において、パーソナルコンピュータ400のCPU(Central Processing Unit)401は、ROM(Read Only Memory)402に記憶されているプログラム、または記憶部413からRAM(Random Access Memory)403にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM403にはまた、CPU401が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0140】
CPU401、ROM402、およびRAM403は、バス404を介して相互に接続されている。このバス404にはまた、入出力インタフェース410も接続されている。
【0141】
入出力インタフェース410には、キーボード、マウスなどよりなる入力部411、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部412、ハードディスクなどより構成される記憶部413、モデムなどより構成される通信部414が接続されている。通信部414は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0142】
入出力インタフェース410にはまた、必要に応じてドライブ415が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア421が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部413にインストールされる。
【0143】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0144】
この記録媒体は、例えば、図15に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア421により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM402や、記憶部413に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0145】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0146】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】従来のプルダウン変換の例を説明する模式図である。
【図2】本発明を適用したカムコーダの構成例を示すブロック図である。
【図3】シーケンスリセットの例を説明する模式図である。
【図4】記録開始位置制御の例を説明する模式図である。
【図5】記録終了位置制御の例を説明する模式図である。
【図6】タイムコード処理を説明するフローチャートである。
【図7】シーケンスタイミング制御処理を説明するフローチャートである。
【図8】記録制御処理を説明するフローチャートである。
【図9】シーケンスリセットに関する信号の値の変化について説明する図である。
【図10】記録開始終了の制御に関する信号の値の変化について説明する図である。
【図11】2−3プルダウン逆変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】2−3プルダウン逆変換処理を説明するフローチャートである。
【図13】本発明を適用したレコーダの構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明を適用した2−3プルダウン変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図15】本発明を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0148】
1 画像データ, 2 画像データ, 3 画像データ, 11 カムコーダ, 21 入力部, 22 撮影部, 23 2−3プルダウン変換処理部 24 記録制御処理部, 25 ドライブ, 31 光ディスク, 41 タイムコード生成部, 42 タイムコード遅延処理部, 51 タイムコード判定部, 52 TCシーケンス番号算出部, 53 シーケンスカウンタ, 54 フィールド判定部, 55 リセット処理部, 131 2−3プルダウン逆変換装置, 141 ドライブ, 142 画像データ読み出し部, 143 2−3プルダウン逆変換処理部, 144 タイムコード読み取り部, 145 シーケンス制御部, 146 画像データ出力部, 201 レコーダ, 211 画像データ入力部, 222 入力インタフェース部, 223 再生用ドライブ, 224 通信部, 301 2−3プルダウン変換装置, 311 出力制御処理タイミング制御部, 312 出力制御処理部, 400 パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する情報処理装置において、
前記画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御手段と、
前記シーケンス制御手段により制御されてプルダウン変換された前記画像データに対する処理のタイミングを、前記シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プルダウン変換処理は、毎秒24フレームのプログレッシブ方式の画像データを、毎秒60フィールドのインターレス方式の画像データに変換する2−3プルダウン変換処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記シーケンス制御手段は、前記シーケンスの開始タイミングを強制的に移動させる開始タイミング変更手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記シーケンス制御手段は、前記開始タイミング変更手段により前記シーケンスの開始タイミングを、前記画像データのタイムコードの値が5の整数倍となるフレームに合わせる
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理タイミング制御手段は、前記シーケンスの開始タイミングに応じて、前記画像データに対する処理の開始タイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理タイミング制御手段は、前記シーケンスの終了タイミングに応じて、前記画像データに対する処理の終了タイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理タイミング制御手段は、前記プルダウン変換された前記画像データを記録媒体に記録する処理のタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理タイミング制御手段は、前記プルダウン変換された前記画像データを外部に出力する処理のタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
画像データを処理する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御ステップと、
前記シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された前記画像データに対する処理のタイミングを、前記シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
画像データに関する処理をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
前記画像データのプルダウン変換処理において繰り返し行われるシーケンスの開始タイミングを制御するシーケンス制御ステップと、
前記シーケンス制御ステップの処理により制御されてプルダウン変換された前記画像データに対する処理のタイミングを、前記シーケンスのタイミングに応じて制御する処理タイミング制御ステップと
を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−66986(P2006−66986A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244020(P2004−244020)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】