説明

情報処理装置および該情報処理装置に装着された記憶媒体の切替方法

【課題】複数の異なるメモリカード(記憶媒体)が装着されている際においても、情報処理装置側と情報処理を行う記憶媒体を制御する制御信号を正しい記憶媒体側(記憶媒体装着部)に伝送し得る情報処理装置および情報処理対象の切替方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、CPU25およびメインメモリ26がそれぞれ接続されたチップセット27と、組込型のプロセッサである第2のコントローラとしてのエンベデッドコントローラ29と、複数種類の記憶媒体を着脱自在なスロット部15を制御して情報処理対象との情報処理を行う記憶媒体用コントローラ30とを備えており、エンベデッドコントローラ29には、スロット部15と、情報処理対象となる記憶媒体を切り替えて選択する切替スイッチ11とが接続されており、記憶媒体用コントローラ30は、スロット部15とバススイッチ45を有する複数のバス43で接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の異なる記憶媒体と情報処理を行う情報処理装置および情報処理対象の切替方法に係り、特に、異なるプロトコルでの通信を実現する情報処理装置および該情報処理装置に装着された記憶媒体の切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報処理装置には、例えば、メモリカード等の外部の記憶媒体を着脱可能な記憶媒体装着部を備えており、記憶媒体装着部に記憶媒体を装着することで、記憶媒体装着部に装着された記憶媒体に記憶される電子情報を読み出したり、書き込んだりできる。つまり、情報処理装置と記憶媒体装着部に装着された記憶媒体との間で電子データの相互転送を行うことができる。
【0003】
近年、メモリカードの様に取り扱いが簡便で記憶容量も比較的大きい記憶媒体が携帯型記憶媒体として広く普及しつつある。しかしながら、市場に流通しているメモリカードには、複数種類のものがあるため、情報処理装置が一の種類のメモリカードには対応するが、他の種類のメモリカードには対応しないという問題があった。
【0004】
そこで、従来の情報処理装置では、複数種類のメモリカードを着脱可能なメモリカードアダプタを備えるよう構成することで、このメモリカードアダプタに装着されるメモリカードと情報処理装置との間での電子データの相互転送を可能としている。
【0005】
また、従来のメモリカードアダプタとして、省スペース化の観点等から情報処理装置本体側との電気的接続を担う入出力端子を共有し、メモリカードアダプタ側において、接続切替部が少なくとも1以上設けられるメモリカードスロットのうち、対応するメモリカードとの接続を切り替えて選択するものがある。
【0006】
このような情報処理装置の一例としては、特開2001−306182号公報に掲載されるような情報処理装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−306182号公報([0009],図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の情報処理装置では、メモリカードアダプタ側で接続対象となるメモリカードを正しく選択する制御を行うこととなる。
【0008】
しかしながら、情報処理装置本体側との電気的接続を担う入出力端子を共有し、メモリカードアダプタ側において、対応するメモリカードとの接続を切替選択するメモリカードアダプタを備えるよう構成される従来の情報処理装置であっても、メモリカードを制御する制御信号が各メモリカードの種類によって異なる点は何ら変わらない。
【0009】
従って、メモリカードアダプタに複数の異なるメモリカードが装着されている際には、メモリカードアダプタ内の接続切替部が正しくなされないがために、メモリカードの制御が適切になされない(制御が不適切な)事態が発生しないとも限らない。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、適切な記憶媒体が装着されたことを認識し使用する情報処理装置および該情報処理装置に装着された記憶媒体の切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る情報処理装置は、上述した課題を解決するため、請求項1に記載したように、第1の記憶媒体が着脱可能に装着される第1のスロット部と、第2の記憶媒体が着脱可能に装着される第2のスロット部と、前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を選択するスイッチと、前記スイッチの操作回数に基いて、前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を使用可能とする制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報処理対象の切替方法は、上述した課題を解決するため、請求項7に記載したように、情報処理対象の切替操作の有無を認識する情報処理対象切替操作認識ステップと、この情報処理対象切替操作認識ステップで前記切替操作があった場合に前記情報処理対象を特定するn値を更新するn値更新ステップと、更新後のn値をリセットする必要があるか否かを判定するn値リセット有無判定ステップと、このn値リセット有無判定ステップで更新後のn値のリセットが必要と判断した場合、前記更新後のn値をリセットするn値リセットステップと、第1のコントローラが前記情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中か否かを判断するアクセス状態判定ステップと、このアクセス状態判定ステップで情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中でない場合にバススイッチを全てOFFにする制御信号を出力するバススイッチ初期化ステップと、このバススイッチ初期化ステップ後、前記n値が特定する情報処理対象との通信経路となるバスのバススイッチをONに切り替える該当バススイッチ起動ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
適切な記憶媒体が装着されたことを認識し使用する情報処理装置および該情報処理装置に装着された記憶媒体の切替方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る情報処理装置の実施例について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
図1に本発明の実施形態に係る情報処理装置の一実施例である情報処理装置1の構成を概略的に示した概略図を示す。
【0016】
情報処理装置1は、薄型の矩形形状をし、情報処理を行う本体部2と、本体部2に開閉自在に連接されたパネル部3とを備える。パネル部3の内面には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイス4が第1の表示部として設けられる。一方、本体部2は、各種情報を入力する入力部と、外部の記憶媒体を着脱可能な記憶媒体装着部とを備える。
【0017】
本体部2の上面には、各種情報を入力する入力部としてのキーボード7や、ポインティングデバイス8が配設される。また、本体部2の上面には、電源のON/OFFを行う電源スイッチ10および記憶媒体装着部に装着される記憶媒体の種類、すなわち、情報処理(通信)対象を切り替えて選択する記憶媒体切替スイッチ(以下、単に切替スイッチと省略する)11のスイッチが配設される。
【0018】
さらに、本体部2の上面には、LEDが配設されており、切替スイッチ11のスイッチ状態を表示する第2の表示部としてのスイッチ状態表示LED12と、情報処理(通信)対象となる記憶媒体とのアクセス状態を表示する第3の表示部としてのアクセス状態表示LED13が配設される。
【0019】
本体部2の側面側には、記憶媒体装着部としての記憶媒体スロット部(以下、単にスロット部と省略する)15が配設される。また、本体部2には、本体部2に内蔵される電源回路へ電力を供給するための手段として電源コード16が接続されており、この電源コード16を介して動作に必要な電力を得る。
【0020】
尚、図1に示される本体部2の構成はあくまでも一つの例であり、本体部2における構成要素の位置、形状、大きさ、範囲、数量は、図示されたものに限定されない。
【0021】
図2に、情報処理装置1が備える記憶媒体装着部(図1において図示されるA部分)を拡大してより詳細に説明する説明図を示す。
【0022】
図2に示されるスロット部15は、例えば、異なる形状(相似形を含む)を有する二つのスロット部(以下、第1のスロット18および第2のスロット19とする)18,19が上下方向(図2に示すz軸方向)隣接して形成される。
【0023】
例えば、図2において、第1のスロット部としての第1のスロット18は、x軸方向に長く形成されており、本体部2の上面側に設けられる。他方、第2のスロット部としての第2のスロット19は、第1のスロット18よりもx軸方向に短い長さで形成されており、第1のスロット18に対して、本体部2の下面側に配設される。
【0024】
図2に示すように、スロット部15がx軸方向に長さが異なる第1のスロット18および第2のスロット19を有する構成とすることで、第1のスロット18には、挿入面に対して幅広な(x軸方向に長い)第1の記憶媒体21を着脱することができる一方、第2のスロット19には、挿入面に対して第1の記憶媒体21よりも幅狭な(x軸方向に短い)第2の記憶媒体22を着脱することができる。
【0025】
つまり、スロット部15は、異なる大きさの記憶媒体があっても、それぞれ着脱自在に構成されており、例えば、第1の記憶媒体21と第2の記憶媒体22のように、異なる種類の記憶媒体があっても、一つのスロット部15で複数種類の記憶媒体に対応できる。
【0026】
また、スロット部15の各スロット部18,19は、同じ大きさ(x軸の長さ同一)であり、異なる種類の記憶媒体についても対応することができるように構成されており、例えば、第1の記憶媒体21と同じ幅を有し種類が異なる記憶媒体がある場合、第1のスロット18に第1の記憶媒体21と同じ幅を有する記憶媒体を装着することができる。
【0027】
尚、図2に示すスロット部15の形状は、一例であり、図2に示す形状に限定されるものではない。例えば、第1のスロット18および第2のスロット19の配設される位置が上下逆転していても良いし、独立して配設されていても良い。また、スロットの個数については、2つに限定されるものではない。配設可能な任意の個数で良い。
【0028】
図3に、情報処理装置1のより詳細な内部構成を表すブロック図を示す。図3によれば、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)25およびメインメモリ26がそれぞれ接続されたチップセット27とを備える。
【0029】
また、情報処理装置1は、CPU25、メインメモリ26およびチップセット27に加え、さらに、制御手段として複数のコントローラを備えており、この制御手段は、組込型のプロセッサであり第2のコントローラとしてのエンベデッドコントローラ29と、外部の記憶媒体を着脱自在なスロット部15を制御して情報処理(通信)対象との情報処理(通信)を行う第1のコントローラとしての記憶媒体用コントローラ30と、表示デバイス4を制御するグラフィックコントローラ31とを備える。
【0030】
また、チップセット27には、制御手段としてのエンベデッドコントローラ29、記憶媒体用コントローラ30とおよびグラフィックコントローラ31が接続され、エンベデッドコントローラ29、記憶媒体用コントローラ30およびグラフィックコントローラ31には、各々の制御対象が接続される。
【0031】
エンベデッドコントローラ29には、電源の供給を行う電源回路33と、外部の記憶媒体を着脱するスロット部15と、音を出力するスピーカ35と、スロット部15に装着される記憶媒体の種類を切り替えて選択する切替スイッチ11と、スロット部15に装着される記憶媒体の種類を表示するスイッチ状態表示LED12と、情報処理(通信)対象となる記憶媒体とのアクセス状態を表示するアクセス状態表示LED13がさらに接続される。
【0032】
エンベデッドコントローラ29に接続されるスピーカ35は、情報処理装置1において、スロット部15に装着される記憶媒体の種類および情報処理(通信)対象となる記憶媒体とのアクセス状態をユーザが聴別可能とするべく接続されたものである。
【0033】
例えば、スロット部15に装着される記憶媒体の種類については、出力する音のパターンを変えて音を出力し、情報処理(通信)対象となる記憶媒体とのアクセス状態については、アクセス状態に対応する音パターンで音を出力するように情報処理装置1を構成すれば、ユーザは出力された音を聴いて、スロット部15に装着される記憶媒体の種類および情報処理(通信)対象となる記憶媒体とのアクセス状態を識別できる。
【0034】
一方、記憶媒体用コントローラ30には、制御対象となるスロット部15が接続され、グラフィックコントローラ31には、表示デバイス4が接続される。
【0035】
このように構成される情報処理装置1では、ユーザが切替スイッチ11を切り替えて入力したスイッチ状態をエンベデッドコントローラ29が取得することができ、エンベデッドコントローラ29が取得した切替スイッチ11のスイッチ状態を音で出力するべくスピーカ35に信号出力したり、スイッチ状態表示LED12に点灯表示したりすることで、切替スイッチ11のスイッチ状態を出力することができる。
【0036】
また、エンベデッドコントローラ29は、取得した切替スイッチ11のスイッチ状態に対応する制御信号をスロット部15側に出力して、スロット部15に装着され情報処理対象(通信対象)となる記憶媒体との通信経路を確保する制御を行うことができる。
【0037】
エンベデッドコントローラ29が上記制御を行い、スロット部15に装着される記憶媒体との通信経路を確保することで、記憶媒体用コントローラ30は、スロット部15に装着された所望の記憶媒体との情報処理(通信)を行うことができる。
【0038】
情報処理装置1において、スロット部15に装着された所望の記憶媒体との間でなされる情報処理(通信)方法について説明する。
【0039】
図4は、情報処理装置1のうち、スロット部15に装着された記憶媒体との間の情報処理(通信)に特に関係する主要構成部分を表した構成図である。
【0040】
すなわち、図4は、図3示すエンベデッドコントローラ29および記憶媒体用コントローラ30と、エンベデッドコントローラ29および記憶媒体用コントローラ30の制御対象となる切替スイッチ11、スイッチ状態表示LED12およびスピーカ35と、スロット部15について図示している。
【0041】
図4に示されるスロット部15は、例えば、5種類の記憶媒体に対応する5−in−1スロットを備える。この5−in−1スロットは、図2に示す第1のスロット18および第2のスロット19の二つのスロットを有する構成であり、これら二つのスロットで、5種類の記憶媒体に対応することができる。
【0042】
図4によれば、5−in−1スロットは、第1の記憶媒体21から第5の記憶媒体の5種類のそれぞれに対応できる五つのスロット部を有する。より具体的には、第1の記憶媒体21に対応する第1の記憶媒体用スロット部37、第2の記憶媒体22に対応する第2の記憶媒体用スロット部38、第3の記憶媒体(図を省略)に対応する第3の記憶媒体用スロット部39、第4の記憶媒体(図を省略)に対応する第4の記憶媒体用スロット部40、および第5の記憶媒体(図を省略)に対応する第5の記憶媒体用スロット部41を有する。
【0043】
スロット部15と記憶媒体用コントローラ30との間は、スロット部15が対応する記憶媒体の各種類につき1本の通信経路(バス43)が設けられる。すなわち、図4に示される5−in−1スロットの場合、スロット部(5−in−1スロット)15と記憶媒体用コントローラ30との間には、5本のバス43が配設される。
【0044】
バス43は、バススイッチ45を有し、バススイッチ45がONの時には、スロット部(5−in−1スロット)15と記憶媒体用コントローラ30は電気的に接続された状態となる。一方、バススイッチ45がOFFの時には、スロット部(5−in−1スロット)15と記憶媒体用コントローラ30は電気的に接続されない。
【0045】
スロット部15とエンベデッドコントローラ29との間は、スロット部15が対応する記憶媒体の各種類につき1本の制御信号ライン46が設けられる。つまり、図4に示すスロット部(5−in−1スロット)15の場合、スロット部15とエンベデッドコントローラ29との間に5本の制御信号ライン46が配設される。
【0046】
また、図4によれば、エンベデッドコントローラ29には、切替スイッチ11、スイッチ状態表示LED12およびスピーカ35が接続される。図4に示される切替スイッチ11は、例えば、トグルスイッチであり、少なくとも、スロット部15が対応できる記憶媒体の種類数と同じ五つの状態を切り替え可能に構成される。スイッチ状態表示LED12は、スロット部15が五つの記憶媒体に対応することから5種類のスイッチ状態を識別して表示できるように五つのスイッチ状態表示LED12が接続される。
【0047】
ここで、図4に示す情報処理装置1において、スロット部(5−in−1スロット)15の第1の記憶媒体用スロット部37に第1の記憶媒体21が装着されており、この第1の記憶媒体21を通信対象とした場合を例に本発明に係る情報処理(通信)方法を説明する。
【0048】
まず、ユーザは、切替スイッチ11を操作して、スロット部15に装着される情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21である旨を選択する。情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21である旨が選択されると、続いて、切替スイッチ11のスイッチ状態をエンベデッドコントローラ29が取得する。
【0049】
切替スイッチ11のスイッチ状態をエンベデッドコントローラ29が取得すると、エンベデッドコントローラ29は、情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21であることをスイッチ状態表示LED12やスピーカ35に出力する。すると、スイッチ状態表示LED12では、情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21であることを示す第1のLED(図4においてLED 1と図示)が点灯し、スピーカ35では、情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21である旨を通知する音パターンで音が出力される。
【0050】
スピーカ35から音パターンは、情報処理(通信)対象となり得る記憶媒体の種類と同数であり、スロット部15が有する各記憶媒体用スロット部37,38,39,40,41と1対1で対応する。従って、一の音パターンを聞くことで、どの記憶媒体用スロット部に装着される記憶媒体と情報処理(通信)を行うのかを識別することができる。
【0051】
また、エンベデッドコントローラ29は、第1の記憶媒体用スロット部37との情報処理(通信)を制御すべく、第1の記憶媒体用スロット部37との通信経路となるバス43が有するバススイッチ45に制御信号ライン46を介して制御信号を出力する。
【0052】
バススイッチ45が制御信号を受信すると、バススイッチ45はONとなり、記憶媒体用コントローラ30と、第1の記憶媒体用スロット部37に装着された第1の記憶媒体21との通信経路を接続する。逆に、制御信号を受信していないバススイッチ45はOFFであり、記憶媒体用コントローラ30と、第1の記憶媒体用スロット部37に装着された第1の記憶媒体21との通信経路は切断された状態にある。
【0053】
つまり、情報処理装置1では、切替スイッチ11のスイッチ状態が示す一のスロット部(ここでは、第1の記憶媒体用スロット部37)のみが記憶媒体用コントローラ30と接続されることとなり、他のスロット部(ここでは、第2の記憶媒体用スロット部38〜第5の記憶媒体用スロット部41)は記憶媒体用コントローラ30と接続されない。従って、スロット部15に複数の異なる記憶媒体が装着されている際においても、他の記憶媒体との通信は一切なされることがなく、通信対象となる記憶媒体との通信のみを行うこととなり、記憶媒体の制御が不適切となる事態を防止することができる。
【0054】
一方、記憶媒体用コントローラ30は、エンベデッドコントローラ29経由で情報処理(通信)対象が第1の記憶媒体21であることを認識し、バス43を介して第1の記憶媒体用スロット部37との接続を試みる。
【0055】
記憶媒体用コントローラ30は、バス43が複数存在するので、各バス43を介して各記憶媒体用スロット部37,38,39,40,41との接続を試みることとなるが、第1の記憶媒体用スロット部37との通信経路(バス43)上のバススイッチ45のみがONとなっているので、常に情報処理(通信)対象となる記憶媒体用スロット部(ここでは、第1の記憶媒体用スロット部37)が特定される。
【0056】
従って、記憶媒体用コントローラ30は、スロット部15に複数の異なる記憶媒体が装着されている際においても、所望の情報処理(通信)対象との情報処理(通信)を確実に行うことができる。
【0057】
尚、スロット部15が対応できる記憶媒体の種類は、必ずしも、図4に示す5種類に限定されるものではなく、任意の複数であれば、幾つであっても良い。また、切替スイッチ11は、トグルスイッチに限定されるものではない。少なくともスロット部15が対応できる記憶媒体の種類数と同数のスイッチ状態を切替選択できるのであれば、他の方式のスイッチであっても構わない。
【0058】
図5は、情報処理装置1においてなされる情報処理(通信)対象の切替方法としての情報処理(通信)対象切替行程について、処理ステップを追って説明する処理フロー図である。
【0059】
図5によれば、情報処理(通信)対象切替行程は、System Onの状態になると、まず、エンベデッドコントローラ29が、初期設定された状態で起動する初期状態起動ステップを行う(ステップS1)。
【0060】
ここで、nはボタンの入力操作回数を表し、エンベデッドコントローラ29は、nの値によって情報処理(通信)対象を認識する。例えば、n=1の場合には、第1の記憶媒体スロット部37と接続し、n=5の場合には第5の記憶媒体用スロット部41と接続するといった具合である。
【0061】
図5に示す処理フロー図は、初期値をn=1と設定した場合を示すものであり、初期状態起動ステップがなされると、エンベデッドコントローラ29は、第1の記憶媒体用スロット部37とのバス43が有するバススイッチ45をONとして、記憶媒体用コントローラ30と第1の記憶媒体用スロット部37に装着される第1の記憶媒体21との間で情報処理(通信)可能な状態(初期状態)とする。
【0062】
記憶媒体用コントローラ30が第1の記憶媒体用スロット部37に装着される第1の記憶媒体21との間で情報処理(通信)可能な状態(初期状態)となると、続いて、エンベデッドコントローラ29は、切替スイッチ11の入力操作(情報処理対象の切替操作)の有無を認識する情報処理対象切替操作認識ステップを行う(ステップS2)。そして、切替スイッチ11の入力操作があったと判断した場合(ステップS2でYESの場合)、エンベデッドコントローラ29は、入力操作回数を示す現在のnの値(以下、n値とする)に1を加えて更新するn値更新ステップを行う(ステップS3)。
【0063】
そして、エンベデッドコントローラ29が前回までの入力操作回数に1を加える(n=n+1)と、エンベデッドコントローラ29は、更新後のn値をリセットする必要があるか否かを判定するn値リセット有無判定ステップを行う(ステップS4)。
【0064】
nをリセットする必要性を判定するのは、後述するようにn値は情報処理(通信)対象を特定する意義を有するためである。n値が正しい情報処理(通信)対象を示すようにするためには一定数毎にn値をリセットする必要があり、n値が正しい情報処理(通信)対象を示しているか否かは、記憶媒体用コントローラ30が情報処理(通信)対象として通信可能な記憶媒体用スロット部の個数Nと比較することで行う。尚、図4に示す情報処理装置1の場合、N=5となる。
【0065】
ステップS4において、nとN(=5)とを比較して、n<Nの場合(ステップS4でNOの場合)、リセット不要と判定し、続いて、エンベデッドコントローラ29は、情報処理(通信)対象となる記憶媒体とアクセス中か否かを判断するアクセス状態判定ステップを行う(ステップS5)。
【0066】
そして、エンベデッドコントローラ29は、記憶媒体用コントローラ30が情報処理(通信)対象となる記憶媒体にアクセス中か否かを判断し、アクセス中でない場合(ステップS5でNOの場合)、続いて、エンベデッドコントローラ29は、バススイッチ45を全てOFFにする制御信号を出力するバススイッチ初期化ステップを行う(ステップS6)。
【0067】
バススイッチ45が全てOFFとなると、エンベデッドコントローラ29は、全てのスイッチ状態表示LED(図4に示すLED 1〜LED 5)12をOFF(消灯)にするスイッチ状態表示LED初期化ステップを行い(ステップS7)、続いて、nの値が特定する情報処理対象との通信経路となるバス43のバススイッチ45をONに切り替えるべく制御信号を出力する該当バススイッチ起動ステップを行う(ステップS8)。そして、該当バススイッチ起動ステップがなされると、続いて、エンベデッドコントローラ29は、該当するスイッチ状態表示LEDを点灯させる情報処理対象表示ステップを行う(ステップS9)。
【0068】
情報処理対象表示ステップがなされた後、System offの要求を受信したか否かを確認する(ステップS10)。そして、エンベデッドコントローラ29がSystem offの要求を受信している場合(ステップS10でYESの場合)、エンベデッドコントローラ29は、System offを実行する(System off)。
【0069】
一方、ステップS2の情報処理対象切替操作認識ステップにおいて、切替スイッチ11の入力操作がない場合(ステップS2でNOの場合)、ステップS2に進み、エンベデッドコントローラ29は、ステップS2以降の処理ステップを実行する。
【0070】
また、ステップS4のn値リセット有無判定ステップにおいて、nとN(ここではN=5)とを比較して、n>Nの場合(ステップS4でYESの場合)、nをリセットする必要があると判定し、続いて、エンベデッドコントローラ29は、nに初期値である1を代入して、nを強制的にリセットするn値リセットステップを行う(ステップS11)。そして、n値リセットステップがなされると、続いて、ステップS5に進み、エンベデッドコントローラ29は、ステップS5以降の処理ステップを実行する。
【0071】
n値がn>Nとなった場合にリセットされるということは、n値は、1,2,3,4,5(N=5の場合)のいずれかの値をとることを意味する。従って、一つのn値をスロット部15が有する一つの記憶媒体用スロット部の何れかに対応させることができ、n値をもって情報処理(通信)対象がどの記憶媒体であるかを表すことができる。換言すれば、n値は、情報処理(通信)対象を特定するための数値とも言える。
【0072】
さらに、エンベデッドコントローラ29が、情報処理(通信)対象となる記憶媒体とアクセス中か否かを判断し、アクセス中の場合(ステップS5でYESの場合)は、ステップS5に進み、エンベデッドコントローラ29は、ステップS5以降の処理ステップを実行する。
【0073】
さらにまた、ステップS10において、エンベデッドコントローラ29がSystem offの要求を受信していない場合(ステップS10でNOの場合)、ステップS2に進み、エンベデッドコントローラ29は、ステップS2以降の処理ステップを実行する。
【0074】
尚、図5に示すステップS5のアクセス状態判定ステップでは、エンベデッドコントローラ29が記憶媒体用コントローラ30が情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中であるか否かを判定しているのみであるが、アクセス状態判定ステップに記憶媒体用コントローラ30が情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中であるか否かを視覚および聴覚の少なくとも一方を通じてアクセス状態を識別可能に出力するアクセス状態出力ステップをさらに備えさせても良い。
【0075】
以上、説明したように、情報処理装置1および情報処理装置1でなされる情報処理対象の切替方法によれば、情報処理装置1の記憶媒体用コントローラ30とスロット部15とをバススイッチ38を有する複数のバス37により接続しているので、情報処理時に通信対象となる記憶媒体に関するバス37のみをON(通電可能)とすることができる。
【0076】
従って、スロット部15に複数の異なる記憶媒体が装着されている際においても、他の記憶媒体との通信は一切なされることがなく、通信対象となる記憶媒体との通信のみを行うこととなり、記憶媒体の制御が不適切となる事態を防止することができる。
【0077】
つまり、スロット部15に複数の異なる記憶媒体が装着されている際においても、情報処理装置1と情報処理を行う記憶媒体を制御する制御信号を正しい記憶媒体(スロット部15)に伝送し得る情報処理装置1および情報処理対象の切替方法を提供することができる。
【0078】
また、従来、情報処理装置側と情報処理を行う記憶媒体側との情報処理(通信)が同一のプロトコルでなされているのに対し、情報処理装置1およびその情報処理対象の切替方法では、異なるプロトコルのままであっても通信を行うことができる。これは、情報処理装置1では、スロット部15に装着されるそれぞれの記憶媒体と情報処理装置側(記憶媒体用コントローラ30)との通信経路(バス37)が独立して確保されているためである。
【0079】
尚、図1および図4によれば、情報処理装置1のスイッチ状態表示LED12は、5個のLEDを有しているが、必ずしも図1および図4に示される形態に限定されない。例えば、1つのLEDを複数の発光色に変化させることで、制御対象となる記憶媒体の種類を表すように構成しても良い。
【0080】
図3および図4によれば、情報処理装置1は、内蔵されるエンベデッドコントローラ29にスピーカ35が接続されているが、スピーカ35は必ずしも必要なものではない。例えば、スイッチ状態表示LED12等により切替スイッチ11のスイッチ状態を表示可能な場合やアクセス状態表示LED13により情報処理対象となる記憶媒体とのアクセス状態が表示可能な場合には、エンベデッドコントローラ29にスピーカ35が接続されていなくても差し支えない。
【0081】
逆に、内蔵されるエンベデッドコントローラ29にスピーカ35が接続されており、スピーカ35から出力される音により、切替スイッチ11のスイッチ状態を識別可能な場合やアクセス状態表示LED13により情報処理対象となる記憶媒体とのアクセス状態が表示可能な場合には、エンベデッドコントローラ29にスイッチ状態表示LED12やアクセス状態表示LED13が接続されていなくても良い。
【0082】
さらにまた、切替スイッチ11のスイッチ状態を表示デバイス4に表示できるように情報処理装置1を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を概略的に示した概略図。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置が備える記憶媒体装着部(図1において図示されるA部分)を拡大してより詳細に説明する説明図。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置のより詳細な内部構成を表すブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置のうち、スロット部に装着された記憶媒体との間の情報処理(通信)に特に関係する主要構成部分を表した構成図。
【図5】本発明に係る情報処理装置においてなされる情報処理(通信)対象の切替行程について処理ステップを追って説明する処理フロー図。
【符号の説明】
【0084】
1…情報処理装置、2…本体部、3…パネル部、4…表示デバイス(第1の表示部)、7…キーボード、8…ポインティングデバイス、10…電源スイッチ、11…記憶媒体切替スイッチ(切替スイッチ)、12…スイッチ状態表示LED(第2の表示部)、13…アクセス状態表示LED(第3の表示部)、15…記憶媒体スロット部(スロット部)、16…電源コード、18…第1のスロット(第1のスロット部)、19…第2のスロット(第2のスロット部)、21…第1の記憶媒体、22…第2の記憶媒体、25…CPU、26…メインメモリ、27…チップセット、29…エンベデッドコントローラ(第2のコントローラ)、30…記憶媒体用コントローラ(第1のコントローラ)、31…グラフィックコントローラ、33…電源回路、35…スピーカ、37…第1の記憶媒体用スロット部、38…第2の記憶媒体用スロット部、39…第3の記憶媒体用スロット部、40…第4の記憶媒体用スロット部、41…第5の記憶媒体用スロット部、43…バス、45…バススイッチ、46…制御信号ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記憶媒体が着脱可能に装着される第1のスロット部と、
第2の記憶媒体が着脱可能に装着される第2のスロット部と、
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を選択するスイッチと、
前記スイッチの操作回数に基いて、前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を使用可能とする制御手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体が使用可能になったことを表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
第1の記憶媒体が着脱可能に装着される第1のスロット部と、
第2の記憶媒体が着脱可能に装着される第2のスロット部と、
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体と通信を行う第1のコントローラと、
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体を切替えて選択するスイッチと、
前記スイッチの操作に基いて、前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を選択し、該選択された記憶媒体と前記第1のコントローラとを通信可能とする第2のコントローラとを備え、
前記第1のコントローラは、前記第1のスロット部および前記第2のスロット部とバススイッチを有するバスで夫々接続され、
前記第2のコントローラには前記第1のスロット部および前記第2のスロット部と前記スイッチとが接続されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体が使用可能になったことを表示する表示部をさらに備え、
この表示部は、前記第2のコントローラに接続される第1の表示部および第2の表示部を有しており、前記スイッチの操作に基いて前記第2のコントローラが前記第1の記憶媒体と前記第1のコントローラとを通信可能にした場合、前記第2のコントローラは前記第1の記憶媒体が使用可能であることを前記第1の表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体が使用可能になったことを表示する表示部をさらに備え、
この表示部は、前記第2のコントローラに接続される第3の表示部を有しており、前記スイッチの操作に基いて前記第2のコントローラが前記第1の記憶媒体および前記第2の記憶媒体のうちの何れかの記憶媒体を選択する際、選択対象となる記憶媒体が前記第1のコントローラと通信状態にある場合、前記第2のコントローラは選択対象となる記憶媒体が前記第1のコントローラと通信状態にあることを前記第3の表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のスロット部および前記第2のスロット部は、夫々挿入面が異なる形状に構成されたスロットであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理対象の切替操作の有無を認識する情報処理対象切替操作認識ステップと、
この情報処理対象切替操作認識ステップで前記切替操作があった場合に前記情報処理対象を特定するn値を更新するn値更新ステップと、
更新後のn値をリセットする必要があるか否かを判定するn値リセット有無判定ステップと、
このn値リセット有無判定ステップで更新後のn値のリセットが必要と判断した場合、前記更新後のn値をリセットするn値リセットステップと、
第1のコントローラが前記情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中か否かを判断するアクセス状態判定ステップと、
このアクセス状態判定ステップで情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中でない場合にバススイッチを全てOFFにする制御信号を出力するバススイッチ初期化ステップと、
このバススイッチ初期化ステップ後、前記n値が特定する情報処理対象との通信経路となるバスのバススイッチをONに切り替える該当バススイッチ起動ステップとを備えることを特徴とする情報処理対象の切替方法。
【請求項8】
前記アクセス状態判定ステップは、記憶媒体用コントローラが情報処理対象となる記憶媒体とアクセス中であるか否かを視覚および聴覚の少なくとも一方を通じて、アクセス状態を識別可能に出力するアクセス状態出力ステップをさらに備えることを特徴とする請求項7記載の情報処理対象の切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18495(P2006−18495A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194615(P2004−194615)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】