説明

情報処理装置の指紋センサモジュールの取り付け装置

【課題】水気・湿気の浸入に対しては弱く、雨などがかかる環境での使用によって、後々支障をきたすことになるという問題点を有していた。
【解決手段】本発明の情報処理装置の指紋センサモジュールの取り付け装置は、指紋センサモジュール12を実装した基板をパッキング材21と粘着材22によって外装ケース13に固定し、指紋センサモジュール12が実装された基板23において、指紋センサモジュールの周囲を防水性樹脂26でコーティングし、上部の露出面に銅箔の配線パターン24を配置しないことによって防水性の向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノートパソコンのような携帯型の情報処理装置(以下、ノートパソコンと称す)本体に内蔵される指紋センサモジュールの取り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンはその携帯性をゆえ、指紋センサモジュールを実装することによって、セキュリティ性の向上を図ろうとしている。しかしながら従来の情報処理機器では、屋内使用を前提として設計されているのが一般的であり、また当然ながらその取り付け装置に防水機能まで考慮されていない。したがって、水気に弱く、ノートパソコン上面に水などの液体が内部に浸透し、故障の原因となる。特許文献1では、防水性を有する粘着材で固定するという手段がとられているが、今日では、指紋センサモジュールを基板に実装して、指紋センサ装置として機能するのが一般的であるが、そこまで言及されていない。
【特許文献1】特開2003−204954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記の従来構成では、屋内使用が前提となっているため、水気・湿気の浸入に対しては弱く、雨などがかかる環境での使用によって、故障、誤動作の原因になるという問題点を有していた。
【0004】
また、光学式の指紋センサは光が透過する透明部材を用いてセンサ全体を防水することは可能である。一方、後述する本発明の実施の形態で使用する静電容量式の指紋センサは光学式指紋センサに比べて小型で安価ではあるが、センサ部に直接指を触れることが条件となるため、指紋センサ部全体もしくは指が触れる部分を防水することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、
指紋センサモジュールを有する情報処理装置の指紋センサモジュール取り付け装置であって、
基板上に前記指紋センサモジュールを実装し、
パッキング材を前記指紋センサモジュールの周囲に配置し、且つ前記パッキング材により前記情報処理装置の外装ケースと前記基板との隙間を封止して、
前記指紋センサモジュール及び前記基板周囲と、前記情報処理装置の内部とを分離することを特徴とする指紋センサモジュール取り付け装置としたものであり、
パッキング材により情報処理装置内部へ水など液体の侵入を防ぐ作用を有する。
【0006】
本発明の請求項2に記載の発明は、
前記基板上に半田実装した前記指紋センサモジュールの端子と、
前記端子の接続する前記基板の銅箔を防水性樹脂でコーティングしたことを特徴とする請求項1記載の指紋センサモジュール取り付け装置としたものであり、
防水樹脂によるコーティングで指紋センサモジュールと基板の間への水など液体の侵入を防ぐ作用を有する。
【0007】
本発明の請求項3に記載の発明は、
前記基板上に半田実装した前記指紋センサモジュールの端子と接続する前記基板の銅箔を、前記端子との接続部を除き、前記指紋センサモジュールを実装した基板面とは反対面に配置したことを特徴とする請求項1記載の指紋センサモジュール取り付け装置としたものであり、
パッキング材と指紋センサモジュール間に基板の一部が露出する部分があるが、基板上面のこの部分には、配線パターンが配置されないため、水など液体によって配線パターンが腐食することを防ぐ作用を有する。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、ノートパソコンのようなその本体に内蔵される指紋センサモジュールの取り付け装置において、防水性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図2を用いて説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の指紋センサモジュールでありノートパソコンに内蔵した概観図である。
【0011】
図2は本発明のノートパソコンにおける指紋センサモジュール実装部分の断面図である。
【0012】
図1において、11はノートパソコン、12は静電容量式の指紋センサモジュール、13は外装ケースである。(キーボードのキーを、一部を除いて省略して記載している。)
また、図2において、21はパッキング材、22は粘着材、23は静電容量式の指紋センサモジュール12が実装された基板、24は配線パターン、25は端子で基板23とセンサモジュール12の端子間を結合させる。26は防水性樹脂で基板23と指紋センサモジュール12の間をコーティングしたものであり、機器内へ水などの液体の浸入を防ぐ。27は抵抗あるいはコンデンサなどの面実装タイプの部品、28はその端子である。
【0013】
以上のように構成された指紋センサモジュールについて、図1、図2を用いてその動作を説明する。
【0014】
図1において、静電容量式の指紋センサモジュール上を指で直接なぞることによって指紋を取り込み、取り込んだ指紋のパターンを信号に変換し、その信号をノートパソコンでの信号処理により認証処理を行うことになる。防水対策をする場合、光学式の指紋センサモジュールは光学的に指の指紋を読みとるため、センサ全体を透明アクリルのような部材で密封して防水処理することは可能であるが、静電容量式の指紋センサモジュールは指を直接センサに触れることが条件となり防水対策には工夫が必要である。
【0015】
図2において、指紋センサモジュール12を基板23上面に配置して、ハンダ付け実装する。パッキング材21を粘着材22により基板23上の指紋センサモジュール12の周囲に配置し、外装ケース13と基板23の間にできた隙間を封止し、外部から機器内への水や湿気の侵入を防止する。
【0016】
また、指紋センサモジュール12と基板23の間にはわずかな隙間があって、この隙間から水や湿気が侵入し、配線パターン24、端子25を濡らせば指紋認証機能が誤動作する。この対応として防水性樹脂26を用いて指紋センサモジュール12と基板23の隙間を封止し防水する。
【0017】
また、基板23の上面で、指紋センサモジュール12とパッキング材21の間は防水処理されていない。従って、この範囲の基板23上面では防水性樹脂26によって防水処理された指紋センサモジュール12の下面での配線パターンの配置処理を行う。つまり信号端子25からの配線パターンを指紋センサモジュール12が実装された面と反対面に引き出して配線パターンを配置し、次に信号処理部分に信号を伝達するように、配線パターンを設ける。
【0018】
以上のように本実施の形態によれば、パッキング材21によりノートパソコン内部へ水など液体の侵入を防ぎ、防水性樹脂26によるコーティングで指紋センサモジュール12と基板23の間への水など液体の侵入を防ぐことができる。
【0019】
また、パッキング材21と指紋センサモジュール12間に基板23の一部が露出する部分があるが、基板上面のこの部分には、配線パターンが配置されないこと、さらには防水性樹脂26により配線パターン24、端子25を防水処理するため、水など液体によって配線パターンが腐食することによる損傷、強いてはノートパソコンの故障を防ぐことができる。
【0020】
また、電気的には絶縁され、配慮がなされれば防水性樹脂26によるコーティングに代えて防水性の材料を使った部材でも差し支えない。パッキング材21と基板23を粘着材22によって固定したが、粘着材をなくし、接合面で防水機能をもつパッキング材21を使っても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかる指紋センサモジュールの取り付け装置はノートパソコンのような携帯型の情報処理装置において、防水性を確保し、コストがかからない指紋センサ取り付け装置を提供する上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の指紋センサを実装したノートパソコンの概観図
【図2】本発明のノートパソコンにおける指紋センサ実装部分の断面図
【符号の説明】
【0023】
11 ノートパソコン
12 指紋センサモジュール
13 外装ケース
21 パッキング材
22 粘着材
23 基板
24 配線パターン
25 端子
26 防水性樹脂
27 面実装タイプの部品
28 面実装タイプの部品端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋センサモジュールを有する情報処理装置の指紋センサモジュール取り付け装置であって、
基板上に前記指紋センサモジュールを実装し、
パッキング材を前記指紋センサモジュールの周囲に配置し、且つ前記パッキング材により前記情報処理装置の外装ケースと前記基板との隙間を封止して、
前記指紋センサモジュール及び前記基板周囲と、前記情報処理装置の内部とを分離することを特徴とする指紋センサモジュール取り付け装置。
【請求項2】
前記基板上に半田実装した前記指紋センサモジュールの端子と、
前記端子の接続する前記基板の銅箔を防水性樹脂でコーティングしたことを特徴とする請求項1記載の指紋センサモジュール取り付け装置。
【請求項3】
前記基板上に半田実装した前記指紋センサモジュールの端子と接続する前記基板の銅箔を、前記端子との接続部を除き、前記指紋センサモジュールを実装した基板面とは反対面に配置したことを特徴とする請求項1記載の指紋センサモジュール取り付け装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−143909(P2007−143909A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343259(P2005−343259)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】