説明

情報処理装置及びその制御方法

【課題】ネットワーク経由の番組を記録する際にネットワークが切断されても番組を保存することができる情報処理装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】チューナー及びメモリを有する機器と、機器にワイヤレス接続され受信した番組データを、コピー制御情報に基づいて記録手段にコピーする情報処理装置本体とを有する情報処理装置であって、記録開始時にメモリにコピー制御情報を保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューナー及びメモリを有する機器と、該機器にワイヤレス接続され受信した放送データを記録する記録機能を有する情報処理装置本体とを有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタル放送あるいは衛星デジタル放送(以下、「デジタル放送」と表記)をTV(Television)ボードを有するPC(Personal Computer)で受信して視聴することがユーザの間で行われるようになってきた。
デジタル放送の録画番組のファイルは、著作権保護のために暗号化されており、その暗号鍵は不正利用防止のためユーザがアクセスできないPC本体のTVボード上のフラッシュROM(Read Only Memory)内に格納されている。
【0003】
これに対してデジタル放送を、チューナー、フラッシュROM、及び通信モジュールを有するワイヤレスTVBOXを用いて視聴する次期ワイヤレスTVが開発されている。
この次期ワイヤレスTVでは、鍵情報をPC本体ではなくワイヤレスTVBOXのフラッシュROMに格納することになっている。
【0004】
録画ファイルの暗号化は、ひと続きの録画に対して一個の暗号鍵を用いている。デジタル放送のコピー制御情報(コピーフリー、ダビング10、コピーワンス)は、コピー回数の改竄防止のため暗号鍵と共にフラッシュROMに格納されている。
【0005】
ここで、録画中にコピー制御情報が変化した場合は一番厳しいコピー条件を選択するようにするため、録画終了時に録画区間全体を見てコピー制御情報を決定している。
そのため、通常は、コピー制御情報と鍵情報とを録画終了時にフラッシュROMに格納していた。
【0006】
本出願人は、データを受信する受信手段と、バッファと、受信手段で受信したデータをバッファに格納する制御手段と、バッファに格納されたデータを、ネットワークを介して転送する転送手段と、を有し、制御手段は、少なくともGOP(Group Of Picture)単位2個分のデータをバッファに格納することが可能な場合に、受信手段で受信したデータを前記バッファに格納することを提案した(特願2009−225304)。
また、関連する技術として特許文献1が挙げられる。
図6は、本発明に関連する技術を説明するための概念図である。
図6に示す通信システムは、サーバ装置1と、少なくとも1台のクライアント端末2と、を有して構成する通信システムである。
【0007】
サーバ装置1は、データを受信する受信手段(受信部10に相当)と、バッファ(送信バッファ13に相当)と、受信手段10で受信したデータをバッファ13に格納する制御手段(制御部12に相当)と、バッファ13に格納されたデータを、ネットワーク(NW)を介してクライアント端末2に転送する転送手段(送信部14に相当)と、を有して構成する。そして、制御手段12は、少なくともGOP(Group Of Picture)単位2個分のデータをバッファ13に格納することが可能な場合に、受信手段10で受信したデータをバッファ13に格納する。
通信システムは、サーバ装置1と、クライアント端末2と、がネットワーク(NW)を介して接続して構成している。サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを、ネットワーク(NW)を介してクライアント端末2に転送し、クライアン
ト端末2においてデジタル放送データを表示装置4等に出力表示するように制御する。
【0008】
サーバ装置1は、受信部10と、受信バッファ11と、制御部12と、送信バッファ13と、送信部14と、を有して構成する。
【0009】
受信部10は、放送アンテナ3等からデジタル放送データを逐次受信し、その逐次受信したデジタル放送データを受信バッファ11にGOP単位で逐次格納する。
【0010】
受信バッファ11は、受信部10が逐次受信したデジタル放送データを一時的に保存する。制御部12は、受信バッファ11に逐次格納されたデジタル放送データをGOP単位で送信バッファ13に格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−223580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した技術では録画中にネットワークが切断されると鍵情報を格納することができず、録画番組を保存することができないという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、ネットワーク経由で放送データを記録する際にネットワークが切断されても番組を保存することができる情報処理装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、チューナー及びメモリを有する機器と、該機器にワイヤレス接続され受信した放送データを、コピー制御情報に基づいて記録手段に保存する情報処理装置本体とを有する情報処理装置であって、記録開始時に前記メモリに前記コピー制御情報を保存することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記情報処理装置本体は、コンテンツIDと前記コピー制御情報とに基づいて記録した番組の視聴に必要な鍵情報を取得することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記情報処理装置本体は、前記番組データを一時的に記録するためのバッファを有し、前記コピー制御情報が変化し、かつ前記ワイヤレス接続が切断されると、前記バッファにコピーした前記番組データをクリアすることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記情報処理装置本体は、前記バッファにコピーした前記番組データを前記バッファより容量の大きい記録手段に書き出すことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、チューナー及びメモリを有する機器にワイヤレス接続され受信した番組データをバッファにコピーする情報処理装置の制御方法であって、記録開始時に前記メモリにコピー制御情報を保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ネットワーク経由の番組を記録する際にネットワークが切断されても
番組を保存することができる情報処理装置及びその制御方法の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る情報処理装置の一実施の形態を示す概念図である。
【図2】図1に示した情報処理装置のコンテンツID、コピー制御情報、及び鍵情報の関係図である。
【図3】図1に示した情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図4】本発明に係る情報処理装置の一実施を示す概念図である。
【図5】図4に示した情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図6】本発明に関連する技術を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る情報処理装置の一実施の形態を示す概念図である。図2は、図1に示した情報処理装置のコンテンツID、コピー制御情報、及び鍵情報の関係図である。<構 成>
本実施形態の情報処理装置は、ワイヤレスTVBOX100−1(図6の1に対応)と、ワイヤレスTVBOX100−1に無線(例えば無線LAN(Local Area Network))で接続されるPC200−1(図6の2に対応)とを有する。尚、アンテナや表示装置は省略されている。
【0022】
ワイヤレスTVBOX100−1は、チューナー101と、チューナー101に接続された通信モジュール103と、通信モジュール103に接続されたフラッシュROM102とを有し、PC200−1は、通信モジュール201とHDD(Hard Disk Drive)202とを有する。
【0023】
チューナー101は、例えば、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送、もしくは地上デジタル放送を受信して通信モジュール103によって無線のネットワーク経由でPC200−1に送る回路である。
【0024】
フラッシュROM102は、コンテンツID、コピー制御情報、及び鍵情報を格納する回路である。
【0025】
通信モジュール103、201は、無線通信するための回路であり、WiFi(登録商標)アダプタ等の無線LANアダプタが挙げられる。
【0026】
図2において、ワイヤレスTVBOX100−1のフラッシュROM102(図1参照)にはコンテンツIDというインデックスと、コピー制御情報とが組み合わされて保存されている。PC200−1はワイヤレスTVBOX100−1のフラッシュROM102に問い合わせてオリジナルの鍵情報に基づくコピー制御情報を取得してコンテンツID及びコピー制御情報に対応した番組のデータをHDDに記録(コピー:録画)するようになっている。
【0027】
<動 作>
次に、図1に示した情報処理装置の動作について説明する。
図3は、図1に示した情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
動作の主体は、情報処理装置本体の図示しないCPU(Central Processing Unit)である。
【0028】
まず、CPUは、コピー制御情報をフラッシュROM102に格納する(ステップS1)。
CPUは、コピー制御情報が変化したか否かを判断し(ステップS2)、コピー制御情報が変化したと判断すると(ステップS2/Yes)、フラッシュROM内のコピー制御情報の書き換えを行い(ステップS4)、ステップS2に戻る。
CPUは、コピー制御情報が変化していないと判断すると(ステップS2/No)、録画が終了したか否かを判断する(ステップS3)。
CPUは、録画が終了していないと判断すると(ステップS3/No)、ステップS2に戻り、録画が終了したと判断すると終了する(ステップS3/Yes
)。
【0029】
以上において、本実施形態によれば、ネットワーク経由で放送データを記録する際にネットワークが切断されても最新のコピー制御情報が格納されているので、番組を保存することができる。
また、本実施形態によれば、録画の途中でダビング10からコピーワンスに切り替わる場合(例えば、無料の映画解説番組から有料の映画番組に切り替わる場合やコピーワンスの番組とダビング10の番組を連続して録画する場合)であってもコピー制御情報を常に更新しているので、コピーワンスで録画しなければならない番組がダビング10で録画されることはない。
【0030】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる情報処理装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0031】
例えば、
チューナー及びメモリを有する機器と、機器にワイヤレス接続され受信した放送データを、コピー制御情報に基づいて記録手段に保存する情報処理装置本体とを有する情報処理装置の制御プログラムであって、
情報処理装置のコンピュータに、
情報処理装置本体が、記録開始時にメモリにコピー制御情報を保存する手順を実行させる制御プログラム
が挙げられる。
【0032】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる情報処理装置を実現することができる。
このような制御プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
<記憶媒体>
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard
Disc Drive)が挙げられる。
【0034】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【実施例1】
【0035】
図1に示した情報処理装置においては、録画の最初と最後では、鍵情報は変化せず、コピー制御情報だけが変化し得る。
通常の情報処理装置では、鍵情報とコピー制御情報とを別々にしていた。このため、悪意の有るユーザがコピー制御情報を改竄することで不正なコピーが行われていた。
【0036】
そこで、鍵情報とコピー制御情報とを一体化することで不正なコピーを防止することができる。
すなわち、PC上にはコンテンツIDというインデックスがあり、それをもとにユーザがフラッシュROMに問い合わせをして鍵を入手することができ、鍵をPC上に持ってきて暗号化を解くことができる。
しかしながらインデックスをコピー制御情報に絡めると、コピー制御情報を改竄するとインデックスが変わるので、鍵を取得することができなくなる。例えば、コンテンツIDが「AAA」でコピー制御情報が「B」の場合、コンテンツID「AAA」とコピー制御情報「B」とを一体化して「AAAB」としておけば、コピー制御情報を「B」から「C」に改竄した場合には「AAAC」となり鍵を取得することができなくなり、悪意の有るユーザが番組の不正コピーをすることを防止することができる。
【実施例2】
【0037】
放送データのコピー制御情報が変化するとほぼ同時にネットワークが切断されたとき、フラッシュROMのコピー制御情報が更新できない可能性がある。しかも録画データの中には変化後のコピー制御情報となるデータが含まれる可能性がある。このため、本来コピーワンスで録画しなければならない番組がダビング10で録画されてしまうことがある。
【0038】
そこで、放送データを記録する前にバッファを持つ構成とし、バッファ内にあるデータのコピー制御情報が変化し、フラッシュROMのコピー制御情報を更新する前にネットワークの切断が発生した場合、バッファの内容を消去し記録媒体に保存しないようにする。<構 成>
図4は、本発明に係る情報処理装置の一実施を示す概念図である。
図1に示した情報処理装置との相違点は、PCがバッファ及びコピー制御情報検出部を有する点である。尚、図1に示した要素と同様の要素には同一の符号を用いた。
【0039】
本実施例の情報処理装置は、ワイヤレスTVBOX100−1(図6の1に対応)と、ワイヤレスTVBOX100−1に無線(例えば無線LAN(Local Area Network))で接続されるPC200−2(図6の2に対応)とを有する。
【0040】
PC200−2は、通信モジュール201、HDD202、バッファ203、及びコピー制御情報検出部204を有する。
バッファ203は、番組データを一時的に記録する回路であり、SRAMもしくはDRAMが挙げられる。
コピー制御情報検出部204は、コピー制御情報が変化したか否かを検出する機能を有するものであり、ソフトウェアで実現される。
【0041】
<動 作>
図5は、図4に示した情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例であ
る。
動作の主体は、情報処理装置本体の図示しないCPUである。
まず、CPUは、コピー制御情報をフラッシュROMに格納し(ステップS11)、チューナーから受信した番組データをバッファにコピーし(ステップS12)、バッファ内の番組データのコピー制御情報をチェックする(ステップS13)。
CPUは、コピー制御情報が変化したか否かをコピー制御情報検出部に検出させ(ステップS14)、コピー制御情報が変化した場合(ステップS15/Yes)、ネットワークが切断されたか否かを判断する(ステップS15)。
【0042】
CPUは、ネットワークが切断されたと判断した場合(ステップS15/Yes)、バッファをクリアし(ステップS18)、録画が終了したか否かを判断し(ステップS19)、録画が終了した場合には終了し(ステップS19/Yes)、録画が終了していない場合(ステップS19/No)、ステップS12に戻る。
CPUは、コピー制御情報が変化していないと判断した場合(ステップS14/No)、バッファ内のデータをHDDへ書き出し(ステップS17)、ステップS19に進む。
CPUは、ネットワークが切断されていないと判断した場合(ステップS15/No)、コピー制御情報をフラッシュROMに格納し(ステップS16)、ステップS17に進む。
【0043】
上記動作の結果、本来コピーワンスで録画するところダビング10で録画されたり、ダビング10で録画するところをコピーワンスで録画したりするのを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 サーバ装置
2 クライアント端末
3 放送アンテナ
4 表示装置
10、21 受信部
11、22 受信バッファ
12、23 制御部
13 送信バッファ
14 送信部
100−1 ワイヤレスTVBOX
101 チューナー
102 フラッシュROM
103、201 通信モジュール
200−1、200−2 PC
202 HDD
203 バッファ
204 コピー制御情報検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューナー及びメモリを有する機器と、該機器にワイヤレス接続され受信した放送データを、コピー制御情報に基づいて記録手段に保存する情報処理装置本体とを有する情報処理装置であって、
記録開始時に前記メモリに前記コピー制御情報を保存することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置本体は、コンテンツIDと前記コピー制御情報とに基づいて記録した番組の視聴に必要な鍵情報を取得することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置本体は、前記番組データを一時的に記録するためのバッファを有し、前記コピー制御情報が変化し、かつ前記ワイヤレス接続が切断されると、前記バッファにコピーした前記番組データをクリアすることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置本体は、前記バッファにコピーした前記番組データを前記バッファより容量の大きい記録手段に書き出すことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
チューナー及びメモリを有する機器にワイヤレス接続され受信した番組データをバッファにコピーする情報処理装置の制御方法であって、
記録開始時に前記メモリにコピー制御情報を保存することを特徴とする情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50027(P2012−50027A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192795(P2010−192795)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】