説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】紙上に描画された書き込みに関する電子データを、元の電子データに付加する電子データに関連付けるようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置の表示手段は、電子データを表示し、電子データ付加手段は、前記表示手段によって表示された電子データに対して、他の電子データを付加し、関連付手段は、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、前記電子データ付加手段によって付加された他のデータに関連付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子会議システムの1つの典型的な構成例として、大型の共有ディスプレイと、個人端末がネットワークを介して繋がれているシステムがある。会議中に各参加者は、個人端末で会議メモを取ることがしばしばあるが、このための1つの手段として、プレゼンテーションと同期して、個人端末画面にメモやアノテーションを書いたりする方法が存在する。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、会議等においてパソコン等を操作する人のみならず、会議に参加する全ての人が、共有している画面に対し自由に文字等を記入することができ、会議等の進行を効率化する薄型ディスプレイを用いた集合型電子コラボレーションシステムを提供することを課題とし、パソコン等の映像信号、又はパソコン等が接続されていなければ白背景の映像信号、をペイント機能を有する簡易アプリケーションのユーザインタフェースと共に薄型ディスプレイに表示し、会議等の参加者がこの薄型ディスプレイにペン型の入力装置を用いて文字等を自由に記入することにより、会議等の参加者により共同作業を行うことを可能とし、共同作業によって作成した画面を静止画データとしてプリンタに印刷、又はPCカードへ保存できる構成が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、表示されたファイル上での位置を考えずに、オブジェクトをファイル全体と関係付けて表示でき、より多くのオブジェクトを短時間でファイルに関係付けて表示することを課題とし、参加者が共通に見るための十分な大きさの共通表示部を有する1台の共通情報処理装置と、各参加者が手元で情報の作成、表示を専用に行う個人表示部を有する複数台の個人情報処理装置とを、データ通信路にてネットワーク状に接続している電子会議支援システムにおいて、共通表示部又は個人表示部に表示されたファイルに対してコメント、参考資料等をオブジェクトとして関係付ける際に、即座にファイルの特定の位置にオブジェクトを埋め込むのではなく、前段階としてファイル上の不特定の位置にオブジェクトを表示して関係付けを示すことが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、会議又は打ち合わせ時における文字や画像の手書き情報を電子的に読み取って補正し、補正した手書き情報を含めて資料を作成して関係者に配信できるようにすることを課題とし、情報処理装置は、配信先情報、フォーム、入力受付手段、補正手段、変換手段、データ取り込み手段、資料作成手段、配信手段を有し、文字又は画像を含む手書き情報をイメージデータとして取り込む読取装置と接続可能とし、読取装置により取り込まれたイメージデータの入力を受け付け、そのイメージデータを補正して所定のデータ形式に変換し、変換したデータをフォームDB(DataBase)から選択したフォームに取り込み、前記変換データを取り込んだフォームに従って資料を作成し、その資料を配信先情報DBから選択した配信先の端末装置にネットワークを介して配信することが開示されている。
【特許文献1】特開平11−073174号公報
【特許文献2】特開平10−322331号公報
【特許文献3】特開2004−215176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、会議等に用いている電子データに関連付けることは困難であった。
本発明は、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、元の電子データに付加する電子データに関連付けるようにした情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の情報処理装置は、電子データを表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された電子データに対して、他の電子データを付加する電子データ付加手段と、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、前記電子データ付加手段によって付加された他のデータに関連付ける関連付手段を具備することを特徴とする。
【0008】
請求項2の情報処理装置は、請求項1に記載する情報処理装置であって、紙上に描画される書き込みに関する電子データを前記関連付手段によっては関連付けないように制御する制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0009】
請求項3の情報処理装置は、請求項1又は2に記載する情報処理装置であって、操作者を認証する認証手段と、前記認証手段によって認証された操作者毎に、前記関連付手段によって関連付けられた他のデータを記憶するデータ記憶手段をさらに具備することを特徴とする。
【0010】
請求項4の情報処理プログラムは、コンピュータを、電子データを表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された電子データに対して、他の電子データを付加する電子データ付加手段と、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、前記電子データ付加手段によって付加された他のデータに関連付ける関連付手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の情報処理装置によれば、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、元の電子データに付加する電子データに関連付けることができるようになる。
【0012】
請求項2記載の情報処理装置によれば、関連付けるべき電子データと関連付けを行わない電子データを分けることができるようになる。
【0013】
請求項3記載の情報処理装置によれば、個人毎に紙上に描画された書き込みに関する電子データを記憶することができるようになる。
【0014】
請求項4記載の情報処理プログラムによれば、紙上に描画された書き込みに関する電子データを、元の電子データに付加する電子データに関連付けることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、コンピュータ・プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させること、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)を含む。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。
【0016】
以下、表示されている電子データに付加する他の電子データとして、主にアノテーションデータを例示して説明する。アノテーションデータとは、表示されている文書等の電子データに対して、貼り付ける注、コメント等の電子データである。アノテーションデータとしては、テキスト、フリーハンド、図形、ビットマップ、マーカー、付箋紙等の電子データがある。
また、紙上に描画された書き込みに関する電子データとして、主にストロークデータを例示して説明する。
手書きが行われる場面として、会議(複数人によって行われる会合、討論等を含む)を主に例示して説明する。会議の他に、電子ペン等を用いて手書きによる記載が行われ、その手書きによる描画データをアノテーションデータに関連付ける場合であれば適用することができる。
また、紙は、通常の紙の他に、電子ペーパー等の媒体であってもよい。その場合であっても、後述する情報画像を表示するようにしてもよいし、ペンの軌跡を表現するストロークデータを抽出できるようにすればよい。
また、操作者は、説明の文脈に応じて、会議の参加者等として説明する場合がある。また、複数人の操作者であってもよいし、第1の操作を行う操作者と第2の操作を行う操作者は、同一人である必要もない。
【0017】
本実施の形態は、図1に示すように、個人情報端末110、電子ペン120、アドレス付きノート(紙)130、共有画面制御装置140、個人認証装置150、個人情報管理サーバー160、会議支援サーバー170、ユーザマネジメントサーバー180を有している。個人情報端末110、個人情報管理サーバー160、会議支援サーバー170、ユーザマネジメントサーバー180は、通信回線199を介してそれぞれ接続されている。
【0018】
個人情報端末110は、表示管理モジュール111、アノテーションマネジメントモジュール112、メモ・マネジメントモジュール113、認証モジュール114、記憶領域115、通信モジュール116を有している。具体的には、例えば会議参加者の個人所有のPC(Personal Computer)、操作者によって電子ペン120を用いて指示が行えるようなタッチパネルを有するタブレットPC等が該当する。
【0019】
表示管理モジュール111は、会議に用いられている発表用等の電子データ(会議支援サーバー170内の会議DB171が記憶している会議資料172等)を表示する。その電子データは、共有画面制御装置140の表示管理モジュール141によって表示されている電子データであり、複数の会議参加者が見ている電子データを個人情報端末110にも表示する。また、アノテーションマネジメントモジュール112によって電子データに付加されたアノテーションデータ、メモ・マネジメントモジュール113によって電子データ又はアノテーションデータに関連付けられたストロークデータ等を表示する。なお、個人情報端末110の操作者の操作に応じて発生するアノテーションデータ、ストロークデータは、個人情報端末110のみに表示する。つまり、アノテーションデータ、ストロークデータは、個人用のメモデータとしての役割を有する。
【0020】
アノテーションマネジメントモジュール112は、操作者の操作に応じて、表示管理モジュール111によって表示されている電子データに対して、アノテーションデータを付加する。また、このアノテーションデータをその付加した日時とともに、通信回線199を介して、個人情報管理サーバー160内の個人用DB161にアノテーション情報163として記憶する。
【0021】
メモ・マネジメントモジュール113は、通信モジュール116を介して、電子ペン120の通信モジュール121から送信されてくるストロークデータを受け取る。そして、アドレス付きノート(紙)130上に描画された書き込みに関するストロークデータを、アノテーションマネジメントモジュール112によって付加されたアノテーションデータに関連付ける。そして、その関連付けられたストロークデータをその関連付けた日時とともに、通信回線199を介して、個人情報管理サーバー160内の個人用DB161に個人メモ情報164として記憶する。
【0022】
認証モジュール114は、個人認証装置150と接続されており、個人認証装置150からの情報を読み取り、通信回線199を介してユーザマネジメントサーバー180内のユーザマネジメントDB181を用いて個人認証を行い、操作者を認証する。そして、操作者情報(操作者ID、ログイン日時等)を記憶領域115に記録する。また、個人情報管理サーバー160内の個人用DB161等とのリンクを設定する。
記憶領域115は、表示管理モジュール111、アノテーションマネジメントモジュール112、メモ・マネジメントモジュール113、認証モジュール114、通信モジュール116からアクセスされ、必要となるデータの記憶を行う。
通信モジュール116は、電子ペン120の通信モジュール121と接続されており、通信モジュール121から送信されてくるストロークデータを受け取り、メモ・マネジメントモジュール113へ渡す。
【0023】
個人認証装置150は、個人情報端末110の認証モジュール114と接続されており、個人情報端末110の操作者の操作に応じて、個人認証情報を受け取り、認証モジュール114へ渡す。例えば、操作者個人を特定可能な情報を記憶しているICカードの読み取り、指紋情報の読み取り、又は利用者IDとパスワードの受け取り等がある。また、個人認証装置150は、個人情報端末110に内蔵されていてもよい。
【0024】
電子ペン120は、通信モジュール121、アドレス認識モジュール122、記憶領域123、制御モジュール124を有している。また、電子ペン120は、個人情報端末110上でアノテーションを付加すること(スタイラスペンの機能)と、アドレス付きノート(紙)130にメモ書きをするための両方に使用されるようなものであってもよい。その場合、紙の上では通常のペンとして、紙に記録できる。電子ペン120のハードウェアの構成例については図3を用いて後述する。
通信モジュール121は、個人情報端末110の通信モジュール116と接続されており、アドレス認識モジュール122が認識したストロークデータ(アドレスデータ等からなるものである)を個人情報端末110へ送信する。
アドレス認識モジュール122は、操作者によってアドレス付きノート(紙)130上に描画されたときのアドレス付きノート(紙)130上に印刷されている情報画像を読み取って、アドレスデータを認識し、ストロークデータを生成する。
記憶領域123は、通信モジュール121、アドレス認識モジュール122、制御モジュール124からアクセスされ、必要となるデータの記憶を行う。
制御モジュール124は、アドレス付きノート(紙)130上に描画される書き込みに関するストロークデータを、アノテーションデータと個人情報端末110のメモ・マネジメントモジュール113によって関連付ける又は関連付けさせないように制御する。
【0025】
アドレス付きノート(紙)130は、操作者によって電子ペン120を用いて書き込みが行われるメモ用等の紙であって、アドレス情報が表現されている情報画像が印刷されている。具体例については、図4を用いて後述する。
【0026】
共有画面制御装置140は、表示管理モジュール141、記憶領域(表示記録)142、通信モジュール143を有している。具体的には、例えば会議室に設置されている大型画面を有するPC等が該当する。その画面は、複数人の会議参加者が見ることができるものである。
表示管理モジュール141は、画面の表示制御を行い、具体的には、会議支援サーバー170内の会議DB171に記憶されている会議資料172を通信モジュール143を介して受け取り、それを表示する。そして、会議資料172を表示すると、その画面を一斉に個人情報端末110に送信し、各個人情報端末110に表示する。そして、何時、その会議資料172の何ページ目が表示されたかの情報を、通信モジュール143を通じて個人情報管理サーバー160内の個人用DB161の会議資料表示情報162として記憶させる。
【0027】
記憶領域(表示記録)142は、表示管理モジュール141、通信モジュール143からアクセスされ、必要となるデータ、特に表示管理モジュール141が表示すべきデータの記憶を行う。
通信モジュール143は、会議支援サーバー170と接続されており、会議DB171に記憶されている会議資料172を受け取り、共有画面制御装置140の表示管理モジュール141へ渡す。
【0028】
個人情報管理サーバー160は、個人用DB161を有している。個人用DB161は、会議資料表示情報162、アノテーション情報163、個人メモ情報164を記憶している。
会議資料表示情報162は、通信回線199を介して、会議支援サーバー170内の会議DB171に記憶されている会議資料172が、共有画面制御装置140によって実際に表示された部分(例えばページ毎)を記憶する。また、認証モジュール114によって認証された操作者毎に、表示データ(共有画面制御装置140又は個人情報端末110に表示された会議資料にかかる電子データ)を記憶するようにしてもよい。
アノテーション情報163は、個人情報端末110に表示したアノテーションデータを会議資料表示情報162に付加して記憶する。また、認証モジュール114によって認証された操作者毎に、アノテーションマネジメントモジュール112によって付加されたアノテーションデータを記憶するようにしてもよい。また、認証モジュール114によって認証された操作者毎に、アノテーションマネジメントモジュール112によって付加されたアノテーションデータを記憶するようにしてもよい。
個人メモ情報164は、個人情報端末110に表示したストロークデータをアノテーションデータ等に関連付けて記憶する。また、認証モジュール114によって認証された操作者毎に、メモ・マネジメントモジュール113によって関連付けられたストロークデータを記憶するようにしてもよい。
【0029】
会議支援サーバー170は、会議DB171を有している。会議DB171は、会議資料172を記憶している。会議支援サーバー170は共有画面制御装置140の通信モジュール143と接続されている。
会議DB171は、共有画面制御装置140の表示管理モジュール141からアクセスされ、会議に必要なデータが例えばページ毎に共有画面制御装置140の表示管理モジュール141へ送信される。また、その共有画面制御装置140によって表示されている会議資料172は通信回線199を介して、個人情報管理サーバー160内の個人用DB161に会議資料表示情報162として記憶される。
【0030】
ユーザマネジメントサーバー180は、ユーザマネジメントDB181を有している。
ユーザマネジメントDB181は、通信回線199を介して、個人情報端末110の認証モジュール114からアクセスされ、個人情報端末110の操作者に関する情報(認証に必要な情報等)を記憶している。
【0031】
次に、図2を用いて、図1に示した実施の形態での典型的な処理例((1)〜(9))を説明する。
(1)会議参加者は、会議開始時に、個人認証を行う。つまり、個人情報端末110の認証モジュール114は、個人認証装置150からの情報を読み取り、個人認証を行い、利用者を特定し、利用者情報を記憶領域115に記録する。また、個人用DB161とのリンクを設定する。
(2)共有画面制御装置140の大画面である共有画面240で会議資料が表示されると、その画面情報は一斉に個人情報端末110に送信され、各個人情報端末110の表示管理モジュール111が個人情報端末画面210に表示を行う。
(3)共有画面制御装置140の表示管理モジュール141は、何時、その資料の何ページを表示したかの情報を、個人情報管理サーバー160の個人用DB161にアノテーション情報163として記憶させる。
(4)個人情報端末110では、アノテーションマネジメントモジュール112により、操作者の電子ペン120の操作によって、個人情報端末画面210上に書き込まれたアノテーション211を、表示されている会議資料に付加する。
【0032】
(5)付加されたアノテーション211のデータを、個人情報管理サーバー160の個人用DB161にアノテーション情報163として日時とともに記憶する。
(6)電子ペン120を用いて、アドレス付きノート(紙)130上に書かれた記載を対象として、アドレス認識モジュール122によってストロークデータを抽出し、記憶領域123に記憶する。
(7)電子ペン120は、なんらかのタイミングで(ボタンを押す、クレードルに差すなど)、記憶領域123に記憶されているストロークデータを、個人情報端末110の通信モジュール116へ送信する。
(8)個人情報端末110のメモ・マネジメントモジュール113は、受け取ったストロークデータをメモ情報として処理し、日時とともに個人情報管理サーバー160内の個人用DB161に個人メモ情報164として記憶させる。
【0033】
図3を用いて、電子ペン120のハードウェアとしての構成例を説明する。
電子ペン120は、アドレス付きノート(紙)130上に筆記を行うための筆記部301と、例えば書いているのか否か(指し示しているのか否か等)といった筆記部301での筆記動作を検知するための(例えば筆圧を検出する)動作検知モジュール303と、アドレス付きノート(紙)130上の情報画像を例えばCCDなどの2次元撮像素子で撮像することで紙面上における筆記ポイント近傍の画像を撮像する画像受付モジュール302と、画像受付モジュール302から入力した情報画像を復号してアドレス付きノート(紙)130上での座標情報を取得しストロークデータを生成するアドレス認識モジュール122と、アドレス認識モジュール122によって生成されたストロークデータを制御ボタン304の動作によって記憶領域123へ記憶させるか否かを制御する制御モジュール124と、ストロークデータを記憶するメモリなどからなる記憶領域123と、記憶したストロークデータを外部の個人情報端末110へ送信する通信モジュール121を備えている。
【0034】
ここで、情報画像の読み取りは、例えば、ペン型スキャナの先に光発光部を設けて当該光発光部からの発光の反射光を参照して行うことができ、或いは、自然光により行われてもよい。また、情報画像の読み取りは、例えば、光の吸収点を検出すること或いは光の点を検出することにより行うことができる。
また、筆記部301による筆記の有無は、筆圧検知による手法ばかりでなく、例えば、ペン先が紙に触れることによる導電率の変化を検出する手法など、他の手法により検出されてもよい。
【0035】
また、制御モジュール124は、アドレス付きノート(紙)130上に描画される書き込みに関する電子データを、制御ボタン304の動作によって個人情報端末110のメモ・マネジメントモジュール113によって関連付ける又は関連付けないように制御するものである。例えば、制御ボタン304の動作(関連解除指示)とは、電子ペン120の操作者によって押され続けている場合のことをいい、そして、制御モジュール124は、制御ボタン304が押され続けている間の座標情報を、個人情報端末110のメモ・マネジメントモジュール113によっては関連付けしないように制御する。関連付けしないように制御するとは、前述のように座標情報を記憶領域123に記憶させないようにしてもよいし、関連付けしないことを表す符号を付した座標情報を記憶領域123に記憶させるようにしてもよい。
また、通信モジュール121としては、例えば、USBなどの有線ケーブル、或いは、Bluetooth(登録商標)などの無線を用いることができる。
【0036】
図4を用いて、情報画像の一例を説明する。
この例では、2種類のビットパターン画像を組み合わせて、紙面の座標情報を埋め込んだ情報画像を構成する。
例えば、2種類のビットパターン画像(右上がり斜線と右下がり斜線)を組み合わせた8×8のマトリックス(図4に示す例では、正方形)で、座標情報を表現する情報画像を構成する。紙面上には例えば約2mm間隔(8ビットパターン画像×8ビットパターン画像)で、座標情報を埋め込むことができる。
なお、図4の例では、最も上側の1行と最も左側の1列は全て同一のビットパターン画像としており、これを同期コードとして用いている。そして、残りの部分のビットパターン画像で座標情報を表現している。
【0037】
図5は、個人用DB161内のデータ構造例を示す説明図である。
個人用DB161内は、会議資料表示情報162、アノテーション情報163、個人メモ情報164によって階層構造を有している。なお、ストロークデータをメモデータとも称する。つまり、例えば、図5に示すように、個人情報端末表示画面510の下には個人情報端末表示画面510に付加されたアノテーション520、アノテーション530、アノテーション540を有し、アノテーション520の下にはアノテーション520に関連付けられたメモ521、メモ522を有し、アノテーション530の下にはアノテーション530に関連付けられたメモ531〜533を有し、アノテーション540の下にはアノテーション540に関連付けられたメモ541〜544を有している。
【0038】
この階層構造は、それぞれのデータの日時情報に基づいて構成している。すなわち、個人情報端末表示画面510が表示されている期間(図5の例では、個人情報端末表示画面510が表示された後、個人情報端末表示画面550が表示されるまでの期間)に付加されたアノテーションデータを抽出し、それを個人情報端末表示画面510の下の階層に付加する(図5の例では、アノテーション520〜540)。次に、アノテーションデータが付加された後、次のアノテーションデータが付加されるまでの期間(図5の例では、アノテーション520〜530)に付加されたストロークデータ(図5の例では、メモ521、522)をアノテーション520に関連付ける。
【0039】
図6は、個人情報端末110の画面例を示す説明図である。
図6(A)は、個人情報端末表示画面610にアノテーション611、アノテーション612が付加された状態を示している。次に会議が進行し、共有画面制御装置140の大画面に次の会議資料を表示する。すると、図6(B)に示すように、各個人情報端末110に個人情報端末表示画面620を表示する。ここでは、アノテーションデータは付加されていなかったとする。さらに、共有画面制御装置140の大画面に次の会議資料を表示すると、図6(C)に示すように、各個人情報端末110に個人情報端末表示画面630を表示する。ここでは、アノテーション631が付加されたとする。
【0040】
図7は、アドレス付きノート(紙)130の書き込み例を示す説明図である。
図6に示したように会議が進行したとした場合に、個人情報端末110の操作者は、アドレス付きノート(紙)130に電子ペン120を用いて書き込みを行ったとする。その書き込みは、図7に示すように、メモ701〜707である。
【0041】
つまり、図6、図7を用いて説明した状況は、以下のような手順によって行われたものであるとする。
(1)個人情報端末表示画面610を表示
(2)アノテーション611を記述
(3)メモ701を記述
(4)アノテーション612を記述
(5)メモ702を記述
(6)メモ703を記述
(7)個人情報端末表示画面620を表示
(8)メモ704を記述
(9)メモ705を記述
(10)関連解除指示(例えば、電子ペン120の制御ボタン304を押したままメモ706を記述)
(11)メモ706を記述
(10)個人情報端末表示画面630を表示
(11)アノテーション631を記述
(12)メモ707を記述
これらの表示又は記述されたデータは、それぞれ日時情報とともに、個人用DB161内に記憶される。
【0042】
図8は、個人用DB161内の具体的なデータ構造例を示す説明図である。
つまり、個人情報端末表示画面610が表示された後、個人情報端末表示画面620が表示されるまでの間に、アノテーション611、アノテーション612が記述され、そして、アノテーション611が記述された後、アノテーション612が付加されるまでの間に、メモ701が記述され、アノテーション612が記述された後、個人情報端末表示画面620が表示されるまでの間に、メモ702、メモ703が記述されているので、ページ810下にアノテーション820、830があり、アノテーション820下にメモ821があり、アノテーション830下にメモ831、832がある。
次に、個人情報端末表示画面620が表示された後、個人情報端末表示画面630が表示されるまでの間では、アノテーションは記述されなかったが、アドレス付きノート(紙)130にメモが記述されたので、ページ840下にアノテーションデータのダミーとしてニル850を置き、ニル850に関連付けてメモ851、852を置く。
次に、関連解除指示がなされている間に、メモ706が記述されたので、表示画面データのダミーとしてニル860を置き、ニル860下にアノテーションデータのダミーとしてニル870を置き、ニル870に関連付けてメモ853を置く。
最後に、個人情報端末表示画面630が表示された後に、アノテーション631が記述され、そして、アノテーション631が記述された後、メモ707が記述されたので、ページ830下にアノテーション890を置き、アノテーション890下にメモ854を置く。
【0043】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、図9に示すように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバー、電子ペンの構成となり得るコンピュータ等である。表示管理モジュール111、アノテーションマネジメントモジュール112、メモ・マネジメントモジュール113、認証モジュール114、表示管理モジュール141、アドレス認識モジュール122等のプログラムを実行するCPU901と、そのプログラムやデータを記憶するRAM902と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM903と、補助記憶装置であるHD904(例えばハードディスクを用いることができる)と、キーボード、マウス等のデータを入力する入力装置906と、CRTや液晶ディスプレイ等の出力装置905と、通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース907(例えばネットワークインタフェースカードを用いることができる)、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス908により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0044】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、図9に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図9に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図9に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0045】
前記実施の形態においては、データの付加又は関連付けとして日時情報を用いたものを示したが、リンクによって付加又は関連付けを行うようにしてもよい。
なお、前記実施の形態においては、関連解除指示は制御ボタン304が押され続けている間であるが、個人情報端末110の特定の場所をクリックする等としてもよい。
【0046】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態の利用形態例を示す概念的な説明図である。
【図3】電子ペンの構成例を示す説明図である。
【図4】情報画像の一例を示す説明図である。
【図5】個人用DB内のデータ構造例を示す説明図である。
【図6】個人情報端末の画面例を示す説明図である。
【図7】アドレス付きノート(紙)の書き込み例を示す説明図である。
【図8】個人用DB内の具体的なデータ構造例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
110…個人情報端末
111…表示管理モジュール
112…アノテーションマネジメントモジュール
113…メモ・マネジメントモジュール
114…認証モジュール
115…記憶領域
116…通信モジュール
120…電子ペン
121…通信モジュール
122…アドレス認識モジュール
123…記憶領域
124…制御モジュール
130…アドレス付きノート(紙)
140…共有画面制御装置
141…表示管理モジュール
142…記憶領域(表示記録)
143…通信モジュール
150…個人認証装置
160…個人情報管理サーバー
161…個人用DB
162…会議資料表示情報
163…アノテーション情報
164…個人メモ情報
170…会議支援サーバー
171…会議DB
172…会議資料
180…ユーザマネジメントサーバー
181…ユーザマネジメントDB
199…通信回線
301…筆記部
302…画像受付モジュール
303…動作検知モジュール
304…制御ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子データを表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された電子データに対して、他の電子データを付加する電子データ付加手段と、
紙上に描画された書き込みに関する電子データを、前記電子データ付加手段によって付加された他のデータに関連付ける関連付手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
紙上に描画される書き込みに関する電子データを前記関連付手段によっては関連付けないように制御する制御手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
操作者を認証する認証手段と、
前記認証手段によって認証された操作者毎に、前記関連付手段によって関連付けられた他のデータを記憶するデータ記憶手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
電子データを表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された電子データに対して、他の電子データを付加する電子データ付加手段と、
紙上に描画された書き込みに関する電子データを、前記電子データ付加手段によって付加された他のデータに関連付ける関連付手段
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−70007(P2009−70007A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236047(P2007−236047)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】