情報処理装置
【課題】機器の性能予測を正確に行なう。
【解決手段】処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データ中の各単語を抽出し、この単語と一致する表現を辞書データ記憶部3内の辞書テーブルから検索する。処理内容定義部5は文書データ中の文のうち検索済みの表現を含む文中の単語と一致する表現と関連する処理内容を辞書テーブルから検索する。パラメータ名検索部6は検索済みの処理内容と関連する表現を辞書テーブルから検索し、この表現と関連するパラメータ名を当該テーブルからさらに検索する。パラメータ値検索部7は検索済みのパラメータ名に対して辞書テーブル上で関連付けられる表現を含む文から当該パラメータ名に対応するパラメータ値を検索する。性能見積もり条件作成部4は、これらの検索結果をもとに、性能予測対象機器の性能見積もり条件を表示部13に出力する。
【解決手段】処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データ中の各単語を抽出し、この単語と一致する表現を辞書データ記憶部3内の辞書テーブルから検索する。処理内容定義部5は文書データ中の文のうち検索済みの表現を含む文中の単語と一致する表現と関連する処理内容を辞書テーブルから検索する。パラメータ名検索部6は検索済みの処理内容と関連する表現を辞書テーブルから検索し、この表現と関連するパラメータ名を当該テーブルからさらに検索する。パラメータ値検索部7は検索済みのパラメータ名に対して辞書テーブル上で関連付けられる表現を含む文から当該パラメータ名に対応するパラメータ値を検索する。性能見積もり条件作成部4は、これらの検索結果をもとに、性能予測対象機器の性能見積もり条件を表示部13に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の性能予測機能を有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンピュータシステムに組み込まれる機器の性能を予測する装置がある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。この装置は、機器の性能の予測に必要なパラメータ、例えば単位時間あたりの負荷量をユーザが入力すると、予め定められた演算式を用いて性能指標値、例えばトランザクション処理時間の予測値を演算して出力する。
【特許文献1】特開2000−172537号公報
【特許文献2】特開2004−46734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前述したパラメータは、当該パラメータの入力担当者が例えばシステム要求定義書やシステム設計書などの文書を参照したり、システム開発関係者に確認したりするなどして決定される。この入力担当者がシステム性能予測の経験が少ない場合には、入力対象のパラメータを決定することは困難であり、この決定されるパラメータにしたがって出力された性能予測結果が正確であるとは限らない問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、機器の性能予測を正確に行なうことが可能になる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係わる情報処理装置は、性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力し、性能予測対象機器の性能指標値を機器の性能に関する単語ごとに記憶しておき、入力済みの文書データ中の単語を検出し、記憶済みの性能指標値のうち検出済みの単語に対応する性能指標値を検索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係わる情報処理装置では、機器の性能予測を正確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の機能の概要について説明する。この性能予測装置は性能予測対象機器のシステム定義書などの文書データから処理内容やパラメータ値を公知の構文解析技術により検出し、このパラメータ値を性能見積もり条件のパラメータ値とする。また、この装置は前述のように検出した処理内容に対応した評価式を選択し、この選択した評価式とパラメータ値を用いて性能予測対象機器の性能予測を行なう。
【0008】
これにより担当者が機器の性能予測に費やしていた時間を短縮することが出来る。例えば、担当者は処理時間が目標値内に収まるハードウェア構成を顧客に迅速に提案することが出来る。また、この性能予測装置は評価式を処理内容および機器の種類別に用意する。これにより従来の技術と比較して精度の高い性能予測が可能となる。
【0009】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の詳細について説明する。ここでは本発明の実施形態をウェブサーバ、アプリケーションサーバおよびデータベースサーバを有するコンピュータシステムの性能予測に適用した例を説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置は、入力部1、文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3、性能見積もり条件作成部4、性能予測部8、評価式データ記憶部12および表示部13を備える。文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3および評価式データ記憶部12は例えばハ−ドディスクドライブや不揮発性メモリ装置などのハードウェアで構成された記憶装置である。
【0011】
入力部1、文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3は性能見積もり条件作成部4と接続される。性能見積もり条件作成部4および評価式データ記憶部12は性能予測部8と接続され、表示部13は性能見積もり条件作成部4および性能予測部8と接続される。
【0012】
また、性能見積もり条件作成部4は処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7を有し、性能予測部8は無負荷処理時間演算部9、リソース利用率演算部10および負荷時処理時間演算部11を有する。
【0013】
文書データ記憶部2は、性能予測対象機器の機能が記述された文書データが予め記憶される。入力部1は例えばキーボードやマウスであり、文書データ記憶部2に記憶される文書データのうち読出し対象の文書データのファイル名の入力を受け付ける。
【0014】
図2は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第1辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第1辞書テーブルでは機器の処理動作の名称である処理と文書データ中の記述である表現とが関連付けられて管理される。図2に示すように第1辞書テーブル中の処理はトランザクションである。トランザクションとはコンピュータシステムの各機器によるデータに関する処理の集合である。
【0015】
図3は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第2辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第2辞書テーブルでは機器の処理内容の名称と文書データ中で用いられる表現とが関連付けられて管理される。図3に示すように第2辞書テーブル中の処理内容とは検索、登録および更新などであり、第2辞書テーブル中の表現とは検索、閲覧、登録、編集および更新などである。
【0016】
図4は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第3辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第3辞書テーブルでは機器の処理内容の名称とパラメータ名と文書データ中で用いられる表現とが関連付けられて管理される。図4に示すように第4辞書テーブル中のパラメータ名とはレコード数、I/O時間および負荷などであり、第4辞書テーブル中の表現とは登録件数、ロードする件数、DBサーバおよびユーザ数などである。I/O時間とは入出力処理時間であり、DBサーバはデータベースサーバの略称である。
【0017】
図5は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第4辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第4辞書テーブルではパラメータ名、機器の製品名およびパラメータ値が関連付けられて管理される。図5に示すように第5辞書テーブル中の製品名とは性能予測対象機器の製品名であり、第5辞書テーブル中のパラメータ値とは性能予測対象機器の性能指標値である。また、前述した第2辞書テーブル中の表現は機器の性能に関する単語であり、第4辞書テーブル中の表現は性能予測対象機器の性能指標識別情報である。
【0018】
図6は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザが入力部1に対する操作を行なうことで性能予測対象機器が組み込まれるシステムの性能の記述を含む文書データのファイル名を入力すると、性能見積もり条件作成部4は、このファイル名に対応する文書データを文書データ記憶部2から読み出す(ステップS1)。システムの性能とは処理内容、パラメータ、トランザクションの負荷などである。現在の開発工程が要求定義工程である場合は、ユーザが入力部1を用いて入力するファイル名は要求定義書の文書データのファイル名である。
【0019】
図7は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データの内容の一例を示す図である。この文書データは前述した要求定義書のデータであり、各種機能の概要、運用条件およびハードウェア構成が記述される。
【0020】
性能見積もり条件作成部4の処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データの記述および辞書データ記憶部3に記憶される各種辞書テーブルをもとに性能予測対象機器のトランザクションの処理内容を定義する(ステップS2)。
具体的には、処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データに含まれる言語構造を例えば形態素解析などにより解析して、当該文書データ中の各単語を抽出する。
【0021】
処理内容定義部5は、文書データから抽出した単語と図2に示した第1辞書テーブルとを照合することで、処理名である「トランザクション」と第1辞書テーブル上で対応付けられる表現を検索する。
【0022】
この検索の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は図7に示した内容の文書データから抽出済みの単語のうち「機能」が第1辞書テーブル中の「トランザクション」と対応付けられる表現であるので、これを検索する。
【0023】
そして、処理内容定義部5は、第1辞書テーブルから検索した表現を含む同一文中の各単語と図3に示した第2辞書テーブルとを照合することで、当該第2辞書テーブル中の表現のうち前述した同一文中の各単語と同じ表現と関連付けられる処理内容を当該テーブルから検索する。
【0024】
この検索の第1の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は図7に示した文書データ中の文のうち、前述したように検索した「機能」を含む文である「この機能は、登録された報告書を入力した条件を用いて検索する機能である。」中の単語である「検索」が第2辞書テーブル中の表現である「検索」と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる処理内容である「検索」を検索する。
【0025】
次に、第2辞書テーブルからの検索の第2の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は、図7に示した文書データ中の文のうち、前述したように検索した「機能」を含む文である「この機能は、報告書を登録する機能である。」中の単語である「登録」が第2辞書テーブル中の表現である「登録」と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる処理内容である「登録」を検索する。この検索により、文書データで定義されているトランザクションの処理内容を定義することが出来る。
【0026】
図8は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データ中の検索単語の一例を示す図である。
図8に示した記述は、図7に示した文書データ中の各文中の単語のうち下線が施された「機能」、「検索」および「登録」は処理内容定義部5が前述したように検索した単語である。
【0027】
次に、性能見積もり条件作成部4のパラメータ名検索部6は、処理内容定義部5が図3に示した第2辞書テーブルから検索した処理内容と関連付けられる表現を図4に示した第3辞書テーブルから検索し、この検索した表現と関連付けられるパラメータ名を当該テーブルからさらに検索する(ステップS3)。
【0028】
この検索の第1の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は図3に示した第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「登録件数」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「レコード数」を検索する。
【0029】
次に第3辞書テーブルからの検索の第2の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「DBサーバ」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3辞書テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「I/O時間」を検索する。
【0030】
次に第3辞書テーブルからの検索の第3の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「ユーザ数」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「負荷」を検索する。
【0031】
次に、性能見積もり条件作成部4のパラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名と当該テーブル上で関連付けられる表現を含む文に対する公知の構文解析技術を用いて当該パラメータ名に対応するパラメータ値またはその中間値を検索する(ステップS4)。
【0032】
ここで、パラメータ値の検索の例を説明する。この例において、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「レコード数」と当該テーブル上で関連付けられる表現「登録件数」を含む文である「半期の登録件数は1000件である。」に対する構文解析を行なうことで、パラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値である「1000」を検索する。
【0033】
次にパラメータ値の中間値の検索の例を説明する。この例において、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「I/O時間」と当該テーブル上で関連付けられる表現「DBサーバ」を含む文である「DBサーバは、UX7000である。」に対する構文解析を行なうことで、パラメータ名「I/O時間」に対応するパラメータ値の中間値である「UX7000」を検索する。
【0034】
パラメータ値検索部7は、検索したパラメータ値が中間値であった場合には、図5に示した第4辞書テーブル中のパラメータ値のうち、検索済みの中間値と関連付けられるパラメータ値を検索する。例えば、パラメータ値検索部7は前述したようにパラメータ値の中間値「UX7000」を検索した場合には、これと第4辞書テーブル上で関連付けられるパラメータ値である「10msec」を検索する。
【0035】
また、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「負荷」と当該テーブル上で関連付けられる表現「ユーザ数」を含む文である「時刻9:00−10:00の間の利用ユーザ数は60人である」および「時刻10:00−11:00の間の利用ユーザ数は90人である。」に対する構文解析を行なうことで、前述したパラメータ名「負荷」に対応する9時から10時までのパラメータ値である「60人」を検索し、10時から11時までのパラメータ値である「90人」を検索する。
【0036】
性能見積もり条件作成部4は、この検索結果をもとに各時間帯のTPS(Transaction Per Second)を計算する。ここでは性能見積もり条件作成部4は、9時から10時までのTPSは1/60[TPS]であり、10時から11時までのTPSは1/90[TPS]であると計算する。
【0037】
性能見積もり条件作成部4は、処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7による検索結果をもとに、性能予測対象機器の性能見積もり条件を作成して、これを表示部13に出力する。
【0038】
図9は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能見積もり条件作成部4が作成した性能見積もり条件の表示例を示す図である。
図9に示した性能見積もり条件では、図7に示した文書データ中のDBサーバやAPLサーバなどの各種サーバのレコード数やI/O時間が示される。また、各種サーバの各時間帯におけるTPSも示される。
【0039】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置による第2の性能予測について説明する。ここでは性能予測装置はパラメータ値と評価式データとをもとに性能予測対象機器の第2の性能評価値を演算する。
【0040】
図10は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の評価式データ記憶部12に記憶された評価式テーブルの一例を表形式で示す図である。図10に示した評価式テーブルは、処理内容、サーバ種別、および評価式が関連付けられて管理される。このテーブル上で処理内容「検索」と関連付けられる各種サーバの評価式は当該サーバの無負荷処理時間の評価式である。
【0041】
性能予測部8は、性能見積もり条件作成部4の処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7による検索結果および評価式データ記憶部12に記憶された評価式テーブルをもとに性能予測対象機器の性能予測を行なう。
【0042】
性能予測部8の無負荷処理時間演算部9は、前述した検索結果や評価式テーブルをもとにトランザクションの無負荷時処理時間を演算する(ステップS5)。無負荷時とは各種サーバのCPUやディスク装置などにトランザクションによる負荷が生じていない状態である。
【0043】
次に、無負荷時処理時間の演算の例について説明する。この例において、無負荷処理時間演算部9は図9に示した性能見積もり条件のうち、処理内容「検索」に対応する処理を実行するDBサーバの無負荷時処理時間を求めるために、図10に示した評価式テーブルにおける処理内容「検索」および当該テーブル上で関連付けられるサーバ「DBサーバ」が無負荷時処理時間の演算と関わる処理内容およびサーバの種別と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる評価式「f(レコード数,I/O時間)」を検索する。
【0044】
この評価式はDBサーバの無負荷時処理時間を計算するための評価式であり、この評価式にしたがった無負荷時処理時間の計算式を以下の式(1)に示す。
DBサーバの無負荷時処理時間=レコード数×I/O時間 …式(1)
式(1)中のレコード数は図9に示した性能見積もり条件中のDBサーバによる処理対象レコード数「1000」である。また、式(1)で示されるI/O時間は図9に示した性能見積もり条件中のDBサーバによる入出力処理時間「10msec」である。この場合の無負荷処理時間演算部9によるDBサーバの無負荷処理時間の計算式を以下の式(2)に示す。
【0045】
DBサーバの無負荷時処理時間
=レコード数×I/O時間
=1000×10
=10000[msec] …式(2)
また、性能予測部8のリソース利用率演算部10は、無負荷処理時間演算部9による計算結果および図9に示した性能見積もり条件をもとにトランザクションにおける任意の時間帯の各サーバのリソース利用率を以下の式(3)にしたがって計算する(ステップS6)。
リソース利用率=1秒あたりの無負荷時処理時間の割合×TPS …式(3)
次に、性能予測部8の負荷時処理時間演算部11は、リソース利用率演算部10による各サーバのリソース利用率の計算結果と前述した時間帯のTPSをもとに、トランザクションにおける各サーバの各時間帯の負荷時処理時間を以下の式(4)にしたがって計算する(ステップS7)。
各サーバの負荷時処理時間=リソース利用率/(1−リソース利用率)×(1/TPS) …式(4)
性能予測部8は、各時間帯におけるリソース利用率と負荷をもとに、処理時間が最大および最小になる場合の時間帯と処理時間の値を計算して、これを表示部13に出力する(ステップS8)。また、性能予測部8は、負荷時処理時間演算部11が計算した各サーバの負荷時の処理時間を合計することによりトランザクションの負荷時処理時間を計算することができる。
【0046】
図11は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能予測部による処理時間計算結果の表示例を示す図である。
図11に示した、各時間帯のうち負荷が最も高かった時間帯および負荷が最も低い時間帯における各種処理内容に対応する処理時間が示される。
【0047】
以上のように、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置では、性能予測対象機器の機能に関する記述を含む文書データ中の単語と辞書データとを照合することで、性能予測に必要なパラメータ値を検索し、この検索したパラメータ値と評価式データをもとに性能予測を行なうので、ユーザによるパラメータ入力を行なわずとも機器の性能予測を行なうことができる。よって機器の性能予測の効率および精度が向上する。
【0048】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の変形例を説明する。前述した性能予測装置の性能見積もり条件作成部4のパラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名と当該テーブル上で関連付けられる表現を含む文に対して公知の構文解析技術を用いて当該パラメータ名に対応するパラメータ値またはその中間値を検索すると説明した。しかし、これらのパラメータ値や中間値が文書データ中に存在しない場合がある。この変形例では、パラメータ値や中間値が文書データ中に存在しない場合でもパラメータ値を定める機能を有する。
【0049】
図12は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の変形例の辞書データ記憶部3に記憶される確率分布辞書テーブルの一例を表形式で示す図である。
この確率分布辞書テーブルでは、処理内容、サーバ種別、パラメータ名、パラメータ値および当該パラメータ値を確率変数とした生起確率分布が関連付けられて管理される。この確率分布辞書テーブル中の確率は過去のシステムの事例をもとに設定されたものである。
【0050】
パラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図3に示した第2辞書テーブルから検索したパラメータ名を含む文中の単語に当該パラメータ名に対応するパラメータ値や中間値が含まれていない場合には、前述したパラメータ名と図12に示した確率分布テーブルとを照合することで、確率変数であるパラメータ名の期待値を計算する。
【0051】
この計算の例を説明する。この例では、性能見積もり条件作成部4が文書データ記憶部2から読み出した文書データの内容が図7に示した要求定義書から図4に示した第3辞書テーブル中のパラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値を検索できない。
【0052】
この場合には、パラメータ値検索部7は当該パラメータ名「レコード数」のパラメータ値を確率変数とした確率分布を図12に示した確率分布テーブルから検索する。この確率分布はレコード数が60%の確率で10000件であり、30%の確率で5000件であり、10%の確率で1000件である事を示す。
【0053】
パラメータ値検索部7は、パラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値の期待値を以下の式(5)にしたがって計算する。
「レコード数」の期待値
=10000×0.6+5000×0.3+1000×0.1
=6000+1500+100
=7600 …式(5)
以上説明した実施形態では、処理内容およびサーバの種類ごとの評価式データを評価式データ記憶部12に記憶する構成としたが、これに加え、開発工程ごとの評価式データを評価式データ記憶部12に記憶する形態としても良い。
【0054】
この場合には評価式テーブルに開発工程の情報をさらに関連付けた上で、後の開発工程に関するシステム設計書などの文書データをもとに性能見積もり条件作成部4が開発工程の情報を含む性能見積もり条件を作成する。性能予測部8の各種演算部はこの性能見積もり条件における開発工程、処理内容およびサーバ種別と関連付けられる評価式を評価式テーブルから検索してその後の計算を行なう。このような形態とすれば、開発工程が後になるほど詳細な評価式を用いることができるので、さらに高い精度による演算を可能とする。
【0055】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第1辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図3】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第2辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図4】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第3辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第4辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶装置に記憶される文書データの内容の一例を示す図。
【図8】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データ中の検索単語の一例を示す図。
【図9】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能見積もり条件作成部が作成した性能見積もり条件の表示例を示す図。
【図10】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の評価式データ記憶部に記憶された評価式テーブルの一例を表形式で示す図。
【図11】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能予測部による処理時間計算結果の一例を表形式で示す図。
【図12】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶される確率分布辞書テーブルの一例を表形式で示す図。
【符号の説明】
【0057】
1…入力部、2…文書データ記憶部、3…辞書データ記憶部、4…性能見積もり条件作成部、5…処理内容定義部、6…パラメータ名検索部、7…パラメータ値検索部、8…性能予測部、9…無負荷処理時間演算部、10…リソース利用率演算部、11…負荷時処理時間演算部、12…評価式データ記憶部、13…表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の性能予測機能を有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンピュータシステムに組み込まれる機器の性能を予測する装置がある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。この装置は、機器の性能の予測に必要なパラメータ、例えば単位時間あたりの負荷量をユーザが入力すると、予め定められた演算式を用いて性能指標値、例えばトランザクション処理時間の予測値を演算して出力する。
【特許文献1】特開2000−172537号公報
【特許文献2】特開2004−46734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前述したパラメータは、当該パラメータの入力担当者が例えばシステム要求定義書やシステム設計書などの文書を参照したり、システム開発関係者に確認したりするなどして決定される。この入力担当者がシステム性能予測の経験が少ない場合には、入力対象のパラメータを決定することは困難であり、この決定されるパラメータにしたがって出力された性能予測結果が正確であるとは限らない問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、機器の性能予測を正確に行なうことが可能になる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係わる情報処理装置は、性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力し、性能予測対象機器の性能指標値を機器の性能に関する単語ごとに記憶しておき、入力済みの文書データ中の単語を検出し、記憶済みの性能指標値のうち検出済みの単語に対応する性能指標値を検索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係わる情報処理装置では、機器の性能予測を正確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の機能の概要について説明する。この性能予測装置は性能予測対象機器のシステム定義書などの文書データから処理内容やパラメータ値を公知の構文解析技術により検出し、このパラメータ値を性能見積もり条件のパラメータ値とする。また、この装置は前述のように検出した処理内容に対応した評価式を選択し、この選択した評価式とパラメータ値を用いて性能予測対象機器の性能予測を行なう。
【0008】
これにより担当者が機器の性能予測に費やしていた時間を短縮することが出来る。例えば、担当者は処理時間が目標値内に収まるハードウェア構成を顧客に迅速に提案することが出来る。また、この性能予測装置は評価式を処理内容および機器の種類別に用意する。これにより従来の技術と比較して精度の高い性能予測が可能となる。
【0009】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の詳細について説明する。ここでは本発明の実施形態をウェブサーバ、アプリケーションサーバおよびデータベースサーバを有するコンピュータシステムの性能予測に適用した例を説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置は、入力部1、文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3、性能見積もり条件作成部4、性能予測部8、評価式データ記憶部12および表示部13を備える。文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3および評価式データ記憶部12は例えばハ−ドディスクドライブや不揮発性メモリ装置などのハードウェアで構成された記憶装置である。
【0011】
入力部1、文書データ記憶部2、辞書データ記憶部3は性能見積もり条件作成部4と接続される。性能見積もり条件作成部4および評価式データ記憶部12は性能予測部8と接続され、表示部13は性能見積もり条件作成部4および性能予測部8と接続される。
【0012】
また、性能見積もり条件作成部4は処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7を有し、性能予測部8は無負荷処理時間演算部9、リソース利用率演算部10および負荷時処理時間演算部11を有する。
【0013】
文書データ記憶部2は、性能予測対象機器の機能が記述された文書データが予め記憶される。入力部1は例えばキーボードやマウスであり、文書データ記憶部2に記憶される文書データのうち読出し対象の文書データのファイル名の入力を受け付ける。
【0014】
図2は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第1辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第1辞書テーブルでは機器の処理動作の名称である処理と文書データ中の記述である表現とが関連付けられて管理される。図2に示すように第1辞書テーブル中の処理はトランザクションである。トランザクションとはコンピュータシステムの各機器によるデータに関する処理の集合である。
【0015】
図3は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第2辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第2辞書テーブルでは機器の処理内容の名称と文書データ中で用いられる表現とが関連付けられて管理される。図3に示すように第2辞書テーブル中の処理内容とは検索、登録および更新などであり、第2辞書テーブル中の表現とは検索、閲覧、登録、編集および更新などである。
【0016】
図4は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第3辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第3辞書テーブルでは機器の処理内容の名称とパラメータ名と文書データ中で用いられる表現とが関連付けられて管理される。図4に示すように第4辞書テーブル中のパラメータ名とはレコード数、I/O時間および負荷などであり、第4辞書テーブル中の表現とは登録件数、ロードする件数、DBサーバおよびユーザ数などである。I/O時間とは入出力処理時間であり、DBサーバはデータベースサーバの略称である。
【0017】
図5は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部3に記憶された第4辞書テーブルの構成例を表形式で示す図である。
この第4辞書テーブルではパラメータ名、機器の製品名およびパラメータ値が関連付けられて管理される。図5に示すように第5辞書テーブル中の製品名とは性能予測対象機器の製品名であり、第5辞書テーブル中のパラメータ値とは性能予測対象機器の性能指標値である。また、前述した第2辞書テーブル中の表現は機器の性能に関する単語であり、第4辞書テーブル中の表現は性能予測対象機器の性能指標識別情報である。
【0018】
図6は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザが入力部1に対する操作を行なうことで性能予測対象機器が組み込まれるシステムの性能の記述を含む文書データのファイル名を入力すると、性能見積もり条件作成部4は、このファイル名に対応する文書データを文書データ記憶部2から読み出す(ステップS1)。システムの性能とは処理内容、パラメータ、トランザクションの負荷などである。現在の開発工程が要求定義工程である場合は、ユーザが入力部1を用いて入力するファイル名は要求定義書の文書データのファイル名である。
【0019】
図7は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データの内容の一例を示す図である。この文書データは前述した要求定義書のデータであり、各種機能の概要、運用条件およびハードウェア構成が記述される。
【0020】
性能見積もり条件作成部4の処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データの記述および辞書データ記憶部3に記憶される各種辞書テーブルをもとに性能予測対象機器のトランザクションの処理内容を定義する(ステップS2)。
具体的には、処理内容定義部5は文書データ記憶部2からの文書データに含まれる言語構造を例えば形態素解析などにより解析して、当該文書データ中の各単語を抽出する。
【0021】
処理内容定義部5は、文書データから抽出した単語と図2に示した第1辞書テーブルとを照合することで、処理名である「トランザクション」と第1辞書テーブル上で対応付けられる表現を検索する。
【0022】
この検索の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は図7に示した内容の文書データから抽出済みの単語のうち「機能」が第1辞書テーブル中の「トランザクション」と対応付けられる表現であるので、これを検索する。
【0023】
そして、処理内容定義部5は、第1辞書テーブルから検索した表現を含む同一文中の各単語と図3に示した第2辞書テーブルとを照合することで、当該第2辞書テーブル中の表現のうち前述した同一文中の各単語と同じ表現と関連付けられる処理内容を当該テーブルから検索する。
【0024】
この検索の第1の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は図7に示した文書データ中の文のうち、前述したように検索した「機能」を含む文である「この機能は、登録された報告書を入力した条件を用いて検索する機能である。」中の単語である「検索」が第2辞書テーブル中の表現である「検索」と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる処理内容である「検索」を検索する。
【0025】
次に、第2辞書テーブルからの検索の第2の例を説明する。この例において、処理内容定義部5は、図7に示した文書データ中の文のうち、前述したように検索した「機能」を含む文である「この機能は、報告書を登録する機能である。」中の単語である「登録」が第2辞書テーブル中の表現である「登録」と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる処理内容である「登録」を検索する。この検索により、文書データで定義されているトランザクションの処理内容を定義することが出来る。
【0026】
図8は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データ中の検索単語の一例を示す図である。
図8に示した記述は、図7に示した文書データ中の各文中の単語のうち下線が施された「機能」、「検索」および「登録」は処理内容定義部5が前述したように検索した単語である。
【0027】
次に、性能見積もり条件作成部4のパラメータ名検索部6は、処理内容定義部5が図3に示した第2辞書テーブルから検索した処理内容と関連付けられる表現を図4に示した第3辞書テーブルから検索し、この検索した表現と関連付けられるパラメータ名を当該テーブルからさらに検索する(ステップS3)。
【0028】
この検索の第1の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は図3に示した第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「登録件数」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「レコード数」を検索する。
【0029】
次に第3辞書テーブルからの検索の第2の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「DBサーバ」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3辞書テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「I/O時間」を検索する。
【0030】
次に第3辞書テーブルからの検索の第3の例を説明する。この例において、パラメータ名検索部6は第2辞書テーブルから検索済みの処理内容である「検索」と第3辞書テーブル上で関連付けられる表現のうち「ユーザ数」が文書データから抽出済みの単語と一致するので、これと当該第3テーブル上で関連付けられるパラメータ名である「負荷」を検索する。
【0031】
次に、性能見積もり条件作成部4のパラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名と当該テーブル上で関連付けられる表現を含む文に対する公知の構文解析技術を用いて当該パラメータ名に対応するパラメータ値またはその中間値を検索する(ステップS4)。
【0032】
ここで、パラメータ値の検索の例を説明する。この例において、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「レコード数」と当該テーブル上で関連付けられる表現「登録件数」を含む文である「半期の登録件数は1000件である。」に対する構文解析を行なうことで、パラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値である「1000」を検索する。
【0033】
次にパラメータ値の中間値の検索の例を説明する。この例において、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「I/O時間」と当該テーブル上で関連付けられる表現「DBサーバ」を含む文である「DBサーバは、UX7000である。」に対する構文解析を行なうことで、パラメータ名「I/O時間」に対応するパラメータ値の中間値である「UX7000」を検索する。
【0034】
パラメータ値検索部7は、検索したパラメータ値が中間値であった場合には、図5に示した第4辞書テーブル中のパラメータ値のうち、検索済みの中間値と関連付けられるパラメータ値を検索する。例えば、パラメータ値検索部7は前述したようにパラメータ値の中間値「UX7000」を検索した場合には、これと第4辞書テーブル上で関連付けられるパラメータ値である「10msec」を検索する。
【0035】
また、パラメータ値検索部7は、図7に示した文書データ中の文のうち、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名「負荷」と当該テーブル上で関連付けられる表現「ユーザ数」を含む文である「時刻9:00−10:00の間の利用ユーザ数は60人である」および「時刻10:00−11:00の間の利用ユーザ数は90人である。」に対する構文解析を行なうことで、前述したパラメータ名「負荷」に対応する9時から10時までのパラメータ値である「60人」を検索し、10時から11時までのパラメータ値である「90人」を検索する。
【0036】
性能見積もり条件作成部4は、この検索結果をもとに各時間帯のTPS(Transaction Per Second)を計算する。ここでは性能見積もり条件作成部4は、9時から10時までのTPSは1/60[TPS]であり、10時から11時までのTPSは1/90[TPS]であると計算する。
【0037】
性能見積もり条件作成部4は、処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7による検索結果をもとに、性能予測対象機器の性能見積もり条件を作成して、これを表示部13に出力する。
【0038】
図9は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能見積もり条件作成部4が作成した性能見積もり条件の表示例を示す図である。
図9に示した性能見積もり条件では、図7に示した文書データ中のDBサーバやAPLサーバなどの各種サーバのレコード数やI/O時間が示される。また、各種サーバの各時間帯におけるTPSも示される。
【0039】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置による第2の性能予測について説明する。ここでは性能予測装置はパラメータ値と評価式データとをもとに性能予測対象機器の第2の性能評価値を演算する。
【0040】
図10は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の評価式データ記憶部12に記憶された評価式テーブルの一例を表形式で示す図である。図10に示した評価式テーブルは、処理内容、サーバ種別、および評価式が関連付けられて管理される。このテーブル上で処理内容「検索」と関連付けられる各種サーバの評価式は当該サーバの無負荷処理時間の評価式である。
【0041】
性能予測部8は、性能見積もり条件作成部4の処理内容定義部5、パラメータ名検索部6およびパラメータ値検索部7による検索結果および評価式データ記憶部12に記憶された評価式テーブルをもとに性能予測対象機器の性能予測を行なう。
【0042】
性能予測部8の無負荷処理時間演算部9は、前述した検索結果や評価式テーブルをもとにトランザクションの無負荷時処理時間を演算する(ステップS5)。無負荷時とは各種サーバのCPUやディスク装置などにトランザクションによる負荷が生じていない状態である。
【0043】
次に、無負荷時処理時間の演算の例について説明する。この例において、無負荷処理時間演算部9は図9に示した性能見積もり条件のうち、処理内容「検索」に対応する処理を実行するDBサーバの無負荷時処理時間を求めるために、図10に示した評価式テーブルにおける処理内容「検索」および当該テーブル上で関連付けられるサーバ「DBサーバ」が無負荷時処理時間の演算と関わる処理内容およびサーバの種別と一致するので、これと当該テーブル上で関連付けられる評価式「f(レコード数,I/O時間)」を検索する。
【0044】
この評価式はDBサーバの無負荷時処理時間を計算するための評価式であり、この評価式にしたがった無負荷時処理時間の計算式を以下の式(1)に示す。
DBサーバの無負荷時処理時間=レコード数×I/O時間 …式(1)
式(1)中のレコード数は図9に示した性能見積もり条件中のDBサーバによる処理対象レコード数「1000」である。また、式(1)で示されるI/O時間は図9に示した性能見積もり条件中のDBサーバによる入出力処理時間「10msec」である。この場合の無負荷処理時間演算部9によるDBサーバの無負荷処理時間の計算式を以下の式(2)に示す。
【0045】
DBサーバの無負荷時処理時間
=レコード数×I/O時間
=1000×10
=10000[msec] …式(2)
また、性能予測部8のリソース利用率演算部10は、無負荷処理時間演算部9による計算結果および図9に示した性能見積もり条件をもとにトランザクションにおける任意の時間帯の各サーバのリソース利用率を以下の式(3)にしたがって計算する(ステップS6)。
リソース利用率=1秒あたりの無負荷時処理時間の割合×TPS …式(3)
次に、性能予測部8の負荷時処理時間演算部11は、リソース利用率演算部10による各サーバのリソース利用率の計算結果と前述した時間帯のTPSをもとに、トランザクションにおける各サーバの各時間帯の負荷時処理時間を以下の式(4)にしたがって計算する(ステップS7)。
各サーバの負荷時処理時間=リソース利用率/(1−リソース利用率)×(1/TPS) …式(4)
性能予測部8は、各時間帯におけるリソース利用率と負荷をもとに、処理時間が最大および最小になる場合の時間帯と処理時間の値を計算して、これを表示部13に出力する(ステップS8)。また、性能予測部8は、負荷時処理時間演算部11が計算した各サーバの負荷時の処理時間を合計することによりトランザクションの負荷時処理時間を計算することができる。
【0046】
図11は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能予測部による処理時間計算結果の表示例を示す図である。
図11に示した、各時間帯のうち負荷が最も高かった時間帯および負荷が最も低い時間帯における各種処理内容に対応する処理時間が示される。
【0047】
以上のように、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置では、性能予測対象機器の機能に関する記述を含む文書データ中の単語と辞書データとを照合することで、性能予測に必要なパラメータ値を検索し、この検索したパラメータ値と評価式データをもとに性能予測を行なうので、ユーザによるパラメータ入力を行なわずとも機器の性能予測を行なうことができる。よって機器の性能予測の効率および精度が向上する。
【0048】
次に、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の変形例を説明する。前述した性能予測装置の性能見積もり条件作成部4のパラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図4に示した第3辞書テーブルから検索したパラメータ名と当該テーブル上で関連付けられる表現を含む文に対して公知の構文解析技術を用いて当該パラメータ名に対応するパラメータ値またはその中間値を検索すると説明した。しかし、これらのパラメータ値や中間値が文書データ中に存在しない場合がある。この変形例では、パラメータ値や中間値が文書データ中に存在しない場合でもパラメータ値を定める機能を有する。
【0049】
図12は、本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の変形例の辞書データ記憶部3に記憶される確率分布辞書テーブルの一例を表形式で示す図である。
この確率分布辞書テーブルでは、処理内容、サーバ種別、パラメータ名、パラメータ値および当該パラメータ値を確率変数とした生起確率分布が関連付けられて管理される。この確率分布辞書テーブル中の確率は過去のシステムの事例をもとに設定されたものである。
【0050】
パラメータ値検索部7は、パラメータ名検索部6が図3に示した第2辞書テーブルから検索したパラメータ名を含む文中の単語に当該パラメータ名に対応するパラメータ値や中間値が含まれていない場合には、前述したパラメータ名と図12に示した確率分布テーブルとを照合することで、確率変数であるパラメータ名の期待値を計算する。
【0051】
この計算の例を説明する。この例では、性能見積もり条件作成部4が文書データ記憶部2から読み出した文書データの内容が図7に示した要求定義書から図4に示した第3辞書テーブル中のパラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値を検索できない。
【0052】
この場合には、パラメータ値検索部7は当該パラメータ名「レコード数」のパラメータ値を確率変数とした確率分布を図12に示した確率分布テーブルから検索する。この確率分布はレコード数が60%の確率で10000件であり、30%の確率で5000件であり、10%の確率で1000件である事を示す。
【0053】
パラメータ値検索部7は、パラメータ名「レコード数」に対応するパラメータ値の期待値を以下の式(5)にしたがって計算する。
「レコード数」の期待値
=10000×0.6+5000×0.3+1000×0.1
=6000+1500+100
=7600 …式(5)
以上説明した実施形態では、処理内容およびサーバの種類ごとの評価式データを評価式データ記憶部12に記憶する構成としたが、これに加え、開発工程ごとの評価式データを評価式データ記憶部12に記憶する形態としても良い。
【0054】
この場合には評価式テーブルに開発工程の情報をさらに関連付けた上で、後の開発工程に関するシステム設計書などの文書データをもとに性能見積もり条件作成部4が開発工程の情報を含む性能見積もり条件を作成する。性能予測部8の各種演算部はこの性能見積もり条件における開発工程、処理内容およびサーバ種別と関連付けられる評価式を評価式テーブルから検索してその後の計算を行なう。このような形態とすれば、開発工程が後になるほど詳細な評価式を用いることができるので、さらに高い精度による演算を可能とする。
【0055】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第1辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図3】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第2辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図4】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第3辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶された第4辞書テーブルの構成例を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶装置に記憶される文書データの内容の一例を示す図。
【図8】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の文書データ記憶部2に記憶される文書データ中の検索単語の一例を示す図。
【図9】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能見積もり条件作成部が作成した性能見積もり条件の表示例を示す図。
【図10】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の評価式データ記憶部に記憶された評価式テーブルの一例を表形式で示す図。
【図11】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の性能予測部による処理時間計算結果の一例を表形式で示す図。
【図12】本発明の実施形態にしたがった性能予測装置の辞書データ記憶部に記憶される確率分布辞書テーブルの一例を表形式で示す図。
【符号の説明】
【0057】
1…入力部、2…文書データ記憶部、3…辞書データ記憶部、4…性能見積もり条件作成部、5…処理内容定義部、6…パラメータ名検索部、7…パラメータ値検索部、8…性能予測部、9…無負荷処理時間演算部、10…リソース利用率演算部、11…負荷時処理時間演算部、12…評価式データ記憶部、13…表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標値を機器の性能に関する単語ごとに記憶する記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記記憶手段に記憶された性能指標値のうち前記検出手段により検出した単語に対応する性能指標値を検索する検索手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記性能予測対象機器の第2の性能指標値に関する演算式を記憶する演算式記憶手段と、
前記検索手段により検索した性能指標値と前記演算式記憶手段に記憶された演算式とをもとに前記第2の性能指標値を演算する演算手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記性能予測対象機器の種別が複数であって、
前記演算式記憶手段は、前記演算式を前記性能予測対象機器の種別ごとに記憶し、
前記演算手段は、前記演算式記憶手段に記憶された演算式のうち前記性能予測対象機器の種別に対応した演算式と前記検索手段により検索した性能指標値とをもとに前記第2の性能指標値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記演算式記憶手段は、前記演算式を前記性能予測対象機器の開発工程のそれぞれについて記憶し、
前記演算手段は、前記演算式記憶手段に記憶された演算式のうち前記性能予測対象機器の開発工程に対応した演算式と前記検索手段により検索した性能指標値とをもとに前記第2の性能指標値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標識別情報を機器の性能に関する単語ごとに記憶する記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記記憶手段に記憶された性能指標識別情報のうち前記検出手段により検出した単語に対応する性能指標識別情報を検索する検索手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の前記検索手段により検索した性能指標識別情報を含む文から当該性能指標識別情報に対応する性能指標値を抽出する抽出手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標値を確率変数とした確率分布情報を機器の性能に関する単語ごとに記憶する確率情報記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記確率情報記憶手段に記憶された確率変数のうち前記検出手段により検索した単語に対応する確率変数の期待値を当該確率変数の確率分布情報をもとに計算する計算手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項1】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標値を機器の性能に関する単語ごとに記憶する記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記記憶手段に記憶された性能指標値のうち前記検出手段により検出した単語に対応する性能指標値を検索する検索手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記性能予測対象機器の第2の性能指標値に関する演算式を記憶する演算式記憶手段と、
前記検索手段により検索した性能指標値と前記演算式記憶手段に記憶された演算式とをもとに前記第2の性能指標値を演算する演算手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記性能予測対象機器の種別が複数であって、
前記演算式記憶手段は、前記演算式を前記性能予測対象機器の種別ごとに記憶し、
前記演算手段は、前記演算式記憶手段に記憶された演算式のうち前記性能予測対象機器の種別に対応した演算式と前記検索手段により検索した性能指標値とをもとに前記第2の性能指標値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記演算式記憶手段は、前記演算式を前記性能予測対象機器の開発工程のそれぞれについて記憶し、
前記演算手段は、前記演算式記憶手段に記憶された演算式のうち前記性能予測対象機器の開発工程に対応した演算式と前記検索手段により検索した性能指標値とをもとに前記第2の性能指標値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標識別情報を機器の性能に関する単語ごとに記憶する記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記記憶手段に記憶された性能指標識別情報のうち前記検出手段により検出した単語に対応する性能指標識別情報を検索する検索手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の前記検索手段により検索した性能指標識別情報を含む文から当該性能指標識別情報に対応する性能指標値を抽出する抽出手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
性能予測対象機器に関する記述を含む文書データを入力する入力手段と、
前記性能予測対象機器の性能指標値を確率変数とした確率分布情報を機器の性能に関する単語ごとに記憶する確率情報記憶手段と、
前記入力手段により入力した文書データ中の単語を検出する検出手段と、
前記確率情報記憶手段に記憶された確率変数のうち前記検出手段により検索した単語に対応する確率変数の期待値を当該確率変数の確率分布情報をもとに計算する計算手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−299028(P2007−299028A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123805(P2006−123805)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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