説明

情報処理装置

【課題】静電容量の検知手段を備える情報処理装置において,ユーザによる情報処理装置の使用状態に応じた,安定して高精度に静電容量の検知が可能となる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置の静電容量補正部10において,接触状態変化判定部11は,情報処理装置に備えられた各接触検知部2による,ユーザの情報処理装置に対する接触状態の検知を監視し,接触状態に変化があれば,その旨を静電容量補正制御部13に通知する。静電容量補正制御部13は,ユーザの情報処理装置に対する接触状態が変化したときに各静電容量検知部3が検知した静電容量を,オフセット用の静電容量として静電容量オフセット情報記憶部14に保持する。静電容量補正計算部15は,静電容量検知部3により検知された静電容量を,保持されたオフセット用の静電容量で補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,静電容量の検知手段により得られる静電容量の精度を向上させる情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電容量センサを用いてユーザの操作を検出する,携帯端末などの情報処理装置がある。例えば,静電容量センサを用いたタッチパネルを有する携帯端末は,静電容量センサがユーザのタッチパネルへの接触を検知することにより,ユーザの操作を検出する。
【0003】
なお,携帯型電子機器に内蔵された静電容量検出素子が,人などの対象物の接触動作に連動して,静電容量を検知する技術が知られている。また,携帯型電子機器が検知した静電容量を閾値と比較してユーザの指の接触座標を検出する技術が知られている。また,静電容量が変化した場所に基づいて,人の操作箇所を検出する電子機器の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−121462号公報
【特許文献2】特開2005―346507号公報
【特許文献3】特開2007―164470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静電容量センサを有する情報処理装置において,静電容量センサは,情報処理装置に対するユーザの使用状態の影響を受ける。例えば,静電容量センサを有する携帯端末を据え置きで使用する場合には,静電容量センサは,携帯端末を操作するユーザの手の静電容量を検知する。しかし,静電容量センサを有する携帯端末をユーザが手に持って使用する場合には,静電容量センサは,携帯端末を操作するユーザの手の静電容量だけではなく,携帯端末の持ち手の静電容量も検知してしまう。また,ユーザが携帯端末の使用中に持ち方を変えるなどして,ユーザによる携帯端末の使用状態が変わると,静電容量センサによって検知されるユーザの持ち手の静電容量も変わってしまう。
【0006】
このように,情報処理装置が有する静電容量センサは,ユーザによる情報処理装置の使用状態の影響を受けてしまうため,情報処理装置を操作するユーザの手による静電容量を,安定して正確に検知することは難しい。
【0007】
本発明は,上記の問題の解決を図り,静電容量の検知手段を備える情報処理装置において,ユーザによる情報処理装置の使用状態に応じた,安定して精度の高い静電容量の検知が可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
情報処理装置は,接触を検知する接触検知部と,静電容量を検知する静電容量検知部と,オフセット用の静電容量の情報を記憶する静電容量オフセット情報記憶部と,接触検知部から接触状態を示す情報を取得し,接触検知部により検知される接触状態の変化を判定する接触状態変化判定部と,接触状態変化判定部により接触状態が変化したと判定されたときに,静電容量検知部から静電容量の情報を取得し,取得された静電容量の情報で,静電容量オフセット情報記憶部に記憶されたオフセット用の静電容量の情報を更新する静電容量補正制御部と,静電容量検知部から静電容量の情報を取得し,取得された静電容量の情報を,静電容量オフセット情報記憶部に記憶されたオフセット用の静電容量の情報を用いて補正する静電容量補正計算部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の技術によって,ユーザによる情報処理装置の使用状態の変化に対応して,安定して精度の高い静電容量が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】静電容量センサを備える情報処理装置の例を示す図である。
【図2】高感度静電容量センサを備える情報処理装置の使用状態の例を説明する図である。
【図3】ユーザが情報処理装置を手に持って使用する例を説明する図である。
【図4】本実施の形態による情報処理装置の例を示す図である。
【図5】本実施の形態による情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図6】本実施の形態1による静電容量補正部の機能構成の例を示す図である。
【図7】本実施の形態の接触状態情報記憶部に記憶された接触状態情報の例を示す図である。
【図8】本実施の形態の静電容量オフセット情報記憶部に記憶された静電容量オフセット情報の例を示す図である。
【図9】本実施の形態1の静電容量補正部による静電容量オフセットデータ更新処理フローチャートである。
【図10】本実施の形態1の静電容量補正部による静電容量補正処理フローチャートである。
【図11】本実施の形態2による静電容量補正部の機能構成の例を示す図である。
【図12】本実施の形態の感度補正情報記憶部に記憶された感度補正情報の例を示す図である。
【図13】本実施の形態2の静電容量補正部による静電容量オフセットデータ更新処理フローチャートである。
【図14】本実施の形態2の静電容量補正部による静電容量補正処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
【0012】
図1は,静電容量センサを備える情報処理装置の例を示す図である。
【0013】
図1(A)に示す情報処理装置500は,従来からある静電容量センサを用いたタッチパネル510を備える携帯型の装置である。情報処理装置500のタッチパネル510には,静電容量センサがマトリクス状に配置されている。タッチパネル510に使用されている静電容量センサは,接触型の静電容量センサである。タッチパネル510に使用されている静電容量センサは,ユーザの指がタッチパネル510に触れたときの静電容量を検知することで,情報処理装置500へのユーザの操作を検出する。
【0014】
図1(B)に示す情報処理装置600は,従来からある静電容量センサを用いたタッチパネル610と,高感度静電容量センサ620とを備える携帯型の装置である。情報処理装置600において,タッチパネル610に使用されている静電容量センサは,図1(A)に示す情報処理装置500のタッチパネル510の静電容量センサと同様に,接触型の静電容量センサである。タッチパネル610に使用されている静電容量センサは,ユーザの指がタッチパネル610に触れたときの静電容量を検知することで,情報処理装置600へのユーザの操作を検出する。
【0015】
これに対して,高感度静電容量センサ620は,ユーザの指が接触していなくても,近づいただけでその静電容量を検知することができる,非接触型の静電容量センサである。高感度静電容量センサ620は,少し離れたところにあるユーザの指による微弱な静電容量をも検知することができる。
【0016】
図2は,高感度静電容量センサを備える情報処理装置の使用状態の例を説明する図である。
【0017】
図2に示す情報処理装置600は,図1(B)に示す高感度静電容量センサ620を備える情報処理装置600である。図2(A)は,ユーザが情報処理装置600を据え置きで使用する場合の例において,その使用状態を上から見たものである。図2(B)は,ユーザが情報処理装置600を据え置きで使用する場合の例において,その使用状態を横から見たものである。また,図2(C)は,ユーザが情報処理装置600を手で持って使用する場合の例を示す。
【0018】
図2に示すように,情報処理装置600の高感度静電容量センサ620は,少し離れた位置にある,ユーザの操作する手による静電容量を検知する。
【0019】
図2(A),図2(B)に示すように,ユーザが情報処理装置600を据え置きで使用する場合には,高感度静電容量センサ620は,ユーザの操作する手による静電容量を検知する。ところが,図2(C)に示すように,ユーザが情報処理装置600を手に持って使用する場合には,高感度静電容量センサ620は,ユーザの操作する手による静電容量だけではなく,ユーザの持ち手による静電容量も同時に検知してしまう。
【0020】
面積Sの平行導体の距離がdであり,その平行導体の間に誘電率εの誘電体が均一に充填されている場合の静電容量Cは,次の式(1)で表される。
【0021】
C=εS/d ・・・(1)
式(1)から,高感度静電容量センサ620は,距離dが近い物体の影響をより大きく受けることがわかる。したがって,図2(C)に示すように,ユーザが情報処理装置600を手で持って使用する場合には,より高感度静電容量センサ620に近いユーザの持ち手による静電容量の影響が大きくなってしまう。
【0022】
このように,高感度静電容量センサ620を備える情報処理装置600において,ユーザの操作を行う手による静電容量は,ユーザによる情報処理装置600の使用状態の影響を受ける。すなわち,情報処理装置600に対するユーザ操作の検出は,ユーザによる情報処理装置600の使用状態の影響を受けることになる。
【0023】
図3は,ユーザが情報処理装置を手に持って使用する例を説明する図である。
【0024】
図3に示す情報処理装置600は,図1(B),図2に示す高感度静電容量センサ620を備える情報処理装置600である。
【0025】
上述したように,高感度静電容量センサ620により検知される静電容量は,ユーザによる情報処理装置600の使用状態の影響を受けてしまう。このようなユーザの使用状態の影響を抑制する手法として,例えば,高感度静電容量センサ620を使用するアプリケーションの起動時に検知された静電容量の値をオフセット値として保持し,以後そのオフセット値を用いて高感度静電容量センサ620の検出値を補正する手法が考えられる。
【0026】
例えば,ユーザは,情報処理装置600を手に持った状態で,高感度静電容量センサ620を利用したアプリケーションであるソフトウェアキーボードを起動する(図3(1))。情報処理装置600では,アプリケーション起動時に高感度静電容量センサ620により検知された静電容量の値を,オフセット値として保持する(図3(2))。ユーザが,情報処理装置600に操作を行う手の指を近づけると,高感度静電容量センサ620が操作を行う手の指による静電容量を検知し,指の接近に合わせてタッチパネル610上でソフトウェアキーボードが拡大される(図3(3))。このとき,高感度静電容量センサ620により検知された静電容量の値は,アプリケーション起動時に保持されたオフセット値で補正される。
【0027】
しかし,情報処理装置600の持ち手を変えたり,机に情報処理装置600を置いたりといったように,アプリケーション稼動中にユーザが情報処理装置600の使用状態を変えてしまうケースは多々ある。このようなアプリケーション稼動中に使用状態が変わるケースには,アプリケーション起動時に保持されたオフセット値で高感度静電容量センサ620により検知される静電容量の値を補正する手法では,対応することができない。
【0028】
以下では,ユーザによる使用状態の変化に応じて,検知された静電容量を適切に補正することを可能とする,本実施の形態による情報処理装置について,説明する。
【0029】
図4は,本実施の形態による情報処理装置の例を示す図である。
【0030】
図4に示す情報処理装置1は,ユーザが手に持って使用することが可能な携帯端末である。情報処理装置1は,上下左右4つの接触検知部2,上下左右4つの静電容量検知部3,タッチパネル4を備える。接触検知部2,静電容量検知部3の数や配置位置等は,それぞれ任意である。接触検知部2,静電容量検知部3は,それぞれ複数個備えられる方が好適である。
【0031】
接触検知部2は,情報処理装置1に対する他の物体の接触状態を検知する。接触検知部2は,例えば圧力センサや赤外線センサなどにより実現される。4つの接触検知部2は,図4に示すようにタッチパネル4を正面に見て,上,左,右,下の順に,接触検知部2−1,接触検知部2−2,接触検知部2−3,接触検知部2−4とする。
【0032】
静電容量検知部3は,情報処理装置1の外部の物体による静電容量を検知する。本実施の形態による静電容量検知部3は,直接に接触していない近くにある物体の静電容量をも検知することが可能な高感度の静電容量センサなどにより実現される。4つの静電容量検知部3は,図4に示すようにタッチパネル4を正面に見て,上,左,右,下の順に,静電容量検知部3−1,静電容量検知部3−2,静電容量検知部3−3,静電容量検知部3−4とする。なお,静電容量検知部3の数が接触検知部2の数と同じである必要はない。
【0033】
タッチパネル4は,画面表示を行う出力装置であり,かつユーザの接触による操作を受け付ける入力装置である。タッチパネル4における入力機能は,例えば,従来から利用されている接触型の静電容量センサや,抵抗センサ,感圧センサなどにより実現される。
【0034】
図5は,本実施の形態による情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0035】
図5に示すように,図4に示す情報処理装置1は,CPU(Central Processing Unit )101,主記憶となるメモリ102,入出力インタフェース103,記憶装置104,入力装置105,出力装置106を備えるコンピュータ100によって実現される。
【0036】
図4に示す情報処理装置1のタッチパネル4は,図5に示す入力装置105と出力装置106との役割を兼ねる。
【0037】
情報処理装置1のコンピュータ100が実行可能なプログラムは,記憶装置104に記憶され,その実行時にメモリ102に読み出され,CPU101により実行される。
【0038】
なお,コンピュータ100は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ100は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0039】
さらに,このプログラムは,コンピュータ100で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0040】
〔実施の形態1〕
図6は,本実施の形態1による静電容量補正部の機能構成の例を示す図である。
【0041】
本実施の形態1では,図4に示す情報処理装置1が,図6に示す静電容量補正部10を備える。静電容量補正部10は,ユーザによる情報処理装置1の使用状態に応じて,各静電容量検知部3により検知された静電容量の補正を行う。
【0042】
本実施の形態1による静電容量補正部10は,接触状態変化判定部11,接触状態情報記憶部12,静電容量補正制御部13,静電容量オフセット情報記憶部14,静電容量補正計算部15を備える。静電容量補正部10および静電容量補正部10が備える各機能部は,図5に示す情報処理装置1のコンピュータ100が備えるCPU101,メモリ102等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現される。
【0043】
接触状態変化判定部11は,各接触検知部2から接触情報を取得する。接触情報は,接触検知部2により検知される接触状態を示す情報である。接触状態変化判定部11は,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態情報と,各接触検知部2から取得された接触情報とを比較し,接触状態に変化があるかを判定する。接触状態情報は,ある時点で各接触検知部2により検知された接触状態を示す情報である。
【0044】
接触状態情報記憶部12は,接触状態情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。例えば,接触状態情報記憶部12は,最初に,情報処理装置1の電源ON時に接触検知部2により検知された接触状態が記録された接触状態情報を記憶する。その後,接触状態変化判定部11により情報処理装置1の接触状態が変化したと判定されたときに,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態情報は,その変化した接触状態で更新される。
【0045】
接触状態変化判定部11は,接触状態に変化があると判定したときに,情報処理装置1の接触状態に変化があった旨を示す接触状態変化情報を,静電容量補正制御部13に送る。また,接触状態変化判定部11は,接触状態に変化があると判定したときに,各接触検知部2から取得された接触情報で,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態情報を更新する。
【0046】
静電容量補正制御部13は,各静電容量検知部3から静電容量情報を取得する。静電容量情報は,静電容量検知部3により検知される静電容量の測定情報である。静電容量補正制御部13は,静電容量検知部3から取得した静電容量情報を,静電容量補正計算部15に渡す。また,静電容量補正制御部13は,接触状態変化判定部11から接触状態変化情報を受けたときに,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセット情報を,各静電容量検知部3から取得した静電容量情報で更新する。静電容量オフセット情報は,情報処理装置1の接触状態の変化が確認された時点で各静電容量検知部3により検知された静電容量の値を,オフセット用の静電容量値として保持する情報である。
【0047】
静電容量オフセット情報記憶部14は,静電容量オフセット情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。例えば,静電容量オフセット情報記憶部14は,最初に,情報処理装置1の電源ON時に各静電容量検知部3により検知された静電容量の値が,オフセット用の静電容量値として保持された静電容量オフセット情報を記憶する。その後,接触状態変化判定部11により情報処理装置1の接触状態が変化したと判定されたときに,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセット情報は,各静電容量検知部3から取得された静電容量情報で更新される。
【0048】
静電容量補正計算部15は,静電容量補正制御部13を介して各静電容量検知部3から取得した静電容量情報を,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセット情報を用いて補正する。静電容量補正計算部15は,補正された静電容量の情報を出力する。
【0049】
例えば,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の値をCi org とし,静電容量オフセット情報に保持された静電容量検知部3−iに対応するオフセット用の静電容量値をCi offsetとする。このとき,静電容量補正計算部15は,以下の式(2)を用いて,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の補正計算を行う。
【0050】
i cal =Ci org −Ci offset ・・・(2)
式(2)において,補正後の静電容量の値Ci cal が,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の値から,ユーザの情報処理装置1の使用状態による影響を取り除いたものとなる。
【0051】
図7は,本実施の形態の接触状態情報記憶部に記憶された接触状態情報の例を示す図である。
【0052】
図7に示す接触状態データは,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態情報の一例である。図7に示す接触状態データは,接触検知部ID,接触状態の情報を持つ。
【0053】
図7に示す接触状態データにおける接触検知部IDは,情報処理装置1が備える各接触検知部2を一意に識別する識別情報である。図7に示す接触状態データにおいて,“#01”は接触検知部2−1の接触検知部IDを示し,“#02”は接触検知部2−2の接触検知部IDを示し,“#03”は接触検知部2−3の接触検知部IDを示し,“#04”は接触検知部2−4の接触検知部IDを示す。
【0054】
図7に示す接触状態データにおける接触状態は,ある時点で各接触検知部2により検知された接触状態を示す。図7に示すように,本実施の形態では,接触状態が“検知”と“非検知”の2値となっている。“検知”は,該当する接触検知部2により,何らかの物体の接触が検知されたことを示す。“非検知”は,該当する接触検知部2により,何も接触が検知されなかったことを示す。
【0055】
接触状態データに記録される接触状態は,2値でなくてもよい。例えば,接触検知部2が感圧センサによって実現されている場合に,接触状態データに記録される接触状態が,接触検知部2の感圧センサにより検知された圧力値であってもよい。このとき,例えば,接触状態変化判定部11は,接触検知部2から取得された接触情報から得られる感圧値と,接触状態データに記録された感圧値とを比較し,感圧値に所定の閾値以上の変化があった場合に,情報処理装置1の接触状態に変化があると判定する。
【0056】
図8は,本実施の形態の静電容量オフセット情報記憶部に記憶された静電容量オフセット情報の例を示す図である。
【0057】
図8に示す静電容量オフセットデータは,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセット情報の一例である。図8に示す静電容量オフセットデータは,静電容量検知部ID,オフセット用静電容量値の情報を持つ。
【0058】
図8に示す静電容量オフセットデータにおける静電容量検知部IDは,情報処理装置1が備える各静電容量検知部3を一意に識別する識別情報である。図8に示す静電容量オフセットデータにおいて,“#01”は静電容量検知部3−1の静電容量検知部IDを示し,“#02”は静電容量検知部3−2の静電容量検知部IDを示し,“#03”は静電容量検知部3−3の静電容量検知部IDを示し,“#04”は静電容量検知部3−4の静電容量検知部IDを示す。
【0059】
図8に示す静電容量オフセットデータにおけるオフセット用静電容量値は,静電容量補正計算部15において静電容量検知部3により検知された静電容量の値Ci org (i=1,2,3,4)を補正するオフセット用の静電容量値Ci offset(i=1,2,3,4)である。図8に示す静電容量オフセットデータにおいて,α1 ,α2 ,α3 ,α4 は,それぞれ情報処理装置1の接触状態が変化したときに,静電容量検知部3−1,静電容量検知部3−2,静電容量検知部3−3,静電容量検知部3−4により検知された静電容量の値である。
【0060】
例えば,ある時点で,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態情報が,図7に示す接触状態データであるものとする。また,このときの静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセット情報が,図8に示す静電容量オフセットデータであるものとする。
【0061】
まず,接触状態変化判定部11は,接触検知部2−1,接触検知部2−2,接触検知部2−3,接触検知部2−4から,接触状態の検知結果がそれぞれ“非検知”,“検知”,“検知”,“非検知”である接触情報を取得する。このとき,接触状態変化判定部11は,各接触検知部2から得られた接触状態と,接触状態情報記憶部12に記憶された図7に示す接触状態データとの比較により,情報処理装置1の接触状態が変化していないと判定する。この場合には,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された図8に示す静電容量オフセットデータは,更新されない。
【0062】
その後,接触状態変化判定部11は,接触検知部2−1,接触検知部2−2,接触検知部2−3,接触検知部2−4から,接触状態の検知結果がそれぞれ“非検知”,“検知”,“非検知”,“検知”である接触情報を取得する。接触状態変化判定部11は,各接触検知部2から得られた接触状態と,接触状態情報記憶部12に記憶された図7に示す接触状態データとの比較により,情報処理装置1の接触状態が変化したと判定する。
【0063】
このとき,接触状態変化判定部11は,接触状態変化情報を静電容量補正制御部13に送る。また,接触状態変化判定部11は,接触状態情報記憶部12に記憶された図7に示す接触状態データを,各接触検知部2から取得した接触情報で更新する。接触状態情報記憶部12に記憶された図7に示す接触状態データにおける接触状態の情報が,上から順に“非検知”,“検知”,“非検知”,“検知”に書き換えられる。
【0064】
接触状態変化判定部11から接触状態変化情報を受けた静電容量補正制御部13は,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された図8に示す静電容量オフセットデータを,各静電容量検知部3から取得した静電容量情報で更新する。ここでは,静電容量検知部3−1,静電容量検知部3−2,静電容量検知部3−3,静電容量検知部3−4から,静電容量の検知結果がそれぞれβ1 ,β2 ,β3 ,β4 である静電容量情報を取得する。静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された図8に示す静電容量オフセットデータにおけるオフセット用静電容量値の情報が,上から順にβ1 ,β2 ,β3 ,β4 に書き換えられる。
【0065】
図9は,本実施の形態1の静電容量補正部による静電容量オフセットデータ更新処理フローチャートである。
【0066】
情報処理装置1の電源がONされ(ステップS10),接触検知部2,静電容量検知部3による検知が開始される(ステップS11)。
【0067】
情報処理装置1の電源ON時に,静電容量補正部10の接触状態変化判定部11は,各接触検知部2から接触情報を取得する(ステップS12)。接触状態変化判定部11は,取得された接触情報から得られる接触状態を,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態データに保持する(ステップS13)。ここで保持された接触状態データが,初期の接触状態データである。
【0068】
また,情報処理装置1の電源ON時に,静電容量補正部10の静電容量補正制御部13は,静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS14)。静電容量補正制御部13は,取得された静電容量情報から得られる静電容量の値を,オフセット用の静電容量値として,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセットデータに保持する(ステップS15)。ここで保持された静電容量オフセットデータが,初期の静電容量オフセットデータである。
【0069】
情報処理装置1の稼動中に,静電容量補正部10は,以下のステップS16〜ステップS20の処理を繰り返す。
【0070】
接触状態変化判定部11は,各接触検知部2から接触情報を取得する(ステップS16)。接触状態変化判定部11は,取得された接触情報と接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態データとを比較し,情報処理装置1の接触状態が変化したかを判定する(ステップS17)。
【0071】
接触状態が変化していなければ(ステップS17のNO),ステップS16に戻り,接触状態変化判定部11は,次に各接触検知部2から取得される接触情報の処理に移る。
【0072】
接触状態が変化していれば(ステップS17のYES),接触状態変化判定部11は,接触状態情報記憶部12に記憶された接触状態データを,各接触検知部2から取得された接触情報で更新する(ステップS18)。また,静電容量補正制御部13は,各静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS19)。静電容量補正制御部13は,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセットデータを,各静電容量検知部3から取得された静電容量情報で更新する(ステップS20)。ステップS16に戻り,接触状態変化判定部11は,次に各接触検知部2から取得される接触情報の処理に移る。
【0073】
図10は,本実施の形態1の静電容量補正部による静電容量補正処理フローチャートである。
【0074】
図10に示す静電容量補正処理は,図9に示す静電容量オフセットデータ更新処理と並行に実行される。情報処理装置1の稼動中に,静電容量補正部10の静電容量補正計算部15は,以下のステップS30〜ステップS33の処理を繰り返す。
【0075】
静電容量検知部3による静電容量の検知が開始されると,静電容量補正計算部15は,静電容量補正制御部13を介して,各静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS30)。また,静電容量補正計算部15は,静電容量オフセット情報記憶部14に記憶された静電容量オフセットデータから,オフセット用の静電容量値を取得する(ステップS31)。
【0076】
静電容量補正計算部15は,取得されたオフセット用の静電容量値を用いて,各静電容量検知部3により検知された静電容量の補正計算を行う(ステップS32)。ここでは,例えば,静電容量補正計算部15は,上記の式(2)による補正計算を行う。静電容量補正計算部15は,補正された静電容量の情報を出力する(ステップS33)。
【0077】
ステップS30に戻り,静電容量補正計算部15は,次に各静電容量検知部3から取得される静電容量情報の処理に移る。
【0078】
本実施の形態1の静電容量補正部10では,情報処理装置1の接触状態の変化に応じて,静電容量検知部3により検知された静電容量を補正するオフセット用の静電容量のデータを更新する。これにより,ユーザによる情報処理装置1の使用状態が変化するような状況でも,安定した精度の高い静電容量の検知が可能となる。
【0079】
〔実施の形態2〕
図11は,本実施の形態2による静電容量補正部の機能構成の例を示す図である。
【0080】
本実施の形態2では,図4に示す情報処理装置1が,図11に示す静電容量補正部20を備える。静電容量補正部20は,ユーザによる情報処理装置1の使用状態に応じて,各静電容量検知部3により検知された静電容量の補正を行う。
【0081】
本実施の形態2による静電容量補正部20は,接触検知部2により検知された接触状態が変化した場合に,オフセット用の静電容量を更新する部分に関しては,上述の実施の形態1と同様である。本実施の形態2による静電容量補正部20は,さらに,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの実行時にのみ,静電容量検知部3により検知された静電容量の補正を行う。また,本実施の形態2による静電容量補正部20は,さらに,静電容量検知部3により検知された静電容量に対して,情報処理装置1を使用するユーザごとの感度補正を行う。
【0082】
本実施の形態2による静電容量補正部20は,接触状態変化判定部21,接触状態情報記憶部22,静電容量補正制御部23,静電容量オフセット情報記憶部24,静電容量補正計算部25,アプリケーション動作判定部26,ユーザ情報取得部27,感度補正情報記憶部28を備える。静電容量補正部20および静電容量補正部20が備える各機能部は,図5に示す情報処理装置1のコンピュータ100が備えるCPU101,メモリ102等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現される。
【0083】
静電容量補正部20において,接触状態情報記憶部22,静電容量オフセット情報記憶部24については,上述の実施の形態1の静電容量補正部10における接触状態情報記憶部12,静電容量オフセット情報記憶部14と同じであるので,説明を省略する。静電容量補正部20において,接触状態変化判定部21,静電容量補正制御部23については,原則として,上述の実施の形態1の静電容量補正部10における接触状態変化判定部11,静電容量補正制御部13と同様である。ここでは,接触状態変化判定部21,静電容量補正制御部23について,上述の実施の形態1と異なる部分のみを説明する。
【0084】
アプリケーション動作判定部26は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの動作を判定する。アプリケーション動作判定部26は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが起動したと判定されれば,その旨を接触状態変化判定部21,静電容量補正制御部23に通知する。また,アプリケーション動作判定部26は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが終了したと判定されれば,その旨を接触状態変化判定部21,静電容量補正制御部23に通知する。
【0085】
本実施の形態2の接触状態変化判定部21は,接触検知制御部210を備える。接触検知制御部210は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが起動したときに,各接触検知部2に接触状態の検知を開始させる制御信号を送る。また,接触検知制御部210は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが終了したときに,各接触検知部2に接触状態の検知を終了させる制御信号を送る。
【0086】
本実施の形態2の静電容量補正制御部23は,静電容量検知制御部230を備える。静電容量検知制御部230は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが起動したときに,各静電容量検知部3に静電容量の検知を開始させる制御信号を送る。また,静電容量検知制御部230は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが終了したときに,各静電容量検知部3に静電容量の検知を終了させる制御信号を送る。
【0087】
このように,本実施の形態2の静電容量補正部20では,アプリケーション動作判定部26,接触検知制御部210,静電容量検知制御部230によって,アプリケーションの動作に応じて,接触検知部2,静電容量検知部3のON/OFFを制御する。これにより,静電容量検知部3を利用するアプリケーションの稼動時にのみ,接触検知部2,静電容量検知部3が動作するので,情報処理装置1の省電力化を図ることができる。
【0088】
ユーザ情報取得部27は,情報処理装置1を使用しているユーザを特定する情報を取得する。本実施の形態2では,例えば,情報処理装置1の起動時や静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの起動時などに行われるユーザ認証により,情報処理装置1を使用しているユーザの特定が行われる。ユーザ情報取得部27は,取得されたユーザの情報を静電容量補正計算部25に送る。
【0089】
感度補正情報記憶部28は,感度補正情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。感度補正情報は,情報処理装置1を利用するユーザごとに設定された感度補正値が記録された情報である。
【0090】
人はそれぞれ誘電率などが異なるため,同じ情報処理装置1を使用しても,静電容量検知部3が検知する静電容量の感度は,ユーザごとに異なる。本実施の形態2では,ユーザごとの適切な静電容量を得るために,ユーザごとに静電容量検知の感度を補正する。感度補正情報に記録されるユーザごとの感度補正値としては,例えば,ユーザごとに感度補正値を変えながら情報処理装置1を用いた複数回のキャリブレーションを行い,最も良好な静電容量検知の感度が得られた感度補正値が採用される。
【0091】
静電容量補正計算部25は,静電容量補正制御部23を介して各静電容量検知部3から取得した静電容量情報を,静電容量オフセット情報記憶部24に記憶された静電容量オフセット情報と,感度補正情報記憶部28に記憶された感度補正情報とを用いて補正する。静電容量補正計算部25は,補正された静電容量の情報を出力する。なお,静電容量補正計算部25は,ユーザ情報取得部27から受けたユーザ情報で感度補正情報記憶部28に記憶された感度補正情報を参照することにより,該当ユーザの感度補正値を取得する。
【0092】
例えば,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の値をCi org とし,静電容量オフセット情報に保持された静電容量検知部3−iに対応するオフセット用の静電容量値をCi offsetとする。また,感度補正情報に記録されたユーザxさんの感度補正値をDx とする。このとき,静電容量補正計算部25は,以下の式(3)を用いて,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の補正計算を行う。
【0093】
i cal =Dx ・(Ci org −Ci offset) ・・・(3)
式(3)において,補正後の静電容量の値Ci cal が,静電容量検知部3−iにより検知された静電容量の値から,ユーザの情報処理装置1の使用状態による影響を取り除いたものとなる。
【0094】
このように,本実施の形態2の静電容量補正部20では,ユーザ情報取得部27,感度補正情報記憶部28,静電容量補正計算部25によって,ユーザごとの静電容量検知部3による静電容量検知の感度の違いを補正することができる。これにより,複数のユーザで情報処理装置1を利用するような場合でも,それぞれのユーザに合わせて安定した精度の高い静電容量の検知が可能となる。
【0095】
図12は,本実施の形態の感度補正情報記憶部に記憶された感度補正情報の例を示す図である。
【0096】
図12に示す感度補正データは,感度補正情報記憶部28に記憶された感度補正情報の一例である。図12に示す感度補正データは,ユーザ名,感度補正値の情報を持つ。
【0097】
図12に示す感度補正データにおけるユーザ名は,情報処理装置1を利用するユーザとして,あらかじめ登録されているユーザの名称である。図12に示す感度補正データにおける感度補正値は,静電容量検知部3が検知する静電容量の,ユーザごとの感度の違いを補正するための補正値Dx である。
【0098】
図13は,本実施の形態2の静電容量補正部による静電容量オフセットデータ更新処理フローチャートである。
【0099】
情報処理装置1において,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが起動する(ステップS40)。このとき,静電容量補正部20のアプリケーション動作判定部26が,アプリケーションの起動を検知する。接触検知制御部210は,接触検知部2による接触状態検知開始の制御を行う(ステップS41)。また,静電容量検知制御部230は,静電容量検知部3による静電容量検知開始の制御を行う(ステップS42)。
【0100】
静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの起動時に,静電容量補正部20の接触状態変化判定部21は,各接触検知部2から接触情報を取得する(ステップS43)。接触状態変化判定部21は,取得された接触情報から得られる接触状態を,接触状態情報記憶部22に記憶された接触状態データに保持する(ステップS44)。ここで保持された接触状態データが,初期の接触状態データである。
【0101】
また,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの起動時に,静電容量補正部20の静電容量補正制御部23は,静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS45)。静電容量補正制御部23は,取得された静電容量情報から得られる静電容量の値を,オフセット用の静電容量値として,静電容量オフセット情報記憶部24に記憶された静電容量オフセットデータに保持する(ステップS46)。ここで保持された静電容量オフセットデータが,初期の静電容量オフセットデータである。
【0102】
静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの稼動中に,静電容量補正部20は,以下のステップS47〜ステップS52の処理を繰り返す。
【0103】
接触状態変化判定部21は,各接触検知部2から接触情報を取得する(ステップS47)。接触状態変化判定部21は,取得された接触情報と接触状態情報記憶部22に記憶された接触状態データとを比較し,情報処理装置1の接触状態が変化したかを判定する(ステップS48)。
【0104】
接触状態が変化していなければ(ステップS48のNO),ステップS47に戻り,接触状態変化判定部21は,次に各接触検知部2から取得される接触情報の処理に移る。
【0105】
接触状態が変化していれば(ステップS48のYES),接触状態変化判定部21は,接触状態情報記憶部22に記憶された接触状態データを,各接触検知部2から取得された接触情報で更新する(ステップS49)。また,静電容量補正制御部23は,各静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS50)。静電容量補正制御部23は,静電容量オフセット情報記憶部24に記憶された静電容量オフセットデータを,各静電容量検知部3から取得された静電容量情報で更新する(ステップS51)。アプリケーション動作判定部26は,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションがまだ稼働中であるかを判定する(ステップS52)。
【0106】
アプリケーションが稼働中であれば(ステップS52のYES),ステップS47に戻り,接触状態変化判定部21は,次に各接触検知部2から取得される接触情報の処理に移る。
【0107】
アプリケーションが稼働中でなければ(ステップS52のNO),すなわちアプリケーションが終了していれば,接触検知制御部210は,接触検知部2による接触状態検知終了の制御を行う(ステップS53)。また,静電容量検知制御部230は,静電容量検知部3による静電容量検知終了の制御を行う(ステップS54)。
【0108】
図14は,本実施の形態2の静電容量補正部による静電容量補正処理フローチャートである。
【0109】
図14に示す静電容量補正処理は,図13に示す静電容量オフセットデータ更新処理と並行に実行される。
【0110】
情報処理装置1において,静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションが起動すると,ユーザ情報取得部27は,情報処理装置1を利用しているユーザを特定する情報を取得する(ステップS60)。静電容量補正計算部25は,感度補正情報記憶部28に記憶された感度補正データから,情報処理装置1を利用しているユーザの感度補正値を取得する(ステップS61)。
【0111】
静電容量検知部3を利用する特定のアプリケーションの稼動中に,静電容量補正部20の静電容量補正計算部25は,以下のステップS62〜ステップS65の処理を繰り返す。
【0112】
静電容量検知部3による静電容量の検知が開始されると,静電容量補正計算部25は,静電容量補正制御部23を介して,各静電容量検知部3から静電容量情報を取得する(ステップS62)。また,静電容量補正計算部25は,静電容量オフセット情報記憶部24に記憶された静電容量オフセットデータから,オフセット用の静電容量値を取得する(ステップS63)。
【0113】
静電容量補正計算部25は,取得されたオフセット用の静電容量値と,取得された感度補正値とを用いて,各静電容量検知部3により検知された静電容量の補正計算を行う(ステップS64)。ここでは,例えば,静電容量補正計算部25は,上記の式(3)による補正計算を行う。静電容量補正計算部25は,補正された静電容量の情報を出力する(ステップS65)。
【0114】
ステップS62に戻り,静電容量補正計算部25は,次に各静電容量検知部3から取得される静電容量情報の処理に移る。
【0115】
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
【0116】
例えば,本実施の形態では,非接触型の高感度な静電容量センサにより検知された静電容量を補正する例について説明したが,本実施の形態の技術は,接触型の静電容量センサにより検知された静電容量を補正するケースにも適用可能である。
【0117】
また,本実施の形態では,携帯端末型の情報処理装置についての例を説明したが,本実施の形態の技術は,据え置き型の情報処理装置にも適用可能である。据え置き型の情報処理装置でも,片方の手で装置を抑えてもう片方の手で操作を行う場合などに,ユーザの情報処理装置に対する接触状態が変化する可能性が十分にある。
【符号の説明】
【0118】
1 情報処理装置
2 接触検知部
3 静電容量検知部
4 タッチパネル
10,20 静電容量補正部
11,21 接触状態変化判定部
210 接触検知制御部
12,22 接触状態情報記憶部
13,23 静電容量補正制御部
230 静電容量検知制御部
14,24 静電容量オフセット情報記憶部
15,25 静電容量補正計算部
26 アプリケーション動作判定部
27 ユーザ情報取得部
28 感度補正情報記憶部
100 コンピュータ
101 CPU
102 メモリ
103 入出力インタフェース
104 記憶装置
105 入力装置
106 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触を検知する接触検知部と,
静電容量を検知する静電容量検知部と,
オフセット用の静電容量の情報を記憶する静電容量オフセット情報記憶部と,
前記接触検知部から接触状態を示す情報を取得し,前記接触検知部により検知される接触状態の変化を判定する接触状態変化判定部と,
前記接触状態変化判定部により前記接触状態が変化したと判定されたときに,前記静電容量検知部から静電容量の情報を取得し,取得された静電容量の情報で,前記静電容量オフセット情報記憶部に記憶された前記オフセット用の静電容量の情報を更新する静電容量補正制御部と,
前記静電容量検知部から静電容量の情報を取得し,取得された静電容量の情報を,前記静電容量オフセット情報記憶部に記憶された前記オフセット用の静電容量の情報を用いて補正する静電容量補正計算部とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
特定のアプリケーションの動作を判定するアプリケーション動作判定部と,
前記特定のアプリケーションの動作が終了したときに,前記接触検知部による検知を終了させる接触検知制御部と,
前記特定のアプリケーションの動作が終了したときに,前記静電容量検知部による検知を終了させる静電容量検知制御部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザごとに設定された感度補正の情報を記憶する感度補正情報記憶部と,
前記情報処理装置を利用しているユーザを特定する情報を取得するユーザ情報取得部とをさらに備え,
前記静電容量補正計算部は,前記感度補正情報記憶部から前記情報処理装置を利用しているユーザの感度補正の情報を取得し,前記静電容量検知部から取得された静電容量の情報を,前記静電容量オフセット情報記憶部に記憶された前記オフセット用の静電容量の情報と,取得された前記感度補正の情報とを用いて補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−198041(P2011−198041A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64165(P2010−64165)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】