説明

情報処理装置

【課題】状況に応じて、好適にポインティング操作入力を行えるようにすると共に意図しないタップ動作入力を抑制することのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】キーボードと、タッチパッドと、キーボード及びタッチパッドが配置される筐体と、タッチパッドでのカーソルの移動状態を検出する第1の検出手段と、アクティブなアプリケーションを検出する第2の検出手段と、移動状態及びアプリケーションに応じて、タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を換える制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型PC等のタッチパッド及びキーボードが同一面上に配置された情報処理装置が広く普及している。かかる情報処理装置では、左右のパームレストに掌を乗せてキーボードへのキー入力を行うと共に、両パームレスト間に、ポインタ操作を行うためのタッチパッドが配置されることが多い。
【0003】
このような場合、キーボードでのキー入力時に誤って掌が前記タッチパッドに触れてしまい、タッチパッドで意図しないタップ動作が入力されてしまうことがある。
特許文献1には、キーボードの操作中に誤って操作面に触れてしまった場合にも、ユーザの作業に支障を来たすことのないようにする座標入力装置が開示されている。特許文献1記載の手法では、ユーザがキーボードからキー入力を行うと、パッド等の操作状態を報告しないように指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−078850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の手法では、キー操作入力時には全くパッドからの入力を受け付けないため、状況に応じてタップ動作の入力やポインタ操作の入力を受けることができない。
【0006】
そこで本発明は、状況に応じて、好適にポインティング操作入力を行えるようにすると共に意図しないタップ動作入力を抑制することのできる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、キーボードと、タッチパッドと、前記キーボード及び前記タッチパッドが同一面上に配置される筐体と、前記タッチパッドでのカーソルの移動状態を検出する第1の検出手段と、アクティブなアプリケーションを検出する第2の検出手段と、前記移動状態及び前記アプリケーションに応じて、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を換える制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、状況に応じて、好適にポインティング操作入力を行えるようにすると共に意図しないタップ動作入力を抑制することのできる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のインプットデバイスユーティリティの構成を示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が有する種別テーブルの例を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す図。
【図6】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置の本体の上壁側を示す図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の情報処理装置は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ1(以下、ノートPC1とも称する)から実現されている。図1は、ノートPC1のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本ノートPC1は、本体2と表示ユニット3とを備えている。
【0011】
本体2は、筐体4を有する。本体2は、更にキーボード5と、ポインティングデバイスであるタッチパッド6と、ボタン7a、7bとを備える。筐体4は、上壁4a、周壁4b、および下壁4cを備え、箱状に形成されている。上壁4aは、上方に臨むとともに、キーボード5が取り付けられるキーボード載置部8が設けられている。下壁4cは、このポータブルコンピュータが置かれる載置面に対向する。載置面の一例は、机上である。周壁4bは、前壁4ba、後壁4bb、及び左右の側壁4bc、4bdを含む。
【0012】
筐体4は、周壁4b、上壁4a、下壁4cにより、収容空間を形成する。この収容空間には、後述するCPU101やメモリ103等が収容される。
図1に示すように、表示ユニット3は、ディスプレイハウジング11と、このディスプレイハウジング11に収容された、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)から構成される表示装置12とを備えている。表示装置12は、表示画面12aを有する。表示画面12aは、ディスプレイハウジング11の前面の開口部11aを通じてディスプレイハウジング11の外部に露出している。
【0013】
表示ユニット3は、筐体4の後端部に一対のヒンジ部13a、13bを介して支持されている。そのため、表示ユニット3は、上壁4aを上方から覆うように倒される閉塞位置と、上壁4aを露出させるように起立する開放位置との間で回動可能である。
【0014】
筐体4は、フロント部21、中央部22、およびバック部23を有する。フロント部21は、ユーザに対して中央部22よりも前方に設けられ、筐体4の中でユーザに対して最前部となる部位である。一方、バック部23は、ユーザに対して中央部22よりも後方に設けられ、筐体4の中でユーザに対して最後部となる部位である。
【0015】
フロント部21及びバック部23の定義は種々可能であるが、ここでは、例えばキーボード5が取り付けられる部位を中央部22、キーボード5よりも前方に位置すると共に、パームレスト24a、24b及びタッチパッド6が設けられた領域をフロント部21、キーボード5よりも後方に位置する部位をバック部23とする。尚本実施形態では、ノートPC1を起点として、ユーザに対して近づく方向を前方、ユーザに対して遠ざかる方向を後方と定義する。
【0016】
パームレスト24a、24bは、前述の通りキーボード5よりも前方に設けられ、例えばキーボード5を使うときにユーザが掌を載せることが多い。パームレスト24a、24bは、ノートPC1の中でユーザが最も触れる部位の1つである。尚、パームレスト24aは前方から見て左側のパームレスト、パームレスト24bは前方から見て右側のパームレストである。
【0017】
タッチパッド6は、キーボード5よりも前方であって、パームレスト24a及びパームレスト24bの間に設けられる。また、ボタン7a、7bは、タッチパッド6よりも更に前方であって、パームレスト24a及びパームレスト24bの間に設けられるボタンである。ボタン7aは前方から見て左側のボタン、ボタン7bは前方から見て右側のボタンである。
【0018】
次に、図2を参照して、本ノートPC1のシステム構成について説明する。
本ノートPC1は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM111、LANコントローラ112、ハードディスクドライブ(HDD)113、DVDドライブ114、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)115、キーボード5、タッチパッド6、ボタン7を備えている。
【0019】
CPU101は本ノートPC1の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)113から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)200、インプットデバイスユーティリティ201、文章作成アプリケーション202等の各種アプリケーションプログラムを実行する。
【0020】
インプットデバイスユーティリティ11は、タッチパッド120からのポインティング操作(カーソル移動を行うための操作)及びタップ動作、ボタン121からのボタン操作、キーボード122からのキー入力等の、各種操作入力に係る制御を司るためのプログラムである。このプログラムは、後述の通り、アクティブなアプリケーションプロググラム、タッチパッド120へのポインティング入力(カーソル移動を伴う入力)、キーボード122へのキー入力状態に応じて、タッチパッド120へのタップ動作に対する制御を行う。
【0021】
また、CPU101は、BIOS−ROM111に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0022】
ノースブリッジ102はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI Express規格のシリアルバス等を介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0023】
GPU105は、本ノートPC1のディスプレイモニタとして使用されるLCD106を制御する表示コントローラであるこの。GPU105によって生成される表示信号LCD106に送られる。また、GPU105は、図示しないHDMI端子からデジタル映像信号を送出することもできる。
【0024】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)113及びDVDドライブ114を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ109との通信を実行する機能も有している。サウンドコントローラ109は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ110に出力する。
【0025】
LANコントローラ112は、例えばIEEE802.3規格の通信を実行する通信デバイスである。
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)115は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)5及びタッチパッド6、ボタン7(ボタン7a及びボタン7bを総称してボタン7とする)を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このEC/KBC115は、ユーザによるパワーボタンの操作に応じて本ノートPC1をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0026】
タッチパッド6は、ノートPCのポインティングデバイスであり、指で触れると位置情報を取得することができ、ポインタ(マウスカーソル)の移動などが可能である。また、タッチパッド6を叩くことでポインタのクリックに相当する操作が可能であり、この操作をタップ操作と呼ぶ。タッチパッド6が位置情報を得る手段としては、静電容量方式や感圧方式等がある。
【0027】
次に、図3を参照しながらインプットデバイスユーティリティ201の構成について説明する。インプットデバイスユーティリティ201は、キーボード監視部41と、時間計測部42と、アプリケーション監視部43と、タイピング動作推定部44と、タップ動作決定部45とから構成される。
【0028】
キーボード5から入力されたキー入力は、各キーに対応するキー入力信号として、アクティブなアプリケーション40へ渡されると共に、キーボード監視部41へも渡される。時間計測部42は、例えばタイマー等であり、キーボード監視部41は、時間計測部42が計測する時間、及びキーボード5からの複数回のキー入力から、打鍵間隔(キー入力の時間間隔)、又は単位時間辺りのキー入力回数を検出する。
【0029】
アプリケーション監視部43は、現在アクティブなアプリケーション40が何かを、検出する。このアクティブなアプリケーション40の検出は、例えばOS200に問合せることにより確認することが可能である。
【0030】
また、アプリケーション監視部43は、アクティブなアプリケーション40が文章作成を行うアプリケーションであるか否かを判別する。このとき、例えば図4に示すような、文章作成を行うアプリケーションであるか否かの種別判別のための種別テーブルを参照することが出来る。
【0031】
図4は、文章作成を行うアプリケーションであるか否かの、種別を判別するための種別テーブルの例を示す図である。図4のテーブルの例では、アクティブなアプリケーション40が文章作成ツール及び表作成ツールである場合には、文章作成を行うアプリケーションであり、アクティブなアプリケーション40がデザインツール及びWEBブラウザである場合には、文章作成でないことを示す。
【0032】
尚、アプリケーションはユーザが自由にインストールすることができるため、対応表を更新する手段が必要である。更新する手段としては、ユーザが登録する方法や、ネットワークから対応表を得て更新する方法等が考えられる。
【0033】
タイピング動作推定部44は、キーボード監視部41で検出する打鍵間隔又は単位時間辺りのキー入力回数と、アプリケーション監視部43から通知される、アクティブなアプリケーション40の種別に応じて、現在、キーボード5へのタイピング状態であるのか否かを判別する。より具体的には、打鍵間隔が一定の閾値以下であるか、他印に時間当たりのキー入力回数が閾値以上であるか等であって、且つ、アクティブなアプリケーション40が文章作成を行うアプリケーションである場合に、タイピング動作推定部44は、現在タイピング状態であると判別する。具体的な判別の手順は、図6を参照しながら後述する。
【0034】
またこの他、アクティブなアプリケーションの情報と、打鍵間隔に適切な重み付けを行って合計し、この値が閾値を超えているか否かによってタイピング状態であるか否かを推定するようにしても良い。
【0035】
タップ動作決定部45は、タッチパッド6からタップ操作が入力された際に、タイピング動作推定部44からのタイピング状態であるか否かの判別結果に応じて、該タップ操作に伴う操作入力信号を、アクティブなアプリケーション40へ渡すか否かを決定する。タイピング状態である場合には、タップ操作の入力はユーザの意図しないものであると考えられるので、アプリケーション40へは渡さない。一方、タイピング状態でない場合には、ユーザが意図して入力したタップ操作であると考えられるので、該タップ操作に伴う操作入力信号をアプリケーション40へ渡す。
【0036】
続いて、図5、6を参照しながら、インプットデバイスユーティリティ201の処理の流れについて説明する。図5は、タップ動作に伴う処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
まず、タッチパッド6からタップ動作が入力されると(S501)、タイピング動作推定部44は、タイピング動作中であるか否かを判定する(S502)。このタイピング動作中であるか否かのタイピング状態の判定処理については、図6を参照しながら後述する。
【0038】
タイピング動作中でない場合には(S503のNo)、タップ動作決定部45は通常のタップ動作であるものと判断し、タッチパッド6から入力されたタップ操作に応じたタップ操作入力信号を、アクティブなアプリケーション40へ出力する(S505)。
【0039】
タイピング動作中であると判別された場合(S503のYes)、タッチパッド6から入力されたポインタの移動量が閾値以上であるか否かをタップ動作決定部45は判別する(S504)。ポインタの移動量が所定の閾値以上の場合には(S504のYes)、タッチパッド6への入力中であると判断できるので、入力されたのはタップ動作であるものとした制御を行う(S505)。より具体的には、タッチパッド6から入力されたタップ操作に応じたタップ操作入力信号を、アクティブなアプリケーション40へ出力する。
【0040】
S504において、ポインタの移動量が閾値以下である場合には(S504のNo)、ユーザによるタッチパッド6に対するタップ動作はユーザの意図しないものであると判断できるので、一定時間、タップ動作に対する制御を抑制する(S506)。より具体的には、タッチパッド6から入力されたタップ操作に応じたタップ操作入力信号のアクティブなアプリケーション40への出力を一定時間抑制して、出力しないようにする。
【0041】
尚、タップ動作に対する抑制方法としては、タッチパッド6へ入力されるタップ動作の感度を下げる等の方法でも良い。
S505、S506でのタップ動作45の処理決定後、処理を終了するか否かを判別し(S507)、処理を継続する場合にはS501へ戻る。
続いて、図5のS502に対応する、タイピング状態の判定処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、タイピング状態の判定処理を示す図である。
まず、アプリケーション監視部43は、アクティブなアプリケーション40が何であるかを判別すべく、アプリケーション40の名称を取得する(S601)。図4に例示した種別テーブルを参照して、取得した名称のアプリケーションが文章作成用であるか否かを判別する(S602)。文章作成用のアプリケーションではない場合には(S602のNo)、非タイピング中であると判別することができる(S606)。尚ここで、アプリケーション監視部43は、アクティブなアプリケーション40の名称が種別テーブルにない場合にも、文章作成用のアプリケーションではないものと判断する。
【0042】
アクティブなアプリケーション40が文章作成用のアプリである場合には(S602のYes)、時間計測部42での時間計測により、キーボード5の打鍵間隔の取得を行う(S603)。打鍵間隔が閾値よりも短い場合には(S604のYes)タイピング中であるものと判定し(S605)、打鍵間隔が閾値よりも長い場合には、タイピング中ではないものと判定する(S606)。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、アクティブなアプリケーション40、タッチパッド6へのポインティングの移動量(ポインタ移動の移動量)、及びキーボード5からのキー入力状態に応じて、タッチパッド6からのタップ操作の入力に対する制御を行うので、ユーザが意図しないポインタ動作を抑制することができる。また、タイピング操作中ではない場合には、従来通り、必要なタップ操作入力を行うことができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るノートPCについて説明する。本実施形態では、タイピング動作中であるか否かの推定に、キーボード5からの打鍵間隔や単位時間辺りの打鍵数ではなく、光センサを使用する点で第1の実施形態と異なる。
【0045】
尚、以下、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同一の符号を付して説明する。尚、第1の実施形態と同様の場合には、必要に応じて説明を省略する。
【0046】
図7は、第1の実施形態のノートPC1の本体2を上壁4a側から見た図である。上述の通り、第1の実施形態との違いは、光センサ71a〜71c、72が上壁4a上に設けられている点である。光センサ71a〜71cは、周囲の環境の光量(受光強度)を計測するセンサである。
【0047】
光センサ71aは、キーボード5よりも前方であって、パームレスト24aの後方部分に、光センサ71bは、キーボード5よりも前方であって、パームレスト24bの後方に設けられる。また、光センサ71cは、キーボード5よりも前方であって、タッチパッド6よりも後方の、フロント部21に設けられる。ユーザがキーボード5からキー入力を行うときには、パームレスト24a、42bに掌を載せることが多いので、キーボード5へのキー入力時には、一般に光センサ71a、71b、71c上を掌が覆うこととなるため、光センサ71a〜71cの受光強度は弱くなる。
【0048】
光センサ72は、キーボード5よりも後方の、バック部23に設けられる。キー入力中であっても掌が覆うことがないため、受光強度に大きな差は生じない。即ち、キー入力中であるか否かに関わらず、周囲の環境の光量を計測することが可能である。
【0049】
次に、図8を参照しながらインプットデバイスユーティリティ201の構成について説明する。インプットデバイスユーティリティ201は、センサ監視部35と、タイピング動作推定部44と、アプリケーション監視部43と、タップ動作決定部46とを有する。
【0050】
光センサ71a〜71c、72から入力された、受光強度により変わる受光量信号は、センサ監視部46へ入力される。センサ監視部46では、光センサ71a〜71cの受光強度と、光センサ72の受光強度との差異を監視する。尚ここで、受光強度の差を算出する差異に、光センサ71a〜71cの受光強度については、平均値を使用する。
【0051】
アプリケーション監視部43は、第1の実施形態と同様、現在アクティブなアプリケーション40が何かを監視/検出し、当該アクティブなアプリケーション40が文章作成を行うアプリケーションであるか否かを判別する。
【0052】
タイピング動作推定部44は、センサ監視部46で算出する受光強度の差と、アプリケーション監視部43から通知される、アクティブなアプリケーション40の種別に応じて、ユーザがキー入力中であるか否かを推定する。より具体的には、アクティブなアプリケーション40が文章入力のアプリケーションであって、受光強度の差が閾値以上である場合には、タイピング動作推定部44はタイピング動作中であるものと判別することができる。掌をパームレスト24a、24b上に載せてキー入力を行っている場合には、光センサ71a〜71cと、光センサ72との受光強度の差が大きくなると考えられるからである。具体的な判別の手順は、図9を参照しながら後述する。
【0053】
タップ動作決定部45は、タッチパッド6からタップ操作が入力された際に、タイピング動作推定部44からのタイピング中であるか否かの判別結果に応じて、該タップ操作に伴う操作入力信号を、アクティブなアプリケーション40へ渡すか否かを決定する。タイピング状態である場合には、タップ操作の入力はユーザの意図しないものであると考えられるので、アプリケーション40へは渡さない。一方、タイピング状態でない場合には、ユーザが意図して入力したタップ操作であると考えられるので、該タップ操作に伴う操作入力信号をアプリケーション40へ渡す。
【0054】
続いて、インプットデバイスユーティリティ201の処理の流れについて説明する。尚、タイピング状態の判定方法をのぞく、全体の処理の流れは第1の実施形態で図5を参照しながら説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0055】
インプットデバイスユーティリティ201のタイピング状態の判定方法について、図9を参照しながら説明する。
まず、アプリケーション監視部43は、アクティブなアプリケーション40が何であるかを判別すべく、アプリケーション40の名称を取得する(S901)。図4に例示した種別テーブルを参照して、取得した名称のアプリケーションが文章作成用のものであるか否かを判別する(S902)。文章作成用のアプリケーションではない場合には(S902のNo)、非タイピング中であると判別することができる(S906)。
【0056】
アクティブなアプリケーション40が文章作成用のアプリケーションである場合には(S902のYes)、センサ監視部43で光センサ71a〜72の受光強度を検出すると共に、光センサ71a〜71cと72との受光強度の差を検出する。受光強度の差が閾値以上である場合には、タイピング操作中であると判別し(S905)、閾値以下である場合にはタイピング操作中でないと判別することができる(S906)。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、アクティブなアプリケーション40、タッチパッド6へのポインティングの移動量、及び光センサ71a〜72で受光する受光強度に応じて、タッチパッド6からのタップ操作入力に対する制御を行うので、ユーザが意図しないポインタ動作を抑制することができる。また、タイピング操作中でない場合には、従来通り、必要なタップ操作入力を行うことができる。
【0058】
尚、本実施形態では光センサを用いてユーザの手の位置を推定しているがこれに限られるものではなく、例えば、カメラや感圧センサ等を用いてユーザの手の位置を推定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ノートPC
2・・・本体
3・・・表示ユニット
4・・・筐体
4a・・・上壁
4b・・・周壁
4c・・・下壁
5・・・キーボード
6・・・タッチパッド
7a、7b・・・ボタン
11・・・ディスプレイハウジング
12・・・表示装置
13a、13b・・・ヒンジ部
21・・・フロント部
22・・・中央部
23・・・バック部
24a、24b・・・パームレスト
40・・・アクティブなアプリケーション
41・・・キーボード監視部
42・・・時間計測部
43・・・アプリケーション監視部
44・・・タイピング動作推定部
45・・・タップ動作決定部
46・・・センサ監視部
71a、71b、71c、72・・・光センサ
101・・・CPU
102・・・ノースブリッジ
103・・・主メモリ
104・・・サウスブリッジ
105・・・グラフィクスプロセッシングユニット
106・・・サウンドコントローラ
111・・・BIOS−ROM
112・・・LANコントローラ
113・・・ハードディスクドライブ
114・・・DVDドライブ
115・・・エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC
200・・・オペレーティングシステム(OS)
201・・・インプットデバイスユーティリティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードと、
タッチパッドと、
前記キーボード及び前記タッチパッドが配置される筐体と、
前記タッチパッドでのカーソルの移動状態を検出する第1の検出手段と、
アクティブなアプリケーションを検出する第2の検出手段と、
前記移動状態及び前記アプリケーションに応じて、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を換える制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記カーソルの移動量が閾値を下回っている場合に、前記タップ操作入力に応じた処理を抑制すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記アクティブなアプリケーションが予め定められたアプリケーションである場合に、前記タップ操作入力に応じた処理を抑制すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記キーボードへの複数回の打鍵による打鍵状態を検出する第3の検出手段
を更に備え、前記制御手段は、前記打鍵状態に応じて、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を変えること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第3の検出手段は、単位時間辺りの打鍵回数又は打鍵間隔が閾値以上であるか否かを検出し、
前記制御手段は、前記単位時間辺りの打鍵回数が閾値以下である場合、又は前記打鍵間隔が閾値以上である場合に、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を抑制すること
を特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記面上に配置される光センサと、
前記光センサで検出される光量に応じて、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を変えること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記光センサを複数有し、該光センサで検出される光量の差に応じて、前記タッチパッドへのタップ操作入力に応じた処理を切り換えること
を特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の光センサのうち、少なくとも1つのセンサは、前記面上の、前記キーボードよりも前記タッチパッド側に配置されること
を特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記複数の光センサーのうち、少なくとも1つのセンサーは、前記面上の、前記キーボードを挟んで前記タッチパッドとは反対側に配置されること
を特徴とする請求項8記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−8586(P2011−8586A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152325(P2009−152325)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】