説明

情報収集システム、送信装置、受信装置、情報収集装置、及びプログラム

【課題】ネットワーク内で生じる擾乱がアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集すること。
【解決手段】送信装置C1は、同期された内部時刻で表わされた計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数を示す情報と、を送信する。計測装置D11〜D13は、パケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、を送信する。受信装置E1は、計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数を示す情報と、を送信する。情報収集装置A1は、計測装置D11〜D13から受信した情報に基づいて、計測時間での遅延パケットの数を算出する。情報収集装置A1は、算出したパケットの遅延量を示す情報及び計測時間と、送信装置C1及び受信装置E1から受信した情報と、を計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集システム、送信装置、受信装置、情報収集装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークとアプリケーションは独立したものとして扱われてきた。これは、ネットワークはアプリケーションのデータを素直に通せばそれでよいという考え方に基づくものである。このような考え方よるデータ転送技術として、特許文献1〜5の技術が知られている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、逐次入力されるパケットに対し、予め定めたヘッダ情報を有するパケットのパケット長を積算しておき、予め指定された時間間隔でその積算値を読み出して出力する測定装置について記載されている。
また、特許文献2には、取得した物理アドレス及び論理アドレスを用いてNTPメッセージを含むフレームを生成し、生成したフレームをNTPサーバに向けて送信するとともに、NTPサーバより受信したNTPメッセージを用いてNTPサーバに同期した時刻またはクロックに基づき、正確な時刻または同期クロックを必要とする装置または外部接続端末装置に対し、時刻同期情報または同期クロックを供給する同期時刻・クロック生成供給装置について記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、時刻要求パケットの送出の基本周期を発生し、基本周期からずらして時刻要求パケットを生成し、生成した時刻要求パケットを時刻サーバに送出する時刻同期方法について記載されている。
また、特許文献4には、基準時刻を発生する同期サーバに対して同期要求信号を送信し、同期サーバから当該同期要求信号の応答である同期応答信号を受信し、受信した当該同期応答信号に基づき基準時刻に同期した周波数または時刻を発生するクライアント装置について記載されている。
【0005】
また、特許文献5には、測定ポートへ被測定パケットが到着した時点の内部時刻及び当該被測定パケットの設定領域に対して計算したハッシュ値をバッファへ蓄積し、一定量もしくは一定時間毎に蓄積されたバッファ内容と自プローブ装置識別子とをパケット化してコレクタ装置へプローブパケットとして送出するプローブ装置と、プローブパケットを受信し、プローブパケット内に記述されているプローブ装置識別子とハッシュ値と到着時刻との組を蓄積し、この蓄積した情報を解析装置に送出するコレクタ装置と、コレクタ装置から送出された情報の解析を行う解析装置と、を備えるネットワーク解析システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−032714号公報
【特許文献2】特開2007−124029号公報
【特許文献3】特開2007−158425号公報
【特許文献4】特開2009−077207号公報
【特許文献5】特開2009−077205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、実時間性(リアルタイム性)を必要とする広帯域映像等を用いたCSCW(Computer Supported Cooperative Work)の実現、運用には、ネットワークと端末アプリケーションで実行される各処理の状態を同一時間軸で詳細に観測しなくてはその品質の担保、ネットワーク設計が困難であるという問題があった。
しかしながら、特許文献1〜5の技術では、ネットワーク内で生じるジッタ、パケットロス、ビット化け等の擾乱がアプリケーションに及ぼす影響を計測することができないという欠点があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ネットワーク内で生じる擾乱がアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる情報収集システム、送信装置、受信装置、情報収集装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明は、送信装置、受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置がネットワークで接続されたシステムにおいて、前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、前記送信装置は、前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信し、前記計測装置は、前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって自装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として情報収集装置に送信し、前記受信装置は、前記計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信し、前記情報収集装置は、前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成する遅延算出部と、前記送信装置及び前記受信装置から受信した計測情報と、前記遅延算出部が生成した計測情報とを、前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する時刻計測情報生成部と、を備えることを特徴とする情報収集システムである。
【0010】
また、本発明は、上記の情報収集システムにおいて、前記送信装置が受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、前記受信装置へ送信する情報の符号化処理で発生したエラーの発生回数であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の情報収集システムにおいて、前記送信装置が受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、パケットの送信処理で発生した通信エラーの発生回数を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の情報収集システムにおいて、前記送信装置は、送信する情報に対して、欠落した情報を修復するための符号化処理を行い、前記受信装置は、符号化された情報に基づいて、欠落した情報の修復処理を行い、前記受信装置が前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、前記修復処理を行った回数であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の情報収集システムにおいて、前記送信装置は、送信する情報に対して、誤りがある情報を検出するための誤り検出符号化処理を行い、前記受信装置は、符号化された情報に基づいて、誤り検出処理を行い、前記受信装置が送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数は、前記誤り検出処理で誤りを検出した回数であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された送信装置において、自装置の内部時刻を、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻と同期し、前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信することを特徴とする送信装置である。
【0015】
また、本発明は、送信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された受信装置において、前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信することを特徴とする受信装置である。
【0016】
また、本発明は、送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置において、複数の前記計測装置から、前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって前記計測装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として受信し、前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成することを特徴とする計測装置である。
【0017】
また、本発明は、送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置において、前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、前記送信装置が前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数であって前記同期された内部時刻で表わされた計測時間でのエラー回数を示す情報と、前記計測装置間で遅延した遅延パケットの数であって前記計測時間での遅延パケットの数と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成することを特徴とする情報収集装置である。
【0018】
また、本発明は、受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された送信装置のコンピュータを、自装置の内部時刻を、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻と同期し、前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信する手段、として機能させるプログラムである。
【0019】
また、本発明は、送信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された受信装置のコンピュータを、前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信する手段、として機能させるプログラムである。
【0020】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置のコンピュータを、複数の前記計測装置から、前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって前記計測装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として受信し、前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成する手段、として機能させるプログラムである。
【0021】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置のコンピュータを、前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、前記送信装置が前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数であって前記同期された内部時刻で表わされた計測時間でのエラー回数を示す情報と、前記計測装置間で遅延した遅延パケットの数であって前記計測時間での遅延パケットの数と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、情報収集システムは、ネットワーク内で生じる擾乱がアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報収集システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係る送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る送信装置の計測情報の一例を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る計測装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る計測装置の計測情報の一例を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係る別の計測装置の計測情報の一例を示す概略図である。
【図7】本実施形態に係る受信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る受信装置の計測情報の一例を示す概略図である。
【図9】本実施形態に係る情報収集装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図10】本実施形態に係る情報収集装置が記憶する計測情報テーブルの一例を示す概略図である。
【図11】本実施形態に係る情報収集装置が蓄積する計測情報の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0025】
<情報収集システムについて>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報収集システムの概念図である。この図において、情報収集システムは、情報収集装置A1、基準時刻サーバB1、送信装置C1、計測装置D11〜D13、及び受信装置E1を具備する。また、この図は、計測装置D11と計測装置D12と、計測装置D12と計測装置D13とは、それぞれ、ネットワークN1、N2を介して通信可能であることを示す。同様に、他の各装置間は、互いにネットワーク(図示せず)や回線を介して通信可能である。また、送信装置C1、受信装置E1、及び計測装置D11〜D13の内部時刻は、基準時刻サーバB1の基準時計と互いに同期されている。これらの装置は、1ミリ秒間隔の時間であって基準時計と同期された内部時刻により表わされた計測時間を基準として計測を行う。ただし、計測時間は1m秒に限られず、例えば、10ミリ秒等他の値であってもよい。
【0026】
情報収集装置A1は、計測装置D11〜D13各々から受信したパケット計測情報に基づいて、計測時間におけるパケットの数であって計測装置間で遅延した遅延パケットの数(以下、遅延パケット数という;パケットの遅延量)を算出し、算出した遅延パケット数を示す情報と計測時間とを計測情報を生成する。情報収集装置A1は、送信装置C1及び受信装置E1から受信した計測情報と、生成した計測情報とを、計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する。
基準時刻サーバB1は、送信装置C1、計測装置D11〜D13、及び受信装置E1の時刻クライアントからの要求に対して、これらの装置すべてが同期する時刻である基準時刻を提供する。各装置は、基準時刻サーバB1がから送信時の基準時刻が設定された時刻情報を受信し、受信した時刻情報が示す時刻にRTT(Round Trip Time;ラウンドトリップディレイタイム)の平均値を加算した時刻を基準時刻とする。この基準時刻の同期には、例えば、Network Time Protocol(NTP;ネットワーク・タイム・プロトコル)が用いられる。
送信装置C1は、映像ストリーム、もしくは、データストリームのデータをIPパケット(以下、パケットという)に内包して送信する装置である。また、送信装置C1は、計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数であって受信装置E1へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置A1に送信する。
【0027】
計測装置D11〜D13は、送信装置C1が受信装置E1へ送信したパケットを、他の装置に転送する。その際、パケット1つ1つを区別し、区別したパケットを受信した時刻である到達時刻を、基準時刻サーバB1から与えられた基準時刻に従って計測して蓄積し、蓄積した情報を情報収集装置A1に送信する。すなわち、計測装置D11〜D13は、送信装置C1から受信装置E1へ送信されたパケットであって自装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の内部時刻(つまり、基準時刻)の情報と、をパケット計測情報として情報収集装置に送信する。
具体的には、計測装置D11〜D13は、送信装置C1から受信装置E1へ送信されたパケットであってストリームを構成するパケットをパケットフィルタで選別し、ハッシュ関数を用いて、各パケットの情報からハッシュ値を算出する。ハッシュ値は、同じパケットであれば、どの装置で計測しても同じ値になり、1ビットでも異なるパケットであれば異なる値となる。つまり、算出されるハッシュ値は、パケット固有の値であり、パケットを一意に特定する情報である。計測装置D11〜D13では、受信したパケットのハッシュ値に、このハッシュ値のパケットが通過した時刻を加えて1組の計測データとし、情報収集装置A1に送信する。
【0028】
なお、パケットを区別する識別情報は、ハッシュ関数に限られず、例えば、送信装置C1がパケット毎に払い出した識別情報、又は、パケットそのもののように、パケットが同一であることを識別できる情報であればよい。ただし、ハッシュ関数を用いてパケットの識別情報として使用が可能な特徴を抽出することにより、パケット全体の生データの数十分の1までデータ量を減らした計測データを情報収集装置A1に送出することができ、効率的である。
また、複数個所に計測装置D11〜D13を設置しパケットフィルタ設定を行い、計測を行った場合、情報収集装置A1は、同じハッシュ値に異なる時刻が付加された計測値を複数収集することができる。情報収集装置A1では、収集した複数の計測値を、時間軸(時刻の進む方向)に並べると、各計測装置D11〜D13間での遅延量を計測する。これを、繰り返し行うことで、遅延の変動(ジッタ)等を計測することができる。さらに、情報収集装置A1では、例えば、ある位置の計測装置D11で得られたハッシュ値を持ったパケットが次の位置の計測装置D12で検出できなければ、計測装置D11と計測装置D12との間でパケットを喪失したことが判る。例えば、図1の計測装置D12は、ネットワークN1とネットワークN2との間に入り、ネットワークN1の擾乱を受けたパケットのハッシュ値と、パケット通過時の内部時刻の情報と自装置の識別情報とを情報収集装置A1に送信する。
【0029】
受信装置E1は、送信装置C1から送出されたパケットを、計測装置D11〜D13を介して受信し、パケットに内包された映像ストリーム、もしくは、データストリームのデータを抽出する。なお、マルチキャスティングを行う場合、例えば、送信装置C1は1つであるが、受信装置E1は複数存在する。また、受信装置E1は、計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数であって送信装置C1から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置A1に送信する。
【0030】
<送信装置C1の構成について>
図2は、本実施形態に係る送信装置C1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、送信装置C1は、時刻クライアントc101、計時部c102、エラー検出部c11、計測情報生成部c121、計測情報バッファc122、タイマc123、及び、計測情報送信部c124を含んで備える。また、エラー検出部c11は、符号化部c111、冗長符号化部c112、及びパケット通信部c113を含んで備える。
【0031】
時刻クライアントc101は、基準時刻サーバB1から時刻情報を取得し基準時刻を算出する。時刻クライアントc101は、計時部c102の時刻を、算出した基準時刻に一致させる。
計時部c102は計時し、各部(例えば、符号化部c111、冗長符号化部c112、パケット通信部c113)に基準時刻を出力する。なお、通常のオペレーティングシステム(OS)は10ミリ秒単位の時刻を利用しており、それ以下の部分に関しては、精度が得られない問題がある。そこで、計時部c102は、送信装置C1がMPU(Micro Processing Unit;マイクロプロセッサ)内に有するクロックカウンタを使用し、サブマイクロ秒の精度の計時を行う。具体的には、計時部c102は、MPUが有しているクロックカウンタ(1クロックで1加算する64ビットカウンタ)を使用して、10ミリ秒間隔のOSの時刻を補完して、可能な限りミリ秒精度の時刻を得る。1ギガヘルツのMPUであれば、クロックカウンタは1ナノ秒で1カウントするので、10ミリ秒間には10の7乗をカウントする。計時部c102は、このクロックカウンタを、最小命令数の無限ループで読み出し、読み出し遅延(命令の実行時間)精度を除いて、通常のOSの時刻精度を補完する。
【0032】
符号化部c111には、映像ストリームや、データストリームのデータのビット列が入力される。例えば、映像ストリームの場合、符号化部c111には、撮影用のカメラからの入力信号を映像ストリーム形式に変換したデータのビット列が入力される。また、例えば、データストリームの場合、符号化部c111には、データを蓄積して連続して読み出せるハードディスク装置、及び、データレコーダー装置からビット列が入力される。符号化部c111は、入力されたビット列を予め定めた単位で分割し、分割したビット列に対してパリティビットを付加する等、誤り検出符号化を行う。符号化部c111は、誤り検出符号化を行ったビット列を冗長符号化部c112に出力する。
また、符号化部c111は、ビット化け(反転)等のエラー(符号化エラーという)が発生した場合、そのエラー情報と、計時部c102から入力された時刻、つまり、エラー発生の時刻情報と、を含む符号化エラー情報を計測情報生成部c121に出力する。
【0033】
冗長符号化部c112は、符号化部c111から入力されたビット列に対して、LDGM(Low−Density Generator−Matrix)符号化を行う。冗長符号化部c112は、LDGM符号化を行った符号化ビット列をパケット通信部c113に出力する。なお、冗長符号化部c112から出力される符号化ビット列は、冗長符号化部c112に入力されたビット列より、データ量が増加している。
また、冗長符号化部c112の冗長符号化処理では、一般に、復号処理と比較して多くの計算量が必要となるため、映像等の実時間情報の場合、冗長符号化処理が間に合わずエラーが発生することがある。冗長符号化部c112は、冗長符号化処理でのエラー(冗長符号化エラーという)が発生した場合、そのエラー情報と、計時部c102から入力された時刻、つまり、エラー発生の時刻情報と、を含む冗長符号化エラー情報を生成する。冗長符号化部c112は、生成した冗長符号化エラー情報を計測情報生成部c121に出力する。
【0034】
パケット通信部c113は、冗長符号化部c112から入力された符号化ビット列にIPパケットのヘッダを付与したパケットを生成する。なお、このパケットのヘッダ部分には、送信装置C1と受信装置E1の宛先(IPアドレス)が含まれる。パケット通信部c113は、パケットを記憶部に一時的に記憶(バッファ)し、記憶部から読み出したパケットを、ネットワークを介して受信装置E1へ送信する。なお、このバッファは、ネットワーク側からの送出停止等に応じて、送出の停止を行った場合に、一時的にパケットを蓄積し、符号化部c111、冗長符号化部c112でデータ溢れが発生しないようにするための構成である。
また、パケット通信部c113では、例えば、ネットワークが輻輳している場合に、パケットをネットワークに送信できないことがある。この場合、パケット通信部c113は、送信失敗のエラー(通信エラーという)を検出し、そのエラー情報と、計時部c102から入力された時刻、つまり、エラー発生の時刻情報と、を含む通信エラー情報を生成する。パケット通信部c113は、生成した通信エラー情報を計測情報生成部c121に出力する。
【0035】
計測情報生成部c121は、入力された符号化エラー情報、冗長符号化エラー情報、及び通信エラー情報から、それぞれ、計測時間毎の符号化エラーの発生回数(符号化エラー回数という)、冗長符号化エラーの発生回数(冗長符号化エラー回数という)、及び通信エラーの発生回数(通信エラー回数)を計数する。計測情報生成部c121は、計測時間と、その計測時間の符号化エラー回数、冗長符号化エラー回数、及び通信エラー回数と、送信装置C1の装置識別子(本実施形態では「C1」)と、を対応付けた計測情報を生成する(図3)。計測情報生成部c121は、生成した計測情報を計測情報バッファc122に記憶させる。
【0036】
タイマc123は、クロック信号を、予め定められた時間間隔で計測情報送信部c124に出力する。
計測情報送信部c124は、タイマからクロック信号が入力されると、計測情報バッファc122に記憶された計測情報を情報収集装置A1に送信する。なお、計測情報送信部c124は、送信した計測情報を計測情報バッファc122から削除する。
【0037】
<送信装置C1の計測情報について>
図3は、本実施形態に係る送信装置C1の計測情報の一例を示す概略図である。この計測情報は、計測情報生成部c121が生成した情報である。
図示するように計測情報は、計測時間、エラー情報、エラー回数、及び装置識別子についての情報である。例えば、図3の1〜3行目の計測情報は、装置識別子「C1」の送信装置C1で、計測時間「2009年6月1日1時2分0.025秒」(0.026秒までの1m秒間)に、エラー情報「符号化エラー」が「0回」、「冗長符号化エラー」が「0回」、「通信エラー」が「2回」発生したことを示す。
【0038】
<計測装置D11の構成について>
図4は、本実施形態に係る計測装置D11の構成を示す概略ブロック図である。なお、計測装置D12、D13の構成は、計測装置D11の構成と同じであるので、説明は省略する。
この図において、計測装置D11は、時刻クライアントD101、計時部D102、時刻ラッチ部D111、ハッシュ生成部D112、バッファD113、パケットフィルタ部D114、パケット転送部D115、計測情報生成部D121、計測情報バッファD122、タイマD123、及び、計測情報送信部D124を含んで備える。
【0039】
時刻クライアントD101は、基準時刻サーバB1から時刻情報を取得し基準時刻を算出する。時刻クライアントD101は、計時部D102の時刻を、算出した基準時刻に一致させる。
計時部D102は計時し、時刻ラッチ部D111に基準時刻を出力する。
時刻ラッチ部D111は、計測装置D1にIPパケットが到着すると、その時点の基準時刻を計時部D102から取得してパケットフィルタ部D114に出力する。
ハッシュ生成部D112は、計測装置D1にIPパケットが到着すると、予め定められたハッシュ関数Hを用いて、IPパケットのデータからハッシュ値を生成する。ハッシュ生成部D112は、生成したハッシュ値をパケットフィルタ部D114に出力する。
バッファD113は、ネットワークから受け取った映像ストリームやデータストリームを格納したパケットを一時蓄積して、パケットフィルタ部D114に出力する。
【0040】
パケットフィルタ部D114は、ハッシュ生成部D112から入力されたハッシュ値、及びバッファD113から入力されたIPパケットに基づいて、IPパケットを他の装置に転送するか、破棄するかを判定する。具体的には、パケットフィルタ部D114は、プロトコル番号、IPアドレス、ポート番号などが予め定めた範囲内である場合、IPパケットを他の装置に転送すると判定する。この場合、パケットフィルタ部D114は、IPパケットをパケット転送部D115に出力し、このIPパケットから生成されたハッシュ値、及び基準時刻を計測情報生成部D121に出力する。一方、予め定めた範囲外である場合、パケットフィルタ部D114は、IPパケットを破棄する。
パケット転送部D115は、パケットフィルタ部D114から入力されたIPパケットを他の装置に送信する。
【0041】
計測情報生成部D121は、パケットフィルタ部D114から入力されたハッシュ値と、基準時刻と、計測装置D1の装置識別子(例えば、図1の計測装置D1の場合、「D11」)と、を対応付けたパケット計測情報を生成する。計測情報生成部D121は、生成したパケット計測情報を計測情報バッファD122に記憶させる。
タイマD123は、クロック信号を、予め定められた時間間隔で計測情報送信部D124に出力する。
計測情報送信部D124は、タイマからクロック信号が入力されると、計測情報バッファD122に記憶されたパケット計測情報を情報収集装置A1に送信する。なお、計測情報送信部D124は、送信したパケット計測情報を計測情報バッファD122から削除する。
【0042】
<計測装置の計測情報について>
図5は、本実施形態に係る計測装置D11の計測情報の一例を示す概略図である。このパケット計測情報は、計測装置D11の計測情報生成部D121が生成した情報である。図示するようにパケット計測情報は、基準時刻、ハッシュ値、及び装置識別子についての情報である。例えば、図5の1行目のパケット計測情報は、装置識別子「D11」の計測装置D11で、ハッシュ値が「4547」であるパケットを基準時刻「2009年6月1日1時1分59.001秒」に受信したことを示す。また、例えば、図5の2行目のパケット計測情報は、装置識別子「D11」の計測装置D11で、ハッシュ値が「3452」であるパケットを基準時刻「2009年6月1日1時1分59.001秒」に受信したことを示す。
【0043】
図6は、本実施形態に係る計測装置D12の計測情報の一例を示す概略図である。このパケット計測情報は、計測装置D12の計測情報生成部D121が生成した情報である。図示するようにパケット計測情報は、基準時刻、ハッシュ値、及び装置識別子についての情報である。例えば、図6の1行目のパケット計測情報は、装置識別子「D12」の計測装置D12で、ハッシュ値が「4547」であるIPパケットを基準時刻「2009年6月1日1時2分0.025秒」に受信したことを示す。また、例えば、図6の9行目のパケット計測情報は、装置識別子「D12」の計測装置D12で、ハッシュ値が「3452」であるパケットを基準時刻「2009年6月1日1時2分0.027秒」に受信したことを示す。
【0044】
<受信装置E1の構成について>
図7は、本実施形態に係る受信装置E1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、受信装置E1は、時刻クライアントe101、計時部e102、バッファe103、データ提供部e104、処理検出部e11、計測情報生成部e121、計測情報バッファe122、タイマe123、及び、計測情報送信部e124を含んで備える。また、処理検出部e11は、データ修復部e111及び品質検出部e112を含んで備える。
【0045】
時刻クライアントe101は、基準時刻サーバB1から時刻情報を取得し基準時刻を算出する。時刻クライアントe101は、計時部e102の時刻を、算出した基準時刻に一致させる。
計時部e102は計時し、各部(例えば、データ修復部e111、品質検出部e112)に基準時刻を出力する。なお、計時部e102は、送信装置C1の計時部c102と同様に、MPUが有しているクロックカウンタを使用して、OSの時刻精度を補完する。
バッファe103は、ネットワークから受け取った映像ストリームやデータストリームを格納したパケットを一時蓄積してデータ修復部e111に出力する。
【0046】
データ修復部e111は、データの欠落があるパケットか否かを検出し、欠落を検出した場合、データの欠損があるパケットを一時蓄積する。ここで、ネットワークでの擾乱の発生によってパケットが欠落するときがあり、特に映像ストリームデータやデータストリームの場合は大きな障害となる場合がある。データ修復部e111は、LDGMなどの冗長符号化を用いてデータの欠落があるパケットを検出し、欠落があるパケットを検出した場合、データの修復処理を行う。データ修復部e111は、バッファe103から入力されたパケットのデータ(修復処理を行った場合は、修復処理を行ったデータ)を、品質検出部e112に出力する。
また、データ修復部e111は、修復処理を行った場合、修復処理を行ったときに計時部e102から入力された時刻、つまり、修復処理を行った基準時刻を取得する。データ修復部e111は、修復処理を行ったことを示す情報と、取得した基準時刻と、を含む修復処理情報を生成し、計測情報生成部e121に出力する。
【0047】
品質検出部e112は、データ修復部e111から入力されたデータに対して、誤り検出符号の復号処理を行う。品質検出部e112は、復号処理を行ったデータをデータ提供部e104に出力する。また、品質検出部e112は、復号処理でのパリティビットのチェック等により誤りを検出した場合、誤りを検出したときに計時部e102から入力された時刻、つまり、誤りを検出した基準時刻を取得する。品質検出部e112は、誤りを検出したことを示す情報と、取得した基準時刻と、を含む誤り検出情報を生成し、計測情報生成部e121に出力する。
データ提供部e104は、品質検出部e112から入力されたデータを結合し、映像ストリームや、データストリームのデータのビット列としてデータ提供部e104に出力する。
【0048】
計測情報生成部e121は、入力された修復処理情報、及び品質検出情報から、それぞれ、計測時間毎の修復処理の発生回数(修復処理回数という)、及び誤り検出の発生回数(誤り検出回数という)を計数する。計測情報生成部e121は、計測時間と、その計測時間の修復処理回数、及び誤り検出回数と、受信装置E1の装置識別子(本実施形態では「E1」)と、を対応付けた計測情報を生成する(図8)。計測情報生成部e121は、生成した計測情報を計測情報バッファe122に記憶させる。
タイマe123は、クロック信号を、予め定められた時間間隔で計測情報送信部e124に出力する。
計測情報送信部e124は、タイマからクロック信号が入力されると、計測情報バッファe122に記憶された計測情報を情報収集装置A1に送信する。なお、計測情報送信部e124は、送信した計測情報を計測情報バッファe122から削除する。
【0049】
<受信装置E1の計測情報について>
図8は、本実施形態に係る受信装置E1の計測情報の一例を示す概略図である。この計測情報は、計測情報生成部e121が生成した情報である。
図示するように計測情報は、計測時間、処理情報、処理回数、及び装置識別子についての情報である。例えば、図3の1、2行目の計測情報は、装置識別子「E1」の受信装置E1で、計測時間「2009年6月1日1時2分0.025秒」(0.026秒までの1m秒間)に、処理情報「修復処理」が「1回」、「誤り検出」が「0回」発生したことを示す。
【0050】
<情報収集装置A1の構成について>
図9は、本実施形態に係る情報収集装置A1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、情報収集装置A1は、ネットワークインタフェースa101、遅延算出部a102、時刻計測情報生成部a103、情報蓄積メモリa104、及び表示部a105を含んで備える。
【0051】
ネットワークインタフェースa101は、情報収集装置A1をネットワークに接続するインタフェースである。ネットワークインタフェースa101は、ネットワークを介して受信した送信装置C1及び受信装置E1の計測情報を、時刻計測情報生成部a103に出力する。また、ネットワークインタフェースa101は、受信した計測装置D11〜D13のパケット計測情報を遅延算出部a102に出力する。
【0052】
遅延算出部a102は、ネットワークインタフェースa101から入力された計測装置D11〜D13のパケット計測情報であって、同じハッシュ値が設定されたパケット計測情報から基準時刻の差を算出する。遅延算出部a102は、算出した基準時刻の差が、計測装置間における遅延発生を検出するために予め定めた時間を超える場合、そのハッシュ値のパケットが遅延したと判定し、遅延パケット数を計測時間毎に計数する。
具体的に、情報収集装置A1が図6と図5のパケット計測情報を受信したものとし、予め定めた時間が「1.025秒」である場合について説明をする。なお、この予め定めた時間は、計測装置D11から計測装置D12へ(つまり、図1中のネットワークN1で)パケットが伝達する伝達時間に基づいて定められる。遅延算出部a102は、ハッシュ値「4547」について、図6の基準時刻「2009年6月1日1時2分0.025秒」から図5の基準時刻「2009年6月1日1時1分59.001秒」を除算し、その差「1.024秒」を算出する。遅延算出部a102は、算出した差「1.024秒」が「1.025秒」を超えないので、ハッシュ値「4547」のパケットは遅延していないと判定する。一方、遅延算出部a102は、ハッシュ値「3452」について、図6の基準時刻「2009年6月1日1時2分0.027秒」から図5の基準時刻「2009年6月1日1時1分59.001秒」を除算し、その差「1.027秒」を算出する。遅延算出部a102は、算出した差「1.026秒」が「1.025秒」を超えるので、ハッシュ値「3452」のパケットは遅延したいと判定し、計測時間(基準時間)「2009年6月1日1時2分0.027秒」の遅延パケット数を1個増やして計数する。
遅延算出部a102は、算出した遅延パケット数と計測時間とを計測情報として、時刻計測情報生成部a103に出力する。
【0053】
時刻計測情報生成部a103は、ネットワークインタフェースa101から入力された送信装置C1及び受信装置E1の計測情報と、遅延算出部a102から入力された計測情報と、を、計測時間の時刻情報を軸として並べた時刻計測情報を生成する。時刻計測情報生成部a103は、生成した時刻計測情報を、情報蓄積メモリa104に蓄積する。なお、情報蓄積メモリa104は、メモリ素子、ハードディスクである。
表示部a105は、情報蓄積メモリa104に蓄積された時刻計測情報から、時刻情報の軸を第一軸とする3次元もしくは2次元の遷移図を作成して表示する。
【0054】
<時刻計測情報について>
図10は、本実施形態に係る時刻計測情報のデータ構造を示す概略図である。この図が示すデータ構造は、情報蓄積メモリa104が蓄積した時刻計測情報のデータ構造である。図示するように計測情報は、計測時間、及び、計測値1、2、・・・についての情報である。ここで、計測値は、例えば、計測情報に含まれるエラー情報及び処理情報の値である。
【0055】
図11は、本実施形態に係る時刻計測情報の一例を示す概略図である。この図は、情報蓄積メモリa104が蓄積した時刻計測情報を示す。
例えば、図11の3行目の時刻計測情報は、計測時間「2009年6月1日1時2分0.027秒」に、符号化エラーが「0」回、冗長符号化エラーが「0」回、通信エラーが「0」回、発生したこと、つまり、エラーが発生しなかったことを示す。また、この3行目の時刻計測情報は、図1中のネットワークN1遅延パケット数、つまり、計測装置D12とD11の計測情報から算出した遅延パケット数が「1」個、また、図1中のネットワークN2遅延パケット数、つまり、計測装置D13とD12の計測情報から算出した遅延パケット数が「0」個、であることを示す。また、この3行目の時刻計測情報は、修復処理が「2」回、誤り検出が「1」回、発生したことを示す。
【0056】
このように、本実施形態によれば、送信装置C1、受信装置E1、及び計測装置D11〜D13の内部時刻は互いに同期され、送信装置C1は、同期された内部時刻で表わされた計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数であって受信装置E1へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置A1に送信する。計測装置D11〜D13は、送信装置C1から受信装置E1へ送信されたパケットであって自装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の内部時刻の情報と、をパケット計測情報として情報収集装置A1に送信する。受信装置E1は、計測時間と、計測時間におけるエラーの発生回数であって送信装置C1から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置A1に送信する。計測装置D11〜D13各々から受信したパケット計測情報に基づいて、計測時間におけるパケットの数であって計測装置間で遅延した遅延パケットの数を算出し、算出した遅延パケットの数と計測時間とを計測情報として生成する。情報収集装置A1は、送信装置C1及び受信装置E1から受信した計測情報と、生成した計測情報とを、計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する。これにより、情報収集システムは、ネットワーク内で生じる擾乱(例えば、ジッタ、パケットロス、ビット化け)がアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、送信装置C1が受信装置E1へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、受信装置E1へ送信する情報の符号化処理で発生したエラーの発生回数であるので、情報収集システムは、ネットワーク内で生じるビット化けがアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
また、本実施形態によれば、送信装置C1が受信装置E1へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、パケットの送信処理で発生した通信エラーの発生回数を含むので、ネットワーク内で生じる通信エラーがアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、受信装置E1が符号化された情報に基づいて、欠落した情報の修復処理を行い、送信装置C1から受信した情報の処理回数は、修復処理を行った回数であるので、ネットワーク内で生じるパケットの欠落がアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
また、本実施形態によれば、受信装置E1は、符号化された情報に基づいて、欠落した情報の修復処理を行い、受信装置E1が送信装置C1から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、修復処理を行った回数であるので、ネットワーク内で生じるデータの誤りがアプリケーションに及ぼす影響を計測するための情報を収集することができる。
【0059】
なお、上記実施形態において、受信装置E1の計測情報生成部e121は、バッファe103が蓄積するパケットの蓄積量(蓄積値という)を計測してもよい。この場合、計測情報生成部e121は、蓄積値の計測を行った際の基準時刻と、計測した蓄積値と、受信装置E1の装置識別子と、を計測情報として生成し、計測情報送信部e124から情報収集装置A1に送信する。蓄積値はネットワークの擾乱により変化するので、上記の構成により、情報収集装置A1では、蓄積値と基準時刻との対応を蓄積して、解析に用いることができる。
【0060】
また、上記実施形態において、情報収集装置A1は、パケットの遅延量として遅延パケット数を算出した。しかし、本発明はこれに限らず、情報収集装置A1はパケットの遅延量として、計測装置D11とD12間、計測装置D12とD13間の遅延値、具体的には、同じハッシュ値が設定されたパケット計測情報から基準時刻の差を算出し、その差の計測時間毎の平均値又は分散値を用いてもよい。また、情報収集装置A1は、計測情報として、計測時間毎の損失したパケットの数を用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、受信装置E1は、映像データレベルの品質の主観評価を行い、その結果に計時部e102から得られる基準時刻情報を付加して、情報収集装置A1に送信するようにしてもよい。この場合には、人が映像を見続けて何らかの品質の変化を感じたら、その品質の劣化程度を、ユーザインタフェースを介して受信装置E1に入力する。これは、例えば、劣化の値を10段階程度の値にしたものや劣化の発生を2値化したものである。複数段階に多値化する場合には、複数名の評価者を用いることにより劣化の程度を統計的な値として評価することができる。一方、2値化する場合には、劣化が発生した時刻のみ入手することができる。
また、上記実施形態において、パケットを、ハッシュ関数を通してハッシュ値を算出していたが、本発明はこれに限らず、例えば、パケットのデータ部分のみをハッシュ関数を通してハッシュ値を算出してもよい。
【0062】
なお、上述した実施形態における情報収集装置A1、基準時刻サーバB1、送信装置C1、計測装置D11〜D13、及び受信装置E1の一部、例えば、時刻クライアントc101、D101、e101、計時部c102、D102、e102、符号化部c111、冗長符号化部c112、パケット通信部c113、ハッシュ生成部D112、計測情報生成部c121、D121、e121、計測情報送信部c124、D124、e124、時刻ラッチ部D111、パケットフィルタ部D114、パケット転送部D115、データ提供部e104、データ修復部e111、品質検出部e112、時刻計測情報生成部a103、表示部a105をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、情報収集装置A1、基準時刻サーバB1、送信装置C1、計測装置D1、又は受信装置E1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0063】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
c101・・・時刻クライアント、c102・・・計時部、c11・・・エラー検出部、c111・・・符号化部、c112・・・冗長符号化部、c113・・・パケット通信部、c121・・・計測情報生成部、c122・・・計測情報バッファ、c123・・・計測情報バッファ、c124・・・計測情報送信部、D101・・・時刻クライアント、D102・・・計時部、D111・・・時刻ラッチ部、D112・・・ハッシュ生成部、D113・・・バッファ、D114・・・パケットフィルタ部、D115・・・パケット転送部、D121・・・計測情報生成部、D122・・・計測情報バッファ、D123・・・タイマ、D124・・・計測情報送信部、e101・・・時刻クライアント、e102・・・計時部、e103・・・バッファ、e104・・・データ提供部、e11・・・処理検出部、e111・・・データ修復部、e112・・・品質検出部、e121・・・計測情報生成部、e122・・・計測情報バッファ、e123・・・タイマ、e124・・・計測情報送信部、a101・・・ネットワークインタフェース、a102・・・遅延算出部、a103・・・時刻計測情報生成部、a104・・・情報蓄積メモリ、a105・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置、受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置がネットワークで接続されたシステムにおいて、
前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、
前記送信装置は、
前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信し、
前記計測装置は、
前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって自装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として情報収集装置に送信し、
前記受信装置は、
前記計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信し、
前記情報収集装置は、
前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成する遅延算出部と、
前記送信装置及び前記受信装置から受信した計測情報と、前記遅延算出部が生成した計測情報とを、前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する時刻計測情報生成部と、
を備えることを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
前記送信装置が受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、前記受信装置へ送信する情報の符号化処理で発生したエラーの発生回数であることを特徴とする請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記送信装置が受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、パケットの送信処理で発生した通信エラーの発生回数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記送信装置は、送信する情報に対して、欠落した情報を修復するための符号化処理を行い、
前記受信装置は、符号化された情報に基づいて、欠落した情報の修復処理を行い、
前記受信装置が前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報は、前記修復処理を行った回数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記送信装置は、送信する情報に対して、誤りがある情報を検出するための誤り検出符号化処理を行い、
前記受信装置は、符号化された情報に基づいて、誤り検出処理を行い、
前記受信装置が送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数は、前記誤り検出処理で誤りを検出した回数であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の情報収集システム。
【請求項6】
受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された送信装置において、
自装置の内部時刻を、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻と同期し、
前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信することを特徴とする送信装置。
【請求項7】
送信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された受信装置において、
前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信することを特徴とする受信装置。
【請求項8】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置において、
複数の前記計測装置から、前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって前記計測装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として受信し、
前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成することを特徴とする情報収集装置。
【請求項9】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置において、
前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、
前記送信装置が前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数であって前記同期された内部時刻で表わされた計測時間でのエラー回数を示す情報と、前記計測装置間で遅延した遅延パケットの数であって前記計測時間での遅延パケットの数と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成することを特徴とする情報収集装置。
【請求項10】
受信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された送信装置のコンピュータを、
自装置の内部時刻を、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻と同期し、
前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信する手段、として機能させるプログラム。
【請求項11】
送信装置、複数の計測装置、及び情報収集装置と、ネットワークで接続された受信装置のコンピュータを、
前記同期された内部時刻で表わされた計測時間と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を計測情報として情報収集装置に送信する手段、として機能させるプログラム。
【請求項12】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置のコンピュータを、
複数の前記計測装置から、前記送信装置から受信装置へ送信されたパケットであって前記計測装置を通過したパケットを一意に特定する情報と、当該パケットの通過時の前記内部時刻の情報と、をパケット計測情報として受信し、
前記計測装置各々から受信したパケット計測情報に基づいて、前記計測時間における前記計測装置間のパケットの遅延量を算出し、算出したパケットの遅延量を示す情報と前記計測時間とを計測情報として生成する手段、として機能させるプログラム。
【請求項13】
送信装置、受信装置、及び複数の計測装置と、ネットワークで接続された情報収集装置のコンピュータを、
前記送信装置、前記受信装置、及び前記複数の計測装置の内部時刻は互いに同期され、
前記送信装置が前記受信装置へ送信する情報の処理に関するエラーの発生回数であって前記同期された内部時刻で表わされた計測時間でのエラー回数を示す情報と、前記計測装置間で遅延した遅延パケットの数であって前記計測時間での遅延パケットの数と、前記計測時間におけるエラーの発生回数であって前記送信装置から受信した情報の処理に関するエラーの発生回数を示す情報と、を前記計測時間で対応付けた時刻計測情報を生成する手段、として機能させるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−10239(P2011−10239A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154243(P2009−154243)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人情報通信研究機構、「新世代ネットワークの構築に関する設計・評価手法の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】