説明

情報変換装置及び情報変換方法、並びに通信装置及び通信方法

【課題】 通信手段を介してユーザが他者とコミュニケーションする場合に、ユーザが感じるストレスを減らすことができるようにする。
【解決手段】 通信部13が音声情報を受信して距離感表現部14に供給する。距離感表現部14は、通信部13から供給される相手の音声情報に含まれる感情情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて制御した後、情報入力部11から供給される距離感情報に応じた位置に出力音声が音源定位されるように、感情情報が制御された相手の音声情報を変換し、音声出力部15に供給する。音声出力部15は、距離感表現部14から供給される音声情報に基づき音声を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、知覚データを変換して出力する情報変換装置及び情報変換方法、並びに通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人と人とが対面して行う対人コミュニケーションにおいては、言語情報が交換されるだけでなく、意識的あるいは無意識的に非言語情報も交換されている。このような非言語情報のひとつとして対人距離があり、E.T.Hallによれば、対人距離は密接距離、個人距離、社会・用談距離および公衆距離の4つに分けられ、さらにそれぞれの距離は近接相と遠方相の2つに分けられ、これらの距離が相手との親密さに応じて使い分けられるとされている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方、椙山女学園の山根一郎によれば、対人距離のような物理的な距離に加えて、親密さのような心理的な距離が存在し、この心理的距離は能動表象、能動表出、受動表象および受動表出の4つの要素からなるとされている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
図16に、山根一郎により提案されている心理的距離の概念図を示す。図16中の矢印203は、心理的距離を模式的に示すものである。能動表象は自分201の心の中の相手202への心理的距離、能動表出は自分201が相手202に現実に伝える心理的距離、受動表出は相手202が自分201に現実に伝えてくる心理的距離、受動表象は相手202の心の中の自分201への心理的距離である。能動表出や受動表出により、対人距離のような非言語コミュニケーションが行われると考えられている。心理的距離は、例えば、矢印203に示すように、近づいたり遠ざかったり、対人距離の変化で調整可能である。
【0005】
一方、通信手段を介したコミュニケーションにおいて対人距離の調整を実現しようとしたものとして、音声再生方式がある(例えば、特許文献1および非特許文献3参照)。この音声再生方式では近距離感を実現するために、音量を増加するのではなく、周波数信号処理により、ささやき声や低い声を生成している。
【0006】
【非特許文献1】Miles Patterson,「非言語コミュニケーションの基礎理論」,誠信書房,1995年,P.190−191
【非特許文献2】山根一郎,「対人心理的距離のモデル化」,椙山女学園大学研究論集,26号,社会科学編,1995年
【非特許文献3】印牧直文他,「在席型通信会議システムにおけるマルチメディア化とコミュニケーション空間」,電子情報通信学会春季全国大会,1991年
【特許文献1】特開平3−114000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、他者とのコミュニケーションを行うための通信手段として近年広く普及している電話やTV(Television)電話などでは、音質や画質の向上さらには視線一致などが注目されているものの、心理的距離感については全く省みられてはいない。したがって、従来のメディアを介したコミュケーションにおいては、心理的距離を調節することができない。
【0008】
図17に、通信手段を介したコミュニケーションにおける心理的距離の概念図を示す。図17中の矢印204は心理的距離を模式的に示すものである。通信手段を介したコミュニケーションにおいては、心理的距離が調節できないために、矢印204に示すように、ユーザは常に一定の心理的距離でのコミュニケーションを強いられることとなる。
【0009】
従って、親しい人や好きな人と近い心理的距離でコミュニケーションすることも、親しくない人や嫌いな人と遠い心理的距離でコミュニケーションすることもできない。特に、人と携帯電話との心理的距離は近いと言われており、親しくない人や嫌いな人とのコミュニケーションでは大きなストレスを抱えることになる。
【0010】
また、通信手段を介して他者とコミュニケーションする際のユーザのストレスを減らすためには、物理的な対人距離の実現ばかりではなく、音声にこめられた感情など心理的距離の影響を考慮する必要がある。
【0011】
したがって、この発明の目的は、通信手段を介してユーザが他者とコミュニケーションする場合に、ユーザが感じるストレスを減らすことができる情報変換装置及び情報変換方法、並びに通信装置及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、心理的距離感情報を入力する入力手段と、
入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力する変換手段と
を備えることを特徴とする情報変換装置である。
【0013】
第2の発明は、入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力することを特徴とする情報変換方法である。
【0014】
第3の発明は、知覚データを受信または送信する通信手段と、
心理的距離感情報を入力する入力手段と、
入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力する変換手段と
を備えることを特徴とする通信装置である。
【0015】
第4の発明は、通信手段により知覚データを受信し、該知覚データを入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて変換して出力することを特徴とする通信方法である。
【0016】
この発明によれば、入力された心理的距離感情報に応じて知覚データを変換して出力するので、ユーザが所望する心理的距離となるように、知覚データを変換することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、この発明によれば、入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて知覚データを変換して出力するので、通信手段を介して他者とコミュニケーションをとる場合に、他者との心理的距離をユーザが調整することができる。したがって、通信手段を介してユーザが他者とコミュニケーションする場合に、ユーザが感じるストレスを減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の実施形態について以下の順序で説明する。
(1)第1の実施形態
(1−1)第1の実施形態の概要
(1−2)第1の実施形態による通信装置の構成
(1−3)第1の実施形態による距離感表現部の構成
(1−4)第1の実施形態による通信装置の動作
(1−5)第1の実施形態の変形例
【0019】
(2)第2の実施形態
(2−1)第2の実施形態による再生装置の構成
(2−2)第2の実施形態の変形例
【0020】
(3)第3の実施形態
(3−1)第3の実施形態の概要
(3−2)第3の実施形態による映像処理装置の構成
(3−3)第3の実施形態による距離感表現部
(3−4)第3の実施形態による映像処理装置の動作
(3−5)第3の実施形態の変形例
【0021】
(4)第4の実施形態
(4−1)第4の実施形態による通信装置の構成
(4−2)第4の実施形態の変形例
【0022】
(1)第1の実施形態
(1−1)第1の実施形態の概要
図1は、この発明の第1の実施形態の概要を説明するための概略図である。図1中の矢印6および矢印7は、通話の相手4とユーザ3との心理的距離を模式的に表すものである。
【0023】
通信装置1は、例えば携帯電話機であって、ユーザ3の能動表出を送信する部分と、通話の相手の受動表出を受信する部分とに、心理的距離感を変更するための距離感フィルタ5を備える。
【0024】
この距離感フィルタ5は、ユーザ3により入力される距離感情報に応じて、知覚情報である音声情報を変換することにより、ユーザ3と通話の相手4との心理的距離感を変更する。通信装置2は、例えば携帯電話機であって、上述の距離感フィルタ5が設けられていない従来の通信装置である。
【0025】
通信装置1は、通信装置2から受信した通話の相手4の音声情報を、ユーザ3により入力される距離感情報に応じて距離感フィルタ5により変換して出力する。通話の相手4がユーザ3と親しい相手である場合には、例えば、矢印6に示すように、通話の相手4とユーザ3との心理的距離がより近くなるように、通信装置2から受信した通話の相手4の音声情報を距離感フィルタ5により変換して出力する。一方、通話の相手4がユーザ3の知らない相手である場合には、例えば、矢印7に示すように、通話の相手4とユーザ3との心理的距離感がより遠くなるように、通信装置2から受信した通話の相手4の音声情報を距離感フィルタ5により変換して出力する。
【0026】
また、通信装置1は、ユーザ3の音声情報を、ユーザ3により入力される距離感情報に応じて距離感フィルタ5により変換して、通話の相手4の通信装置2に送信する。通話の相手4がユーザ3と親しい相手である場合には、例えば、矢印6に示すように、通話の相手4とユーザ3との心理的距離がより近くなるように、ユーザ3の音声情報を距離感フィルタ5により変換して出力する。一方、通話の相手4がユーザ3の知らない相手である場合には、例えば、矢印7に示すように、通話の相手4とユーザ3との心理的距離感がより遠くなるように、ユーザ3の音声情報を距離感フィルタ5により変換して通信装置2に送信する。
【0027】
このように、この第1の実施形態による通信装置1では、ユーザ3の音声情報および通話の相手4の音声情報を、ユーザにより入力される距離感情報に応じて距離感フィルタ5により変換することにより、ユーザ3は通話の相手4との心理的距離を所望の距離に調整することができる。
【0028】
(1−2)第1の実施形態による通信装置の構成
図2は、この発明の第1の実施形態による通信装置1の一構成例を示すブロック図である。この通信装置1は、情報入力部11、音声入力部12、通信部13、距離感表現部14および音声出力部15を備える。なお、メニューなどの各種情報を表示するための表示部を通信装置1にさらに備えるようにしてもよい。
【0029】
情報入力部11は、ユーザが距離感情報を入力するためのものであり、例えばボタン、キーまたはジョグダイヤルなどを備える入力装置である。情報入力部11により入力された距離感情報は、距離感表現部14に供給される。なお、通信装置1が表示部をさらに備える場合には、表示部に表示される情報に従ってユーザが距離感情報の入力を行えるようにしてもよい。
【0030】
距離感情報とは、通信手段などを介したユーザと相手との距離感を変更するための情報である。ここで、距離感は、物理的距離感および/または心理的距離感である。この距離感情報は、例えば、数値により表すことができる。例を挙げると、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くする場合には、数値「1」とすることででき、通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にする場合には、数値「0」とすることができ、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くする場合には、数値「−1」とすることができる。なお、距離感情報は数値に限定されるものではなく、文字、記号、実際の距離などを用いてもよい。
【0031】
音声入力部12は、音声を入力するためのものであり、例えば、マイクロフォン装置などの音声入力装置である。音声入力部12に入力されたユーザの音声は、音声情報として通信部13に供給される。
【0032】
通信部13は、音声情報の送受信を行う。通信部13は、例えば、音声入力部12から供給された音声情報を符号化して送信する。また、通信部13は、例えば、受信した相手の音声情報を復号化して距離感表現部14に供給する。
【0033】
距離感表現部14は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、通信部13から供給される相手の音声情報を変換して音声出力部15に供給する。すなわち、距離感表現部14は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、通信手段などを介したユーザと相手との距離感、すなわち心理的距離感および/または物理的距離感を変更する。
【0034】
音声出力部15は、距離感表現部14から供給された相手の音声情報を音声として出力する音声出力装置であって、この音声出力装置は、複数のスピーカ装置、例えば2つのスピーカ装置を備える。また、音声出力部15は、ヘッドホン装置を接続するための接続手段をさらに備え、この接続手段に対して距離感表現部14により変換された相手の音声情報を供給する。この場合、距離感表現部14は、例えば、ヘッドホン装置から出力される相手の音声などが、情報入力部11から供給される距離感情報に応じた位置に音源定位されるように、相手の音声情報を変換などする。
【0035】
(1−3)第1の実施形態による距離感表現部の構成
距離感表現部14は、例えば、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、通信手段などを介したユーザと相手との心理的距離感を変更する心理的距離感表現部と、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、通信手段などを介したユーザと相手との物理的距離感を変更する物理的距離感表現部とを備える。以下、心理的距離感表現部と物理的距離感表現部について説明する。
【0036】
(a)心理的距離感表現部
心理的距離感表現部は、例えば、通信部13から供給される相手の音声情報に含まれる感情情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて制御する。感情情報とは、声の抑揚、声のピッチ、声の大きさ、または話す速さなどの情報である。感情情報が強い場合には、声の抑揚が大きくなる、声のピッチが高くなる、声が大きくなる、話す速度が速くなると考えられる。一方、感情情報が弱い場合には、声の抑揚が小さくなる、声のピッチが低くなる、声が小さくなる、話す速度が遅くなると考えられる。喜びなどポジティブな感情や怒りなどネガティブな感情に関わらず、強い感情は近い心理的距離感を感じさせ、弱い感情は遠い心理的距離感を感じさせる。
【0037】
したがって、音声情報に含まれる感情情報をより多くすれば、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くする、例えば、好きな相手や親しい相手との距離感をより近くすることができる。それとは反対に、音声情報に含まれる感情情報をより少なくすれば、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くする、例えば、嫌いな相手や面識のない相手との心理的距離感をより遠くすることができる。
【0038】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、音声情報に含まれる感情情報がより多くなるように、通信部13から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0039】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、通信部13から供給される音声情報に含まれる感情情報が変わらないように、通信部13から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0040】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、音声情報に含まれる感情情報がより少なくなるように、通信部13から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0041】
心理的距離感表現部は、例えば、音声情報の抑揚を落とす音声変換装置を備え、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、音声情報の抑揚が小さくなるように、通信部13から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0042】
音声変換装置は、例えば、ホルマント分析/合成によるボコーダである。音声変換装置としてボコーダを用いるときには、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、ボコーダにおいて合成フィルタを駆動するパルスのピッチが入力音声のピッチに関わらず一定となるようにするとよい。
【0043】
(b)物理的距離感表現部
物理的距離感表現部は、音声出力部15またはヘッドホン装置から出力される相手の音声などが、情報入力部11から供給される距離感情報に応じた位置に音源定位されるように、感情情報が制御された相手の音声情報を変換する。
【0044】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、音声出力部15またはヘッドホン装置から出力される相手の音声などの音源位置がユーザの側方に定位されるように、感情情報が制御された相手の音声情報を変換する。
【0045】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、音声出力部15またはヘッドホン装置から出力される相手の音声などの音源位置がユーザの正面に定位されるように、感情情報が制御された相手の音声情報を変換する。
【0046】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部14は、例えば、音声出力部15またはヘッドホン装置から出力される相手の音声などの音源位置がユーザの斜め前方に定位されるように、感情情報が制御された相手の音声情報を変換する。
【0047】
物理的距離感表現部は、例えば、HRTF(Head-Related Transfer Function:頭部伝達関数)による3次元音響を用いた音源定位により物理的距離感を変更する。HRTFは、音源から頭部耳道入り口までの音響伝達関数であり、これにより頭部耳道入り口での音源の音の特性が変化し、人はこれを手がかりに音源定位を行っている。したがって、頭部耳道入り口での音をHRTFを考慮して制御すれば、3次元音響による音源定位を実現できる。
【0048】
図3は、3次元音響による音源定位位置の一例を示す。音源位置を示す物理的距離感のパラメータは、位置ベクトルPVと方向ベクトルDVとの組により表される。
【0049】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、物理的距離感表現部は、例えば、物理的距離感のパラメータ((-0.5,0.0,0.0),(0.0,1.0,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、心理的距離感表現部から供給される音声情報を変換する。この物理的距離感のパラメータで示される位置は、非言語コミュニケーションの対人距離において密接距離の遠方相の0.5mのところにいて、座席行動において親密さの高い横並びにいることに相当する。
【0050】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)が情報入力部11から供給された場合には、物理的距離感表現部は、例えば、物理的距離感のパラメータ((0.0,1.0,0.0),(0.0,-1.0,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、心理的距離感表現部から供給される音声情報を変換する。これは、対人距離において個人距離の遠方相の1mのところにいて、非公式的なコミュニケーションの距離にいることに相当する。
【0051】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、物理的距離感表現部は、例えば、物理的距離感のパラメータ((-1.2,1.2,0.0),(0.7,-0.7,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、心理的距離感表現部から供給される音声情報を変換する。これは、対人距離において社会・用談距離の近接相の1.2mのところ、複雑な内容の公式的コミュニケーションの距離にいて、しかも視線が直接合わないような心理的圧力の少ない斜め方向にいることに相当する。
【0052】
図4は、物理的距離感表現部112の一構成例を示すブロック図である。この物理的距離感表現部112は、位置ベクトル取得部101および音源定位部102を備える。位置ベクトル取得部101は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じた位置ベクトルを取得し、この取得された位置ベクトルに基づき音源定位部102を制御する。音源定位部102は、位置ベクトル取得部101の制御に基づき、心理的距離感表現部から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0053】
図5は、距離感表現部14の一構成例を示すブロック図である。通信部13から供給される音声信号は、心理的距離感表現部111で音声信号に含まれる感情情報が制御され、左チャンネルの音声信号と右チャンネルの音声信号とに分けられて、ゲイン122およびゲイン123に供給される。ゲイン122およびゲイン123は、位置ベクトル取得部101の制御に基づき、心理的距離感表現部111から供給される音声情報のゲインを調整して、リバーブ回路121に供給する。リバーブ回路121は、位置ベクトル取得部101の制御に基づき、ゲイン122およびゲイン123から供給される音声情報に音響を付加して音声出力部15に供給する。例えば、リバーブ回路121は以下のように制御される。すなわち、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から位置ベクトル取得部101に供給された場合には、リバーブ回路121は、位置ベクトル取得部101の制御に基づき、ゲイン122およびゲイン123から出力された音声信号に残響を所定の量より多く付加する。一方、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から位置ベクトル取得部101に供給された場合には、リバーブ回路121は、位置ベクトル取得部101の制御に基づき、ゲイン122およびゲイン123から出力された音声信号に残響を所定の量より少なく付加する。
【0054】
図6は、距離感表現部14の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、例として、ヘッドホン装置から相手の音声などが出力される場合について説明する。通信部13から供給される音声信号は、心理的距離感表現部111で音声信号に含まれる感情情報が制御され、左チャンネルの音声信号と右チャンネルの音声信号とに分けられて、音源定位部102に供給される。このデジタル処理回路である音源定位部102は、複数個のデジタルフィルタ113LL,113LR,113RL,113RRと、2個の加算器114L,114Rで構成されて、通話の相手がユーザの周辺に実際にいて会話している場合に得られる音場と同様の音場が、ヘッドホン装置で得られるように変換する処理を行う回路である。
【0055】
音源定位部102では、左チャンネルの音声信号が、第1のデジタルフィルタ113LLと第2のデジタルフィルタ113LRに供給され、右チャンネルの音声信号が、第3のデジタルフィルタ113RLと第4のデジタルフィルタ113RRに供給される。
【0056】
なお、位置ベクトル取得部101が、取得された位置ベクトルに応じてデジタルフィルタ113LL,113LR,113RL,113RRを制御する。具体的には、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、位置ベクトル取得部101は、例えば、位置ベクトル(-0.5,0.0,0.0)を取得し、物理的距離感のパラメータ((-0.5,0.0,0.0),(0.0,1.0,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、デジタルフィルタ113LL,113LR,113RL,113RRを制御する。
【0057】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)が情報入力部11から供給された場合には、位置ベクトル取得部101は、例えば、位置ベクトル(0.0,1.0,0.0)を取得し、物理的距離感のパラメータ((0.0,1.0,0.0),(0.0,-1.0,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、デジタルフィルタ113LL,113LR,113RL,113RRを制御する。
【0058】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、位置ベクトル取得部101は、例えば、位置ベクトル(-1.2,1.2,0.0)を取得し、物理的距離感のパラメータ((-1.2,1.2,0.0),(0.7,-0.7,0.0))で表される位置に音源が定位されるように、デジタルフィルタ113LL,113LR,113RL,113RRを制御する。
【0059】
このような構成のデジタルフィルタで構成される第1のデジタルフィルタ113LLの出力と、第3のデジタルフィルタ113RLの出力とを、加算器114Lに供給して加算し、左チャンネル用の変換出力を得る。また、第2のデジタルフィルタ113LRの出力と、第4のデジタルフィルタ113RRの出力とを、加算器114Rに供給して加算し、右チャンネル用の変換出力を得る。
【0060】
そして、加算器114Lで加算して得た左チャンネルの出力を、デジタル/アナログ変換器115Lに供給して、アナログオーディオ信号に変換し、その変換されたアナログオーディオ信号を、ヘッドホン駆動用の増幅回路116Lにより増幅した後、ヘッドホン装置117の左耳用のスピーカユニット117Lに供給する。また、加算器114Rで加算して得た右チャンネルの出力を、デジタル/アナログ変換器115Rに供給して、アナログオーディオ信号に変換し、その変換されたアナログオーディオ信号を、ヘッドホン駆動用の増幅回路116Rにより増幅した後、ヘッドホン装置117の右耳用のスピーカユニット117Rに供給する。
【0061】
なお、音源定位部102と、デジタル/アナログ変換器115Lおよびデジタル/アナログ変換器115Rとの間に、リバーブ回路をさらに設けるようにしてもよい。このリバーブ回路は、例えば、位置ベクトル取得部101により制御されて、ユーザからの音源の距離に応じて付加される残響量が調整される。
【0062】
例えば、リバーブ回路は以下のように制御される。すなわち、ユーザから音源の距離をより遠くする場合には、すなわち、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から位置ベクトル取得部101に供給された場合には、リバーブ回路は、音源定位部102から出力された音声信号に残響を所定の量より多く付加してデジタル/アナログ変換器115Lおよびデジタル/アナログ変換器115Rに供給する。
【0063】
一方、ユーザから音源の距離をより近くする場合には、すなわち、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から位置ベクトル取得部101に供給された場合には、リバーブ回路は、音源定位部102から出力された音声信号に残響を所定の量より少なく付加してデジタル/アナログ変換器115Lおよびデジタル/アナログ変換器115Rに供給する。
【0064】
(1−4)第1の実施形態による通信装置の動作
図7は、この発明の第1の実施形態による通信装置1の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0065】
まず、ステップS1において、通信部13が音声情報を受信して取得し、音声情報の受信に成功した場合には処理はステップS3に移行し、音声情報の取得に成功しなかった場合には、ステップS2において、処理はステップS1に戻る。
【0066】
次に、ステップS3において、情報入力部11により距離感情報が入力されて、距離感表現部14により距離感情報が取得される。
【0067】
次に、ステップS4において、距離感表現部14は、ステップS3にて取得した距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)であるか否かを判断する。
【0068】
ステップS3にて取得された距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)であると判断した場合には、ステップS5において、距離感表現部14は、ステップS2にて取得された音声情報に対して、例えばボコーダの合成フィルタ処理をする。これにより、ステップS2にて取得された音声情報に含まれる抑揚が落とされる。そして、処理はステップS6に移行する。一方、ステップS3にて取得された距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)でないと判断した場合には、処理はステップS6に移行する。
【0069】
次に、ステップS6において、距離感表現部14は、ステップS3にて取得された距離感情報に応じた位置ベクトルを取得する。そして、ステップS7において、距離感表現部14は、ステップS6にて取得された位置ベクトルに応じた位置に相手の音声などが音源定位されるように、音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0070】
具体的には、ステップS3にて取得された距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)である場合には、距離感表現部14は、例えば、ステップS6にて算出された位置ベクトルに応じて、ユーザの斜め前方に音源が定位されるように、音声情報に対して、例えば3次元音響処理を施して音声出力部15に供給する。
【0071】
ステップS3にて取得された距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)である場合には、距離感表現部14は、例えば、ステップS6にて取得された位置ベクトルに応じて、ユーザの前方に音源が定位されるように、音声情報に対して、例えば3次元音響処理を施して音声出力部15に供給する。
【0072】
ステップS3にて取得された距離感情報が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感とを近くするための距離感情報(例えば数値「1」)である場合には、距離感表現部14は、例えば、ステップS6にて取得された位置ベクトルに応じて、ユーザの側方に音源が定位されるように、音声情報に対して、例えば3次元音響処理を施して音声出力部15に供給する。
【0073】
その後、ステップS8において、通話を終了するための操作がなされた場合には処理は終了となり、通話を終了するための操作がなされずに通話が継続された場合には処理はステップS1に戻る。
【0074】
この発明の第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
従来では、ささやき声のような周波数信号処理のみで近距離感を表すので、近距離感の表現が不十分であり、腹話術効果のようなクロス・モーダルな効果によって、視覚像の位置に音源位置が引っ張られてしまう。これに対して、この第1の実施形態では、3次元音響処理により実際に近距離に音源定位するので、近距離感を十分に表現できる。
【0075】
また、ユーザの入力する距離感情報に応じて、情報の効果的な提示を行うことができ、感情豊かで、かつストレスのない情報提示を実現できる。すなわち、心理的距離感を変えるようなフィルタ処理を通信装置などに付加するので、親しい人や好きな人とは近い心理的距離感でコミュニケーションを行い、知らない人や嫌いな人とは遠い心理的距離感でのコミュニケーションを実現することができる。したがって、親しい人や好きな人とのコミュニケーションはより楽しくなり、知らない人や嫌いな人とのコミュニケーションではストレスがたまりにくくなる。
【0076】
(1−5)第1の実施形態の変形例
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上述の第1の実施形態では、ユーザが情報入力部11により距離感情報を入力する場合を例として説明したが、相手の電話番号と距離感情報とを予め関連付けてアドレス帳に登録しておき、電話をかけるときにアドレス帳から相手の電話番号とともに距離感情報を読み出して、距離感表現部14に供給するようにしてもよい。
【0077】
この場合、通信装置1がメモリをさらに備え、このメモリに対して相手の氏名または名称と相手の通信装置の電話番号と相手の距離感情報とが関連付けられたアドレス帳を記憶しておくようにする。このメモリとしては、例えばEEPROM(Electrical Erasable Programmable ROM)などの書換可能なROMを用いることができる。
【0078】
相手に電話をかける場合には、例えば、表示部などにアドレス帳に登録された氏名または名称を一覧表示する。そして、この一覧から所望の氏名または名称が選択されると、選択された氏名または名称に関連付けられた電話番号と距離感情報とがアドレス帳から読み出され、電話番号が通信部13に供給され、距離感情報が距離感表現部14に供給される。通信部13は、アドレス帳から読み出された電話番号を有する相手の通信装置に電話をかけ、距離感表現部14は、アドレス帳から読み出された距離感情報に応じて、通信部13から供給される相手の音声情報を変換して音声出力部15に供給する。
【0079】
また、音源位置に仮想的に定位された相手の、ユーザに対する顔の向き(口の向き)を考慮して、音源位置から発せされる音声を変化させるようにしてもよい。この相手の顔の向きに応じた音声の変化は、例えば、音声情報をイコライジング(周波数特性操作)することにより表すことができる。
【0080】
相手の顔がユーザの方向を向いていれば相手の音声は明瞭になり、相手の顔がユーザの方向とは反対方向を向いていれば相手の音声は不明瞭になる。また、de Gar Kulkaの一般原則によれば、2kHz〜6kHzの周波数帯域が明瞭度に関係している。したがって、ユーザに対する相手の顔の向きに応じて、音声情報の2kHz〜6kHzの帯域を例えばバンドパスフィルタにより減衰させることにより、ユーザに対する相手の顔の向きに応じた相手の音声の変化を表すことができる。例えば、相手の顔がユーザの方向から逸れるに従って、音声情報の2kHz〜6kHzの帯域を例えばバンドパスフィルタにより徐々に減衰させるようにする。
【0081】
例えば、ユーザの正面の位置に音源を定位した場合には、バンドパスフィルタを用いて減衰させる量S(0.0〜1.0)は、物理的距離感のパラメータの方向ベクトルDVとベクトル(0.0,1.0,0.0)との内積に比例した以下の値とすることができる。
S=(DV・(0.0,1.0,0.0)+1.0)/2.0
(「・」はベクトルの内積)
【0082】
また、上述の第1の実施形態では、距離感情報が情報入力部11により入力されて、距離感表現部14に供給される場合を例として示したが、距離感情報が通信部13により受信されて、距離感表現部14に供給されるようにしてもよい。この場合、通信装置1に備えられた各部は、例えば以下のように動作する。
【0083】
通信部13が、相手の距離感情報および音声情報を受信し、この受信した相手の距離感情報および音声情報を受信し復号化して距離感表現部14に供給する。そして、距離感表現部14が、情報入力部11から供給される距離感情報に基づき、通信部13から供給される音声情報を変換して音声出力部15に供給する。また、通信部13は、情報入力部11から供給された距離感情報と、音声入力部12から供給された音声情報とを符号化して送信する。
【0084】
また、ユーザと相手の両方の距離感情報を用いて距離感操作をすることも可能である。例えば、通信装置1がユーザの音声情報とともにユーザの距離感情報をさらに送信可能な構成である場合には、通信装置1が送信したユーザの距離感情報と、通信装置1が受信した相手の距離感情報との両方が、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)であるときには、携帯電話などの通信装置1に備えられたバイブレータを振動させるようにしてもよい。
【0085】
また、上述の第1の実施形態では、距離感表現部14が心理的距離感表現部および物理的距離感表現部の両方を備える構成を例として説明したが、距離感表現部14が心理的距離感表現部および物理的距離感表現部のいずれか一方のみを備える構成としてもよい。また、ユーザが、必要に応じて心理的距離感表現部および物理的距離感表現部のうちから、所望のものを選択できる構成としてもよい。この構成とする場合には、例えば、心理的距離感表現部および物理的距離感表現部のうちどちらを駆動させるかを情報入力部11により選択できるようにすることができる。
【0086】
また、上述の第1の実施形態では、ユーザの音声情報を変換せずに相手に送信する場合を例として説明したが、ユーザの音声情報を情報入力部11から供給される距離感情報に応じて変換して送信するようにしてもよい。
【0087】
図8は、ユーザの音声情報を距離感情報に応じて変換して送信する通信装置1aの一構成例を示すブロック図である。この通信装置1aは、情報入力部11、音声入力部12、通信部13a、距離感表現部14aおよび音声出力部15を備える。ここでは、上述の第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
距離感表現部14aが、音声入力部12から供給される音声情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて変換して、通信部13aに供給する。例えば、距離感表現部14aは、音声入力部12から供給された音声情報をA/D変換し、このA/D変換された音声情報に含まれる感情情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて制御して通信部13aに供給する。通信部13aが、距離感表現部14aから供給された音声情報を符号化して送信する。これ以外のことは上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0089】
(2)第2の実施形態
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、音声情報を送受信する通信装置に対してこの発明を適用した例について説明したが、この第2の実施形態では、データベースに格納されたコンテンツを読み出して再生する再生装置について説明する。
【0090】
(2−1)第2の実施形態による再生装置の構成
図9は、この発明の第2の実施形態による再生装置20の一構成例を示すブロック図である。再生装置20と同様の機能は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ(電子計算機)でも実現可能である。ここでは、上述の第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
通信部21は、インターネットなどのネットワーク22を介してデータベース23に接続される。このネットワーク22を介して通信部21はデータベース23と情報のやり取りをする。例えば、通信部21は、データベースにコンテンツの送信を要求し、この要求に応じてデータベースから送信されるコンテンツを受信し、距離感表現部21に供給する。
【0092】
データベース23にはコンテンツが格納されている。ここで、コンテンツは、例えばアーティストの音声メッセージなどの音声情報である。データベース23は、例えば、再生装置20からの要求に応じて、コンテンツを再生装置20に送信する。
【0093】
この第2の実施形態では以下の効果を得ることができる。
コンテンツが例えば好きなアーティストの音声メッセージである場合には、音声メッセージをユーザの近くの横並びに音源定位することによって、アーティストの音声メッセージを近い距離感で、親密に語りかけられているように聴くことができる。
【0094】
(2−2)第2の実施形態の変形例
次に、第2の実施形態による再生装置20の変形例について説明する。第2の実施形態による再生装置20において、コンテンツを記憶する不揮発性メモリなどの記憶手段をさらに備え、この記憶手段から読み出されたコンテンツに対して、距離感表現部14にて処理を施すようにしてもよい。
【0095】
(3)第3の実施形態
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では音声情報を距離感情報に応じて変換する場合について説明したが、この第3の実施形態では映像情報を距離感情報に応じて変換する場合について説明する。
【0096】
(3−1)第3の実施形態の概要
まず、この発明の第3の実施形態の概要について説明する。心理学では、人間の瞳孔の大きさと、相手に対して感じる魅力との間には関係があることが知られている。瞳孔は関心や興味により、直径で30%、面積で70%拡大する。人間は、相手の瞳孔が拡大すると、相手が自分に対して関心や興味を抱いていると無意識に判断してしまう。すなわち、相手の瞳孔が拡大すると、相手に対して感じる魅力が増大する。このように、相手の魅力が増大すれば、相手との距離感は近くなる。
【0097】
この第3の実施形態は、映像として映し出される人物などの瞳孔部分の大きさを画像処理により変えることによって、ユーザと映像として映し出される人物などとの距離感を調整するものである。
【0098】
(3−2)第3の実施形態による映像処理装置の構成
図10は、この発明の第3の実施形態による映像処理装置30の一構成例を示すブロック図である。この映像処理装置30は、情報入力部11、映像入力部31、距離感表現部32および映像出力部33を備える。ここでは、上述の第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
映像入力部31は、外部から映像情報などを取得する。距離感表現部32は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、映像入力部31から供給された映像情報を変換して映像出力部33に供給する。この映像入力部31は、例えば、映像情報を記憶可能に構成されたフラッシュメモリまたは光ディスクなどから映像情報を読み出して取得する情報読みとり手段である。なお、映像入力部31に代えて、映像情報を受信して距離感表現部32に供給する通信部を備えるようにしてもよい。
【0100】
距離感表現部32は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、通信手段などを介したユーザと相手との距離感、すなわち、映像出力部33にて映し出される人物とユーザとの距離感を変更する情報変換装置である。すなわち、距離感表現部32は、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、映像入力部31から供給される映像情報を変換して映像出力部33に供給する。
【0101】
距離感表現部32では、例えば、目の領域を抽出し、この目の領域から瞳孔領域を抽出し、この瞳孔領域を拡大または縮小して原画像に重ね合わせる。目の領域および瞳孔領域の抽出方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば以下の方法を用いることができる。すなわち、映像情報の原画像を2値化し、得られた2値画像から目の領域を例えば楕円とのフィッティングにより抽出する。そして、抽出した目の領域から瞳孔領域を例えば黒い部分として色で抽出する。
【0102】
映像出力部33は、距離感表現部32から供給される映像情報に基づき映像を表示する表示装置であり、この表示装置としては、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイを使用できる。なお、距離感情報については上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0103】
(3−3)第3の実施形態による距離感表現部
図11Aは瞳孔を拡大する前の人物像の一例を示し、図11Bは瞳孔を拡大した後の人物像の一例を示す。図12Aは、瞳孔を縮小する前の人物像の一例を示し、図12Bは、瞳孔を縮小した後の人物像の一例を示す。
【0104】
距離感表現部32は、例えば、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔の大きさが変わるように、映像入力部31から供給される映像情報を変換する。
【0105】
具体的には、距離感表現部32は、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔がより大きくなるように、映像入力部31から供給される映像情報を変換する(図11Aおよび図11B参照)。このように、瞳孔領域を拡大することにより、映像出力部33に表示される人物などにユーザがより魅力を感じられるようにできる。したがって、ユーザと映像出力部33に表示される人物などとの距離感をより近くすることができる。
【0106】
それに対して、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部32は、例えば、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔がより小さくなるように、映像入力部31から供給される映像情報を変換する(図12Aおよび図12B参照)。このように、瞳孔領域を縮小することにより、映像出力部33に表示される人物などにユーザが魅力を感じられなくなるようにできる。したがって、ユーザと映像出力部33に表示される人物などとの距離感をより遠くすることができる。
【0107】
より具値的には、距離感表現部32は、映像入力部31から供給される映像情報を以下のように変換する。通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部32は、例えば、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔が元の瞳孔の大きさの130%に拡大されるように、映像入力部31から供給される映像情報を変換して映像出力部33に出力する。
【0108】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部32は、例えば、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔が拡大・縮小されず原画像のままとなるように、映像入力部31から供給された映像情報を変換して映像出力部33に供給する。
【0109】
通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部11から供給された場合には、距離感表現部32は、例えば、映像出力部33に表示される人物などの瞳孔が元の瞳孔の大きさの70%に縮小されるように、映像入力部31から供給される映像情報を変換して映像出力部33に出力する。
【0110】
(3−4)第3の実施形態による映像処理装置の動作
図13は、この発明の第3の実施形態による映像処理装置30の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0111】
まず、ステップS11において、映像入力部31が映像情報の取得を行い、映像情報の取得に成功した場合には処理はステップS13に移行し、映像情報の取得に成功しなかった場合には、ステップS12において、処理はステップS11に戻る。
【0112】
次に、ステップS13において、距離感表現部32が、映像入力部31にて取得された映像情報の原画像を2値化する。そして、ステップS14において、距離感表現部32が、2値化画像から目の領域を、例えば楕円とフィッティングすることにより抽出し、抽出に成功した場合には処理はステップS16に移行し、抽出に成功しなかった場合には、ステップS15において、処理はステップ11に戻る。
【0113】
次に、ステップS16において、距離感表現部32が、ステップS14にて抽出された目の領域から瞳孔領域を例えば黒い部分として色で抽出し、瞳孔領域の抽出に成功した場合には、処理はステップS18に移行し、瞳孔領域の抽出に成功しなかった場合には、ステップS17において処理はステップS11に戻る。
【0114】
次に、ステップS18において、情報入力部11により距離感情報が入力され、距離感情報部32により距離感情報が取得される。なお、映像処理装置30にメモリをさらに備え、このメモリに情報入力部11により入力された距離感情報を予め記憶しておき、ステップS18において、予め記憶された距離感情報をメモリから読み出すようにしてもよい。
【0115】
次に、ステップS19において、距離感表現部32が、ステップS18にて取得された距離感情報に応じて、ステップS16にて抽出された瞳孔領域を拡大または縮小する。距離感表現部32は、例えば、以下のように距離感情報に応じて瞳孔領域を拡大または縮小する。
【0116】
ステップS18にて取得された距離感情報がユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)である場合には、距離感表現部32が、ステップS16にて抽出された瞳孔領域を拡大する。
【0117】
ステップS18にて取得された距離感情報がユーザと相手との距離感を普通にするための距離感情報(例えば数値「0」)である場合には、距離感表現部32が、ステップS16にて抽出された瞳孔領域を拡大または縮小を行わずに原画像のままとする。
【0118】
ステップS18にて取得された距離感情報がユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)である場合には、距離感表現部32は、ステップS16にて抽出された瞳孔領域を縮小する。
【0119】
次に、ステップS20において、距離感表現部32が、ステップ19にて縮小または拡大した瞳孔領域を原画像の瞳孔領域に重ね合わせる。次に、ステップS21において、映像の取得を終了するための操作がなされた場合には処理は終了となり、映像の取得を終了するための操作がなされずに映像の取得が継続された場合には処理はステップS11に戻る。
【0120】
(3−5)第3の実施形態の変形例
次に第3の実施形態の変形例について説明する。上述の第3の実施形態では、映像情報を入力する場合を例として示したが、映像情報を出力するようにしてもよい。この場合には、例えば、映像処理装置30が、映像入力部31に代えて、映像情報を入出力する入出力部を備えるとともに、映像を入力するための映像入力部をさらに備える。入出力部は外部から入力された映像情報を距離感表現部32に供給する。また、入出力部は、映像入力部から供給された映像情報を外部に出力する。これ以外のことは上述の第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0121】
また、外部に映像情報を出力する構成とする場合には、情報入力部11により入力された距離感情報に応じて、外部に出力する映像情報を変換して出力するようにしてもよい。この場合には、例えば、映像処理装置30が、映像入力部31に代えて、映像情報を入出力する入出力部を備えるとともに、映像を入力するための映像入力部をさらに備える。距離感表現部32は、情報入力部11により入力された距離感情報に応じて、映像入力部から供給される映像情報を変換して入出力部に供給する。入出力部は、距離表現部32から供給された映像情報を外部に出力する。また、入出力部は外部から入力された映像情報を距離感表現部32に供給する。これ以外のことは上述の第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0122】
なお、上述の映像入力部としては、例えば、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを備えたカメラ装置を使用できる。
【0123】
(4)第4の実施形態
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、音声情報のみを距離感情報に応じて変換して送信する場合について説明したが、この第4の実施形態は、音声情報および画像情報の両方を距離感情報に応じて変換して送信する場合について説明する。
【0124】
(4−1)第4の実施形態による通信装置の構成
図14は、この発明の第4の実施形態による通信装置40の一構成例を示すブロック図である。この通信装置40は、情報入力部11、音声入力部12、映像入力部41、音声出力部15、映像出力部33、通信部42および距離感表現部43を備える。距離感表現部43は、第1の距離感表現部44および第2の距離感表現部45を備える。ここでは、上述の第1および第2の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
映像入力部41は、ユーザなどの被写体を撮影し、映像情報を通信部42に出力する撮影装置であり、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを備えたカメラ装置である。
【0126】
通信部42は、音声情報および画像情報を受信して複合化して、音声情報を第1の表現部44に供給し、映像情報を第2の表現部45に供給する。また、通信部42は、音声入力部12から供給された音声情報および映像入力部41から供給された画像情報を符号化して送信する。
【0127】
第1の距離感表現部44は、第1の実施形態による距離感表現部14と同様であるので説明を省略する。第2の距離感表現部45は、第3の実施形態による距離感表現部32と同様であるので説明を省略する。
【0128】
(4−2)第4の実施形態の変形例
上述の第1の実施形態では、音声入力部12により入力された音声情報と、映像入力部41により入力された映像情報とを変換せずに送信する場合を例として説明したが、音声入力部12により入力された音声情報と、映像入力部41により入力された映像情報とを、
情報入力部11から供給される距離感情報に応じて変換して送信するようにしてもよい。
【0129】
図15は、音声情報および映像情報を距離感情報に応じて変換して送信する通信装置40aの一構成例を示すブロック図である。距離感表現部43aは、第1の距離感表現部44aおよび第2の距離感表現部45aを備える。
【0130】
第1の距離感表現部44aは、音声入力部12から供給される音声情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて変換して通信部42aに供給する。例えば、第1の距離感表現部44aは、音声入力部12から供給された音声情報をA/D変換し、このA/D変換された音声情報に含まれる感情情報を制御して通信部42aに供給する。
【0131】
第2の距離感表現部45aは、映像入力部41から供給される映像情報を、情報入力部11から供給される距離感情報に応じて変換して通信部42aに供給する。
【0132】
通信部42aは、第1の距離感表現部44aから供給された音声情報と、第2の距離感表現部45aから供給された映像情報とを符号化して送信する。これ以外のことは、上述の第4の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0133】
以上、この発明の第1〜第4の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の第1〜第4の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0134】
例えば、上述の第1〜第4の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0135】
また、上述の第1〜第4の実施形態では、映像情報および/または音声情報を距離感情報に応じて変換する場合を例として示したが、光または振動に関する情報を距離感情報に応じて変換するようにしてもよい。
【0136】
例えば、光に関する情報を距離感情報に応じて変換する場合には、通信装置の構成を、例えば以下のようにすることができる。通信装置は、距離感情報を入力するための入力部と、生体の心拍を検出し心拍情報として出力するための検出手段と、検出手段から出力された心拍情報の送信または心拍情報の受信を行う通信部と、受信部により受信された心拍情報を、入力部により入力された距離感情報に応じて変換する距離感表現部と、距離感情報により変換された心拍情報に応じた発光を行う発光手段とを備える。なお、検出手段は、例えば、手首などの生体に装着して心拍を検出可能な圧力センサである。
【0137】
上述の通信装置は例えば以下のように動作する。まず、通信部が相手の心拍情報を受信して距離感表現部に供給する。距離感表現部は、入力部から供給される距離感情報に応じて通信部から供給される心拍情報を変換して発光装置に供給する。具体的には、入力部から供給される距離感情報に応じて心拍の速度が変わるように、通信部から供給される心拍情報を変換して発光装置に供給する。LED(Light Emitting Diode)などを備えた発光手段は、距離感表現部から供給される心拍情報に応じて点滅する。具体的には、発光手段は、心拍情報に基づき心拍に同期して点滅する。
【0138】
距離感表現部は、例えば以下のように心拍情報を変換する。通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、発光手段の点滅がより速くなるように、通信部から供給される心拍情報を変換して発光手段に供給する。
【0139】
一方、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、発光手段の光の点滅がより遅くなるように、通信部から供給される心拍情報を変換して発光手段に供給する。
【0140】
また、上述の第1、第2および第4の実施形態において、距離感表現部が、音声の残響、周波数特性または音量が変わるように、通信部から供給される音声情報を変換するようにしてもよい。
【0141】
音声出力部から出力される音声の残響を変える場合には、距離感表現部は、例えば以下のように動作する。通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声出力部から出力される音声の残響がより短くなるように、通信部から供給される音声情報を変換して音声出力部に供給する。一方、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声出力部から出力される音声の残響がより長くなるように、通信部から供給される音声情報を変換して音声出力部に供給する。
【0142】
音声出力部から出力される周波数特性を変える場合には、距離感表現部は、例えば以下のように動作する。通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声出力部から出力される音声がささやき声となるように、通信部から供給される音声情報を変換して音声出力部に供給する。例えば、音声情報に所定のノイズを加えるなどしてささやき声を模したようにして音声出力部に供給する。一方、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声情報の高域成分をカットして音声出力部に供給する。
【0143】
音声出力部から出力される音声の音量を変える場合には、距離感表現部は、例えば以下のように動作する。通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより近くするための距離感情報(例えば数値「1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声出力部から出力される音声の音量が大きくなるように、通信部から供給される音声情報を変換して音声出力部に供給する。一方、通信手段などを介したユーザと相手との距離感をより遠くするための距離感情報(例えば数値「−1」)が情報入力部から供給された場合には、距離感表現部は、音声出力部から出力される音声の音量が小さくなるように、通信部から供給される音声情報を変換して音声出力部に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】この発明の第1の実施形態の概要を説明するための概略図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】3次元音響による音源定位位置の一例を示す略線図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による物理的距離感表現部の一構成例を示すブロック図である。
【図5】音源定位部の一構成例を示すブロック図である。
【図6】音源定位部の他の構成例を示すブロック図である。
【図7】この発明の第1の実施形態による情報変換装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の第1の実施形態の変形例による通信装置の一構成例を示すブロック図である
【図9】この発明の第2の実施形態による再生装置の一構成例を示すブロック図である。
【図10】この発明の第3の実施形態による映像処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図11】図11Aは瞳孔を拡大する前の人物像の一例を示す略線図、図11Bは瞳孔を拡大した後の人物像の一例を示す略線図である。
【図12】図12Aは、瞳孔を縮小する前の人物像の一例を示す略線図、図12Bは、瞳孔を縮小した後の人物像の一例を示す略線図である。
【図13】この発明の第3の実施形態による映像処理装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】この第4の実施形態による通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図15】音声情報および映像情報を距離感情報に応じて変換して送信する通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図16】山根一郎により提案されている心理的距離の概念図である。
【図17】通信手段などを介したコミュニケーションにおける心理的距離の概念図である。
【符号の説明】
【0145】
1,40,40a 通信装置
1a 再生装置
11 入力部
12 音声入力部
13 通信部
14,14a,32,43 距離感表現部
15 音声出力部
30 映像処理装置
31,41 映像入力部
33 映像出力部
44,44a 第1の距離感表現部
45,45a 第2の距離感表現部
101 ボコーダ
102 係数生成部
103 音源定位部
104 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心理的距離感情報を入力する入力手段と、
上記入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力する変換手段と
を備えることを特徴とする情報変換装置。
【請求項2】
上記知覚データは、オーディオデータであることを特徴とする請求項1記載の情報変換装置。
【請求項3】
上記変換手段は、上記オーディオデータの抑揚を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項4】
上記変換手段は、上記オーディオデータの音量を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項5】
上記変換手段は、上記オーディオデータの残響を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項6】
上記変換手段は、上記オーディオデータの周波数特性を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項7】
上記変換手段は、上記心理的距離感情報に応じた位置に上記オーディオデータの音源が定位するように、上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項8】
上記音源の定位が、3次元音響処理によりなされることを特徴とする請求項7記載の情報変換装置。
【請求項9】
上記変換手段は、
上記心理的距離感情報が心理的距離をより近くすることを示す情報である場合には、上記オーディオデータの音源位置をユーザの側方に定位させ、
上記心理的距離感情報が心理的距離をより遠くすることを示す情報である場合には、上記オーディオデータの音源位置をユーザの斜め前方に定位させることを特徴とする請求項7記載の情報変換装置。
【請求項10】
上記オーディオデータの明瞭度を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項11】
上記オーディオデータが、電話通話により得られた音声データであることを特徴とする請求項2記載の情報変換装置。
【請求項12】
上記知覚データは、人物を含む映像に関する映像データであることを特徴とする請求項1記載の情報変換装置。
【請求項13】
上記変換手段は、上記人物の瞳孔の大きさが変わるように、上記映像データを変換することを特徴とする請求項12記載の情報変換装置。
【請求項14】
上記知覚データが外部から入力されることを特徴とする請求項1記載の情報変換装置。
【請求項15】
入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力することを特徴とする情報変換方法。
【請求項16】
知覚データを受信または送信する通信手段と、
心理的距離感情報を入力する入力手段と、
上記入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて、知覚データを変換して出力する変換手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項17】
上記知覚データは、オーディオデータであることを特徴とする請求項16記載の通信装置。
【請求項18】
上記変換手段は、上記オーディオデータの抑揚を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項19】
上記変換手段は、上記オーディオデータの音量を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項20】
上記変換手段は、上記オーディオデータの残響を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項21】
上記変換手段は、上記オーディオデータの周波数特性を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項22】
上記変換手段は、上記心理的距離感情報に応じた位置に上記オーディオデータの音源が定位するように、上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項23】
上記音源の定位が、3次元音響処理によりなされることを特徴とする請求項22記載の通信装置。
【請求項24】
上記変換手段は、
上記心理的距離感情報が心理的距離をより近くすることを示す情報である場合には、上記オーディオデータの音源位置をユーザの側方に定位させ、
上記心理的距離感情報が心理的距離をより遠くすることを示す情報である場合には、上記オーディオデータの音源位置をユーザの斜め前方に定位させることを特徴とする請求項22記載の通信装置。
【請求項25】
上記オーディオデータの明瞭度を変えるように上記変換をすることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項26】
上記オーディオデータが、電話通話により得られた音声データであることを特徴とする請求項17記載の通信装置。
【請求項27】
上記知覚データは、人物を含む映像に関する映像データであることを特徴とする請求項16記載の通信装置。
【請求項28】
上記変換手段は、上記人物の瞳孔の大きさが変わるように、上記映像データを変換することを特徴とする請求項27記載の通信装置。
【請求項29】
上記知覚データが外部から入力されることを特徴とする請求項16記載の通信装置。
【請求項30】
通信手段により知覚データを受信し、該知覚データを入力手段により入力された心理的距離感情報に応じて変換して出力することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−140595(P2006−140595A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326445(P2004−326445)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】