説明

情報提供システム、情報提供装置、情報提供プログラム、および情報提供方法

【課題】 各競技者が目標とする申告時間と通過時間との時間差を、競技中に関係者等に提供するシステムを提供する。
【解決手段】 スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5が無線ICタグ2から読み取った競技者IDをサーバ11に送信する。サーバ11は、データベース12があらかじめ記憶している申告時間を読み出し、通過時間と申告時間との時間差を算出し、算出した時間差と通過時間とを、競技者が所持する競技者端末16またはコーチなどが所持する会員携帯端末15に電子メールで送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ定められた距離を移動するのに要する時間を競うようなマラソン等の競技会で、競技者が所定距離を移動するのに要した時間に関する情報を競技者または第三者に提供する情報提供システム、情報提供装置、情報提供プログラム、および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老若男女を問わず、スポーツと親しむことが盛んになり、マラソンやクロスカントリーなどの競技会に参加する人が増加している。このような競技会において、目標時間を設定する参加者も多い。
【0003】
また、公式競技会では、順位だけではなく、時間の記録は重要な要素であり、テレビジョン放送において、記録を即座に画面上に表示させることは、視聴者サービスの差異化につながることもあり、様々な工夫がなされている。例えば、マラソンのテレビジョン放送では、5kmごとの通過地点における各選手のラップタイムを表示させることが多い。
【0004】
特許文献1に記載されているシステムは、競技者の競技時間、競技者による予想競技時間、および競技時間と予想競技時間との差とを競技終了後にスピーカ等で競技者や観客に通知する。
【0005】
特許文献2に記載されているシステムは、来場者が所持している非接触ICタグが記憶している識別情報を読み取り、識別情報に対応づけて記憶している来場者の携帯電話機の電子メールアドレスに競技等の情報を送信する。
【0006】
【特許文献1】特開平9−161114号公報 (段落0007〜0033、図1)
【特許文献2】特開2004−94431号公報 (段落0008〜0025、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載されているシステムは、競技中の競技者に競技の情報を提供することができない。
【0008】
そこで、本発明は、競技中の競技者や関係者に、競技者が所定距離を移動するのに要した時間に関する情報を提供する情報提供システム、情報提供装置、情報提供プログラム、および情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による情報提供システムは、移動物の移動経路に設置され、移動物に付随し少なくとも移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と、読み取り手段が記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、読み取り手段の設置場所を移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時手段と、読み取り手段の設置場所を移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶している目標時間と、計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算手段と、通過時間と時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
計時手段は、読み取り手段が記憶媒体から識別情報を読み取った時刻にもとづいて通過時間を計測してもよい。
【0011】
読み取り手段と通信ネットワークを介して通信を行うサーバを備えてもよく、計時手段、減算手段および送信手段は、サーバに搭載されていてもよい。
【0012】
所定の端末は、無線回線を介して送信手段と通信を行う携帯端末であってもよい。
【0013】
記憶手段は、送信手段の情報の送信先を示す情報を記憶してもよく、送信手段は、記憶手段が記憶している送信先を示す情報にもとづいて、情報を送信してもよい。
【0014】
送信手段が送信した情報に応じて課金する金額を算出し、算出した金額を記憶手段に記憶させる課金手段を含んでもよい。
【0015】
本発明による情報提供装置は、移動物の移動経路に設置され、移動物に付随し少なくとも移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と通信可能に接続される情報提供装置であって、情報提供装置は、読み取り手段が記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、読み取り手段の設置場所を移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時手段と、読み取り手段の設置場所を移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶している目標時間と、計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算手段と、通過時間と時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信手段とを含むことを特徴とする。
【0016】
記憶手段は、送信手段の情報の送信先を示す情報を記憶してもよく、送信手段は、記憶手段が記憶している送信先を示す情報にもとづいて、情報を送信してもよい。
【0017】
送信手段が送信した情報に応じて課金する金額を算出し、算出した金額を記憶手段に記憶させる課金手段を含んでもよい。
【0018】
本発明による情報提供プログラムは、移動物の移動経路に設置され、移動物に付随し少なくとも移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と通信可能に接続されるコンピュータに、読み取り手段の設置場所を移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶させる記憶処理と、読み取り手段が記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、読み取り手段の設置場所を移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時処理と、記憶手段が記憶している目標時間と、計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算処理と、通過時間と時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信処理とを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明による情報提供方法は、移動物に付随し少なくとも移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段を、移動物の移動経路に設置し、読み取り手段の設置場所を移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶し、記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、読み取り手段の設置場所を移動物が通過した時間である通過時間を計測し、記憶手段が記憶している目標時間と、計時手段が計測した通過時間との時間差を算出し、通過時間と時間差とを含む情報を所定の端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、読み取り手段が、移動物に付随している記憶媒体が記憶している情報を読み取った時間である通過時間と、通過時間と目標時間との時間差とを含む情報を提供することができる。
【0021】
請求項2および請求項3に記載されている発明によれば、読み取り手段が記憶媒体から識別情報を読み取った時刻にもとづいて、通過時間を計測して、所定の端末に情報を送信することができる。
【0022】
請求項4、請求項5、および請求項8に記載されている発明によれば、記憶手段が記憶している携帯端末等の送信先に情報を提供することができる。
【0023】
請求項6および請求項9に記載されている発明によれば、送信した情報に応じて、課金することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明による情報提供システムの実施の形態を説明する説明図である。なお、この実施の形態では、競技者がマラソン大会に出場する場合を例に説明する。
【0025】
この実施の形態の情報提供システムでは、移動物の移動経路としてのマラソンコースのスタート地点に設置され、移動物としての競技者を識別する情報である競技者IDを記憶する無線ICタグ(記憶媒体)2が記憶している競技者IDを読み取るスタート地点リーダ3と、マラソンコースの中間地点に設置され、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取る中間地点リーダ4と、マラソンコースのゴール地点に設置され、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取るゴール地点リーダ5とが設置されている。この実施の形態では、無線ICタグ2は、例えば、無線タグリーダが発する電波から電力を生成してID情報を発信するRFIDタグである。無線ICタグとして、内蔵した電池を電力源とするものを用いてもよい。
【0026】
また、情報提供システムは、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5に、第1の通信ネットワーク7を介して接続されるサーバ11と、サーバ11に提供する情報を記憶するデータベース(記憶手段)12とを含む。さらに、第2の通信ネットワーク(無線回線)8を介してサーバ11から情報を受信する競技者端末16、会員携帯端末15および会員固定端末17を含む。なお、データベース12は、サーバ11に内蔵されていてもよい。
【0027】
読み取り手段としてのスタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5は、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを無線で読み取り、読み取った競技者IDを、第1の通信ネットワーク7を介してサーバ11に送信する。
【0028】
スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5のアンテナは、図1に示すように、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを確実に読み取るため、例えば、ゲート(門)状に構成されていることが好ましい。
【0029】
スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5は、ゲートを構成する2本の柱とゲートを構成する横棒とで3辺を構成する面(ただし、横棒の幅分の厚みがある)を無線ICタグ2が通過した場合にのみ無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取ることが望ましい。そのため、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5の感度がよすぎると無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取る範囲が広くなるため、好ましくない。また、無線ICタグ2が発する電波の周波数が高いと指向性が強くなり、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5が無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取る範囲を限定することができるので、無線ICタグ2が発する電波の周波数は高いことが好ましい。
【0030】
なお、この実施の形態では、スタート地点とゴール地点との間の中間地点に、中間地点リーダ4が設置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の地点(例えば、スタート地点から10kmや、30kmの地点等の複数の任意の地点)に、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取るリーダが設置されていてもよい。
【0031】
また、無線ICタグ2は、各競技者の過去の記録等の情報である付随情報を記憶していてもよい。
【0032】
第1の通信ネットワーク7は、例えば、インターネットによって実現され、第2の通信ネットワーク8は、例えば、インターネットと、携帯電話通信網とによって実現される。
【0033】
携帯端末としての競技者端末16は、例えば、携帯電話機等の移動通信端末によって実現され、競技者は競技中に競技者端末16を携帯している。携帯端末としての会員携帯端末15は、例えば、携帯電話機等の移動通信端末によって実現され、競技者のコーチ等が携帯している。会員固定端末17は、例えば、パーソナルコンピュータによって実現される。
【0034】
サーバ11およびデータベース12は、例えば、マラソン大会を運営する運営者が管理する情報管理センタ10に設置され、サーバ11は、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5が無線ICタグ2から読み取った競技者IDをデータベース12に記憶させたり、データベース12が記憶している情報と、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5が無線ICタグ2から読み取った競技者IDとにもとづいて、情報を第2の通信ネットワーク8を介して競技者端末16、会員携帯端末15または会員固定端末17に送信する。
【0035】
図2は、本発明による情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。データベース12は、各競技者があらかじめ申告した過去の記録である自己記録、目標とする記録である申告時間(移動物が通過することを予定する目標時間)、実際の競技者の記録である通過時間(読み取り手段の設置場所を移動物が通過した時間)、および申告時間と通過時間との差である時間差を記憶する競技者情報データベース12aを含む。また、データベース12は、サーバ11が情報を提供する会員の会員IDと、会員のメールアドレスと、会員に提供する情報の競技者を示す競技者IDと、会員に課金する金額である利用料金とを記憶するメール情報データベース12bを含む。データベース12は、さらに、第2の通信ネットワーク8としてのインターネットを介して接続した会員固定端末17などの端末装置に提供する情報を記憶するWeb情報データベース12cを含む。Web情報データベース12cは、競技に関する諸情報をあらかじめ記憶し、要求に応じて、コーチ待機室や移動車両内などの所定場所に設置された会員固定端末17などの端末装置に情報を提供する。
【0036】
図3は、競技者情報データベース12aが記憶している情報の一例を示す説明図である。図3に示す例では、競技者情報データベース12aは、競技者IDがaである競技者は、中間地点の自己記録がTa1pであり、ゴール地点の自己記録がTa1gであり、中間地点の申告時間がTa2pであり、ゴール地点の申告時間がTa2gであり、中間地点の通過時間がTa3pであり、ゴール地点の通過時間がTa3gであり、中間地点の時間差がTa2p−Ta3pであり、ゴール地点の時間差がTa2g−Ta3gであることを示している。
【0037】
なお、中間地点以外の場所(例えば、10km地点等)に、無線ICタグ2を読み取るリーダを設置した場合、競技者情報データベース12aは、その地点における通過時間、自己記録、申告時間および時間差を記憶してもよい。
【0038】
図4は、メール情報データベース12bが記憶している情報の一例を示す説明図である。図4に示す例では、メール情報データベース12bは、会員IDがxである会員は、情報を受信する端末(競技者端末16または会員携帯端末15、会員固定端末17であってもよい)の電子メールアドレスがMxであり、電子メールアドレスMxに送信する情報の競技者IDはaであり、利用料金はCxであることを示している。
【0039】
情報処理装置(コンピュータ)であるサーバ11は、情報を送信する送受信部(送信手段)21、送受信部21が情報を受信した時間を計測する計時部(計時手段)23、時間差を算出し、算出した時間差を競技者情報データベース12aに記憶させる減算部(減算手段)24、会員に課金する料金を算出する課金部(課金手段)25、および各部を制御する制御部22を含む。
【0040】
送受信部21は、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5から情報を受信し、競技者端末16、会員携帯端末15または会員固定端末17に情報を送信する。計時部23は、スタート地点リーダ3、中間地点リーダ4およびゴール地点リーダ5から送受信部21が情報を受信した時間を計測する。なお、計時部23は、それぞれの競技者に対応して設けられる。減算部24は、計時部23が計測した中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5から情報を受信した時刻と、競技者情報データベース12aが記憶している申告時間とにもとづいて時間差を算出し、算出した時間差を競技者情報データベース12aに記憶させる。課金部25は、会員の端末に送信した情報に応じて、会員に課金する料金を算出する。
【0041】
サーバ11は、送受信部21の機能(ハードウェアで実現される部分を除く)、計時部23の機能、減算部24の機能、課金部25の機能および制御部22の機能を、各機能を実現するためのプログラムに従って動作するCPUで実現する。
【0042】
次に、本発明の実施の形態の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【0043】
競技者または競技者の関係者(コーチなど)は、あらかじめ自己記録や申告時間などの情報を競技会の主催者に申告する。主催者または主催者側の補助員などは、申告された情報を、競技者IDに対応付けて競技者情報データベース12aに登録する。また、競技者IDを記憶した無線ICタグ2を競技者に配布する。競技者は、配布された無線ICタグ2を衣服などに付ける。なお、無線ICタグ2そのものを競技者に配布するのではなく、無線ICタグ2が付されたゼッケンなどの競技者が身につける形態のものを競技者に配布してもよい。また、競技者が競技者端末16を所持して競技を行う場合には、競技者端末16に貼付可能な無線ICタグ2を配布するようにしてもよい。
【0044】
また、競技者または競技者の関係者は、電子メールアドレスを競技会の主催者に申告する。主催者または主催者側の補助員などは、申告された電子メールアドレスを、競技者IDに対応付けてメール情報データベース12bに登録する。競技者または競技者の関係者は、競技者端末16に情報を送信させたい場合には競技者端末16の電子メールアドレスを申告し、関係者が所持する会員携帯端末15に情報を送信させたい場合には会員携帯端末15の電子メールアドレスを申告する。以下、会員携帯端末15の電子メールアドレスが申告された場合を想定する。
【0045】
競技者がスタート地点を通過すると、スタート地点リーダ3は、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取って(ステップS101)、読み取った競技者IDを第1の通信ネットワーク7を介してサーバ11の送受信部21に送信する(ステップS102)。
【0046】
制御部22は、送受信部21がスタート地点リーダ3から競技者IDを受信すると、計時部23の計時を0にリセットして、計時を開始する(ステップS103)。制御部22は、メール情報データベース12bを参照して、送受信部21が受信した競技者IDが示す競技者の情報を送信するべき電子メールアドレスを読み出す(ステップS104)。例えば、送受信部21がスタート地点リーダ3から受信した競技者IDがaであった場合、図4を参照すると、競技者IDaの情報を送信する電子メールアドレスはMxであるので、制御部22は、Mxを読み出す。
【0047】
制御部22は、送受信部21に、読み出した電子メールアドレスへ、競技者IDaである競技者がスタートしたことを示す電子メールを送信させる(ステップS105)。制御部22は、送受信部21に電子メールを送信させると、送信先の電子メールアドレスの会員に課金する料金を、課金部25に算出させ(ステップS106)、課金部25が算出した料金を、メール情報データベース12bに記憶させる。
【0048】
具体的には、制御部22は、送受信部21に、Mxへ電子メールを送信させると、電子メールアドレスがMxである会員に課金する料金を課金部25に算出させる。そして、課金部25が算出した料金を、電子メールアドレスがMxである会員(すなわち、会員IDがxである会員)の利用料金に加算してメール情報データベース12bに記憶させる。
【0049】
次に、競技者が中間地点を通過すると、中間地点リーダ4は、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取って(ステップS107)、読み取った競技者IDを第1の通信ネットワーク7を介してサーバ11の送受信部21に送信する(ステップS108)。
【0050】
制御部22は、送受信部21が中間地点リーダ4から競技者IDを受信すると、計時部23が計時している時刻を読み出す(ステップS109)。制御部22は、計時部23から読み出した時刻を、競技者情報データベース12aにおける送受信部21が受信した競技者IDの中間地点の通過時間の欄に書き込む(ステップS110)。例えば、競技者IDがaであって、計時部23から読み出した時刻がTa3pであった場合、制御部22は、Ta3pを競技者情報データベース12aにおける競技者IDaの中間地点の通過時間の欄に書き込む。競技者がスタートした時点で計時部23の計時が0にリセットされているので、すなわち、基準時刻に設定されているので、計時部23から読み出した時刻は、中間地点リーダ4が無線ICタグ2から競技者IDを読み取った時刻における基準時刻からの経過時間に相当する。そして、経過時間が、通過時間として競技者情報データベース12aに設定される。
【0051】
そして、制御部22は、競技者情報データベース12aから競技者の中間地点における申告時間を読み出し、送受信部21が受信した競技者IDと、読み出した申告時間と、計時部23から読み出した通過時間とを減算部24に出力する。減算部24は、制御部22が入力した申告時間から、通過時間を減算して時間差を算出し、算出した時間差を、競技者情報データベース12aにおける中間地点の時間差の欄に書き込む(ステップS111)。
【0052】
例えば、送受信部21が中間地点リーダ4から受信した競技者IDがaであって、aの中間地点の申告時間がTa2pであった場合、減算部24は、Ta2p−Ta3pを計算し、計算結果を競技者情報データベース12aにおける競技者IDaの中間地点の時間差の欄に書き込む。
【0053】
制御部22は、減算部24が算出した時間差を競技者情報データベース12aにおける中間地点の時間差の欄に書き込むと、時間差を書き込んだ競技者の情報を送信するべき会員の電子メールアドレスをメール情報データベース12bから読み出す(ステップS112)。
【0054】
制御部22は、送受信部21に、読み出した電子メールアドレスへ、中間地点における時間差の欄に書き込まれた情報と、中間地点における通過時間とを送信させる(ステップS113)。例えば、減算部24が時間差を書き込んだ競技者IDがaであった場合、メール情報データベース12bから競技者IDaの情報を送信するべき会員の電子メールアドレスであるMxを読み出し、送受信部21に、Mxへ中間地点における時間差と中間地点における通過時間とを送信させる。
【0055】
制御部22は、送受信部21に電子メールを送信させると、送信先の電子メールアドレスの会員に課金する料金を、課金部25に算出させ(ステップS114)、課金部25が算出した料金を、メール情報データベース12bに記憶させる。
【0056】
例えば、制御部22は、送受信部21に、Mxへ電子メールを送信させると、電子メールアドレスがMxである会員に課金する料金を課金部25に算出させる。そして、課金部25が算出した料金を、電子メールアドレスがMxである会員(すなわち、会員IDがxである会員)の利用料金に加算してメール情報データベース12bに記憶させる。
【0057】
次に、競技者がゴール地点を通過すると、ゴール地点リーダ5は、無線ICタグ2が記憶している競技者IDを読み取って(ステップS115)、読み取った競技者IDを第1の通信ネットワーク7を介してサーバ11の送受信部21に送信する(ステップS116)。
【0058】
制御部22は、送受信部21がゴール地点リーダ5から競技者IDを受信すると、計時部23が計時している時刻を読み出す(ステップS117)。制御部22は、計時部23から読み出した時刻を、競技者情報データベース12aにおける送受信部21が受信した競技者IDのゴール地点の通過時間の欄に書き込む(ステップS118)。具体的には、例えば、競技者IDがaであって、計時部23から読み出した時刻がTa3gであった場合、制御部22は、Ta3gを競技者情報データベース12aにおける競技者IDaのゴール地点の通過時間の欄に書き込む。
【0059】
そして、制御部22は、競技者情報データベース12aから競技者のゴール地点における申告時間を読み出し、送受信部21が受信した競技者IDと、読み出した申告時間と、計時部23から読み出した通過時間とを減算部24に出力する。減算部24は、制御部22が入力した申告時間から、通過時間を減算して時間差を算出し、算出した時間差を、競技者情報データベース12aにおけるゴール地点の時間差の欄に書き込む(ステップS119)。
【0060】
例えば、送受信部21がゴール地点リーダ5から受信した競技者IDがaであって、aのゴール地点の申告時間がTa2gであった場合、減算部24は、Ta2g−Ta3gを計算し、計算結果を競技者情報データベース12aにおける競技者IDaのゴール地点の時間差の欄に書き込む。
【0061】
制御部22は、減算部24が算出した時間差を競技者情報データベース12aにおけるゴール地点の時間差の欄に書き込むと、時間差を書き込んだ競技者IDの情報を送信するべき会員の電子メールアドレスをメール情報データベース12bから読み出す(ステップS120)。
【0062】
制御部22は、送受信部21に、読み出した電子メールアドレスへ、ゴール地点における時間差の欄に書き込まれた情報と、ゴール地点における通過時間とを送信させる(ステップS121)。例えば、減算部24が時間差を書き込んだ競技者IDがaであった場合、メール情報データベース12bから競技者IDaの情報を送信するべき会員の電子メールアドレスであるMxを読み出し、送受信部21に、Mxへゴール地点における時間差とゴール地点における通過時間とを送信させる。
【0063】
制御部22は、送受信部21に電子メールを送信させると、送信先の電子メールアドレスの会員に課金する料金を、課金部25に算出させ(ステップS122)、課金部25が算出した料金を、メール情報データベース12bに記憶させる。
【0064】
例えば、制御部22は、送受信部21に、Mxへ電子メールを送信させると、電子メールアドレスがMxである会員に課金する料金を課金部25に算出させる。そして、課金部25が算出した料金を、電子メールアドレスがMxである会員(すなわち、会員IDがxである会員)の利用料金に加算してメール情報データベース12bに記憶させる。
【0065】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、競技者のコーチ等の会員は、競技者が中間地点リーダ4、およびゴール地点リーダ5を通過した通過時間、および通過時間と申告時間との時間差の情報を会員携帯端末15で知ることができるため、競技者端末16を介して、競技者に適切な指示を送ることができる。
【0066】
また、サーバ11は、課金部25を備えるため、提供した情報に応じて、課金を行うことができる。
【0067】
なお、ここでは、サーバ11が情報を会員携帯端末15に送信する場合を例にしたが、メール情報データベース12bは、競技者端末16のメールアドレスを記憶し、サーバ11の送受信部21は、制御部22の制御に従って、情報を競技者端末16に送信してもよい。その場合には、競技者は、中間地点リーダ4を通過すると、通過時間、および通過時間と申告時間との時間差の情報を即時に知ることができる。従って、自身の走行状況を確認し、体調を考慮しながらペース配分を行うことができる。
【0068】
なお、送受信部21は、会員が情報の送信を要求した時に、情報を会員の端末に送信してもよいし、情報を表示する電光表示板や、テレビジョン放送局等の端末に情報を送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、マラソンや、クロスカントリー、スキー、自転車等の競技会で利用することができる。また、路線バスの運行経路にゲートを設置すると、路線バスの運行管理にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による情報提供システムの実施の形態を説明する説明図である。
【図2】本発明による情報提供システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】競技者情報データベースが記憶している情報の一例を示す説明図である。
【図4】メール情報データベースが記憶している情報の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
2 無線ICタグ
3 スタート地点リーダ
4 中間地点リーダ
5 ゴール地点リーダ
7 第1の通信ネットワーク
8 第2の通信ネットワーク
10 情報管理センタ
11 サーバ
12 データベース
12a 競技者情報データベース
12b メール情報データベース
12c Web情報データベース
15 会員携帯端末
16 競技者端末
17 会員固定端末
21 送受信部
22 制御部
23 計時部
24 減算部
25 課金部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動物の移動経路に設置され、前記移動物に付随し少なくとも前記移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と、
前記読み取り手段が前記記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時手段と、
前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している目標時間と、前記計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算手段と、
前記通過時間と前記時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信手段とを備えた
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
計時手段は、読み取り手段が記憶媒体から識別情報を読み取った時刻にもとづいて通過時間を計測する
請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
読み取り手段と通信ネットワークを介して通信を行うサーバを備え、
計時手段、減算手段および送信手段は、前記サーバに搭載されている
請求項1または請求項2記載の情報提供システム。
【請求項4】
所定の端末は、無線回線を介して送信手段と通信を行う携帯端末である
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項5】
記憶手段は、送信手段の情報の送信先を示す情報を記憶し、
前記送信手段は、前記記憶手段が記憶している前記送信先を示す情報にもとづいて、情報を送信する
請求項1から請求項4のうちいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項6】
送信手段が送信した情報に応じて課金する金額を算出し、算出した金額を記憶手段に記憶させる課金手段を含む
請求項1から請求項5のうちいずれか1項記載の情報提供システム。
【請求項7】
移動物の移動経路に設置され、前記移動物に付随し少なくとも前記移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と通信可能に接続される情報提供装置であって、
前記情報提供装置は、前記読み取り手段が前記記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時手段と、
前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している目標時間と、前記計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算手段と、
前記通過時間と前記時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信手段とを含む
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
記憶手段は、送信手段の情報の送信先を示す情報を記憶し、
前記送信手段は、前記記憶手段が記憶している前記送信先を示す情報にもとづいて、情報を送信する
請求項7記載の情報提供装置。
【請求項9】
送信手段が送信した情報に応じて課金する金額を算出し、算出した金額を記憶手段に記憶させる課金手段を含む
請求項7または請求項8記載の情報提供装置。
【請求項10】
移動物の移動経路に設置され、前記移動物に付随し少なくとも前記移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段と通信可能に接続されるコンピュータに、
前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶させる記憶処理と、
前記読み取り手段が前記記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過した時間である通過時間を計測する計時処理と、
前記記憶手段が記憶している目標時間と、前記計時手段が計測した通過時間との時間差を算出する減算処理と、
前記通過時間と前記時間差とを含む情報を所定の端末に送信する送信処理と
を実行させるための情報提供プログラム。
【請求項11】
移動物に付随し少なくとも前記移動物を識別する識別情報を記憶する記憶媒体が記憶している情報を読み取る複数の読み取り手段を、移動物の移動経路に設置し、
前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過することを予定する時間である目標時間をあらかじめ記憶し、
前記記憶媒体から読み取った情報にもとづいて、前記読み取り手段の設置場所を前記移動物が通過した時間である通過時間を計測し、
前記記憶手段が記憶している目標時間と、前記計時手段が計測した通過時間との時間差を算出し、
前記通過時間と前記時間差とを含む情報を所定の端末に送信する
ことを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−235864(P2006−235864A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47709(P2005−47709)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】