説明

情報機器

【課題】操作画面の劣化を抑え、なおかつ、当該操作画面を操作する手を操作画面の変化にかかわらずに安定的に表示する。
【解決手段】情報表示用ディスプレイ11と、操作画面40を表示する操作用ディスプレイ12と、前記操作用ディスプレイ12の操作画面40を撮影し撮影像31を出力する撮影装置13と、を備え、前記操作用ディスプレイ12に前記操作画面40に代えて抽出用画面41を間欠的に表示し、当該抽出用画面41が写った抽出対象映像31Aから前記操作画面40を操作する手9を抽出した映像であるブレンド用映像36を生成し、前記情報表示用ディスプレイ11に前記操作用ディスプレイ12の操作画面40と同じ視認用操作画面43を表示するための映像に、前記手9を抽出した映像であるブレンド用映像36を重ねて表示する車載情報機器1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部を操作する手をディスプレイに表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内で使用する情報量の増大に伴い、車両内に表示機器であるディスプレイを複数設置することが増えてきている。その際に、運転者に対しては車両の運転という作業とディスプレイを視認するという作業との同時並行作業を考慮するため、運転者がディスプレイを見る場合に、通常の運転状態からの視点の移動量を少なくするために、できるだけ運転者の前方にて遠い位置に各ディスプレイを設置することが通常である。この遠い位置に設置されたディスプレイは、運転者等の乗車者が通常状態ではタッチ等の操作により操作することが難しい位置に設置されることから、専ら情報表示を中心とした情報表示用ディスプレイとして使用されることが多い。
【0003】
また、従来の車載情報機器は、運転操作中の運転者の手がある程度届く位置に設けられており、そのため、この車載情報機器の操作部は、タッチパネル、もしくは、ディスプレイの周辺部分に配設されたボタンによって構成されることから、車載情報機器のディスプレイは操作を中心とした操作用ディスプレイとなる場合が多い。ただし、操作用ディスプレイは、運転操作中の運転者の手が届く範囲にあることから、必然的に、車載情報機器を操作する際の運転者の視点は、運転操作のために車両の前方に向けられた視点位置から大きくズレることになる。
【0004】
一方、車両の前方に情報表示用ディスプレイを設けつつ、運転操作中の運転者の手の届く位置に操作部を設けて、操作位置と表示位置とを分離し、なおかつ、操作部を操作する運転者の手をカメラで撮影し情報表示用ディスプレイに表示することで、運転者の前方に設置された情報表示用ディスプレイを見ながらも、操作部を操作している手を視認しながら操作部を操作可能とした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−335330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、操作部をタッチパネルのような操作画面(操作メニュー)表示機能を有した操作用ディスプレイで構成し、カメラで撮影した操作用ディスプレイの撮影像をそのまま情報表示用ディスプレイに表示すれば、この情報表示用ディスプレイに、操作用ディスプレイに表示された操作画面を含めて表示することが可能である。
しかしながら、この場合、操作用ディスプレイとカメラの設置位置の関係によっては、操作画面の映像に例えば歪み等の劣化が生じ、情報表示用ディスプレイに映し出された操作画面に視認しづらい箇所が生じてしまう、という問題がある。
【0007】
そこで、操作用ディスプレイの操作画面と同じ画面を情報表示用ディスプレイに表示しつつ、カメラの撮影像から運転者の手の撮影像を切り出して、情報表示用ディスプレイの操作画面の上に重なるようにブレンド(合成)して表示すれば、上述の操作画面の劣化の問題は解消する。
しかしながら、操作用ディスプレイの操作画面においては、運転者の操作に応じて操作画面のメニュー表示等が変化する等して、手に対する操作画面の色調や輝度等が変動すると、カメラの映像から手の映像を切り出すに際し、手の映像だけを操作画面と区別して安定的に切り出すことができない、という問題がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、操作画面の劣化を抑え、なおかつ、当該操作画面を操作する手を操作画面の変化にかかわらずに安定的に表示できる情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、第1ディスプレイと、操作画面を表示する第2ディスプレイと、前記第2ディスプレイの操作画面を撮影し撮影像を出力する撮影手段と、を備え、前記第2ディスプレイに前記操作画面に代えて抽出用画面を間欠的に表示し、当該抽出用画面の撮影像から前記操作画面を操作する手を抽出した映像を生成し、前記第1ディスプレイに前記第2ディスプレイの操作画面と同じ操作画面を表示するための映像に、前記手を抽出した映像を重ねて表示したことを特徴とする情報機器を提供する。
【0010】
また本発明は、上記情報機器において、前記抽出用画面の表示を、前記操作画面との間で色調の変化が少ない色の単色表示にしたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記情報機器において、前記撮影手段によって前記第2ディスプレイの表示面に対して斜め方向から撮影された撮影像を垂直方向から前記表示面を見た俯瞰影像に変換する俯瞰処理部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記情報機器において、車両における運転者が運転操作時に向けている視線近傍に前記第1ディスプレイを配置し、前記運転操作時に運転者の手が届く位置に前記第2ディスプレイを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2ディスプレイに操作画面に代えて抽出用画面を間欠的に表示し、当該抽出用画面の撮影像から操作画面を操作する手を抽出した映像を生成する構成としたため、操作に伴う操作画面の変化に左右されずに安定して手を抽出した映像が得られる。さらに、第1ディスプレイに第2ディスプレイの操作画面と同じ操作画面を表示するための映像に手を抽出した映像を重ねて表示する構成としたため、第1ディスプレイに劣化の無い操作画面を表示することができ、第1ディスプレイでの操作画面の識別性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る車載情報機器の設置態様を模式的に示す斜視図である。
【図2】車載情報機器の設置態様を模式的に示す断面図である。
【図3】車載情報機器の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】操作用ディスプレイの操作画面と撮影像との関係を模式的に示す説明図である。
【図5】ブレンド用映像の説明図である。
【図6】情報表示用ディスプレイの操作画面視認用画面の説明図である。
【図7】操作画面視認用画面の生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、情報機器として車両に搭載される車載情報機器について例示するが、本発明は、これに限らず、第1ディスプレイとは別体に操作画面を表示する第2ディスプレイを備えた情報機器であれば任意の機器に適用することができる。
【0016】
図1は本実施形態に係る車載情報機器1の設置態様を模式的に示す斜視図であり、図2は車載情報機器1の設置態様を模式的に示す断面図である。
車載情報機器1は、車両2の各種情報、或いは、例えばナビゲーションシステムやオーディオシステム等の各種アプリケーションの画面を表示する機器であり、図1及び図2に示すように、第1ディスプレイとしての情報表示用ディスプレイ11と、この情報表示用ディスプレイ11と別体に設けられた第2ディスプレイとしての操作用ディスプレイ12と、操作用ディスプレイ12の画面を撮影する撮影装置13とを備えている。
【0017】
情報表示用ディスプレイ11は、上記各種情報や各種アプリケーションの画面を表示するディスプレイ(表示装置)であり、また操作用ディスプレイ12は、操作画面40(図4)を表示し、当該操作画面40に対するタッチ操作可能なタッチパネルディスプレイである。これら情報表示用ディスプレイ11、及び操作用ディスプレイ12は、それぞれ車両2のフロントパネル3に配設されている。
すなわち、情報表示用ディスプレイ11は、運転席5に座って車両2を運転操作する運転者7が運転操作中に向ける視線8の近傍(望ましくは運転者の視野内)であって、車両2の前方を臨む視界を阻害しない位置に配置されている。また、操作用ディスプレイ12は、運転操作中に運転者7の手9が届く範囲に配置されている。
【0018】
撮影装置13は、図2に示すように、操作用ディスプレイ12の上縁12Aの近傍で操作用ディスプレイ12の設置面14から表示画に突出した位置に固定的に配置され、操作用ディスプレイ12の上側斜め方向から表示面15(少なくとも表示面に表示される上記操作画面40の領域全体)を撮影し撮影像31(図3)を出力するものであり、例えばCCDカメラを備えて構成されている。
撮影装置13を操作用ディスプレイ12の上縁12Aの近傍に配置することで、操作用ディスプレイ12の表示面15と撮影装置13との間に手以外の物体が入り込み難くなることから、表示面15と手以外の物体の撮影像31への写り込みを防止できる。
なお、撮影装置13の設置箇所は、少なくとも操作用ディスプレイ12の表示面15と、操作する手9とを撮影できる位置であれば、操作用ディスプレイ12の上縁12Aの近傍に限らず、車両2の運転席5と助手席の間のシフトレバー付近、もしくは、車両2の運転席5と助手席の間の天井或いはその付近とすることもできる。
【0019】
図3は、車載情報機器1の機能的構成を示すブロック図である。
同図に示すように、車載情報機器1は、上記情報表示用ディスプレイ11、操作用ディスプレイ12及び撮影装置13の他に、機器本体16を備え、この機器本体16は、制御部20と、操作画面生成部21と、操作位置取得部22と、撮影像処理部23と、表示画面生成部24とを備えている。
制御部20は、車載情報機器1の各部を中枢的に制御するものであり、マイコン等を備えて構成されている。制御部20は、上記撮影装置13に撮影制御信号30を出力して撮影動作(撮影開始・停止等)を制御し、かかる制御により、撮影装置13が操作用ディスプレイ12の表示面15を撮影して撮影像31を出力する。
【0020】
操作画面生成部21は、制御部20の制御の下、操作用ディスプレイ12に表示する画面のデータとして、操作画面40を映像表示するための操作画面表示データ33を生成する。
さらに詳述すると、操作用ディスプレイ12の表示面15には、図4(A)に示すように、複数枚の操作画面40のフレームと、この操作画面40のフレームの間に挿入された抽出用画面41のフレームとの一連のフレームが所定フレームレート(図示例では1フレーム/60msec)で映像表示される。
抽出用画面41は、表示面15において操作画面40と同一寸法及び同一位置に表示される画面であって、当該操作画面40を操作する手9を画像処理により抽出するのに適した単色表示の画面である。この抽出用画面41の表示期間TAは、その抽出用画面41の映像表示を人間が視覚し難い程度に短い時間幅(例えば1/30msecや1/60msec以下:図示例では1/60m、すなわち1フレーム分)に設定されており、さらに、抽出用画面41をより視覚され難くするために、抽出用画面41は前後の操作画面40の配色との間で色調の変化が小さくなる色で単色表示される。これにより、操作画面40に抽出用画面41を挿入表示したとしても、表示に違和感を与えることがなく、また、操作画面40のちらつきも抑えられる。
【0021】
操作画面40は、運転者7のタッチ操作に応じて表示内容(メニューやボタン表示の位置や色)が随時に変化するように構成されており、抽出用画面41の単色表示も、操作画面40の表示内容の変化に合わせて制御部20によって可変される。すなわち、制御部20は、抽出用画面41のフレームと、その直前及び/又は直後の操作画面40のフレームとの間で色調の変化が少ない色を選択する。この選択した色のRGB情報は、抽出用画面指示信号32に含められて出力される。
なお、操作画面40の変化が少なく、ある程度固定されている場合、或いは、各抽出用画面41のフレームについて前後の操作画面40のフレームが予め固定されている場合には、各抽出用画面41のフレームについて、単色表示する色を対応テーブルデータ等に予め規定して、制御部20に格納しておく構成とすることもできる。
【0022】
制御部20が出力する抽出用画面指示信号32には、抽出用画面41のRGB情報の他に、この抽出用画面41の表示期間TAや表示タイミングが含められており、操作画面生成部21は、この抽出用画面指示信号32に基づいて、例えば1/60msecの表示期間TAの抽出用画面41が周期的に挿入されて表示される映像の上記操作画面表示データ33を生成する。抽出用画面41を表示する周期(表示タイミング)は、その周期で映像を連続表示した際に、一連の動画として認識される程度の周期であれば良く、本実施形態では周期を60msecとしている。
【0023】
操作位置取得部22は、操作用ディスプレイ12の操作画面40に対するユーザのタッチ位置(操作位置)を制御部20に出力する。具体的には、操作用ディスプレイ12は、上述の通り、タッチ操作入力が可能なタッチパネルディスプレイとして構成されており、タッチ位置を示す出力信号34を操作位置取得部22に出力する。操作位置取得部22は、出力信号34に基づいて操作画面40におけるタッチ位置を特定し制御部20にタッチ位置信号35として出力する。制御部20は、このタッチ位置信号35に基づいて操作画面40におけるタッチ操作されたボタン等を特定し、そのボタン等に割り当てられた処理を機能させる。
【0024】
撮影像処理部23は、撮影装置13の撮影像31に基づいて、操作用ディスプレイ12の操作画面40を操作する手9の映像を生成するものであり、撮影像取得部25と、俯瞰処理部26と、手抽出部27とを備えている。
撮影像取得部25は、制御部20の制御の下、撮影装置13から出力された撮影像31を取得し俯瞰処理部26に出力する。
俯瞰処理部26は、撮影装置13の撮影像31を俯瞰処理する。すなわち、車両2にあっては、操作用ディスプレイ12の画面を垂直方向(真上)から撮影可能な位置に撮影装置13を配置できないことが多く、また、操作用ディスプレイ12の表示面15に極力近い位置から撮影をする場合には、前掲図1及び図2に示すように、撮影装置13が表示面15を斜め上から撮影することになる。この場合、撮影装置13の撮影像31は、図4(B)に示すように、矩形の操作画面40が台形状に歪んだ映像となり、また操作画面40を操作する手9についても、図4(C)に示すように、操作画面40の歪みと同様に歪んだ映像となる。このような手9の映像を、そのまま情報表示用ディスプレイ11に表示すると、歪んだ映像に違和感を覚えさせてしまう。
そこで、本実施形態では、俯瞰処理部26が操作用ディスプレイ12と撮影装置13との相対位置、撮影装置13の撮影レンズの歪み等に基づいて俯瞰処理を行い、撮影装置13の撮影像31を、図4(D)に示すように、操作用ディスプレイ12の表示面15を垂直方向から見た俯瞰映像31Bに変換することとしている。
【0025】
この俯瞰映像31Bによれば、操作画面40及び手9の歪みは解消されているものの、画像が荒くなっており、操作画面40の表示内容を含めて荒い表示になっている。したがって、この俯瞰映像31Bを、そのまま情報表示用ディスプレイ11に表示すると、操作画面40の表示内容(メニューやボタン等)の識別性及び可読性が悪い。
そこで、本実施形態では、操作用ディスプレイ12の操作画面40と同じ表示内容の視認用操作画面43を情報表示用ディスプレイ11にも表示することで、識別性及び可読性を良好にし、この視認用操作画面43の上に俯瞰映像31Bから抽出した手9の映像を重ねて表示することとしている。
【0026】
ただし、撮影像31には、図4(D)に示すように、操作画面40のメニューやボタンなどの操作部分40Aと、操作画面40の背景部分40Bと、この操作画面40の上に移っている手9との3つの部分が混在して写っており、何ら対策をしなければ、このような撮影像31から手9のみを、操作に伴い随時変化する操作部分40Aや背景部分40Bから安定的に抽出することは困難である。
そこで、本実施形態では、上述の通り、操作用ディスプレイ12では、操作画面40の映像に抽出用画面41を挿入にして表示して、この抽出用画面41が写っている映像部分(以下、「抽出対象映像31A」と言う)から手9を抽出することとしている。すなわち、この抽出対象映像31Aに写っているのは、抽出用画面41の単色部分と、手9との2種類のみとなり、手9のみを抜き出した映像を簡単に生成することが可能になる。
【0027】
すなわち、俯瞰処理部26は、制御部20が出力する抽出用画面指示信号32に基づいて、図4(D)に示すように、抽出用画面41の表示タイミングに同期して当該抽出用画面41が写っている映像部分である抽出対象映像31Aを撮影像31から取り出し、この抽出対象映像31Aを手抽出部27に出力する。
手抽出部27は、抽出対象映像31Aを、あたかも手9のみを抽出したかの映像であるブレンド用映像36に変換して表示画面生成部24に出力する。
すなわち、この変換処理においては、図5に示すように、抽出対象映像31Aのうち、抽出用画面41に重なっている手9以外の領域を透明化してブレンド用映像36を生成する。具体的には、制御部20が出力する抽出用画面指示信号32に抽出用画面41の色のRGB情報が規定されていることから、手抽出部27は、このRGB情報に基づいて抽出対象映像31Aから抽出用画面41の色の領域を区画する画像処理を行う。これにより手9と、それ以外の領域とが区画され、手9が抽出されることとなる。
【0028】
かかるブレンド用映像36の生成処理についてより具体的には、手抽出部27は、抽出用画面41のRGB情報に対して、適当な色範囲を閾値に設定し、抽出対象映像31Aに含まれる各フレーム画像を2色に区別する。
例えば、R値、G値、及びB値のそれぞれの値の範囲が0〜254であり、抽出用画面41の色のRGB情報がRGB=(0、0、0)である場合、抽出用画面41と認識する色範囲を、R値、G値、及びB値がいずれも「10」を下回る色範囲としたときには、手抽出部27は、抽出対象映像31Aに含まれるフレーム画像ごとに、各ピクセルデータの色が上記色範囲に含まれるか否かに応じて、次の処理手順により、RGB=(0、0、0)及びRGB=(254、254、254)に2値化する。
【0029】
If R<10 then R=0, else R=254
If G<10 then G=0, else G=254
If B<10 then B=0, else B=254
【0030】
この処理手順により、抽出用画面41の領域に対応するピクセルがRGB=(0、0、0)、手9の領域に対応するピクセルがRGB=(254、254、254)に2値化されたブレンド用映像36が得られる。
なお、抽出対象映像31Aに対して輪郭抽出処理を施すことで手9の輪郭を抽出し、この輪郭に基づいて、或いは輪郭と抽出用画面41の色の両方とに基づいて手9以外の領域を抽出しても良いことは勿論である。
【0031】
前掲図3に戻り、表示画面生成部24は、操作用ディスプレイ12が表示している操作画面40と同様の視認用操作画面43の上に手9の抽出対象映像31Aを合成した操作画面視認用画面44(図6)を情報表示用ディスプレイ11に表示するための情報表示データ37を生成する。
すなわち、表示画面生成部24には、操作画面生成部21が生成する操作画面表示データ33が入力されており、表示画面生成部24は、この操作画面表示データ33に基づいて、情報表示用ディスプレイ11の画面や表示領域に合わせて操作画面40の大きさを可変し、情報表示用ディスプレイ11への表示に見合った寸法、及び表示位置の視認用操作画面43を生成する。
一方で、表示画面生成部24は、撮影像処理部23から出力されたブレンド用映像36を視認用操作画面43の上に重ねるようにブレンド処理する。
【0032】
すなわち、ブレンド用映像36のフレームの大きさと、情報表示用ディスプレイ11に表示する視認用操作画面43のフレームとの相対位置及び寸法比は固定されており、表示画面生成部24は、この相対位置、及び寸法比に基づいて、情報表示用ディスプレイ11の視認用操作画面43と、ブレンド用映像36とを縮尺及び位置を合わせて重ねる。
また、上述の通り、ブレンド用映像36は、手9以外の領域が透明化された映像であり、このブレンド用映像36を視認用操作画面43の映像に重ねることで、視認用操作画面43の手9以外の部分が透けた映像が得られる。また、視認用操作画面43の映像にあっては、手9の表示を阻害しないように、手9に対応する領域の色が可変される。
【0033】
このようなブレンド処理はピクセル単位で行われる。すなわち、表示画面生成部24は、ブレンド用映像36のピクセルの色情報がRGB(0、0、0)であった場合に、視認用操作画面43の映像部分のピクセルをそのまま表示し、ブレンド用映像36のピクセルの色情報がRGB(254、254、254)であった場合には、視認用操作画面43の映像部分のピクセルを、そのピクセルの色情報と適当なブレンド用色情報(例えば(0、254、0))との平均値を取ってブレンドした色情報とする。なお、ブレンド用色情報には、手9の識別性が得られる範囲で任意の色を割り当てることができる。
これにより、視認用操作画面43に手9を実際の位置に則して表示する操作画面視認用画面44の情報表示データ37が生成され、この操作画面視認用画面44が情報表示用ディスプレイ11に表示されることとなる。
【0034】
次いで、車載情報機器1の動作として、撮影装置13の撮影像31から上記操作画面視認用画面44を生成する処理について詳述する。
図7は、操作画面視認用画面44の生成処理のフローチャートである。
車載情報機器1は、機器本体16の電源投入等に連動して撮影装置13による操作用ディスプレイ12の撮影を開始し、この撮影装置13の撮影像31が撮影像処理部23に順次取得される(ステップS1)。
撮影像処理部23では、俯瞰処理部26が撮影像31に含まれる抽出用画面41の抽出対象映像31Aを検出し(ステップS2)、抽出対象映像31Aを検出するごとに、俯瞰処理を実行する(ステップS3)。
【0035】
次いで、撮影像処理部23では、手抽出部27が抽出用画面41の色情報を取得し(ステップS4)、この色情報に基づいて俯瞰映像31Bを二値化処理して、抽出用画面41に対応する領域と手9の領域とをそれぞれ区別し、抽出用画面41に対応する領域を透明化したブレンド用映像36を生成する(ステップS5)。
【0036】
一方、表示画面生成部24は、操作画面生成部21から操作画面表示データ33を順次取得して、情報表示用ディスプレイ11に表示する視認用操作画面43の映像を生成する(ステップS6)。また表示画面生成部24は、ブレンド用映像36を取得すると、このブレンド用映像36を視認用操作画面43の映像にピクセル単位でブレンド処理して情報表示データ37を生成する(ステップS7)。そして、この情報表示データ37に基づいて情報表示用ディスプレイ11が表示を行う。これにより、情報表示用ディスプレイ11には、視認用操作画面43に手9を実際の位置に則して表示した操作画面視認用画面44が表示される(ステップS8)。
なお、情報表示用ディスプレイ11において、視認用操作画面43を表示面の全域ではなく、例えば小窓表示などのように表示面の一部の領域に表示する態様としても良いことは勿論である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作用ディスプレイ12に操作画面40に代えて抽出用画面41を一定の周期で間欠的に表示し、当該抽出用画面41の撮影像31から操作画面40を操作する手9を抽出した映像であるブレンド用映像36を生成する構成としたため、操作に伴う操作画面40の変化に左右されずに安定して手を抽出した映像が得られる。
また、情報表示用ディスプレイ11に操作用ディスプレイ12の操作画面40と同じ視認用操作画面43を表示するための映像に、手を抽出した映像であるブレンド用映像36を重ねて表示する構成としたため、情報表示用ディスプレイ11には劣化の無い視認用操作画面43を表示することができ、情報表示用ディスプレイ11での視認用操作画面43の識別性が高められる。
【0038】
また本実施形態によれば、車両2における運転者7が運転操作時に向けている視線8の近傍に情報表示用ディスプレイ11を配置し、運転操作時に運転者7の手が届く位置であって助手席側に操作用ディスプレイ12を配置することで、操作用ディスプレイ12においては、操作画面40を表示した状態で使用することができるために、運転者7は情報表示用ディスプレイ11の視認用操作画面43を見ながら操作し、また助手席では、操作用ディスプレイ12の操作画面40を見ながら操作するということを両立できる。さらに、この両立した状態で、かつ、情報表示用ディスプレイ11上には、視認用操作画面43に劣化を生じることなく、手9の映像を表示することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態によれば、抽出用画面41の表示を、操作画面40との間で色調の変化が少ない色での単色表示とした。
この構成によれば、抽出用画面41の表示が操作画面40との間で色調の変化が少ない色であるため、当該抽出用画面41の表示が視覚され難くなり、画面表示に違和感を与えることがない。
さらに、抽出用画面41を単色表示としたため、抽出用画面41の表示タイミングで撮影した抽出対象映像31Aから、抽出用画面41の色の情報に基づいて、手9と、それ以外の領域を簡単に区別して手9のみを抽出することができる。
【0040】
特に、撮影像31から手9の映像のみを抽出するために、手9と背景とのコントラストを大きくすべく、黒といった特定の色で抽出用画面41を構成した場合でも、例えば黒に近い色の手袋を装着した等のように、手9の状態によっては抽出用画面41との間でコントラストがでない場合がある。
このような場合でも、本実施形態によれば、抽出用画面41の色の情報に基づいて、手9と、それ以外の領域を区別するため、手9と抽出用画面41の色との間のコントラストが小さくなった場合でも安定して手9を抽出することができる。
【0041】
また本実施形態によれば、撮影装置13によって操作用ディスプレイ12の表示面15に対して斜め方向から撮影された撮影像31を垂直方向から表示面15を見た俯瞰影像に変換する俯瞰処理部26を備える構成としたため、撮影装置13を操作用ディスプレイ12の表示面15の真上に配置せずとも、歪みの無い手9の映像を情報表示用ディスプレイ11に表示することができる。
【0042】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0043】
例えば、上述した実施形態において、情報表示用ディスプレイ11を1つだけ車両2に設置した場合を例示したが、これに限らず複数の情報表示用ディスプレイ11を設けても良い。この場合、少なくともいずれか1つの情報表示用ディスプレイ11に、操作画面視認用画面44が表示される。
【0044】
また例えば、抽出用画面41の表示期間TAの抽出対象映像31Aを俯瞰処理部26で抽出する構成ではなく、抽出用画面41の表示期間TAに同期して撮影像取得部25が撮影装置13から撮影像31を取得し、或いは表示期間TAに同期して撮影装置13が撮影を行う構成とすることで、抽出用画面41だけが写った撮影像31を得る構成としても良い。
また、撮影像処理部23は、抽出用画面41の表示タイミングを、制御部20が出力する信号(抽出用画面指示信号32)に基づいて検知する構成としたが、これに限らず、取得した撮影像31毎に、抽出用画面41の有無を判断することが可能である場合には、撮影像処理部23は、制御部20が出力する信号(抽出用画面指示信号32)に同期して動作する必要はない。
【0045】
また例えば、操作用ディスプレイ12には、抽出用画面41のフレームを60msecの周期で挿入して表示する場合を例示したが、視覚の効果として、より多いフレーム枚数でも、操作用ディスプレイ12のちらつき等が許容できる場合には、抽出用画面41のフレーム枚数を増やし、情報表示用ディスプレイ11において手9の映像を、よりなめらかに表示することもできる。また、走行中のように運転者7が操作の際に操作用ディスプレイ12を視認しないときと、停車中のように運転者7が操作用ディスプレイ12を視認しながら操作するときといった状況に合わせて、運転者7が操作用ディスプレイ12を視認しないような状況ではフレーム枚数を増加させることも可能である。
【0046】
また例えば、車両2に車内の明るさを検知する照度計を設け、抽出用画面41の色を、例えば、昼や夜のように車両2内の明るさに応じて、手9との間でコントラストが大きくなるように可変する構成としても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 車載情報機器(情報機器)
2 車両
7 運転者
8 視線
9 手
11 情報表示用ディスプレイ(第1ディスプレイ)
12 操作用ディスプレイ(第2ディスプレイ)
13 撮影装置(撮影手段)
15 表示面
16 機器本体
20 制御部
21 操作画面生成部
23 撮影像処理部
24 表示画面生成部
25 撮影像取得部
26 俯瞰処理部
27 手抽出部
31 撮影像
31A 抽出対象映像
31B 俯瞰映像
32 抽出用画面指示信号
33 操作画面表示データ
36 ブレンド用映像
37 情報表示データ
40 操作画面
41 抽出用画面
43 視認用操作画面
44 操作画面視認用画面
TA 表示期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ディスプレイと、
操作画面を表示する第2ディスプレイと、
前記第2ディスプレイの操作画面を撮影し撮影像を出力する撮影手段と、を備え、
前記第2ディスプレイに前記操作画面に代えて抽出用画面を間欠的に表示し、当該抽出用画面の撮影像から前記操作画面を操作する手を抽出した映像を生成し、前記第1ディスプレイに前記第2ディスプレイの操作画面と同じ操作画面を表示するための映像に、前記手を抽出した映像を重ねて表示した
ことを特徴とする情報機器。
【請求項2】
前記抽出用画面の表示を、前記操作画面との間で色調の変化が少ない色の単色表示にしたことを特徴とする請求項1に記載の情報機器。
【請求項3】
前記撮影手段によって前記第2ディスプレイの表示面に対して斜め方向から撮影された撮影像を垂直方向から前記表示面を見た俯瞰影像に変換する俯瞰処理部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報機器。
【請求項4】
車両における運転者が運転操作時に向けている視線近傍に前記第1ディスプレイを配置し、前記運転操作時に運転者の手が届く位置に前記第2ディスプレイを配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate