説明

情報端末および情報入力方法

【課題】端末の動きに応じて多様な操作を実現することが可能な情報端末および情報入力方法を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、端末本体1aの傾き量αを検出する検出部13と、端末本体1aの姿勢に関する基準状態を設定する基準状態設定部21と、基準状態において検出部13が検出する傾き量αと、端末本体1aが基準状態から別の姿勢に変わった際に検出部13が検出する傾き量αとに基づいて、端末本体1aの傾きの変化量βおよび変化方向dを算出する算出部22と、変化量βと方向キーの押下時間とが関連付けられた第1制御情報T1および変化方向dと方向キーの押下部分とが関連付けられた第2制御情報T2を記憶する記憶部14に基づいて、第1制御情報で示される押下時間と第2制御情報で示される押下部分とを示す入力信号を生成し、入力信号を入力受付部25に出力する信号出力部24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末および情報入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の情報端末の中では、入力手段としてタッチパネルを採用しているものがある。このような情報端末を使用する場合、ユーザは画面上をタップやフリックなどの操作により各種の入力を行う。ところが、タッチパネルを搭載した端末は、人混みの多い場所や満員電車の中で片手操作するには不便である。
【0003】
このような問題を解決するものとして、特許文献1では、振動センサ、加速度センサ、変位センサ等、情報端末の動きを検出する動き検出手段を用いて画面をスクロールさせたり、ページ送り/戻ししたりする情報端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−332118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の情報端末では、当該端末の動きに基づいてできる操作が画面スクロールやページ移動等に限られてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、端末の動きに応じて多様な操作を実現することが可能な情報端末および情報入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の情報端末は、端末本体の傾き量を検出する検出手段と、端末本体の姿勢に関する基準状態を設定する基準状態設定手段と、基準状態において検出手段が検出する傾き量と、端末本体が基準状態から別の姿勢に変わった際に検出手段が検出する傾き量とに基づいて、端末本体の傾きの変化量および変化方向を算出する算出手段と、変化量と方向キーの押下時間とが関連付けられた第1制御情報、および変化方向と方向キーの押下部分とが関連付けられた第2制御情報を記憶する記憶手段と、算出手段により算出された変化量に対応する第1制御情報と、算出手段により算出された変化方向に対応する第2制御情報とを記憶手段から読み出し、第1制御情報で示される押下時間と第2制御情報で示される押下部分とを示す入力信号を生成し、該入力信号を入力受付手段に出力する信号出力手段と、を備えている。
【0008】
また、本発明の情報入力方法は、端末本体の傾き量を検出する検出ステップと、端末本体の姿勢に関する基準状態を設定する基準状態設定ステップと、基準状態において検出手段が検出する傾き量と、端末本体が基準状態から別の姿勢に変わった際に検出手段が検出する傾き量とに基づいて、端末本体の傾きの変化量および変化方向を算出する算出ステップと、変化量と方向キーの押下時間とが関連付けられた第1制御情報、および変化方向と方向キーの押下部分とが関連付けられた第2制御情報を記憶する記憶手段から、算出手段により算出された変化量に対応する第1制御情報と、算出手段により算出された変化方向に対応する第2制御情報とを読み出し、第1制御情報で示される押下時間と第2制御情報で示される押下部分とを示す入力信号を生成し、該入力信号を入力受付手段に出力する信号出力ステップと、を含んでいる。
【0009】
このような発明では、端末本体の傾きの変化量および変化方向が算出され、その変化量および変化方向に応じた方向キーの入力信号が生成されて入力受付手段に出力される。このように、方向キーに関する汎用的な入力信号を生成し出力することで、端末本体の動きに応じた多様な操作を実現することが可能となる。
【0010】
また、本発明の情報端末では、変化量を示す情報である第1変化量と方向キーの押下時間を示す情報である一定時間以上の入力とが関連付けられていると共に、変化量を示す情報である第2変化量と方向キーの押下時間を示す情報である一定時間未満の入力とが関連付けられていてもよい。これにより、その変化量に応じて方向キーを一定時間以上押下した場合の入力信号と、方向キーを一定時間未満押下した場合の入力信号とを生成することができる。この結果、端末本体の動きに応じて、方向キーを長押し入力したり短押し入力をしたりするのと同様の操作を実現することが可能となる。
【0011】
また、本発明の情報端末では、算出手段により算出された変化量が所定値以下である場合には、信号出力手段による出力を禁止する禁止手段を更に備えていてもよい。これにより、変化量が所定値以下となる本体端末の動きでは、当該動きに対応する入力信号の生成および出力が禁止されるので、ユーザにより情報端末の操作を意図しない動きが端末本体に与えられた場合であっても、この動きによる誤動作および誤反応を防止することができる。
【0012】
また、本発明の情報端末では、端末本体が基準状態から別の姿勢に変わった際の変化量および変化方向を表示手段に表示させる共に、該変化方向に対応する方向キーの押下部分および該変化量に対応する方向キーの押下時間を表示手段に表示させる表示制御手段を更に備えていてもよい。これにより、ユーザは、現在の端末本体の姿勢が方向キーのどの部分をどのように押下する状態なのかを確認しながら本体端末を動かすことができるので、所望の操作を確実に実行させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の情報端末および情報入力方法によれば、端末の動きに応じて多様な操作を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の記憶部に記憶されている2種類の制御情報の一例を説明するための図である。
【図3】図1に示す携帯端末のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1に示す携帯端末における情報入力処理を示したフローチャートである。
【図5】基準状態に対する傾きの変化量および傾きの変化方向を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す携帯端末における情報入力処理を示したフローチャートである。
【図8】図6に示す表示部に表示されるガイド画面の一例を説明するための図である。
【図9】図8のガイド画面の構成を説明するための図である。
【図10】端末本体の姿勢に応じて変化するガイド表示を説明するための図である。
【図11】他の実施形態に係る制御情報の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
添付図面を参照しながら本発明の第1実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。携帯端末1は、その端末本体1a(図5参照)に動きを与えることによって画面をスクロールさせることが可能な情報端末であって、表示部(表示手段)11、操作部12、検出部(検出手段)13、記憶部(記憶手段)14および制御部20を備えている。
【0017】
表示部11は、情報を表示する部分であり、液晶ディスプレイ等が例示される。表示部11は、例えば携帯端末1に搭載された各機能に対応するメニュー項目が表示されたメニュー選択画面や登録した電話番号等を表示する電話帳一覧画面を表示する。
【0018】
操作部12は、情報の入力を受け付ける部分であり、例えば十字ボタンの方向キー(方向キー)やメニューボタンが例示される。メニュー選択画面においては、ユーザは、例えば十字ボタンの上下キー等を押下することにより画面をスクロールさせることができる。また、電話等一覧画面においては、ユーザは、十字ボタンの上下キーを押下することでフォーカス移動やページ移動をすることができ、当該ボタンの左右キーを押下することでページ移動をすることができる。
【0019】
検出部13は、地面に対する端末本体1aの傾き量α(以下、地面に対する端末本体1aの傾き量を「傾き量α」と示す)を所定時間毎に検出する部分であって、例えばN軸センサ、重力センサおよび地磁気センサ等が例示される。検出部13として例えば3軸センサを採用した場合には、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれに対する重力加速度に基づいて、それぞれの傾き量α、α、αを検出することができる。なお、重力センサや地磁気センサを用いる場合であっても公知の技術に基づいて傾き量αを検出することができる。検出部13は、このようにして所定時間毎に検出された傾き量αを後述する算出部22へその都度出力する。
【0020】
記憶部14は、例えば図2(a)に示すような傾きの変化量β(以下、傾きの変化量βを「変化量β」と示す)と制御内容(少なくとも押下時間を用いて定義されるキーの押下態様であり本実施形態では、所定時間以上の長押し入力と所定時間未満の短押し入力とが該当する)とが関連付けられている第1制御情報T1を記憶している。この第1制御情報T1は、後述する信号出力部24によって参照される。第1制御情報T1には、変化量βを示す情報「a1以上の変化量(第1変化量)」と制御内容を示す情報「一定時間(例えば0.5秒)以上の長押し入力」とが関連付けられていると共に、変化量βを示す情報「a1未満の変化量(第2変化量)」と制御内容を示す情報「一定時間(例えば0.5秒)未満の短押し入力(一定時間に一定回数の連続入力)」とが関連付けられている。
【0021】
また、記憶部14は、例えば図2(b)に示すような傾きの変化方向d(以下、傾きの変化方向dを「変化方向d」と示す)と制御対象(少なくとも押下される押下部分を用いて定義される対象キーであり、本実施形態では十字ボタンの上下左右キーの何れかが該当する)とが関連付けられている第2制御情報T2を記憶している。この第2制御情報T2は、第1制御情報T1と同様に後述する信号出力部24によって参照される。第2制御情報T2には、例えば図2(b)に示すような変化方向を示す情報「A」と制御対象を示す情報「十字ボタンの上キー」とが、変化方向を示す情報「B」と制御対象を示す情報「十字ボタンの右キー」とが、変化方向を示す情報「C」と制御対象を示す情報「十字ボタンの下キー」とが、変化方向を示す情報「D」と制御対象を示す情報「十字ボタンの左キー」とがそれぞれ関連付けられている。
【0022】
制御部20は、携帯端末1の各機能を制御する部分であり、例えば表示部11、操作部12、検出部13および記憶部14を制御する。制御部20は機能的構成要素として、基準状態設定部(基準状態設定手段)21、算出部(算出手段)22、禁止部(禁止手段)23、信号出力部(信号出力手段)24および入力受付部(入力受付手段)25を有している。
【0023】
基準状態設定部21は、端末本体1aの姿勢に関する基準状態を設定する部分である。基準状態とは、端末本体1aに与えられる動きにより端末本体1aの姿勢がどのように変化したかを抽出するための基準となる端末本体1aの状態をいう。基準状態設定部21は、例えばX軸、Y軸およびZ軸に対するそれぞれの傾き量を記憶することで基準状態を設定している。ユーザは、例えば端末本体1aを所望の姿勢に維持した状態で、操作部12に含まれる基準状態設定ボタンを押下することにより、当該所望の姿勢を基準状態として設定することができる。ユーザは、例えば図5に示すような端末本体1aの姿勢で基準状態設定ボタンを押下することにより、表示部11が表示される面1bがXZ平面に平行となるような端末本体1aの姿勢を基準状態として設定することができる。以後、図5に示すような端末本体1aの姿勢で基準状態が設定されたとして説明を行う。
【0024】
算出部22は、基準状態において検出部13が検出する傾き量αと、端末本体1aに動きが与えられた後の状態において検出部13が検出する傾き量αとに基づいて、基準状態に対する傾きの変化量βを算出する部分である。例えば算出部22は、図5に示すような基準状態からの変化量β1,β2を算出する。また、算出部22は、同様に検出される傾き量αと傾き量αとに基づいて、基準状態に対する変化方向dを算出する部分でもある。例えば算出部22は、図5に示すような基準状態からの傾きの変化方向A,B,C,Dを算出する。算出部22は、変化量βを示す情報を禁止部23に出力し、変化方向dを示す情報を信号出力部24に出力する。
【0025】
禁止部23は、算出部22により算出された変化量βが所定値以下である場合には、後述する信号出力部24による入力信号の生成および出力を禁止する部分である。ここでは、禁止部23が変化量βをa2(ただしa2<a1)以下であると判定した場合、信号出力部24による所定の入力信号の生成および出力を禁止する。
【0026】
信号出力部24は、算出部22により算出された変化方向dに対応する第2制御情報T2と、算出部22により算出された変化量βに対応する第1制御情報T2とを記憶部14から読み出し、第1制御情報T1で示される押下時間と第2制御情報T2で示される押下部分とを示す入力信号を生成し、該入力信号を入力受付部25に出力する部分である。例えば算出部22が変化方向dを示す情報である「C」と、変化量βを示す情報である「a2以上a1未満」とを出力した場合、信号出力部24は、「十字ボタンの下キー」と「一定時間未満の短押し入力」とを示す入力信号を生成し、当該入力信号を後述する入力受付部25に出力する。
【0027】
入力受付部25は、携帯端末に設けられている各種キーの押下により生成される入力信号を受け付ける部分である。携帯端末1は、この入力信号に基づいて、アプリケーションプログラムの実行および制御や画面遷移等の様々な処理を実行する。入力受付部25は、信号出力部24から入力された入力信号を受け付け、各種キーの押下による入力信号と同様に処理する。例えば信号出力部24から「十字ボタンの下キー」と「一定時間未満の短押し入力」とを示す入力信号が入力されると、入力受付部25はその入力信号を十字ボタンの下キーが一定時間未満の短押し入力されたときに生成される入力信号と同様に処理する。
【0028】
図3は、携帯端末のハードウェア構成を示す図である。携帯端末1は、図3に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU31、ROM及びRAMで構成される主記憶部32、ハードディスク、メモリ等で構成される補助記憶部33、十字ボタンにおける各キー、タッチパネル等の入力部34、表示部11等の出力部35で構成される。上述した制御部20における機能的構成要素が実現する各機能は、CPU31および主記憶部32に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU31の制御の下で、表示部11に情報を表示させたり、操作部12において入力される情報を読み込んだり、主記憶部32および補助記憶部33に対してデータの読み書きを実行させたりすることで実現される。
【0029】
以下、携帯端末1において情報を入力する際の処理(情報入力方法)について、図4および図5を用いて説明する。図4は、携帯端末における情報入力処理を示したフローチャートである。図5は、基準状態に対する傾きの変化量および傾きの変化方向を示す図である。
【0030】
携帯端末1では、まず基準状態設定部21が、端末本体1aの姿勢に関する基準状態の設定の実行を受け付ける(S1)。ユーザは、例えば操作部12に含まれる基準状態設定ボタンを押下することにより端末本体1aの基準状態の設定を実行することができる。
【0031】
次に、基準状態設定部21は、基準状態の設定の実行を受け付けた際の端末本体1aの傾き量αを検出部13によって検出し(検出ステップ)、当該検出した傾き量αを基準状態として設定する(S2:基準状態設定ステップ)。
【0032】
ここで、ユーザにより端末本体1aに動きが与えられたとする。このとき、検出部13は、基準状態から別の姿勢に変わった際の端末本体1aの傾き量αを検出する(S3:検出ステップ)。
【0033】
次に、算出部22は、基準状態において検出部13が検出した傾き量αと、基準状態から別の姿勢に変わった際に検出部13が検出した傾き量αとに基づいて、端末本体1aの傾きの変化方向を算出する(S4:算出ステップ)。算出部22は、算出した変化方向dを示す情報を信号出力部24に出力する。
【0034】
次に、算出部22は、基準状態において検出部13が検出した傾き量αと、基準状態から別の姿勢に変わった際に検出部13が検出した傾き量αとに基づいて、端末本体1aの傾きの変化量βを算出する(S5:算出ステップ)。算出部22は、算出した変化量βを示す情報を禁止部23に出力する。なお、ステップS4とステップS5とは同時に実行してもよい。
【0035】
次に、禁止部23は、ステップS5において算出された変化量βがa2(所定値)以下であるか否かを判定する(S6)。禁止部23は、変化量βがa2以下であると判定した場合(S6:YES)、算出部22から入力された変化量βを示す情報を信号出力部24に出力しないで、信号出力部24による入力信号の生成および出力を禁止する。一方、禁止部23は、変化量βがa2(所定値)以上であると判定した場合(S6:NO)、算出部22から入力された変化量βを示す情報を信号出力部24に出力する。
【0036】
次に、信号出力部24は、算出部22から変化方向dを示す情報が入力され、禁止部23から変化量βを示す情報が入力されると、当該変化方向dに対応する第2制御情報T2と、当該変化量βに対応する第1制御情報T1とを記憶部14から読み出し、第1制御情報T1で示される押下時間と第2制御情報T2で示される押下部分とを示す入力信号を生成し、この入力信号を入力受付部25に出力する(S7:信号出力ステップ)。
【0037】
例えば信号出力部24は、変化量βがa1未満である場合、記憶部14に記憶された第1制御情報T1(図2参照)から当該変化量βを示す情報「a1未満」に対応する対象キー部分に対する押下時間を示す情報「一定時間未満の短押し」を抽出する。また、例えば信号出力部24は、変化方向dを示す情報「C」が入力された場合、対象キー部分を示す情報「十字ボタンの下キー」を抽出する。信号出力部24は、このようにして抽出した対象キー部分を示す情報「十字ボタンの下キー」と押下時間を示す情報「一定時間未満の短押し」とを示す入力信号を生成し、入力受付部25に出力する。
【0038】
入力受付部25は、信号出力部24から出力される入力信号を受け付けて、携帯端末1に設けられている各種キーの押下により生成される入力信号を処理するのと同様の処理を実行する(S8)。例えば信号出力部24から「十字ボタンの下キー」と「一定時間未満の短押し入力」とを示す入力信号が入力されると、十字ボタンの下キーを一定時間未満の短押し入力させたときに出力される信号が入力されたときと同様の処理をする。この場合、携帯端末1では、信号出力部24で生成された入力信号に基づいて、表示部11に表示されている画面が下方向に向かって低速スクロールする。
【0039】
上記説明においては、ステップS1〜ステップS8までを一連の流れとして説明したが、端末本体1aに与えられる動きによってステップS3〜ステップS8が繰り返し行われることもある。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態の携帯端末1によれば、端末本体1aの傾きの変化量βおよび変化方向dが算出され、その変化量βおよび変化方向dに応じた十字ボタンの方向キーの入力信号が生成されて入力受付部25に出力される。このように、端末本体1aの傾きによってスクロール等の操作を直接制御するのではなく、十字ボタンの方向キーを押下した時に生成される入力信号と同様の信号を端末本体1aの傾きによって生成している点に本発明の特徴がある。したがって、スクロールだけでなく、画面遷移やフォーカス移動等、携帯端末に搭載されるハードキーによって入力可能なもの全てに対応することができるので、端末本体1aの動きに応じて多様な操作を実現することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態の携帯端末1によれば、変化量βがa2以下となる端末本体1aの動きでは、当該動きに対応する入力信号の生成および出力が禁止されるので、ユーザにより携帯端末の操作を意図しない動きが端末本体1aに与えられた場合であっても、この動きによる誤動作および誤反応を防止することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6〜図10を用いて説明する。図6は、第2実施形態に係る携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【0043】
第2実施形態の携帯端末(情報端末)51が上述の携帯端末1と異なる点は、図6に示すように、制御部20が、表示制御部(表示制御手段)52を有している点である。ここでは、上記実施形態に記載の携帯端末1と同一又は同等の構成についてはその説明は省略し、当該携帯端末1と異なる構成について説明する。
【0044】
表示制御部52は、端末本体1aが基準状態から別の姿勢に変わった際の傾きの変化量βおよび傾きの変化方向dを表示部11に表示させる共に、該変化方向dに対応する十字ボタンの方向キーおよび該変化量βに対応する十字ボタンの方向キーの押下時間を表示部11に表示させる部分である。表示制御部52は、例えば図8に示すようなガイド表示60をメニュー選択画面に重ね合わせて表示させる。ガイド表示60は、端末本体1aの現在の姿勢が十字ボタンのどのキーにどのような入力を行わせるのと同じ処理を行わせることができるのかをユーザに明示的に示す表示部分である。
【0045】
以下、図8〜図10を用いてガイド表示60について説明する。図8は、表示部11に表示されるガイド表示の一例を説明するための図である。図9は、ガイド表示の構成を説明するための図である。図10は、本体に与えた動きに応じて変化するガイド表示を説明するための図である。
【0046】
ガイド表示60は、図9に示すように、ポインタ部65、十字ボタン透過部61、第1領域部62、第2領域部63および第3領域部64を含んで構成されている。
【0047】
ポインタ部65は、端末本体1aに与えられた動きと連動して移動する表示部分であって、算出部22によって算出される変化量βと変化方向dに連動して移動する。したがって、端末本体1aが基準状態と同じ姿勢、すなわち、変化量βおよび変化方向dが共に0の場合、ポインタ部65は、図8に示すように十字ボタン透過部61の中心部に表示される。
【0048】
十字ボタン透過部61は、現在の端末本体1aの姿勢によって十字ボタンのどのキーが入力されるのと同じ処理が実行されるのかをユーザに対して明示的に示す部分である。ユーザは、十字ボタン透過部61とポインタ部65との位置関係を見ることで、現在の端末本体1aの姿勢によって十字ボタンのどのキーを入力するのと同じ処理がされるのかを確認することができる。例えばユーザは、メニュー選択画面に重ね合わせて表示されるガイド表示60において、ポインタ部65と十字ボタンの上キーとが重なって表示されているのを見ることで、現在の端末本体1aの姿勢によって十字ボタンの上キーが入力されるのと同じ画面スクロールを実行できることを確認できる。
【0049】
第1領域部62、第2領域部63および第3領域部64は、現在の端末本体1aの姿勢によってどのような入力がされるのと同じ処理が実行されるのかをユーザに対して明示的に示す部分である。ユーザは、これらの領域部62,63,64とポインタ部65との位置関係を見ることで、現在の端末本体1aの姿勢によってどのような入力が実行されるのと同じ処理がされるのかを確認することができる。ユーザは、例えばポインタ部65と第1領域部62とが重なって表示されているのを見ることで、現在の端末本体1aの姿勢では何も処理されないことを確認することができる。また、ユーザは、ポインタ部65が第2領域部63内に表示されているのを見ることで、現在の端末本体1aの姿勢で所定のキーが短押し入力されるのと同じ処理がされることを確認することができる。また、ユーザは、例えばポインタ部65と第3領域部64内に表示されているのを見ることで、現在の端末本体1aの姿勢で所定のキーが長押し入力されるのと同じ処理がされることを確認することができる。
【0050】
次に、携帯端末51において情報を入力する際の処理について、上記実施形態と異なる点について説明する。図7は、携帯端末における情報入力処理を示したフローチャートである。本実施形態では、図7に示すように、ステップS11が更に追加されている。すなわち、基準状態設定部21が、基準状態の設定の実行を受け付けた際の端末本体1aの傾き量αを検出し、当該検出した傾き量αを基準状態として設定(S2:基準状態設定ステップ)した後、表示制御部52は、表示部11にガイド表示60を表示させる(S11)。
【0051】
ここで、例えば図5に示すようなA方向に端末本体1aを傾け、その際の変化量βがa2未満の場合、図10(a)に示すようなガイド表示60が表示部11に表示される。ユーザはこのガイド表示60を見ることで、現在の端末本体1aの姿勢では何も処理されないことを確認することができる。
【0052】
また、例えば図5に示すようなD方向に端末本体1aを傾け、その変化量βがa2以上a1未満の場合、図10(b)に示すようなガイド表示60が表示部11に表示される。ユーザはこのガイド表示60を見ることで、現在の端末本体1aの姿勢によって、十字ボタンの左キーが短押し入力されるのと同じ処理がされることを確認することができる。
【0053】
また、例えば図5に示すようなC方向に端末本体1aを傾け、その変化量βがa1以上の場合、図10(c)に示すようなガイド表示60が表示される。ユーザはこのガイド表示60を見ることで、現在の端末本体1aの姿勢によって、十字ボタンの下キーが長押し入力されるのと同じ処理がされることを確認することができる。
【0054】
なお、ステップS11以降のステップS3〜S8については上記実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0055】
以上に説明したように、本実施形態の携帯端末51によれば、上記実施形態の携帯端末1と同様の効果を享受できるだけでなく、ユーザは、現在の端末本体1aの姿勢が方向キーのどの部分をどのように押下する状態なのかを確認しながら端末本体1aを動かすことができるので、所望の操作を確実に実行させることができる。
【0056】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0057】
上記実施形態の携帯端末1,51では、メニュー選択画面において十字ボタンの上下左右キーが入力されたときと同様の処理が行われる例を用いて説明したがこれに限定されるものではい。例えば、ウェブが表示される画面や電話帳一覧が表示される画面にも、本発明を適用することが可能である。
【0058】
また、上記実施形態の携帯端末1,51では、禁止部23を設けて、変化量βが所定値以下の場合に信号出力部24による入力信号の生成および出力を禁止する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば信号出力部24が、例えば図11に示すような第3制御情報T3に基づいて入力信号を生成および出力するようにしてもよい。この第3制御情報T3には、変化量βを示す情報「a3未満(所定値)」と制御内容を示す情報「入力なし」、変化量βを示す情報「a3以上a4未満の変化量(第2変化量)」と制御内容を示す情報「一定時間(例えば0.5秒)未満の短押し入力(一定時間に一定回数の連続入力)」、および変化量βを示す情報「a4以上の変化量(第1変化量)」と制御内容を示す情報「一定時間(例えば0.5秒)以上の長押し入力」がそれぞれ関連付けられている。
【0059】
これにより、信号出力部24は、変化量βがa3未満の場合には入力信号の生成および出力をしないようにし、変化量βがa3以上a4未満の場合には、所定のキーを示す情報と一定時間未満の短押し入力を示す情報とを生成および出力し、変化量βがa4以上の場合には、所定のキーを示す情報と一定時間以上の長押し入力を示す情報とを生成および出力することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、本発明を携帯端末に適用した例を用いて説明したがこれに限定されるものではなく、PDA等の小型端末に適用することも可能である。また、方向キーの種類として十字ボタンのキーを適用した例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、例えばテンキーや、矢印キー、メニューキー等を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…携帯端末(情報端末)、1a…本体、11…表示部、12…操作部、13…検出部(検出手段)、14…記憶部(記憶手段)、20…制御部、21…基準状態設定部(基準状態手段)、22…算出部(算出手段)、23…禁止部(禁止手段)、24…信号出力部(信号出力手段)、25…入力受付部(入力受付手段)、51…携帯端末(情報端末)、52…表示制御部(表示制御手段)、60…ガイド表示、61…十字ボタン透過部、62…第1領域部、63…第2領域部、64…第3領域部、65…ポインタ部、d…変化方向、α…傾き量、β…変化量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末本体の傾き量を検出する検出手段と、
前記端末本体の姿勢に関する基準状態を設定する基準状態設定手段と、
前記基準状態において前記検出手段が検出する傾き量と、前記端末本体が前記基準状態から別の姿勢に変わった際に前記検出手段が検出する傾き量とに基づいて、前記端末本体の傾きの変化量および変化方向を算出する算出手段と、
前記変化量と方向キーの押下時間とが関連付けられた第1制御情報、および前記変化方向と方向キーの押下部分とが関連付けられた第2制御情報を記憶する記憶手段と、
前記算出手段により算出された前記変化量に対応する前記第1制御情報と、前記算出手段により算出された前記変化方向に対応する前記第2制御情報とを前記記憶手段から読み出し、前記第1制御情報で示される前記押下時間と前記第2制御情報で示される前記押下部分とを示す入力信号を生成し、該入力信号を入力受付手段に出力する信号出力手段と、
を備えている情報端末。
【請求項2】
前記変化量を示す情報である第1変化量と方向キーの押下時間を示す情報である一定時間以上の入力とが関連付けられていると共に、前記変化量を示す情報である第2変化量と方向キーの押下時間を示す情報である一定時間未満の入力とが関連付けられている請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記算出手段により算出された前記変化量が所定値以下である場合には、前記信号出力手段による出力を禁止する禁止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記端末本体が基準状態から別の姿勢に変わった際の前記変化量および変化方向を表示手段に表示させる共に、該変化方向に対応する方向キーの押下部分および該変化量に対応する方向キーの押下時間を表示手段に表示させる表示制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の情報端末。
【請求項5】
端末本体の傾き量を検出する検出ステップと、
前記端末本体の姿勢に関する基準状態を設定する基準状態設定ステップと、
前記基準状態において前記検出手段が検出する傾き量と、前記端末本体が前記基準状態から別の姿勢に変わった際に前記検出手段が検出する傾き量とに基づいて、前記端末本体の傾きの変化量および変化方向を算出する算出ステップと、
前記変化量と方向キーの押下時間とが関連付けられた第1制御情報、および前記変化方向と方向キーの押下部分とが関連付けられた第2制御情報を記憶する記憶手段から、前記算出手段により算出された前記変化量に対応する前記第1制御情報と、前記算出手段により算出された前記変化方向に対応する前記第2制御情報とを読み出し、前記第1制御情報で示される前記押下時間と前記第2制御情報で示される前記押下部分とを示す入力信号を生成し、該入力信号を入力受付手段に出力する信号出力ステップと、
を含んでいる情報入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−204146(P2011−204146A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73041(P2010−73041)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】