情報端末装置
【課題】 第三者が覗き見することを防止できるとともに、不正行為の防止を図ることができる情報端末装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置が提供される。
【解決手段】本発明によれば、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報端末装置に関し、特に、情報を表示する表示部と前記表示部の覗き見を防止する覗き見防止板を備える情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、預金等の金融情報、コンサートのチケット情報等を表示するディスプレイを備えた情報端末装置が普及している(例えば、現金自動預入支払機(automatic teller mashine。以下ATMという)、キオスク端末(kiosk terminal)等のセルフPOS端末)。このような情報端末装置は、暗証番号や個人情報等をディスプレイに表示して使用することがあるので、例えば、視野角の狭いディスプレイを用いたり、ディスプレイの筐体にバイザーを設けたりすることにより、使用者以外の第三者がディスプレイを除き見しないようにしている。
【0003】
例えば、ATM用の簡易覗き見防止壁や折れ曲がるバイザーが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、CRT表示装置の表示画面の上部に表示領域を設け、その下方に偏光シートを施した入力領域を設け、入力領域に施された数字を斜めから見ることができないようにした情報提供端末装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、装置の使用状態に応じて遮蔽板や遮光板をディスプレイの側方に突出させる現金自動預け払い機や端末装置が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
また、ATMやキオスク端末ではないが、視野角を切り替える視野切替装置を備える携帯情報端末装置が知られている(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
以下に、図12を用いて、従来の情報端末装置について説明する。図12は、従来の情報端末装置を説明するための概念図である。図12において、(1)は、ディスプレイの筐体にバイザーを設けた情報端末装置の斜視図であり、(2)は、この情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための上面図である。また、図12の(3)は、視野角が狭いディスプレイを採用した情報端末装置について、そのディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための上面図である。
【0005】
図12の(1)に示されるように、従来の情報端末装置90は、情報を表示するディスプレイ20と、ディスプレイ20が配置された筐体10の両側面に突出するように配置されたバイザー40,41とを備えている。
【0006】
この情報端末装置90の前方で、使用者が情報端末装置90を使用している場合を想定すると、図12の(2)から明らかなように、この情報端末装置90は、バイザー40,41がディスプレイ20の側方を遮っているので、ディスプレイ20の前面の範囲211,212で使用者以外の第三者が覗き見できない(すなわち、使用者以外の第三者は範囲311,312で覗き見できるにすぎない)。
【0007】
また、図12の(3)に示されるように、従来の情報端末装置90に視野角が狭いディスプレイ21が採用され、上記の場合と同様に、使用者が情報端末装置90を使用する場合を想定すると、このディスプレイ21は視野角が狭いので、使用者以外の第三者は、その前面の範囲311,312で覗き見できるものの、側方の範囲211,212で覗き見できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−155216号公報
【特許文献2】特開2008−84012号公報
【特許文献3】特開平9−16831号公報
【特許文献4】特開平9−223250号公報
【特許文献5】特開2005−266847号公報
【特許文献6】特開2007−101606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の情報端末装置で、バイザーを完全に遮光性の材料で形成すると、ディスプレイに表示された情報を第三者が覗き見することを防止する効果があるものの、バイザー内の使用者の動作も観察できない。このため、不正行為の防止が十分図れない。一方、バイザーを半透明の材料で形成すると、不正行為の防止を図ることはできるものの、第三者が覗き見することを防止する効果が十分でない。
また、視野角が狭いディスプレイ21を情報端末装置に採用した場合でも、完全に遮光できるともいえず、むしろ視野角以外の領域でディスプレイの画像が反転して観察されることがあり(例えば、TN型の液晶表示装置)、第三者の覗き見を十分に防止できない。
このため、第三者が覗き見することを防止できるとともに、不正行為の防止を図ることができる情報端末装置が望まれている。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、第三者が覗き見することを防止できるとともに、不正行為の防止を図ることができる情報端末装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなるので、第1偏光手段を透過した透過光は偏光され、さらに、前記覗き見防止板を構成する第2偏光手段により、その偏光が遮光される。このため、光学素子により表示された情報は、覗き見防止板を介して視認できない。従って、情報表示装置の前記表示部に表示された情報は、情報表示装置の側方から視認できず、この発明によれば、前記情報を使用者以外の第三者が覗き見することが防止された情報端末装置が提供される。
【0013】
また、情報端末装置の使用者を照らす照明光等の外光は、表示部の表示面側に配置された第1偏光手段を透過しないので、無偏光(一般に自然光ともいう)のまま、前記覗き見防止板を透過する。このため、使用者の動作を前記覗き見防止板を介して観察できる。従って、前記覗き見防止板の間にいる使用者の動作を情報端末装置の側方から観察できるので、この発明の情報端末装置は、不正行為の防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の図1におけるA−A断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の偏光板3並びに左ついたて4A及び右ついたて4Bの透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置の偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B、及び後部ついたて4Cの透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図7】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図9】この発明の第3実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図10】この発明の第4実施形態に係る情報端末装置における左ついたて4Aを説明するための概念図である。
【図11】この発明の第5実施形態に係る情報端末装置における偏光板3の透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図12】従来の情報端末装置を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の情報端末装置は、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする。
【0016】
ここで、偏光には、直線偏光と回転偏光(例えば、円偏光)が含まれ、偏光手段は、入射する光を偏光して出射させる。偏光手段には、いわゆる偏光板、偏光フィルム、偏光フィルター等が該当する。この発明において、例えば、第1偏光手段が直線偏光板の場合、第2偏光手段も直線偏光板であり、第1偏光手段が円偏光板の場合、第2偏光手段も円偏光板である。
具体的には、第1偏光手段が直線偏光板の場合、第2偏光手段は、その透過軸が第1偏光手段の透過軸と直交する方向に配置されるとよい。また、第1偏光手段が円偏光板の場合、第1偏光手段がいわゆる左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であり、第2偏光手段がいわゆる右回転円偏光板(又は左回転円偏光板)であってもよい。
【0017】
また、前記覗き見防止板は、少なくとも1つ備える。覗き見を防止する方向に設ければよいので、その方向が1つである場合、前記覗き見防止板は1枚でもよい。例えば、前記表示部の側方からの覗き見を防止する場合、前記表示部の側方に前記表示部の表示面に対してほぼ垂直に配置するとよい。また、覗き見防止板は複数で構成されてもよい。
【0018】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記覗き見防止板は、第1及び第2覗き見防止板からなり、第1及び第2覗き見防止板が前記表示部を挟んで互いに向き合うように前記表示部の両側に配置されてもよい。
【0019】
この実施形態によれば、前記表示部の左右側方からの第三者による覗き見を防止できる。
【0020】
また、この発明の実施形態において、前記覗き見防止板は、第1乃至第3覗き見防止板からなり、第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置されてもよい。
【0021】
この実施形態によれば、第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置されているので、前記表示部と向き合う方向からの第三者による覗き見を防止できる。
【0022】
ここで、第3覗き見防止板は前記覗き見防止板に含まれ、第3覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなる。このため、第3覗き見防止板の偏光手段の偏光も、直線偏光と回転偏光(例えば、円偏光)が含まれ、その配置は第2偏光手段と同様である。
【0023】
また、この発明の他の情報端末装置は、他の観点によれば、光学素子により情報を表示し、第1及び第2表示領域で構成された表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、第1及び第2表示領域の光をそれぞれ偏光して透過させる第1及び第2偏光領域を有する第3偏光手段と、第1及び第2表示領域の一方の表示領域に表示された情報の覗き見を防止する第4覗き見防止板とを備え、第4覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光領域を透過した前記透過光を透過させ、第2偏光領域を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第4偏光手段からなることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、第1及び第2偏光領域を透過した透過光は偏光され、さらに、第4覗き見防止板を構成する第4偏光手段により、第1偏光領域を透過した前記透過光が透過し、第2偏光領域を透過した前記透過光が遮光される。このため、第2表示領域に表示された情報は、第4覗き見防止板を介して視認できない。例えば、第1表示領域に広告情報等を表示し、第2表示領域に個人情報等を表示して、領域単位で使用者以外の第三者の覗き見を防止できる。
【0025】
なお、この発明においても、第3偏光手段(第1及び第2偏光領域)及び第4偏光手段がともに直線偏光板であってもよいし、ともに円偏光板であってもよい。例えば、直線偏光板の場合、第3偏光手段の第1及び第2偏光領域が互いに直交する透過軸を有し、第3偏光手段の第2の偏光領域が第4偏光手段の透過軸と直交する方向に透過軸を有するとよい。円偏光板の場合、第3偏光手段の第1偏光領域が左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であり、第3偏光手段の第2偏光領域が右回転円偏光板(又は左回転円偏光板)であり、第4偏光手段が左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であってもよい。
また、この発明においても、第4覗き見防止板は、少なくとも1つ備えればよい。
【0026】
また、この発明の実施形態において、前記発明の他の情報端末装置における構成に加え、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部とをさらに備え、前記制御部は、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第2表示領域に情報を出力してもよい。
【0027】
この実施形態によれば、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第2の表示領域に情報を出力するので、情報端末装置使用者がこの端末を使用しているとき、すなわち、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第三者が覗き見しても、第1表示領域に表示された情報を除き見することができない。
例えば、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1及び第2表示領域のうち第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第1及び第2表示領域に情報を出力すれば、情報端末装置使用者がこの端末を使用していないときに広告等の表示に、この情報端末装置を使用できる。
【0028】
また、この発明の実施形態において、前記情報端末装置が店舗用情報端末装置であり、第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓と兼用されてもよい。
【0029】
この実施形態によれば、第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓を兼用するので、省スペースである情報表示装置が提供される。また部品点数が少なくなるので、コストも抑えることができる。
【0030】
また、この発明の実施形態において、第1乃至第4覗き見防止板が偏光手段(例えば、偏光板、偏光フィルム)の面を支える透明又は半透明の板をさらに備えてもよい。すなわち、第1乃至第4覗き見防止板が上記偏光手段と、この偏光手段の面を支える透明又は半透明の板とで構成されてもよい。例えば、前記偏光手段の面を支える透明又は半透明の板がガラス板又はアクリル板であってもよい。また、第1乃至第4覗き見防止板は、前記透明又は半透明の板の枠をさらに備えてもよい。例えば、ガラス板又はアクリル板を嵌め込む枠をさらに備えてもよい。
【0031】
この実施形態によれば、第1乃至第4覗き見防止板の偏光手段の面を透明又は半透明の板で支えるので、第1乃至第4覗き見防止板の強度が向上する。また偏光板を支える板が光を透過させるので、情報端末装置使用者の動作を第1乃至第4覗き見防止板を介して観察できる。このため、不正行為の防止に適する。
【0032】
以下、この発明の実施形態に係る情報端末装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。この実施形態において、情報端末装置は、いわゆるセルフPOS端末であり、図1に示されるように、ディスプレイ2と、偏光板3と、ついたて4A,4Bとで構成されている。また、このセルフPOS端末9は、これらディスプレイ2、偏光板3、ついたて4A,4Bで構成される情報表示部1Aと、テンキー7Aと、カード挿入口及び紙幣出入口7Bと、制御部(図示せず)とで構成される本体部1Bとで構成されている。
【0034】
ディスプレイ2は、光学素子により情報を表示する表示面を有し、制御部からの出力に基づいてコンサートのチケット情報等の購買情報、商取引情報、金融情報、使用者の個人情報等を表示面に表示する。例えば、液晶ディスプレイ、CRT、プラズマパネルディスプレイ、LED素子やEL素子等の光学素子が用いられ、文字、映像(動画、静止画)等の情報が表示される。使用者は、この情報に基づいてテンキー7A等でセルフPOS端末9を操作する。
【0035】
偏光板3は、ディスプレイ2の表示面側、すなわち使用者側に配置され、ディスプレイ2の表示面ほぼ全面を覆うように配置されている。偏光板3は、いわゆる直線偏光フィルムであり、例えば、周知のポリビニールアルコール(PVA)フィルムとトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからなる偏光フィルムである。このような直線偏光フィルムがディスプレイ2に接着剤を介して貼り付けられることにより、ディスプレイ2を覆うように形成されている。この偏光板3により、ディスプレイ2の光学素子から発せられた光が直線偏光に変換される。
【0036】
なお、ディスプレイ2の光学素子が液晶ディスプレイである場合、液晶層を挟んで対向するように配置された基板それぞれに偏光板が設けられている。これらの偏光板のうち、表示面側の偏光板が、ここでいう偏光板に該当する。すなわち、ディスプレイ2の光学素子が偏光を発する場合、その光学素子の偏光を生じさせる光学部材(フィルター等)が偏光板3に相当し、CRT等、無偏光(自然光)を発する光学素子の場合、その表示面に偏光板3が設けられる。
【0037】
ついたて4A,4Bは、一対のついたて(左ついたて4A及び右ついたて4B)で構成され、互いに向き合うようにディスプレイ2を挟んで配置されている。後述する偏光板5A,5Bの配置、大きさにもよるが、使用者以外の第三者によるディスプレイ2の覗き見を防止するため、ディスプレイ2の表面に対して、ほぼ垂直な方向に配置され、それぞれのついたては互いにほぼ平行に配置される。
【0038】
また、ついたて4A,4Bは、ディスプレイ2に表示される文字、映像(動画、静止画)等の使用者以外の第三者による覗き見を防止するために設けられるので、主にディスプレイ2の中心部を挟むように配置される。図1に示されるセルフPOS端末9は、使用者の背丈よりもその高さが低い端末であり、使用者が視線を落としてディスプレイ2を覗き込む構造であるので、ディスプレイ2の側方から上方にかけて、ついたて4A,4Bがディスプレイ2の側面を覆うように配置されている。
このように、ついたて4A,4Bは、セルフPOS端末9の大きさ・構造に応じて配置されればよい。他の形態を挙げると、ディスプレイ2の高さ(表示面の上辺から下辺までの大きさ)とほぼ同じ高さでついたて4A,4Bが形成される形態や、ディスプレイ2の高さよりも大きい高さでついたて4A,4Bが形成される形態がある。なお、使用者側(ディスプレイ2前面)への突出量は、セルフPOS端末9の配置される環境に応じて適宜調整する。
【0039】
また、ついたて4A,4Bは、偏光板を備えている。図2は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の図1におけるA−A断面図である。図2に示されるように、ついたて4A,4Bは、偏光板5A,5Bと、ガラス板6A,6Bと構成され、偏光板5A,5Bがそれぞれガラス板6A,6B上に配置されている(貼り付けられている)。
【0040】
偏光板5A,5Bは、ディスプレイ2の表示面に配置された偏光板3を透過した光が透過させない機能を果たす光学フィルムであり、具体的には、周知のポリビニールアルコール(PVA)フィルムとトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからなる偏光フィルムであり、偏光板3と同様の直線偏光フィルムである。これら偏光板5A,5Bは、偏光板3で変換された直線偏光を透過させない方向にその透過軸が配置されている。
【0041】
この偏光板5A,5B及び偏光板3の透過軸について、図を用いて説明する。図3は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の偏光板3並びに左ついたて4A及び右ついたて4Bの透過軸の配置を説明するための概念図である。図3の(1)は、文字が表示されたディスプレイ2の平面的な概念図であり、図3の(2)は、偏光板3及び左ついたて4Aの偏光板について、その透過軸の関係を示す概念図である。また、図3の(3)は、第1実施形態に係る情報端末装置の、偏光板3と左ついたて4A及び右ついたて4Bの偏光板との透過軸の位置関係を示す概念的な斜視図である。図3の(2)(3)において、偏光板3と左ついたて4A及び右ついたて4Bに記載された矢印は、各偏光板(偏光板3とついたて4A、4Bの偏光板)の透過軸の方向を示している。
【0042】
図3に示されるように、偏光板3は、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置され、ついたて4A,4Bの偏光板は、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置されている(図3(3))。すなわち、偏光板3の透過軸が、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交するように配置されている。
【0043】
このとき、図3の(1)に示されるように、ディスプレイ2に文字情報が表示されると、図3の(2)に示されるようにセルフPOS端末9の前方右側方からはディスプレイ2に表示された文字情報の一部が観察できない。すなわち、ディスプレイ2に設けられた偏光板3と左ついたて4Aとが重なる範囲においてディスプレイ2の光学素子が発する光が遮光され、文字情報の一部(図3においてあい、かき、さしの文字)が観察できない。このため、セルフPOS端末9の側方に使用者以外の第三者がいたとしても、ディスプレイ2に表示された文字情報を認識できず、第三者が覗き見できない。
【0044】
平面図を用いて、この現象を説明する。図4に第三者が覗き見できない範囲を示す。図4は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0045】
図4に示されるように、ついたて4A,4Bがディスプレイ2の両側に(左右に)配置され、セルフPOS端末9の側方から前方に向かって突出しているので、使用者100の背面では、範囲301,302でディスプレイ2に表示された情報が視認できるだけであり、範囲201,202で視認できない。このように、偏光板3の透過軸と、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交するように配置することにより、セルフPOS端末9の側方からの第三者による覗き見が防止できる。
【0046】
なお、この実施形態では、偏光板のみを用いる形態を説明しているが、偏光板のほか、さらに1/4波長板(位相差板ともいう)を用いてもよい。すなわち、直線偏光板の代わりに、円偏光板を用いてもよい。円偏光板は、偏光板と1/4波長板とで構成され、前記1/4波長板は、前記偏光板の透過軸に対し、その軸が45度の方向となるように配置されて構成される。1/4波長板を内側にした、一対の円偏光板(左回転偏光板及び右左回転偏光板)を形成することにより遮光性を示すことが知られている。この一対の円偏光板(左回転偏光板及び右左回転偏光板)を、この実施形態の偏光板3及びついたて4A,4Bに適用することにより、同様の効果を得ることができる。円偏光板の場合、周知のように、偏光板の透過軸を互いにほぼ平行にし、1/4波長板の軸が互いに直交するように配置すればよい。また、この実施形態には、楕円偏光板も適用できる。
【0047】
また、この実施形態では、偏光板3の透過軸が縦方向である例(図3)を示したが、ディスプレイ2がTN型液晶ディスプレイの場合、斜め45度方向の偏光板が採用されているので、この偏光板を偏光板3として用いてもよく、さらに偏光板3を斜め45度方向に配置してもよい。このように、採用するディスプレイの偏光特性に応じて偏光板3の角度を適宜調整してもよい。
【0048】
また、ガラス板6A,6Bは、ついたて4A,4Bにおいて偏光板5A,5Bを支持する板であり、セルフPOS端末9内の使用者の作業が外部から観察できるようにして不正行為防止する必要があるので、無色透明に形成されている。偏光板を支持するとともに、光を透過させる板であればよいので、例えば、ガラス板のほか、アクリル板等を用いることができる。光を無偏光(自然光)のまま透過させる材料で形成されていることが好ましいので、この実施形態にようにガラス板を用いるとよい。また、偏光板を支持する板(支持板)であればよいので、ガラス板やアクリル板等を支える枠を形成し、この枠にガラス板やアクリル板等の板を嵌め込んで形成してもよい(例えば、ガラス窓)。また、光を透過させる板であればよいので、無色透明の板に限られず、半透明の板や着色された板を用いてもよい。すなわち、ガラス板6A,6Bは、透明のみならず半透明のガラス板であってもよい。
【0049】
このように、ガラス板6A,6Bに、透明又は半透明のガラス板であればよいので、ついたて4A,4Bは、その幅、高さを大きくすることができる。従来の情報端末装置の場合(図12)、大型のバイザーを採用すると、使用者の作業が十分観察できないので、不正行為の防止上問題が生じうる。しかし、この実施形態の場合、透明又は半透明のガラス板6A,6Bを採用できるので、従来の情報端末装置のバイザーと比較して大型のついたてを採用できる。従って、大型のついたてを採用することにより、第三者が覗き見できる範囲を狭め、より第三者が覗き見できないようにすることができる。
【0050】
また、セルフPOS端末9は、テンキー7Aと、カード挿入口及び紙幣出入口7Bと、制御部で構成される本体部1Bを備え、ついたて4A,4Bが、これらを挟んでその両側に(左右に)配置されている。すなわち、防犯上の観点から、使用者以外の第三者の手が入り込まないように(使用者以外の第三者が侵入しないように)構成されている。ついたて4A,4Bは、ディスプレイ2の側面から、テンキー7A、カード挿入口及び紙幣出入口7Bが配置されたテーブル部8に達し、さらにセルフPOS端末9の前面側に突出している。このように、防犯上の観点から、ついたて4A,4Bが、テンキー7A、カード挿入口及び紙幣出入口7Bを挟んでその両側に配置される。また、このように配置されると、第三者はディスプレイ2に表示された情報を覗き見できないので、いかなる情報に関連して使用者がテンキー7Aに入力したのかを第三者が理解することができず、このため、このセルフPOS端末9は不正行為の防止に優れる。
【0051】
なお、その目的の相違から、偏光板5A,5Bの大きさをついたて4A,4Bよりも小さくして、ディスプレイ2の配置された高さ付近のみを隠すように配置されてもよいし、上方から覗き見されることを想定して、ついたて4A,4Bの中央に対して偏光板5A,5Bを上方に配置してもよい。すなわち、ついたて4A,4Bの一部に偏光板5A,5Bを配置してもよい。
【0052】
一方、テンキー7Aは、制御部に対して情報を入力する入力部であり、テンキーのほか、例えば、ファンクションキーのような、入力ボタンやタッチパネル(タッチスクリーン)で構成されている。
テンキー7Aに替えてタッチパネルで構成された場合、タッチパネル上に偏光板が配置され、上記偏光板5A,5Bは、ディスプレイ2のみならずタッチパネルが配置された位置、高さにまで達するようにその大きさが変更されて配置されてもよい。すなわち、使用者の手元が第三者に覗き見されないように、ついたて4A,4Bは、図1のテーブル部8の両側に(左右に)互いに向き合うように配置され、ついたて4A,4Bの表面に設けられた偏光板5A,5Bは、テーブル部8上面の高さからディスプレイ2上端まで達する範囲に形成され、さらに、タッチパネル上の偏光板は、その透過軸が偏光板3と同じ方向(つまり、偏光板5A,5Bの透過軸と直交する方向)に配置されてもよい。
この場合、タッチパネルに表示される入力情報も使用者以外の第三者が視認できないので、第三者の覗き見の防止により優れる。
また、上記偏光板5A,5Bは、ついたて4A,4Bの先端(使用者側に突出する先端)側に配置されるのではなく、ディスプレイ2及びタッチパネル側に配置されて、これらの個所のみ覗き見されないようにしてもよい。このように、ついたて4A,4Bの一部、すなわち、使用者の手元付近に偏光板5A,5Bが配置されてもよい。
【0053】
また、カード挿入口及び紙幣出入口7Bは、本体部1Bにカード等の物品を出し入れするために設けられ、ディスプレイ2の下方に配置されている。このカード挿入口及び紙幣出入口7Bは、セルフPOS端末9の使用目的に応じて適宜設けられる構造物であり、これらの構造物に、光学素子が使用されることは少ない。このため、ついたて4A,4Bの偏光板5A,5Bに挟まれるように配置される必要性はあまりない。しかし、防犯上の観点から、カード挿入口及び紙幣出入口7Bがついたて4A,4Bに、テーブル部8のテンキー7Aとともに挟まれるように配置し、使用者以外の第三者が侵入しないように構成するとよい。
【0054】
〔第2実施形態〕
図5は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。図1に示されるように、この実施形態においても、情報端末装置はセルフPOS端末であり、このセルフPOS端末は、第1実施形態に係るセルフPOS端末と同様の構成のほか、さらに後部ついたて4Cを備えている。
【0055】
後部ついたて4Cは、左右のついたて4A,4Bと同様に、ガラス板と、このガラス板上に貼り付けられた偏光板とで構成され、この偏光板は、ディスプレイ2上の偏光板3で変換された直線偏光を透過させない方向にその透過軸が配置されている。
【0056】
図を用いて、後部ついたて4Cの偏光板の透過軸を説明する。図6は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置の偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B、及び後部ついたて4Cの透過軸の配置を説明するための概念図である。図6において、図3と同様に、偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B及び後部ついたて4Cに記載された矢印は、各偏光板(偏光板3とついたて4A,4B,4Cの偏光板)の透過軸の方向を示している。
【0057】
図6に示されるように、偏光板3は、第1実施形態と同様に、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置され、ついたて4A,4Bの偏光板は、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置され、さらに後部ついたて4Cの偏光板も、ついたて4A,4Bの偏光板と同様の方向にその透過軸が配置されている。すなわち、後部ついたて4Cの偏光板は、偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように配置されている。
【0058】
図を用いて、このような配置関係にある場合に第三者が覗き見できない範囲を説明する。図7は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0059】
図7に示されるように、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、左ついたて4A及び右ついたて4Bがディスプレイ2の両側に配置されているので、使用者100の背面では、範囲201,202でディスプレイ2に表示された情報が視認できず、わずかに範囲301,302でその情報が視認できるにすぎない。
しかし、第2実施形態では、さらに後部ついたて4Cが配置されているので、上記範囲301,302もディスプレイ2の光が遮光されることになる。従って、後部ついたて4Cの背面では、範囲204、すなわち、その背面全体でディスプレイ2に表示された情報が視認できないこととなる。このように、第2実施形態では、セルフPOS端末9の側方のみならず背面からも第三者による覗き見が防止できる。
【0060】
この実施形態は、個室のような環境に情報端末装置(例えば、セルフPOS端末)を配置したい場合に適用できる。使用者がその内部で作業を行うことができるように、ディスプレイ2等と所定の距離隔てて、ついたて4Cを配置する。このように構成しても、外部からその内部を観察することができるので、ディスプレイ2に表示された情報の第三者による覗き見を防止できる。また、使用者の動作が観察できるので、不正行為が発見されやすく、このため、不正行為も防止できる。個室のような環境は外部から観察されにくく不正の温床となりやすいので、この実施形態は、個室のような環境に適している。
【0061】
なお、この実施形態においても、第1実施形態と同様に、ついたて4Cの中央に対して偏光板を上方に配置してもよい。すなわち、使用状況に応じて、ついたて4Cの一部に偏光板を配置してもよい。
【0062】
〔第3実施形態〕
第2実施形態に係る情報端末装置は、後部ついたて4Cが店舗等の建物のガラス窓と兼用されて実施される形態であってもよい。この実施形態について説明する。第3実施形態に係る情報端末装置は、第2実施形態と同様に、後部ついたて4Cに相当する構成を備えているが、第2実施形態の後部ついたて4Cのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられている。また、このガラス窓のガラス板にディスプレイ2における偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように偏光板が配置されている。
【0063】
第3実施形態を図9に示し、比較のため図8に第1実施形態の配置例を示す。図8は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。また、図9は、発明の第3実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0064】
図8に示されるように、第1実施形態のセルフPOS端末9は、店舗等の建物のガラス窓500に対して、その背面を向けるように、通常配置される。これにより、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認できないようにすることができる。しかし、その反面、店舗内の使用者以外の第三者がディスプレイ2に表示された情報を視認できる範囲(範囲301及び302)が発生する。
【0065】
一方、図9に示されるように、第3実施形態のセルフPOS端末9は、その前面が店舗等の建物のガラス窓500に向くように配置され、さらに店舗等の建物のガラス窓500と後部ついたて4Cが兼用される。具体的には、ディスプレイ2は、その画面がガラス窓500と向き合うように配置され、ガラス窓500と、ガラス窓500に貼り付けられた偏光板5Cとにより後部ついたて4Cが構成される。また、ガラス窓500に貼り付けられた偏光板5Cは、その透過軸がディスプレイ2における偏光板3の透過軸と直交するように配置される。
【0066】
この場合、ガラス窓500自体がディスプレイ2に表示された情報を視認できないようにするため、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認されることはない。従って、ディスプレイ2に表示された情報の覗き見を防止できるとともに、ガラス窓500自体が後部ついたて4Cを兼用するので、店舗等で省スペース化が実現できる。
【0067】
なお、第3実施形態で用いられる偏光板は、第1実施形態と同様のものを用いればよく、例えば、直線偏光板、円偏光板いずれでもよい。また、図8に示す第1実施形態において、POS端末9の背面が店舗等の建物のガラス窓500に面する配置の形態を挙げているが、POS端末9の左右のいずれか一方の面が店舗等の建物の壁に面する場合、その一方の面のついたてが省略されてもよい。
【0068】
〔第4実施形態〕
さらに、第1実施形態に係る情報端末装置は、左右のついたて4A,4Bのいずれか一方が店舗等の建物のガラス窓と兼用されて実施される形態であってもよい。図10にこの実施形態を示す。図10は、この発明の第4実施形態に係る情報端末装置における左ついたて4Aを説明するための概念図である。
【0069】
図10に示されるように、第4実施形態に係るセルフPOS端末9(情報端末装置)は、第1実施形態と同様に、左右のついたて4A,4Bに相当する構成を備え、第1実施形態の左ついたて4Aのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられ、このガラス窓のガラス板に、ディスプレイ2における偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように偏光板が配置されている。また、このガラス窓は、直交するガラス窓とコーナー部を形成し、このコーナー部にセルフPOS端末9が配置されている。すなわち、セルフPOS端末9は、その背面と左面がコーナー部を形成するガラス窓にそれぞれ面している。
【0070】
第4実施形態においても、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板がついたてのガラス板を兼用しているので、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認されることもなく、また、店舗等の省スペース化が実現できる。
なお、この実施形態では、左ついたて4Aのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられる形態を挙げているが、右ついたて4Bに適用してもよいことは言うまでもない。
【0071】
〔第5実施形態〕
次に、ディスプレイ2に複数の透過軸を備える偏光板を用いる形態について説明する。図11は、この発明の第5実施形態に係る情報端末装置における偏光板3の透過軸の配置を説明するための概念図である。
【0072】
図11に示すように、第5実施形態に係る情報端末装置の偏光板30(第3偏光手段)は、2つの偏光領域を有し、これらの領域がディスプレイ2の2つの画面領域の光を透過させ偏光するように構成されている。すなわち、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置された偏光領域31,33,35等(第2偏光領域)と、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置された偏光領域32,34,36等(第1偏光領域)とで構成されている。これらの領域は、マトリックス状に配置された画素(図示せず)に対応するように配置され、偏光領域31及び32は縦方向に並んだ複数の画素の位置に対応して並んでいる。
【0073】
一方、制御部は、上記2つの領域それぞれに映像信号を出力するように構成されている。すなわち、上記縦方向に並んだ複数の画素からなる領域(第1表示領域)とこの領域に隣り合う領域(第2表示領域)に同じ映像信号の一部が出力できるように構成されている(図示せず)。例えば、図11に示す偏光領域31,32にそれぞれ対応する領域をペアとして、これら領域に同じ映像信号の一部が出力され、領域31及び32、領域33及び34・・・の全体で1つの映像が表示されるように構成されている。
【0074】
そして、制御部は、情報端末装置に使用者がいると判定した場合、例えば、テンキー7Aに入力があったり、カード挿入口及び紙幣出入口7Bに物品の出し入れがあったりした場合、ディスプレイ2に出力する映像を変更するように構成されている。例えば、制御部は、通常(使用者がいると判定していない場合)、上記ペアの領域(第1及び第2表示領域)に同じ映像を出力し、使用者がいると判定した場合、ペアの領域の一方(第2表示領域)にのみ映像を出力する。
【0075】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置されているので、使用者がいると制御部が判定した場合にペアの領域の一方、すなわち、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交する偏光領域31,33,・・・の表示領域(第2表示領域)のみ制御部が映像を出力するように構成すれば、使用者には映像が視認できるものの、使用者以外の第三者には、ついたて4A,4Bがディスプレイの映像を遮光して覗き見できないことになる。
【0076】
従って、上記のように、偏光板3に複数の偏光領域が設けられ、ついたて4A,4Bの偏光板が、偏光板3の一方の偏光領域を透過した光を透過させるとともに、他方の偏光領域を透過した光を透過させないように配置され、さらに、制御部は、使用者がいると判定した場合に上記他方の偏光領域に対応する画素にのみ映像を出力するように構成されることにより、通常時には、ついたて4A,4Bの側面であっても上記一方の偏光領域に対応する画素を介して映像を視認することができる情報端末装置となり、一方、使用者がいる場合には上記一方の偏光領域に対応する画素に映像上が出力されないので、使用者のみが映像を視認することができる情報端末装置となる。このため、制御部が通常時に(使用者がいると判定していない場合に)、広告等の映像を出力することにより、この情報端末装置を宣伝に用いることができる。
【0077】
この明細書で説明した実施形態はこの発明の具体的な一例に過ぎず、この発明はこれらよって限定されるものではない。この発明は請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についてもこの発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1A 情報表示部(情報表示装置)
1B 本体部
2 ディスプレイ(表示部)
3 3A 偏光板(第1偏光手段)
4 4A 4B 4C ついたて(第1及び第2覗き見防止板)
4A 左ついたて
4B 右ついたて
4C 後部ついたて(第3覗き見防止板)
5 5A 5B 偏光板(第2偏光手段)
6 アクリル板 (支持板)
7A テンキー (入力部)
7B カード挿入口及び紙幣出入口(入力部)
8 テーブル部
9 セルフPOS端末(報端末装置)
10 筐体
20 ディスプレイ
40 41バイザー
90 情報端末装置
100 使用者 (情報端末装置使用者)
500 ガラス窓
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報端末装置に関し、特に、情報を表示する表示部と前記表示部の覗き見を防止する覗き見防止板を備える情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、預金等の金融情報、コンサートのチケット情報等を表示するディスプレイを備えた情報端末装置が普及している(例えば、現金自動預入支払機(automatic teller mashine。以下ATMという)、キオスク端末(kiosk terminal)等のセルフPOS端末)。このような情報端末装置は、暗証番号や個人情報等をディスプレイに表示して使用することがあるので、例えば、視野角の狭いディスプレイを用いたり、ディスプレイの筐体にバイザーを設けたりすることにより、使用者以外の第三者がディスプレイを除き見しないようにしている。
【0003】
例えば、ATM用の簡易覗き見防止壁や折れ曲がるバイザーが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、CRT表示装置の表示画面の上部に表示領域を設け、その下方に偏光シートを施した入力領域を設け、入力領域に施された数字を斜めから見ることができないようにした情報提供端末装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、装置の使用状態に応じて遮蔽板や遮光板をディスプレイの側方に突出させる現金自動預け払い機や端末装置が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
また、ATMやキオスク端末ではないが、視野角を切り替える視野切替装置を備える携帯情報端末装置が知られている(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
以下に、図12を用いて、従来の情報端末装置について説明する。図12は、従来の情報端末装置を説明するための概念図である。図12において、(1)は、ディスプレイの筐体にバイザーを設けた情報端末装置の斜視図であり、(2)は、この情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための上面図である。また、図12の(3)は、視野角が狭いディスプレイを採用した情報端末装置について、そのディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための上面図である。
【0005】
図12の(1)に示されるように、従来の情報端末装置90は、情報を表示するディスプレイ20と、ディスプレイ20が配置された筐体10の両側面に突出するように配置されたバイザー40,41とを備えている。
【0006】
この情報端末装置90の前方で、使用者が情報端末装置90を使用している場合を想定すると、図12の(2)から明らかなように、この情報端末装置90は、バイザー40,41がディスプレイ20の側方を遮っているので、ディスプレイ20の前面の範囲211,212で使用者以外の第三者が覗き見できない(すなわち、使用者以外の第三者は範囲311,312で覗き見できるにすぎない)。
【0007】
また、図12の(3)に示されるように、従来の情報端末装置90に視野角が狭いディスプレイ21が採用され、上記の場合と同様に、使用者が情報端末装置90を使用する場合を想定すると、このディスプレイ21は視野角が狭いので、使用者以外の第三者は、その前面の範囲311,312で覗き見できるものの、側方の範囲211,212で覗き見できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−155216号公報
【特許文献2】特開2008−84012号公報
【特許文献3】特開平9−16831号公報
【特許文献4】特開平9−223250号公報
【特許文献5】特開2005−266847号公報
【特許文献6】特開2007−101606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の情報端末装置で、バイザーを完全に遮光性の材料で形成すると、ディスプレイに表示された情報を第三者が覗き見することを防止する効果があるものの、バイザー内の使用者の動作も観察できない。このため、不正行為の防止が十分図れない。一方、バイザーを半透明の材料で形成すると、不正行為の防止を図ることはできるものの、第三者が覗き見することを防止する効果が十分でない。
また、視野角が狭いディスプレイ21を情報端末装置に採用した場合でも、完全に遮光できるともいえず、むしろ視野角以外の領域でディスプレイの画像が反転して観察されることがあり(例えば、TN型の液晶表示装置)、第三者の覗き見を十分に防止できない。
このため、第三者が覗き見することを防止できるとともに、不正行為の防止を図ることができる情報端末装置が望まれている。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、第三者が覗き見することを防止できるとともに、不正行為の防止を図ることができる情報端末装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなるので、第1偏光手段を透過した透過光は偏光され、さらに、前記覗き見防止板を構成する第2偏光手段により、その偏光が遮光される。このため、光学素子により表示された情報は、覗き見防止板を介して視認できない。従って、情報表示装置の前記表示部に表示された情報は、情報表示装置の側方から視認できず、この発明によれば、前記情報を使用者以外の第三者が覗き見することが防止された情報端末装置が提供される。
【0013】
また、情報端末装置の使用者を照らす照明光等の外光は、表示部の表示面側に配置された第1偏光手段を透過しないので、無偏光(一般に自然光ともいう)のまま、前記覗き見防止板を透過する。このため、使用者の動作を前記覗き見防止板を介して観察できる。従って、前記覗き見防止板の間にいる使用者の動作を情報端末装置の側方から観察できるので、この発明の情報端末装置は、不正行為の防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の図1におけるA−A断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の偏光板3並びに左ついたて4A及び右ついたて4Bの透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置の偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B、及び後部ついたて4Cの透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図7】この発明の第2実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図9】この発明の第3実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【図10】この発明の第4実施形態に係る情報端末装置における左ついたて4Aを説明するための概念図である。
【図11】この発明の第5実施形態に係る情報端末装置における偏光板3の透過軸の配置を説明するための概念図である。
【図12】従来の情報端末装置を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の情報端末装置は、光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする。
【0016】
ここで、偏光には、直線偏光と回転偏光(例えば、円偏光)が含まれ、偏光手段は、入射する光を偏光して出射させる。偏光手段には、いわゆる偏光板、偏光フィルム、偏光フィルター等が該当する。この発明において、例えば、第1偏光手段が直線偏光板の場合、第2偏光手段も直線偏光板であり、第1偏光手段が円偏光板の場合、第2偏光手段も円偏光板である。
具体的には、第1偏光手段が直線偏光板の場合、第2偏光手段は、その透過軸が第1偏光手段の透過軸と直交する方向に配置されるとよい。また、第1偏光手段が円偏光板の場合、第1偏光手段がいわゆる左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であり、第2偏光手段がいわゆる右回転円偏光板(又は左回転円偏光板)であってもよい。
【0017】
また、前記覗き見防止板は、少なくとも1つ備える。覗き見を防止する方向に設ければよいので、その方向が1つである場合、前記覗き見防止板は1枚でもよい。例えば、前記表示部の側方からの覗き見を防止する場合、前記表示部の側方に前記表示部の表示面に対してほぼ垂直に配置するとよい。また、覗き見防止板は複数で構成されてもよい。
【0018】
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記覗き見防止板は、第1及び第2覗き見防止板からなり、第1及び第2覗き見防止板が前記表示部を挟んで互いに向き合うように前記表示部の両側に配置されてもよい。
【0019】
この実施形態によれば、前記表示部の左右側方からの第三者による覗き見を防止できる。
【0020】
また、この発明の実施形態において、前記覗き見防止板は、第1乃至第3覗き見防止板からなり、第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置されてもよい。
【0021】
この実施形態によれば、第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置されているので、前記表示部と向き合う方向からの第三者による覗き見を防止できる。
【0022】
ここで、第3覗き見防止板は前記覗き見防止板に含まれ、第3覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなる。このため、第3覗き見防止板の偏光手段の偏光も、直線偏光と回転偏光(例えば、円偏光)が含まれ、その配置は第2偏光手段と同様である。
【0023】
また、この発明の他の情報端末装置は、他の観点によれば、光学素子により情報を表示し、第1及び第2表示領域で構成された表示面を備えた表示部と、前記表示部の表示面上に設置され、第1及び第2表示領域の光をそれぞれ偏光して透過させる第1及び第2偏光領域を有する第3偏光手段と、第1及び第2表示領域の一方の表示領域に表示された情報の覗き見を防止する第4覗き見防止板とを備え、第4覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光領域を透過した前記透過光を透過させ、第2偏光領域を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第4偏光手段からなることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、第1及び第2偏光領域を透過した透過光は偏光され、さらに、第4覗き見防止板を構成する第4偏光手段により、第1偏光領域を透過した前記透過光が透過し、第2偏光領域を透過した前記透過光が遮光される。このため、第2表示領域に表示された情報は、第4覗き見防止板を介して視認できない。例えば、第1表示領域に広告情報等を表示し、第2表示領域に個人情報等を表示して、領域単位で使用者以外の第三者の覗き見を防止できる。
【0025】
なお、この発明においても、第3偏光手段(第1及び第2偏光領域)及び第4偏光手段がともに直線偏光板であってもよいし、ともに円偏光板であってもよい。例えば、直線偏光板の場合、第3偏光手段の第1及び第2偏光領域が互いに直交する透過軸を有し、第3偏光手段の第2の偏光領域が第4偏光手段の透過軸と直交する方向に透過軸を有するとよい。円偏光板の場合、第3偏光手段の第1偏光領域が左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であり、第3偏光手段の第2偏光領域が右回転円偏光板(又は左回転円偏光板)であり、第4偏光手段が左回転円偏光板(又は右回転円偏光板)であってもよい。
また、この発明においても、第4覗き見防止板は、少なくとも1つ備えればよい。
【0026】
また、この発明の実施形態において、前記発明の他の情報端末装置における構成に加え、情報を入力する入力部と、入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部とをさらに備え、前記制御部は、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第2表示領域に情報を出力してもよい。
【0027】
この実施形態によれば、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第2の表示領域に情報を出力するので、情報端末装置使用者がこの端末を使用しているとき、すなわち、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第三者が覗き見しても、第1表示領域に表示された情報を除き見することができない。
例えば、前記入力部に情報が入力され、かつ前記情報が入力されてから所定時間内であるとき、第1及び第2表示領域のうち第1表示領域にのみ情報を出力し、前記所定時間経過後、かつ前記入力部に情報が入力されないとき、第1及び第2表示領域に情報を出力すれば、情報端末装置使用者がこの端末を使用していないときに広告等の表示に、この情報端末装置を使用できる。
【0028】
また、この発明の実施形態において、前記情報端末装置が店舗用情報端末装置であり、第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓と兼用されてもよい。
【0029】
この実施形態によれば、第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓を兼用するので、省スペースである情報表示装置が提供される。また部品点数が少なくなるので、コストも抑えることができる。
【0030】
また、この発明の実施形態において、第1乃至第4覗き見防止板が偏光手段(例えば、偏光板、偏光フィルム)の面を支える透明又は半透明の板をさらに備えてもよい。すなわち、第1乃至第4覗き見防止板が上記偏光手段と、この偏光手段の面を支える透明又は半透明の板とで構成されてもよい。例えば、前記偏光手段の面を支える透明又は半透明の板がガラス板又はアクリル板であってもよい。また、第1乃至第4覗き見防止板は、前記透明又は半透明の板の枠をさらに備えてもよい。例えば、ガラス板又はアクリル板を嵌め込む枠をさらに備えてもよい。
【0031】
この実施形態によれば、第1乃至第4覗き見防止板の偏光手段の面を透明又は半透明の板で支えるので、第1乃至第4覗き見防止板の強度が向上する。また偏光板を支える板が光を透過させるので、情報端末装置使用者の動作を第1乃至第4覗き見防止板を介して観察できる。このため、不正行為の防止に適する。
【0032】
以下、この発明の実施形態に係る情報端末装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。この実施形態において、情報端末装置は、いわゆるセルフPOS端末であり、図1に示されるように、ディスプレイ2と、偏光板3と、ついたて4A,4Bとで構成されている。また、このセルフPOS端末9は、これらディスプレイ2、偏光板3、ついたて4A,4Bで構成される情報表示部1Aと、テンキー7Aと、カード挿入口及び紙幣出入口7Bと、制御部(図示せず)とで構成される本体部1Bとで構成されている。
【0034】
ディスプレイ2は、光学素子により情報を表示する表示面を有し、制御部からの出力に基づいてコンサートのチケット情報等の購買情報、商取引情報、金融情報、使用者の個人情報等を表示面に表示する。例えば、液晶ディスプレイ、CRT、プラズマパネルディスプレイ、LED素子やEL素子等の光学素子が用いられ、文字、映像(動画、静止画)等の情報が表示される。使用者は、この情報に基づいてテンキー7A等でセルフPOS端末9を操作する。
【0035】
偏光板3は、ディスプレイ2の表示面側、すなわち使用者側に配置され、ディスプレイ2の表示面ほぼ全面を覆うように配置されている。偏光板3は、いわゆる直線偏光フィルムであり、例えば、周知のポリビニールアルコール(PVA)フィルムとトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからなる偏光フィルムである。このような直線偏光フィルムがディスプレイ2に接着剤を介して貼り付けられることにより、ディスプレイ2を覆うように形成されている。この偏光板3により、ディスプレイ2の光学素子から発せられた光が直線偏光に変換される。
【0036】
なお、ディスプレイ2の光学素子が液晶ディスプレイである場合、液晶層を挟んで対向するように配置された基板それぞれに偏光板が設けられている。これらの偏光板のうち、表示面側の偏光板が、ここでいう偏光板に該当する。すなわち、ディスプレイ2の光学素子が偏光を発する場合、その光学素子の偏光を生じさせる光学部材(フィルター等)が偏光板3に相当し、CRT等、無偏光(自然光)を発する光学素子の場合、その表示面に偏光板3が設けられる。
【0037】
ついたて4A,4Bは、一対のついたて(左ついたて4A及び右ついたて4B)で構成され、互いに向き合うようにディスプレイ2を挟んで配置されている。後述する偏光板5A,5Bの配置、大きさにもよるが、使用者以外の第三者によるディスプレイ2の覗き見を防止するため、ディスプレイ2の表面に対して、ほぼ垂直な方向に配置され、それぞれのついたては互いにほぼ平行に配置される。
【0038】
また、ついたて4A,4Bは、ディスプレイ2に表示される文字、映像(動画、静止画)等の使用者以外の第三者による覗き見を防止するために設けられるので、主にディスプレイ2の中心部を挟むように配置される。図1に示されるセルフPOS端末9は、使用者の背丈よりもその高さが低い端末であり、使用者が視線を落としてディスプレイ2を覗き込む構造であるので、ディスプレイ2の側方から上方にかけて、ついたて4A,4Bがディスプレイ2の側面を覆うように配置されている。
このように、ついたて4A,4Bは、セルフPOS端末9の大きさ・構造に応じて配置されればよい。他の形態を挙げると、ディスプレイ2の高さ(表示面の上辺から下辺までの大きさ)とほぼ同じ高さでついたて4A,4Bが形成される形態や、ディスプレイ2の高さよりも大きい高さでついたて4A,4Bが形成される形態がある。なお、使用者側(ディスプレイ2前面)への突出量は、セルフPOS端末9の配置される環境に応じて適宜調整する。
【0039】
また、ついたて4A,4Bは、偏光板を備えている。図2は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の図1におけるA−A断面図である。図2に示されるように、ついたて4A,4Bは、偏光板5A,5Bと、ガラス板6A,6Bと構成され、偏光板5A,5Bがそれぞれガラス板6A,6B上に配置されている(貼り付けられている)。
【0040】
偏光板5A,5Bは、ディスプレイ2の表示面に配置された偏光板3を透過した光が透過させない機能を果たす光学フィルムであり、具体的には、周知のポリビニールアルコール(PVA)フィルムとトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからなる偏光フィルムであり、偏光板3と同様の直線偏光フィルムである。これら偏光板5A,5Bは、偏光板3で変換された直線偏光を透過させない方向にその透過軸が配置されている。
【0041】
この偏光板5A,5B及び偏光板3の透過軸について、図を用いて説明する。図3は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置の偏光板3並びに左ついたて4A及び右ついたて4Bの透過軸の配置を説明するための概念図である。図3の(1)は、文字が表示されたディスプレイ2の平面的な概念図であり、図3の(2)は、偏光板3及び左ついたて4Aの偏光板について、その透過軸の関係を示す概念図である。また、図3の(3)は、第1実施形態に係る情報端末装置の、偏光板3と左ついたて4A及び右ついたて4Bの偏光板との透過軸の位置関係を示す概念的な斜視図である。図3の(2)(3)において、偏光板3と左ついたて4A及び右ついたて4Bに記載された矢印は、各偏光板(偏光板3とついたて4A、4Bの偏光板)の透過軸の方向を示している。
【0042】
図3に示されるように、偏光板3は、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置され、ついたて4A,4Bの偏光板は、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置されている(図3(3))。すなわち、偏光板3の透過軸が、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交するように配置されている。
【0043】
このとき、図3の(1)に示されるように、ディスプレイ2に文字情報が表示されると、図3の(2)に示されるようにセルフPOS端末9の前方右側方からはディスプレイ2に表示された文字情報の一部が観察できない。すなわち、ディスプレイ2に設けられた偏光板3と左ついたて4Aとが重なる範囲においてディスプレイ2の光学素子が発する光が遮光され、文字情報の一部(図3においてあい、かき、さしの文字)が観察できない。このため、セルフPOS端末9の側方に使用者以外の第三者がいたとしても、ディスプレイ2に表示された文字情報を認識できず、第三者が覗き見できない。
【0044】
平面図を用いて、この現象を説明する。図4に第三者が覗き見できない範囲を示す。図4は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0045】
図4に示されるように、ついたて4A,4Bがディスプレイ2の両側に(左右に)配置され、セルフPOS端末9の側方から前方に向かって突出しているので、使用者100の背面では、範囲301,302でディスプレイ2に表示された情報が視認できるだけであり、範囲201,202で視認できない。このように、偏光板3の透過軸と、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交するように配置することにより、セルフPOS端末9の側方からの第三者による覗き見が防止できる。
【0046】
なお、この実施形態では、偏光板のみを用いる形態を説明しているが、偏光板のほか、さらに1/4波長板(位相差板ともいう)を用いてもよい。すなわち、直線偏光板の代わりに、円偏光板を用いてもよい。円偏光板は、偏光板と1/4波長板とで構成され、前記1/4波長板は、前記偏光板の透過軸に対し、その軸が45度の方向となるように配置されて構成される。1/4波長板を内側にした、一対の円偏光板(左回転偏光板及び右左回転偏光板)を形成することにより遮光性を示すことが知られている。この一対の円偏光板(左回転偏光板及び右左回転偏光板)を、この実施形態の偏光板3及びついたて4A,4Bに適用することにより、同様の効果を得ることができる。円偏光板の場合、周知のように、偏光板の透過軸を互いにほぼ平行にし、1/4波長板の軸が互いに直交するように配置すればよい。また、この実施形態には、楕円偏光板も適用できる。
【0047】
また、この実施形態では、偏光板3の透過軸が縦方向である例(図3)を示したが、ディスプレイ2がTN型液晶ディスプレイの場合、斜め45度方向の偏光板が採用されているので、この偏光板を偏光板3として用いてもよく、さらに偏光板3を斜め45度方向に配置してもよい。このように、採用するディスプレイの偏光特性に応じて偏光板3の角度を適宜調整してもよい。
【0048】
また、ガラス板6A,6Bは、ついたて4A,4Bにおいて偏光板5A,5Bを支持する板であり、セルフPOS端末9内の使用者の作業が外部から観察できるようにして不正行為防止する必要があるので、無色透明に形成されている。偏光板を支持するとともに、光を透過させる板であればよいので、例えば、ガラス板のほか、アクリル板等を用いることができる。光を無偏光(自然光)のまま透過させる材料で形成されていることが好ましいので、この実施形態にようにガラス板を用いるとよい。また、偏光板を支持する板(支持板)であればよいので、ガラス板やアクリル板等を支える枠を形成し、この枠にガラス板やアクリル板等の板を嵌め込んで形成してもよい(例えば、ガラス窓)。また、光を透過させる板であればよいので、無色透明の板に限られず、半透明の板や着色された板を用いてもよい。すなわち、ガラス板6A,6Bは、透明のみならず半透明のガラス板であってもよい。
【0049】
このように、ガラス板6A,6Bに、透明又は半透明のガラス板であればよいので、ついたて4A,4Bは、その幅、高さを大きくすることができる。従来の情報端末装置の場合(図12)、大型のバイザーを採用すると、使用者の作業が十分観察できないので、不正行為の防止上問題が生じうる。しかし、この実施形態の場合、透明又は半透明のガラス板6A,6Bを採用できるので、従来の情報端末装置のバイザーと比較して大型のついたてを採用できる。従って、大型のついたてを採用することにより、第三者が覗き見できる範囲を狭め、より第三者が覗き見できないようにすることができる。
【0050】
また、セルフPOS端末9は、テンキー7Aと、カード挿入口及び紙幣出入口7Bと、制御部で構成される本体部1Bを備え、ついたて4A,4Bが、これらを挟んでその両側に(左右に)配置されている。すなわち、防犯上の観点から、使用者以外の第三者の手が入り込まないように(使用者以外の第三者が侵入しないように)構成されている。ついたて4A,4Bは、ディスプレイ2の側面から、テンキー7A、カード挿入口及び紙幣出入口7Bが配置されたテーブル部8に達し、さらにセルフPOS端末9の前面側に突出している。このように、防犯上の観点から、ついたて4A,4Bが、テンキー7A、カード挿入口及び紙幣出入口7Bを挟んでその両側に配置される。また、このように配置されると、第三者はディスプレイ2に表示された情報を覗き見できないので、いかなる情報に関連して使用者がテンキー7Aに入力したのかを第三者が理解することができず、このため、このセルフPOS端末9は不正行為の防止に優れる。
【0051】
なお、その目的の相違から、偏光板5A,5Bの大きさをついたて4A,4Bよりも小さくして、ディスプレイ2の配置された高さ付近のみを隠すように配置されてもよいし、上方から覗き見されることを想定して、ついたて4A,4Bの中央に対して偏光板5A,5Bを上方に配置してもよい。すなわち、ついたて4A,4Bの一部に偏光板5A,5Bを配置してもよい。
【0052】
一方、テンキー7Aは、制御部に対して情報を入力する入力部であり、テンキーのほか、例えば、ファンクションキーのような、入力ボタンやタッチパネル(タッチスクリーン)で構成されている。
テンキー7Aに替えてタッチパネルで構成された場合、タッチパネル上に偏光板が配置され、上記偏光板5A,5Bは、ディスプレイ2のみならずタッチパネルが配置された位置、高さにまで達するようにその大きさが変更されて配置されてもよい。すなわち、使用者の手元が第三者に覗き見されないように、ついたて4A,4Bは、図1のテーブル部8の両側に(左右に)互いに向き合うように配置され、ついたて4A,4Bの表面に設けられた偏光板5A,5Bは、テーブル部8上面の高さからディスプレイ2上端まで達する範囲に形成され、さらに、タッチパネル上の偏光板は、その透過軸が偏光板3と同じ方向(つまり、偏光板5A,5Bの透過軸と直交する方向)に配置されてもよい。
この場合、タッチパネルに表示される入力情報も使用者以外の第三者が視認できないので、第三者の覗き見の防止により優れる。
また、上記偏光板5A,5Bは、ついたて4A,4Bの先端(使用者側に突出する先端)側に配置されるのではなく、ディスプレイ2及びタッチパネル側に配置されて、これらの個所のみ覗き見されないようにしてもよい。このように、ついたて4A,4Bの一部、すなわち、使用者の手元付近に偏光板5A,5Bが配置されてもよい。
【0053】
また、カード挿入口及び紙幣出入口7Bは、本体部1Bにカード等の物品を出し入れするために設けられ、ディスプレイ2の下方に配置されている。このカード挿入口及び紙幣出入口7Bは、セルフPOS端末9の使用目的に応じて適宜設けられる構造物であり、これらの構造物に、光学素子が使用されることは少ない。このため、ついたて4A,4Bの偏光板5A,5Bに挟まれるように配置される必要性はあまりない。しかし、防犯上の観点から、カード挿入口及び紙幣出入口7Bがついたて4A,4Bに、テーブル部8のテンキー7Aとともに挟まれるように配置し、使用者以外の第三者が侵入しないように構成するとよい。
【0054】
〔第2実施形態〕
図5は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置を説明するための斜視図である。図1に示されるように、この実施形態においても、情報端末装置はセルフPOS端末であり、このセルフPOS端末は、第1実施形態に係るセルフPOS端末と同様の構成のほか、さらに後部ついたて4Cを備えている。
【0055】
後部ついたて4Cは、左右のついたて4A,4Bと同様に、ガラス板と、このガラス板上に貼り付けられた偏光板とで構成され、この偏光板は、ディスプレイ2上の偏光板3で変換された直線偏光を透過させない方向にその透過軸が配置されている。
【0056】
図を用いて、後部ついたて4Cの偏光板の透過軸を説明する。図6は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置の偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B、及び後部ついたて4Cの透過軸の配置を説明するための概念図である。図6において、図3と同様に、偏光板3、左ついたて4A、右ついたて4B及び後部ついたて4Cに記載された矢印は、各偏光板(偏光板3とついたて4A,4B,4Cの偏光板)の透過軸の方向を示している。
【0057】
図6に示されるように、偏光板3は、第1実施形態と同様に、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置され、ついたて4A,4Bの偏光板は、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置され、さらに後部ついたて4Cの偏光板も、ついたて4A,4Bの偏光板と同様の方向にその透過軸が配置されている。すなわち、後部ついたて4Cの偏光板は、偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように配置されている。
【0058】
図を用いて、このような配置関係にある場合に第三者が覗き見できない範囲を説明する。図7は、この発明の第2実施形態に係る情報端末装置のディスプレイに表示された情報を視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0059】
図7に示されるように、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、左ついたて4A及び右ついたて4Bがディスプレイ2の両側に配置されているので、使用者100の背面では、範囲201,202でディスプレイ2に表示された情報が視認できず、わずかに範囲301,302でその情報が視認できるにすぎない。
しかし、第2実施形態では、さらに後部ついたて4Cが配置されているので、上記範囲301,302もディスプレイ2の光が遮光されることになる。従って、後部ついたて4Cの背面では、範囲204、すなわち、その背面全体でディスプレイ2に表示された情報が視認できないこととなる。このように、第2実施形態では、セルフPOS端末9の側方のみならず背面からも第三者による覗き見が防止できる。
【0060】
この実施形態は、個室のような環境に情報端末装置(例えば、セルフPOS端末)を配置したい場合に適用できる。使用者がその内部で作業を行うことができるように、ディスプレイ2等と所定の距離隔てて、ついたて4Cを配置する。このように構成しても、外部からその内部を観察することができるので、ディスプレイ2に表示された情報の第三者による覗き見を防止できる。また、使用者の動作が観察できるので、不正行為が発見されやすく、このため、不正行為も防止できる。個室のような環境は外部から観察されにくく不正の温床となりやすいので、この実施形態は、個室のような環境に適している。
【0061】
なお、この実施形態においても、第1実施形態と同様に、ついたて4Cの中央に対して偏光板を上方に配置してもよい。すなわち、使用状況に応じて、ついたて4Cの一部に偏光板を配置してもよい。
【0062】
〔第3実施形態〕
第2実施形態に係る情報端末装置は、後部ついたて4Cが店舗等の建物のガラス窓と兼用されて実施される形態であってもよい。この実施形態について説明する。第3実施形態に係る情報端末装置は、第2実施形態と同様に、後部ついたて4Cに相当する構成を備えているが、第2実施形態の後部ついたて4Cのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられている。また、このガラス窓のガラス板にディスプレイ2における偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように偏光板が配置されている。
【0063】
第3実施形態を図9に示し、比較のため図8に第1実施形態の配置例を示す。図8は、この発明の第1実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。また、図9は、発明の第3実施形態に係る情報端末装置を店舗内部に配置した場合に、そのディスプレイ2に表示された情報が視認できない範囲を説明するための概念図である。
【0064】
図8に示されるように、第1実施形態のセルフPOS端末9は、店舗等の建物のガラス窓500に対して、その背面を向けるように、通常配置される。これにより、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認できないようにすることができる。しかし、その反面、店舗内の使用者以外の第三者がディスプレイ2に表示された情報を視認できる範囲(範囲301及び302)が発生する。
【0065】
一方、図9に示されるように、第3実施形態のセルフPOS端末9は、その前面が店舗等の建物のガラス窓500に向くように配置され、さらに店舗等の建物のガラス窓500と後部ついたて4Cが兼用される。具体的には、ディスプレイ2は、その画面がガラス窓500と向き合うように配置され、ガラス窓500と、ガラス窓500に貼り付けられた偏光板5Cとにより後部ついたて4Cが構成される。また、ガラス窓500に貼り付けられた偏光板5Cは、その透過軸がディスプレイ2における偏光板3の透過軸と直交するように配置される。
【0066】
この場合、ガラス窓500自体がディスプレイ2に表示された情報を視認できないようにするため、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認されることはない。従って、ディスプレイ2に表示された情報の覗き見を防止できるとともに、ガラス窓500自体が後部ついたて4Cを兼用するので、店舗等で省スペース化が実現できる。
【0067】
なお、第3実施形態で用いられる偏光板は、第1実施形態と同様のものを用いればよく、例えば、直線偏光板、円偏光板いずれでもよい。また、図8に示す第1実施形態において、POS端末9の背面が店舗等の建物のガラス窓500に面する配置の形態を挙げているが、POS端末9の左右のいずれか一方の面が店舗等の建物の壁に面する場合、その一方の面のついたてが省略されてもよい。
【0068】
〔第4実施形態〕
さらに、第1実施形態に係る情報端末装置は、左右のついたて4A,4Bのいずれか一方が店舗等の建物のガラス窓と兼用されて実施される形態であってもよい。図10にこの実施形態を示す。図10は、この発明の第4実施形態に係る情報端末装置における左ついたて4Aを説明するための概念図である。
【0069】
図10に示されるように、第4実施形態に係るセルフPOS端末9(情報端末装置)は、第1実施形態と同様に、左右のついたて4A,4Bに相当する構成を備え、第1実施形態の左ついたて4Aのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられ、このガラス窓のガラス板に、ディスプレイ2における偏光板3の透過軸とその透過軸が直交するように偏光板が配置されている。また、このガラス窓は、直交するガラス窓とコーナー部を形成し、このコーナー部にセルフPOS端末9が配置されている。すなわち、セルフPOS端末9は、その背面と左面がコーナー部を形成するガラス窓にそれぞれ面している。
【0070】
第4実施形態においても、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板がついたてのガラス板を兼用しているので、店舗の外部から不特定多数の者にディスプレイ2に表示された情報が視認されることもなく、また、店舗等の省スペース化が実現できる。
なお、この実施形態では、左ついたて4Aのガラス板に替えて、店舗等の建物におけるガラス窓のガラス板が用いられる形態を挙げているが、右ついたて4Bに適用してもよいことは言うまでもない。
【0071】
〔第5実施形態〕
次に、ディスプレイ2に複数の透過軸を備える偏光板を用いる形態について説明する。図11は、この発明の第5実施形態に係る情報端末装置における偏光板3の透過軸の配置を説明するための概念図である。
【0072】
図11に示すように、第5実施形態に係る情報端末装置の偏光板30(第3偏光手段)は、2つの偏光領域を有し、これらの領域がディスプレイ2の2つの画面領域の光を透過させ偏光するように構成されている。すなわち、その透過軸が縦方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ垂直方向)になるように配置された偏光領域31,33,35等(第2偏光領域)と、その透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置された偏光領域32,34,36等(第1偏光領域)とで構成されている。これらの領域は、マトリックス状に配置された画素(図示せず)に対応するように配置され、偏光領域31及び32は縦方向に並んだ複数の画素の位置に対応して並んでいる。
【0073】
一方、制御部は、上記2つの領域それぞれに映像信号を出力するように構成されている。すなわち、上記縦方向に並んだ複数の画素からなる領域(第1表示領域)とこの領域に隣り合う領域(第2表示領域)に同じ映像信号の一部が出力できるように構成されている(図示せず)。例えば、図11に示す偏光領域31,32にそれぞれ対応する領域をペアとして、これら領域に同じ映像信号の一部が出力され、領域31及び32、領域33及び34・・・の全体で1つの映像が表示されるように構成されている。
【0074】
そして、制御部は、情報端末装置に使用者がいると判定した場合、例えば、テンキー7Aに入力があったり、カード挿入口及び紙幣出入口7Bに物品の出し入れがあったりした場合、ディスプレイ2に出力する映像を変更するように構成されている。例えば、制御部は、通常(使用者がいると判定していない場合)、上記ペアの領域(第1及び第2表示領域)に同じ映像を出力し、使用者がいると判定した場合、ペアの領域の一方(第2表示領域)にのみ映像を出力する。
【0075】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸が横方向(ディスプレイ2の長辺方向にほぼ水平方向)になるように配置されているので、使用者がいると制御部が判定した場合にペアの領域の一方、すなわち、ついたて4A,4Bの偏光板の透過軸と直交する偏光領域31,33,・・・の表示領域(第2表示領域)のみ制御部が映像を出力するように構成すれば、使用者には映像が視認できるものの、使用者以外の第三者には、ついたて4A,4Bがディスプレイの映像を遮光して覗き見できないことになる。
【0076】
従って、上記のように、偏光板3に複数の偏光領域が設けられ、ついたて4A,4Bの偏光板が、偏光板3の一方の偏光領域を透過した光を透過させるとともに、他方の偏光領域を透過した光を透過させないように配置され、さらに、制御部は、使用者がいると判定した場合に上記他方の偏光領域に対応する画素にのみ映像を出力するように構成されることにより、通常時には、ついたて4A,4Bの側面であっても上記一方の偏光領域に対応する画素を介して映像を視認することができる情報端末装置となり、一方、使用者がいる場合には上記一方の偏光領域に対応する画素に映像上が出力されないので、使用者のみが映像を視認することができる情報端末装置となる。このため、制御部が通常時に(使用者がいると判定していない場合に)、広告等の映像を出力することにより、この情報端末装置を宣伝に用いることができる。
【0077】
この明細書で説明した実施形態はこの発明の具体的な一例に過ぎず、この発明はこれらよって限定されるものではない。この発明は請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についてもこの発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1A 情報表示部(情報表示装置)
1B 本体部
2 ディスプレイ(表示部)
3 3A 偏光板(第1偏光手段)
4 4A 4B 4C ついたて(第1及び第2覗き見防止板)
4A 左ついたて
4B 右ついたて
4C 後部ついたて(第3覗き見防止板)
5 5A 5B 偏光板(第2偏光手段)
6 アクリル板 (支持板)
7A テンキー (入力部)
7B カード挿入口及び紙幣出入口(入力部)
8 テーブル部
9 セルフPOS端末(報端末装置)
10 筐体
20 ディスプレイ
40 41バイザー
90 情報端末装置
100 使用者 (情報端末装置使用者)
500 ガラス窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、
前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、
情報を入力する入力部と、
入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、
前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、
前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
前記覗き見防止板は、第1及び第2覗き見防止板からなり、第1及び第2覗き見防止板が前記表示部を挟んで互いに向き合うように前記表示部の両側に配置された請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記覗き見防止板は、第1乃至第3覗き見防止板からなり、
第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置された請求項1又は2に記載の情報端末装置。
【請求項4】
光学素子により情報を表示し、第1及び第2表示領域で構成された表示面を備えた表示部と、
前記表示部の表示面上に設置され、第1及び第2表示領域の光をそれぞれ偏光して透過させる第1及び第2偏光領域を有する第3偏光手段と、
第1及び第2表示領域の一方の表示領域に表示された情報の覗き見を防止する第4覗き見防止板とを備え、
第4覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光領域を透過した前記透過光を透過させ、第2偏光領域を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第4偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報端末装置が店舗用情報端末装置であり、
第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓と兼用される情報端末装置。
【請求項6】
第1乃至第4偏光手段が直線偏光板である請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項7】
第1乃至第4偏光手段が円偏光板である請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項1】
光学素子により情報を表示する表示面を備えた表示部と、
前記表示部の表示面上に設置され、光を偏光する第1偏光手段と、
情報を入力する入力部と、
入力された情報に基づいて前記表示部の表示情報を制御する制御部と、
前記表示部の覗き見を防止する、少なくとも1つの覗き見防止板とを備え、
前記覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光手段を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第2偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
前記覗き見防止板は、第1及び第2覗き見防止板からなり、第1及び第2覗き見防止板が前記表示部を挟んで互いに向き合うように前記表示部の両側に配置された請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記覗き見防止板は、第1乃至第3覗き見防止板からなり、
第3覗き見防止板は、前記表示部の表示面と向き合い、かつ前記表示部の表示面側で前記入力部に情報を入力する情報端末装置使用者の背後に配置された請求項1又は2に記載の情報端末装置。
【請求項4】
光学素子により情報を表示し、第1及び第2表示領域で構成された表示面を備えた表示部と、
前記表示部の表示面上に設置され、第1及び第2表示領域の光をそれぞれ偏光して透過させる第1及び第2偏光領域を有する第3偏光手段と、
第1及び第2表示領域の一方の表示領域に表示された情報の覗き見を防止する第4覗き見防止板とを備え、
第4覗き見防止板は、光を偏光し、かつ第1偏光領域を透過した前記透過光を透過させ、第2偏光領域を透過した前記透過光を透過させない方向の透過軸を有する第4偏光手段からなることを特徴とする情報端末装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報端末装置が店舗用情報端末装置であり、
第1乃至第4覗き見防止板が前記店舗の窓と兼用される情報端末装置。
【請求項6】
第1乃至第4偏光手段が直線偏光板である請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項7】
第1乃至第4偏光手段が円偏光板である請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−98806(P2012−98806A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244110(P2010−244110)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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