説明

情報表示方法、プログラム及び情報表示システム

【課題】情報ディスプレイ上への情報の表示に関連して、テキスト情報をユーザが読み易いフォーマットでディスプレイにレンダリングするための情報表示方法、プログラム及び情報表示システムを提供する。
【解決手段】テキストの文字列がディスプレイ装置の表示画面の対角線と略平行に表示されるように、注目する第1のテキストのテキスト情報に基づいて第1のテキスト文字列を表示する。ディスプレイ装置上の第1のテキスト文字列の前後に、第1のテキストの前後の段落等に位置する第2のテキストのテキスト情報に基づいた第2のテキスト文字列を、フォントサイズを変更するなどして、第1のテキスト文字列と共に対角線と略平行に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示方法、プログラム及び情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDAなどの超小型の携帯デバイスにおいては、サイズ上の制約から情報閲覧に供するスクリーン面積が制限される。スクリーン面積が制限されることにより、これら携帯デバイスにおけるテキスト情報の読み取りが困難となっている。業界ではこの問題に対する様々な解決策の開発が進められている。
【0003】
タイプセッティングの経験則によれば、テキストの1行の幅はアルファベットのサイズの約2倍、すなわち52文字であるべきである。サイズが小さいことに起因して、テキストのレンダリングに使用できるスクリーンの実効面積に制限のある携帯デバイスでは、テキストの1行の幅が狭いことが、テキスト情報の読み取りにおける課題となっている。その結果として、1行当りの表示文字数を減らさなければならないか、フォントサイズを小さくしなければならない。このいずれの解決策も、快適な読み取りを可能にすることにはならない。
【0004】
アップル社は、iPhone(登録商標)のスクリーンが小さいことを、ユーザにテキストを"水平モード(horizontal mode)"で読ませることによって埋め合わせている。iPhoneが90度回転すると、iPhoneはスクリーン表示を回転させて、表示情報をスクリーンの長軸方向(larger vertical screen axis)に配列させる。同時に、iPhoneはスクリーンの長軸方向に寸法を合わせて、スクリーン表示を拡大する。これは、垂直方向のコンテキストを犠牲にして、水平方向の解像度を高めることになる。この場合ですら、フォントが小さ過ぎてテキストが読み難いことがある。
【0005】
【特許文献1】US20060038796
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の業界のアプローチでは、小型の情報ディスプレイ上に情報を効率よく表示して、ユーザが容易に読み取れるようにする性能に関して不十分であった。
【0007】
本発明は、小型の情報ディスプレイ上に情報を表示する従来技術における、1つ又は複数の上記及びその他の問題を実質的に取り除く方法及びシステムを対象とするものである。本発明の目的は、情報ディスプレイ上への情報の表示に関連して、テキスト情報をユーザが読み易いフォーマットでディスプレイにレンダリングするための情報表示方法、プログラム及び情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、小型の情報ディスプレイ上に情報のテキストの一行の幅を維持しながら、表示できるフォントのサイズを大きくする技術に関する。1つの実施態様においては本発明の技術を用いて、幅の広い対角線(デバイス平面における(in device dimensions))をテキスト閲覧に用い、この表示形式に水平方向(テキスト平面における(in text dimensions))へのスクロール機能を併用する、即ち、デバイスのディスプレイの対角線に沿ってテキストをスクロールさせる。垂直方向(テキスト平面における)のコンテキスト、即ち、文章の前後関係は、主要な対角線フォーカス領域に、一定のオフセットで配置した、次を見るための(look-ahead)ライン及び前に戻って見るための(look-back)ラインを追加することによって維持される。他の実施態様では、スクリーンの2辺の長さが対角線の長さよりもさらに長いことを利用して、テキストをディスプレイ領域の2つの角(edges)に沿って折り曲げる。いずれの構成においても、1行当りに表示できる文字数を犠牲にすることなく、大きなフォントサイズを維持することができる。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、ディスプレイ装置上に表示するためにテキスト情報をレンダリングすることを含む方法が提供される。本発明の方法によれば、ディスプレイ装置上に、ディスプレイ装置の対角線と平行にテキストがレンダリングされる。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、一連の命令を包含するコンピュータ可読媒体又はプログラムが提供される。この一連の命令が1つ又は複数のプロセッサで実行されると、1つ又は複数のプロセッサが、テキストをディスプレイ装置上にその対角線と平行に表示するようにレンダリングを行う。
【0011】
本発明のさらに別の実施態様によれば、ディスプレイ装置と、中央処理ユニットと、一連の命令を格納したメモリと、を備えるコンピュータシステムが提供される。この一連の命令が中央処理ユニットによって実行されると、中央処理ユニットが、テキストをディスプレイ装置上にその対角線と平行に表示するようにレンダリングを行う。
【0012】
本発明のさらに別の実施態様によれば、ディスプレイと、ユーザ入力を検出する検出ユニットと、ユーザ入力を処理する処理ユニットと、ディスプレイ装置上にディスプレイ装置の対角線と平行にテキストをレンダリングするディスプレイコントローラと、を内蔵する携帯デバイスが提供される。
【0013】
本発明に関連する別の態様は、一部分が以下の説明で示され、一部分はその説明によって明らかとなるか、あるいは本発明の実施によって知ることができる。本発明の諸態様は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において特に指摘される諸要素、ならびに様々な要素及び態様の組合せを使用して実現され、達せられることが可能である。また、以上及び以下の説明はいずれも、単に例示及び説明を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載される発明又はその発明の応用を限定することは全く意図していないことを理解されたい。
【0014】
即ち、特許請求の範囲に記載した各請求項に記載の発明は、下記の構成により上記の目的を達成する。
【0015】
請求項1の発明は、複数の文を含むドキュメント情報を取得し、前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定し、前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定し、前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングする、情報表示方法である。
【0016】
請求項2の発明は、前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールする請求項1に記載の情報表示方法である。
【0017】
請求項3の発明は、前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示する請求項1に記載の情報表示方法である。
【0018】
請求項4の発明は、前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項3に記載の情報表示方法である。
【0019】
請求項5の発明は、前記フォント特性がフォントサイズである請求項4に記載の情報表示方法である。
【0020】
請求項6の発明は、前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させる請求項3に記載の情報表示方法である。
【0021】
請求項7の発明は、前記第1のテキスト文字列、前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキストと前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストとの間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するようにスクロールされる請求項3に記載の情報表示方法である。
【0022】
請求項8の発明は、前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項1から7のいずれか一項に記載の情報表示方法である。
【0023】
請求項9の発明は、前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する請求項1から8のいずれか一項に記載の情報表示方法である。
【0024】
請求項10の発明は、コンピュータに、複数の文を含むドキュメント情報を取得する機能、前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定する機能、前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定する機能、前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングする機能、を実現させるためのプログラムである。
【0025】
請求項11の発明は、前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールする機能をさらに含む請求項10に記載のプログラムである。
【0026】
請求項12の発明は、前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示する機能をさらに含む請求項10に記載のプログラムである。
【0027】
請求項13の発明は、前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項12に記載のプログラムである。
【0028】
請求項14の発明は、前記フォント特性がフォントサイズである請求項13に記載のプログラムである。
【0029】
請求項15の発明は、前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させる請求項10に記載のプログラムである。
【0030】
請求項16の発明は、前記第1のテキスト文字列と前記先読みコンテキスト文字列及び後読みコンテキスト文字列との間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するように、前記第1のテキスト、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストをスクロールする機能をさらに含む請求項12に記載のプログラムである。
【0031】
請求項17の発明は、前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項10から16のいずれか一項に記載のプログラムである。
【0032】
請求項18の発明は、前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する機能を実行させることを更に含む請求項10から17のいずれか一項に記載のプログラムである。
【0033】
請求項19の発明は、ディスプレイ装置と、中央処理ユニットと一連の命令を格納するメモリとを含むコンピュータを備え、前記一連の命令が前記中央処理ユニットで実行されると、複数の文を含むドキュメント情報を取得し、前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定し、前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定し、前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングするように制御する表示制御装置と、を備える情報表示システムである。
【0034】
請求項20の発明は、前記メモリが、前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールするための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システムである。
【0035】
請求項21の発明は、前記メモリが、前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示するための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システムである。
【0036】
請求項22の発明は、前記先読みコンテキスト文字列と前記後読みコンテキスト文字列とが、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項21に記載の情報表示システムである。
【0037】
請求項23の発明は、前記フォント特性がフォントサイズである請求項22に記載の情報表示システムである。
【0038】
請求項24の発明は、前記メモリが、前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させるための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システムである。
【0039】
請求項25の発明は、前記第1のテキスト文字列と前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列との間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するように、前記第1のテキスト、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストをスクロールする命令をさらに含む請求項21に記載の情報表示システムである。
【0040】
請求項26の発明は、前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項19から25のいずれか一項に記載の情報表示システムである。
【0041】
請求項27の発明は、さらに、前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、前記表示制御装置は、前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する請求項19から26のいずれか一項に記載の情報表示システムである。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、ディスプレイの矩形状の表示画面の対角線に当たる最も幅の広い領域を有効に活用して、注目するテキスト情報とその前後の少なくとも一方のテキスト情報を情報ディスプレイ上へ表示させることで、注目するテキストの視認性が向上すると共に、周辺のテキスト情報の把握が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の実施態様を例示し、説明と相俟って、本発明の技術の原理を説明及び例示するのに供する。
【0044】
以下の詳細な説明では添付の図面を参照する。ここで同一の機能的要素は同様の符号で示される。添付の図面は、本発明の原理に合致する特定の実施態様及び実装形態を限定としてではなく例示として示す。これらの実装形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明される。
【0045】
また、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなしに、他の実装形態が利用されてもよいこと、及び様々な要素の構造上の変更及び/又は代用が行われてもよいことを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。さらに、説明される本発明の様々な実施態様は、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアの形態、又は専用ハードウェアの形態、あるいはソフトウェアとハードウェアの組合せ、のいずれで実施されてもよい。
【0046】
比較的小型のスクリーンを備える携帯デバイスでは、ディスプレイ面積は大変貴重である。このような携帯デバイスにおいてテキストを読むためには、通常、表示される行の幅を広くするために、フォントサイズを犠牲にせざるを得ない。携帯デバイスにおいては、フォントの拡大縮小に利用できる水平方向の幅を最大化するために、垂直モード(縦長モード)及び水平モード(横長モード(landscape))の、両方の読み取りモードで操作することが一般的である。この手法ではしばしば、垂直方向に表示されるコンテキストの量が少なくなる。
【0047】
本発明の概念に係る1つの実施態様は、正方形の対角線は縦又は横のサイズよりも2の平方根、すなわち約1.41倍長いという洞察(ピタゴラスの定理)に基づいている。これは、幅において40%以上の利得があるということである。長方形の場合、各辺の長さをa及びbとすると、対角線は、a2+b2の平方根である。従って、この対角線をなす直線の長さが長いことを利用して、本発明の実施の形態では、例えば図1に示すように、デバイスのディスプレイの対角線(以下、「フォーカスライン」という場合がある。)に沿って、テキストを表示(レンダリング)する。
【0048】
図1に示すように、携帯デバイス100のディスプレイは、水平な読み取り領域(reading area)101を含む。この読み取り領域101が、ユーザが注目して読む行(フォーカスライン)に相当する。これがテキストの表示及び読み取りの主領域となる。図1に示すようにディスプレイ装置にテキストを表示する際には、ユーザが見易い適当な角度でデバイスを保持する必要がある。人体の構造上、人の視軸に対して長方形のスクリーンを片手で水平又は垂直に合わせることは、斜めに保持することより難しい。従って、閲覧(viewing)デバイスを片手で斜めに保持することが、ユーザにはより容易であることに留意されたい。
【0049】
本発明の1つの実施の形態では、ユーザがテキストを読むときに、ユーザが常に「ユーザフォーカスライン」と呼ぶ、ディスプレイの対角線に沿って表示されるテキストに注目できるように、テキストがスクロールされる。本発明の1つの実施の形態では、スクロールは予め定めた速さで自動的に行われる。本発明の別の実施の形態では、スクロールの速さはユーザが調節できる。ユーザはディスプレイのスクリーンを軽くタップするなどの適当な動作によって、スクロールを中断したり再開したりすることもできる。
【0050】
読み易くするために、本発明の一実施の形態においては、例えば、デバイスの上をドラッグする動作や指で軽くはらう動作(flicking)で、テキストを水平方向(デバイスの座標では対角線方向)に通しでスクロールすることができる。又は、デバイスが加速度計などの適当な検知機能を備えていれば、代わりにデバイスを傾斜させる動作を利用することができる。ユーザが長いテキストを一覧するのではなく、じっくり読もうとする場合に、この技術は特に有用である。
【0051】
しかしながら、ユーザが連続したテキストを読む場合でも、部分的に読み飛ばしたり、読み流したりすることがしばしばある。この種の読み方を支援するために、本発明の一実施の形態では、(テキストの座標で)垂直方向のコンテキストを表す他の2行を追加する。図1において、ライン102が読んでいるテキストの一定の「次を見る部分(look-ahead)」を表し、ライン103が一定の「前に戻って見る部分(look-back)」を表す。ライン102を下側コンテキスト(Context below)と呼び、ライン103を上側コンテキスト(Context above)と呼ぶ。
【0052】
この概念を図1及び図2に示す。図2にはディスプレイ装置100によって表示されるテキスト200を示す。テキスト200は、複数の文(図2では3つの段落)から構成されている。第2段落を「第1の文」とすると、コンテキスト上、第1段落及び第3段落は「第1の文」の前後に配置される「第2の文」に相当する。第1段落は「第1の文」の前に読まれる「先読みコンテキスト」であり、第3段落は「第1の文」の後に読まれる「後読みコンテキスト」である。
【0053】
図2の左側及び右側にある3つの段落に注目すると、枠で囲ったボックス201〜206は、テキストのどの部分が表示されるかを示す(左図)。これらに対応するコンテキストが、図1のようにディスプレイ100上に表示されることに留意されたい。ボックス201内のテキストが、注目する読み取り領域101に表示される。なお、以下では、読み取り領域101を「フォーカス領域」とも称する。
【0054】
読み取り領域101に表示されるテキストが「第1の文に含まれるテキスト」に相当し、読み取り領域101に表示される文字列が「第1のテキスト文字列」に相当する。一方、下側コンテキスト102及び上側コンテキスト103に表示されるテキストが「第2の文に含まれるテキスト」に相当し、下側コンテキスト102及び上側コンテキスト103に表示される文字列が「第2のテキスト文字列」に相当する。
【0055】
また、ボックス202内のテキストが、下側コンテキスト102に表示される。下側コンテキスト102に表示されるコンテキストが「後読みコンテキスト」に相当し、下側コンテキスト102に表示される文字列が「後読みコンテキスト文字列」に相当する。ボックス203内のテキストが上側コンテキスト103に表示される。上側コンテキスト103に表示されるコンテキストが「先読みコンテキスト」に相当し、上側コンテキスト103に表示される文字列が「先読みコンテキスト文字列」に相当する。なお、以下では、下側コンテキスト102及び/又は上側コンテキスト103を、適宜「コンテキスト領域」と総称する。
【0056】
読者がテキストをスクロールするのに応じて、コンテキスト領域及びフォーカス領域が一定のオフセットを保持したままテキストの中をスライドして行く(ボックス204,205,206に表示されるコンテキスト領域を参照)。そして、これが時間経過と共に、デバイス100上に同様に表示される。3つのコンテキスト領域の間の実際のオフセットは、ユーザによって設定可能である。図1に示すシステムにおいては、段落内でのフォーカスされるテキストの位置が、テキスト位置を示すインジケータ104,105によって示される。これらのインジケータ104,105の長さが、表示されているテキストの段落の先頭からのずれ量(オフセット)と段落の末尾からのずれ量(オフセット)とを、各々示す。
【0057】
別の実施の形態では、本発明のデバイスに(テキストの座標で)垂直方向のスクロール機能が以下のように保持される。ディスプレイの対角線に最適に合うようにフォントサイズ及びテキスト幅が選択され、テキストの現在読んでいる行がその対角線に沿って表示される。先行するコンテキスト(先読みコンテキスト)及び後続のコンテキスト(後読みコンテキスト)の行が、これらの行の先頭がディスプレイの上側及び下側の左端に一致するようにして表示され、スクロールアップ又はスクロールダウンするに従ってこれら左端に沿ってスライドして行く。フォーカスラインの上側及び下側のテキストの行の右端は、デバイスのディスプレイの幅に応じて切り取られる。
【0058】
また、テキストの行がフォーカスラインから離れるようにスクロールされると、フォントサイズはそれに応じて動的に縮小され、フォーカスラインに近付くようにスクロールされると拡大される。この構成の副次的効果は、読者の目にとって(見た目において)、フォーカスラインから上側及び下側のコンテキストの行への"改行"が減ることである。さらに、コンテキストの行に対してフォーカスラインを視覚的に強調する目的で、カラーグラデーションを用いてもよい。
【0059】
垂直方向(テキスト座標で)に追加されたコンテキスト情報は、読者がテキストをどこまで読んだかを表すバー、即ち、図1にも示されているインジケータと同様のインジケータが追加されてもよい。この例では、フォーカスラインの上側及び下側のテキストの量に比例してバーの長さが変化する。テキスト座標で水平方向及び垂直方向のスクロールが結合されて、相補的に作用するようにすることもできる。
【0060】
日本語を縦書きする場合のように、テキストを右から左へ配置する書き方のユーザに適合する実施においては、明らかに、左端及び右端の役割は逆転される。また、テキストが上から下へ配置される書き方に対しても、両端の役割は適宜変更される。このような修正は当業者にとって容易に理解できる。
【0061】
図示はしていないが、さらに別の実施の形態では、対角線のフォーカスラインを、矩形の表示領域の角に向かってわずかに湾曲するように曲げる。人間の目はある程度の曲率まではあまり苦にせずに補償作用を行うことができる。同時に、フォーカスラインに沿って長さを増やすことができ、これによって1行当りの文字数を維持したままフォントサイズをさらに大きくすることができる。又は、フォントサイズを犠牲にせずに1行当りの文字数を増やすことができる。
【0062】
ここで述べるディスプレイ装置及びそれに対応する方法は、携帯デバイス(mobile device)に限定されるものではないし、ハンドヘルドデバイス(handheld device)等の小型スクリーンを備えるデバイスにすら限定されるものではないことに留意されたい。任意の既知若しくは最新開発の技術を用いて実装される任意の型式又は種類のディスプレイ装置における、テキスト及び/又は数値情報のレンダリングに対して、本発明の技術を適用することができる。説明したディスプレイ装置の読み取りモードは、例えばユーザがデバイスを図1に示すように対角線方向に置いたことを、例えば内蔵された重力センサ、加速度センサを用いることによって携帯デバイス(handheld device)が検出すれば、自動的に作動させることが可能である。
【0063】
コンピュータ処理可能な文字ベースのテキスト形式で入手できるテキスト情報に対する1つの実施例が、図1で説明した第1の実施の形態である。一方、例えば、事前にレンダリングされたかスキャンされたことにより、ビットマップ形式で入手されたテキスト情報に対しては、スキャンされたドキュメントに対してレイアウト解析するためにセグメント化プロセスが実行され、ビットマップテキストが行やワードの矩形セグメントに分解される。表示されるセグメントは次いで再構成及び回転されて、デバイスのディスプレイの対角線に沿ってスクロールできるように、対角線方向にセグメント同士が連結される。必要な画像処理及び画像解析アルゴリズムは、簡単で、特に当業者には広く知られたものである。
【0064】
コンピュータ用のスクロール装置としては、タッチセンサ面を含むことができる。タッチセンサ面は、細長い動作領域、及び/又は1つ又は複数の動作領域を有してもよい。スクロールは、自動方式だけでなく、より正確で効果的にスクロールが可能な手動方式でも実行できる。より正確なスクロール位置情報を格納及び/又は追跡することができるとしても、スクロールでは、スクリーンに表示されるように、直近のドキュメントのテキストの行に到達することもあれば、遠くのユニットに到達する可能性もある。
【0065】
次に、コンピュータプラットフォームの例について説明する。図3は、本発明の一実施の形態を実施することが可能なコンピュータ/サーバシステム300の実施態様を示すブロック図である。システム300は、コンピュータ/サーバプラットフォーム301と、周辺装置302と、ネットワーク資源303とを含む。
【0066】
コンピュータプラットフォーム301は、このコンピュータプラットフォーム301の各種を超えて又は各種部分の間で情報をやり取りするためのデータバス304又は他の通信機構と、情報を処理すると共に他の計算タスク及び制御タスクを実行するためにデータバス304に接続されたプロセッサ305と、を備えることができる。プロセッサ305は、CPU(中央処理装置)305とも称する。また、コンピュータプラットフォーム301は、プロセッサ305で実行される各種の命令及び情報を格納するためにデータバス304に接続された、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的なストレージデバイスなどの揮発性記憶装置306を備えている。また、揮発性記憶装置(揮発性メモリ)306は、プロセッサ305による命令の実行中に、一時変数やその他の中間情報を記憶させるために使用することも可能である。
【0067】
コンピュータプラットフォーム301は、更に、種々のシステム構成パラメータと共に基本入出力システム(BIOS)のような、プロセッサ305用の静的情報及び命令を格納するために、データバス304に連結された読み取り専用メモリ(ROM又はEPROM)307又はその他の静的記憶装置を備えることができる。磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステート・フラッシュメモリデバイスなどの不揮発性(永続的)記憶装置308が、情報及び命令を格納するために設けられると共に、データバス304に接続されている。
【0068】
コンピュータプラットフォーム301は、コンピュータプラットフォーム301のシステム管理者又はユーザに対して情報を表示するために、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ309と、データバス304を介して接続されることが可能である。英数字キー及びその他のキーを備えた入力装置(キーボード)310は、情報及びコマンド選択をプロセッサ305に通信するために、データバス304に接続されている。
【0069】
別のタイプのユーザ入力装置として、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーのようなカーソル制御装置311がある。カーソル制御装置311は、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ305に通信すると共に、ディスプレイ309上のカーソル移動を制御する。通常、この入力装置は、第1の軸(例えばx軸)と第2の軸(例えばy軸)の2軸において自由度2を有しており、これにより平面上の位置を特定することができる。
【0070】
コンピュータプラットフォーム301に付加的な又はリムーバブル(取り外し可能)な記憶容量を提供するために、外部記憶装置ス312を、データバス304を介してコンピュータプラットフォーム301に接続することができる。コンピュータシステム300の一実施の形態においては、他のコンピュータシステムとのデータ交換を容易にするために、リムーバブルな外部記憶装置ス312を使用することができる。
【0071】
本発明は、本明細書で説明する技術を実施するためのコンピュータシステム300の使用に関する。或る実施の形態では、本発明のシステムが、コンピュータプラットフォーム301などの機械に組み込まれている。本発明の一実施形態によれば、ここで説明する技術は、揮発性メモリ306に含まれている1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを、プロセッサ305が実行するのに応答して、コンピュータシステム300で実行される。
【0072】
このような命令は、永続的記憶装置308などの別のコンピュータ可読媒体から揮発性メモリ306に読み込むことができる。揮発性メモリ306に含まれる命令のシーケンスを実行することにより、プロセッサ305がここに説明する処理ステップを行わせる。別の実施形態では、本発明を実施するのに、ソフトウェアによる命令の代わりに、あるいはソフトウェアによる命令と組み合わせて、配線による回路を使用することができる。このように、本発明の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されるものではない。
【0073】
本明細書で使用される"コンピュータ可読媒体"という用語は、実行のためにプロセッサ305に命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、本明細書で説明するいかなる方法及び技術のいずれかを実施するための命令を実行可能なプログラム(本発明のプログラムを含む)を保持することができる、機械で読み取り可能な媒体の一例に過ぎない。このような媒体は多くの形態を取ることができ、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体などが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。不揮発性媒体の例としては、永続的記憶装置308など、例えば光ディスク、磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の例としては、揮発性記憶装置(揮発性メモリ)306などのダイナミックメモリが挙げられる。伝送媒体の例としては、同軸ケーブル、銅線、光ファイバの外に、データバス304を構成する配線(ワイヤ)が挙げられる。
【0074】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク(登録商標)、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、又は他の任意の磁気記録媒体、CD−ROM、他の任意の光記録媒体、パンチカード、紙テープ、その他の孔でパターンを形成する任意の物理的記録媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュROM、フラッシュドライブ、メモリカード、その他の任意のメモリチップ或いはメモリカートリッジ、以下で説明する搬送波、又はコンピュータが読み取ることができる他の任意の記録媒体が挙げられる。
【0075】
様々な形態のコンピュータ可読媒体が、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを、プロセッサ305に運んで実行させる工程に関与することができる。例えば、命令は、最初は、遠隔のコンピュータから磁気ディスクを用いて運ばれる可能性がある。もしくは、遠隔のコンピュータは、命令を遠隔コンピュータのダイナミックメモリに読み込み、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することもできる。
【0076】
コンピュータシステム300にローカルなモデムは、電話回線でデータを受信すると共に、赤外線送信機を使用してそのデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器は、赤外線信号で伝送されるデータを受信することができると共に、適切な回路によってそのデータをデータバス304に乗せることができる。
【0077】
データバス304は、データを揮発性メモリ306に伝送し、そこからプロセッサ305が命令を取り出して実行する。揮発性メモリ306によって受信された命令は、オプションとして、プロセッサ305による実行の前又は後に、永続的記憶装置308上に格納されてもよい。この命令は、当技術分野で周知の様々なネットワークデータ通信プロトコルを使用して、インターネットを介してコンピュータプラットフォーム301にダウンロードすることも可能である。
【0078】
コンピュータプラットフォーム301は、データバス304に接続されたネットワークインタフェースカード313のような、通信インタフェースも備えている。通信インタフェース313は、ローカルネットワーク(LAN)315に接続されたネットワークリンク314に接続された双方向のデータ通信を提供する。例えば、通信インタフェース313が、対応するタイプの電話回線とのデータ通信接続を提供する、総合デジタル通信網(ISDN)カード又はモデムとすることができる。
【0079】
別の例としては、通信インタフェース313が、互換性のあるLANとのテータ通信接続を提供する、ローカルエリアネットワークインタフェースカード(LAN NIC)であってもよい。周知の802.11a、802.11b、802.11g及びブルートゥース(Bluetooth)などの無線リンクも、ネットワーク実装に用いることができる。これらのいずれの実装においても、通信インタフェース313は、種々のタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気信号、電磁気信号、又は光信号を送信し且つ受信する。
【0080】
ネットワークリンク314は、通常、1つ又は複数のネットワークを介して他のネットワークリソースへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク314は、ローカルネットワーク315を介して、ホストコンピュータ316、あるいはネットワークストレージ/サーバ319への接続を提供することができる。追加的に又は別法として、ネットワークリンク314は、ゲートウェイ/ファイアウォール317を介して、インタネットなどの広域ネットワーク又はグローバルネットワーク318へ接続することができる。
【0081】
このように、コンピュータプラットフォーム301は、遠隔のネットワークストレージ/サーバ319などの、インターネット上のどこに在るネットワークリソースにもアクセスすることができる。一方、コンピュータプラットフォーム301は、ローカルエリアネットワーク315及び/又はインターネット318の上のどこに在るクライアントからでもアクセスすることができる。ネットワーククライアント320及び321は、それら自体が、プラットフォーム301と同様のコンピュータプラットフォームに基づいて実装されてもよい。
【0082】
ローカルネットワーク315及びインターネット318は、共に、デジタルデータストリームを伝送する電気信号、電磁気信号、又は光信号を使用する。各種のネットワークを介する信号、ネットワークリンク314上の信号、及び通信インタフェース313を介する信号は、コンピュータプラットフォーム301に向けて、又はコンピュータプラットフォーム301からデジタルデータを伝送するが、これらが情報を搬送する搬送波の例示的な形態である。
【0083】
コンピュータプラットフォーム301は、インターネット318及びLAN315を含む様々なネットワークや、ネットワークリンク314及び通信インタフェース313を介して、メッセージを送信すると共に、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、コンピュータプラットフォーム301がネットワークサーバとして動作する場合には、コンピュータプラットフォーム301は、インターネット318、ゲートウェイ/ファイアウォール317、ローカルエリアネットワーク315及び通信インタフェース313を介して、クライアント320及び/又は321上で動作するアプリケーションプログラム用の所望のコード或いはデータを送信することが可能である。
【0084】
同様に、コンピュータプラットフォーム301は、他のネットワークソースからコードを受信することもできる。受信されたコードは、それが受信されたときにプロセッサ305によって実行させることができる。及び(又は)、不揮発性記憶装置308、揮発性記憶装置306、又は他の不揮発性記憶装置に記憶させて、後で実行させることができる。このようにして、コンピュータプラットフォーム301は、搬送波の形態でアプリケーションコードを得ることができる。
【0085】
次に、本発明の一実施形態とコンピュータプラットフォームとの関係を説明する。図4は本発明とコンピュータプラットフォームとの関係を示す機能ブロック図の一例である。ユーザが、デバイス上で、ジェスチャーなどの触覚インタラクションによってコマンドをデバイスに入力する場合、触覚インタラクションはセンサユニット406を含むディスプレイ400によって受け取られる。センサユニット406がディスプレイへの触覚インタラクションを検知する。この情報は、次に処理ユニット407に送られて、そこで情報が処理され、ユーザが触覚インタラクションによって入力したコマンドが解釈される。
【0086】
例えば、触覚インタラクションが対角線テキスト表示を開始するコマンドであれば、この命令を処理ユニット407が処理し、ディスプレイコントローラ408へ転送する。そしてディスプレイ400の対角線と平行にテキストをレンダリングするステップを開始する。もし、ユーザがテキストをスクロールするコマンドを入力すると、プロセッサ(処理ユニット407)は命令を処理し、ディスプレイコントローラ408に転送して、そこでユーザの要望に沿ったテキストのスクロールが開始される。
【0087】
図2に示すように、読者がテキストをスクロールするのに応じて、コンテキスト領域及びフォーカス領域が一定のオフセットを保持したままテキストの中をスライドして行く。このとき注目する行(第1の文)のテキスト部分を、フォーカスラインにレンダリングする。その前後の行(第2の文)のテキスト部分は、携帯デバイス100の表示領域を傾斜させたときに、フォーカスラインの前後に配置される下側コンテキスト102、上側コンテキスト103の表示領域に、表示できる量の文字列を表示させる。下側コンテキスト102が「次を見る部分(look-ahead)」であり、上側コンテキスト103が「前に戻って見る部分(look-back)」である。
【0088】
このとき、フォーカス領域に現在表示されている文(第1の文)の先頭からの距離(オフセット)に応じた量のオフセットで、前後の段落(第2の文)の先頭から表示可能な文字列を切り出して、コンテキスト領域に表示させる。なお、図2に示すように、コンテキスト領域の表示文字サイズは、フォーカス領域とサイズを異ならせることもできる。なお、コンテスト領域には、下側コンテキスト102及び上側コンテキスト103のいずれか一方を表示することもできる。下側コンテキスト102及び上側コンテキスト103の両方を表示する方が、ドキュメントの前後のコンテキストを把握しやすくするうえでは好ましい。
【0089】
コンテキスト領域に表示させる段落の先頭からのオフセット量は、フォーカス領域で表示されているテキストのオフセットと同じ文字数である必要はない。フォーカス領域での水平スクロールで移動する文字の表示ドット数と同じドット数となるようにオフセットを設定する方が、水平スクロール表示させたときに同じ量のスクロールがされるため違和感は低下する。その後、この条件で表示領域内にこれらのテキストを、表示エリアの一方の対角線に平行になるようにレンダリングする。
【0090】
レンダリング方法については、周知の矩形のウィンドウの内部にテキストを表示させる方法と同様であるので省略する。なお、フォーカス領域又はコンテキスト領域におけるテキスト表示を、表示できる文字数を増加させるために曲線上に配置する場合には、その曲線上にテキストをレンダリングするが、曲線上にテキストを描画する手法についても周知であるので説明は省略する。
【0091】
また、対角線に平行といっても、数学的(幾何学的)に厳密に平行である必要は当然ない。対角線の広い領域をフォーカス領域とした場合に、他の領域と比較して有効な表示領域として利用できる程度に略平行であればよい。また、フォーカス領域及びコンテキスト領域に表示させる行数は1行に限定されない。複数行を同時に表示することもできる。ディスプレイサイズと使用するフォントサイズとによって読みやすさは変化するため、矩形を横置きとした通常のディスプレイ表示のときと同様に、表示させる行数をユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0092】
もちろん、コンピュータプラットフォームは触覚インタラクションによりコマンドを受け取るものに限定されるわけではない。処理ユニット407にコマンドを入力するために、上述したように、その他の入出力デバイス409がコンピュータプラットフォームに追加されることもあり得る。
【0093】
最後に、本明細書で説明したプロセス及び技術は、いかなる特定の装置に本来的に関係するものではなく、適切な構成要素の任意の組み合わせによって実施可能であることを理解されたい。さらに、種々のタイプの汎用デバイスを、ここで説明した教示にしたがって使用することも可能である。ここで説明した方法のステップを実行するために専用化された装置を構築することが有利な場合もあると分かる場合もある。
【0094】
以上では、本発明を特定の例に関連して説明したが、これらは全ての点において限定的ではなく説明的であることを意図している。当業者であれば、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの多くの異なる組み合わせが、本発明を実施するのに適切であることを理解できるであろう。例えば、説明したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、パール、シェル、PHP、ジャバ、などの広範なプログラム言語あるいはスクリプト言語によって実施することが可能である。
【0095】
さらに、ここに開示した本発明の明細書及び実施形態を考慮すれば、当業者には、本発明の他の実施形態が明らかであろう。説明した実施態様の様々な態様及び/又は構成要素は、本発明のディスプレイ装置に単独もしくは任意の組み合わせで使用することが可能である。明細書及び実施例は例示としてのみ理解されるべきであり、本発明の真の範囲と趣旨は添付の特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】携帯デバイスでのテキストのレンダリング方法を、「次を見る部分(look-ahead)」である下側コンテキスト、「前に戻って見る部分(look-back)」である上側コンテキスト、及び全体のテキスト位置を示すインジケータと共に示す図である。
【図2】先読みコンテキスト(look-ahead context)及び後読みコンテキスト(look-back context)の対角線表示への、スライドウィンドウの適用方法を示す図である。
【図3】本発明のシステムを適用可能なコンピュータプラットフォームの実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明とコンピュータプラットフォームとの関係を示す機能ブロック図の一例である。
【符号の説明】
【0097】
100 携帯デバイス
101 読み取り領域(フォーカス領域)
102 下側コンテキスト
103 上側コンテキスト
104,105 インジケータ
200 テキスト
201〜206 ボックス
300 コンピュータ/サーバシステム
301 コンピュータプラットフォーム
302 周辺装置
303 ネットワーク資源
304 データバス
305 プロセッサ(CPU)
306 揮発性メモリ(揮発性記憶装置)
308 永続的記憶装置(不揮発性記憶装置)
309 ディスプレイ
311 カーソル制御装置
312 外部記憶装置
313 ネットワークインタフェースカード
313 通信インタフェース
314 ネットワークリンク
315 ローカルエリアネットワーク(LAN)
316 ホストコンピュータ
317 ゲートウエイ/ファイアウォール
318 インターネット(グローバルネットワーク)
319 ネットワークサーバ/ネットワークストレージ
320 クライアント
400 ディスプレイ
406 センサユニット
407 処理ユニット
408 ディスプレイコントローラ
409 入出力デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文を含むドキュメント情報を取得し、
前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定し、
前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定し、
前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングする、
情報表示方法。
【請求項2】
前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールする請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項3】
前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、
前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、
前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示する請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項4】
前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項3に記載の情報表示方法。
【請求項5】
前記フォント特性がフォントサイズである請求項4に記載の情報表示方法。
【請求項6】
前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させる請求項3に記載の情報表示方法。
【請求項7】
前記第1のテキスト文字列、前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキストと前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストとの間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するようにスクロールされる請求項3に記載の情報表示方法。
【請求項8】
前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項1から7のいずれか一項に記載の情報表示方法。
【請求項9】
前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する請求項1から8のいずれか一項に記載の情報表示方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の文を含むドキュメント情報を取得する機能、
前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定する機能、
前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定する機能、
前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングする機能、
を実現させるためのプログラム。
【請求項11】
前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールする機能をさらに含む請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示する機能をさらに含む請求項10に記載のプログラム。
【請求項13】
前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記フォント特性がフォントサイズである請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第1のテキスト文字列と前記先読みコンテキスト文字列及び後読みコンテキスト文字列との間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するように、前記第1のテキスト、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストをスクロールする機能をさらに含む請求項12に記載のプログラム。
【請求項17】
前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項10から16のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、
前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する機能を実行させることを更に含む請求項10から17のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
ディスプレイ装置と、
中央処理ユニットと一連の命令を格納するメモリとを含むコンピュータを備え、前記一連の命令が前記中央処理ユニットで実行されると、
複数の文を含むドキュメント情報を取得し、
前記複数の文のうちの第1の文に含まれるテキストの文字列がディスプレイ装置の矩形状の表示画面の一方の対角線の両端を結ぶ線分に沿って表示されるように、前記第1の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第1のテキスト文字列を決定し、
前記ドキュメント情報の中で前記第1の文の前又は後ろの少なくとも一方に配置される第2の文に含まれるテキストの文字列が前記ディスプレイ装置の矩形状の表示画面の前記一方の対角線の前側又は後側に表示されるように、前記第2の文に含まれるテキストのテキスト情報から前記表示画面に表示する第2のテキスト文字列を決定し、
前記ディスプレイ装置の表示画面上の前記線分に沿って前記第1のテキスト文字列をレンダリングすると共に、前記一方の対角線の前側又は後側に前記第2のテキストの文字列をレンダリングするように制御する表示制御装置と、
を備える情報表示システム。
【請求項20】
前記メモリが、前記ディスプレイ装置上に表示された前記第1の文に含まれるテキストの文字列を、前記ディスプレイ装置の表示画面の前記対角線に沿ってスクロールするための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システム。
【請求項21】
前記メモリが、前記第2の文は、前記第1のテキスト文字列の前及び後ろにそれぞれ配置される、先読みコンテキストのテキスト情報及び後読みコンテキストのテキスト情報を含み、前記第2のテキスト文字列は、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストのそれぞれのテキスト情報に対応した、先読みコンテキスト文字列と後読みコンテキスト文字列とを含み、前記ディスプレイ装置の表示画面上に前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列をレンダリングして、前記第1のテキストの文字列と共に表示するための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システム。
【請求項22】
前記先読みコンテキスト文字列と前記後読みコンテキスト文字列とが、前記第1のテキスト文字列とは少なくとも1つの異なるフォント特性を有するフォントでレンダリングされる請求項21に記載の情報表示システム。
【請求項23】
前記フォント特性がフォントサイズである請求項22に記載の情報表示システム。
【請求項24】
前記メモリが、前記第1のテキスト文字列及び前記第2のテキスト文字列が、前記第1のテキスト文字列と前記第2のテキスト文字列との間に所定の間隔を有しており、前記第1のテキスト文字列のスクロール表示に同期して前記第2のテキスト文字列をスクロールして表示させるための命令をさらに格納する請求項19に記載の情報表示システム。
【請求項25】
前記第1のテキスト文字列と前記先読みコンテキスト文字列及び前記後読みコンテキスト文字列との間に所定の間隔を有し且つ一定のオフセットを有するように、前記第1のテキスト、前記先読みコンテキスト及び前記後読みコンテキストをスクロールする命令をさらに含む請求項21に記載の情報表示システム。
【請求項26】
前記一方の対角線の両端を結ぶ線分が直線である請求項19から25のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項27】
さらに、前記ディスプレイ装置が重力方向を検出するセンサを備え、
前記表示制御装置は、前記センサからの重力方向に関する信号に基づいて、前記重力方向が前記一方の対角線と略垂直となるように前記一方の対角線を決定する請求項19から26のいずれか一項に記載の情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−181569(P2009−181569A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319470(P2008−319470)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】