説明

情報表示装置、情報表示方法

【課題】複数の文字列をプロポーショナルフォントで描画するに際し、限られた領域内に複数行又は複数列整列表示できる情報表示装置及び方法を提供する。
【解決手段】 夫々が、複数の文字及び所定の識別文字を含む複数の描画対象文字列が記憶された文字列記憶部13と、複数の前記描画対象文字列における、先頭から識別文字の直前までの第1文字列部分をプロポーショナルフォントで表示するために必要な最大描画幅を算定する描画幅算定部15と、第1文字列部分を前記フォントで描画対象文字列別に行又は列の配置方向に並べて表示部7に描画する第1描画部17と、第1描画部17によって描画された先頭位置から数えて最大描画幅で特定される位置の直後又は所定幅だけ後方の位置に識別文字を前記配置方向に並べて描画し、更にその直後又は所定幅だけ後方の位置から第2文字列部分を前記フォントで前記配置方向に並べて描画する第2描画部19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字によってフォント幅の異なるプロポーショナルフォントを用いた文字列を画面上に表示するに際し、複数の文字列を見やすく整列して表示させることのできる情報表示装置及び情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやスキャナ等の画像形成装置の中には、設定情報を表示するための小型の液晶画面を有する機種が存在する。従来の機種においては、かかる画面上には等幅の文字フォントによって描画された文字が表示されていた(図6参照)。
【0003】
図6には、プリンタの設定情報が表示された液晶画面の一例が示されており、コロン「:」を境界として、その左側の領域101には設定項目、右側の領域102には同一行の左側に記載されている設定項目に関して現時点で設定されている情報が表示されている。図6に示すように、各行にわたってコロン「:」の位置が列方向に整列されており、視覚的に見やすい画面となっている。図6では、Font Pitchの項が選択されている状態であり、この状況で「実行」の指示を与えると、Font Pitchの値を変更するための表示画面へと切り替えられる。
【0004】
ところで、表示態様の更なる美しさへの要望や、各国語への対応の必要性から、上記のような画面上においてもプロポーショナルフォントを利用した文字列を表示する要求が高まっている。このとき、図6に示す画面例のように、同一行に複数項目を表示して複数行にわたって情報表示を行うに際しては、項目を区別するための識別文字(上記の例でいえばコロン「:」)の位置を列方向に整列させることが視覚的に好ましい。
【0005】
表示フォントが等幅の場合には、行毎に表示される項目の文字数を単にカウントし、行毎の文字数の相違を、挿入空白数を変えることで調整できる。このため、図6のように識別文字の位置を列方向に整列させることについては、比較的容易に行うことができる。しかしながら、プロポーショナルフォントの場合、文字毎に描画幅が異なるため、単純に文字数をカウントして挿入空白数を行毎に変えるという処理のみでは、識別文字の位置を列方向に整列することができない。
【0006】
下記特許文献1には、GUI画面においてプロポーショナルフォントで表示する際、文字毎の文字幅の相違を考慮しつつ、挿入する空白の単位長さを複数種類用意することで、挿入する空白の長さに差異を設けて、美しい表示態様を実現することのできる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−108499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術は、プロポーショナルフォントを表示する領域幅が予め定められている状況下において、この領域幅の最後尾と文字列の右端の間に挿入する空白の長さを調整している。特に特許文献1の実施例では、ブロック幅が12dotと18dotの空白の挿入数を組み合わせることで、空白の長さの調整を行っている。
【0009】
しかし、このような調整方法による場合、ある程度の数の空白の挿入が可能な程度に描画領域に余裕があることが前提となる。このような表示設計は、プリンタやスキャナ等に搭載される小型液晶画面上において、同一行に複数の項目を表示させるという用途には利用できない。各行に多くの空白を挿入してしまうと、液晶画面上に複数の項目を表示させるための領域が確保できなくなるおそれがあるためである。
【0010】
また、図6に示したような表示態様、つまり、同一行に複数の項目を表示させ、更にこれを複数列表示させるという表示態様を実現しようとした場合、項目の区切り位置(識別文字の位置)で整列する必要がある。この場合、プロポーショナルフォントを表示する領域幅が予め定められていることが前提となる上記特許文献1の技術をそのまま適用することはできない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑み、複数の文字列をプロポーショナルフォントで描画するに際し、限られた領域内に複数行(又は複数列)整列表示させることのできる情報表示装置及び情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る情報表示装置は、複数の描画対象文字列を、前記描画対象文字列別に、行又は列方向に並べて表示する情報表示装置である。そして、前記複数の描画対象文字列は、夫々が、複数の文字及び所定の識別文字を含む文字列で構成されている。所定の識別文字としては、コロン「:」,スラッシュ「/」等の符号や、その他の定められた文字を採用することができる。
【0013】
本発明の情報表示装置は、情報を表示する表示部と、プロポーショナルフォントが記憶されたフォント記憶部と、前記複数の描画対象文字列が記憶された文字列記憶部と、後述する描画幅算定部、第1描画部、及び第2描画部を備える。
【0014】
描画幅算定部は、前記複数の前記描画対象文字列における、先頭から前記識別文字の直前までの第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで表示するために必要な最大描画幅を算定する。
【0015】
第1描画部は、前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで、前記描画対象文字列別に、行又は列の配置方向に並べて前記表示部に描画する。
【0016】
第2描画部は、前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1描画部によって描画された先頭位置から数えて前記最大描画幅で特定される位置の直後又は所定幅だけ後方の位置に前記識別文字を前記配置方向に並べて描画し、更にその直後又は所定幅だけ後方の位置から前記第2文字列部分を前記プロポーショナルフォントで前記配置方向に並べて描画する。
【0017】
プロポーショナルフォントを用いて描画するため、各描画対象文字列の第1文字列部分の文字の種類の相違により、第1描画部によって描画された各第1文字列部分の最後尾の位置は、配置方向にずれが生じることが予想される。しかし、第2描画部は、描画幅算定部が予め算定した最大描画幅の位置に基づいて、識別文字を前記配置方向に並べて描画するため、これによって各識別文字が前記配置方向に整列される。更に、第2描画部は、この識別文字の配置位置の直後又は所定幅だけ後方の位置から第2文字列部分を前記配置方向に並べて描画するため、第2文字列部分の先頭位置も前記配置方向に整列される。
【0018】
よって、上記構成によれば、識別文字よりも前段の第1文字列部分と、識別文字よりも後段の第2文字列部分とで夫々異なる項目を記載した場合に、項目別に配置方向に整列された表示態様を実現することができる。
【0019】
また、本発明の構成の場合、各描画対象文字列には、識別文字が必ず含まれる構成であるため、描画幅算定部は、複数の描画対象文字列につき、先頭から順次識別文字が検出されるまでの各文字を検出することで、第1文字列部分の描画幅を算定することができる。この算定を各描画対象文字列について行うことで、最も描画幅の大きい値をもって最大描画幅と決定することができる。
【0020】
更に、前記複数の描画対象文字列の夫々に、前記表示部に同時に表示する前記描画対象文字列の組み合わせを規定するためのグループ符号を付すのも好適である。この場合、第1描画部は、指定された前記グループ符号である指定グループ符号が付された前記複数の描画対象文字列の夫々につき前記第1文字列部分を描画し、同様に、前記第2描画部は、前記指定グループ符号が付された前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記識別文字及び前記第2文字列部分を描画する構成が採用され得る。
【0021】
かかる構成によれば、描画対象文字列が多数存在して、表示部上に全ての描画対象文字列を一時に表示できないような場合であっても、一時に表示可能な描画対象文字列数毎に分けられたグループ毎に、表示部に表示させることができる。
【0022】
更に、上記構成に加えて、操作者によって操作可能に構成された表示切替部を備え、前記表示切替部が操作されるたびに、前記指定グループ符号が順次切り替わる構成とするのが好適である。かかる構成とすることで、操作者が表示切替部を操作するたびに、表示部に表示される情報を、あたかも本のページをめくるように順次切り替えることができる。この場合においても、識別文字が前記配置方向に整列されているため、第1文字列及び第2文字列共に前記配置方向に整列された状態が維持される。
【0023】
このとき、描画幅算定部が、前記複数の前記描画対象文字列の全ての中における、先頭から前記識別文字の直前までの第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで表示するために必要な描画幅の最大値をもって最大描画幅とする構成とするのが好適である。かかる構成によれば、操作者が表示切替部を操作して表示画面を順次切り替えても、識別文字の位置は固定されたまま、表示される文字列のみが切り替わるため、表示情報の切替のたびに文字列全体が移動するといった視覚的ストレスを生じさせることがない点で効果的である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プロポーショナルフォントによって文字列を表示させる場合においても、行又は列の配置方向に、項目毎に整列して表示させることができる。また、整列させるに際し、必要以上に空白を挿入する必要がないため、限られた表示部内においても、項目別の整列表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の表示装置の構成を示す概念的ブロック図である。
【図2】描画幅算定部で行われる処理フローを示すフローチャート図である。
【図3】第1描画部、第2描画部で行われる処理フローを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の表示装置により表示された表示画像の一例である。
【図5】本発明の表示装置の利用態様としての一実施例である画像形成装置の構成を示す概念的ブロック図である。
【図6】プリンタの設定情報が等幅フォントによって表示された液晶画面上の表示画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔表示処理の概要〕
本発明に係る表示装置1は、図1に示すように、ROM、RAM等のメモリで構成される記憶部3,CPU及び所定のソフトウェアで構成される表示制御部5,及び情報を出力するための液晶モニタ等で構成される表示部7を備える。記憶部3は、フォントに関する情報が記憶されるフォント記憶部11、及び表示部7に表示させる文字列に関する情報が記憶される文字列記憶部13を備える。表示制御部5は、後述する描画幅算定部15,第1描画部17,及び第2描画部19を備える。
【0027】
フォント記憶部11には、プロポーショナルフォントに関する情報が記憶されており、必要に応じて複数種のフォントが記憶されているものとして構わない。また、プロポーショナルフォントに加えて、等幅フォントに関する情報が記憶されているものとしても構わない。
【0028】
文字列記憶部13には、表示部7に表示される対象となる文字列(以下、「描画対象文字列」という)に関する情報が、所定の形式で記憶されている。この文字列記憶部13には、複数の描画対象文字列に関する情報が格納されており、複数の描画対象文字列の夫々は、所定の識別文字を含む複数の文字列で構成されている。より具体的には、複数の描画対象文字列の夫々は、先頭の文字から前記識別文字の直前までの一連の文字列である第1文字列部分、識別文字、及び識別文字の直後から最後尾の文字までの一連の文字列である第2文字列部分によって構成される。ただし、文字列記憶部13では、各描画対象文字列が、第1文字列部分、識別文字、及び第2文字列部分が一体化された一連の文字列として記憶されているものとして構わない。
【0029】
描画幅算定部15は、描画対象文字列を表示部7に表示させるのに必要な描画幅を算定する機能を有し、特には、各描画対象文字列の第1文字列部分を表示部7に表示させるのに必要な描画幅を算定する。描画幅算定部15は、各文字別に、指定されたプロポーショナルフォント(以下、適宜「指定フォント」という。)で表示する場合に占有されるフォント幅に関する情報を認識することができる構成である。
【0030】
描画幅算定部15は、複数の描画対象文字列の夫々について、第1文字列部分を表示部7に表示させるのに必要な描画幅を算定し、その最大値を「最大描画幅」として算定する。第1描画部17は、文字列記憶部13に記憶された描画対象文字列について、先頭から識別文字が検索されるまで文字列の読み出しを行い、識別文字が検索された時点で、その直前までで検出された文字列(第1文字列部分)につき、フォント記憶部11より読み出した指定フォントにて表示部7上に描画する。
【0031】
また、第2描画部19は、描画対象文字列に含まれる識別文字を、表示部7上において先頭位置から最大描画幅だけ離れた位置の直後又はその所定幅だけ後方の位置に描画する。そして、第2描画部19は、引き続き、識別文字の直後から最後尾までの文字列部分、すなわち第2文字列部分を、表示部7上の識別文字の描画位置の直後又は所定幅だけ後方の位置から、フォント記憶部11より読み出した指定フォントにて表示部7上に描画する。
【0032】
一の描画対象文字列の描画処理が終了すると、描画対象文字列を変更し、第1描画部17及び第2描画部19は同一の処理を行う。ただし、描画対象文字列を変更するたびに、表示部7上の表示位置を行又は列方向にずらして描画する。
【0033】
かかる処理により、第1描画部17は、複数の描画対象文字列につき、各描画対象文字列の第1文字列部分を、表示部7上に行又は列方向(この方向を以下では「配置方向」と呼ぶ。)に配置する。なお、本実施形態では、表示部7上において、描画対象文字列毎に夫々異なる行に配置するものとする。つまり、前記配置方向が列方向であるものとして説明する。
【0034】
そして、第2描画部19は、複数の描画対象文字列の夫々に含まれる識別文字を、表示部7上において先頭位置から最大描画幅だけ離れた位置の直後又はその所定幅だけ後方の位置に、前記配置方向に並べて描画する。第2描画部19は、更に、第2文字列部分を、表示部7上の識別文字の描画位置の直後又は所定幅だけ後方の位置から、フォント記憶部11より読み出した指定フォントにて、描画対象文字列毎に前記配置方向に並べて描画する。
【0035】
前記のように、描画幅算定部15において算定された最大描画幅は、複数の描画対象文字列の中で、第1文字列部分を表示するのに必要な描画幅の最大値である。このため、表示部7上において、第1描画部17によって描画される第1文字列部分の最後尾は、先頭位置から最大描画幅だけ離れた位置よりも手前の位置となる。従って、先頭から最大描画幅だけ離れた位置の直後又はその所定幅だけ後方の位置に識別文字を描画しても、この識別文字が第1文字列と重なることがない。つまり、各描画対象文字列が表示される各行につき、識別文字が同一列の位置に整列表示される。
【0036】
そして、表示部7上の各行につき、識別文字の配置位置の直後又はその所定幅だけ後方の位置から第2文字列部分を配置することで、どの行についても第2文字列部分の先頭文字が同一列の位置に整列表示される。
【0037】
つまり、各行につき、識別文字を境界として、第1文字列部分と第2文字列部分の夫々を列方向に整列することができ、表示部7上には見た目に美しい態様で画像が表示されることとなる。
【0038】
また、各行の第1文字列部分の文字幅のうちの最大値に基づいて識別文字の描画位置を決定する構成であるため、各行に挿入される空白領域を最小限に抑制することができる。これにより、小型の表示部7であっても、識別文字の後段に位置する第2文字列部分の表示領域を一定程度確保することが可能である。
【0039】
〔描画幅算定部の処理フロー〕
描画幅算定部15で行われる処理フローの詳細につき、図2を参照して説明する。
【0040】
描画幅算定部15は、まず、一の描画対象文字列を選択し(ステップS1)、先頭の文字から識別文字の直前の文字までの文字列(第1文字列部分)を描画するのに必要な描画幅を算定する(ステップS2)。
【0041】
次に、現時点で記憶されている最大描画幅の値と大小比較し、ステップS2で算定された描画幅の方が大きい場合には(ステップS3においてYes)、ステップS2で算定された描画幅を最大描画幅として記憶する(ステップS4)。そして、描画幅の算定処理を行っていない描画対象文字列がまだ存在していれば(ステップS5においてYes)、選択描画対象文字列を変更し(ステップS6)、再度描画幅の算定処理を行う(ステップS2)。また、ステップS2で算定された描画幅が、記憶している最大描画幅以下の場合には(ステップS3においてNo)、選択描画対象文字列を変更して(ステップS6)、再度描画幅の算定処理を行う(ステップS2)。
【0042】
かかる処理を全ての描画対象文字列について行い、描画幅の算定処理を行っていない描画対象文字列が存在しなくなると(ステップS5においてNo)、描画幅算定部15による処理を終了し、この時点で記憶されている最大描画幅の値をもって、各行における識別文字の表示部7上の配置位置が決定される。
【0043】
〔第1描画部、第2描画部の処理フロー〕
第1描画部17及び第2描画部19で行われる処理フローの詳細につき、図3を参照して説明する。なお、図1では、第1描画部17及び第2描画部19が別個の処理部であるかのように記載しているが、実際には同一の処理部が両者の機能を兼ねる構成として構わない。図3では、両描画部17及び19によって行われる処理内容をまとめてフローチャートとして図示している。
【0044】
第1描画部17は、一の描画対象文字列を選択すると(ステップS11)、描画開始位置に存在する文字がNULLか否かの判定を行う(ステップS12)。NULLでない場合(ステップS12においてNo)、前記描画開始位置に存在する文字が識別文字か否かの判定を行う(ステップS13)。
【0045】
前記描画開始位置に存在する文字が識別文字でない場合(ステップS13においてNo)、選択した描画対象文字列において描画開始位置より後段に識別文字が存在するか否かの判定を行う(ステップS14)。ここで、識別文字が存在していれば(ステップS14においてYes)、第1描画部17は描画開始位置に存在する文字から識別文字の直前に存在する文字までの文字列すなわち第1文字列部分を、フォント記憶部11に記憶されているプロポーショナルフォントにより表示部7上に行方向に描画する(ステップS15)。そして、ステップS12に戻り、次の描画開始位置がNULLでないかどうかの判定を行う。
【0046】
第1文字列部分の描画が完了した時点において、描画開始位置には識別文字が存在することとなる(ステップS12においてNo,且つステップS13においてYes)。このとき、第2描画部19は、描画幅算定部15において算定された最大描画幅で規定される表示部7上の位置に、識別文字を描画する(ステップS17)。識別文字を描画する位置は、先頭位置から最大描画幅だけ離れた位置の直後としても構わないし、その位置から所定幅だけ行方向に進めた位置としても構わない。識別文字の描画が完了した後は、再度ステップS12に戻り、次の描画開始位置がNULLでないかどうかの判定を行う。
【0047】
識別文字の描画が完了した時点において、描画開始位置には識別文字の直後の文字が存在することとなる(ステップS12においてNo,且つステップS13においてNo)。このとき、描画対象文字列における描画開始位置以後の文字としては識別文字が存在しないため(ステップS14においてNo)、第2描画部19は、描画対象文字列における描画開始位置以後の文字列すなわち第2文字列部分を、フォント記憶部11に記憶されているプロポーショナルフォントにより表示部7上に行方向に描画する。表示部7上における第2文字列部分の描画開始位置としては、識別文字を描画した位置の直後としても構わないし、識別文字から所定幅だけ行方向に進めた位置としても構わない。
【0048】
描画対象文字列の最終文字の描画が完了すると、もはや描画開始位置にはNULLが存在するため(ステップS12においてYes)、第1描画部17又は第2描画部19は未描画の描画対象文字列が残っているか否かの判定を行う(ステップS18)。そして、未描画の描画対象文字列が存在する場合には(ステップS18においてYes)、描画対象文字列を変更し(ステップS19)、表示部7上における描画位置を列方向にシフトして(ステップS20)、ステップS12に戻る。以下、未描画の描画対象文字列が存在する間、ステップS12〜S20を繰り返す。
【0049】
そして、全ての描画対象文字列の描画が完了すると(ステップS18においてNo)、一連の描画処理を終了する。
【0050】
〔別の実施形態〕
図3に示したフローは、文字列記憶部13に記憶されている全ての描画対象文字列につき、表示部7上に一時に表示する場合が想定されているが、複数の描画対象文字列を所定の規則の下でグループ化し、同一グループに属する描画対象文字列について表示部7上に一時に表示する構成としても良い。この技術は、描画対象文字列の数が非常に多く、全てを表示部7上に一時に表示させることができない場合に有効である。
【0051】
例えば、複数の描画対象文字列に対し、グループ符号を予め付しておく。そして、指定のグループ符号が付された描画対象文字列につき、図3のフローチャートに示される処理が実行され、表示部7上に表示される。更に本表示装置が、操作者によって操作可能に構成された表示切替部(不図示)を備える構成とし、表示切替部が操作されると指定のグループ符号を変化させる。このとき、新たに指定されたグループ符号が付された描画対象文字列につき、図3のフローチャートに示される処理が実行され、表示部7上に表示される。これにより、表示部7上においては、あたかも本のページをめくるような感じで表示部7上の表示画像を変更させることが可能となる。
【0052】
そして、この構成の場合においても、描画幅算定部15が最大描画幅を算定するに際しては、同一のグループ符号が付された描画対象文字列ではなく、全ての描画対象文字列の中での第1文字列部分の描画幅の最大値をもって、最大描画幅とするのが好適である。このように構成することで、操作者が表示切替部を操作して表示画面を順次切り替えても、識別文字の位置は固定されたまま、表示される文字列のみが切り替わるため、表示情報の切替のたびに文字列全体が行方向に移動するといった視覚的ストレスを生じさせることがない点で効果的である。
【0053】
なお、上記の例におけるグループ符号については、どのような規則の下で付しても構わない。一例としては、各描画対象文字列を所定の順序でナンバリングしておき、各描画対象文字列に付されたナンバーを、予め表示部7上に表示可能な描画対象文字列数で剰余したときの商の値をもってグループ符号としても構わない。
【0054】
〔表示例〕
図4は、図2及び図3のフローチャートに示す処理により、表示部7上に表示された画像の一例である。なお、この図4では、プロポーショナルフォントとしてアラビア文字が採用されている。
【0055】
図4においても、識別文字であるコロンは、列方向に整列表示されており、識別文字32の左側に表示される第1文字列部分31、識別文字32の右側に表示される第2文字列部分33も、夫々列方向に整列表示されている。なお、矢符37に示す「4/5」は、5ページ中の4ページ目ということを示すマークであり、図4に表示される態様は、別の実施形態として上述したように、表示切替部が操作されると表示ページが順次切り替えられる構成が想定されている。
【0056】
ところで、アラビア文字の場合、日本語や英語とは異なり右から左に向かって文字が読まれる特徴がある。このため、例えば図6に示したように、日本語表示では識別文字の左側に設定項目、右側に設定情報を表示していたとしても、アラビア文字に対応させるためには、本来であれば左右の表示項目自体を反転させる必要がある。しかし、もともと日本語又はアルファベットで且つ等幅フォントの表示用として設計されている制御部において、表示項目そのものを反転させて表示可能な構成にするのは大掛かりな設計変更が必要となり好ましくない。
【0057】
そこで、アラビア文字においても、左側に設定項目、右側に設定情報が表示される態様を維持し、描画対象文字列のうち、第1文字列部分及び第2文字列部分の夫々につき配列順序を反転させることで、図3及び図4のフローチャートに基づく処理が可能となる。これにより、アラビア文字のような右から左に向かって読まれる文字においても、識別文字の左側、識別文字、識別文字の右側の夫々の領域において、列方向に整列表示させることが可能となる。
【0058】
なお、操作者によってフォント切替の指示を行うためのフォント切替部(不図示)を有し、フォント切替部によって指定フォントが切り替え可能に構成されている場合には、指定フォントの切り替えの都度、当該指定フォントに応じて描画幅算定部15が最大描画幅の算定処理を実行するものとして構わない。このとき、第1描画部17は、変更された指定フォントによって第1文字列部分を表示部7上に描画し、第2描画部19は、新たに算定された最大描画幅の値に基づいて、識別文字及び第2文字列部分を表示部7上に描画する。
【実施例】
【0059】
本表示装置は、例えば、プリンタやスキャナといった画像形成装置に設けられた操作パネル上のLCD上に情報を表示させる機能として利用することが可能である。以下、本実施例を説明する。なお、この実施例はあくまで一例である。
【0060】
図5に示す画像形成装置40は、CPU41,フラッシュROM43,SDRAM44,SRAM45,MODEM46,NCU47,操作パネル49,時計回路50,SDRAM51,統合チップセット52,スキャナ53,プリンタ54,及びネットワークボード55を備えている。CPU41,フラッシュROM43,SDRAM44,SRAM45,MODEM46,操作パネル49,時計回路50,及び統合チップセット52は、システムバス61を介して互いにデータを伝送することができる。
【0061】
スキャナ53及びプリンタ54は、統合チップセット52に接続されている。スキャナ53は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)を含む受光部と、複数のLEDを含む発光部とを備え、当該発光部から原稿に向けて照射した光の反射光を受光部で受光することにより、その受光量に基づく画像データを得る。プリンタ54は、例えば感光体ドラムを含む構成であり、画像読取部(不図示)で読み取った原稿の画像データなどに基づく画像を記録紙に形成する。
【0062】
CPU41は、LCDコントローラ(LCDC)42を含み、システムバス61を介して制御信号を与えることで、画像形成装置40の全体的な動作制御を行う。なお、図1に示す表示制御部5を、画像形成装置40におけるLCDC42によって実現するものとしてよい。つまり、LCDC42が、上述した描画幅算定部15,第1描画部17,及び第2描画部19の各処理内容を実行する。
【0063】
フラッシュROM(Read-Only Memory)43、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)44,51、及びSRAM(Static Random Access Memory)45は、いずれもデータを記憶しておくための記憶部である。なお、図1に示す記憶部3をフラッシュROM43によって実現するものとしてよい。つまり、フラッシュROM43は、プロポーショナルフォントに関する情報(フォント記憶部11の記憶情報)、及び描画対象文字列に関する情報(文字列記憶部13の記憶情報)が記憶されているものとしてよい。
【0064】
MODEM(Modulator-Demodulator)46は、NCU(Network Control Unit)47を介して電話回線(公衆電話網)48に接続される。NCU47は、電話回線48に接続されている他の外部通信装置(不図示)との間で信号を送受信することができる。例えば、他の外部通信装置から電話回線48を介して送られてきたデータが、NCU47を介してMODEM46に与えられ、所定の信号処理が施された後、プリンタ54によって紙面上に出力される。これにより、ファクシミリ受信されたデータがプリントアウトされる。
【0065】
操作パネル49は、ユーザが操作を行なうための操作部71、ユーザに対して情報の表示を行うためのLCD72、及び操作部71によって操作された内容に応じてパネル上の表示制御を行うパネルコントローラ73を備える。図1に示す表示部7を、LCD72によって実現するものとしてよい。また、ユーザが操作部71を操作することで、LCD72における表示内容や表示フォントの切り替えが行われる構成とすることができ、この場合には操作部71が上述した表示切替部の機能を実現する。なお、LCD72がタッチパネルを含む構成である場合には、LCD72自体に操作部71の機能を含めることも可能である。
【0066】
時計回路50は、計時を行なうためのタイマ部であり、例えばRTC(Real Time Clock)等により構成される。統合チップセット52は、複数の集積回路を組み合わせることにより構成されており、スキャナ53やプリンタ54、及びネットワークボード55との間でデータの授受を行う。SDRAM44は、統合チップセット52を介してデータが入出力される記憶部である。
【0067】
ネットワークボード55は、ローカルバス62を介して統合チップセット52との間でデータを伝送することができる。ネットワークボード55はLAN(Local Area Network)56に接続されており、当該ネットワークボード55を介して、LAN56に接続されている他の外部通信装置(不図示)との間でネットワーク通信を行なうことができる。
【0068】
上記構成とすることで、LCD72には、スキャナ53におけるスキャンの解像度設定、プリンタ54における印刷設定、ファクシミリ送信の際の送信先設定等の情報を表示することができる。このとき、LCD72には、設定対象となる各項目別に、配置方向に整列してプロポーショナルフォントにて情報を表示することができる。
【0069】
〔別実施例〕
本発明の表示装置は、画面上に複数の項目を整列してプロポーショナルフォントにて表示させる用途であれば、多様な用途に利用可能である。特に、上述したように、表示領域が限られている小型の画面上に、複数の項目を列挙して表示する用途への利用に効果的である。
【符号の説明】
【0070】
1: 本発明に係る表示装置
3: 記憶部
5: 表示制御部
7: 表示部
11: フォント記憶部
13: 文字列記憶部
15: 描画幅算定部
17: 第1描画部
19: 第2描画部
31: 第1文字列部分
32: 識別文字
33: 第2文字列部分
41: CPU
42: LCDコントローラ
43: フラッシュROM
44: SDRAM
45: SRAM
46: MODEM
47: NCU
48: 電話回線
49: 操作パネル
50: 時計回路
51: SDRAM
52: 統合チップセット
53: スキャナ
54: プリンタ
55: ネットワークボード
56: LAN
61: システムバス
62: ローカルバス
71: 操作部
72: LCD
73: パネルコントローラ
101: 設定項目に関する表示領域
102: 現時点の設定情報に関する表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の描画対象文字列を、前記描画対象文字列別に、行又は列方向に並べて表示する情報表示装置であって、
前記複数の描画対象文字列は、夫々が、複数の文字及び所定の識別文字を含む文字列で構成されており、
情報を表示する表示部と、
プロポーショナルフォントが記憶されたフォント記憶部と、
前記複数の描画対象文字列が記憶された文字列記憶部と、
前記複数の前記描画対象文字列における、先頭から前記識別文字の直前までの第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで表示するために必要な最大描画幅を算定する描画幅算定部と、
前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで、前記描画対象文字列別に、行又は列の配置方向に並べて前記表示部に描画する第1描画部と、
前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1描画部によって描画された先頭位置から数えて前記最大描画幅で特定される位置の直後又は所定幅だけ後方の位置に前記識別文字を前記配置方向に並べて描画し、更にその直後又は所定幅だけ後方の位置から前記第2文字列部分を前記プロポーショナルフォントで前記配置方向に並べて描画する第2描画部と、を備えたことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記複数の描画対象文字列の夫々には、前記表示部に同時に表示する前記描画対象文字列の組み合わせを規定するためのグループ符号が付されており、
前記第1描画部は、指定された前記グループ符号である指定グループ符号が付された前記複数の描画対象文字列の夫々につき前記第1文字列部分を描画し、
前記第2描画部は、前記指定グループ符号が付された前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記識別文字及び前記第2文字列部分を描画することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
操作者によって操作可能に構成された表示切替部を備え、
前記表示切替部が操作される度に、前記指定グループ符号が順次切り替わることを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
複数の描画対象文字列を、前記描画対象文字列別に、行又は列方向に並べて表示する情報表示方法であって、
前記複数の前記描画対象文字列のうちの、先頭から前記識別文字の直前までの第1文字列部分をプロポーショナルフォントで表示するために必要な最大描画幅を、コンピュータの演算処理によって算定する描画幅算定ステップと、
前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1文字列部分を前記プロポーショナルフォントで、前記描画対象文字列別に、行又は列の配置方向に並べてコンピュータの演算処理によって描画する第1描画ステップと、
前記複数の描画対象文字列の夫々につき、前記第1描画部によって描画された先頭位置から数えて前記最大描画幅で特定される位置の直後又は所定幅だけ後方の位置に前記識別文字を前記配置方向に並べてコンピュータの演算処理によって描画し、更にその直後又は所定幅だけ後方の位置から前記第2文字列部分を前記プロポーショナルフォントで前記配置方向に並べてコンピュータの演算処理によって描画する第2描画ステップと、を有する情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11671(P2013−11671A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143084(P2011−143084)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】