説明

情報表示装置、方法及びプログラム

【課題】電子書籍コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易にすること。
【解決手段】書物のスキャンなどによる文字画像を含む電子書籍コンテンツについて、漫画のセリフ部分などユーザの興味ある箇所について領域の指定を受け付け、その領域について文字認識した文字列をコメント入力欄に挿入することにより、ユーザは、画面上の文字を改めて一文字ずつ入力することなくその箇所を囲むなど指定するだけで、電子書籍コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍コンテンツの表示に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データとして提供されるコミックや雑誌等の電子書籍コンテンツを、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯電子端末機器で画面表示する電子書籍ビューアが普及している。電子書籍ビューアには、スマートフォンなどのアプリケーション・プログラムとして実現する例のほか、専用のハードウェアとして実現される装置も含まれる。
【0003】
一方、ウェブ上において、映画や音楽等のコンテンツに対しユーザが登録した評価の集計結果やコメントなどをユーザ間で閲覧し共有できるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのサービスも普及している。
【0004】
ところで、電子書籍コンテンツには、既存の作品資源活用のためコミック(漫画)や雑誌などの書物を光学スキャンするなどした画像を用いるものが多い。このような画像を用いた電子書籍コンテンツについては、セリフやタイトル等、様々な文字列が画像化されて含まれているので、そのような画像として含まれる文字列を引用したコメントを入力する場合には、キーボードやテンキー等によりテキスト入力を行うこととなる。なお、所定の領域にタッチ入力等で入力された文字を認識することにより、文字の入力をある程度容易にする技術は存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−350649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、そもそも画像中に含まれている文字列をわざわざ改めてユーザが入力することは煩わしく、電子書籍ビューアというユーザがコメントを入力しやすい媒体であっても、コメントの入力に歯止めをかけるという課題が考えられる。
【0007】
上記の課題に対し、本発明の目的は、電子書籍コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的をふまえた本発明は、下記の各態様のうち、第1群に記載する各態様を含む。なお、第2群及び第3群の各態様は、第1群に記載する本発明の任意の態様との組み合わせに適する追加の構成であり、そのような組み合わせに基づく相乗効果により、電子書籍コンテンツの使い勝手をさらに改善することができるものである。
【0009】
〔第1群〕
本発明の一態様(1)は、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを表示する情報表示装置であって、前記電子書籍コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示手段と、画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得し、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入するコメント挿入手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様(5)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いた情報表示装置が、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを画面表示する情報表示方法であって、コンピュータが、前記電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させる処理と、コンピュータが、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示処理と、コンピュータが、画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付ける指定受付処理と、コンピュータが、指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得し、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入するコメント挿入処理と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様(6)は、上記態様をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いた情報表示装置に、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを画面表示させる情報表示プログラムであって、コンピュータに、前記電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させ、コンピュータに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示させ、コンピュータに、画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付けさせ、コンピュータに、指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得させ、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入させることを特徴とする。
【0012】
このように、書物のスキャンなどによる文字画像を含む電子書籍コンテンツについて、漫画のセリフ部分などユーザの興味ある箇所について領域の指定を受け付け、その領域について文字認識した文字列をコメント入力欄に挿入することにより、ユーザは、画面上の文字を改めて一文字ずつ入力することなくその箇所を囲むなど指定するだけで、電子書籍コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易に行うことができる。
【0013】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記コメント挿入手段は、前記指定された領域を表す領域データを所定のサーバに送信したうえ、その領域データに基づく文字認識による文字列を前記サーバから受信し、受信した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入することを特徴とする。
【0014】
このように、指定された領域を表す部分画像や座標値などの領域データをサーバに送信し、それに基づく文字認識による文字列を受信して利用することにより、情報表示装置の処理負荷軽減や、専用のサーバの能力やアルゴリズムを活用した認識精度の改善を図ることが可能となる。
【0015】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記コメント入力欄に入力されたコメントと、前記画面表示されている電子書籍コンテンツとを対応付けて所定のサーバに送信するコメント送信手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様(4)は、上記態様をサーバ装置として捉えたもので、サーバ装置であって、情報表示装置において入力されたコメントと、そのコメントに係る電子書籍コンテンツと、を対応付けたデータをその情報表示装置から受信して所定の記憶手段に記憶させる手段を有することを特徴とする。
【0017】
このように、入力されたコメントを電子書籍コンテンツと対応付けてサーバへ送信することにより、サーバでコメントをとりまとめ、コンテンツに付加して配信するなど活用可能となる。
【0018】
〔第2群〕
第2群の一態様(1)は、電子書籍コンテンツを表示する情報表示装置であって、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツのデータを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対応付けられたコメントを記憶するコメント記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示手段と、表示されている前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対する所定の操作が与えられた場合に、そのフレームを捲る表示とともに、捲ったフレームの裏面又は捲ったフレームのあった下地面に、そのフレームに対応付けられた前記コメントを表示するコメント表示手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
第2群の他の態様(6)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いた情報表示装置が電子書籍コンテンツを画面表示する情報表示方法であって、コンピュータが、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツのデータを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させる処理と、コンピュータが、前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対応付けられたコメントを所定のコメント記憶手段に記憶させる処理と、コンピュータが、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示処理と、コンピュータが、表示されている前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対する所定の操作が与えられた場合に、そのフレームを捲る表示とともに、捲ったフレームの裏面又は捲ったフレームのあった下地面に、そのフレームに対応付けられた前記コメントを表示するコメント表示処理と、を含むことを特徴とする。
【0020】
第2群の他の態様(7)は、上記態様をコンピュータ・プログラムを配信する配信サーバのカテゴリで捉えたもので、電子書籍コンテンツを画面表示させる情報表示プログラムを、コンピュータを用いた情報表示装置へ配信する配信サーバ装置であって、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツのデータを情報表示装置へ送信する手段と、前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対応付けられたコメントを情報表示装置へ送信する手段と、前記情報表示装置に、前記情報表示プログラムの配信によって、前記電子書籍コンテンツを画面表示している際に、表示されている前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対する所定の操作が与えられた場合、そのフレームを捲る表示とともに、捲ったフレームの裏面又は捲ったフレームのあった下地面に、そのフレームに対応付けられた前記コメントを表示させることを特徴とする。
【0021】
第2群の他の態様(4)は、上記態様をコンピュータ・プログラムを配信する配信サーバのカテゴリで捉えたもので、電子書籍コンテンツを画面表示させる情報表示プログラムを、コンピュータを用いた情報表示装置へ配信する配信サーバ装置であって、前記情報表示プログラムは、コンピュータに、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツのデータを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させ、コンピュータに、前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対応付けられたコメントを所定のコメント記憶手段に記憶させ、コンピュータに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示させ、コンピュータに、表示されている前記電子書籍コンテンツの前記フレームに対する所定の操作が与えられた場合に、そのフレームを捲る表示とともに、捲ったフレームの裏面又は捲ったフレームのあった下地面に、そのフレームに対応付けられた前記コメントを表示させることを特徴とする。
【0022】
第2群の他の態様(5)である情報処理システムは、上記態様をクライアント・サーバ・システムとして捉えたもので、上記いずれかの態様における情報表示装置と、上記いずれかの態様における配信サーバ装置と、を有することを特徴とする。
【0023】
以上のように、漫画のコマや吹き出しなどを単位に電子書籍コンテンツが分割されたフレームに対応するコメントを、フレームを捲る表示とともに捲ったフレームの裏面や下地面に表示させることにより、コメントが煩雑に重なり合ったり各フレームのコンテンツを覆い隠すことがない。このため、電子書籍コンテンツの表示において、コメントが増えた場合でも、コメントの分量の把握を含め、優れた視認性を維持することができる。
【0024】
第2群の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、前記コンテンツ表示手段は、前記各フレームを、フレームに対応するコメントの量に応じた厚みで立体的に表示することを特徴とする。
【0025】
このように、対応するコメントの量に応じた厚みで各フレームを表示することにより、フレームごとのコメントの量が一見して視覚的に把握容易となり、コメント閲覧の使い勝手が改善できる。
【0026】
第2群の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記コメントの全部又は一部について所定の課金が条件となっている旨を表示する課金表示手段と、前記課金に対する同意の操作を受け付ける同意受付手段と、前記同意の操作が受け付けられた場合に、前記コメント表示手段に前記コメントを表示させるとともに、所定の課金処理を行う課金処理手段と、を有することを特徴とする。
【0027】
このように、コメントの閲覧を課金制とすることにより、雑誌の袋とじのように、内容を閲覧する需要を費用回収に確実に関連付ける効果が得られ、真に価値あるコメントの情報流通が促進できる。
【0028】
〔第3群〕
第3群の一態様(1)は、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段をそれぞれ有する情報表示装置とサーバ装置とを通信ネットワーク経由で接続した情報処理システムにおいて、前記情報表示装置はさらに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示手段と、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付ける評価領域受付手段と、指定された前記ページ及び領域を表すデータを通信ネットワーク経由で前記サーバ装置へ送信する評価領域送信手段と、を有し、前記情報表示装置又は前記サーバ装置の少なくとも一方が、情報表示装置において指定されたページ及び領域の座標と、対応する電子書籍コンテンツに含まれる前記ページのフレームの座標とを比較することにより、前記評価の入力に対応するフレームを特定するフレーム特定手段と、を有し、前記サーバ装置は、さらに、前記情報表示装置から通信ネットワークを経由で、電子書籍コンテンツのうち前記情報表示装置において指定されたページ及び領域を表すデータを受信する評価領域受信手段と、前記情報表示装置又はサーバ装置で特定された前記フレームに係る評価を集計するフレーム評価集計手段と、前記指定された領域を前記電子書籍コンテンツのページ毎に集計する領域集計手段と、前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果を記憶する集計結果記憶手段と、前記集計結果記憶手段に記憶されている前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果の少なくとも一方を該当するページに表示させるための表示データを前記情報表示装置へ送信するデータ送信手段と、を有し、前記情報表示装置は、さらに、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記サーバ装置から受信した表示データに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示する強調表示手段を有することを特徴とする。
【0029】
第3群の他の態様(7)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段をそれぞれ有する情報表示装置とサーバ装置とを通信ネットワーク経由で接続して情報を処理する情報処理方法であって、前記情報表示装置において、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示処理と、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付ける評価領域受付処理と、指定された前記ページ及び領域を表すデータを通信ネットワーク経由で前記サーバ装置へ送信する評価領域送信処理と、を実行し、前記情報表示装置又は前記サーバ装置の少なくとも一方が、情報表示装置において指定されたページ及び領域の座標と、対応する電子書籍コンテンツに含まれる前記ページのフレームの座標とを比較することにより、評価に対応するフレームを特定するフレーム特定処理を実行し、前記サーバ装置において、前記情報表示装置から通信ネットワークを経由で、電子書籍コンテンツのうち前記情報表示装置において指定されたページ及び領域を表すデータを受信する評価領域受信処理と、前記情報表示装置又はサーバ装置で特定された前記フレームに係る評価を集計するフレーム評価集計処理と、前記指定された領域を前記電子書籍コンテンツのページ毎に集計する領域集計処理と、前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果を所定の集計結果記憶手段に記憶させる処理と、前記集計結果記憶手段に記憶されている前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果の少なくとも一方を該当するページに表示させるための表示データを前記情報表示装置へ送信するデータ送信処理と、を実行し、前記情報表示装置が、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記サーバ装置から受信した表示データに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示する強調表示処理を実行することを特徴とする。
【0030】
第3群の他の態様(2)は、上記態様のうち情報表示装置の部分に関するもので、電子書籍コンテンツを表示する情報表示装置であって、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示手段と、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付ける領域評価受付手段と、指定された前記ページ及び領域を表す評価データを通信ネットワーク経由で所定のサーバ装置へ送信する評価領域送信手段と、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記評価データに基づく集計結果に基づいて前記サーバ装置から受信した所定のデータに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示する強調表示手段と、を有することを特徴とする。
【0031】
第3群の他の態様(8)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いる情報表示装置が、電子書籍コンテンツを表示する情報表示方法であって、コンピュータが、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させる処理と、コンピュータが、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示処理と、コンピュータが、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付ける領域評価受付処理と、コンピュータが、指定された前記ページ及び領域を表す評価データを通信ネットワーク経由で所定のサーバ装置へ送信する評価領域送信処理と、コンピュータが、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記評価データに基づく集計結果に基づいて前記サーバ装置から受信した所定のデータに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示する強調表示処理と、を含むことを特徴とする。
【0032】
第3群の他の態様(10)は、上記態様をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いる情報表示装置に、電子書籍コンテンツを表示させる情報表示プログラムであって、コンピュータに、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させ、コンピュータに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示させ、コンピュータに、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付けさせ、コンピュータに、指定された前記ページ及び領域を表す評価データを通信ネットワーク経由で所定のサーバ装置へ送信させ、コンピュータに、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記評価データに基づく集計結果に基づいて前記サーバ装置から受信した所定のデータに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示させることを特徴とする。
【0033】
第3群の他の態様(11)は、上記態様を、コンピュータ・プログラムを配信するサーバ装置のカテゴリで捉えたもので、コンピュータを用いる情報表示装置に、電子書籍コンテンツを表示させる情報表示プログラムを配信するサーバ装置であって、前記情報表示プログラムは、コンピュータに、ページ内でフレームに分割された電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させ、コンピュータに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示させ、コンピュータに、表示されている前記電子書籍コンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付けさせ、コンピュータに、指定された前記ページ及び領域を表す評価データを通信ネットワーク経由で所定のサーバ装置へ送信させ、コンピュータに、前記電子書籍コンテンツのページのうち、前記評価データに基づく集計結果に基づいて前記サーバ装置から受信した所定のデータに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を強調表示させることを特徴とする。
【0034】
第3群の他の態様(5)であるサーバ装置は、電子書籍ビューアに提供するための電子書籍コンテンツであって、フレームに分割された電子書籍コンテンツを記憶しているコンテンツ記憶手段と、クライアント装置から通信ネットワーク経由で、電子書籍コンテンツのうち前記クライアント装置において指定されたページ及び領域を表す評価データを受信する評価領域受信手段と、受信された前記評価データにおける前記指定されたページ及び領域の座標と、対応する電子書籍コンテンツに含まれる前記ページのフレームの座標とを比較することにより、評価に対応するフレームを特定するフレーム特定手段と、特定された前記フレームに係る評価を集計するフレーム評価集計手段と、前記指定された領域を前記電子書籍コンテンツのページ毎に集計する領域集計手段と、前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果を記憶する集計結果記憶手段と、前記集計結果記憶手段に記憶されている前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果の少なくとも一方を該当するページに表示させるためのデータを通信ネットワーク経由でクライアント装置へ送信するデータ送信手段と、を有することを特徴とする。
【0035】
第3群の他の態様(9)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、電子書籍ビューアに提供するための電子書籍コンテンツであって、フレームに分割された電子書籍コンテンツを記憶しているコンテンツ記憶手段と、コンピュータと、を有するサーバ装置における情報処理方法において、コンピュータが、クライアント装置から通信ネットワーク経由で、電子書籍コンテンツのうち前記クライアント装置において指定されたページ及び領域を表す評価データを受信する評価領域受信処理と、コンピュータが、受信された前記評価データにおける前記指定されたページ及び領域の座標と、対応する電子書籍コンテンツに含まれる前記ページのフレームの座標とを比較することにより、評価に対応するフレームを特定するフレーム特定処理と、コンピュータが、特定された前記フレームに係る評価を集計するフレーム評価集計処理と、コンピュータが、前記指定された領域を前記電子書籍コンテンツのページ毎に集計する領域集計処理と、コンピュータが、前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果を所定の集計結果記憶手段に記憶させる処理と、コンピュータが、前記集計結果記憶手段に記憶されている前記フレームに係る評価の集計結果及び前記指定された領域の集計結果の少なくとも一方を該当するページに表示させるためのデータを通信ネットワーク経由でクライアント装置へ送信するデータ送信処理と、を含むことを特徴とする。
【0036】
第3群の他の態様(6)である情報処理システムは、上記いずれかの態様における情報表示装置と、上記いずれかの態様におけるサーバ装置と、を有することを特徴とする。
【0037】
以上のように、フレームに分割されている電子書籍コンテンツに対して、情報表示装置などのクライアント装置において評価の入力として任意の領域の指定を受け付け、サーバ側では、指定された領域の重複などの集計に加え、各領域に対応するフレーム単位でも評価を集計し、クライアント装置の電子書籍コンテンツ表示画面に、集計結果を基に人気度の高いフレームや領域を所定の色や表示パターンなどで強調表示する。これにより、電子書籍コンテンツに対するユーザの評価を、優れた使い勝手で、フレーム単位と共に、任意の対象範囲で受け付けて、集計し表示画面に反映することが可能となる。
【0038】
第3群の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記強調表示手段は、所定以上の集計結果に係るフレーム及び領域の少なくとも一方を所定の形状、模様、色彩、視覚的動き又はこれらの結合によって、強調表示することを特徴とする。
【0039】
このように、集計結果を基に人気度の高いフレームや領域について、クライアント装置において該当ページの画面表示において、いわゆるヒートマップのように所定の色やパターンなどで強調表示することにより、多くのユーザが評価する部分に読者の注意を惹き、ユーザ間における感動の共有を促進することにより、読者の満足や電子書籍コンテンツの販売促進効果を充実させることが容易になる。
【0040】
第3群の他の態様(4)は、上記いずれかの態様において、前記強調表示手段は、集計結果における所定のランクに応じた色彩の階調で前記強調表示を行うことを特徴とする。
【0041】
このように、段階分けした人気度など、集計結果における所定のランクに応じた濃淡や色味など色彩の階調で強調表示を行うことにより、ユーザはコンテンツを一目見て部分ごとの人気度を直感的に把握可能となり、閲覧時の評価をユーザ間で共有するユーザインタフェースの使い勝手が改善できる。
【0042】
なお、上記の第1群から第3群における各態様とは異なるカテゴリ(装置に対し方法、方法に対しプログラムなど)や、以下に説明するさらに具体的な各態様も本発明に含まれる。異なるカテゴリについては、「手段」を「処理」又は「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は以上記述したものに限定されず、適宜変更したりまとめて処理するなど、変更可能である。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、電子書籍コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態で用いる情報(データ)を例示する図。
【図3】本発明の実施形態において端末でコメントを表示する処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態において端末で指定された領域とフレームをサーバで集計し端末に表示させる処理手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【図6】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【図7】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【図8】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【図9】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【図10】本発明の実施形態における画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について、図に沿って説明する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項については適宜省略する。
【0046】
〔1.構成〕
本実施形態は、図1に示すように、情報表示装置1(以下「端末1」又は「端末」とも呼ぶ)と、サーバ装置2(以下「サーバ2」又は「サーバ」とも呼ぶ)と、を通信ネットワークN(インターネット、携帯電話網、LANなど)で接続した情報処理システムに関するものである。このうち、端末1は、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツ(以下、単に「コンテンツ」とも呼ぶ)を表示する電子書籍ビューアの機能を有し、ユーザの用いるパーソナル・コンピュータ(PC)、ポータブル電子情報端末装置(スマートフォン、タブレットPC、携帯電話端末装置)などの情報処理装置で、図1では一つを模式的に例示するが、実際は多数存在する。
【0047】
この端末1は、通信ネットワークN経由で所定のURLに対応するサーバ2にアクセスし、コンテンツをダウンロードして表示するのに用いる。また、サーバ2は、多数のユーザからのアクセス内容に応じ、有償又は無償で、コンテンツやその関連データの配信を行う装置である。
【0048】
上記の端末1とサーバ2は、一般的なコンピュータの構成として少なくとも、CPUなどの演算制御部6と、記憶装置7(主メモリ、フラッシュメモリ、HDD等)と、通信ネットワークNとの通信手段8(LANアダプタや通信ゲートウェイ装置など)と、を有する。特に端末1は、液晶表示パネルや有機EL(エレクトロ・ルミネセンス)表示パネルなどの表示装置Dと、タッチパネル機能やキースイッチなどの入力装置Mと、を有する。
【0049】
そして、端末1及びサーバ2では、それぞれ、記憶装置7に予め記憶(インストール)した図示しない所定のコンピュータ・プログラムが演算制御部6を制御することで、図1に示す各手段などの要素(10など)を実現する。これら各要素のうち、端末1の各手段11,12,13,14などは、端末1上で動作するコンピュータ・プログラム(電子書籍ビューア・プログラムなどであり、単に「ビューア」とも呼ぶこととする)で実現される。
【0050】
このようなビューアは、端末1にサーバ2などから配信されたものの他、パーソナル・コンピュータのウェブブラウザ上で、ウェブページのデータに含まれるスクリプトなどとしてサーバ2などから送信されたもの、専用装置に予め組み込まれたものでもよい。但し、情報機器におけるウェブページのデータやソフトウェアは多様な構成が可能であるから、ビューアは、アプレット、中間言語、機械語など他の種類の実行モジュールのほか、いかなる実現形態でもよい。
【0051】
また、情報の記憶手段は、記憶装置7において各種のデータベース(「DB」とも表す)やファイル、配列等の変数、各種スタックやレジスタ、システム設定値など任意の形式で実現できる。このような記憶手段のうち、サーバ2のコンテンツ記憶手段21及び端末1のコンテンツ記憶手段11は、ページ内でフレームに分割されたコンテンツをデータ(「コンテンツデータ」と呼ぶこととする)として記憶している手段であり、ページを分割する単位であるフレームの単位は、漫画(コミックス)のコマや吹き出し、小説の段落など、自由に定めることができる。
【0052】
図2(1)は、コンテンツデータの一例であり、コンテンツを識別するコンテンツIDに対して、そのコンテンツに含まれるページのページIDが対応付けられ、ページIDには、そのページに含まれるフレームのフレームIDが対応付けられ、フレームIDごとに、そのフレームのページ上での座標値、フレームの内容をなす画像ファイル(画像ファイル自体でもよいし、画像ファイルにアクセスするURLやディレクトリパス名などのポインタ情報でもよい)が対応付けられている。
【0053】
このようにコンテンツを記憶しているコンテンツ記憶手段21,11のうち、サーバ2のコンテンツ記憶手段21は、多数の端末1に配信するために多くの種類のコンテンツを記憶している。一方、端末1のコンテンツ記憶手段11は、端末1においてサーバ2からのダウンロードや、その他のデータコピーなどにより取得した上記のようなコンテンツを記憶する手段である。
【0054】
また、サーバ2のコメント記憶手段27は、コンテンツのフレームに対応付けられたコメントを記憶している手段であり、端末1のコメント記憶手段12は、サーバ2から受信したコメントを記憶する手段である。なお、記憶手段以外の各手段は、以下のような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段である。
【0055】
〔2.コメントの表示〕
図3のフローチャートは、上記のように構成した端末1について、コンテンツとコメントを表示する動作手順を示すものである。すなわち、端末1のコンテンツ等受信手段10が、通信ネットワークN経由でサーバ2のデータ送信手段41から、コンテンツのデータ及び関連データをダウンロードする(ステップS1)。コンテンツ等受信手段10は、ダウンロードしたコンテンツはコンテンツ記憶手段11に記憶させ、また、関連データのうちコンテンツに対応するコメントはコメント記憶手段12に記憶させる(例えば図2(2))。
【0056】
そして、コンテンツ表示手段13は表示装置Dに、コンテンツ記憶手段11に記憶されているコンテンツを図5に例示するように画面表示し(ステップS2)、また、個々のフレーム(漫画のコマや吹き出しなど)について関連データの内容に応じて、コメントがあるフレームであることを示すコメントマークM1、読者から人気のある部分であることを示すグラフィック表示である強調カラーE(E1,E2など)のうち、該当するものを表示する(ステップS3)。
【0057】
また、図5に例示するように、コンテンツ表示手段13が、各フレーム(例えばフレームF1)を、フレームに対応するコメントの有無及びコメントの量に応じた厚みで立体的に表示するようにすれば、フレームごとのコメントの量が一見して視覚的に把握容易となり、コメント閲覧の使い勝手が改善できる。
【0058】
また、一部又は全部のコメントの閲覧について、有料課金制とすることができる。例えば、関連データ内で有料課金のコメントのコメントデータには有料フラグを設定しておく(図2(2))などにより、コンテンツに有料課金のコメントがあると判定した場合、課金表示手段15が、コメントの全部又は一部について所定の課金が条件となっている旨を、例えば有料コメントがあるフレームであることを示す袋とじマークM2(図5)などで表示する(ステップS3)。
【0059】
そして、コメント表示手段14は、表示されているコンテンツのフレームに対する所定の操作、例えば図6に例示するようにコメントマークM1を指Aでタップしたり、マウスでクリックするなどの操作(「コメント捲り操作」と呼んでおく)が与えられた場合(ステップS4:「YES」)、最も単純な流れとしては(ステップS5〜S7は後述)、そのフレーム(例えばF3)の一部を捲る表示H3(フレームの全体を捲る表示でもよい)とともに、捲ったフレームF1の裏面又は捲ったフレームF1のあった下地面C3に、そのフレームに対応付けられたコメント(図6の例では「このシーン好き!特に・・・」)を表示する(ステップS8)。
【0060】
また、フレームは台詞の吹き出しなどでもよく、図7の例では、台詞の吹き出しであるフレームF4のコメントマークM1を指Aで操作した結果、そのフレームF4を捲る表示H4とともに、捲ったフレームF4のあった下地面C4に、そのフレームに対応付けられたコメント(図7の例では「このセリフについてひとこと・・・」)を表示している。
【0061】
上記のようにコメントマークM1を画面表示したり(例えば図5)、操作に応じてコメントを表示(例えば図6、図7)する処理は、コメントに対応付けられたコンテンツIDやフレームID(図2(3))に基づいて行う。
【0062】
有料コメントについては(ステップS5:「YES」)、同意受付手段16が課金に対する同意の操作を受け付けた場合に(ステップS6:「YES」)、課金処理手段17が、課金情報をサーバ2に送信するなど所定の課金処理を行うとともに(ステップS7)、コメント表示手段14にコメントを表示させる(ステップS8)。なお、コメントマークM1や袋とじマークM2などが表示されていて操作される前の画面の状態において、コメントは全部が完全に隠れて非表示である必要は無く、例えば、一部のコメントやコメントの一部がチラッと見えているなど、任意の表示バリエーションを採用することができる。
【0063】
以上のように、漫画のコマや吹き出しなどを単位にコンテンツが分割されたフレームに対応するコメントを、フレームを捲る表示とともに捲ったフレームの裏面や下地面に表示させることにより(例えば図6、図7)、コメントが煩雑に重なり合ったり各フレームのコンテンツを覆い隠すことがない。このため、コンテンツの表示において、コメントが増えた場合でも、コメントの分量の把握を含め、優れた視認性を維持することができる。
【0064】
また、上記のように、コメントの閲覧を課金制とすることにより(例えば図4のステップS5〜S7)、雑誌の袋とじのように、内容を閲覧する需要を費用回収に確実に関連付ける効果が得られ、真に価値あるコメントの情報流通が促進できる。
【0065】
〔3.コメントの入力〕
上記のように表示されるコメントは、コンテンツに予め付随するものでも、端末1で表示されたコンテンツに対しユーザが入力するものでもよく、ユーザによるコメントの入力は次のように行うことも考えられる(図3のステップS9〜S12)。
【0066】
〔3−1.領域の指定からコメント入力欄の表示〕
まず、コンテンツ表示手段13により画面表示されているコンテンツのうち、任意の領域の指定を指定受付手段23が入力装置Mから受け付けると(ステップS9:「YES」)、コメント挿入手段24が、指定された領域について、OCR技術としても用いられるような文字認識を行うことで文字列を取得し(ステップS10)、取得した文字列をこのコンテンツに対するコメント入力欄に挿入してコメント入力を受け付ける(ステップS11)。
【0067】
例えば、図8に示すように、表示画面において、太い破線で示す領域R1を指定したものとする。このような指定は例えば、指Aで領域R1の輪郭を円や楕円を描くようになぞって指定したり、領域R1の左上角と右下角のような対角を指定するなどによって行うが、具体的な指定の仕方は自由に定めてよい。このような指定を受けて、図9に例示する画面の状態では、コメント入力のためのウィンドウW1が表示画面上に重ねて表示され、図8で指定した領域から文字認識で取得された文字列「わしは戦う!」がコメント入力欄W2に、引用符(図の例では「>>」)付きで入力済みの状態となっており、そのまま入力を続けることができる。なお、文字認識で取得される文字列は、何文字でもよく、1文字を含む。
【0068】
このように、書物のスキャンなどによる文字画像を含むコンテンツについて、漫画のセリフ部分などユーザの興味ある箇所について領域の指定を受け付け(例えば図8)、その領域について文字認識した文字列をコメント入力欄に挿入することにより(例えば図9)、ユーザは、画面上の文字を改めて一文字ずつ入力することなくその箇所を囲むなど指定するだけで、コンテンツに含まれる文字列を引用したコメントの入力を容易に行うことができる。
【0069】
〔3−2.サーバによる文字認識〕
また、文字認識処理を端末ではなくサーバで行ってもよい。この場合、端末1のコメント挿入手段24は、指定された領域を表す領域データを所定のサーバ(ここではサーバ2)に送信する。サーバ2では文字認識手段28が領域データを受信したうえ、その領域データに基づく文字認識による文字列を端末1に返信する。端末1のコメント挿入手段24は、このように返信された文字認識による文字列をサーバ2から受信し、受信した文字列をコンテンツに対するコメント入力欄W2に挿入する(図9)。
【0070】
端末1からサーバ2へ送信され、指定された領域を表す領域データとしては、指定された領域を表す部分画像や座標値などが考えられ、例えばそのような部分画像からサーバ2の文字認識手段28が文字認識により文字列を取得し、その文字列を端末1に返信する。
【0071】
このように、指定された領域を表す部分画像や座標値などの領域データをサーバに送信し、それに基づく文字認識による文字列を受信して利用することにより、情報表示装置の処理負荷の軽減や、専用のサーバの能力やアルゴリズムを活用した認識精度の改善を図ることが可能となる。
【0072】
〔3−3.コメントの蓄積と配信〕
上記のように文字認識などを活用して入力されたコメントは、サーバに送信して蓄積し端末に配信してユーザ間での共有を図ることができる。この場合、コメント送信手段25は、コメント入力欄に入力されたコメントと、そのときに画面表示されているコンテンツとを対応付けて所定のサーバ(ここでは同じサーバ2とするが、異なったサーバでもよい)に送信する(ステップS12)。このように端末1から送信されてくるコメントを、サーバ2ではコメント受信手段26が受信し、コンテンツと対応付けてコメント記憶手段27に記憶させる。
【0073】
例えば、図2(2)は、コンテンツID、ページID並びにフレームIDと、認識された文字列(認識文字列)及び入力されたコメントの全体と、を対応付けたコメントデータの一例である。このように記憶してあるコメントは、データ送信手段41が対応するコンテンツを端末1へ送信するときに、コンテンツに付加して送信する。
【0074】
このように、入力されたコメントを電子書籍コンテンツと対応付けてサーバへ送信することにより(例えば図3のステップS12)、サーバでコメントをとりまとめ、コンテンツに付加して配信するなど活用可能となる。
【0075】
〔4.領域指定による評価〕
また、端末1では、コンテンツ記憶手段11に記憶されているコンテンツをコンテンツ表示手段13が画面表示している際、ユーザは所定の操作により任意の領域を指定することで、面白い、感動した等の評価を入力することができる。この場合の処理手順を図4のフローチャートに示す。
【0076】
〔4−1.領域の指定〕
この場合、図3のステップS1〜S3までと同様の処理で、端末側において(図4の左側)ダウンロードしたコンテンツを図5のように表示した状態を考える(図4のステップS1〜S3)。ここで、強調カラーE(E1,E2)は、所定数以上のユーザにより評価された領域を、ネットマーケティング分野における所謂ヒートマップのように強調表示する特定の色や表示パターンなどである。例えば、図5以降では単純な例として、ユーザから重複して指定された回数などの度合いに応じて、強調カラーE1と、それよりさらに多い数のユーザに指定されたことを表す強調カラーE2と、が存在する。図5の画面例では、フレームF3の中心付近に強調カラーE1の領域があり、そのさらに中心部付近には、より濃い階調の強調カラーE2が表示されている。
【0077】
そして、評価領域受付手段33が、表示されているコンテンツのページのうち任意の領域の指定を、その領域に対する評価の入力として受け付けた場合(ステップS14:「YES」)、最も単純な処理の部分としては、評価領域送信手段35が、指定されたページ及び領域(以下「指定領域」とも呼ぶことする)を表すデータ(以下「評価データ」と呼ぶこととする)を通信ネットワーク経由でサーバ2へ送信する。
【0078】
評価の入力として、気に入った部分などを指定する具体的な操作内容は自由であるが、図8で例示したのと同様に、タッチパネルを指Aで操作し、指定領域R1の輪郭を囲むように円や楕円を描いたり、指定領域R1の左上角と右下角のような対角を指定するなどにより、領域R1を指定することが考えられる。
【0079】
ここで、本実施形態では、指定領域がページ中のどのフレームに含まれるかを特定するが、この特定の処理を行う手段(「フレーム特定手段」と呼ぶ)は、端末1の側にあってもよいし、サーバ2の側にあってもよい。すなわち、端末1又はサーバ2の少なくとも一方が、フレーム特定手段を有すればよいが、図1に示す本実施形態では、端末1にフレーム特定手段34があり、サーバ2にもフレーム特定手段38があるものとする。
【0080】
そして、端末1の構成、ビューア・プログラムのバージョン、ユーザの選択した機能設定などに応じて、どちら側でフレームの特定を行うかが決定される。すなわち、端末1側にフレーム特定手段34があり、それでフレームの特定を行う場合は(ステップS15:「YES」)、端末1側のフレーム特定手段34が、指定されたページ及び領域の座標と、対応するコンテンツに含まれるそのページのフレームの座標(例えば図2(1)に示すフレームの座標値)とを比較することにより、評価に対応するフレームを特定したうえ、特定されたフレームを識別する情報(ここでは「フレームID」とするが、形式は問わない)を、評価領域送信手段35がサーバ2へ送信する評価データに含める(ステップS16)。なお、端末1でフレームを特定しない場合は(ステップS15:「NO」)、評価データは、指定領域を表すが、フレームIDは含まないものとなる。
【0081】
そして、上記のような評価データを端末1の評価領域送信手段35が通信ネットワークNを経由でサーバ2へ送信し(ステップS17)、サーバ2では、評価領域受信手段36が、端末1からコンテンツのうちにおいて指定されたページ及び領域を表す評価データを受信する(ステップS22)。そして、受信した評価データに上記フレームIDが含まれていない場合は(ステップS23:「NO」)、フレーム特定手段38が、受信された評価データにおける指定されたページ及び領域の座標と、対応するコンテンツに含まれるそのページのフレームの座標とを比較することにより、評価に対応するフレームを特定する(ステップS24)。
【0082】
〔4−2.評価の集計と表示〕
続いて、サーバ2ではフレーム評価集計手段39が、端末1又はサーバ2で特定されたフレームに係る評価を、フレームごとのスコアに所定の加算を行うなどにより集計し、このフレームに係る評価の集計結果を集計結果記憶手段40に記憶させる(ステップS25)。また、領域集計手段37が、評価データに含まれる指定領域をコンテンツのページ毎に集計し、この指定領域の集計結果を集計結果記憶手段40に記憶させる(ステップS26)。
【0083】
すなわち、集計結果記憶手段40は、フレームに係る評価の集計結果及び指定された領域の集計結果を記憶する手段であり、このような集計結果を表すデータ(「集計結果データ」と呼ぶこととする)の一例を図2(3)に示す。この例では、コンテンツID、ページID及び判定されたフレームIDごとに、フレームスコアと、指定領域座標ごとの領域レベルを対応付けている。
【0084】
このうち、フレームスコアは、指定領域がそのフレームに含まれると特定された回数であり、フレームの人気度を表す。また、指定領域座標は、指定領域の中で重複して指定された座標範囲を示す。また、領域レベルは、その座標範囲が何回指定されたかの回数(例えば158回、368回など)を表す領域のスコアの大小が、強調カラーE1(図5など)に対応する領域レベル1(例えばスコア100以上)の範囲か、又は強調カラーE2(図5など)に対応する領域レベル2(例えばスコア300以上)の範囲か、を表す所定のランクである。
【0085】
フレーム単位の集計については、指定領域がそのフレームに含まれると特定された回数を集計すればよいが、指定領域が重複する座標範囲(指定領域座標)としては、例えば、各フレームの全画素にそれぞれ対応する配列変数を、その画素が指定領域に含まれた回数に応じてインクリメントしてゆき、配列変数の値が所定回数(例えば、100以上、300以上など)に達した画素やその範囲に領域レベル1や2を付与し、強調カラーE1やE2で表示するなどが考えられる。
【0086】
そして、データ送信手段41は、このように集計結果記憶手段40に記憶されているフレームに係る評価の集計結果及び指定された領域の集計結果の少なくとも一方を該当するページに表示させるための表示データを、コンテンツ配信などに際して通信ネットワークN経由で端末1へ送信する(ステップS21)。端末1では強調表示手段42が、コンテンツのページのうち、評価データに基づく集計結果に基づいてサーバ2から受信した上記のような表示データに対応したフレーム及び領域の少なくとも一方を、図10に例示するように、強調カラーE11やE22で強調表示する(ステップS1〜S3)。
【0087】
このように、フレームに分割されているコンテンツに対して、情報表示装置などのクライアント装置において評価の入力として任意の領域の指定を受け付け(例えば図8)、サーバ側では、指定された領域の重複などの集計に加え、各領域に対応するフレーム単位でも評価を集計し、クライアント装置のコンテンツ表示画面に、集計結果を基に人気度の高いフレームや領域を所定の色や表示パターンなどで強調表示する(例えば図10)。これにより、コンテンツに対するユーザの評価を、優れた使い勝手で、フレーム単位と共に、任意の対象範囲で受け付けて、集計し表示画面に反映することが可能となる。
【0088】
〔4−3.強調表示の態様〕
集計結果に係る強調表示の態様は任意であるが、強調表示手段42は、所定以上の集計結果に係るフレーム及び領域の少なくとも一方を、所定の形状、模様、色彩、視覚的動き又はこれらの結合によって、強調表示することが望ましい。特に、強調表示手段42は、集計結果における所定のランク(例えば図2(3)の領域レベル)に応じた色彩の階調で強調表示を行うことが特に望ましい。
【0089】
例えば、図8の例でフレームF1における吹き出し内の台詞付近を指定領域(R1など)として複数の読者が指定し、その集計結果に基づく強調表示が図10のようになることが考えられる。この例では、フレームF1における吹き出し付近に強調カラーE11の領域があり、そのさらに中心部の文字付近は、より濃い階調の強調カラーE22が表示されている。
【0090】
このように、集計結果を基に人気度の高いフレームや領域について、情報表示装置などのクライアント装置において、該当ページの画面表示でいわゆるヒートマップのように所定の色やパターンなどで強調表示することにより(例えば図10)、多くのユーザが評価する部分に読者の注意を惹き、ユーザ間における感動の共有を促進することにより、読者の満足やコンテンツの販売促進効果を充実させることが容易になる。なお、コメント入力のための領域指定(例えば図8)によって、評価の入力も同時に受け付けることとしてもよい。
【0091】
また、上記のように、段階分けした人気度など、集計結果における所定のランクに応じた濃淡や色味など色彩の階調で強調表示を行うことにより(例えば図10)、ユーザはコンテンツを一目見て部分ごとの人気度を直感的に把握可能となり、閲覧時の評価をユーザ間で共有するユーザインタフェースの使い勝手が改善できる。
【0092】
〔5.他の実施形態〕
なお、上記各実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、サーバ2がコンテンツの配信その他の情報送受信の相手方とする情報機器は、端末1に限らず、任意のタイプのクライアント装置でよい。また、本発明の適用対象とするコンテンツは、コミックス(漫画)に限らず、段落分けされたり挿絵や図表などが挿入された小説、絵本、教科書、各種の専門文献など任意に選択できる。なお、コンテンツがページ内でフレームに分割されている分割数は、複数には限定されず、一分割(単一のフレーム)でもよい。
【0093】
また、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず、ワイヤードロジック等に基づく電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。また、各構成図、データの図、フローチャートの図などは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置順序や各処理の実行順序、具体的内容などは適宜変更可能である。例えば、本発明のサーバ装置は、構成要素となるサーバなどの装置を複数用いて実現してもよく、個々の記憶手段を別個独立のサーバ装置やシステムで実現する構成も一般的である。また、機能によっては、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【符号の説明】
【0094】
1 情報表示装置(端末)
2 サーバ装置(サーバ)
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
10 コンテンツ等受信手段
11,21 コンテンツ記憶手段
12 コメント記憶手段
13 コンテンツ表示手段
14 コメント表示手段
15 課金表示手段
16 同意受付手段
17 課金処理手段
23 指定受付手段
24 コメント挿入手段
25 コメント送信手段
26 コメント受信手段
27 コメント記憶手段
28 文字認識手段
33 評価領域受付手段
34 フレーム特定手段
35 評価領域送信手段
36 評価領域受信手段
37 領域集計手段
38 フレーム特定手段
39 フレーム評価集計手段
40 集計結果記憶手段
41 データ送信手段
42 強調表示手段
C3,C4 下地面
D 表示装置
E(E1,E2,E11,E12) 強調カラー
F1〜F4 フレーム
H3,H4 表示
M 入力装置
M1,M2 コメントマーク
N 通信ネットワーク
R1 指定領域
W1 ウィンドウ
W2 コメント入力欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを表示する情報表示装置であって、
前記電子書籍コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示手段と、
画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付ける指定受付手段と、
指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得し、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入するコメント挿入手段と、
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記コメント挿入手段は、
前記指定された領域を表す領域データを所定のサーバに送信したうえ、その領域データに基づく文字認識による文字列を前記サーバから受信し、受信した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記コメント入力欄に入力されたコメントと、前記画面表示されている電子書籍コンテンツとを対応付けて所定のサーバに送信するコメント送信手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
情報表示装置において入力されたコメントと、そのコメントに係る電子書籍コンテンツと、を対応付けたデータをその情報表示装置から受信して所定の記憶手段に記憶させる手段を有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
コンピュータを用いた情報表示装置が、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを画面表示する情報表示方法であって、
コンピュータが、前記電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させる処理と、
コンピュータが、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示するコンテンツ表示処理と、
コンピュータが、画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付ける指定受付処理と、
コンピュータが、指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得し、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入するコメント挿入処理と、
を含むことを特徴とする情報表示方法。
【請求項6】
コンピュータを用いた情報表示装置に、文字画像を含む画像を用いる電子書籍コンテンツを画面表示させる情報表示プログラムであって、
コンピュータに、前記電子書籍コンテンツを所定のコンテンツ記憶手段に記憶させ、
コンピュータに、前記コンテンツ記憶手段に記憶されている前記電子書籍コンテンツを画面表示させ、
コンピュータに、画面表示されている前記電子書籍コンテンツのうち、任意の領域の指定を受け付けさせ、
コンピュータに、指定された前記領域について文字認識を行うことで文字列を取得させ、取得した文字列を前記電子書籍コンテンツに対するコメント入力欄に挿入させる
ことを特徴とする情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−43079(P2012−43079A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182107(P2010−182107)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】