説明

情報表示装置

【課題】表示電極に電圧を印加することによって情報を表示する情報表示装置において、情報を表示する表示領域の面積を狭くしたり、情報表示装置全体の大きさを大きくしたりすることなく非接触通信を可能とする。
【解決手段】表示領域2にて情報表示層30を用いて情報を表示するための表示電極21a〜21nを、表示領域2の一部に対向するように設けるとともに、透明導電膜基板40上において表示領域2のうち表示電極21a〜21nに対向しない領域にマスク層60を形成し、表示電極21a〜21nによる情報表示層30における情報表示部2aにおける表示と、マスク層60による背景部2bとによって情報が表示される構成とし、表示領域2において背景部2bに対向する領域に非接触通信用アンテナ70を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信が可能な情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の情報表示装置が普及しはじめている。このような薄型の情報表示装置は、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広く、さらには、電極に印加する電圧によって表示される情報を書き換えることができるとともに、電源を切断した場合でも表示内容を保持できることから、今後のさらなる普及が予想される。
【0004】
図4は、薄型の情報表示装置の一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材110上の構成を示す図である。
【0005】
本例は図4に示すように、一方の面の全面に表示電極121a〜121n,123が形成されたベース基材110と、ベース基材110の表示電極121a〜121n,123が形成された面に積層された情報表示層130と、情報表示層130のベース基材110とは反対側の面のうち表示電極121a〜121nに対向する領域を含む一部の領域に積層された透明導電膜基板140と、情報表示層130のベース基材110とは反対側の面のうち透明導電膜基板140が積層されていない領域に積層された印刷層150とから構成されている。透明導電膜基板140は、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板142の一方の面に透明電極(例えば、ITO)141が形成されて構成されている。なお、表示電極121a〜121n,123は、ベース基材110に設けられたスルーホール(不図示)を介してベース基材110の裏面に形成された配線(不図示)と接続されており、この配線を介して電圧が印加されることになる。
【0006】
そして、透明導電膜基板140が設けられた領域が表示領域102となり、印刷層150が積層された領域が枠部103となっている。なお、表示領域102は、表示電極121a〜121nに対向する領域が情報表示部102aとなり、表示電極123に対向する領域が背景部102bとなっている。
【0007】
上記のように構成された情報表示装置101においては、透明電極141に所定の電圧を印加した状態で、表示電極123にこれとは異なる電圧を印加するとともに、表示領域102にて表示する情報に応じて表示電極121a〜121nに表示電極123と同一または異なる電圧を選択的に印加することにより、透明電極141と表示電極121a〜121n,123との間の電位差によって情報表示層130の状態が変化し、この状態の変化によって、情報表示部102aの色が表示電極121a〜121nに対向する領域毎に背景部102bと同一または異なるものとなり、この色の違いが透明導電膜基板140側から視認されて表示領域102にて情報が表示されることになる。
【0008】
近年、このような情報表示装置に非接触通信機能を付加したものが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されたICカード情報表示器は、リーダライタに近接すると、リーダライタからの磁界による電磁誘導によって生じた電力によって表示素子を駆動させ、リーダライタから送信されてきた情報やメモリに書き込まれた情報を表示することができるように構成されている。
【0009】
ところが、上述したような情報表示装置には、ベース基材の一方の面の全面に表示電極が形成されているため、リーダライタに近接すると、リーダライタからの磁界によって表示電極の表面に渦電流が生じ、それにより、リーダライタからの磁界による電磁誘導が生じにくくなり、通信特性が劣化してしまう。
【0010】
そこで、情報を表示する表示領域の面積をカード全体の50%以下とした非接触ICカードが特許文献2に開示されている。このように、情報表示部の面積をカード全体の50%以下とすることにより、上記のような渦電流による通信特性の劣化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−21288号公報
【特許文献2】特開2002−230496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述したように渦電流による通信特性の劣化を抑制するために情報を表示する表示領域の面積をカード全体の50%以下としたものにおいては、カードの大きさが決められている場合は、情報を表示する表示領域の面積が狭くなり、それに伴って、表示可能な情報の量が減少してしまい、また、情報を表示する表示領域の面積が決められている場合は、カード全体の大きさが大きくなってしまうという問題点がある。
【0013】
また、表示電極を薄くすることによりその抵抗値を大きくし、それにより、渦電流の発生を抑制することも考えられるが、表示電極を薄くした場合、断線等の弊害が生じてしまう。
【0014】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、表示電極に電圧を印加することによって情報を表示する情報表示装置において、情報を表示する表示領域の面積を狭くしたり、情報表示装置全体の大きさを大きくしたりすることなく非接触通信を可能とする情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材の一方の面側に配置された表示電極と、前記表示電極の前記ベース基材とは反対面側に配置された情報表示層と、前記情報表示層の前記ベース基材とは反対面側に配置された透明電極層とを有し、前記表示電極と前記透明電極層との間の電位差によって前記表示電極に対向する領域を含む表示領域にて前記情報表示層を用いて情報を表示する情報表示装置であって、
前記表示電極は、前記表示領域の一部に対向するように設けられ、
前記表示領域のうち前記表示電極に対向しない領域に設けられた情報表示補助部と、
前記表示電極に対向する領域と前記情報表示補助部に対向する領域とのそれぞれ少なくとも一部を取り囲むように配置された非接触通信用アンテナとを有する。
【0016】
上記のように構成された本発明においては、表示領域にて情報表示層を用いて情報を表示するための表示電極が、表示領域の一部に対向するように設けられるとともに、表示領域のうち表示電極に対向しない領域に情報表示補助部が設けられ、表示電極による情報表示層における表示と情報表示補助部とによって情報が表示されることになる。ここで、非接触通信を行うための非接触通信用アンテナが、表示領域において表示電極に対向する領域と情報表示補助部に対向する領域とのそれぞれ少なくとも一部を取り囲むように配置されていることにより、非接触通信用アンテナによって取り囲まれる領域には、その領域を広範囲に覆うように表示電極が面状に設けられているのではなく、表示電極が設けられていない情報表示補助部の少なくとも一部が存在することになるため、リーダライタに近接した場合に渦電流が生じることがなく、非接触通信が可能となる。
【0017】
このように、情報が表示される表示領域にて渦電流を生じさせることなく非接触通信用アンテナが配置されているため、情報を表示する表示領域の面積を狭くしたり、情報表示装置全体の大きさを大きくしたりすることなく非接触通信が可能となる。
【0018】
また、ベース基材の一方の面側に表示電極に接続されて配置された配線を有し、情報表示補助部が、透明電極層側から配線を視認不可能とするために透明電極層上に形成されたマスク層によって構成されているものにおいては、配線に対向する領域に非接触通信用アンテナが配置されているものの、配線はその線幅が狭い導電領域であるため、リーダライタに近接した場合に渦電流が生じることがなく、非接触通信が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明においては、表示領域にて情報表示層を用いて情報を表示するための表示電極が、表示領域の一部に対向するように設けられるとともに、表示領域のうち表示電極に対向しない領域に情報表示補助部が設けられ、表示電極による情報表示層における表示と情報表示補助部とによって情報が表示される構成とし、表示領域において表示電極に対向する領域と情報表示補助部に対向する領域とのそれぞれ少なくとも一部を取り囲むように非接触通信用アンテナを配置したため、情報を表示する表示領域の面積を狭くしたり、情報表示装置全体の大きさを大きくしたりすることなく非接触通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材の表面の構成を示す図、(d)は(b)に示したベース基材の裏面の構成を示す図である。
【図2】図1に示した情報表示装置の表示領域に情報が表示された状態を示す図である。
【図3】本発明の情報表示装置の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材の表面の構成を示す図、(d)は(b)に示したベース基材の裏面の構成を示す図である。
【図4】薄型の情報表示装置の一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材上の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材10の表面の構成を示す図、(d)は(b)に示したベース基材10の裏面の構成を示す図である。
【0023】
本形態は図1に示すように、一方の面に表示電極21a〜21n及びこれらにそれぞれ接続された配線22a〜22nが形成されるとともに、他方の面にコイル状の非接触通信用アンテナ70が形成されたベース基材10と、ベース基材10の表示電極21a〜21n及び配線22a〜22nが形成された面に積層された情報表示層30と、情報表示層30のベース基材10とは反対側の面のうち表示電極21a〜21nに対向する領域を含む一部の領域に積層された透明電極層である透明導電膜基板40と、透明導電膜基板40の情報表示層30とは反対側の面のうち表示電極21a〜21nに対向しない領域の全面に積層されたマスク層60と、情報表示層30のベース基材10とは反対側の面のうち透明導電膜基板40が積層されていない領域に積層された印刷層50とから構成されている。
【0024】
そして、透明導電膜基板40が設けられた領域が表示領域2となり、印刷層50が積層された領域が枠部3となっている。なお、表示領域2は、表示電極21a〜21nに対向する領域が情報表示部2aとなり、表示電極21a〜21nに対向せずにマスク層60に対向する領域が情報表示補助部となる背景部2bとなっている。
【0025】
ベース基材10は、PET等の材料からなり、情報表示層30と対向する面に、例えば、銀ペーストやカーボンペースト等の導電ペーストや導電インキを用いたスクリーン印刷によって表示電極21a〜21n及びこれに接続された配線22a〜22nが形成されている。表示電極21a〜21nは、ベース基材10上に、表示される情報に応じたパターンでセグメント形状に形成されている。本形態は、この表示電極21a〜21nを用いて2桁の数字を表示するものであって、表示電極21a〜21nに対して選択的に電圧が印加され、“00”〜“99”の数字が表示されることになる。配線22a〜22nは、ベース基材10の表示電極21a〜21nが形成された面において、その一端がそれぞれ表示電極21a〜21nに接続され、そこから表示領域2の外部に引き出され、他端が、表示電極21a〜21nに選択的に電圧を印加するためのドライバ(不図示)に接続されて形成されている。そして、表示電極21a〜21nには、これら配線22a〜22nを介して選択的に電圧が印加されることになる。また、ベース基材10の裏面に形成されたアンテナ70は、表示領域2のうち背景部2bとなる領域にてコイル状に形成されている。そのため、アンテナ70は、配線22a〜22nの一部に対向している。これにより、アンテナ70は、表示電極21a〜21nの全てを取り囲み、かつ、背景部2bの一部を取り囲むように設けられている。
【0026】
透明導電膜基板40は、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板42の一方の面に透明電極(例えば、ITO)41が形成されて構成されており、透明電極41に外部から所定の電圧が印加される。
【0027】
情報表示層30は、表示電極21a〜21nと透明電極41との間の電位差に応じて情報を表示するものであって、透明電極41に所定の電圧を印加した状態で、表示領域2にて表示する情報に応じて表示電極21a〜21nに2種類の電圧を選択的に印加することにより、透明電極41と表示電極21a〜21nとの間の電位差によって情報表示層30の状態が変化し、この状態の変化によって、情報表示部2aの色が表示電極21a〜21nに対向する領域毎に2色のうちいずれかの色となり、この色の違いが透明導電膜基板40側から視認されて情報表示部2aにて“00”〜“99”の数字が表示されることになる。この情報表示層30としては、例えば、電気泳動タイプや電子粉粒タイプ、エレクトロクロミック等が挙げられるが、マイクロカプセル方式の電気泳動タイプが最も好ましい。
【0028】
マスク層60は、透明導電膜基板40の情報表示層30とは反対側の面のうち表示電極21a〜21nに対向しない領域の全面に、情報表示層30を透明導電膜基板40側から視認した場合に、上述した2色のうちいずれかの色と同一の色のインキを用いて印刷が施されることによって積層されている。
【0029】
以下に、上記のように構成された情報表示装置1の動作について説明する。
【0030】
まず、アンテナ70を介しての非接触通信動作について説明する。
【0031】
図1に示した情報表示装置1をリーダライタに近接させると、リーダライタからの磁束がコイル状のアンテナ70の内部を貫通し、電磁誘導によってアンテナ70に電流が流れる。この際、磁束が貫通するアンテナ70の内部に対向する領域においては、表示領域2aを広範囲に覆うように表示電極が面状に設けられているのではなく、セグメント形状にて島状に表示電極21a〜21nが設けられているため、リーダライタからの磁界によって渦電流が生じることがない。また、アンテナ70は、配線22a〜22nの一部に対向しているが、配線22a〜22nは線幅が狭い導電領域であるため、リーダライタに近接した場合に渦電流が生じることがない。
【0032】
そのため、情報表示装置1をリーダライタに近接させることにより、リーダライタとの間にて非接触通信が行われ、アンテナ70に接続されたICチップ(不図示)に情報が書き込まれたり、ICチップに記憶された情報が読み出されたりする。
【0033】
次に、表示領域2における情報の表示動作について説明する。
【0034】
図1に示した情報表示装置1の表示領域2にて情報を表示する場合、例えば、透明電極41が0Vとされた状態で、表示電極21a〜21nに配線22a〜22nを介してマイナスあるいはプラスの電圧が選択的に印加されると、マイナスの電圧が印加された表示電極に対向する領域においては、表示電極に対して透明電極41側がプラスとなる電位差が生じ、また、プラスの電圧が印加された表示電極に対向する領域においては、表示電極に対して透明電極41側がマイナスとなる電位差が生じる。すると、情報表示層30の状態がこの表示電極21a〜21nと透明電極41との間の電位差によって変化し、この状態の変化によって、情報表示部2aの色が表示電極21a〜21nに対向する領域毎に2色のうちいずれかの色となる。
【0035】
図2は、図1に示した情報表示装置1の表示領域2に情報が表示された状態を示す図である。
【0036】
例えば、図1に示した情報表示装置1において、透明電極41が0Vとされた状態で、表示電極21a,21g,21lに配線22a,22g,22lを介してプラスの電圧が印加されるとともに、表示電極21b〜21f,21h〜21k,21m,21nに配線22b〜22f,22h〜22k,22m,22nを介してマイナスの電圧が印加されると、図2に示すように、透明導電膜基板40側から視認した場合、表示領域2の情報表示部2aのうち表示電極21a,21g,21lに対向する領域が背景部2bと同一の色となって非表示部4bとなり、表示電極21b〜21f,21h〜21k,21m,21nに対向する領域が背景部2bとは異なる色となって表示部4aとなり、それにより、表示領域2に“29”の数字が視認されることになる。
【0037】
このように、表示領域2においては、表示電極21a〜21nに対向する情報表示部2aと、表示電極21a〜21nに対向せず、情報表示層30を透明導電膜基板40側から視認される2色のうちいずれかの色と同一の色のインキを用いて印刷が施されることによって積層されたマスク層60による背景部2bとによって情報が表示されることになる。なお、このように表示される情報は、配線22a〜22nを介して外部から与えられるものや、アンテナ70を介した非接触通信にて受信したものが考えられる。アンテナ70を介した非接触通信にて受信したものを表示する場合は、アンテナ70に接続されたICチップから、表示電極21a〜21nに電圧を印加するためのドライバに表示すべき情報が送られることになる。
【0038】
ここで、情報表示層30においては、表示電極21a〜21nに電圧を印加するための配線22a〜22nに対向する領域においても、表示電極21a〜21nに電圧を印加した場合、その電圧に応じて状態が変化することになるが、透明導電膜基板40の配線22a〜22nに対向する領域にはマスク層60が形成されており、このマスク層60によって透明導電膜基板40側から配線22a〜22nが視認不可能となっているとともに、情報表示層30の配線22a〜22nに対向する領域における状態の変化に応じた色が視認不可能となっているため、表示する情報の中に、情報表示層30の配線22a〜22nに対向する領域における状態の変化に応じた色が視認されてしまうことがない。
【0039】
上述したように本形態においては、表示領域2にて情報表示層30を用いて情報を表示するための表示電極21a〜21nが、表示領域2の一部に対向するように設けられるとともに、透明導電膜基板40上において表示領域2のうち表示電極21a〜21nに対向しない領域の全体にマスク層60が形成され、表示電極21a〜21nによる情報表示層30における情報表示部2aにおける表示と、マスク層60による背景部2bとによって情報が表示される構成とし、表示領域2において背景部2bに対向する領域に非接触通信用アンテナ70を配置したため、情報を表示する表示領域2の面積を狭くしたり、情報表示装置1全体の大きさを大きくしたりすることなく非接触通信が可能となる。
【0040】
(他の実施の形態)
図3は、本発明の情報表示装置の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したベース基材10の表面の構成を示す図、(d)は(b)に示したベース基材10の裏面の構成を示す図である。
【0041】
本形態は図3に示すように、図1に示したものに対してアンテナ270が形成された領域が異なるものである。本形態においては、アンテナ270の一部が、表示電極21a,21c,21h,21j及び枠部3に対向している。そのため、本形態におけるアンテナ270は、表示電極21a〜21nの一部と背景部2bの一部とを取り囲むように設けられている。
【0042】
上記のように構成された情報表示装置201においても図1に示したものと同様に、リーダライタに近接させると、リーダライタからの磁束がコイル状のアンテナ270の内部を貫通し、電磁誘導によってアンテナ270に電流が流れるが、磁束が貫通するアンテナ270の内部に対向する領域においては、表示領域2aを広範囲に覆うように表示電極が面状に設けられているのではなく、表示電極が設けられていない背景部2bが存在することになるため、リーダライタからの磁界によって渦電流が生じることがなく、非接触通信が可能となる。
【0043】
また、表示領域2における情報の表示動作については、図1に示したものと同様に、例えば、透明電極41が0Vとされた状態で、表示電極21a〜21nに配線22a〜22nを介してマイナスあるいはプラスの電圧が選択的に印加されることにより、情報表示部2aの色が表示電極21a〜21nに対向する領域毎に2色のうちいずれかの色となり、それにより、表示領域2に情報が表示されることになる。
【0044】
なお、上述した実施の形態においては、ベース基材10の一方の面に表示電極21a〜21n及びこれに接続された配線22a〜22nが形成されたものを例に挙げて説明したが、配線22a〜22nをベース基材10の裏面に形成し、表示電極21a〜21n毎にベース基材10にスルーホールを設けて表示電極21a〜21nと配線22a〜22nとを接続する構成としてもよい。
【0045】
また、“00”〜“99”の数字を表示するための表示電極21a〜21nがセグメント形状に配置されることにより、表示領域2において表示電極が島状となった構成を例に挙げて説明したが、表示電極を島状に配置する構成としてはこれに限らず、バーコードを表示するためにバー状の表示電極がその幅方向に複数本並んだものや、二次元コードや画像等を表示するためにドット状の表示電極がマトリックス状に配置されたものであってもよい。
【0046】
また、ベース基材10の一方の面に表示電極21a〜21n及びこれに接続された配線22a〜22nが形成され、ベース基材10の表示電極21a〜21n及び配線22a〜22nが形成された面に情報表示層30が積層され、情報表示層30のベース基材10とは反対側の面に透明導電膜基板40が積層されてなるものを例に挙げ説明したが、これらベース基材10、表示電極21a〜21n及び配線22a〜22n、情報表示層30、並びに透明導電膜基板40は、ベース基材10の一方の面側に表示電極21a〜21n及びこれに接続された配線22a〜22nが配置され、表示電極21a〜21n及び配線22a〜22nのベース基材10とは反対面側に情報表示層30が配置され、情報表示層30のベース基材10とは反対面側に透明導電膜基板40が配置されていれば、これらの間に、それぞれの機能に悪影響を及ぼさない層が積層されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,201 情報表示装置
2 表示領域
2a 情報表示部
2b 背景部
3 枠部
4a 表示部
4b 非表示部
10 ベース基材
21a〜21n 表示電極
22a〜22n 配線
30 情報表示層
40 透明導電膜基板
41 透明電極
42 透明基板
50 印刷層
60 マスク層
70,270 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材の一方の面側に配置された表示電極と、前記表示電極の前記ベース基材とは反対面側に配置された情報表示層と、前記情報表示層の前記ベース基材とは反対面側に配置された透明電極層とを有し、前記表示電極と前記透明電極層との間の電位差によって前記表示電極に対向する領域を含む表示領域にて前記情報表示層を用いて情報を表示する情報表示装置であって、
前記表示電極は、前記表示領域の一部に対向するように設けられ、
前記表示領域のうち前記表示電極に対向しない領域に設けられた情報表示補助部と、
前記表示電極に対向する領域と前記情報表示補助部に対向する領域とのそれぞれ少なくとも一部を取り囲むように配置された非接触通信用アンテナとを有する情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示装置において、
前記ベース基材の一方の面側に前記表示電極に接続されて配置された配線を有し、
前記情報表示補助部は、前記透明電極層側から前記配線を視認不可能とするために前記透明電極層上に形成されたマスク層によって構成されている情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−138056(P2012−138056A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23737(P2011−23737)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】