情報表示装置
【課題】画像を表示することと、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する場合でも、画像表示面の外枠部分の小型化を図り得る情報表示装置を提供する。
【解決手段】情報表示装置10は、コントローラ230により表示パネル駆動電源240が電極部に接続された状態と、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が電極部に接続された状態とを、所定の周期で切り替える切替部200を備える。検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、ロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出するとともに、カラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出することによって、タッチペンや指などの物体が画像表示面に接触または接近している位置を検出する。
【解決手段】情報表示装置10は、コントローラ230により表示パネル駆動電源240が電極部に接続された状態と、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が電極部に接続された状態とを、所定の周期で切り替える切替部200を備える。検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、ロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出するとともに、カラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出することによって、タッチペンや指などの物体が画像表示面に接触または接近している位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示することと、人の指やペンなどの物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的に駆動可能な粒子などの表示媒体(例えば、電子粉流体(登録商標))を用いた表示媒体移動型の情報表示装置が知られている。このような情報表示装置は、基本的に表示される画像の書き換え時のみに電力を必要とするため、電子ペーパーなどに好適に用いることができる。このような情報表示装置では、複数のロウ電極と、ロウ電極と交差するように配置される複数のカラム電極との間に、正または負に帯電した二種類の表示媒体が配置されている。
【0003】
また、このような情報表示装置において、画像が表示される画像表示面側に配置されている電極(例えばロウ電極)を用いて、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触したことを検出する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、奇数番の電極に接続されるドライバICと、偶数番の電極に接続されるドライバICとから印加される電圧によって生じた電極毎の電流値の差異に基づいて指示器が接触した画像表示面上の位置が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−134354号公報(第6頁、第6,9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の情報表示装置には、次のような問題があった。すなわち、ドライバICと各電極との配線の関係から、電極群の両側にそれぞれドライバICを配置しなければならず、情報表示装置の小型化、特に、画像表示面の外枠部分の小型化を阻害する。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像を表示することと、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する場合でも、画像表示面の外枠部分の小型化を図り得る情報表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報表示装置は、第1方向に沿って配置される複数の第1電極(ロウ側電極150)、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置される複数の第2電極(カラム側電極170)によって格子状を形成する電極部と、前記電極部と対応して設けられ、透明な画像表示面(画像表示面110s)を有する一対の基板(上側基板110,下側基板120)と、前記複数の第1電極と、前記複数の第2電極との間に配置され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体(表示媒体190)と、前記電極部に印加される電圧を制御することによって、前記画像表示面に所定の画像を表示させる表示制御部(コントローラ230及び表示パネル駆動電源240)と、前記電極部を用いて、前記画像表示面に物体(タッチペン40または指50)が接触または接近したことを検出する接触検出部(検出電圧/電流発生器210及び検出器220)とを備える情報表示装置(情報表示装置10)であって、前記表示制御部が前記電極部に接続された状態と、前記接触検出部が前記電極部に接続された状態とを切り替える切替部(切替部200)を備え、前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出するとともに、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出することによって、前記画像表示面に前記物体が接触または接近している位置を検出することを要旨とする。
【0008】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に掛ける検出電圧、または前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に流す検出電流を発生する発生器と、前記検出電圧または前記検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合している第1電極及び第2電極を検出する検出器とを有していてもよい。
【0009】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出し、静電的に結合している前記第1電極を検出した後、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出してもよい。
【0010】
本発明の特徴において、前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極よりも前記画像表示面から離れた位置に配置されており、前記発生器は、検出対象である第2電極以外の複数の第2電極に直流電圧を掛ける、または検出対象である第2電極以外の前記複数の第2電極をグランド電位にしてもよい。
【0011】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、2以上の第1電極または2以上の第2電極によって構成された電極グループを単位としてスキャンしていてもよい。
【0012】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記電極グループに含まれる第1電極または第2電極を非連続にスキャンしていてもよい。
【0013】
本発明の特徴において、前記表示媒体は、前記電極部への電圧の印加を停止しても、前記電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特徴によれば、画像を表示することと、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する場合でも、画像表示面の外枠部分の小型化を図り得る情報表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電極部の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報表示パネル20の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報表示装置10による画像表示動作フローを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る情報表示装置10による接触位置検出動作フローを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の接触位置検出(ロウ側電極150)の具体的動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るロウ側電極150における接触位置の検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の接触位置検出(カラム側電極170)の具体的動作を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るカラム側電極170における接触位置の検出原理の説明図である。
【図10】本発明の変更例に係る複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す図である。
【図11】本発明の変更例に係る複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る情報表示装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0018】
(1)情報表示装置の全体概略構成
図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の外観図である。図1に示すように、情報表示装置10は、情報表示パネル20と外枠部30とによって構成される。情報表示装置10は、情報表示パネル20を用いて画像を表示する。また、情報表示装置10は、タッチペン40または人の指50が接触または接近した画像表示面110sの位置を検出することによって、情報の入力や選択を実現するタッチパネル機能を備える。
【0019】
情報表示装置10は、画像表示機能とタッチパネル機能とに同一の電極部を共用している。また、情報表示装置10は、電気的に駆動可能な粒子状の表示媒体(本実施形態では電子粉流体(登録商標))を用いて画像を表示する。
【0020】
(2)情報表示パネルの構造
次に情報表示パネル20の構造について説明する。具体的には、電極部の構造及び情報表示パネル20の機能ブロック構成について説明する。
【0021】
(2.1)電極部の構造
図2(a)及び(b)は、電極部の平面図及び断面図をそれぞれ示す。図2(a)及び(b)に示すように、情報表示パネル20は、複数のロウ側電極150と、複数のカラム側電極170とによって構成される電極部を備える。
【0022】
また、情報表示パネル20は、電極部と対応して設けられる一対の基板(上側基板110,下側基板120)を備える。上側基板110は、透明な部材で形成され、透明な画像表示面110sを備える。上側基板110は、ロウ側電極150と接するように設けられる。下側基板120は、カラム側電極170と接するように設けられる。
【0023】
ロウ側電極150(第1電極)は、ロウ方向(第1方向)に沿って配置される。ロウ側電極150は、ロウ方向に交差するカラム方向(第2方向)において所定の間隔毎に複数配置される。それぞれのロウ側電極150には、ロウ側電極150に電圧を供給するロウ側ドライバIC160が接続される。
【0024】
カラム側電極170は、カラム方向に沿って配置される。カラム側電極170は、ロウ方向において所定の間隔毎に複数配置される。それぞれのカラム側電極170には、カラム側電極170に電圧を供給するカラム側ドライバIC180が接続される。
【0025】
複数のロウ側電極150と、複数のカラム側電極170とが交差することによって、格子状(マトリックス状)の電極部が形成される。ロウ側電極150とカラム側電極170との間には、表示媒体190が配置される。本実施形態では、情報表示パネル20の周囲を水分バリア性の高いシール材で囲んだ密閉構造が採用されている。また、本実施形態では、ロウ側電極150及びカラム側電極170は、透明(ITO)電極である。
【0026】
表示媒体190は、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。上述したように、本実施形態では、電子粉流体(登録商標)が用いられる。表示媒体190は、電極部への電圧の印加を停止しても、電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有している。表示媒体190としては、例えば、上述した特開2009−134354号公報に記載されている電子粉流体を用いることができる。
【0027】
(2.2)機能ブロック構成
図3は、情報表示パネル20の機能ブロック構成図である。図3に示すように、情報表示パネル20は、ロウ側ドライバIC160に接続された複数のロウ側電極150と、カラム側ドライバIC180に接続された複数のカラム側電極170とを備える。
【0028】
ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、切替部200を介してコントローラ230及び表示パネル駆動電源240に接続できるように構成される。本実施形態では、表示パネル駆動電源240は、二種類の電圧(HV/MV)またはグランド電位に各電極を設定できる。なお、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、同一のドライバICを用いることができる。
【0029】
また、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、切替部200を介して検出電圧/電流発生器210及び検出器220に接続できるように構成される。検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、タッチペン40や指50が画像表示面110s(図1参照)に接触したことを検出する接触検出部として機能する。なお、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、タッチペン40や指50が画像表示面110sに接触したことに限らず、タッチペン40や指50が画像表示面110sに接近(例えば、1mm以内)したことを検出してもよい。
【0030】
切替部200は、コントローラ230により表示パネル駆動電源240が電極部に接続された状態と、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が電極部に接続された状態とを、随時切り替える。例えば、切替部200は、後述する動作フロー(図4参照)に示すように、画像書き換えが終了した後に、検出電圧/電流発生器210及び検出器220に切り替える。
【0031】
画像を表示する場合、スイッチSW-1とSW-2とは、コントローラ230の制御に基づいて、ともに「1」側に設定される。コントローラ230は、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180を制御し、画像表示面110sに画像を表示する。
【0032】
一方、タッチペン40や指50(指示器)が画像表示面110sに接触した位置を検出する場合、コントローラ230の制御に基づいて、SW-1もしくはSW-2が順次「2」側に切り替えられる。コントローラ230は、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180を制御し、スキャン及び接触位置の検出を実行する。
【0033】
このように切替部200によって交互に切り替えることによって画像表示と接触位置の検出とを実現するため、画像を表示することと、指示器が接触した位置を検出することとは、厳密には同時に実行することはできない。勿論、画像書き換えの途中に一定間隔毎に切替部200の切替を高速にすることによって、擬似的には、画像を表示することと、指示器が画像表示面110sに接触した位置を検出することとを同時に実現することが可能である。本実施形態では、表示メモリ性を有する表示媒体190が用いられるため、画像表示と接触位置の検出とを良好に実行することができる。
【0034】
検出電圧/電流発生器210は、複数のロウ側電極150及び複数のカラム側電極170に掛ける検出電圧を発生する。また、検出電圧/電流発生器210は、複数のロウ側電極150及び複数のカラム側電極170に流す検出電流を発生することもできる。
【0035】
検出器220は、検出電圧/電流発生器210が発生した検出電圧または検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合しているロウ側電極150及びカラム側電極170を検出する。
【0036】
検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって、電極部を用いて画像表示面110sに物体(タッチペン40や指50)が接触したことを検出する。
【0037】
具体的には、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出する。また、検出器220は、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出することによって、物体が接触している位置を検出する。
【0038】
本実施形態では、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出し、静電的に結合しているロウ側電極150を検出した後、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出する。コントローラ230は、検出電圧/電流発生器210及び検出器220により得た情報に基づいて、ロウ側電極150とカラム側電極170とに基づいて、ロウ方向とカラム方向との交差位置を特定し、当該位置を物体が接触している位置として検出する。
【0039】
コントローラ230は、検出電圧/電流発生器210及び検出器220から得た情報に基づいて切替部200への接続と、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180とを制御する。また、コントローラ230は、画像表示面110sに所定の画像を表示させる。本実施形態では、コントローラ230と表示パネル駆動電源240とによって表示制御部が構成される。
【0040】
(3)情報表示装置の動作
次に、情報表示装置10の動作について説明する。具体的には、画像表示動作及び接触位置検出動作について説明する。
【0041】
(3.1)画像表示
図4は、情報表示装置10による画像表示動作フローを示す。具体的には、図4は、画像表示面110sに現在表示されている画像を更新する動作フローを示す。
【0042】
ステップS10において、情報表示装置10は、SW-1及びSW-2(図3参照)を「1」の位置にする。これにより、表示パネル駆動電源240がロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180と接続される。
【0043】
ステップS20において、情報表示装置10は、現在表示されている画像を更新するため、全画面を消去する。具体的には、スキャン側の電極を全てグランド電位(GND)とし、データ側の電極を全てHV(高電位)にする。
【0044】
ステップS30において、情報表示装置10は、順次電極をスキャンして画像を形成する。具体的には、情報表示装置10は、スキャン側の電極を1本ずつHVとするとともに残りの電極をMV(中電位)とする。また、情報表示装置10は、データ側の電極を画像の表示パターンに応じてGNDまたはMVにする。
【0045】
ステップS40において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0046】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS40のYES)、情報表示装置10は、画像表示動作を終了し、接触位置検出動作に移行する。
【0047】
(3.2)接触位置検出
図5は、情報表示装置10による接触位置検出動作フローを示す。図5に示すように、ステップS110において、情報表示装置10は、SW-1(図3参照)を「2」の位置にする。これにより、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が、ロウ側ドライバIC160を介してロウ側電極150に接続される。
【0048】
ステップS120において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をグランド電位(GND)にする。
【0049】
ステップS130において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をハイインピーダンス(HZ)にする。
【0050】
ステップS140において、情報表示装置10は、画像表示面110s側(上側)に位置するロウ側電極150を順次選択し、選択したロウ側電極150の状態を検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出させる。
【0051】
図6(a)〜(d)は、ステップS120〜S140における情報表示装置10の具体的動作を示す。図6(a)〜(d)に示すように、情報表示装置10は、ロウ側電極150の数だけステップS120〜S140の動作を繰り返す。
【0052】
なお、情報表示装置10は、検出感度向上のため、連続する数本の電極をまとめて選択してもよい。また、情報表示装置10は、検出速度向上のため、複数本の電極を飛ばしてスキャン(インタレーススキャン)してもよい。さらに、情報表示装置10は、必ずしも連続(上から下など)して電極を選択しなくても構わない。情報表示装置10は、これらの電極の選択方法を組み合わせてもよいし、部分的な領域での画像表示動作や位置検出動作を交互に実行してもよい。
【0053】
図7(a)〜(c)は、ロウ側電極150における接触位置の検出原理の説明図である。図7(a)及び(b)は、情報表示パネル20の等価回路を示す。ロウ電極抵抗(Rr)及びカラム電極抵抗(Rc)は、透明(ITO)電極の配線抵抗を示す。また、ロウ側電極150とカラム側電極170との各交差点(画素)におけるロウ側電極150とカラム側電極170との間は、各画素の等価静電容量Cpを有する。
【0054】
コンデンサCiは、タッチペン40(または指50)などの物体と検出電極との浮遊静電容量を示す。Ciが接続されている点は、物体が接触している画像表示面110s上の位置を示す。
【0055】
コンデンサCjは、物体とグランド電位(GND)との浮遊静電容量を示す。図7(b)において、Ci及びCjのコンデンサは、情報表示パネル20内の各画素の静電容量(Cp)を示す。なお、実質的にCjが存在せず、物体が直接GNDと接続されていてもよい。また、検出電圧VDが印加される電極は、ドライバICによって順次切り替えられる。一方、検出対象以外の電極は、開放状態などのハイインピーダンス(HZ)状態に設定される。
【0056】
検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出する物理量は、GNDに接続された静電容量の大小を検出できるものであればよい。図7(c)に示すように、例えば、検出電圧/電流発生器210が交流を含む電圧を印加し、検出器220が浮遊静電容量を経由して流れる電流の有無(大小)を検出することができる。物体が画像表示面110sに接触している電極では、物体が画像表示面110sに接触していない電極よりも流れる電流が大きくなる。或いは、検出電圧/電流発生器210がパルス状の電圧を印加し、検出器220が当該電圧の減衰時間などの変化を検出してもよい。
【0057】
次いで、図6に示すように、ステップS150において、情報表示装置10は、検出した電流値(或いは電圧の減衰時間など)を記憶する。
【0058】
ステップS160において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0059】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS160のYES)、ステップS170において、情報表示装置10は、検出した電流値に基づいて、x方向(図1参照)の接触位置を計算する。
【0060】
ステップS180において、情報表示装置10は、SW-2(図3参照)を「2」の位置にする。これにより、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が、カラム側ドライバIC180を介してカラム側電極170に接続される。
【0061】
ステップS190において、情報表示装置10は、全てのカラム側電極170をGNDにする。
【0062】
ステップS200において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をHZにする。
【0063】
ステップS210において、情報表示装置10は、ロウ側電極150よりも画像表示面110sから離れた下側に位置するカラム側電極170を順次選択し、選択したカラム側電極170の状態を検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出させる。
【0064】
図8(a)〜(d)は、ステップS190〜S210における情報表示装置10の具体的動作を示す。図8(a)〜(d)に示すように、情報表示装置10は、カラム側電極170の数だけステップS190〜S210の動作を繰り返す。なお、接触位置の検出方法は、上述したロウ側電極150と同様である。
【0065】
図9(a),(b)は、カラム側電極170における接触位置の検出原理の説明図である。以下、図7(b),(c)と異なる点について主に説明する。図9(b)に示すように、検出電圧/電流発生器210は、検出対象であるカラム側電極170以外の複数のカラム側電極170をGNDにする。なお、検出電圧/電流発生器210は、当該複数のカラム側電極170に直流電圧を掛けてもよい。
【0066】
ここで、タッチペン40や指50などの指示器となる物体と浮遊静電容量で結合するのは、あくまで画像表示面110s側に位置するロウ側電極150と考えられる。従って、カラム側電極170とは、画素容量Cpと電極抵抗Rrを介して結合すると考えられる。つまり、電極抵抗Rrが存在するため、物体の接触位置とカラム側電極170との電気的結合には位置依存性がある。また、物体との電気的結合は、ロウ側電極150よりも極めて小さく、検出値(電流・電圧)は外部からのノイズや物体自体が形成するノイズの影響を受け易い。
【0067】
そこで、本実施形態では、選択されていないカラム側電極170をGNDに固定することによって。これらのノイズの影響を軽減している。
【0068】
次いで、図6に示すように、ステップS220において、情報表示装置10は、検出した電流値を記憶する。
【0069】
ステップS230において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0070】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS230のYES)、ステップS240において情報表示装置10は、検出した電流値に基づいて、y方向(図1参照)の接触位置を計算する。
【0071】
情報表示装置10は、ステップS110〜S240の処理を繰り返すことによって、タッチペン40や指50などの物体の接触位置を検出する。
【0072】
(3.3)電極部のスキャン方法の変更例
図10及び図11は、情報表示装置10による電極部のスキャン方法の変更例を示す。図10及び図11は、複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す。すなわち、情報表示装置10(検出電圧/電流発生器210及び検出器220)は、2以上のロウ側電極150または2以上のカラム側電極170によって構成された電極グループを単位としてスキャンすることができる。
【0073】
一般的な情報表示装置では、画像表示の解像度が接触位置検出の分解能を上回っている。このため、接触位置検出の感度向上を目的として、複数電極をグループとして同時に選択して接触位置検出に使用することが好ましい。但し、画像表示と接触位置検出の解像度との関係は逆であってもよい。
【0074】
図10に示すように、複数の電極をグループ化してスキャンする場合、(1)グループ構成員数、(2)グループ内連続性、(3)選択ステップ、(4)選択順、などについて様々な組み合わせが考えられる。
【0075】
(3.3.1)グループ構成員数
グループ構成員数は、同時に選択される電極の数を示す。電極の数が増えるほど物体との電気的結合が増大するため、検出感度が向上する。
【0076】
また、電極の数が増えるほど、一度に検出可能な面積を増大させることができる。全電極を選択すれば、電極をスキャン(走査)せずに全面をカバーできるので、物体が画像表示面110sに接触(または接近)したかのみを検出するには都合がよい。
【0077】
(3.3.2)グループ内連続性
グループ内において選択される電極を間引く、つまり、電極グループに含まれるロウ側電極150またはカラム側電極170を非連続にスキャンすることによって、大きな面積をカバーしつつ通電すべき電極の数を減らすことできる。このため、情報表示装置10の省電力化を図り得る。
【0078】
(3.3.3)選択ステップ
グループの構成員数とは独立して、電極の選択ステップを設定することができる。選択ステップを細かく(「1」が最小)すれば、接触位置の検出分解能が向上する。一方、選択ステップを粗くすれば、スキャンする電極の数が減少するので検出速度が向上する。
【0079】
(3.3.4)選択順序
接触位置の検出分解能を損なわずに全画面を高速でカバーするため、インタレーススキャン(飛び越し走査)をしてもよい。また、特定周期の外部からのノイズの影響を排除するため、ランダムスキャンとしてもよい。
【0080】
なお、物体が接触する画像表示面110s上の領域が限定される場合には、当該領域だけをスキャンしてもよい。これにより、接触位置の高速な検出が可能となる。また、スキャン速度も一定である必要はなく、画像表示面110sにおけるボタン操作や手書き入力など、必要とされる応答速度に応じてスキャン速度を変化させてもよい。
【0081】
(3.3.5)具体例
図11は、図10に示した4種類のスキャン方法を組み合わせた具体的なスキャン例を示す。図11に示す例では、情報表示装置10は、まず、スタンバイモードを実行する。スタンバイモードでは、例えば、全電極を選択し、0.1秒に1回のように間隔を空けて検出動作を実行する。続いて、指などの指示器となる物体が画像表示面110sに接触したことを検出すると、半数のロウ側電極150を選択し、二分された画像表示面110sの何れの領域に物体が接触したかを検出する。次いで、情報表示装置10は、物体が画像表示面110sに接触したことを検出した側の電極に関して、分割数を増して、順次電極をスキャンする。
【0082】
さらに高い位置検出精度が必要な場合、情報表示装置10は、選択ステップを細かくして接触位置を検出する。
【0083】
なお、図10及び図11では、X方向(ロウ側電極150)のみ取り出しているが、Y方向(カラム側電極170)についても同様の処理が実行される。
【0084】
(4)作用・効果
情報表示装置10によれば、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150が検出されるとともに、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170が検出される。そして、検出したロウ側電極150とカラム側電極170との交差位置に基づいて、タッチペン40や指50が接触している位置が検出される。
【0085】
このため、画像表示用の電極及びドライバICをそのまま利用してタッチペン40や指50の接触位置を検出可能であり、接触位置の検出機能(タッチパネル機能)の実装に伴う大きな追加コストが発生しない。さらに、従来例(特開2009−134354号公報参照)のように、電極群の両側にそれぞれドライバICを配置する必要がなく、情報表示装置の小型化、特に、画像表示面110sの外枠部30の小型化を図り得る。
【0086】
また、接触位置の検出機能(タッチパネル機能)を備えない情報表示パネルと、当該機能を備える情報表示パネル20とは、同様の形状を有するため、当該機能の有無に関わらず、情報表示パネルの共用化を図り得る。
【0087】
本実施形態では、静電的に結合しているロウ側電極150が検出され、静電的に結合しているロウ側電極150が検出された後、カラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170が検出される。タッチペン40や指50などの物体と浮遊静電容量で結合するのは、画像表示面110s側に位置するロウ側電極150と考えられるため、ロウ側電極150を先に検出することによって、接触位置の検出精度を高められるものとして推量している。
【0088】
本実施形態では、検出対象であるカラム側電極170以外の複数のカラム側電極170がグランド電位(または一定の直流電圧)にされる。このため、タッチペン40や指50などの物体とカラム側電極170との電気的結合がロウ側電極150よりも極めて小さい場合でも、外部からのノイズや物体自体が形成するノイズの影響を抑制できる。
【0089】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、表示媒体190として表示メモリ性を有する電子粉流体(登録商標)が用いられていたが、表示媒体190は必ずしも表示メモリ性を有していなくても構わない。
【0091】
また、ロウ側電極150及びカラム側電極170のスキャン方法は、図10及び図11に示したように様々な方法があり、上述した実施形態に限定されない。
【0092】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0093】
10…情報表示装置
20…情報表示パネル
30…外枠部
40…タッチペン
50…指
110…上側基板
110s…画像表示面
120…下側基板
150…ロウ側電極
160,180…ドライバIC
170…カラム側電極
190…表示媒体
200…切替部
210…検出電圧/電流発生器
220…検出器
230…コントローラ
240…表示パネル駆動電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示することと、人の指やペンなどの物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的に駆動可能な粒子などの表示媒体(例えば、電子粉流体(登録商標))を用いた表示媒体移動型の情報表示装置が知られている。このような情報表示装置は、基本的に表示される画像の書き換え時のみに電力を必要とするため、電子ペーパーなどに好適に用いることができる。このような情報表示装置では、複数のロウ電極と、ロウ電極と交差するように配置される複数のカラム電極との間に、正または負に帯電した二種類の表示媒体が配置されている。
【0003】
また、このような情報表示装置において、画像が表示される画像表示面側に配置されている電極(例えばロウ電極)を用いて、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触したことを検出する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、奇数番の電極に接続されるドライバICと、偶数番の電極に接続されるドライバICとから印加される電圧によって生じた電極毎の電流値の差異に基づいて指示器が接触した画像表示面上の位置が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−134354号公報(第6頁、第6,9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の情報表示装置には、次のような問題があった。すなわち、ドライバICと各電極との配線の関係から、電極群の両側にそれぞれドライバICを配置しなければならず、情報表示装置の小型化、特に、画像表示面の外枠部分の小型化を阻害する。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像を表示することと、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する場合でも、画像表示面の外枠部分の小型化を図り得る情報表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報表示装置は、第1方向に沿って配置される複数の第1電極(ロウ側電極150)、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置される複数の第2電極(カラム側電極170)によって格子状を形成する電極部と、前記電極部と対応して設けられ、透明な画像表示面(画像表示面110s)を有する一対の基板(上側基板110,下側基板120)と、前記複数の第1電極と、前記複数の第2電極との間に配置され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体(表示媒体190)と、前記電極部に印加される電圧を制御することによって、前記画像表示面に所定の画像を表示させる表示制御部(コントローラ230及び表示パネル駆動電源240)と、前記電極部を用いて、前記画像表示面に物体(タッチペン40または指50)が接触または接近したことを検出する接触検出部(検出電圧/電流発生器210及び検出器220)とを備える情報表示装置(情報表示装置10)であって、前記表示制御部が前記電極部に接続された状態と、前記接触検出部が前記電極部に接続された状態とを切り替える切替部(切替部200)を備え、前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出するとともに、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出することによって、前記画像表示面に前記物体が接触または接近している位置を検出することを要旨とする。
【0008】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に掛ける検出電圧、または前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に流す検出電流を発生する発生器と、前記検出電圧または前記検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合している第1電極及び第2電極を検出する検出器とを有していてもよい。
【0009】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出し、静電的に結合している前記第1電極を検出した後、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出してもよい。
【0010】
本発明の特徴において、前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極よりも前記画像表示面から離れた位置に配置されており、前記発生器は、検出対象である第2電極以外の複数の第2電極に直流電圧を掛ける、または検出対象である第2電極以外の前記複数の第2電極をグランド電位にしてもよい。
【0011】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、2以上の第1電極または2以上の第2電極によって構成された電極グループを単位としてスキャンしていてもよい。
【0012】
本発明の特徴において、前記接触検出部は、前記電極グループに含まれる第1電極または第2電極を非連続にスキャンしていてもよい。
【0013】
本発明の特徴において、前記表示媒体は、前記電極部への電圧の印加を停止しても、前記電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特徴によれば、画像を表示することと、人の指やペンなどの指示器となる物体が画像表示面に接触または接近した位置を検出することとに同一の電極部を共用する場合でも、画像表示面の外枠部分の小型化を図り得る情報表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電極部の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報表示パネル20の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報表示装置10による画像表示動作フローを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る情報表示装置10による接触位置検出動作フローを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の接触位置検出(ロウ側電極150)の具体的動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るロウ側電極150における接触位置の検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報表示装置10の接触位置検出(カラム側電極170)の具体的動作を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るカラム側電極170における接触位置の検出原理の説明図である。
【図10】本発明の変更例に係る複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す図である。
【図11】本発明の変更例に係る複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る情報表示装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0018】
(1)情報表示装置の全体概略構成
図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の外観図である。図1に示すように、情報表示装置10は、情報表示パネル20と外枠部30とによって構成される。情報表示装置10は、情報表示パネル20を用いて画像を表示する。また、情報表示装置10は、タッチペン40または人の指50が接触または接近した画像表示面110sの位置を検出することによって、情報の入力や選択を実現するタッチパネル機能を備える。
【0019】
情報表示装置10は、画像表示機能とタッチパネル機能とに同一の電極部を共用している。また、情報表示装置10は、電気的に駆動可能な粒子状の表示媒体(本実施形態では電子粉流体(登録商標))を用いて画像を表示する。
【0020】
(2)情報表示パネルの構造
次に情報表示パネル20の構造について説明する。具体的には、電極部の構造及び情報表示パネル20の機能ブロック構成について説明する。
【0021】
(2.1)電極部の構造
図2(a)及び(b)は、電極部の平面図及び断面図をそれぞれ示す。図2(a)及び(b)に示すように、情報表示パネル20は、複数のロウ側電極150と、複数のカラム側電極170とによって構成される電極部を備える。
【0022】
また、情報表示パネル20は、電極部と対応して設けられる一対の基板(上側基板110,下側基板120)を備える。上側基板110は、透明な部材で形成され、透明な画像表示面110sを備える。上側基板110は、ロウ側電極150と接するように設けられる。下側基板120は、カラム側電極170と接するように設けられる。
【0023】
ロウ側電極150(第1電極)は、ロウ方向(第1方向)に沿って配置される。ロウ側電極150は、ロウ方向に交差するカラム方向(第2方向)において所定の間隔毎に複数配置される。それぞれのロウ側電極150には、ロウ側電極150に電圧を供給するロウ側ドライバIC160が接続される。
【0024】
カラム側電極170は、カラム方向に沿って配置される。カラム側電極170は、ロウ方向において所定の間隔毎に複数配置される。それぞれのカラム側電極170には、カラム側電極170に電圧を供給するカラム側ドライバIC180が接続される。
【0025】
複数のロウ側電極150と、複数のカラム側電極170とが交差することによって、格子状(マトリックス状)の電極部が形成される。ロウ側電極150とカラム側電極170との間には、表示媒体190が配置される。本実施形態では、情報表示パネル20の周囲を水分バリア性の高いシール材で囲んだ密閉構造が採用されている。また、本実施形態では、ロウ側電極150及びカラム側電極170は、透明(ITO)電極である。
【0026】
表示媒体190は、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。上述したように、本実施形態では、電子粉流体(登録商標)が用いられる。表示媒体190は、電極部への電圧の印加を停止しても、電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有している。表示媒体190としては、例えば、上述した特開2009−134354号公報に記載されている電子粉流体を用いることができる。
【0027】
(2.2)機能ブロック構成
図3は、情報表示パネル20の機能ブロック構成図である。図3に示すように、情報表示パネル20は、ロウ側ドライバIC160に接続された複数のロウ側電極150と、カラム側ドライバIC180に接続された複数のカラム側電極170とを備える。
【0028】
ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、切替部200を介してコントローラ230及び表示パネル駆動電源240に接続できるように構成される。本実施形態では、表示パネル駆動電源240は、二種類の電圧(HV/MV)またはグランド電位に各電極を設定できる。なお、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、同一のドライバICを用いることができる。
【0029】
また、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180は、切替部200を介して検出電圧/電流発生器210及び検出器220に接続できるように構成される。検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、タッチペン40や指50が画像表示面110s(図1参照)に接触したことを検出する接触検出部として機能する。なお、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、タッチペン40や指50が画像表示面110sに接触したことに限らず、タッチペン40や指50が画像表示面110sに接近(例えば、1mm以内)したことを検出してもよい。
【0030】
切替部200は、コントローラ230により表示パネル駆動電源240が電極部に接続された状態と、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が電極部に接続された状態とを、随時切り替える。例えば、切替部200は、後述する動作フロー(図4参照)に示すように、画像書き換えが終了した後に、検出電圧/電流発生器210及び検出器220に切り替える。
【0031】
画像を表示する場合、スイッチSW-1とSW-2とは、コントローラ230の制御に基づいて、ともに「1」側に設定される。コントローラ230は、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180を制御し、画像表示面110sに画像を表示する。
【0032】
一方、タッチペン40や指50(指示器)が画像表示面110sに接触した位置を検出する場合、コントローラ230の制御に基づいて、SW-1もしくはSW-2が順次「2」側に切り替えられる。コントローラ230は、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180を制御し、スキャン及び接触位置の検出を実行する。
【0033】
このように切替部200によって交互に切り替えることによって画像表示と接触位置の検出とを実現するため、画像を表示することと、指示器が接触した位置を検出することとは、厳密には同時に実行することはできない。勿論、画像書き換えの途中に一定間隔毎に切替部200の切替を高速にすることによって、擬似的には、画像を表示することと、指示器が画像表示面110sに接触した位置を検出することとを同時に実現することが可能である。本実施形態では、表示メモリ性を有する表示媒体190が用いられるため、画像表示と接触位置の検出とを良好に実行することができる。
【0034】
検出電圧/電流発生器210は、複数のロウ側電極150及び複数のカラム側電極170に掛ける検出電圧を発生する。また、検出電圧/電流発生器210は、複数のロウ側電極150及び複数のカラム側電極170に流す検出電流を発生することもできる。
【0035】
検出器220は、検出電圧/電流発生器210が発生した検出電圧または検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合しているロウ側電極150及びカラム側電極170を検出する。
【0036】
検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって、電極部を用いて画像表示面110sに物体(タッチペン40や指50)が接触したことを検出する。
【0037】
具体的には、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出する。また、検出器220は、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出することによって、物体が接触している位置を検出する。
【0038】
本実施形態では、検出電圧/電流発生器210及び検出器220は、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150を検出し、静電的に結合しているロウ側電極150を検出した後、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170を検出する。コントローラ230は、検出電圧/電流発生器210及び検出器220により得た情報に基づいて、ロウ側電極150とカラム側電極170とに基づいて、ロウ方向とカラム方向との交差位置を特定し、当該位置を物体が接触している位置として検出する。
【0039】
コントローラ230は、検出電圧/電流発生器210及び検出器220から得た情報に基づいて切替部200への接続と、ロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180とを制御する。また、コントローラ230は、画像表示面110sに所定の画像を表示させる。本実施形態では、コントローラ230と表示パネル駆動電源240とによって表示制御部が構成される。
【0040】
(3)情報表示装置の動作
次に、情報表示装置10の動作について説明する。具体的には、画像表示動作及び接触位置検出動作について説明する。
【0041】
(3.1)画像表示
図4は、情報表示装置10による画像表示動作フローを示す。具体的には、図4は、画像表示面110sに現在表示されている画像を更新する動作フローを示す。
【0042】
ステップS10において、情報表示装置10は、SW-1及びSW-2(図3参照)を「1」の位置にする。これにより、表示パネル駆動電源240がロウ側ドライバIC160及びカラム側ドライバIC180と接続される。
【0043】
ステップS20において、情報表示装置10は、現在表示されている画像を更新するため、全画面を消去する。具体的には、スキャン側の電極を全てグランド電位(GND)とし、データ側の電極を全てHV(高電位)にする。
【0044】
ステップS30において、情報表示装置10は、順次電極をスキャンして画像を形成する。具体的には、情報表示装置10は、スキャン側の電極を1本ずつHVとするとともに残りの電極をMV(中電位)とする。また、情報表示装置10は、データ側の電極を画像の表示パターンに応じてGNDまたはMVにする。
【0045】
ステップS40において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0046】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS40のYES)、情報表示装置10は、画像表示動作を終了し、接触位置検出動作に移行する。
【0047】
(3.2)接触位置検出
図5は、情報表示装置10による接触位置検出動作フローを示す。図5に示すように、ステップS110において、情報表示装置10は、SW-1(図3参照)を「2」の位置にする。これにより、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が、ロウ側ドライバIC160を介してロウ側電極150に接続される。
【0048】
ステップS120において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をグランド電位(GND)にする。
【0049】
ステップS130において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をハイインピーダンス(HZ)にする。
【0050】
ステップS140において、情報表示装置10は、画像表示面110s側(上側)に位置するロウ側電極150を順次選択し、選択したロウ側電極150の状態を検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出させる。
【0051】
図6(a)〜(d)は、ステップS120〜S140における情報表示装置10の具体的動作を示す。図6(a)〜(d)に示すように、情報表示装置10は、ロウ側電極150の数だけステップS120〜S140の動作を繰り返す。
【0052】
なお、情報表示装置10は、検出感度向上のため、連続する数本の電極をまとめて選択してもよい。また、情報表示装置10は、検出速度向上のため、複数本の電極を飛ばしてスキャン(インタレーススキャン)してもよい。さらに、情報表示装置10は、必ずしも連続(上から下など)して電極を選択しなくても構わない。情報表示装置10は、これらの電極の選択方法を組み合わせてもよいし、部分的な領域での画像表示動作や位置検出動作を交互に実行してもよい。
【0053】
図7(a)〜(c)は、ロウ側電極150における接触位置の検出原理の説明図である。図7(a)及び(b)は、情報表示パネル20の等価回路を示す。ロウ電極抵抗(Rr)及びカラム電極抵抗(Rc)は、透明(ITO)電極の配線抵抗を示す。また、ロウ側電極150とカラム側電極170との各交差点(画素)におけるロウ側電極150とカラム側電極170との間は、各画素の等価静電容量Cpを有する。
【0054】
コンデンサCiは、タッチペン40(または指50)などの物体と検出電極との浮遊静電容量を示す。Ciが接続されている点は、物体が接触している画像表示面110s上の位置を示す。
【0055】
コンデンサCjは、物体とグランド電位(GND)との浮遊静電容量を示す。図7(b)において、Ci及びCjのコンデンサは、情報表示パネル20内の各画素の静電容量(Cp)を示す。なお、実質的にCjが存在せず、物体が直接GNDと接続されていてもよい。また、検出電圧VDが印加される電極は、ドライバICによって順次切り替えられる。一方、検出対象以外の電極は、開放状態などのハイインピーダンス(HZ)状態に設定される。
【0056】
検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出する物理量は、GNDに接続された静電容量の大小を検出できるものであればよい。図7(c)に示すように、例えば、検出電圧/電流発生器210が交流を含む電圧を印加し、検出器220が浮遊静電容量を経由して流れる電流の有無(大小)を検出することができる。物体が画像表示面110sに接触している電極では、物体が画像表示面110sに接触していない電極よりも流れる電流が大きくなる。或いは、検出電圧/電流発生器210がパルス状の電圧を印加し、検出器220が当該電圧の減衰時間などの変化を検出してもよい。
【0057】
次いで、図6に示すように、ステップS150において、情報表示装置10は、検出した電流値(或いは電圧の減衰時間など)を記憶する。
【0058】
ステップS160において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0059】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS160のYES)、ステップS170において、情報表示装置10は、検出した電流値に基づいて、x方向(図1参照)の接触位置を計算する。
【0060】
ステップS180において、情報表示装置10は、SW-2(図3参照)を「2」の位置にする。これにより、検出電圧/電流発生器210及び検出器220が、カラム側ドライバIC180を介してカラム側電極170に接続される。
【0061】
ステップS190において、情報表示装置10は、全てのカラム側電極170をGNDにする。
【0062】
ステップS200において、情報表示装置10は、全てのロウ側電極150をHZにする。
【0063】
ステップS210において、情報表示装置10は、ロウ側電極150よりも画像表示面110sから離れた下側に位置するカラム側電極170を順次選択し、選択したカラム側電極170の状態を検出電圧/電流発生器210及び検出器220によって検出させる。
【0064】
図8(a)〜(d)は、ステップS190〜S210における情報表示装置10の具体的動作を示す。図8(a)〜(d)に示すように、情報表示装置10は、カラム側電極170の数だけステップS190〜S210の動作を繰り返す。なお、接触位置の検出方法は、上述したロウ側電極150と同様である。
【0065】
図9(a),(b)は、カラム側電極170における接触位置の検出原理の説明図である。以下、図7(b),(c)と異なる点について主に説明する。図9(b)に示すように、検出電圧/電流発生器210は、検出対象であるカラム側電極170以外の複数のカラム側電極170をGNDにする。なお、検出電圧/電流発生器210は、当該複数のカラム側電極170に直流電圧を掛けてもよい。
【0066】
ここで、タッチペン40や指50などの指示器となる物体と浮遊静電容量で結合するのは、あくまで画像表示面110s側に位置するロウ側電極150と考えられる。従って、カラム側電極170とは、画素容量Cpと電極抵抗Rrを介して結合すると考えられる。つまり、電極抵抗Rrが存在するため、物体の接触位置とカラム側電極170との電気的結合には位置依存性がある。また、物体との電気的結合は、ロウ側電極150よりも極めて小さく、検出値(電流・電圧)は外部からのノイズや物体自体が形成するノイズの影響を受け易い。
【0067】
そこで、本実施形態では、選択されていないカラム側電極170をGNDに固定することによって。これらのノイズの影響を軽減している。
【0068】
次いで、図6に示すように、ステップS220において、情報表示装置10は、検出した電流値を記憶する。
【0069】
ステップS230において、情報表示装置10は、スキャンが最終行の電極まで実行されたか否かを判定する。
【0070】
スキャンが最終行の電極まで実行された場合(ステップS230のYES)、ステップS240において情報表示装置10は、検出した電流値に基づいて、y方向(図1参照)の接触位置を計算する。
【0071】
情報表示装置10は、ステップS110〜S240の処理を繰り返すことによって、タッチペン40や指50などの物体の接触位置を検出する。
【0072】
(3.3)電極部のスキャン方法の変更例
図10及び図11は、情報表示装置10による電極部のスキャン方法の変更例を示す。図10及び図11は、複数の電極をグループ化してスキャンする方法を示す。すなわち、情報表示装置10(検出電圧/電流発生器210及び検出器220)は、2以上のロウ側電極150または2以上のカラム側電極170によって構成された電極グループを単位としてスキャンすることができる。
【0073】
一般的な情報表示装置では、画像表示の解像度が接触位置検出の分解能を上回っている。このため、接触位置検出の感度向上を目的として、複数電極をグループとして同時に選択して接触位置検出に使用することが好ましい。但し、画像表示と接触位置検出の解像度との関係は逆であってもよい。
【0074】
図10に示すように、複数の電極をグループ化してスキャンする場合、(1)グループ構成員数、(2)グループ内連続性、(3)選択ステップ、(4)選択順、などについて様々な組み合わせが考えられる。
【0075】
(3.3.1)グループ構成員数
グループ構成員数は、同時に選択される電極の数を示す。電極の数が増えるほど物体との電気的結合が増大するため、検出感度が向上する。
【0076】
また、電極の数が増えるほど、一度に検出可能な面積を増大させることができる。全電極を選択すれば、電極をスキャン(走査)せずに全面をカバーできるので、物体が画像表示面110sに接触(または接近)したかのみを検出するには都合がよい。
【0077】
(3.3.2)グループ内連続性
グループ内において選択される電極を間引く、つまり、電極グループに含まれるロウ側電極150またはカラム側電極170を非連続にスキャンすることによって、大きな面積をカバーしつつ通電すべき電極の数を減らすことできる。このため、情報表示装置10の省電力化を図り得る。
【0078】
(3.3.3)選択ステップ
グループの構成員数とは独立して、電極の選択ステップを設定することができる。選択ステップを細かく(「1」が最小)すれば、接触位置の検出分解能が向上する。一方、選択ステップを粗くすれば、スキャンする電極の数が減少するので検出速度が向上する。
【0079】
(3.3.4)選択順序
接触位置の検出分解能を損なわずに全画面を高速でカバーするため、インタレーススキャン(飛び越し走査)をしてもよい。また、特定周期の外部からのノイズの影響を排除するため、ランダムスキャンとしてもよい。
【0080】
なお、物体が接触する画像表示面110s上の領域が限定される場合には、当該領域だけをスキャンしてもよい。これにより、接触位置の高速な検出が可能となる。また、スキャン速度も一定である必要はなく、画像表示面110sにおけるボタン操作や手書き入力など、必要とされる応答速度に応じてスキャン速度を変化させてもよい。
【0081】
(3.3.5)具体例
図11は、図10に示した4種類のスキャン方法を組み合わせた具体的なスキャン例を示す。図11に示す例では、情報表示装置10は、まず、スタンバイモードを実行する。スタンバイモードでは、例えば、全電極を選択し、0.1秒に1回のように間隔を空けて検出動作を実行する。続いて、指などの指示器となる物体が画像表示面110sに接触したことを検出すると、半数のロウ側電極150を選択し、二分された画像表示面110sの何れの領域に物体が接触したかを検出する。次いで、情報表示装置10は、物体が画像表示面110sに接触したことを検出した側の電極に関して、分割数を増して、順次電極をスキャンする。
【0082】
さらに高い位置検出精度が必要な場合、情報表示装置10は、選択ステップを細かくして接触位置を検出する。
【0083】
なお、図10及び図11では、X方向(ロウ側電極150)のみ取り出しているが、Y方向(カラム側電極170)についても同様の処理が実行される。
【0084】
(4)作用・効果
情報表示装置10によれば、複数のロウ側電極150をスキャンして静電的に結合しているロウ側電極150が検出されるとともに、複数のカラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170が検出される。そして、検出したロウ側電極150とカラム側電極170との交差位置に基づいて、タッチペン40や指50が接触している位置が検出される。
【0085】
このため、画像表示用の電極及びドライバICをそのまま利用してタッチペン40や指50の接触位置を検出可能であり、接触位置の検出機能(タッチパネル機能)の実装に伴う大きな追加コストが発生しない。さらに、従来例(特開2009−134354号公報参照)のように、電極群の両側にそれぞれドライバICを配置する必要がなく、情報表示装置の小型化、特に、画像表示面110sの外枠部30の小型化を図り得る。
【0086】
また、接触位置の検出機能(タッチパネル機能)を備えない情報表示パネルと、当該機能を備える情報表示パネル20とは、同様の形状を有するため、当該機能の有無に関わらず、情報表示パネルの共用化を図り得る。
【0087】
本実施形態では、静電的に結合しているロウ側電極150が検出され、静電的に結合しているロウ側電極150が検出された後、カラム側電極170をスキャンして静電的に結合しているカラム側電極170が検出される。タッチペン40や指50などの物体と浮遊静電容量で結合するのは、画像表示面110s側に位置するロウ側電極150と考えられるため、ロウ側電極150を先に検出することによって、接触位置の検出精度を高められるものとして推量している。
【0088】
本実施形態では、検出対象であるカラム側電極170以外の複数のカラム側電極170がグランド電位(または一定の直流電圧)にされる。このため、タッチペン40や指50などの物体とカラム側電極170との電気的結合がロウ側電極150よりも極めて小さい場合でも、外部からのノイズや物体自体が形成するノイズの影響を抑制できる。
【0089】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、表示媒体190として表示メモリ性を有する電子粉流体(登録商標)が用いられていたが、表示媒体190は必ずしも表示メモリ性を有していなくても構わない。
【0091】
また、ロウ側電極150及びカラム側電極170のスキャン方法は、図10及び図11に示したように様々な方法があり、上述した実施形態に限定されない。
【0092】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0093】
10…情報表示装置
20…情報表示パネル
30…外枠部
40…タッチペン
50…指
110…上側基板
110s…画像表示面
120…下側基板
150…ロウ側電極
160,180…ドライバIC
170…カラム側電極
190…表示媒体
200…切替部
210…検出電圧/電流発生器
220…検出器
230…コントローラ
240…表示パネル駆動電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配置される複数の第1電極、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置される複数の第2電極によって格子状を形成する電極部と、
前記電極部と対応して設けられ、透明な画像表示面を有する一対の基板と、
前記複数の第1電極と、前記複数の第2電極との間に配置され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、
前記電極部に印加される電圧を制御することによって、前記画像表示面に所定の画像を表示させる表示制御部と、
前記電極部を用いて、前記画像表示面に物体が接触または接近したことを検出する接触検出部と
を備える情報表示装置であって、
前記表示制御部が前記電極部に接続された状態と、前記接触検出部が前記電極部に接続された状態とを切り替える切替部を備え、
前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出するとともに、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出することによって、前記画像表示面に前記物体が接触または接近している位置を検出する情報表示装置。
【請求項2】
前記接触検出部は、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に掛ける検出電圧、または前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に流す検出電流を発生する発生器と、
前記検出電圧または前記検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合している第1電極及び第2電極を検出する検出器と
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記接触検出部は、
前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出し、
静電的に結合している前記第1電極を検出した後、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出する請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極よりも前記画像表示面から離れた位置に配置されており、
前記発生器は、検出対象である第2電極以外の複数の第2電極に直流電圧を掛ける、または検出対象である第2電極以外の前記複数の第2電極をグランド電位にする請求項2または3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記接触検出部は、2以上の第1電極または2以上の第2電極によって構成された電極グループを単位としてスキャンする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記接触検出部は、前記電極グループに含まれる第1電極または第2電極を非連続にスキャンする請求項5に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記表示媒体は、前記電極部への電圧の印加を停止しても、前記電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有する請求項1乃至6に何れか一項に記載の情報表示装置。
【請求項1】
第1方向に沿って配置される複数の第1電極、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置される複数の第2電極によって格子状を形成する電極部と、
前記電極部と対応して設けられ、透明な画像表示面を有する一対の基板と、
前記複数の第1電極と、前記複数の第2電極との間に配置され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、
前記電極部に印加される電圧を制御することによって、前記画像表示面に所定の画像を表示させる表示制御部と、
前記電極部を用いて、前記画像表示面に物体が接触または接近したことを検出する接触検出部と
を備える情報表示装置であって、
前記表示制御部が前記電極部に接続された状態と、前記接触検出部が前記電極部に接続された状態とを切り替える切替部を備え、
前記接触検出部は、前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出するとともに、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出することによって、前記画像表示面に前記物体が接触または接近している位置を検出する情報表示装置。
【請求項2】
前記接触検出部は、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に掛ける検出電圧、または前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極に流す検出電流を発生する発生器と、
前記検出電圧または前記検出電流によって変化する物理量を検出することによって、静電的に結合している第1電極及び第2電極を検出する検出器と
を有する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記接触検出部は、
前記複数の第1電極をスキャンして静電的に結合している第1電極を検出し、
静電的に結合している前記第1電極を検出した後、前記複数の第2電極をスキャンして静電的に結合している第2電極を検出する請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記複数の第2電極は、前記複数の第1電極よりも前記画像表示面から離れた位置に配置されており、
前記発生器は、検出対象である第2電極以外の複数の第2電極に直流電圧を掛ける、または検出対象である第2電極以外の前記複数の第2電極をグランド電位にする請求項2または3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記接触検出部は、2以上の第1電極または2以上の第2電極によって構成された電極グループを単位としてスキャンする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記接触検出部は、前記電極グループに含まれる第1電極または第2電極を非連続にスキャンする請求項5に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記表示媒体は、前記電極部への電圧の印加を停止しても、前記電極部に電圧を印加していたときの位置を保持する表示メモリ性を有する請求項1乃至6に何れか一項に記載の情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−59073(P2012−59073A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202385(P2010−202385)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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