情報記憶装置
【課題】ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うことを課題とする。
【解決手段】サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1、トラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される。
【解決手段】サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1、トラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ディスク装置などの情報記憶装置において、サーボ信号の誤差を補正データ(ポストコード)に基づいて補正し、補正されたサーボ信号によりヘッドの位置決め制御を行う技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、サーボライト後の位置信号(ベースパターン)うねりを補正することを目的として、位置信号の回転同期成分の補正データを作成して、ディスク上のサーボ領域に記録し、記録された補正データを用いてヘッド位置を補正する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3336819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1の技術は、補正データがサーボ領域に間隔を空けずに記録されているので、補正データ間に発生するノイズの影響でヘッドにより補正データが正確に読み出せない場合が考えられる。その結果、ヘッドの位置決め制御を正確に実行できない恐れがある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うことが可能な情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示の装置は、記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、同一面に3の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されており、前記補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む。
【発明の効果】
【0008】
開示の装置によれば、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、情報記憶装置の一実施形態を詳細に説明する。なお、情報記憶装置の一実施形態を説明するために、情報記憶装置の一例としてハードディスク装置を取り上げる。
【実施例1】
【0010】
実施例1に係るハードディスク装置は、サーボ信号の誤差を補正データ(ポストコード)に基づいて補正し、補正されたサーボ信号によりヘッドの位置決め制御を行う。そして、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うための補正データの記録パターンを装置製造時に決定して記録媒体上に生成する。
【0011】
例えば、図1に示すように、実施例1に係るハードディスク装置は、3の倍数である24個のサーボフレーム(サーボフレーム0〜サーボフレーム23)からなるサーボパターンを記録媒体上に生成し、各サーボフレーム上に補正データ(ポストコード)を記録する。また、ポストコードは、記録媒体上のサーボフレームに記録されているサーボ信号の後方に配置され、例えば、図2に示すように、プリアンブルおよび位置補正データから構成される。なお、図1は、実施例1に係るサーボパターンを示す図であり、図2は、実施例1に係るサーボ信号の構成を示す図である。
【0012】
そして、実施例1に係るハードディスク装置は、サーボフレーム上に補正データを記録する場合、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。さらに、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。また、補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(3倍配置)。
【0013】
具体的には、例えば、図3に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0014】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される(3倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される(3倍配置)。
【0015】
また、サーボフレーム2上に再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録する場合、記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。具体的には、例えば、図3に示すように、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム3〜5のリード用補正データが記録される(3倍配置)。
【0016】
上述してきたようにして、3つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、サーボフレーム23まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体上に生成する。なお、図3は、実施例1に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【0017】
このようなことから、実施例1に係るハードディスク装置は、隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらしてライト用補正データを記録することで、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うことができる。さらに、記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録することで、リード時のヘッドの位置決め制御も正確に行うことができる。
【0018】
[ハードディスク装置の構成(実施例1)]
図4は、実施例1に係るハードディスク装置の構成を示す図である。同図に示すように、実施例1に係るハードディスク装置100は、記録媒体110と、RDC120と、HDC130と、MCU140と、RAM150と、SVC160と、VCM170を有する。
【0019】
記録媒体110は、所定のユーザデータやシステムデータ、サーボ信号を補正するための補正データ(ポストコード)などを記録している。
【0020】
RDC(リードチャネルコントローラ)120は、データリードの場合に、ヘッド(ヘッドIC)から入力するアナログ信号を復調してデコードし、デコードされたデジタルデータをパラレル信号に変換してHDC130に送出する。また、データライトの場合に、HDC130から入力するライトデータをエンコードして変調し、変調されたアナログ信号をヘッド(ヘッドIC)に送出する。
【0021】
HDC(ハードディスクコントローラ)130は、ハードディスク装置100のホストコンピュータであるHost200との間で、シーク、リード(再生)、ライト(記録)などの各種命令を受け付ける。また、Host200との間で、記録媒体110からのリードデータまたは記録媒体へのライトデータのやり取りを行う。
【0022】
SVC(サーボコントローラ)160は、MCU140からの制御電流送出指示を入力して、指示に応じた制御電流をVCM170に送出することで、VCM170のヘッド位置調整動作を制御する。
【0023】
VCM(ヴォイスコイルモータ)170は、SVC160から入力する制御電流に応じてヘッドの位置を調整する。
【0024】
MCU(マイクロコントロールユニット)140は、RAM150をワークメモリとして利用して、ハードディスク装置100の動作制御を主導して実行し、特に、装置製造時に記録媒体110へ補正データを記録する。
【0025】
[補正データ記録]
まず、MCU140による補正データの記録について説明する。MCU140は、3の倍数である24個のサーボフレーム(サーボフレーム0〜サーボフレーム23)からなるサーボパターン(図1参照)を記録媒体上に生成し、各サーボフレーム上に補正データ(ポストコード、図2参照)を所定のパターンで記録する。
【0026】
そして、サーボフレーム上に補正データを記録する場合、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。さらに、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。また、補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(3倍配置)。
【0027】
以下に、補正データの記録パターンについて具体的に説明する。例えば、図3に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0028】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される(3倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されているサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される(3倍配置)。
【0029】
また、サーボフレーム2上に再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録する場合、例えば、図3に示すように、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム3〜5のリード用補正データが記録される(3倍配置)。
【0030】
上述してきたようにして、3つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、サーボフレーム23まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体110上に生成する。そして、ユーザデータの記録再生時に、MCU140は、記録媒体110上の各サーボフレームに記録された補正データを、RAM150に格納する。
【0031】
[ヘッド位置制御]
次に、MCU140によるヘッド位置制御について説明する。MCU140は、装置完成後の装置稼動時におけるサーボ制御実行中に、記録媒体110からの補正データのリードを実施する。MCU140は、前記補正データのリードに成功した場合には、補正データを使用すると共に、補正データをRAM150に格納する。MCU140は、装置完成後の装置稼動時におけるサーボ制御実行中に、記録媒体110からの補正データのリードに失敗した場合には、RAM150から対応する補正データを読込んで補正データとして使用する。
【0032】
具体的には、図5に示すように、MCU140の制御電流算出部141は、HDC130からヘッドの目標位置が入力されると、ヘッドを目標位置まで動かすための制御電流を計算し、SVC160に制御電流送出指示を送出する。SVC160は、制御電流算出部141から受け付けた制御電流送出指示に応じて、VCM170に制御電流を送出する。VCM170は、SVC160からの制御電流に応じてヘッド位置を調節する。ヘッドによりリードされたサーボ信号はRDC120に送出される。RDC120は、ヘッドから入力するサーボ信号を復調してMCU140に送出する。
【0033】
そして、MCU140の制御電流算出部141は、サーボ信号が復調された復調位置がRDC120から入力されると、この復調位置の補正を行う。すなわち、RDC120から入力したヘッドの復調位置と、RAM150から読込んだ補正データとに基づいて、ヘッドを補正目標位置まで動かすための制御電流を計算する。そして、MCU140の制御電流算出部141は、算出した制御電流の送出指示をSVC160に送出する。なお、図5は、実施例1に係るヘッド位置制御を説明するための図である。
【0034】
[補正データ格納]
続いて、記録媒体110に記録された補正データのRAM150への格納時の動作について説明する。MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断し、ライトシークであれば、目標位置が偶数トラックなのかどうかを判断する。そして、シークの目標位置が偶数トラックである場合には、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=3に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0035】
一方、シークの目標位置が偶数トラックではない場合には、MCU140は、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=2に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0036】
また、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断した結果、ライトシークでなければ、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=1に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0037】
MCU140は、フォローイング処理の中でサーボ割り込み処理が発生すると、まず、サーボフレーム番号sと、シーク処理の中で設定された変数xとの和を、補正データの記録パターンに応じた値L(3倍配置であれば、L=3)で割った時の剰余yを算出する。
【0038】
ここで、剰余yを算出する理由を説明する。例えば、シーク処理中に設定された変数xの値が2、サーボフレーム番号sの値が1、補正データの記録パターンに応じた値が3倍配置でL=3である時、(s+x)をLで割った剰余は0となる。すなわち、サーボフレーム1の奇数トラックには、ライト用の補正データが記録されており(図3参照)、剰余yを算出することにより、補正データが記録されているトラックであるか否かを特定する。
【0039】
MCU140は、剰余yが0であれば、ライト用補正データの復調結果を取得する。このとき、復調結果として取得されるサーボフレーム番号sの次のサーボフレーム以降のライト用補正データを、例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1]とする。なお、p[N(Nは整数)]は、サーボフレームNに記録される補正データを示す。復調結果の取得後、復調結果として取得されたライト用補正データを全て格納したかどうかを判断するための変数を初期化する(例えば、i=0とする)。
【0040】
そして、MCU140は、復調結果として取得したライト用補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])のRAM150への格納先を計算する。具体的には、MCU140は、サーボフレーム番号sとシーク処理中に設定された変数xとの和から、ライト用補正データの記録パターンに応じた値Lを減算することにより、RAM150のメモリ配列(例えば、P[N]、Nは整数)へのライト用補正データの格納先(例えば、P[j]、jは整数)を算出する。例えば、sの値が1、xの値が2、Lの値が3である場合には、j=0となり、ライト用補正データの格納先は、RAM150のメモリ配列の先頭P[0]となる。
【0041】
補正データの格納先計算後、MCU140は、計算結果に応じて、復調結果として取得した補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])をRAM150へ格納する。例えば、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2、3、4のライト用補正データp[0]、p[1]、p[2]を、RAM150内において計算結果j=0に対応する位置(例えば、P[0])から順に格納する。
【0042】
具体的には、MCU140は、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2のライト用補正データp[0]をRAM150のメモリ配列の先頭(例えば、P[0])に格納する。ライト用補正データp[0]をRAM150に格納した後、MCU140は、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には、サーボフレーム2のライト用補正データp[0]に続けて、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[1])に格納する。
【0043】
ライト用補正データp[1]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]に続けて、サーボフレーム4のライト用補正データp[2]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[2])に格納する。
【0044】
ライト用補正データp[2]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上である場合には、MCU140は、現サーボフレームにおけるライト用補正データの格納を終了する。
【0045】
なお、MCU140は、記録媒体110に補正データが3倍配置で記録されている場合、同様の動作で、偶数トラックへのライトシークの場合、奇数トラックへのライトシークの場合、リードシークの場合のそれぞれにおいて、補正データをRAM150に格納する。偶数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図6に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図7に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。リードシークの場合には、例えば、図8に示すような状態で、リード用補正データがRAM150に格納される。なお、図6〜図8は、実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【0046】
また、全サーボフレーム数が、例えば、サーボフレーム番号0〜11の12個である場合には、RAM150は、P[0]〜P[11]までの記憶領域を有する。
【0047】
上述してきたようにして、MCU140は、記録媒体110上に記録された補正データをRAM150に格納する場合、シークの種別(ライト/リード)、トラック番号の偶数、奇数、および記録パターン(3倍配置)に応じて計算した格納位置に格納する。
【0048】
従来の場合は、サーボフレーム番号に対応するメモリ配列へ補正データを格納していた。例えば、RAM150が、P[0]〜P[11]までの記憶領域を有しており、サーボフレーム番号10に記録された補正データを格納する場合について説明する。このとき、図9に示すように、サーボフレーム番号10に記録されたサーボフレーム番号11、0および1に対応する補正データは、P[11]、P[0]およびP[1]にそれぞれ格納することになる。したがって、MCU140は、補正データをRAM150に格納する場合に、メモリ配列の上限をオーバーしたか否かをチェックする必要があった。なお、図9は、従来の補正データの格納例を示す図である。
【0049】
これに対して、上述した実施例1に係るハードディスク装置100のMCU140は、サーボフレーム番号10に記録されたサーボフレーム番号11、0および1に対応する補正データは、P[9]、P[10]およびP[11]にそれぞれ格納することになる。このようなことから、補正データをRAM150に格納する場合に、メモリ配列の上限をオーバーしたか否かをチェックして、端数部分が折り返されることを考慮する必要がない。
【0050】
また、ハードディスク装置100の運用時に、記録媒体110から補正データを読み取ることができない場合であっても、補正データ格納時と同様の計算を行って、RAM150内の補正データ格納位置を算出する。そして、読み取ることができなかった補正データに対応するデータをRAM150から読込んでヘッドの位置決め制御を実行できる。
【0051】
[ハードディスク装置による処理(実施例1)]
図10は、実施例1に係る変数決定処理の流れを示す図である。同図に示すように、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断し(ステップS1)、ライトシークであれば(ステップS1肯定)、目標位置が偶数トラックなのかどうかを判断する(ステップS2)。そして、シークの目標位置が偶数トラックである場合には(ステップS2肯定)、MCU140は、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=3に設定して(ステップS3)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0052】
一方、シークの目標位置が偶数トラックではない場合には(ステップS2否定)、MCU140は、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=2に設定して(ステップS4)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0053】
ここで、ステップS1の説明に戻ると、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断した結果、ライトシークでなければ(ステップS1否定)、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=1に設定して(ステップS5)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0054】
図11は、実施例1に係る補正データの格納処理の流れを示す図である。なお、補正データの格納処理は、フォローイング処理の中でサーボ割込み処理が発生するごとに実行される。
【0055】
MCU140は、フォローイング処理の中でサーボ割り込み処理が発生すると、図11に示すように、まず、サーボフレーム番号sと、シーク処理の中で設定された変数xとの和を、補正データの記録パターンに応じた値L(3倍配置であれば、3)で割った時の剰余yを算出する(ステップS1)。
【0056】
剰余yの算出後、MCU140は、算出した剰余yが0であるか否かを判定し(ステップS2)、剰余yが0であれば(ステップS2肯定)、ライト用補正データの復調結果を取得する(ステップS3)。このとき、復調結果として取得されるサーボフレーム番号sの次のサーボフレーム以降のライト用補正データを、例えば、p[0]、p[1]、・・・、p[L−1]とする。なお、p[N(Nは整数、L倍配置の場合、0からL−1までの整数)]は、サーボフレームs+1+Nに記録される補正データを示す。復調結果の取得後、復調結果として取得されたライト用補正データを全て格納したかどうかを判断するための変数を初期化(例えば、i=0)とする(ステップS4)。
【0057】
そして、MCU140は、復調結果として取得したライト用補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])のRAM150への格納先を計算する(ステップS5)。具体的には、MCU140は、サーボフレーム番号sとシーク処理中に設定された変数xとの和から、ライト用補正データの記録パターンに応じた値Lを減算することにより、RAM150のメモリ配列(例えば、P[N]、Nは整数)へのライト用補正データの格納先(例えば、P[j]、jは整数)を算出する。例えば、sの値が1、xの値が2、Lの値が3である場合には、j=0となり、ライト用補正データの格納先は、RAM150のメモリ配列の先頭P[0]となる。
【0058】
補正データの格納先計算後、MCU140は、計算結果に応じて、復調結果として取得した補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])をRAM150へ格納する処理を開始する(ステップS6)。例えば、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2、3、4のライト用補正データp[0]、p[1]、p[2]を、RAM150内において計算結果j=0に対応する位置(例えば、P[0])から順に格納する。
【0059】
具体的には、MCU140は、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2のライト用補正データp[0]をRAM150のメモリ配列の先頭(例えば、P[0])に格納する。ライト用補正データp[0]をRAM150に格納した後、MCU140は、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして(ステップS7)、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する(ステップS8)。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には(ステップS8否定)、サーボフレーム2のライト用補正データp[0]に続けて、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[1])に格納する(ステップS6)。
【0060】
ライト用補正データp[1]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして(ステップS7)、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する(ステップS8)。このようにして、復調結果として取得したライト用補正データを全てRAM150に格納するまで、上述してきたステップS6〜ステップS8の処理を繰り返し実行する。
【0061】
そして、MCU140は、iの値がLの値以上である場合には(ステップS8肯定)、復調結果として取得したライト用補正データのRAM150への格納が完了したものとして、現サーボフレームにおけるライト用補正データの格納を終了する。
【0062】
なお、MCU140は、記録媒体110に補正データが3倍配置で記録されている場合、同様の動作で、偶数トラックへのライトシークの場合、奇数トラックへのライトシークの場合、リードシークの場合のそれぞれにおいて、補正データをRAM150に格納する。
【0063】
[実施例1による効果]
実施例1によれば、記録ヘッドの位置ずれを補正するライト用補正データを記録媒体110の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。したがって、ライト用補正データ間に生じるノイズの発生を防止するとともに、ライト用補正データを正確に読み取らせるような補正データの記録パターンを実現でき、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うことができる。
【0064】
さらに、実施例1によれば、再生ヘッドの位置ずれを補正するリード補正データを記録媒体110の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。したがって、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うこともできる。
【実施例2】
【0065】
上記の実施例1において説明した補正データを記録するパターンだけでなく、以下に説明するような記録パターンを採用することもできる。図12は、実施例2に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【0066】
実施例2に係るハードディスク装置は、上述した実施例1と同様に、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。また、上述した実施例1とは異なり、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。また、補正データは、上述した実施例1とは異なり、4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(4倍配置)。
【0067】
具体的には、例えば、図12に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0068】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム1〜4のライト用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム2〜5のライト用補正データが記録される(4倍配置)。
【0069】
また、図12に示すように、サーボフレーム2およびサーボフレーム3上に再生ヘッドの位置ずれを補正するためのリード用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0070】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム3〜6のリード用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム3上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム4〜7のリード用補正データが記録される(4倍配置)。
【0071】
上述してきたようにして、4つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、例えば、サーボフレーム23(図1参照)まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体上に生成する。
【0072】
このようにして、リード用補正データを記録媒体110上に格子状に記録するので、上述した実施例1のように互いに隣接させてリード用補正データを記録する場合に比較して、リード用補正データ間のノイズの発生を防止することができる結果、リード時のサーボ制御において補正データをより正確に読み込むことができる。したがって、ライト時のイヘッドの位置決め制御だけでなく、リード時のヘッドの位置決め制御もより正確に実行できる。
【0073】
[ハードディスク装置の構成(実施例2)]
実施例2に係るハードディスク装置の構成は、上述した実施例1と基本的には同様であるが、以下に説明する点が異なる。
【0074】
MCU140は、記録ヘッドの位置ずれを補正するライト用補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。同様にして、再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。
【0075】
具体的には、例えば、図12に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0076】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム1〜4のライト用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム2〜5のライト用補正データが記録される(4倍配置)。
【0077】
また、図12に示すように、サーボフレーム2およびサーボフレーム3上に再生ヘッドの位置ずれを補正するためのリード用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0078】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム3〜6のリード用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム3上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム4〜7のリード用補正データが記録される(4倍配置)。
【0079】
そして、MCU140は、上述した実施例1と同様にして、記録媒体110上に記録された補正データを、4倍配置の記録パターンに応じてRAM150に格納する。なお、RAM150への補正データの格納動作は、上述した実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0080】
例えば、偶数トラックへのライトシークの場合には、図13に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図14に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。偶数トラックへのリードシークの場合には、図15に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのリードシークの場合には、例えば、図16に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。なお、図13〜図16は、実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【0081】
[実施例2による効果]
上述してきたように、実施例2によれば、リード用補正データを記録媒体110上に格子状に記録するので、上述した実施例1のように互いに隣接させてリード用補正データを記録する場合に比較して、リード用補正データ間のノイズの発生を防止することができる結果、リード時のサーボ制御において補正データをより正確に読み込むことができる。したがって、ライト時のヘッドの位置決め制御だけでなく、リード時のヘッドの位置決め制御もより正確に実行できる。
【実施例3】
【0082】
上記の実施例1または2では、それぞれ異なる補正データの記録パターン(以下では、便宜上、「3倍配置」、「4倍配置」とそれぞれ記述する)について説明した。以下では、ハードディスク装置100に搭載される複数のヘッドの特性ごとに、「3倍配置」または「4倍配置」を使い分ける場合の処理の流れを説明する。図17は、実施例3に係る補正データの記録パターン決定処理の流れを示す図である。
【0083】
同図に示すように、ハードディスク装置100のMCU140は、記録パターン決定処理時に用いるヘッド番号用の変数を初期化(例えば、「h=0」)する(ステップS1)。次に、MCU140は、ヘッド番号hに対応するヘッドのライトリード特性を測定し(ステップS2)、測定されたライトリード特性が所定の閾値を上回っているか否かを判定する(ステップS3)。
【0084】
判定の結果、ライトリード特性が所定の閾値を上回っている場合には(ステップS3肯定)、特性が良いと判断して、補正データの記録パターン(配置方式)を3倍配置に決定し(ステップS4)、3倍配置(図3参照)で補正データを記録媒体110に記録する。一方、判定の結果、ライトリード特性が所定の閾値を上回っていない場合には(ステップS3否定)、特性が悪いと判断して、補正データの記録パターン(配置方式)を4倍配置に決定(ステップS5)し、4倍配置(図12参照)で補正データを記録媒体110に記録する。
【0085】
そして、MCU140は、決定された記録パターン(配置方式)の情報を記録媒体110上のシステムエリア(不揮発性領域)に格納して(ステップS6)、装置内の全ヘッドについて、ライトリード特性の測定完了済みか否かを判断する(ステップS7)。
【0086】
判断の結果、全ヘッドについて測定完了済みである場合には(ステップS7肯定)、MCU140は、補正データの記録パターン決定処理を終了する。一方、全ヘッドについて測定完了済みではない場合には(ステップS7否定)、MCU140は、記録パターン決定処理時に用いるヘッド番号用の変数を1インクリメント(h=h+1)して(ステップS8)、上述したステップS2に戻る。そして、次のヘッド(例えば、「h=h+1」)のライトリード特性を測定し、補正データの記録パターン決定処理を継続する。
【0087】
[実施例3による効果]
上述してきたように、実施例3によれば、ハードディスク装置100に搭載される複数のヘッドの特性ごとに、適切な記録パターンで補正データを記録媒体110に記録できる。
【実施例4】
【0088】
以下の実施例4では、上述した実施例3に説明したように、ヘッドの特性ごとに決定された補正データの記録パターンを、ヘッドごとに対応させる処理の流れを説明する。
【0089】
図18は、実施例4に係る装置起動時の処理の流れを示す図である。ハードディスク装置100は、電源がONされると(ステップS1)、記録媒体のシステムエリアから記録パターン(配置方式)の情報を読み出して変数Fに格納し(ステップS2)、起動を完了する(ステップS3)。
【0090】
変数Fに格納される記録パターン(配置方式)の情報は、例えば、図19に示すように、各ビット(ビット0〜7)とヘッド番号とを対応付けておき、ビットが0であれば4倍配置、ビットが1であれば3倍配置を示す。なお、図19は、実施例4に係る変数Fのビット列構成例を示す図である。
【0091】
図20は、実施例4に係る復調処理の流れを示す図である。なお、図20は、シーク処理が完了して、フォローイング中の処理内で実行されるサーボ割り込みの処理の流れを示している。
【0092】
同図に示すように、変数Fのビット列を参照して、ヘッド番号に対応するビットが「0」であるか否かを判定する(ステップS1)。判定の結果、ヘッド番号に対応するビットが「0」ではない場合には(ステップS1否定)、ヘッドに対応する補正データの記録パターン(配置方式)が3倍配置であると判断し、補正データが書かれているサーボフレームであれば補正データを復調する(ステップS2)。一方、判定の結果、ヘッド番号に対応するビットが「0」である場合には(ステップS1肯定)、ヘッドに対応する補正データの記録パターン(配置方式)が4倍配置であると判断し、補正データが書かれているサーボフレームであれば補正データを復調する(ステップS3)。
【0093】
[実施例4による効果]
上述してきたように、実施例4によれば、複数のヘッドの特性に応じた補正データの記録パターンを判断し、判断結果に基づいて補正データを復調できる。
【実施例5】
【0094】
上述してきたハードディスク装置100の他の実施形態を説明する。
【0095】
(装置構成等)
図4に示したハードディスク装置100の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、ハードディスク装置100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、MCU140の内部にSVC160の機能を統合する。このようにして、ハードディスク装置の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0096】
さらに、ハードディスク装置100にて行なわれる各処理機能(例えば、図10、図11等)は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0097】
なお、上記の実施例では、サーボフレーム数がサーボフレーム0〜サーボフレーム11までの12フレームを説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、3と4の最小公倍数である12の倍数分の数のセクタを設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1に係るサーボパターンを示す図である。
【図2】実施例1に係るサーボ信号の構成を示す図である。
【図3】実施例1に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【図4】実施例1に係るハードディスク装置の構成を示す図である。
【図5】実施例1に係るヘッド位置制御を説明するための図である。
【図6】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図7】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図8】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図9】従来の補正データの格納例を示す図である。
【図10】実施例1に係る変数決定処理の流れを示す図である。
【図11】実施例1に係る補正データ格納処理の流れを示す図である。
【図12】実施例2に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【図13】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図14】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図15】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図16】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図17】実施例3に係る補正データの記録パターン決定処理の流れを示す図である。
【図18】実施例4に係る装置起動時の処理の流れを示す図である。
【図19】実施例4に係る変数Fのビット列構成例を示す図である。
【図20】実施例4に係る復調処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0099】
100 ハードディスク装置
110 記録媒体
120 RDC(リードチャネルコントローラ)
130 HDC(ハードディスクコントローラ)
140 MCU(マイクロコントロールユニット)
141 制御電流算出部
150 RAM(ランダムアクセスメモリ)
160 SVC(サーボコントローラ)
170 VCM(ヴォイスコイルモータ)
200 Host(ホストコンピュータ)
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ディスク装置などの情報記憶装置において、サーボ信号の誤差を補正データ(ポストコード)に基づいて補正し、補正されたサーボ信号によりヘッドの位置決め制御を行う技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、サーボライト後の位置信号(ベースパターン)うねりを補正することを目的として、位置信号の回転同期成分の補正データを作成して、ディスク上のサーボ領域に記録し、記録された補正データを用いてヘッド位置を補正する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3336819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1の技術は、補正データがサーボ領域に間隔を空けずに記録されているので、補正データ間に発生するノイズの影響でヘッドにより補正データが正確に読み出せない場合が考えられる。その結果、ヘッドの位置決め制御を正確に実行できない恐れがある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うことが可能な情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示の装置は、記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、同一面に3の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されており、前記補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む。
【発明の効果】
【0008】
開示の装置によれば、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、情報記憶装置の一実施形態を詳細に説明する。なお、情報記憶装置の一実施形態を説明するために、情報記憶装置の一例としてハードディスク装置を取り上げる。
【実施例1】
【0010】
実施例1に係るハードディスク装置は、サーボ信号の誤差を補正データ(ポストコード)に基づいて補正し、補正されたサーボ信号によりヘッドの位置決め制御を行う。そして、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うとともに、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うための補正データの記録パターンを装置製造時に決定して記録媒体上に生成する。
【0011】
例えば、図1に示すように、実施例1に係るハードディスク装置は、3の倍数である24個のサーボフレーム(サーボフレーム0〜サーボフレーム23)からなるサーボパターンを記録媒体上に生成し、各サーボフレーム上に補正データ(ポストコード)を記録する。また、ポストコードは、記録媒体上のサーボフレームに記録されているサーボ信号の後方に配置され、例えば、図2に示すように、プリアンブルおよび位置補正データから構成される。なお、図1は、実施例1に係るサーボパターンを示す図であり、図2は、実施例1に係るサーボ信号の構成を示す図である。
【0012】
そして、実施例1に係るハードディスク装置は、サーボフレーム上に補正データを記録する場合、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。さらに、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。また、補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(3倍配置)。
【0013】
具体的には、例えば、図3に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0014】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される(3倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される(3倍配置)。
【0015】
また、サーボフレーム2上に再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録する場合、記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。具体的には、例えば、図3に示すように、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム3〜5のリード用補正データが記録される(3倍配置)。
【0016】
上述してきたようにして、3つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、サーボフレーム23まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体上に生成する。なお、図3は、実施例1に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【0017】
このようなことから、実施例1に係るハードディスク装置は、隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらしてライト用補正データを記録することで、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うことができる。さらに、記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録することで、リード時のヘッドの位置決め制御も正確に行うことができる。
【0018】
[ハードディスク装置の構成(実施例1)]
図4は、実施例1に係るハードディスク装置の構成を示す図である。同図に示すように、実施例1に係るハードディスク装置100は、記録媒体110と、RDC120と、HDC130と、MCU140と、RAM150と、SVC160と、VCM170を有する。
【0019】
記録媒体110は、所定のユーザデータやシステムデータ、サーボ信号を補正するための補正データ(ポストコード)などを記録している。
【0020】
RDC(リードチャネルコントローラ)120は、データリードの場合に、ヘッド(ヘッドIC)から入力するアナログ信号を復調してデコードし、デコードされたデジタルデータをパラレル信号に変換してHDC130に送出する。また、データライトの場合に、HDC130から入力するライトデータをエンコードして変調し、変調されたアナログ信号をヘッド(ヘッドIC)に送出する。
【0021】
HDC(ハードディスクコントローラ)130は、ハードディスク装置100のホストコンピュータであるHost200との間で、シーク、リード(再生)、ライト(記録)などの各種命令を受け付ける。また、Host200との間で、記録媒体110からのリードデータまたは記録媒体へのライトデータのやり取りを行う。
【0022】
SVC(サーボコントローラ)160は、MCU140からの制御電流送出指示を入力して、指示に応じた制御電流をVCM170に送出することで、VCM170のヘッド位置調整動作を制御する。
【0023】
VCM(ヴォイスコイルモータ)170は、SVC160から入力する制御電流に応じてヘッドの位置を調整する。
【0024】
MCU(マイクロコントロールユニット)140は、RAM150をワークメモリとして利用して、ハードディスク装置100の動作制御を主導して実行し、特に、装置製造時に記録媒体110へ補正データを記録する。
【0025】
[補正データ記録]
まず、MCU140による補正データの記録について説明する。MCU140は、3の倍数である24個のサーボフレーム(サーボフレーム0〜サーボフレーム23)からなるサーボパターン(図1参照)を記録媒体上に生成し、各サーボフレーム上に補正データ(ポストコード、図2参照)を所定のパターンで記録する。
【0026】
そして、サーボフレーム上に補正データを記録する場合、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。さらに、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。また、補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(3倍配置)。
【0027】
以下に、補正データの記録パターンについて具体的に説明する。例えば、図3に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0028】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム1〜3のライト用補正データが記録される(3倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されているサーボフレーム2〜4のライト用補正データが記録される(3倍配置)。
【0029】
また、サーボフレーム2上に再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録する場合、例えば、図3に示すように、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域で互いに隣接させてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0〜5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている3つのサーボフレーム3〜5のリード用補正データが記録される(3倍配置)。
【0030】
上述してきたようにして、3つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、サーボフレーム23まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体110上に生成する。そして、ユーザデータの記録再生時に、MCU140は、記録媒体110上の各サーボフレームに記録された補正データを、RAM150に格納する。
【0031】
[ヘッド位置制御]
次に、MCU140によるヘッド位置制御について説明する。MCU140は、装置完成後の装置稼動時におけるサーボ制御実行中に、記録媒体110からの補正データのリードを実施する。MCU140は、前記補正データのリードに成功した場合には、補正データを使用すると共に、補正データをRAM150に格納する。MCU140は、装置完成後の装置稼動時におけるサーボ制御実行中に、記録媒体110からの補正データのリードに失敗した場合には、RAM150から対応する補正データを読込んで補正データとして使用する。
【0032】
具体的には、図5に示すように、MCU140の制御電流算出部141は、HDC130からヘッドの目標位置が入力されると、ヘッドを目標位置まで動かすための制御電流を計算し、SVC160に制御電流送出指示を送出する。SVC160は、制御電流算出部141から受け付けた制御電流送出指示に応じて、VCM170に制御電流を送出する。VCM170は、SVC160からの制御電流に応じてヘッド位置を調節する。ヘッドによりリードされたサーボ信号はRDC120に送出される。RDC120は、ヘッドから入力するサーボ信号を復調してMCU140に送出する。
【0033】
そして、MCU140の制御電流算出部141は、サーボ信号が復調された復調位置がRDC120から入力されると、この復調位置の補正を行う。すなわち、RDC120から入力したヘッドの復調位置と、RAM150から読込んだ補正データとに基づいて、ヘッドを補正目標位置まで動かすための制御電流を計算する。そして、MCU140の制御電流算出部141は、算出した制御電流の送出指示をSVC160に送出する。なお、図5は、実施例1に係るヘッド位置制御を説明するための図である。
【0034】
[補正データ格納]
続いて、記録媒体110に記録された補正データのRAM150への格納時の動作について説明する。MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断し、ライトシークであれば、目標位置が偶数トラックなのかどうかを判断する。そして、シークの目標位置が偶数トラックである場合には、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=3に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0035】
一方、シークの目標位置が偶数トラックではない場合には、MCU140は、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=2に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0036】
また、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断した結果、ライトシークでなければ、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=1に設定してフォローイング処理へ移行する。
【0037】
MCU140は、フォローイング処理の中でサーボ割り込み処理が発生すると、まず、サーボフレーム番号sと、シーク処理の中で設定された変数xとの和を、補正データの記録パターンに応じた値L(3倍配置であれば、L=3)で割った時の剰余yを算出する。
【0038】
ここで、剰余yを算出する理由を説明する。例えば、シーク処理中に設定された変数xの値が2、サーボフレーム番号sの値が1、補正データの記録パターンに応じた値が3倍配置でL=3である時、(s+x)をLで割った剰余は0となる。すなわち、サーボフレーム1の奇数トラックには、ライト用の補正データが記録されており(図3参照)、剰余yを算出することにより、補正データが記録されているトラックであるか否かを特定する。
【0039】
MCU140は、剰余yが0であれば、ライト用補正データの復調結果を取得する。このとき、復調結果として取得されるサーボフレーム番号sの次のサーボフレーム以降のライト用補正データを、例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1]とする。なお、p[N(Nは整数)]は、サーボフレームNに記録される補正データを示す。復調結果の取得後、復調結果として取得されたライト用補正データを全て格納したかどうかを判断するための変数を初期化する(例えば、i=0とする)。
【0040】
そして、MCU140は、復調結果として取得したライト用補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])のRAM150への格納先を計算する。具体的には、MCU140は、サーボフレーム番号sとシーク処理中に設定された変数xとの和から、ライト用補正データの記録パターンに応じた値Lを減算することにより、RAM150のメモリ配列(例えば、P[N]、Nは整数)へのライト用補正データの格納先(例えば、P[j]、jは整数)を算出する。例えば、sの値が1、xの値が2、Lの値が3である場合には、j=0となり、ライト用補正データの格納先は、RAM150のメモリ配列の先頭P[0]となる。
【0041】
補正データの格納先計算後、MCU140は、計算結果に応じて、復調結果として取得した補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])をRAM150へ格納する。例えば、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2、3、4のライト用補正データp[0]、p[1]、p[2]を、RAM150内において計算結果j=0に対応する位置(例えば、P[0])から順に格納する。
【0042】
具体的には、MCU140は、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2のライト用補正データp[0]をRAM150のメモリ配列の先頭(例えば、P[0])に格納する。ライト用補正データp[0]をRAM150に格納した後、MCU140は、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には、サーボフレーム2のライト用補正データp[0]に続けて、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[1])に格納する。
【0043】
ライト用補正データp[1]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]に続けて、サーボフレーム4のライト用補正データp[2]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[2])に格納する。
【0044】
ライト用補正データp[2]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する。判断の結果、iの値がLの値以上である場合には、MCU140は、現サーボフレームにおけるライト用補正データの格納を終了する。
【0045】
なお、MCU140は、記録媒体110に補正データが3倍配置で記録されている場合、同様の動作で、偶数トラックへのライトシークの場合、奇数トラックへのライトシークの場合、リードシークの場合のそれぞれにおいて、補正データをRAM150に格納する。偶数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図6に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図7に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。リードシークの場合には、例えば、図8に示すような状態で、リード用補正データがRAM150に格納される。なお、図6〜図8は、実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【0046】
また、全サーボフレーム数が、例えば、サーボフレーム番号0〜11の12個である場合には、RAM150は、P[0]〜P[11]までの記憶領域を有する。
【0047】
上述してきたようにして、MCU140は、記録媒体110上に記録された補正データをRAM150に格納する場合、シークの種別(ライト/リード)、トラック番号の偶数、奇数、および記録パターン(3倍配置)に応じて計算した格納位置に格納する。
【0048】
従来の場合は、サーボフレーム番号に対応するメモリ配列へ補正データを格納していた。例えば、RAM150が、P[0]〜P[11]までの記憶領域を有しており、サーボフレーム番号10に記録された補正データを格納する場合について説明する。このとき、図9に示すように、サーボフレーム番号10に記録されたサーボフレーム番号11、0および1に対応する補正データは、P[11]、P[0]およびP[1]にそれぞれ格納することになる。したがって、MCU140は、補正データをRAM150に格納する場合に、メモリ配列の上限をオーバーしたか否かをチェックする必要があった。なお、図9は、従来の補正データの格納例を示す図である。
【0049】
これに対して、上述した実施例1に係るハードディスク装置100のMCU140は、サーボフレーム番号10に記録されたサーボフレーム番号11、0および1に対応する補正データは、P[9]、P[10]およびP[11]にそれぞれ格納することになる。このようなことから、補正データをRAM150に格納する場合に、メモリ配列の上限をオーバーしたか否かをチェックして、端数部分が折り返されることを考慮する必要がない。
【0050】
また、ハードディスク装置100の運用時に、記録媒体110から補正データを読み取ることができない場合であっても、補正データ格納時と同様の計算を行って、RAM150内の補正データ格納位置を算出する。そして、読み取ることができなかった補正データに対応するデータをRAM150から読込んでヘッドの位置決め制御を実行できる。
【0051】
[ハードディスク装置による処理(実施例1)]
図10は、実施例1に係る変数決定処理の流れを示す図である。同図に示すように、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断し(ステップS1)、ライトシークであれば(ステップS1肯定)、目標位置が偶数トラックなのかどうかを判断する(ステップS2)。そして、シークの目標位置が偶数トラックである場合には(ステップS2肯定)、MCU140は、シーク完了後のフォローイング中の処理(補正データ格納処理)において、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=3に設定して(ステップS3)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0052】
一方、シークの目標位置が偶数トラックではない場合には(ステップS2否定)、MCU140は、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=2に設定して(ステップS4)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0053】
ここで、ステップS1の説明に戻ると、MCU140は、現在のシーク処理がライトシークなのかどうかを判断した結果、ライトシークでなければ(ステップS1否定)、補正データの格納位置の計算に利用される変数xを、x=1に設定して(ステップS5)、変数決定処理を終了する。以後、フォローイング処理へ移行する。
【0054】
図11は、実施例1に係る補正データの格納処理の流れを示す図である。なお、補正データの格納処理は、フォローイング処理の中でサーボ割込み処理が発生するごとに実行される。
【0055】
MCU140は、フォローイング処理の中でサーボ割り込み処理が発生すると、図11に示すように、まず、サーボフレーム番号sと、シーク処理の中で設定された変数xとの和を、補正データの記録パターンに応じた値L(3倍配置であれば、3)で割った時の剰余yを算出する(ステップS1)。
【0056】
剰余yの算出後、MCU140は、算出した剰余yが0であるか否かを判定し(ステップS2)、剰余yが0であれば(ステップS2肯定)、ライト用補正データの復調結果を取得する(ステップS3)。このとき、復調結果として取得されるサーボフレーム番号sの次のサーボフレーム以降のライト用補正データを、例えば、p[0]、p[1]、・・・、p[L−1]とする。なお、p[N(Nは整数、L倍配置の場合、0からL−1までの整数)]は、サーボフレームs+1+Nに記録される補正データを示す。復調結果の取得後、復調結果として取得されたライト用補正データを全て格納したかどうかを判断するための変数を初期化(例えば、i=0)とする(ステップS4)。
【0057】
そして、MCU140は、復調結果として取得したライト用補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])のRAM150への格納先を計算する(ステップS5)。具体的には、MCU140は、サーボフレーム番号sとシーク処理中に設定された変数xとの和から、ライト用補正データの記録パターンに応じた値Lを減算することにより、RAM150のメモリ配列(例えば、P[N]、Nは整数)へのライト用補正データの格納先(例えば、P[j]、jは整数)を算出する。例えば、sの値が1、xの値が2、Lの値が3である場合には、j=0となり、ライト用補正データの格納先は、RAM150のメモリ配列の先頭P[0]となる。
【0058】
補正データの格納先計算後、MCU140は、計算結果に応じて、復調結果として取得した補正データ(例えば、p[0]、p[1]、・・・p[L−1])をRAM150へ格納する処理を開始する(ステップS6)。例えば、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2、3、4のライト用補正データp[0]、p[1]、p[2]を、RAM150内において計算結果j=0に対応する位置(例えば、P[0])から順に格納する。
【0059】
具体的には、MCU140は、上述したように、計算結果がj=0である場合には、サーボフレーム1の奇数トラックに記録されるサーボフレーム2のライト用補正データp[0]をRAM150のメモリ配列の先頭(例えば、P[0])に格納する。ライト用補正データp[0]をRAM150に格納した後、MCU140は、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして(ステップS7)、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する(ステップS8)。判断の結果、iの値がLの値以上ではない場合には(ステップS8否定)、サーボフレーム2のライト用補正データp[0]に続けて、サーボフレーム3のライト用補正データp[1]をRAM150のメモリ配列(例えば、P[1])に格納する(ステップS6)。
【0060】
ライト用補正データp[1]をRAM150に格納した後、MCU140は、同様にして、変数iおよび変数jの値に、それぞれ1をインクリメントして(ステップS7)、変数iの値がLの値以上であるかどうかを判断する(ステップS8)。このようにして、復調結果として取得したライト用補正データを全てRAM150に格納するまで、上述してきたステップS6〜ステップS8の処理を繰り返し実行する。
【0061】
そして、MCU140は、iの値がLの値以上である場合には(ステップS8肯定)、復調結果として取得したライト用補正データのRAM150への格納が完了したものとして、現サーボフレームにおけるライト用補正データの格納を終了する。
【0062】
なお、MCU140は、記録媒体110に補正データが3倍配置で記録されている場合、同様の動作で、偶数トラックへのライトシークの場合、奇数トラックへのライトシークの場合、リードシークの場合のそれぞれにおいて、補正データをRAM150に格納する。
【0063】
[実施例1による効果]
実施例1によれば、記録ヘッドの位置ずれを補正するライト用補正データを記録媒体110の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。したがって、ライト用補正データ間に生じるノイズの発生を防止するとともに、ライト用補正データを正確に読み取らせるような補正データの記録パターンを実現でき、ライト時のヘッドの位置決め制御をより正確に行うことができる。
【0064】
さらに、実施例1によれば、再生ヘッドの位置ずれを補正するリード補正データを記録媒体110の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接させて記録する。したがって、リード時のヘッドの位置決め制御を正確に行うこともできる。
【実施例2】
【0065】
上記の実施例1において説明した補正データを記録するパターンだけでなく、以下に説明するような記録パターンを採用することもできる。図12は、実施例2に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【0066】
実施例2に係るハードディスク装置は、上述した実施例1と同様に、記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。また、上述した実施例1とは異なり、再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。また、補正データは、上述した実施例1とは異なり、4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを有する(4倍配置)。
【0067】
具体的には、例えば、図12に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0068】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム1〜4のライト用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム2〜5のライト用補正データが記録される(4倍配置)。
【0069】
また、図12に示すように、サーボフレーム2およびサーボフレーム3上に再生ヘッドの位置ずれを補正するためのリード用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0070】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム3〜6のリード用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム3上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム4〜7のリード用補正データが記録される(4倍配置)。
【0071】
上述してきたようにして、4つのサーボフレームに記録される補正データの記録パターンを一つの単位として、例えば、サーボフレーム23(図1参照)まで繰り返し記録することにより、サーボパターンを記録媒体上に生成する。
【0072】
このようにして、リード用補正データを記録媒体110上に格子状に記録するので、上述した実施例1のように互いに隣接させてリード用補正データを記録する場合に比較して、リード用補正データ間のノイズの発生を防止することができる結果、リード時のサーボ制御において補正データをより正確に読み込むことができる。したがって、ライト時のイヘッドの位置決め制御だけでなく、リード時のヘッドの位置決め制御もより正確に実行できる。
【0073】
[ハードディスク装置の構成(実施例2)]
実施例2に係るハードディスク装置の構成は、上述した実施例1と基本的には同様であるが、以下に説明する点が異なる。
【0074】
MCU140は、記録ヘッドの位置ずれを補正するライト用補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。同様にして、再生ヘッドの位置ずれを補正するリード用補正データを記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして(格子状に)記録する。
【0075】
具体的には、例えば、図12に示すように、サーボフレーム0およびサーボフレーム1上に記録ヘッドの位置ずれを補正するためのライト用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0076】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてライト用補正データを記録する。なお、サーボフレーム0上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム1〜4のライト用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム1上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム2〜5のライト用補正データが記録される(4倍配置)。
【0077】
また、図12に示すように、サーボフレーム2およびサーボフレーム3上に再生ヘッドの位置ずれを補正するためのリード用補正データを記録する場合、隣接するトラック0とトラック1の記録領域で互いに隣接しないようにトラック方向にずらして記録する。
【0078】
同様にして、隣接するトラック1とトラック2、トラック2とトラック3、トラック3とトラック4、トラック4とトラック5等の記録領域で互いに隣接しないように、トラック方向にずらしてリード用補正データを記録する。なお、サーボフレーム2上のトラック(0、2、4等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム3〜6のリード用補正データが記録される(4倍配置)。また、サーボフレーム3上のトラック(1、3、5等)の記録領域には、トラック方向で前方に配置されている4つのサーボフレーム4〜7のリード用補正データが記録される(4倍配置)。
【0079】
そして、MCU140は、上述した実施例1と同様にして、記録媒体110上に記録された補正データを、4倍配置の記録パターンに応じてRAM150に格納する。なお、RAM150への補正データの格納動作は、上述した実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0080】
例えば、偶数トラックへのライトシークの場合には、図13に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのライトシークの場合には、例えば、図14に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。偶数トラックへのリードシークの場合には、図15に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。奇数トラックへのリードシークの場合には、例えば、図16に示すような状態で、ライト用補正データがRAM150に格納される。なお、図13〜図16は、実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【0081】
[実施例2による効果]
上述してきたように、実施例2によれば、リード用補正データを記録媒体110上に格子状に記録するので、上述した実施例1のように互いに隣接させてリード用補正データを記録する場合に比較して、リード用補正データ間のノイズの発生を防止することができる結果、リード時のサーボ制御において補正データをより正確に読み込むことができる。したがって、ライト時のヘッドの位置決め制御だけでなく、リード時のヘッドの位置決め制御もより正確に実行できる。
【実施例3】
【0082】
上記の実施例1または2では、それぞれ異なる補正データの記録パターン(以下では、便宜上、「3倍配置」、「4倍配置」とそれぞれ記述する)について説明した。以下では、ハードディスク装置100に搭載される複数のヘッドの特性ごとに、「3倍配置」または「4倍配置」を使い分ける場合の処理の流れを説明する。図17は、実施例3に係る補正データの記録パターン決定処理の流れを示す図である。
【0083】
同図に示すように、ハードディスク装置100のMCU140は、記録パターン決定処理時に用いるヘッド番号用の変数を初期化(例えば、「h=0」)する(ステップS1)。次に、MCU140は、ヘッド番号hに対応するヘッドのライトリード特性を測定し(ステップS2)、測定されたライトリード特性が所定の閾値を上回っているか否かを判定する(ステップS3)。
【0084】
判定の結果、ライトリード特性が所定の閾値を上回っている場合には(ステップS3肯定)、特性が良いと判断して、補正データの記録パターン(配置方式)を3倍配置に決定し(ステップS4)、3倍配置(図3参照)で補正データを記録媒体110に記録する。一方、判定の結果、ライトリード特性が所定の閾値を上回っていない場合には(ステップS3否定)、特性が悪いと判断して、補正データの記録パターン(配置方式)を4倍配置に決定(ステップS5)し、4倍配置(図12参照)で補正データを記録媒体110に記録する。
【0085】
そして、MCU140は、決定された記録パターン(配置方式)の情報を記録媒体110上のシステムエリア(不揮発性領域)に格納して(ステップS6)、装置内の全ヘッドについて、ライトリード特性の測定完了済みか否かを判断する(ステップS7)。
【0086】
判断の結果、全ヘッドについて測定完了済みである場合には(ステップS7肯定)、MCU140は、補正データの記録パターン決定処理を終了する。一方、全ヘッドについて測定完了済みではない場合には(ステップS7否定)、MCU140は、記録パターン決定処理時に用いるヘッド番号用の変数を1インクリメント(h=h+1)して(ステップS8)、上述したステップS2に戻る。そして、次のヘッド(例えば、「h=h+1」)のライトリード特性を測定し、補正データの記録パターン決定処理を継続する。
【0087】
[実施例3による効果]
上述してきたように、実施例3によれば、ハードディスク装置100に搭載される複数のヘッドの特性ごとに、適切な記録パターンで補正データを記録媒体110に記録できる。
【実施例4】
【0088】
以下の実施例4では、上述した実施例3に説明したように、ヘッドの特性ごとに決定された補正データの記録パターンを、ヘッドごとに対応させる処理の流れを説明する。
【0089】
図18は、実施例4に係る装置起動時の処理の流れを示す図である。ハードディスク装置100は、電源がONされると(ステップS1)、記録媒体のシステムエリアから記録パターン(配置方式)の情報を読み出して変数Fに格納し(ステップS2)、起動を完了する(ステップS3)。
【0090】
変数Fに格納される記録パターン(配置方式)の情報は、例えば、図19に示すように、各ビット(ビット0〜7)とヘッド番号とを対応付けておき、ビットが0であれば4倍配置、ビットが1であれば3倍配置を示す。なお、図19は、実施例4に係る変数Fのビット列構成例を示す図である。
【0091】
図20は、実施例4に係る復調処理の流れを示す図である。なお、図20は、シーク処理が完了して、フォローイング中の処理内で実行されるサーボ割り込みの処理の流れを示している。
【0092】
同図に示すように、変数Fのビット列を参照して、ヘッド番号に対応するビットが「0」であるか否かを判定する(ステップS1)。判定の結果、ヘッド番号に対応するビットが「0」ではない場合には(ステップS1否定)、ヘッドに対応する補正データの記録パターン(配置方式)が3倍配置であると判断し、補正データが書かれているサーボフレームであれば補正データを復調する(ステップS2)。一方、判定の結果、ヘッド番号に対応するビットが「0」である場合には(ステップS1肯定)、ヘッドに対応する補正データの記録パターン(配置方式)が4倍配置であると判断し、補正データが書かれているサーボフレームであれば補正データを復調する(ステップS3)。
【0093】
[実施例4による効果]
上述してきたように、実施例4によれば、複数のヘッドの特性に応じた補正データの記録パターンを判断し、判断結果に基づいて補正データを復調できる。
【実施例5】
【0094】
上述してきたハードディスク装置100の他の実施形態を説明する。
【0095】
(装置構成等)
図4に示したハードディスク装置100の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、ハードディスク装置100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、MCU140の内部にSVC160の機能を統合する。このようにして、ハードディスク装置の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0096】
さらに、ハードディスク装置100にて行なわれる各処理機能(例えば、図10、図11等)は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0097】
なお、上記の実施例では、サーボフレーム数がサーボフレーム0〜サーボフレーム11までの12フレームを説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、3と4の最小公倍数である12の倍数分の数のセクタを設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1に係るサーボパターンを示す図である。
【図2】実施例1に係るサーボ信号の構成を示す図である。
【図3】実施例1に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【図4】実施例1に係るハードディスク装置の構成を示す図である。
【図5】実施例1に係るヘッド位置制御を説明するための図である。
【図6】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図7】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図8】実施例1に係る補正データの格納例を示す図である。
【図9】従来の補正データの格納例を示す図である。
【図10】実施例1に係る変数決定処理の流れを示す図である。
【図11】実施例1に係る補正データ格納処理の流れを示す図である。
【図12】実施例2に係る補正データの記録パターンを説明するための図である。
【図13】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図14】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図15】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図16】実施例2に係る補正データの格納例を示す図である。
【図17】実施例3に係る補正データの記録パターン決定処理の流れを示す図である。
【図18】実施例4に係る装置起動時の処理の流れを示す図である。
【図19】実施例4に係る変数Fのビット列構成例を示す図である。
【図20】実施例4に係る復調処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0099】
100 ハードディスク装置
110 記録媒体
120 RDC(リードチャネルコントローラ)
130 HDC(ハードディスクコントローラ)
140 MCU(マイクロコントロールユニット)
141 制御電流算出部
150 RAM(ランダムアクセスメモリ)
160 SVC(サーボコントローラ)
170 VCM(ヴォイスコイルモータ)
200 Host(ホストコンピュータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に3の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されており、
前記補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項2】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に4の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データ及び再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記補正データは、4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項3】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に12の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記記録ヘッド及び再生ヘッドの特性に応じて、前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されるか、或いは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記補正データは、前記記録ヘッド及び再生ヘッドの特性に応じて、3つ或いは4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項4】
前記サーボ信号が記録されるサーボフレームは、トラック方向に複数配置されてなり、前記補正データはトラック方向で前方に配置されているサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータである請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【請求項5】
前記補正データは、サーボフレーム間に設けられた補正領域に記録されている請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【請求項6】
前記補正データを記憶する記憶部をさらに有し、
前記位置制御手段は、前記補正データの前記記録媒体上における記録位置に対応させるように、前記記憶部内の記憶領域に補正データを格納する請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【請求項1】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に3の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されており、
前記補正データは、3つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項2】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に4の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データ及び再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記補正データは、4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項3】
記録媒体上にデータを記録する記録ヘッド、及び記録媒体上に記録されたデータを再生する再生ヘッドと、
同一面に12の倍数のサーボフレームを有し、該サーボフレームに記録されたサーボ信号の誤差によって生じる前記記録又は再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データが記録された記録媒体と、
前記記録媒体に対し、前記補正データに基づいて前記記録又は再生ヘッドの位置制御を行なう位置制御手段と、
前記位置制御手段により制御された位置でデータの記録又は再生を行なう制御手段と、を有し、
前記記録ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記記録ヘッド及び再生ヘッドの特性に応じて、前記再生ヘッドの位置ずれを補正する補正データは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接して記録されるか、或いは、前記記録媒体の隣接するトラックの記録領域で互いに隣接しないように該トラック方向にずれて記録されており、
前記補正データは、前記記録ヘッド及び再生ヘッドの特性に応じて、3つ或いは4つのサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータを含む情報記憶装置。
【請求項4】
前記サーボ信号が記録されるサーボフレームは、トラック方向に複数配置されてなり、前記補正データはトラック方向で前方に配置されているサーボフレームのサーボ信号を補正するためのデータである請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【請求項5】
前記補正データは、サーボフレーム間に設けられた補正領域に記録されている請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【請求項6】
前記補正データを記憶する記憶部をさらに有し、
前記位置制御手段は、前記補正データの前記記録媒体上における記録位置に対応させるように、前記記憶部内の記憶領域に補正データを格納する請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の情報記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−86614(P2010−86614A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255524(P2008−255524)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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