説明

情報記録再生装置、情報記録方法およびそのプログラム

【課題】ノンストップCDを録音する場合にも1曲目から順番に録音する必要がなく、曲順に関係なく録音しても音声データを連続して記録することができ、再生時に音声をつなげることができる情報記録再生装置、情報記録再生方法およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】システムコントローラは、CDからTOCを取得し(S2)、CDDBの検索を開始する(S3)。この場合、システムコントローラは1曲目の終端付近からCDを再生させる(S7)。CDからサブコードを取得することで曲の切れ目付近を判断し、曲間データ(CDデータ)を数サンプルに保存する(S8,S9,S10)。そして、最終前トラック(S6)までS7〜S10を繰り返し、全トラックの曲間データを保存する。CDDBの検索が終了すれば(S4)、その情報を元にHDD上にプレイリストを作成する。そして、プレイリストと全トラックの曲間データを関連付けてHDDに保存する(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置、情報記録方法および情報記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム情報を再生して記録する情報記録再生装置として、例えば、コンパクトディスク等の情報記録媒体に記録された複数の音楽データを再生してハードディスクに記録させ、その記録された複数の音楽データをハードディスクから読み出して再生する情報記録再生装置がある。
【0003】
このハードディスクを搭載した情報記録再生装置では、例えば、コンパクトディスクに記録された複数の音楽データを各種フォーマットに基づき圧縮してハードディスクに記録させるとともに、ハードディスクに記録された複数の音楽データを順次読み出し伸張して再生する。その圧縮方式として、例えば、MP3(MPEG1:Moving Picture Experts Group1;オーディオ・レイヤIII)、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)を改良したATRAC3等がある。
【0004】
例えば、複数のコンパクトディスク等の情報記録媒体に記録されている音楽データをすべてハードディスクに記録し、このハードディスクから音楽データを読み出して再生する情報記録再生装置によれば、音楽データの再生時はハードディスクから音楽データが読み出されるため、ユーザはコンパクトディスクの交換は不要であり快適な連続再生を行うことができる。
【0005】
上述の情報記録再生装置にあっては、例えば、ノンストップCDのように、音の切れ目がなく複数の音楽データを再生する情報記録媒体から複数の音楽データをハードディスクに記録する際には、中断することなく継続して記録しないとノンストップCDと同様な音切れのない音楽データの再生を実現することができない。従って、ハードディスクに圧縮して記録された音楽データ(以下、圧縮音楽データと称して説明する)の再生時にトラック間で音切れが発生し、それを聞くユーザに不自然な感じを与える場合がある。
【0006】
継続して音楽データを記録しない場合、その記録された圧縮音楽データの再生時にトラック間で音切れが発生する理由について、以下に説明する。
図1(a)は、ハードディスクに記録された複数の音楽データを続けて再生する際に無音データが再生されて音切れが発生してしまうことを示す説明図である。
図1(a)において、模式的に示されているデータ構造のうちの上半分(上から2段分)がCDに記録されている音楽データ、下半分(下から2段分)がハードディスクに録音される音楽データを示している。CDにはトラック(Track)単位で音楽データが記録されているのに対し、ハードディスクではファイル(FILE)単位で圧縮音楽データが記録される。
【0007】
ここで、Trackの区切りはCDに記録されている音楽データの区切りを示す。換言すれば、1Trackの音楽データは1曲であり、Trackの区切りはある曲とその曲の次に再生される曲との区切りを示す。また、CD内のデータ構造の最小単位はフレームと呼ばれており、CDにおける一つのTrackは、所定数のフレームにより細分化されている。また、ハードディスクにおける圧縮音楽データを格納するFILEのデータ構造の最小記録単位はブロックと呼ばれており、通常、圧縮音楽データを格納するFILEは、所定数のブロックにより分割されている。なお、このFILEには複数の圧縮音楽データが格納可能に構成されている。
【0008】
図1(a)からも分かるように、CDにおける1フレーム長とFILEにおける1ブロック長とが異なること、及びそれらに記録されている、又は格納されている音楽データが圧縮されていない、又は圧縮されているという違いから、CDの1Trackの音楽データをFILEに格納したとしても、FILEのブロック内終端に収まるという場合は少なく、殆どが未記録領域を残した状態となる。
【0009】
図1(a)に示すように、CDからハードディスクにTrack n-1の音楽データを記録する場合、CDにおけるTrack n-1とTrack nとのTrackの区切りで記録を終了し、ハードディスクにFILEを作成してTrack n-1の圧縮音楽データを格納する。しかしながら、Track n-1における最終ブロックの末尾に至らない途中でTrack n-1の音楽データの格納が終了してしまう場合には、その途中位置から末尾までの未記録領域に無音データを記録してTrackn-1における最終ブロックに対する圧縮音楽データの格納を終了させる。これにより、ハードディスクのFILE のTrack n-1に対する最終ブロックには無音部分(図1(a)の網掛け部分)が形成される。
【0010】
図1(b)は、ハードディスクにTrack nの音楽データを記録する場合の説明図である。ハードディスクにTrack nの音楽データを記録する場合は、Track n-1とTrack nとのTrackの区切りからTrack nの音楽データを再生し、ハードディスクのFILEにおけるTrack nに対する最初のブロックの先頭から圧縮音楽データとして格納する。したがって、ハードディスクに記録されたTrack n-1とTrack nの圧縮音楽データを続けて再生すると無音データの再生により音切れが発生する。
【0011】
上記は、無音データを未記録領域に格納しその無音データの再生により音切れが発生する場合であるが、図2の例では、Track nの音楽データの先頭部分をハードディスクのTrack n-1における最終ブロックの未記録領域に格納して、Track n-1における最終ブロックに対する圧縮音楽データの格納を終了させている場合である。この場合では、Track nの先頭部分(網掛け部分)がTrack n-1の最終ブロックに記録される。このようにすることで、ハードディスクに記録されたTrack n-1とTrack nの圧縮音楽データを続けて再生すると音切れが発生することを解消することができる。
【0012】
しかしながら、CDのTrack nの音楽データを録音する場合は、図1(b)と同様に、Track n-1とTrack nとのTrackの区切りからTrack nの音楽データを再生し、ハードディスクのFILEにおけるTrack nに対する最初のブロックの先頭から圧縮音楽データとして格納することになる。そうなると、ハードディスクに記録されたTrack n-1とTrack nの圧縮音楽データを続けて再生するとTrack nの先頭部分が重複して再生されてしまうことになり、この場合でもユーザに不自然な感じを与えることになる。
【0013】
このように、CDのTrack n-1とTrack nの音楽データをハードディスクに継続して記録しなかった場合に、CDのTrack n-1の音楽データの末尾が記録された時点で、ハードディスク内の圧縮音楽データの最終ブロックに途中までしか格納されていない場合は、無音データを最終ブロックの未記録領域(残り部分)に格納するため、Track n-1の圧縮音楽データとTrack nの圧縮音楽データを続けて再生しても、音切れが発生してしまう。
【0014】
また、それを解消すべく、CDのTrack n-1の音楽データの末尾が記録された時点で、ハードディスク内の圧縮音楽データの最終ブロックに途中までしかデータが格納されていない場合に、最終ブロックの未記録領域(残り部分)にTrack nの先頭データを格納したとしても、重複した圧縮音楽データが記録されてしまうことになり、Track n-1とTrack nを続けて再生すると、Track nの先頭部分を重複して再生してしまう。
【0015】
曲間をスムーズに連結して再生するための一つの方法として、曲の終りの部分を低音量やフェードアウトさせながら再生するとともに、次の曲を同時に再生するように設定することにより曲間を円滑に連結し、テンポよく再生する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−58192(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、トラックの間に生じている音切れを低音量化、または、フェードアウトすることにより連結させてテンポよく再生させているにすぎず、例えば、ノンストップCDのような、本来の再生形態を実現するものではない。したがって、厳密にノンストップCDに記録された音楽データの再生をハードディスクに記録した圧縮音楽データで実現するためには、複数の音楽データを中断することなく継続して記録させる必要があり、任意のタイミングで断続的に記録させることができない。
【0017】
このように、本発明が解決すべき課題としては、例えば、再生したときにユーザに不自然さを感じさせることがないようにハードディスク等にコンテンツ情報記録させることができる情報記録再生装置、情報記録再生方法並びに情報記録再生プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に記載の情報記録再生装置は、複数のコンテンツ情報が記録された情報記録媒体から前記コンテンツ情報を再生する再生手段と、前記再生手段により再生された前記コンテンツ情報を記録する記録手段と、
前記再生手段と前記記録手段を制御する制御手段と、を備えた情報記録再生装置において、前記制御手段は、一のコンテンツ情報の先頭から所定量の情報における終端位置を示すデータを前記一のコンテンツ情報に対応して前記記録手段に記録させ、任意に選択されたコンテンツ情報を前記記録手段に記録する際には、前記選択されたコンテンツ情報に対応する前記データと、前記選択されたコンテンツ情報の再生位置を示すデータとが一致したときに前記選択されたコンテンツ情報の前記記録手段への記録を開始させることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項4に記載の情報記録方法は、複数のコンテンツ情報が記録された情報記録媒体から一のコンテンツ情報を再生して、前記一のコンテンツ情報における先頭から所定量の情報における終端位置を示すデータを前記一のコンテンツ情報に対応して記録するステップと、任意に選択されたコンテンツ情報を再生するステップと、再生されたコンテンツ情報の再生位置を示すデータと前記選択されたコンテンツ情報に対応するデータとが一致したかを判断するステップと、一致すると判断されたときに前記選択されたコンテンツ情報の記録を開始するステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項5に記載の情報記録プログラムは、請求項4に記載された情報記録方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる情報記録再生装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
本実施形態の情報記録再生装置は、コンパクトディスク(CD)、ミニディスク(MD)あるいはDVD等の情報記録媒体から、ハードディスク(HDD)、フラッシュメモリ等からなるデータ記録部へ記録を行う機能を備えた情報記録再生装置であり、カーオーディオ機器あるいはカーナビゲーション機器等の車載機器にも適用可能な装置である。
【0023】
図3は、本実施形態の情報記録再生装置100を説明するための概略ブロック図を示す。
情報記録再生装置100は、CD再生ブロック14と、曲間検出デバイス9と、圧縮伸張ディジタルシグナルプロセッサ(以下、圧縮伸張DSP)6と、HDD10と、システムコントローラ7と、バッファ8と、D/A変換器12と、AMP16と、スピーカ17とを備えて構成されている。なお、図3では、情報記録媒体として情報記録媒体としてのコンパクトディスク(CD)1が図示されているが、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク再生装置にも同様に適用することが可能である。
【0024】
CD再生ブロック14は、CD1を回転させるスピンドルモータ11と、CD1上に読取光を照射してCD1に記憶された情報(音楽データ,動画データ等のコンテンツ情報)を読み取るピックアップ2(情報再生部)と、ピックアップ2をCD1の径方向に移動させるキャリッジ3と、ピックアップ2、キャリッジ3、及びスピンドルモータ11を駆動するサーボ制御回路4及びドライバ5とを備えている。以下、CD1に記録されたコンテンツ情報を音楽データとして説明する。
【0025】
CD再生ブロック14は、CD1がディスクテーブル上にローディングされると再生動作を開始し、スピンドルモータ11によってCD14を一定速度で回転駆動する。そして、ピックアップ2により、CD1にピット形態で記憶されている音楽データが読み出され、図示せぬRFアンプに供給される。
【0026】
ピックアップ2はキャリッジ3上に搭載されており、サーボ制御回路4により制御されるドライバ5によって駆動される。ピックアップ2は、図示せぬレーザダイオード、偏光ビームスプリッタおよび対物レンズから成る光学系、また反射光を検出するための光ディテクタにより構成されている。ピックアップ2の出力は、システムバス15を通って圧縮伸張DSP6に供給される。
【0027】
サーボ制御回路4は、RFアンプからのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、およびデコーダからのスピンドルエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドル等の各種サーボドライブ信号を生成し、ドライバ5を制御して各種サーボ動作を実行させる。
【0028】
また、サーボ制御回路4は、復調と誤り訂正の処理を施したデータを圧縮伸張DSP6に供給するとともに、CD1に記録されている識別情報をシステムコントローラ7に供給する。識別情報は、CD1のリードインエリアに記録されているTOC(Table of contents)情報等であり、TOC情報等は、音楽データの再生条件、音楽データを識別するために付けられているトラック番号等の情報を備えている。
【0029】
曲間検出デバイス9は、CD1における再生中の音楽データとその次に再生される音楽データとの曲間を検出する。曲間検出デバイス9は、圧縮伸張DSP6に供給される音楽データを監視し、例えば、サブコード情報におけるQチャンネルのデータから音楽データが曲間に差し掛かったかを監視する。サブコードQは、再生経過時間を示すデータであり、再生中の音楽データの再生経過時間を監視することで、曲間の検知が可能となる。なお、本実施形態における曲間とは、N−1トラック末尾からNトラック先頭の所定量までの音楽データを示し、その間のデータを曲間データとしている。また、この曲間データのデータ量は、圧縮した際にHDD10の最小記録単位であるブロックの先頭から末尾まで格納される量としている。
【0030】
圧縮伸張DSP6(制御部)は、サーボ制御回路4から供給される復調と誤り訂正の処理が施されたデータを、例えばATRAC3等の規格に準拠したデータに圧縮変換してHDD10(データ記憶部)に記録するとともに、HDD10から読み出した再生信号(圧縮データ)を伸張する。
【0031】
圧縮伸張DSP6から出力されるディジタル音楽データは、一旦バッファメモリ8に書き込まれる。そして、バッファメモリ8から読み出された音楽データは、システムコントローラ7(制御部)の制御により、D/A変換器12に供給され、アナログ音楽データとして増幅回路(AMP)16を介してスピーカ17に供給されて出力される。
【0032】
HDD10とバッファメモリ8間のデータ転送、圧縮伸張DSP6とバッファメモリ8間のデータ転送、およびCD1の再生動作はシステムコントローラ7によって制御される。システムコントローラ7は、CPUを制御中枢とし、プログラムメモリ、データメモリ、入出力ポート、およびHDD10におけるデータ記録時間をカウントするカウンタを含み、プログラムメモリに記録されたプログラムに従いHDD10とバッファメモリ8間のデータ転送制御、圧縮伸張DSP6とバッファメモリ8間のデータ転送制御を行う。また、再生開始、終了、トラックアクセス、早送り再生、早戻し再生、プログラム再生等の動作も、このシステムコントローラ7が圧縮伸張DSP6やピックアップ2を制御することにより実現される。
【0033】
操作部13は、例えば、LCDディスプレイと操作キーから成る。操作部13には、ユーザが各種操作を行うためのキーが割り付けられている。例えば、再生キー、トラックアクセスキー、停止キー等である。また、複数CDに対して再生させるCD選択のためのキーや、プログラム再生、ランダム再生のための操作キーも設けられている。LCDディスプレイにはこれらのキーと連動してシステムコントローラ7によって処理される各種情報が表示され、操作部13はマンマシンインタフェースとして機能する。
【0034】
次に、本実施形態の情報記録再生装置100の動作について説明する。
図4は、本実施形態の情報記録再生装置100において曲間データの保存動作を説明するためのフローチャートである。
【0035】
情報記録再生装置100の電源をオンしCD1を挿入すると(ステップS1)、システムコントローラ7は、CD1からTOCを取得し(ステップS2)、CDDBの検索を開始する(ステップS3)。このCDDBは、CDの演奏者情報やトラックタイトル等の情報が記録されたデータベースであり、情報記録再生装置100内のHDD10に記憶されていてもよいし、図示せぬ通信制御手段により有線又は無線により接続された外部のサーバ等であってもよい。
【0036】
一方、システムコントローラ7は、このCDDBの検索と同時に、全トラックの曲間データの保存するための処理(ステップS7からステップS10まで)を実行する。まず、CD1からサブコードQを取得してN−1トラック末尾の音楽データから再生させ(ステップS7)、そして曲間データの保存を開始する(ステップS8)。Nトラック先頭から所定量の音楽データの再生位置を検知したら(ステップS9)、曲間データの保存を終了する(ステップS10)。そして、最終トラックにおける曲間データの保存が完了したか否かを判断する(ステップS6)。CD1に記録されている最終トラックの音楽データとその前のトラックの音楽データにおける曲間データの保存が完了していない場合(ステップS6:NO)は、その保存が完了するまでステップS7〜S10を繰り返し、全トラックに対する曲間データを保存する。
【0037】
CDDBの検索が終了すれば(ステップS4)、CDDBの検索結果を元にHDD10上にプレイリストを作成する。そして、プレイリストと全トラックに対する曲間データを関連付けてHDD10に保存する(ステップS5)。このプレイリストは、TOCから得られるトラック番号に対するタイトル情報、アーティスト情報等が付与されたリストであり、そのトラック番号に曲間データとサブコードQの経過時間情報とを関連付けてHDD10に保存する。例えば、N−1トラックとNトラックとの曲間データとサブコードQの経過時間情報とを関連付けて保存する場合には、トラック番号Nに対して曲間データの始端、終端の経過時間情報、即ち、曲間データの始端の再生位置を示すデータと終端の再生位置を示すデータ、並びに曲間データを保存する。
【0038】
図5は、本実施形態の情報記録再生装置100においての記録動作を説明するためのフローチャートである。ここでは、N−1トラックの音楽データが先にHDD10に記録されている状態で、Nトラックの音楽データをHDD10に記録する場合の例に挙げて説明する。
ユーザが操作部13を介してCD1における記録したい音楽データ(Nトラックの音楽データ)を選択すると(ステップS21)、システムコントローラ7は、その選択されたNトラックの前の音楽データ(N−1トラックの音楽データ)末尾付近からCD1の再生を開始する(ステップS22)。この末尾付近は、HDD10に保存したサブコートQの経過時間情報を参照することによってその位置を認識することができる。つまり、選択されたトラックアドレスNの曲間データの始端の経過時間情報を参照することにより、N−1トラックの末尾付近の再生位置を認識することが可能となり、その位置にピックアップを位置付けることができる。
【0039】
システムコントローラ7は、HDD10に保存したトラック番号Nに対する曲間データの終端の経過時間情報とCD1から再生されている音楽データの経過時間情報とを比較し(ステップS23)、その経過時間情報が一致した再生位置からCD1からの音楽データのHDD10への記録を開始する(ステップS24)。
【0040】
図6は、本実施形態の情報記録再生装置100におけるCD1とHDD10内に作成されるFILEのデータ構造を示す。上半分がCD1の音楽データ(Track n-1の音楽データ、Track nの音楽データ)、下半分がFILEに格納される圧縮された音楽データ(以下、圧縮データと称して説明する)、(Track n-1の圧縮データ、Track nの圧縮データ)を示している。本実施形態の情報記録再生装置100は、CD1に記録されているあるトラックの音楽データとその音楽データの次に再生される音楽データとをHDD10に順不同で記録したとしても、HDD10に記録された圧縮データを再生したときにそれらトラックの音楽データの境目で再生音が重複しないようにする。それを実現するための実施例を以下に説明する。
(実施例1)
【0041】
図7(a)は、曲間データを使用して実現する場合の曲間データ取得図を示す。この方法では、あらかじめCD1のTrack nの音楽データの曲間データを取得するとともに、その曲間データの始端の再生位置を示すデータと終端の再生位置を示すデータを取得してTrack nに対応付けてHDD10に保存しておく。
ここで、先にHDD10に保存されているTrack n-1の圧縮データの最終ブロックaには、CD1のTrack n-1末尾の音楽データとTrack n先頭の所定量の音楽データが記録されている。すなわち、Track n-1の音楽データを記録した際にその最終ブロックaの残りの部分にTrack nの先頭部分の音楽データが格納された状態で記録動作が終了している。
【0042】
図7(b)は、任意のタイミングで選択されたTrack nの音楽データをHDD10に記録する場合の構造の説明図である。
本実施例では、記録時にTrack n-1の終端付近からCD1を再生し、保存しておいたTrack nに対応する曲間データの終端の再生位置を示すデータと、再生しているTrack nの音楽データの再生位置を示すデータが一致したところからTrack nの音楽データのHDD10への記録を開始することで、音が繋がった状態で重複することなく再生できることを実現する。
【0043】
本実施例によれば、Track n-1とTrack n間の曲間付近のデータを読み取り、その曲間付近のデータを参照して、Track nを、Track n-1とTrack nを連続再生可能にHDD10に保存するので、例えば、ノンストップCDを録音する場合にも1曲目から順番に録音する必要がなく、曲順に関係なく録音しても音声データを連続して記録することができ、再生時に曲間をつなげることができる
【0044】
(実施例2)
図8(a)は、カウンタを用いて実現する場合のカウンタ値を保存する構造の説明図である。
本実施例では、システムコントローラ7内に実装されているカウンタを用いて曲間をつなげる。カウンタを用いる場合には、HDD10への録音の前処理としての曲間データを取得する必要はなく、その代わりにTrack n-1とTrack nを接続する場合には、CD1からHDD10へのTrack n-1の記録時に予め接続用のカウンタ値を取得する。
【0045】
以下、具体的に説明すると、まずCD1からHDD10へのTrack n-1の録音時、曲間検出デバイス9はHDD10へのCD再生ブロック14から読み出される音楽データを監視し、CD1から読み出されるデータのTrack n-1とTrack nの区切り位置を検出する。そして、HDD10への録音を実行している間に、曲間検出デバイス9がTrack n-1とTrack nの区切り位置を検出すると、CD1のTrack nの先頭データをHDD10へ録音しながら、システムコントローラ7はカウンタによるカウントを開始する。そして、システムコントローラ7は、Track n-1の最終フレームの末端部分のデータが記録されたHDD10の圧縮データ中の最終ブロックを参照し、最終ブロック内におけるCD1のTrack n-1の終端が録音された位置から、最終ブロックの未記録部分がTrack nの先頭データにより全て記録されるまでに相当するまで間、カウンタによるカウントを行う。そして、Track n-1の最終ブロックが全て録音されると、Track n-1の録音を終了する。これにより、Track n-1の最終ブロックには、前半部分にTrack n-1の最終フレームのデータが記録され、そして後半部分にTrack nの先頭フレームのデータが記録された状態となる。
【0046】
そして、Track nの記録時には、システムコントローラ7は、Track n-1の終端近傍からCD1の再生を開始させ、そしてTrack n-1とTrack nの曲間から再度カウンタをスタートさせる。そして、図8(b)に示すようにシステムコントローラ7は、Track n-1の録音時に予め記録したカウンタの値を参照し、この予め記録したカウンタの値と現在カウント中のカウンタの値とが一致した時点からCD1からHDD10へのデータの録音を行う。すなわち、本実施例では、予めHDD10に記録されたTrack n-1のデータの最終ブロックにCD1のTrack nの先頭フレームを記録しておき、この最終ブロックに記録されたTrack nのデータ長さ(記録時間)をカウンタにより把握しておき、このデータ長さ分CD1のTrack nの録音開始をカウンタを用いて遅延させてCD1のTrack n-1の最終端とHDD10におけるTrack n-1の最終端の時間ズレ長さを調整し、Track n-1の録音時に音飛びや重複のない音つなぎを実現する。
【0047】
本実施例の情報記録再生方法によれば、CD1におけるTrack n-1とTrack nの区切りから、HDD10におけるTrack n-1の終端までの時間に対応するカウント値を取得し、そのカウント値を参照して、Track nを、Track n-1とTrack nを連続再生可能にHDD10に保存するので、ノンストップCDを録音する場合にも1曲目から順番に録音する必要がなく、曲順に関係なく録音しても音声データを連続して記録することができ、再生時に音声をつなげることができる。
【0048】
なお、本実施形態の情報記録再生装置10は、CDからHDDに録音を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限られることはなく、DVD,Blu-ray等のCD以外の光ディスクや、MD等の他の記録媒体からHDD等の各種記録媒体に録音を行う場合に適用可能である。また、音楽データに限らず、動画データ等の他のコンテンツ情報を記録する場合にも適用可能である。
【0049】
また、本実施形態では、情報記録再生装置10を例に挙げて説明を行ったが、上記手法に基づいてこの情報記録再生装置10を動作させるための情報記録プログラムを情報記録再生装置10に組み込んで上記動作を行わせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ハードディスクに録音される曲間に無音部分が入る仕組みの説明図
【図2】曲間で重複したデータを録音してしまう仕組みの説明図
【図3】本発明の実施形態の情報記録再生装置を説明するための概略ブロック図
【図4】本実施形態の情報記録再生装置において曲間データの保存動作を説明するためのフローチャート
【図5】本実施形態の情報記録再生装置において録音動作を説明するためのフローチャート
【図6】本実施形態の情報記録再生装置における録音時データ構造
【図7】曲間データを使用して実現する場合の曲間データ取得図、および録音時に曲間データを使用して音つなぎを行う構造の説明図
【図8】カウンタを用いて実現する場合のカウンタ値を保存する構造の説明図、およびカウンタ値を利用して音つなぎを行う構造の説明図
【符号の説明】
【0051】
1 コンパクトディスク(CD)
2 ピックアップ
3 キャリッジ
4 サーボ制御回路
5 ドライバ
6 圧縮伸張ディジタルスグナルプロセッサ(DSP)
7 システムコントローラ
8 バッファメモリ
9 曲間検出デバイス
10 ハードディスク(HDD)
11 スピンドルモータ
12 D/A変換器
13 操作部
14 CD再生ブロック
15 システムバス
16 増幅回路(AMP)
17 スピーカ
100 情報記録再生装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツ情報が記録された情報記録媒体から前記コンテンツ情報を再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された前記コンテンツ情報を記録する記録手段と、
前記再生手段と前記記録手段を制御する制御手段と、を備えた情報記録再生装置において、
前記制御手段は、一のコンテンツ情報の先頭から所定量の情報における終端位置を示すデータを前記一のコンテンツ情報に対応して前記記録手段に記録させ、任意に選択されたコンテンツ情報を前記記録手段に記録する際には、前記選択されたコンテンツ情報に対応する前記データと、前記選択されたコンテンツ情報の再生位置を示すデータとが一致したときに前記選択されたコンテンツ情報の前記記録手段への記録を開始させることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記所定量の情報における終端位置は、前記記録手段におけるコンテンツ情報の最小記録単位の終端位置であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記一のコンテンツ情報の先頭から前記所定量の情報における終端位置までの時間に対応するカウント値を算出するカウンタを備え、
前記制御手段は、前記カウンタにより算出されたカウント値を取得して前記一のコンテンツ情報に対応して前記記録手段に記録させ、任意に選択されたコンテンツ情報を前記記録手段に記録する際には、前記カウンタにより算出されるカウント値と前記取得したカウント値とが一致したときに前記選択されたコンテンツ情報の前記記録手段への記録を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
複数のコンテンツ情報が記録された情報記録媒体から一のコンテンツ情報を再生して、前記一のコンテンツ情報における先頭から所定量の情報における終端位置を示すデータを前記一のコンテンツ情報に対応して記録するステップと、
任意に選択されたコンテンツ情報を再生するステップと、
再生されたコンテンツ情報の再生位置を示すデータと前記選択されたコンテンツ情報に対応するデータとが一致したかを判断するステップと、
一致すると判断されたときに前記選択されたコンテンツ情報の記録を開始するステップと、
を有することを特徴とする情報記録方法。
【請求項5】
請求項4に記載された情報記録方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報記録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−172668(P2007−172668A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−150209(P2004−150209)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【出願人】(502196463)株式会社テック・エキスパーツ (37)
【Fターム(参考)】