説明

情報記録媒体及び情報記録媒体の製造方法

【課題】印刷受容層が非常に高い発色性を有し、光沢及び乾燥性が高く、傷つきにくく且つ印刷受容層塗布液のハンドリング性が良好な情報記録媒体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板10と基板10上に少なくとも光情報記録層11と下地層14及び印刷受容層15とを有し、下地層14は消泡剤又はレベリング剤を2.6質量%以下含有し、印刷受容層15は主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子とポリビニルアルコールとを含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体I。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体等に関し、より詳しくは、印刷受容層を有する情報記録媒体等に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に広く受け入れられ、光学的に情報を記録し、読み込みが可能な光情報記録層を有する情報記録媒体としては、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)がある。CD、DVDとも読み出し専用のCD−ROM、DVD−ROM、1回限りの情報記録が可能な追記型のCD−R、DVD−R、DVD+R、何回でも情報記録の書き換えが可能な書き換え可能型のCD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMがある。また、最近では、より高密度記録を行うために短波長の青色レーザを用いた大容量記録媒体であるブルーレイディスク(BD)やHD−DVDディスクも実用化され始めている。
【0003】
これらの情報記録媒体には、分類や保管を容易にするため、またはデータ内容を容易に確認できるようにするために、スクリーン印刷等の印刷方式により、情報記録媒体のレーベル面(光を照射して情報の記録を行う面とは反対側の面)に内容表示等が印刷されている場合がある。
しかし、既存の印刷方式の場合、少量生産では印刷用刷版の作製が必要となるためコストアップになったり、印刷デザインの変更の場合に、その都度、刷版を交換し色合わせを行う必要がある等、作業性も悪化する問題等々がある。
【0004】
このような問題に対し、情報記録媒体のレーベル面に、インクジェットプリンタや昇華型熱転写プリンタで印字可能な印刷受容層を塗設した情報記録媒体が開発され市販されている。また、このような印字可能な印刷受容層を塗設した情報記録媒体の他に、特許文献1には、インクジェットプリンタ用として、ラベルに印字した後、情報記録媒体に貼り付ける方式について開示されている。しかし、この方式はラベルの位置合わせ等が非常に煩雑である。
【0005】
そこで、近年、情報記録媒体に直接印字可能で安価な機種が数多く発売されている。インクジェット印字可能な情報記録媒体は、作製が非常に簡便であることから、業務用だけでなく家庭用にも広く普及しつつある。
このようなインクジェット印字可能な情報記録媒体の印刷受容層としては、例えば、特許文献2〜特許文献8に、主成分として紫外線硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂とインク膨潤性樹脂とを併用した混合処方が使用されている。
また、特許文献3には顔料粒子を多く使用することによりインクの乾燥性が改良された印刷受容層が報告されている。
特許文献9には、ポリビニルアルコールやポリビニルアセタール等の親水性樹脂を主成分とし、インク定着剤としてカチオン性ポリマーを混合した印刷受容層が提案されている。
【0006】
また、特許文献10〜特許文献13には、少なくとも微粒子とポリビニルアルコールとホウ素化合物と媒染剤を含む印刷受容層が提案されており、微粒子として気相法シリカ、擬ベーマイト及び酸化アルミニウムが好適である旨の記載がなされている。
さらに、特許文献14には、気相法アルミナ等の気相法無機粉末を含有した樹脂膜からなる多孔質層を有する光情報記録媒体が提案されている。
また、湿式法によって合成したシリカ(以下湿式法シリカという)も用いられており、本発明者らは、主体として平均二次粒子径500nm以下に粉砕された湿式法シリカ及びポリビニルアルコールを含有する印刷受容層を備えた情報記録媒体について報告した(特許文献15参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−182411号公報
【特許文献2】特開2004−234764号公報
【特許文献3】特開2004−030716号公報
【特許文献4】特開2004−030769号公報
【特許文献5】特表2004−503610号公報
【特許文献6】特開2001−006225号公報
【特許文献7】特開平08−279179号公報
【特許文献8】特開平09−245380号公報
【特許文献9】特開2005−44478号公報
【特許文献10】特開2004−276298号公報
【特許文献11】特開2004−276299号公報
【特許文献12】特開2005−096258号公報
【特許文献13】特開2005−116072号公報
【特許文献14】特開2006−260748号公報
【特許文献15】特開2007−076007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2〜特許文献8において報告された印刷受容層は、主にインク膨潤性樹脂の膨潤を利用してインクを吸収させる膨潤タイプである。このような膨潤タイプの場合、近年の微細空隙の毛細管現象でインク吸収させる空隙タイプである写真印字対応のインクジェット用記録材料と比較して、所謂インクの乾燥性が不十分である。そのため、印字後、指で印字部を触った場合に画像や指が汚れる、インデックスとともにケースに保管した場合にインデックスに貼り付いて使用不可能になる等の問題がある。また、業務用としての複製システムでは、数十枚から数百枚を連続して印字する場合がある。その場合、印字後トレイに重ねられたメディア同士がブロッキングしたりする等の問題がある。
【0009】
次に、特許文献3に例示されているように顔料粒子を多く使用した場合には、基板との接着性が悪化したり、発色性や光沢性が低下したりする等の問題点があった。またこれら紫外線硬化型樹脂は皮膚刺激性や異臭等の安全性や作業性の問題点があった。
また、特許文献9に報告されているように、親水性樹脂を主成分とした場合は、安全性や作業性の問題はないが、膨潤タイプのため乾燥性が不十分である。
【0010】
一方、特許文献10〜特許文献13や、特許文献14に報告されているように、気相法によって合成したシリカ(以下気相法シリカという)も用いられており、気相法シリカや擬ベーマイト及び酸化アルミニウムを使用した場合、安全性や作業性の問題がなく、発色性、光沢性及び乾燥性も改良される。しかし、気相法シリカは一次粒子の三次元編目構造を持つことより、経時安定性が低く、長期間使用する場合、塗布液の粘度が上昇するためハンドリング性が著しく悪化するといった問題がある。また、擬ベーマイトや酸化アルミニウムを使用した場合は、気相法シリカ同様に経時安定性が低く、塗布液粘度の上昇によりハンドリング性が著しく悪化するだけでなく、レーベル面のプリンタ印字時や実際のドライブ使用時に指や爪で傷つきやすい問題もある。
【0011】
さらに、特許文献15において報告されている湿式法シリカ及びポリビニルアルコールを含有する印刷受容層を備える情報記録媒体を用いても、レーベルプリンタによっては用いられるインク種により比較的発色性が低いことがある。
そのため、すべてのレーベルプリンタで非常に高い発色性を有しながら、傷付き難く、製造時に塗布液のハンドリング性の良好な情報記録媒体が望まれている。
【0012】
従って本発明の課題は、印刷受容層が非常に高い発色性を有し、光沢及び乾燥性が高く、傷つきにくく、且つ印刷受容層塗布液のハンドリング性が良好な情報記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かくして本発明によれば、以下の(1)〜(7)が提供される。
(1)基板と、前記基板上に、少なくとも光情報記録層と、下地層及び印刷受容層と、を有し、前記下地層は、消泡剤又はレベリング剤を2.6質量%以下含有し、前記印刷受容層は、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体。
(2)前記無機微粒子は、平均二次粒子径が500nm以下に粉砕された湿式法シリカ(A)と、平均一次粒子径が10nm〜20nmの気相法シリカ(B)とを、(A/B)=(70/30)〜(30/70)の質量比で含有することを特徴とする(1)に記載の情報記録媒体。
(3)前記印刷受容層は、水溶性多価金属を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の情報記録媒体。
(4)前記(1)乃至(3)の何れかに記載の情報記録媒体の製造方法であって、印刷受容層をスピンコート法により下地層上に形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
(5)前記印刷受容層は、前記情報記録媒体の外周部における当該情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速が4m/s以上である環境下で、前記スピンコート法により形成されることを特徴とする(4)に記載の情報記録媒体の製造方法。
(6)基板と、前記基板上に直接又は他の層を介して形成された光情報記録層と、前記基板のレーザ光が入射する側と反対側に直接又は他の層を介して形成された下地層及び印刷受容層と、を有し、前記下地層は、消泡剤又はレベリング剤を0.1質量%〜2.6質量%の範囲で含有し、前記印刷受容層は、主成分として平均二次粒子径が20nm〜500nmである無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体。
(7)基板と、前記基板上に、少なくとも光情報記録層と印刷受容層を有し、前記印刷受容層は、平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体の製造方法であって、前記印刷受容層は、前記情報記録媒体の外周部における当該情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速が4m/s以上である環境下で、スピンコート法により形成されることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
また、さらに、以下の(8)〜(12)が提供される。
(8)前記光情報記録層と前記下地層との間に、保護層が形成されたことを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の情報記録媒体。
(9)前記下地層は、多層構造であり、前記印刷受容層に当接する側の、消泡剤又はレベリング剤の含有量が2.6質量%以下である(1)乃至(3)の何れかに記載の情報記録媒体。
(10)前記下地層は、単層構造であることを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の情報記録媒体。
(11)前記下地層は、アクリレート系モノマーを主成分とし、アクリル系の消泡剤又はレベリング剤の含有量が2.6質量%以下である紫外線硬化樹脂で構成される(1)乃至(3)の何れかに記載の情報記録媒体。ここで紫外線硬化樹脂とは紫外線硬化インク(紫外線硬化性組成物)を紫外線照射によって硬化したものをいうものとする。
(12)基板を用意する工程と、前記基板の一主面上に、直接または他の層を介して光情報記録層を形成する工程と、前記基板の前記光情報記録層の反対面側または、前記光情報記録層上に、消泡剤又はレベリング剤を2.6質量%以下含有する下地層を形成する工程と、スピンコート法により、前記下地層上に、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層からなる印刷受容層を形成する工程とを含む情報記録媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非常に高い発色性を有し、光沢及び乾燥性が高く、傷つきにくく、且つ印刷受容層塗布液のハンドリング性が良好な情報記録媒体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0016】
(情報記録媒体:実施の形態1)
図1は、本実施の形態が適用される情報記録媒体の一例を説明する模式図である。図1に示された情報記録媒体Iは、基板面入射型であって、基板10と、基板10の一主面上に順次積層された層として、データを記録する光情報記録層11と、基板10側から入射するレーザ光Lを反射させる光反射層12と、光反射層12及び光情報記録層11を保護するための保護層13と、印刷受容層15との接着性を高め、画像の発色性や光沢を向上させるための下地層14と、最外層としての印刷受容層15とを有する構造からなる。
図1に示すように、情報記録媒体Iは基板面入射型と呼ばれる構成であり、光情報記録層11に記録及び再生時に照射されるレーザ光Lは、印刷受容層15とは反対面の基板10方向から入射される。また、印刷受容層15上には、インクジェット記録ヘッドを有するインクジェットプリンタにより文字や画像が記録される。
ここで、詳細については後述するが、下地層14中に含まれる消泡剤又はレベリング剤は2.6質量%以下であり、印刷受容層15は、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層で構成されている。
【0017】
(情報記録媒体:実施の形態2)
図2は、情報記録媒体の他の実施の形態を説明する模式図である。図1に示す情報記録媒体Iと同様な構成については同じ符号を用い、その説明を省略する。図2に示された情報記録媒体IIは、膜面入射型であって、基板10と、基板10上に積層された光反射層12と、光情報記録層11と、保護層13とを有する。また、基板10に対してこれらの層と反対側の基板10上に、印刷受容層15との接着性を高め、画像の発色性や光沢を向上させるための下地層14と、最外層としての印刷受容層15とが積層形成された構造を有している。光情報記録層11に記録及び再生時に照射されるレーザ光Lは、印刷受容層15とは反対面の保護層13側から入射される点において、図1に示す基板面入射型の情報記録媒体Iの場合と同様である。
ここでも、詳細については後述するが、下地層14中に含まれる消泡剤又はレベリング剤は2.6質量%以下であり、印刷受容層15は、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層で構成されている。
【0018】
(印刷受容層15)
以下、印刷受容層15について説明する。
本実施の形態における印刷受容層15は、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有し、多孔質層として構成される。
このような構造を有する印刷受容層15と後述する所定の下地層14とを組み合わせることにより、高い光沢性及び乾燥性を保ったまま、下地層14との密着性が高く表面欠陥の少ない印刷受容層15を実現することができる。
ここで、多孔質層である印刷受容層15とは、層中に主成分として無機微粒子を含有し、主として、塗膜中に形成されている細孔によりインクを吸収する印刷受容層15をいう。尚、主成分とは、印刷受容層15を構成する成分の全固形分に対して50固形分質量%以上の割合を有する成分であり、好ましくは、60固形分質量%〜90固形分質量%の範囲の割合を有するものである。
【0019】
印刷受容層15に主成分として含まれる無機微粒子としては、例えば、非晶質合成シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられる。中でも、インク吸収性と生産性の点で、非晶質合成シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミナ水和物が好ましい。さらに、比較的塗膜の表面強度が高く塗布液の経時安定性を保ち易いことにより、非晶質合成シリカが好ましい。
【0020】
非晶質合成シリカは、製造方法によって湿式法シリカ、気相法シリカ及びその他に大別することができ、中でも湿式法シリカと気相法シリカが好ましい。本実施の形態では、特に、塗布液の経時安定性と、比較的発色性の低いインク種を有するレーベルプリンタで印字した場合における発色性と、の双方を同時に満足させるために、平均二次粒子径が500nm以下に粉砕された湿式法シリカ(A)と、平均一次粒子径が10〜20nmの気相法シリカ(B)とを、(A/B)=(70/30)〜(30/70)の質量比で含有させることがさらに好ましい。
【0021】
湿式法シリカは、さらに、製造方法によって、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸とをアルカリ条件で反応させて製造される。粒子成長したシリカ粒子を、凝集・沈降し、その後、濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば、東ソー・シリカ株式会社(製品名:ニップシール)、株式会社トクヤマ(製品名:トクシール)等から市販されている。ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸とを酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ株式会社(製品名:ニップジェル)、グレースジャパン株式会社(製品名:サイロイド、サイロジェット)等から市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば、日産化学工業株式会社(製品名:スノーテックス)等から市販されている。
【0022】
本実施の形態では、湿式法シリカは、平均二次粒子径500nm以下に粉砕して使用する。湿式法シリカの平均一次粒子径は50nm以下が好ましく、さらに好ましくは3nm〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5μm〜50μmであることが好ましい。このような平均一次粒子径を有する湿式法シリカを、好ましくは、カチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、より好ましくは20nm〜200nm程度まで微粉砕して使用する。平均二次粒子径が過度に大きい場合、発色性と光沢性が低下する。
尚、平均一次粒子径とは、湿式法シリカの微粒子を電子顕微鏡により観察し、得られた画像内に存在する任意の100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径とし、これらの平均粒子径を求めたものである。
また、平均二次粒子径とは、得られた記録材料の印刷受容層を電子顕微鏡で観察し、平均一次粒子の場合と同様に、得られた画像内に存在する任意の100個の凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
【0023】
通常の方法で製造された湿式法シリカは、平均凝集粒子径が1μm以上であるため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。このような沈降法シリカを使用することにより、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより小さな微粒子に粉砕することができる。また、高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
【0024】
本実施の形態では、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカを得る具体的な方法としては、先ず、シリカ粒子とカチオン性化合物とを混合した予備分散液を作製することが好ましい。予備分散液は、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて、シリカ粒子とカチオン性化合物を混合・分散する。必要に応じ、さらに適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は特に限定されないが、好ましくは15固形分質量%〜40固形分質量%、より好ましくは20固形分質量%〜35固形分質量%である。シリカ予備分散液の固形分濃度が過度に高いと、分散不可能となる傾向がある。
次に、より強い機械的手段を与えることによって平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカの分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0025】
上記湿式法シリカの分散用のカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーが好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物等が挙げられる。さらに、たとえば、特開昭59−020696号公報、特開昭59−033176号公報、特開昭59−033177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−011389号公報、特開昭60−049990号公報、特開昭60−083882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−049478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平01−040371号公報、特開平06−234268号公報、特開平07−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載されているような1級アミノ基〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。
特に、本実施の形態では、塗布液の経時安定性の観点より、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性、分散液粘度及び経時安定性の面で、これらのカチオン性ポリマーの分子量は2,000〜100,000程度が好ましく、特に2,000〜30,000程度が好ましい。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカに対して1固形分質量%〜10固形分質量%の範囲が好ましい。
【0026】
本実施の形態において、気相法シリカは、湿式法シリカに対して乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られている。また、四塩化ケイ素に代えてメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も使用可能である。なおこれらメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類は、単独または四塩化ケイ素と混合した状態のいずれの状態でも使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル株式会社(製品名:アエロジル)、株式会社トクヤマ(製品名:QSタイプ)等から市販されている。
【0027】
本実施の形態において、気相法シリカの平均一次粒子径としては、通常、10nm〜20nm程度が好ましい。平均一次粒子径がこの範囲であれば、溶液の経時安定性が良好であり、かつ高い発色性が得られる。より高い発色性を得るためには、平均一次粒子径は10nm〜15nmであり、BET法による比表面積が150m/g以上のものを用いることが好ましい。
ここで、BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであって、吸着等温線から、1gの試料が有する総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常、吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧力または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0028】
本実施の形態では、気相法シリカとしては、平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10nm〜300nm、さらに好ましくは20nm〜200nmに分散したものが使用できる。また、カチオン性化合物の存在下で分散した気相法シリカが好ましく用いられる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次に、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
【0029】
気相法シリカの分散に好ましく用いられるカチオン性化合物は、前述の湿式法シリカの分散に使用するカチオン化合物と同等のものが使用可能である。また、同様に、塗布液の経時安定性の観点よりカチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性、分散液粘度及び経時安定性の面で、これらのカチオン性ポリマーの分子量は2,000〜100,000程度が好ましく、特に2,000〜30,000程度が好ましい。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカに対して1固形分質量%〜10固形分質量%の範囲が好ましい。
【0030】
本実施の形態において、印刷受容層15には、必須成分としてポリビニルアルコールが含まれる。ポリビニルアルコールを用いることにより、印刷受容層15の透明性が向上し発色性が良好となる。また、ポリビニルアルコールは、比較的室温付近で膨潤性が低く、無機微粒子との結着能力が高いためインク吸収性が良好であり、さらに基板10との良好な接着性が得られる。
ポリビニルアルコールとしては特に制限はないが、好ましくは、ケン化したポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが使用可能である。ここで、部分ケン化したポリビニルアルコールも使用することができる。
印刷受容層15におけるポリビニルアルコールの含有量は、インク吸収性の観点より、好ましくは、無機微粒子に対し5固形分質量%〜50固形分質量%であり、さらに好ましくは10固形分質量%〜30固形分質量%である。
【0031】
カチオン変性ポリビニルアルコールとは、例えば、特開昭61−010483号公報に記載されているような、第1級アミノ基〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられる。
ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上の部分ケン化または完全ケン化したものが好ましい。ポリビニルアルコールの平均重合度は500〜5,000が好ましい。特に、印刷受容層15の塗布性やインク吸収性の観点から、平均重合度は3,000〜4,000が好ましい。
【0032】
本実施の形態では、印刷受容層15には、ポリビニルアルコールと共に硬膜剤を含有させることができる。硬膜剤としては、特に、ホウ素化合物が挙げられる。このようなホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂等が挙げられる。ホウ素化合物は、1種または2種以上組みあわせて使用することができる。これらの中でも、ホウ酸塩としては、例えば、オルトホウ酸塩、メタホウ酸塩、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩等が挙げられる。
【0033】
本実施の形態では、印刷受容層15に、発色性や耐水性を向上させるために、カチオン性定着剤を含有することが好ましい。カチオン性定着剤としては、前述した湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物として例示した各種カチオン性ポリマー、各種多価金属類が使用できる。これらの中でも、水溶性アルミニウム化合物や水溶性ジルコニウム化合物に代表される水溶性多価金属を用いることが好ましい。これらの化合物は、無機塩や有機酸の単塩又は複塩、金属錯体等のいずれであっても良い。
【0034】
本実施の形態で使用する水溶性アルミニウム化合物は、例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩;塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物等の無機系の含アルミニウムカチオンポリマーが挙げられる。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、印刷受容層15を形成する塗布液に安定に添加できるので好ましい。
【0035】
塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、主成分が下記の(式1)、(式2)、(式3)で示されるように、塩基性で高分子量の多核縮合イオンを安定に含む水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n (式1)
[Al(OH)AlCl (式2)
Al(OH)Cl(3n−m) (0<m<3n) (式3)
このような多核縮合イオンとしては、例えば、[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等が挙げられる。
【0036】
このような塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、多木化学株式会社(水処理剤:ポリ塩化アルミニウムPAC)、浅田化学株式会社(ポリ水酸化アルミニウムPaho)、株式会社理研グリーン(製品名:ピュラケムWT)等から、さらに他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの製品が容易に入手できる。本実施の形態ではこれらの市販品をそのまま使用することができる。
【0037】
本実施の形態で使用する水溶性ジルコニウム化合物は、例えば、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。
【0038】
これらの中でも酢酸ジルコニウム(ジルコニル)化合物が特に好ましく、印刷受容層15を形成する塗布液に安定に添加でき、優れた滲み耐性が得られる。
これらの水溶性ジルコニウム化合物は、例えば、第一稀元素化学工業株式会社(製品名:ジルコゾールZA−20、ZA−30等)、日本軽金属株式会社等から市販されている。
印刷受容層15における水溶性アルミニウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物の合計の添加量は、無機微粒子に対して10固形分質量%以下が好ましく、0.5固形分質量%〜8固形分質量%がより好ましい。
【0039】
本実施の形態における印刷受容層15は、平均粒子径100nm以下でガラス転移温度Tgが40℃以下のポリマーを含むポリマーラテックス及び炭素数3〜炭素数5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を含有することが好ましい。
印刷受容層15が、このようなポリマーラテックス及びアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を含有することにより、印刷受容層15の発色性、光沢及び乾燥性を維持しつつ、印刷受容層15の乾燥収縮率や温度・湿度変動による塗層の収縮変動を抑制することができる。さらに、印刷受容層15の塗布液の経時安定性が高くハンドリング性が良好となる。
【0040】
本実施の形態において、ポリマーラテックスは、乳化重合法で重合されたポリマーラテックスであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス等が好ましく用いられる。
【0041】
ポリマーラテックスの平均粒子径は100nm以下が好ましい。また、ポリマーラテックスに含まれるポリマーのガラス転移温度Tgは40℃以下であることが好ましい。ポリマーラテックスの平均粒子径が過度に大きいと、印刷受容層15の透明性が低下して発色性が悪化したり、光沢が低下する傾向がある。ポリマーラテックスに含まれるポリマーのガラス転移温度Tgが過度に高いと、印刷受容層15にポリマーラテックスを添加することにより得られる可塑化効果が低下し、印刷受容層15の乾燥収縮率や温度・湿度変化における塗層の収縮変動が抑制しにくくなったり、塗布液の経時安定性向上効果が得られにくい傾向がある。
【0042】
ポリマーラテックスの使用量は、印刷受容層15が含有する無機微粒子に対して5固形分質量%〜30固形分質量%が好ましく、5固形分質量%〜20固形分質量%がさらに好ましい。ポリマーラテックスの使用量が過度に少ない場合は、塗層の収縮変動を抑制する効果が不十分となる傾向がある。また、ポリマーラテックスの使用量が過度に多い場合は、インク吸収性が低下する傾向がある。
【0043】
炭素数3〜炭素数5のアルカンジオールとしては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びこれらの異性体;3−メチル−1,3−ブタンジオール等の分岐のブタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3〜炭素数4のプロパンジオール、ブタンジオールが好ましく、特に、プロパンジオールが好ましい。プロパンジオールとしては、例えば、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)が挙げられ、特に、プロピレングリコールが好ましい。印刷受容層15における炭素数3〜炭素数5のアルカンジオールの添加量は、無機微粒子に対して0.1固形分質量%〜50固形分質量%が好ましく、1固形分質量%〜20固形分質量%がさらに好ましい。
【0044】
本実施の形態における印刷受容層15の膜厚は、10μm以上が好ましく、さらに好ましくは15μm以上である。また、200μm以下が好ましく、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
印刷受容層15の膜厚が過度に薄いと、インクジェットインクの吸収量が不十分になり、発色性が低下する傾向がある。また、印刷受容層15の膜厚が過度に厚いと、製造コストが増大する傾向がある。
【0045】
本実施の形態において、情報記録媒体I,IIは、印刷受容層15の上にさらに、オーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層を設けることにより、表面強度をさらに向上させ、画像の保存性を向上させることができる。オーバーコート層は、インクを受容し、又はインクを速やかに透過させる性質を有する必要がある。オーバーコート層の層厚としては、0.01μm〜1000μmが好ましく、0.1μm〜100μmがさらに好ましい。
【0046】
本実施の形態において、印刷受容層15の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。公知の塗布方法としては、例えば、スライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スクリーン印刷方式、スプレーコート、スピンコート、ディップコート方式等が挙げられる。中でも、スピンコート方式により印刷受容層15を形成することが好ましい。
【0047】
スピンコート法により印刷受容層15を形成する場合、塗布液の粘度は200mPa・s以上、1200mPa・s以下が好ましい。また、スピンコート振り切り時の回転数は500rpm以上、2000rpm以下が好ましい。上記の粘度及び振り切り時の回転数の範囲を外れた条件で所望の膜厚の印刷受容層15を形成しようとすると、塗布ムラが発生したり、基板10の最外周まで塗布液が拡がらない等の問題が生じ、膜厚が不均一になる可能性がある。
【0048】
また、印刷受容層15をスピンコート法により形成する場合、情報記録媒体I,IIの外周部における情報記録媒体I,IIの中心から外周方向への排気風速が4m/s以上の環境下で行うことが好ましい。ここで、外周部とは、情報記録媒体I,IIの外周縁部の直上1mm〜10mm程度の場所を指す。排気風速の測定は市販の風速計により測定可能である。排気風速を制御する方法は適宜選択可能であるが、例えば特開2007−237103号公報に記載のスピンコーターを適用可能である。
上記の環境下で印刷受容層15を形成することにより、印刷受容層15を形成する際に発生する塗布液飛沫による欠陥を抑制することが可能であり、これによって外観の良好な情報記録媒体I,IIを得ることができる。
また、印刷受容層15をスピンコート法により形成する場合、情報記録媒体I,IIの外周部における情報記録媒体I,IIの中心から外周方向への排気風速が10m/s以下の環境下で行うことが好ましい。排気風速10m/s以下の環境下で行うと、ディスクをスピンコーターへ搬入したり、スピンコーターから搬出したりする時に、ディスクが排気風によりあおられ搬送ハンドからはずれたりする不具合が生じる事を防ぐ事ができる。
【0049】
本実施の形態において、必要に応じ、印刷受容層15の上にオーバーコート層を設ける場合、オーバーコート層は、公知の無機微粒子、膨潤性樹脂、有機樹脂微粒子等を含むことができる。中でも、インクの受容性、インクの透過性の観点から、主として無機微粒子、有機樹脂微粒子が好ましい。
オーバーコート層を設ける場合、印刷受容層15の上に塗布する塗布液の塗布量としては、0.01g/m〜10g/mが好ましく、0.1g/m〜5g/mがさらに好ましい。
【0050】
本実施の形態において、印刷受容層15を形成する際に、下地層14上に塗布した塗布液の乾燥温度は、好ましくは10℃〜60℃であり、さらに好ましくは15℃〜30℃である。乾燥温度が過度に低いと、乾燥時間が長くなり生産効率が低下する傾向がある。乾燥温度が過度に高いと、耐熱性の低い光情報記録層11の品質が悪化し、情報を記録又は再生する際にエラーが多発する傾向がある。
【0051】
(下地層14)
次に、下地層14について説明する。
本実施の形態において、印刷受容層15の下に下地層14を設ける。下地層14を設けることにより、図1に示す基板面入射型の情報記録媒体Iの場合は、印刷受容層15と保護層13との接着性が増大し、印刷受容層15の光沢が向上する。また、図2に示す膜面入射型の情報記録媒体IIの場合は、印刷受容層15と基板10と接着性が増大し、印刷受容層15の光沢が向上する。
【0052】
下地層14の表面粗さRaは、1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。このような下地層14を設けることにより、印刷受容層15は、写真印画紙のような高い発色性と光沢を得ることができる。
下地層14の表面粗さRaは、通常、インクの粘度を比較的小さくし、下地層14を形成後に乾燥又は硬化させるまでのレベリング時間を長くすることにより、低減することが可能である。
【0053】
ここで、表面粗さRaは、JIS−B0601:2001に規定される中心面平均粗さである。表面粗さRaは触針式表面粗さ計を用いて測定された測定値であり、基準長さは8mmである。表面粗さRaを測定する場合、傷と見なされるような極端に高い凸部や深い凹部が無い部分から基準長さを抜き取る。また、表面形状に方向性がある場合、表面粗さRaが最も大きく現れる方向に測定する。
【0054】
下地層14の形成方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。通常、生産性の観点から、公知の放射線硬化樹脂を用い、スクリーン印刷又はオフセット印刷により、下地層14を形成することが好ましい。尚、放射線硬化樹脂は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の電磁波によって硬化する樹脂である。放射線としては、紫外線、電子ビームが好ましい。放射線硬化樹脂を用い、スクリーン印刷により下地層14を形成する場合、情報記録媒体の平滑性の観点より、印刷後の樹脂のレベリングのための時間が適宜必要である。
【0055】
下地層14を形成する際に用いる放射線硬化樹脂の組成成分としては、例えば、アクリレート系モノマーとアクリル系オリゴマーとを混合した樹脂、重合開始剤が挙げられる。
ここで、アクリル系モノマーとしては、例えば、エステルアクリレートモノマー、エポキシアクリレートモノマー等が挙げられる。アクリル系オリゴマーとしては、例えば、エチレングリコールアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー等が挙げられる。重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系重合開始剤;2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。尚、放射線硬化樹脂の組成成分として、さらに酸化チタン等の着色剤を添加することができる。
【0056】
本実施の形態では、下地層14は、消泡剤又はレベリング剤を含有する。下地層14における消泡剤又はレベリング剤の含有量は、下地層14の全固形分質量に対して2.6質量%以下であり、好ましくは1.6質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下である。但し、消泡剤又はレベリング剤の含有量は、通常、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
下地層14に含まれる消泡剤又はレベリング剤の含有量が過度に多いと、印刷受容層15と下地層14との密着性が低下したり、印刷受容層15を形成するために塗布された塗布液が弾かれて均一に塗布できなかったりする傾向がある。消泡剤又はレベリング剤の含有量が過度に少ないと、下地層14の表面粗れの影響で印刷受容層15の光沢が劣化する傾向がある。
【0057】
本実施の形態において、消泡剤又はレベリング剤として使用されるものは、一般的に表面張力が小さい物質である。さらに、下地層14に添加されるインクの主剤の界面張力が大きい場合は、これらの物質はインク中で分散体になりやすく、消泡効果を発揮しやすい。また、下地層14に添加されるインクの主剤の界面張力が小さい場合は、これらの物質はインク中に拡散し、レベリング効果を発揮しやすい。
このように、同じ物質が消泡剤としてもレベリング剤としても機能するため、本実施の形態では、一つの物質に対して「消泡剤又はレベリング剤」と表記する。これらは、いずれにしても表面張力が小さいため、下地層14の表面にブリードアウトすると、下地層14の上に塗布される塗布液の塗布性に与える影響が大きい。
【0058】
本実施の形態で使用する消泡剤又はレベリング剤の種類としては、例えば、シリコン系、変性シリコン系、フッ素系、非シリコン系が挙げられる。
これらの中でも、シリコン系、変性シリコン系、フッ素系の、消泡剤又はレベリング剤は、下地層14に比較的少量の添加により効果があり、非シリコン系の場合に比べて添加量を少なくすることが好ましい。
また、非シリコン系の種類としては、例えば、アクリル系、ビニル系等が挙げられる。さらに、これらの他に、具体的には、2−エチルヘキサノール、ジイソブチルカルビノール、オレイン酸、トール油、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、低分子量ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ノニルフェノールEO低モル付加物、プルロニック型EO低モル付加物、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール誘導体、アクリル酸とブダジエンの共重合体等の有機極性化合物、(メタ)アクリル酸エステル重合体、鉱物油系消泡剤等が挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体が好ましく、中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル(t−,i−など)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基から選ばれるものが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、アクリル酸の炭素数1〜4の直鎖アルキルエステルと、アクリル酸の炭素数4〜10の分岐アルキルエステルとの、共重合体が好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸エチルと(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルの共重合体が好ましい。アクリル酸エチル/メタクリル酸エチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−エチルヘキシルの共重合体が特に好ましい。
重量平均分子量としては通常1000以下、好ましくは800以下、通常150以上である。
【0059】
下地層14の膜厚は、0.1μm〜100μmが好ましく、1μm〜50μmがより好ましく、3μm〜20μmが最も好ましい。
また、下地層14は単一の層で形成してもよいし、複数の層により形成する多層構造としても構わない。下地層14を多層構造とすることにより、印刷受容層15との界面に、印刷受容層15との密着性が高く、濡れ性の良好な層を配置し、一方で保護層13または基板10との界面に、光沢を付加したりあるいは、背景色として着色した層を配置したりすること等が可能となる。
【0060】
このように、各層に種々の機能を分担させることにより、下地層14の開発の自由度が増し、より優れた性能を持ったものを提供することができる。即ち、下地層14を多層構造とした場合には、印刷受容層15に最も近い下地層14に含有される消泡剤又はレベリング剤の含有量が上記の範囲であればよく、その他の下地層14についてはレベリング剤又は消泡剤の含有量が2.6質量%を超えていても構わない。
一方、単一層で下地層14を設ける場合は、一回の印刷操作によって下地層14を設けることができ、簡便かつ低コストである。さらに、多層構造の場合に比べると、ディスクの機械的特性に与える影響が少ない。
【0061】
(基板10)
本実施の形態において、基板10の材料としては、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いることができる。図1に示す基板面入射型の情報記録媒体Iの場合は、通常、記録・再生用のレーザ光Lに対して透明性が求められる。一方、図2に示す膜面入射型の情報記録媒体IIの場合は、記録・再生用のレーザ光Lに対して透明性や複屈折に対する制限がなくなる。
基板10の厚みは、特に制限されないが、通常0.5mm以上、1.3mm以下の範囲とするのが好ましい。
【0062】
基板10には、通常、トラッキング用の案内溝が形成されている。トラッキング用の案内溝は、通常、同心円状又はスパイラル状の溝として基板10上に設けられる。案内溝のトラックピッチは、情報記録媒体I,IIの記録再生に用いるレーザ光Lの波長によって異なる。具体的には、CD(Compact Disk)系の情報記録媒体I,IIでは、トラックピッチは、通常、1.4μm以上、1.7μm以下である。DVD(Digital Versatile Disk)系の情報記録媒体I,IIでは、トラックピッチは、通常、0.7μm以上、0.8μm以下である。青色レーザ用の情報記録媒体I,IIでは、トラックピッチは、通常、0.1μm以上、0.6μm以下である。
【0063】
一方、案内溝の溝深さも、情報記録媒体I,IIの記録・再生に用いるレーザ光Lの波長によって異なる。具体的には、CD系の情報記録媒体I,IIでは、溝深さは、通常10nm以上、300nm以下である。DVD系の情報記録媒体I,IIでは、溝深さは、通常10nm以上、200nm以下である。青色レーザ用の情報記録媒体I,IIでは、溝深さは、通常10nm以上、200nm以下である。
【0064】
また、基板10の表面に案内溝を形成する場合には、以下のとおりである。具体的には、金属やガラスを基板10の材料として用いる場合は、通常、これらの材料の表面に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂の薄い樹脂層を設け、その樹脂層に溝を形成する。プラスチックを基板10の材料として用いる場合、射出成型によって、基板10の形状と表面の案内溝を一挙に形成する。射出成型に使用可能なプラスチック材料としては、従来、CDやDVD等で用いられているポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0065】
尚、基板10としては、一般的に、中心にセンターホールを有する環形状のものを用いる。環形状は特に制限されず、円盤形状、楕円形状、多角形等の様々な形状を考えることができる。但し、基板10は通常、円盤形状とする。この場合、基板10の直径を80mm又は120mm程度とするのが通常である。
【0066】
(光情報記録層11)
次に、光情報記録層11について説明する。
光情報記録層11は、レーザ光Lの照射により光学特性、物理特性等が変化し、その結果デジタル情報が記録可能な材料により構成される。光情報記録層11を構成する材料は、通常、追記型情報記録媒体に用いられる有機色素材料と、書き換え可能型情報記録媒体に用いられる無機物質と、に大別される。
【0067】
追記型情報記録媒体に用いられる有機色素材料としては、例えば、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等の大環状アザアヌレン系色素;シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン系色素;さらに、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。特に、含金属アゾ系色素は、耐久性に優れるため好ましい。
【0068】
有機色素材料を用いて光情報記録層11を形成する場合、通常、有機色素材料を適当な溶媒に溶解した溶液を用い、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法が採用される。この際、溶媒としては、通常、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒;テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒;乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒等が挙げられる。
【0069】
光情報記録層11の厚さは、記録方法等により適宜選択され、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、1nm以上、好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。但し、光を透過させるという観点から、光情報記録層11の厚さは、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは100nm以下である。
【0070】
尚、追記型情報記録媒体の光情報記録層11として、無機材料の薄膜を用いることも可能である。このような無機材料の薄膜としては、例えば、Ge・Te、Ge・Sb・Te等のカルコゲン系合金膜;Si/Ge、Al/Sb等の2層膜;BiGeN、SnNbN等の(部分)窒化膜;TeOx、BiFOx等の(部分)酸化膜等が挙げられる。これらの薄膜は、通常、スパッタリングによって形成される。
この場合、光情報記録層11の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは2nm以上であり、通常50nm以下、好ましくは20nm以下である。
【0071】
書き換え可能型情報記録媒体に使用する無機物質としては、記録・消去を可逆的に行える材料が採用される。このような材料としては、例えば、SbTe系、GeTe系、GeSbTe系、InSbTe系、AgSbTe系、AgInSbTe系、GeSb系、GeSbSn系、InGeSbTe系、InGeSbSnTe系等の相変化材料が挙げられる。これらは通常、スパッタリングによって形成される。
【0072】
(光反射層12)
本実施の形態において、光反射層12を構成する材料には、記録再生光波長に対する反射率が高く、記録再生光波長に対して70%以上の反射率を有するものが好ましい。
記録再生光として用いられる可視光、特に、青色波長域で高反射率を示すものとしては、Au、Ag、Al及びこれらを主成分とする合金が挙げられる。中でも、Agを主成分とする合金は、反射率が高く、吸収が小さいのでより好ましい。
また、Agを主成分とする合金に他の元素を添加し、光反射層12の水分、酸素、硫黄等に対する耐食性を高めることができる。添加される他の元素としては、Au、Cu、希土類元素(特に、Nd)、Nb、Ta、V、Mo、Mn、Mg、Cr、Bi、Al、Si、Ge等が挙げられる。他の元素の添加量は、通常、0.01原子%〜10原子%である。Agは添加物を添加にすることにより平坦性が向上する性質があることから、他の元素の添加量は、0.1原子%以上が好ましく、0.5原子%以上がさらに好ましい。
尚、この他に、光反射層12として、誘電体層を複数積層した誘電体ミラーを用いることも可能である。
【0073】
光反射層12の膜厚は、70nm以下が好ましく、より好ましくは65nm以下である。さらに、後述する積層型の情報記録媒体を形成する場合を除き、光反射層12の膜厚の下限は、30nm以上が好ましく、より好ましくは40nm以上である。
光反射層12の表面粗さRaは、5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。
光反射層12はスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法等で形成することができる。
【0074】
(保護層13)
保護層13は、図1に示す基板面入射型の情報記録媒体Iの場合と、図2に示す膜面入射型の情報記録媒体IIの場合とで、要求される特性が異なるため、以下、場合を分けて説明する。
【0075】
(基板面入射型の場合の保護層13)
図1に示す基板面入射型の情報記録媒体Iの場合、保護層13を構成する材料は、光反射層12、光情報記録層11を外力から保護するものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線(以下、適宜「UV」という。)硬化性樹脂等の有機材料;酸化ケイ素、窒化ケイ素、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化スズ(SnO)等の無機材料が挙げられる。
【0076】
保護層13を構成する材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いる場合は、これらの材料を適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を光反射層12の上に塗布し、乾燥させることにより保護層13を形成する。
保護層13を構成する材料として、UV硬化性樹脂を用いる場合は、UV硬化性樹脂をそのまま又は適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を光反射層12の上に塗布し、UV光を照射して硬化させることによって保護層13を形成する。
UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単独又は複数種を混合して用いても良い。また、保護層13は、単一層又は多層として形成してもよい。
【0077】
保護層13の形成方法としては、スピンコート法、キャスト法等の塗布法;スパッタリング法、化学蒸着法等が挙げられる。中でもスピンコート法が好ましい。保護層13の膜厚は、その保護機能を果たすために、ある程度の厚みが必要とされるため、通常0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但し、保護層13の膜厚は、通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。保護層13の膜厚が過度に厚いと、保護層13を設けることにより得られる効果が変わらないだけでなく、保護層13を形成するのに長時間を要し、コストが増大する傾向がある。
【0078】
(膜面入射型の場合の保護層13について)
図2に示す膜面入射型の情報記録媒体IIの場合、保護層13を構成する材料には、光反射層12、光情報記録層11を外力から保護する強度と、記録再生用のレーザ光Lに対して透明且つ複屈折が少ない性質が求められる。
【0079】
保護層13の形成方法としては、通常、プラスチック板(以下、シート材と呼ぶ)を光情報記録層11上に接着剤を用いて貼り合せる接着法と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の硬化性材料を用いて調製した塗布液を光情報記録層11上に塗布した後、光、放射線または熱等により硬化性材料を硬化させる塗布法とが挙げられる。
保護層13は、記録再生用のレーザ光Lの波長λに対して透過率70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0080】
前述したシート材として用いられるプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル、三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。接着剤としては、光硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、感圧性接着剤等が挙げられる。中でも、感圧性接着剤としては、アクリル系、メタクリレート系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系の各種ポリマーからなる粘着剤が挙げられる。
【0081】
接着法により、シート材を光情報記録層11上に接着剤を用いて貼り合せる場合、例えば、接着剤である光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、この塗布液を光情報記録層11上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜上にシート材を重ね合わせる。その後、必要に応じ、シート材を重ね合わせた状態で媒体を回転させ、塗布液をさらに延伸展開した後、UVランプで紫外線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させる。
感圧性接着剤を用いる場合、あらかじめ感圧性接着剤を塗布したシート材を光情報記録層11上に重ね合わせた後、適度な圧力で押さえつけて圧着する。
【0082】
感圧性接着剤として例示した粘着剤としては、透明性、耐久性の観点から、アクリル系、メタクリレート系のポリマー粘着剤が好ましい。より具体的には、ポリマー粘着剤は、主成分モノマー(例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−オクチルアクリレート等)と、極性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等)とを共重合させて得られる。
ポリマー粘着剤のガラス転移温度Tg、タック性能(低い圧力で接触させたときに直ちに形成される接着力)、剥離強度、せん断保持力等の物性は、主成分モノマーの分子量、主成分モノマーが有する短鎖成分の割合、アクリル酸による架橋点密度により制御することができる。
アクリル系ポリマーを溶解するための溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等が挙げられる。さらに、ポリマー粘着剤は、ポリイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
【0083】
シート材を光情報記録層11上に上記粘着剤を用いて貼り合せる場合、シート材の光情報記録層11側に接する表面に所定量の粘着剤を均一に塗布し、溶剤を乾燥させた後、光情報記録層11側表面に貼り合わせローラー等により圧力をかけて硬化させる。粘着剤を塗布したシート材を光情報記録層11上に接着する際は、空気を巻き込み、泡を形成することを防止するため、真空中で貼り合せることが好ましい。
また、離型フィルム上に上記粘着剤を塗布して溶剤を乾燥した後、これにシート材を貼り合わせ、さらに離型フィルムを剥離してシート材と粘着剤層を一体化した後、光情報記録層11上に貼りあわせても良い。
【0084】
次に、塗布法によって保護層13を形成する場合、スピンコート法、ディップ法等が用いられる。特に、ディスク状媒体に保護層13を形成する場合は、スピンコート法が好ましい。塗布法によって保護層13を形成する場合に使用する材料としては、前述した接着法の場合と同様に、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。塗布法の場合、これらの樹脂を用いて調製した塗布液を光情報記録層11上に塗布後、塗布層に紫外線、電子線、放射線等を照射し、ラジカル重合又はカチオン重合を促進させて硬化させ、保護層13を形成する。
【0085】
尚、必要に応じ、保護層13の入射光側表面に、厚さ0.1μm〜50μm程度のハードコート層をさらに設けることもある。ハードコート層を設けることにより、保護層13の耐擦傷性、耐指紋付着性等が向上する。
保護層13の厚みは、記録再生用のレーザ光Lの波長λや対物レンズのNA(開口数)により適宜選択され特に限定されないが、通常、0.01mm〜0.3mmの範囲が好ましく、0.05mm〜0.15mmの範囲がより好ましい。この場合、接着層やハードコート層等の厚みを含む全体の厚みが、光学的に許容される厚み範囲となるようにするのが好ましい。例えば、いわゆるブルーレイディスク(Blu−ray)では、100μm±3μm程度以下に制御するのが好ましい。
【0086】
(その他の構成)
尚、本実施の形態で説明した情報記録媒体I,IIは、上述の各層の他に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の層を有していてもよい。例えば、上記各層の間に、相互の層の接触・拡散防止や、位相差及び反射率の調整のために、界面層を挿入することができる。
また、2層以上の光情報記録層を有する積層型の情報記録媒体にも本発明を適用することが可能である。その場合、印刷受容層15及び下地層14以外の各層については、材料や膜厚等を適宜変更することで実現可能である。いずれにしろ、記録再生用のレーザ光Lの入射側と反対側の情報記録媒体の最表面に、印刷受容層15及び下地層14を有する構成であれば良い。
尚、本実施の形態で説明した「印刷受容層を、情報記録媒体の外周部における情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速が4m/s以上の環境下でスピンコートする方法」は、「前記基板と、前記基板上に、少なくとも光情報記録層と印刷受容層を有し、前記印刷受容層は、平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体」の製造にも好ましく用いることができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。尚、実施例又は比較例の表記中、「部」及び「%」とは固形分質量部及び固形分質量%である。
【0088】
(実施例1)
−印刷受容層を形成する前の情報記録媒体の作製−
ポリカーボネート樹脂を用い、射出成形により、幅0.45μm、深さ155nmのグルーブを有し、厚さ1.2mmの基板を作製した。この基板上に、含金属アゾ系色素のアルコール溶液をスピンコートで塗布し、乾燥し、厚さ70nmの光情報記録層を形成した。
続いて、この光情報記録層上に銀をスパッタリングし、厚さ60nmの光反射層を形成した。続いて、この光反射層上に、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製商品名:SD3300)をスピンコート法で塗布し、高圧水銀灯を用いた紫外線照射により紫外線硬化性樹脂を硬化させ、厚さ5μmの保護層を形成した。
【0089】
その後、下地層として、非シリコン系であるアクリル系の消泡剤又はレベリング剤を2.6質量%で予め含み、アクリレート系モノマーを主成分とする紫外線硬化インク(紫外線硬化性組成物:十条ケミカル株式会社製商品名:レイキュアーインクVID F32 TH)をスクリーン印刷で保護層上に印刷し、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、膜厚10μmの白色の下地層を形成した。下地層の表面粗さRaは、以下の全ての実施例及び比較例も含め、0.08μm〜0.12μmの範囲であった。
尚、紫外線硬化インク(紫外線硬化性組成物:十条ケミカル株式会社製商品名:レイキュアーインクVID F32 TH)中に含まれる消泡剤又はレベリング剤の物性は、以下の通りである。
主成分;アクリル酸2−エチルへキシル/メタクリル酸2−エチルへキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸エチルの共重合体
・重量平均分子量550程度
・外観:無色液体
・比重:0.99〜1.03
・沸点:205℃
・水に不溶、大部分の有機溶剤に可溶
・皮膚の刺激性は殆どない
【0090】
−印刷受容層の形成−
水中に、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と湿式法シリカ(沈降法シリカ、吸油量200ml/100g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径9μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を調製した。次に、得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度30%のシリカ分散液1を作製した。
【0091】
次に、水中に、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、比表面積200m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度25%のシリカ分散液2を作製した。
【0092】
以上のシリカ分散液1及びシリカ分散液2を用い、常温で下記の印刷受容層配合1で混合し、固形分濃度が16%の印刷受容層塗布液を調製し、これを用いて情報記録媒体を作製した。
【0093】
<印刷受容層配合1>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 40部
シリカ分散液2(シリカ固形分として) 60部
ポリビニルアルコール 22部
(但し、ケン化度88%、平均重合度3,500)
ほう酸 3.5部
酢酸ジルコニル 3部
(第一希元素化学株式会社製ZA30)
工業用アルコール 25部
(平均二次粒子径500nm以下のシリカは、印刷受容層を構成する成分の全固形分に対して78質量%)
【0094】
前述した操作により下地層まで形成した情報記録媒体の下地層の上に、スピンコート法により上記印刷受容層塗布液を塗布した。印刷受容層塗布液の粘度は400mPa・sであった。また、スピン回転数は900rpmで3秒間振り切りを行った。このとき、コータカップ内で外周部から排気を行い、情報記録媒体の外周部における情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速は3m/sであった。その後、25℃の室温に20分放置し、印刷受容層を有する情報記録媒体1を作製した。
【0095】
尚、下地層上に形成する印刷受容層の膜厚が20μm程度となるように印刷受容層塗布液の塗布条件を制御した。印刷受容層塗布液の塗布条件は、以下の実施例及び比較例についても同様である。
また、上述した印刷受容層配合1において、シリカ分散液1を100部と、シリカ分散液2を100部とを、それぞれ別々に配合した塗布液を調製し、上記と同様な操作によりそれぞれ下地層上に塗布し、乾燥した。乾燥後、それぞれの表面を電子顕微鏡により観察したところ、シリカの平均二次粒子径は、いずれも100nmであった。
【0096】
(実施例2)
−印刷受容層を形成する前の情報記録媒体の作製−
下地層を形成する前の情報記録媒体については、実施例1と同様のものを用いた。次に、実施例1に用いた紫外線硬化インク(紫外線硬化性組成物:十条ケミカル株式会社製商品名:レイキュアーインクVID F32 TH)に含まれる消泡剤又はレベリング剤の量を1.6質量%に変更し、この紫外線硬化インクをスクリーン印刷で保護層上に印刷し、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、膜厚10μmの白色の下地層を形成した。
【0097】
−印刷受容層の形成−
実施例1と同様の操作により、下地層上に印刷受容層を形成し、実施例2の情報記録媒体2を作製した。
【0098】
(実施例3)
−印刷受容層を形成する前の情報記録媒体の作製−
下地層を形成する前の情報記録媒体については、実施例1と同様のものを用いた。次に、実施例1で使用した紫外線硬化インク(紫外線硬化性組成物:十条ケミカル株式会社製商品名:レイキュアーインクVID F32 TH)をスクリーン印刷で保護層上に印刷し、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、膜厚10μmの白色の下地層を形成した。
【0099】
−印刷受容層の形成−
実施例2において、情報記録媒体の外周部における排気風速を4m/sとした以外は同様の操作により実施例3の情報記録媒体3を作製した。
【0100】
(実施例4)
−印刷受容層を形成する前の情報記録媒体の作製−
印刷受容層を形成する前の情報記録媒体については、実施例3と同様の操作により形成したものを用いた。
【0101】
−印刷受容層の形成−
実施例3において、下記の印刷受容層配合2を用いた以外は同様の操作により実施例4の情報記録媒体4を作製した。
【0102】
<印刷受容層配合2>
シリカ分散液1(シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 20部
(但し、ケン化度88%、平均重合度3,500)
ほう酸 3部
酢酸ジルコニル 3部
(第一希元素化学株式会社製ZA30)
工業用アルコール 25部
(平均二次粒子径500nm以下のシリカは、印刷受容層を構成する成分の全固形分に対して79質量%)
【0103】
(実施例5)
実施例2において、下地層として消泡剤又はレベリング剤の量が0.1質量%になるように配合した他は実施例2と同様な操作により下地層と印刷受容層を形成し実施例5の情報記録媒体5を作製した。
【0104】
(比較例1)
実施例2において、下地層として消泡剤又はレベリング剤の量が3.0質量%になるように配合した他は実施例2と同様な操作により下地層と印刷受容層を形成し比較例1の情報記録媒体6を作製した。
【0105】
(比較例2)
実施例2において、下地層として消泡剤又はレベリング剤の量が4.0質量%になるように配合した他は実施例2と同様な操作により下地層と印刷受容層を形成し比較例2の情報記録媒体7を作製した。
【0106】
(比較例3)
実施例2と同様な操作により、下地層まで設けた情報記録媒体を形成した。さらに、下地層の上に、紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコートにより塗布し、印刷受容層を形成し、比較例3の情報記録媒体8を作製した。
ここで、紫外線硬化性樹脂組成物は、平均一次粒子径10nm且つ細孔容積3ml/gの合成シリカ30部、アクリロイルホルモリン35部、アルキル化ポリビニルピロリドン樹脂20部、ヒドロキシエチルアクリレート10部、カチオン樹脂(三菱化学株式会社製サフトマー)3部、光重合開始剤2部を配合して調製した。
ここで調製した印刷受容層は、ポリビニルアルコールを含有せず、いわゆる膨潤タイプであり、多孔質ではない。
【0107】
(比較例4)
比較例3において、下地層の消泡剤又はレベリング剤の量が2.6質量%になるように配合した他は比較例3と同様な操作により下地層と印刷受容層とを形成し、比較例4の情報記録媒体9を作製した。
【0108】
(比較例5)
比較例3において、下地層の消泡剤又はレベリング剤の量が4.0質量%になるように配合した他は比較例3と同様な操作により下地層と印刷受容層とを形成し、比較例5の情報記録媒体10を作製した。
得られた各々の情報記録媒体(1〜10)について下記の項目について評価を行った。その結果を表1に示す。
【0109】
<発色性A>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンタ(エプソン株式会社社製PM−G800)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、同画像を用いて作製した銀塩写真と比較し、下記の基準で発色性を目視評価した。
◎:銀塩写真より高い発色性を有する。
○:銀塩写真並の発色性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや発色性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに発色性が劣る。
【0110】
<発色性B>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のレーベルプリンタ(Remage株式会社製480i)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、上記の「発色性A」と同様に以下の基準で評価した。
◎:銀塩写真より高い発色性を有する。
○:銀塩写真並の発色性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや発色性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに発色性が劣る。
【0111】
<光沢性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンタ(エプソン株式会社製PM−G800)にて、印刷受容層面に人物及び風景画像を印字し、同画像を用いて作製した銀塩写真と比較し、下記の基準で光沢性を目視評価した。
○:銀塩写真並の光沢性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや光沢性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに光沢性が劣る。
【0112】
<乾燥性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンタ(エプソン株式会社製PM−G800)にて、印刷受容層面にレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
×:一部転写し実使用困難。
【0113】
<表面欠陥>
印刷受容層が部分的に下地層に弾かれて欠陥となっている状態、および塗布時の塗布液の飛沫が原因と思われる欠陥を観察し、以下の様に評価した。
◎:欠陥が全く無い。
○:飛沫によるわずかな欠陥があるが問題ないレベル。
△:多少欠陥があるが許容範囲であるレベル。
×:欠陥が多すぎて画像形成に支障が出るレベル。
【0114】
【表1】

【0115】
表1の結果より、実施例1〜実施例5において調製した情報記録媒体1〜情報記録媒体5は、印刷受容層が高い発色性を有し、光沢及び乾燥性が高いことが分かる。また、印刷受容層の密着性が高く、塗布液が飛散することによる表面欠陥が少ないレーベル面が形成されていることが分かる。
実施例1〜実施例5において調製した情報記録媒体1〜情報記録媒体5は、比較例1と比較例2において調製した情報記録媒体6,7と比較して、消泡剤又はレベリング剤の量を2.6質量%以下に抑えることにより、表面欠陥の少ないレーベル面が得られていることが分かる。特に、実施例3(情報記録媒体3)及び実施例4(情報記録媒体4)において、排気風速を高めることにより、塗布液の飛沫による欠陥が抑制されることが分かる。
比較例3〜比較例5において調製した情報記録媒体8〜情報記録媒体10は、印刷受容層がいわゆる膨潤タイプであるため、消泡剤又はレベリング剤の量にかかわらず表面欠陥は少ないが、乾燥性において劣ることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施の形態が適用される情報記録媒体の一例を説明する模式図である。
【図2】情報記録媒体の他の実施の形態を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0117】
10…基板、11…光情報記録層、12…光反射層、13…保護層、14…下地層、15…印刷受容層、L…レーザ光、I,II…情報記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に、少なくとも光情報記録層と、下地層及び印刷受容層と、を有し、
前記下地層は、消泡剤又はレベリング剤を2.6質量%以下含有し、
前記印刷受容層は、主成分として平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層である
ことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記無機微粒子は、平均二次粒子径が500nm以下に粉砕された湿式法シリカ(A)と、平均一次粒子径が10nm〜20nmの気相法シリカ(B)とを、(A/B)=(70/30)〜(30/70)の質量比で含有することを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記印刷受容層は、水溶性多価金属を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報記録媒体の製造方法であって、
印刷受容層をスピンコート法により下地層上に形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記印刷受容層は、前記情報記録媒体の外周部における当該情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速が4m/s以上である環境下で、前記スピンコート法により形成されることを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体の製造方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に直接又は他の層を介して形成された光情報記録層と、
前記基板のレーザ光が入射する側と反対側に直接又は他の層を介して形成された下地層及び印刷受容層と、を有し、
前記下地層は、消泡剤又はレベリング剤を0.1質量%〜2.6質量%の範囲で含有し、
前記印刷受容層は、主成分として平均二次粒子径が20nm〜500nmである無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層である
ことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に、少なくとも光情報記録層と印刷受容層を有し、
前記印刷受容層は、平均二次粒子径500nm以下である無機微粒子と、ポリビニルアルコールと、を含有する多孔質層であることを特徴とする情報記録媒体の製造方法であって、
前記印刷受容層は、前記情報記録媒体の外周部における当該情報記録媒体の中心から外周方向への排気風速が4m/s以上である環境下で、スピンコート法により形成される
ことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−151918(P2009−151918A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266271(P2008−266271)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】