説明

情報記録装置及び搬送障害検出方法

【課題】券面へ搬送状態検出用の指標を印字することなく、搬送障害が発生した際に、印字動作を即座に検出できる情報記録装置及び搬送障害検出方法を提供する。
【解決手段】被記録媒体を搬送する搬送部10と、被記録媒体に情報を記録する記録ヘッド部20と、前記被記録媒体の表面を画像として取得するカメラ41とカメラ41が取得した画像の変位量を測定する画像処理回路42とを有する光学センサ部40と、光学センサ部40から入力された前記画像の変位量に基づいて搬送障害を判定する判定部50とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害が発生した際に直ちに機器の管理者に状況を知らせると共に、運用回避処置が必要とされるキオスク端末等の自動機に用いて好適な情報記録装置及び搬送障害検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の情報記録装置では、査収金額等の印刷すべき情報(印字データ)のほかに、券表面に搬送状態を検出するための指標を印字して、この指標がセンサ部を通過するまでのロール紙の搬送距離を検出することにより、ロール紙の搬送が正常か、搬送障害が発生してロール紙の搬送が停止しているかを検出していた(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−50675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したプリンタでは、印字データと併せて券表面に搬送状態検出用の指標を印字するために、券面の美観を損ね、また、印字データの領域が狭まってしまう。このため、券面デザインへの制約が発生するといった問題がある。
また、印字データと併せて指標を印字するため、指標の印字が終わった後でないと搬送障害が検出できず、障害発生の検出が遅れて、プリンタヘッドへ負荷が掛かったり、障害復旧処置が困難になったりするといった問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、券面へ搬送状態検出用の指標を印字することなく、搬送障害が発生した際に、印字動作を即座に検出できる情報記録装置及び搬送障害検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る情報記録装置は、被記録媒体を搬送する搬送部と、前記被記録媒体に情報を記録する記録ヘッド部と、前記被記録媒体の表面を画像として取得するカメラと該カメラが取得した画像の変位量を測定する画像処理回路とを有する光学センサ部と、該光学センサ部から入力された前記画像の変位量に基づいて搬送障害を判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0007】
また、情報記録装置における被記録媒体の搬送障害を検出する搬送障害検出方法であって、前記被記録媒体の表面を画像として取得する工程と、前記画像から前記被記録媒体の変位量を測定する工程と、前記被記録媒体の変位量から搬送障害を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被記録媒体の表面の画像の変位量を測定し、この変位量に基づいて搬送障害を検出するので、印字データ中に指標を印字する必要がなくなり、券面デザインの制約をなくすことができる。
また、指標を印字しなくても搬送障害を検出することができるため、被記録媒体の搬送中のいかなる状態においても搬送障害を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一実施形態に係るロール紙プリンタAの概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るロール紙プリンタAのブロック図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るロール紙プリンタAの動作のフローチャートである。
【図4】本発明の第二実施形態に係るロール紙プリンタBの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るロール紙プリンタAの概略構成図であり、図2は、ロール紙プリンタAのブロック図である。
ロール紙プリンタAには、ロール状に巻回されたロール紙(被記録媒体)Pを引き出して所定の印字データを印字するものであり、図1に示すように、搬送部10と、記録ヘッド部20と、カッタ30と、光学センサ部40とが筐体2内に収容されると共に、図2に示すように、これら搬送部10〜カッタ30を制御する主制御部(判定部)50を備えている。
【0011】
搬送部10は、図1に示すように、ロール紙Pを一方向(以下、搬送方向Rと称する。)に搬送する搬送ローラ11と、この搬送ローラ11を回動させる搬送モータ12と、図2に示すように、主制御部50と各種信号の授受を行って搬送モータ12の回転数等を制御するモータ制御部13とを備えている。
【0012】
記録ヘッド部20は、図2に示すように、印字ヘッド21と、主制御部50と各種信号の授受を行って印字ヘッド21の印字タイミング等を制御するヘッド制御部22とを備えている。
【0013】
カッタ30は、図1に示すように、搬送方向Rにおいて、搬送部10及び記録ヘッド部20の下流に位置しており、主制御部50の命令に基づいて、印字(記録)が終了したロール紙Pをカットするものである。
【0014】
光学センサ部40は、ロール紙Pの表面を画像として取得するカメラ41と、カメラ41が取得した画像の変位量(搬送量)を測定する画像処理回路42とを有している。すなわち、この光学センサ部40は、カメラ41によりロール紙Pの表面を所定の時間間隔で撮像すると共に、画像処理回路42により時間前後の画像を比較することでロール紙Pの変位量を測定する。そして、このロール紙Pの変位量を、主制御部50に出力するようになっている。
この光学センサ部40は、搬送モータ12が動作している間は、常にロール紙Pの表面を監視しており、一定時間毎のロール紙Pの変位量を主制御部50(カウンタ53)に出力している。
【0015】
主制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51と、本体内部メモリ52と、カウンタ53と、搬送部10〜カッタ30と各種信号の授受を行うインタフェース回路(不図示)等から構成されている。この主制御部50は、メモリ52に予め記憶された制御プログラム及び入力される操作指示に基づいて、ロール紙プリンタAの全体動作を制御する。
【0016】
CPU51は、メモリ52、モータ制御部13、ヘッド制御部22、カウンタ53が接続されている。
このCPU51は、印字データDの入力を確認すると、印字データDをメモリ52に記憶させ、モータ制御部13を介して搬送モータ12を駆動すると共に、ヘッド制御部22を介して印字ヘッド21を駆動して、ロール紙Pに対して印字動作を行う。
【0017】
CPU51は、カウンタ53の値(一定時間毎のロール紙Pの変位量)を監視しており、この値がメモリ52に記憶された閾値に達していない場合に、搬送障害が発生したと判定し、モータ制御部13とヘッド制御部22の動作を停止させるとともに、搬送障害発生の警報を発するようになっている。
【0018】
続いて、上記構成からなるロール紙プリンタAの動作を、図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明において、Xライン,Yライン,Zラインとは、各種動作における走査ライン数を意味する。
【0019】
まず、印字データDがロール紙プリンタAに送られ、印字が開始されると印字開始位置までXライン分、ロール紙Pが搬送される(ステップS1)。このロール紙Pの搬送と共に、光学センサ部40がカウンタ53にロール紙Pの変位量を出力し、このロール紙Pの変位量がカウントされる。
【0020】
次に、CPU51は、カウンタ53及びメモリ52に記憶された閾値に基づいて、Xライン分の変位量となったか否か判定する(ステップS2)。
【0021】
ステップS2の判定が「No」の場合(Xライン分の変位量が検出されなかった場合)には、搬送障害が発生したものとして印字動作停止の処理を行うと共に、警報を発する。
一方、ステップS2の判定が「Yes」の場合(Xライン分の変位量が検出されなかった場合)には、印字開始位置にロール紙Pが来たと判断してステップS3に進む。
【0022】
ステップS3では、CPU51は、メモリ52に記憶された印字データD及び所定のプログラムに基づいて、搬送部10及び記録ヘッド部20を駆動し、ロール紙Pに対してYライン分印字する。この際、光学センサ部40がカウンタ53にロール紙Pの変位量を出力する。
【0023】
次に、CPU51は、カウンタ53及びメモリ52に記憶された閾値に基づいて、Yライン分の変位量となったか否か判定する(ステップS4)。
【0024】
ステップS4の判定が「No」の場合(Yライン分の変位量が検出されなかった場合)には、搬送障害が発生したものとして印字動作停止の処理を行うと共に、警報を発する。
一方、ステップS4の判定が「Yes」の場合(Yライン分の変位量が検出された場合)には、ステップS5に進む。すなわち、正常に搬送できたと判定した場合には、ステップS5に進む。
【0025】
ステップS5では、CPU51がメモリ52を参照して印字データDが残っているかの確認を行う。
【0026】
ステップS5の判定が「Yes」の場合、すなわち、印字データDが残っている場合は、Yラインの印字動作(ステップS3)と光学センサ部40による変位量の確認動作(ステップS4)を繰り返す。
一方、ステップS5の判定が「No」の場合、すなわち、印字データDを全て印字した場合には、ロール紙Pをカット位置に搬送するためにZライン分の搬送を行う(ステップS6)。
【0027】
次に、CPU51は、Zライン分の変位量となったか否か判定する(ステップS7)。
ステップS7の判定が「No」の場合(Zライン分の変位量が検出されなかった場合)には、搬送障害が発生したものとして印字動作停止の処理を行うと共に、警報を発する。
一方、ステップS7の判定が「Yes」の場合(Zライン分の変位量が検出された場合)には、カッタ30にてロール紙Pのカット処理を行い(ステップS8)、印字動作を終了する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のロール紙プリンタAによれば、画像処理機能を有し、画像の変位量を測定出来る光学センサ部40を搬送障害検出用のセンサとして使用し、用紙の表面形状の変化量を測定しロール紙Pの搬送状態を確認しているので、印字データ中に指標を印字することなく搬送障害を検出する事を可能とすると共に、用紙搬送中のいかなる状態においても搬送不良を検出することが可能となる。
このようなロール紙プリンタAによれば、券面のデザイン性の自由度を上げることができるので、券面のデザインを良好にすることができる。また、ロール紙Pの搬送中のいかなる状態においても搬送不良を検出することが可能となるので、搬送障害を迅速に検出するができる。
【0029】
すなわち、ロール紙プリンタAによれば、ロール紙Pの表面を画像として取得するカメラ41と、この画像の変位量を測定する画像処理回路42とを有する光学センサ部40と、画像の変位量に基づいて搬送障害を判定する主制御部50とを有するので、画像の変位量からより確実に搬送障害を判定することができる。
【0030】
また、主制御部50は、画像の変位量が所定の閾値未満であることを条件として搬送障害と判定するので、例えば、上記のように、各動作毎に閾値を個別に設定して、搬送障害を精度よく判定することが可能となる。
【0031】
また、記録ヘッド部20は、主制御部50が搬送障害と判定したことを条件として、ロール紙Pに印字データを記録することを停止するので、印字ヘッド21に負荷が掛かることを抑止し、障害復旧作業を困難にすることもない。
【0032】
また、このようなロール紙Pの表面を画像として取得する工程と、画像からロール紙Pの変位量を測定する工程と、ロール紙Pの変位量から搬送障害を判定する工程とを含む搬送障害検出方法によれば、印字データ中に指標を印字することなく搬送障害を検出することを可能とすると共に、ロール紙Pの搬送中のいかなる状態においても搬送不良を検出することが可能となる。
【0033】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図4は、本発明の第二実施形態に係るロール紙プリンタBを示す図である。なお、図4において、図1から3と同様の構成ついては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図4に示すように、ロール紙プリンタBは、上述した第一実施形態と基本的構成が同様であるが、光学センサ部40をカッタ30の後方に取り付けている。
この構成によれば、ロール紙Pをカットした後の顧客排出側の用紙を監視できるため、顧客がロール紙Pを取り忘れていないかを検出することができる。
【0035】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0036】
例えば、上述した実施の形態では、被記録媒体として、ロール紙Pを用いた構成としたが、矩形にされた印刷紙を用いてもよい。
また、上述した実施の形態では、搬送部10にモータ制御部13を、記録ヘッド部20にヘッド制御部22を設ける構成としたが、これらを設けずに、主制御部50によって搬送部10、記録ヘッド部20を直接制御してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…搬送部
20…記録ヘッド部
30…カッタ
40…光学センサ部
41…カメラ
42…画像処理回路
50…主制御部(判定部)
A,B…ロール紙プリンタ(情報記録装置)
P…ロール紙(被記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送する搬送部と、
前記被記録媒体に情報を記録する記録ヘッド部と、
前記被記録媒体の表面を画像として取得するカメラと該カメラが取得した画像の変位量を測定する画像処理回路とを有する光学センサ部と、
該光学センサ部から入力された前記画像の変位量に基づいて搬送障害を判定する判定部とを有することを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記画像の変位量が所定の閾値未満であることを条件として前記搬送障害と判定することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッド部は、前記判定部が搬送障害と判定したことを条件として、前記被記録媒体に情報を記録することを停止することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記被記録媒体は、ロール状に巻回され、この巻回された状態から引き出されて搬送される構成とされ、
該費記録媒体のうち前記記録ヘッドによって前記情報が記録された部分をカットするカッタを備え、
前記光学センサ部は、前記カッタの後方に配置されていることを特徴とする請求項1又は3のうちいずれか一項に記載の情報記録装置。
【請求項5】
情報記録装置における被記録媒体の搬送障害を検出する搬送障害検出方法であって、
前記被記録媒体の表面を画像として取得する工程と、
前記画像から前記被記録媒体の変位量を測定する工程と、
前記被記録媒体の変位量から搬送障害を判定する工程とを含むことを特徴とする搬送障害検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253899(P2010−253899A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109791(P2009−109791)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】