説明

情報読取装置

【課題】 二次元バーコードが印刷されるとともに、RFICチップとアンテナコイルが埋設されたハイブリッド型の情報記録媒体に記録された情報を読み取ることが可能であって、操作性の低下と読取精度の低下を防ぐことが可能な情報読取装置を提供することにある。
【解決手段】 情報記録媒体(カード2)を搬送する搬送路(搬送路1a)を有する情報読取装置(スワイプ式イメージスキャナ1)において、その搬送路には、情報記録媒体の通過を規制する規制部材(ゴム板17)が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やプラスチックなどの情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば免許証,キャッシュカード又はクレジットカード、またはパスポートなど、様々な個人情報が記録された情報記録媒体がある。情報記録媒体では、個人情報を記録するにあたって、磁気ストライプ,ICチップ,バーコード又は二次元バーコードなどが使用される。その他、情報記録媒体に、顔写真,指紋又はサインなどの視覚上の特徴を用いて個人情報を記録する場合もある。
【0003】
このうち、二次元バーコードに記録された個人情報を読み取る手法としては、種々ある。例えば、二次元イメージセンサが組み込まれたカメラを用いて対象物(二次元バーコード)を撮像し、得られた二次元画像データを解析して個人情報を読み取る手法や、フラットベッドスキャナ(Flat Bed Scanner)を用いて、ガラス上に載置された対象物(の二次元バーコード)を反対側から光学的に読み取る手法などがある。しかし、これらの手法は、いずれも高価な機器や広い設置環境が必要になることから、例えばデパートの受付や入国管理、個人ユースには不向きである。そのため、受付や個人ユースでは、カードの端を手に持ち(手でつまみ)、カードをスワイプさせて二次元バーコードに記録された情報を読み取るスワイプ型の情報読取装置が広く使用されている(例えば特許文献1参照)。なお、本明細書でいう「スワイプ」とは、情報記録媒体を情報読取装置の搬送路に沿って手動でさっと走らせる動作をいう。
【0004】
ところで、近年になって、RF(Radio Frequency)ICチップとアンテナコイルが埋設され、そのアンテナコイルを介して電磁的相互作用に基づき情報の送受信が行われる情報記録媒体が登場してきている。かかる情報記録媒体に記録された情報の読み取りは、情報記録媒体上の汚れや磨耗等に影響されないので、二次元バーコードに記録された情報を光学的に読み取る場合よりも精度が高いものとなる。
【0005】
さらに、上述した二次元バーコードが印刷されるとともに、RFICチップとアンテナコイルが埋設されたハイブリッド型の情報記録媒体(例えば特許文献2参照)が普及し始めており、両者に記録された情報の読み取りを一緒に行いたいというニーズが高まってきている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−168069号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−213253号公報(図1,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スワイプ型の情報読取装置では、情報記録媒体の端を手に持ち、それをスワイプさせて情報を読み取ることから、その情報記録媒体は搬送路を移動していることになる。一方で、RFICチップとアンテナコイルが埋設された情報記録媒体であって、特に顔画像や指紋など個人生体情報などデータ容量が大きい媒体は、電磁的相互作用に基づき情報を送受信する際の通信速度がその移動速度に対して遅いことから、適切な通信を行うために一時静止させる必要がある。そうすると、スワイプ型の情報読取装置で、二次元バーコードが印刷され、RFICチップとアンテナコイルが埋設されたハイブリッド型の情報記録媒体に記録された情報を読み取ろうとすると、"移動"と"一時静止"という相対立する動作を行う必要がある。
【0008】
この点、例えば、1度目のスワイプで、情報記録媒体を常時移動させて二次元バーコードに記録された情報を光学的に読み取り、2度目のスワイプで、情報記録媒体を一時静止させて、RFICチップと情報の送受信を行うことも考えられる。しかし、これでは2回の動作が必要になり操作性が低下する、という問題がある。
【0009】
一方で、例えば、情報記録媒体を途中まで移動させて二次元バーコードに記録された情報を光学的に読み取り、搬送路内で情報記録媒体がアンテナコイルと対向する位置に差し掛かったとき、それを一時静止させて、RFICチップと情報の送受信を行うことも考えられる。このようにすれば、途中に一時静止を含む1度のスワイプで、情報の読み取りが可能になる。
【0010】
しかしながら、情報記録媒体をスワイプさせる行為は人為的行為であるため、情報記録媒体が、搬送路内で毎回所定の位置で一時静止されるようにするのは困難である。加えて、場合によっては、二次元バーコードに記録された情報が光学的に完全に読み取られる前に、搬送スピードを遅くしてしまったり、誤って一時静止させてしまったりするケースも考えられ、二次元バーコードに記録された情報を読み取る際の搬送速度が変化することに起因して、二次元バーコードの読取精度が低下する、という問題がある。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次元バーコードが印刷されるとともに、RFICチップとアンテナコイルが埋設されたハイブリッド型の情報記録媒体に記録された情報を読み取ることが可能であって、操作性の低下や読取精度の低下を防ぐことが可能な情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0013】
(1) 情報記録媒体を搬送する搬送路を有する情報読取装置において、前記搬送路には、情報記録媒体の通過を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする情報読取装置。
【0014】
本発明によれば、情報読取装置において、紙やプラスチックなどの情報記録媒体を搬送する搬送路に、情報記録媒体の通過を規制する規制部材が設けられていることとしたから、搬送路によって搬送されている情報記録媒体を所望の位置で容易に止めることができる。
【0015】
従って、例えばスワイプ型の情報読取装置において、情報記録媒体をスワイプさせている最中に一時静止させることが容易となり、1度のスワイプで、二次元バーコードや顔写真等に記録された情報を光学的に読み取るとともに、RFICチップと情報の送受信を行うことができる。このように、本発明によれば、1度のスワイプで情報の読み取りが可能なので、従来の情報読取装置と比べて作業性の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、情報記録媒体をスワイプさせている最中に一時静止させることを、人為的操作に委ねるのではなく、情報記録媒体の通過を規制する規制部材に委ねることとしているので、情報読取装置の使用者は、「スワイプさせている最中に所定位置で止めなければならない」といったことを意識する必要がない。その結果、例えば二次元バーコードに記録された情報が光学的に完全に読み取られる前など、不必要な箇所で情報記録媒体の搬送スピードが変化するのを防ぐことができ、ひいては二次元バーコードの読取精度の低下を防ぐことができる。
【0017】
さらに、上述のとおり、情報読取装置の使用者は、「スワイプさせている最中に所定位置で止めなければならない」といった意識をもつ必要がないことから、作業性が向上し、作業ミスも少なくなる。加えて、目の見えない使用者であっても、規制部材に頼ることによって、使用者自身がスワイプ動作を目視確認しなくても情報記録媒体の位置決めを容易にすることができるので、視覚障害者用の福祉機器としての付加価値も見出すことができる。
【0018】
なお、本発明によれば、使用者が情報記録媒体から手を離しても、規制部材によってその情報記録媒体がホールドされるようになり、この状態で使用者は他の作業を行うことも可能である。
【0019】
ここで、「規制部材」は、情報記録媒体の通過を(一時的又は常時)規制するものであればよく、例えばシリコンゴム,天然ゴム,フッ素系樹脂,木材,アルミニウムやステンレス等の金属板など、如何なるものであってもよい。
【0020】
さらに、「情報読取装置」は、スワイプ型の情報読取装置のみならず、ディップ型の情報読取装置であってもよいし、モータ型の情報読取装置であってもよい。なお、「ディップ型の情報読取装置」とは、カード(情報記録媒体)をその搬送路の断面形状に設けたスリット状の挿入口に手動で差し込み又は引き抜くものをいい、また、「モータ型の情報読取装置」とは、挿入口から情報読取装置に差し込まれたカードをモータ駆動されるパッドローラ等に挟んで搬送するものをいう。
【0021】
(2) 前記規制部材は、情報記録媒体の搬送方向と略垂直に移動する可動規制部材であることを特徴とする(1)記載の情報読取装置。
【0022】
本発明によれば、上述した規制部材は、情報記録媒体の搬送方向と略垂直に移動する可動規制部材であることとしたから、搬送路に設けられた規制部材を除去することが容易となり、その結果、操作性を向上させることができる。すなわち、RFICチップとの情報の送受信を不要とするときは、搬送路に設けられた規制部材を、情報記録媒体の搬送方向と略垂直な方向に移動させ、搬送路外にもっていくことができるので、スワイプ操作がしやすくなるとともに、例えば1回でRFICの送受信と二次元バーコードや顔写真などを光学的に読み取る作業性よりも、たとえ2回の操作であっても小型化が必要な装置に於いては、光学的に読み取る際に規制部材を待避することができ、またRFIC送受信での位置決めも規制部材を出すことにより容易になるので、操作性や機能性を向上させることができる。
【0023】
また、顔画像や指紋情報の様な大きな容量のデータを含まないRFICに於いては、イメージセンサにて画像を読み取りながら媒体が移動している間に情報の送受信を終わらせることができるので、この様な場合は規制部材が不要となり、搬送路から予め規制部材を外すことができる。そのため、操作性を向上することができる。
【0024】
(3) 前記可動規制部材は、前記搬送路内に突出する所定形状のレバーであることを特徴とする(2)記載の情報読取装置。
【0025】
本発明によれば、上述した可動規制部材は、搬送路内に突出する所定形状(例えばL字形状,Z形状,ピン形状など)のレバーであることとしたから、規制部材を搬送路内に突出させるか、搬送路を形成するフレームに規制部材を収納するかを簡易にコントロールすることができ、ひいては操作性を簡易に向上させることができる。
【0026】
(4) 前記可動規制部材は、アクチュエータによって移動することを特徴とする(2)又は(3)記載の情報読取装置。
【0027】
本発明によれば、上述した可動規制部材は、ソレノイドなどのアクチュエータによって移動することとしたから、規制部材の移動を自動化することができ、ひいては操作性を更に向上させることができる。例えば、情報記録媒体を搬送路にスワイプさせ、その一端面が可動規制部材に衝突したとき、その時点から1秒後に自動的にフレーム中に引っ込むようにすることで、上述したL字形状のレバーをボタン等で動かすなどの人為的動作が介在することなく、スムーズな情報読取を実現することができる。
【0028】
(5) 前記所定形状のレバーは、ボタンと連結されていることを特徴とする(3)記載の情報読取装置。
【0029】
本発明によれば、上述した所定形状のレバーは、ボタンと連結されていることとしたから、簡易な構成で、搬送路に設けられた所定形状のレバーを除去することが容易となり、その結果、操作性や機能性を向上させることができる。
【0030】
(6) 前記所定形状のレバーは、前記ボタンによって移動することを特徴とする(5)記載の情報読取装置。
【0031】
本発明によれば、上述した所定形状のレバーは、上述したボタンによって移動することとしたから、ボタンを押下する、といった簡易な操作で、搬送路に設けられた所定形状のレバーを移動することができるので、その結果、操作性や機能性を向上させることができる。
【0032】
(7) 情報記録媒体を搬送する搬送路と、前記搬送路を形成するフレームに配設され、情報記録媒体に記録された情報を光学的に読み取るイメージセンサと、前記搬送路を形成するフレームに配設され、情報記録媒体内に埋設されたコイルと電磁誘導によって情報の送受信を行うRFアンテナと、を有する情報読取装置であって、前記RFアンテナは、前記イメージセンサの近傍に配設されていることを特徴とする情報読取装置。
【0033】
本発明によれば、搬送路と、フレームに配設されたイメージセンサと、情報記録媒体内に埋設されたコイルと電磁誘導によって情報の送受信を行うRFアンテナと、を有する情報読取装置で、RFアンテナが、イメージセンサの近傍に配設されていることとしたから、情報読取装置のコンパクト化を実現した上、1度のスワイプで、二次元バーコードや顔写真等に記録された情報を光学的に読み取るとともに、RFICチップと情報の送受信を行うことができる。なお、「近傍」とは、RFアンテナからの電磁波がイメージセンサの動作に影響を与える距離を意味する。
【0034】
(8) 前記RFアンテナは、前記イメージセンサと隣接して配設されていることを特徴とする(7)記載の情報読取装置。
【0035】
本発明によれば、上述したRFアンテナは、イメージセンサと隣接して配設されていることとしたから、スワイプ動作の中で媒体上の画像として読み取らせたい部位がイメージセンサを通過した後に、上述した規制部材に当たる様な配置にすることで、コンパクトでありながら1回のスワイプで操作を完了させることができる。
【0036】
(9) 前記RFアンテナは、前記イメージセンサを囲った状態で配設されていることを特徴とする(7)記載の情報読取装置。
【0037】
本発明によれば、上述したRFアンテナは、イメージセンサを囲った状態で配設されていることとしたから、情報読取装置の長さ、すなわち情報記録媒体の搬送方向の長さについては、RFアンテナによって形成される長方形の辺の長さ程度あれば足り、従来の情報読取装置では実現し得ないほどの小型化・コンパクト化を実現することができる。
【0038】
(10) 前記イメージセンサは、その一部又は全部が電磁界シールド部材で覆われていることを特徴とする(7)から(9)のいずれか記載の情報読取装置。
【0039】
本発明によれば、上述したイメージセンサは、その一部又は全部が電磁界シールド部材で覆われていることとしたから、たとえRFアンテナから発せられる電磁波がイメージセンサに当たったとしても、イメージセンサの作動に対する悪影響(例えば、光学画像中にノイズが発生するなど)を最小限に抑えることができる。なお、ここでいう「電磁界シールド」には、電界シールド(電解シールド)と磁界シールドの両者が含まれており、イメージセンサが電界または磁界の何れの方が影響受けやすいかなどを考慮して、いずれか一方を選択することができる。また、「電磁界シールド」は、電磁波を低減又は反射しうるものであれば如何なるものであってもよく、例えばアルミ箔,銅箔といった金属箔などが挙げられる。
【0040】
(11) 前記搬送路を形成するフレームを有し、当該フレームの一部が搬送基準面として形成され、当該搬送基準面に添って情報記録媒体がスワイプされることによって情報を読み取ることを特徴とする(1)から(10)のいずれか記載の情報読取装置。
【0041】
本発明によれば、上述した搬送路を形成するフレームを有し、そのフレームの一部が搬送基準面として形成され、その搬送基準面に添って情報記録媒体がスワイプされることによって情報を読み取ることとしたから、上述したような様々な効果を奏するスワイプ型の情報読取装置を提供することができる。また、2回のスワイプで操作性が低下することからコンパクト化が優先される装置においては、極めて小型な形状の装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、作業性・操作性の低下や読取精度の低下を防いだ上で、1回の操作(例えば1回のスワイプ)で、二次元バーコードや顔写真等に記録された情報を光学的に読み取るとともに、RFICチップと情報の送受信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0044】
[外観構成]
図1は、本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の外観構成を示す模式図である。図1(a)は、カード2をスワイプ式イメージスキャナ1に通している様子を示しており、図1(b)は、カード2を正面から見て拡大した様子を示している。
【0045】
図1(a)において、本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1は、断面形状がほぼコ字形状をなすフレームを有しており、このフレームの底部をカード走行基準面(搬送基準面)として形成されている。また、この底部を挟んで対向する2つの側板部の間に、搬送路1aが形成されている。なお、スワイプ式イメージスキャナ1の電気的構成については後述する。
【0046】
一方で、図1(b)において、カード2は、JISに準拠している一般的なカードであって、例えば、幅86mm,高さ54mm,厚み0.76mmというサイズのプラスチックカードである。なお、ここではプラスチックカードを採用したが、例えば、スタンプカードなどの紙カード,カード内部にICチップが内蔵されたICカード,カード表面に特殊な塗工を施してデータの書き換えが可能なリライトカードなど、その種類の如何は問わない。また、サイズに関しても、如何なるサイズであってもよい。
【0047】
カード2の表面には、符号化された様々な情報を有する二次元バーコード31と、カード2の所有者に関する視覚上の特徴を有する顔写真32と、が印刷されている。また、様々な情報を電子的に記憶・処理するRFICチップ33と、電磁誘導によってRFアンテナ16(図2参照)と情報の送受信を行うアンテナコイル34と、が埋設されている。
【0048】
なお、図1(b)では図示していないが、RFICチップ33とアンテナコイル34はエナメル線等で電気的に接続されている。一方で、図1(b)では、カード2に埋設されたRFICチップ33とアンテナコイル34を視認することができるが、これは説明の便宜のためである。また、アンテナコイル34は、カード2のほぼ全域を囲むように配置されているが、本発明はこれに限られず、RFアンテナ16と通信可能な程度の大きさ・配置であればよい。
【0049】
[機械的・電気的構成]
図2は、本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。
【0050】
図2において、本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1は、密着型のイメージセンサ11と、カード2が搬送路1aを通過するときに、カード2と接触して回転するパッドローラ12と、パッドローラ12の回転を検出してカード2の位置情報を取得するエンコーダ13と、を有する。また、イメージセンサ11は、撮像された二次元バーコード31や顔写真32の画像データを記憶する画像メモリ14と電気的に接続され、その画像メモリ14は、画像メモリ14から取り込んだ画像データに対して様々な処理を施す画像処理手段15と電気的に接続されている。また、カード2に埋設されたアンテナコイル34と電磁誘導によって情報の送受信を行うRFアンテナ16を有しており、このRFアンテナ16は、回路基板等(図示せず)に接続され、電気的にドライブされている。また、搬送路1aの最下端、すなわちスワイプの終端には、ゴム板17が設けられている。なお、RFアンテナ16は、通信ケーブル等によってホスト側の装置(図示せず)と電気的に接続されていてもよい。
【0051】
以上のような機械的・電気的構成に基づき、本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の動作について説明する。
【0052】
まず、イメージセンサ(撮像素子)11は、搬送路1aを通過するカード2の二次元バーコード31や顔写真32(図1(b)参照)を光電変換によって撮像する。そして、撮像された二次元バーコード31や顔写真32の画像データは、画像メモリ14において記憶される。その後、画像処理手段15は、画像メモリ14に記憶されている画像データを読み込んで、位置検出処理,構造解析処理,復号処理などの信号処理を行う。これにより、光学的な情報の読み取りが完了する。
【0053】
次に、カード2がゴム板17に衝突すると、カード2は一時静止する。このとき、カード2に埋設されたアンテナコイル34とRFアンテナ16との間で電磁誘導により情報の送受信が行われる。最後に、電磁的な情報の読み取りが完了した後、カード2を(図2中の手前方向に)引き抜けばよい。なお、本実施形態では、光学的な情報の読み取り完了後に、電磁的な情報の読み取りが完了することとしたが、タイミングは同時であってもよいし、逆であってもよい。また、情報読取装置として、ディップ型の情報読取装置を採用した場合にあっては、挿入と逆向きにカード2を引き抜けばよい。
【0054】
このように、本実施形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1によれば、搬送路1a内を搬送中のカード2を所定の位置(アンテナコイル34とRFアンテナ16とが情報の送受信を適切に行うことができる位置)で容易に止める(一時静止させる)ことができ、従来の情報読取装置と比べて作業性を向上させることができる。また、スワイプ式イメージスキャナ1の使用者は、「スワイプさせている最中に所定位置で止めなければならない」といった意識をもつ必要がないことから、作業ミスも少なくなり、目が見えなくてもカード2を所定の位置でとめることができる。さらに、かかる意識をもつ必要がないことは、搬送路1aにおける、イメージセンサ11(パッドローラ12)と対向する位置付近で、カード2の搬送スピードが変化するのを防ぐことができ、結果として二次元バーコード31の読取精度の低下を防止することができる。
【0055】
なお、ディップ型の情報読取装置を採用した場合であっても、モータ型の情報読取装置を採用した場合であっても、搬送中のカード2に埋設されたアンテナコイル34とRFアンテナ16との間で電磁誘導により情報の送受信が行われるように設ければ、本実施形態で説明した「スワイプ型」と同様の効果を得ることができる。
【0056】
[変形例]
図3は、本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。図3に示すスワイプ式イメージスキャナ1の特徴的な部分は、規制部材として、搬送路1a内に先が突出するL字形状のレバー18を採用している点である。なお、図2と同じ要素については、同符号で示すものとする。
【0057】
図3(a)に示すように、当初、レバー18は、搬送路1a内に先が突出した状態となっており、カード2の通過を規制している。そして、カード2がレバー18に衝突すると、カード2に埋設されたアンテナコイル34とRFアンテナ16との間で情報の送受信が行われる。その後、ボタン19を押下することによって、レバー18がスワイプ式イメージスキャナ1(のフレーム)内に引き込まれるとともに、カード2への通過規制が解除され、最後までスワイプすることができる(図3(b)参照)。なお、ボタン19を離すと、バネ等の付勢手段(図示せず)によって、レバー18は元に戻るようになっている。
【0058】
このように、本実施形態によれば、ボタン19を押下するのかしないのかによって、レバー18を搬送路1aに突出させるか、フレーム内に引き込むかをコントロールすることができるので、操作性を向上させることができる。また、図示するように、一本の部材から構成されるL字形状のレバー18を用いているので、容易かつ安価に操作性を向上させることができる。
【0059】
図4は、本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。図4に示すスワイプ式イメージスキャナ1の特徴的な部分は、ゴム板17がソレノイドなどのアクチュエータ20によって移動することができるようになっている点である。なお、図2と同じ要素については、同符号で示すものとする。
【0060】
図4(a)に示すように、当初、ゴム板17は、カード2の通過を規制する位置に設けられている。そして、カード2がゴム板17に衝突すると、カード2に埋設されたアンテナコイル34とRFアンテナ16との間で情報の送受信が行われる。その後、所定時間(例えば1秒)が経過した後に、アクチュエータ20によってゴム板17がスワイプ式イメージスキャナ1(のフレーム)内に引き込まれるとともに、カード2への通過規制が解除され、最後までスワイプすることができる(図4(b)参照)。
【0061】
このように、本実施形態によれば、アクチュエータ20の機能によって、ゴム板17を搬送路1aに突出させるか、フレーム内に引き込むかをコントロールすることができるので、操作性を更に向上させることができる。なお、例えばホスト側の装置(図示せず)から引き込み指令を送ることによっても、カード2への通過規制を解除することができる。なお、本実施形態では、ゴム板17は図中の横方向に移動することとしたが、本発明はこれに限られず、例えば図中の縦方向・斜め方向に移動することとしてもよい。
【0062】
図5は、本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナ1の機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。図5に示すスワイプ式イメージスキャナ1の特徴的な部分は、図3に示すレバー18の突出・引き込みを、アクチュエータ20'によって実現した点である。なお、図2と同じ要素については、同符号で示すものとする。
【0063】
図5において、図3を用いて説明したのと同様、アンテナコイル34とRFアンテナ16との間における情報の送受信が完了した後、カード2への通過規制を解除する、という動作が、アクチュエータ20'の機能によって実現されることとなる。従って、本実施形態によれば、操作性を更に向上させることができる。
【0064】
図6は、RFアンテナ16を、イメージセンサ11と隣接して配設したときの様子を示す模式図である。図6に示すスワイプ式イメージスキャナ1は、図2に示すスワイプ式イメージスキャナ1よりも、搬送方向の長さが短くなっている。このように、光学的な情報の読み取りと電磁的な情報の読み取りを一緒に行うとの思想の下で、RFアンテナ16を、イメージセンサ11と隣接して配設することで、コンパクト化を実現することができる。なお、ここでは搬送路1aの最下端にゴム板17を設けているが、必ずしも必要なものではない。
【0065】
図7は、RFアンテナ16を、イメージセンサ11を囲った状態となるように配設したときの様子を示す模式図である。図7に示すスワイプ式イメージスキャナ1は、図6に示すスワイプ式イメージスキャナ1よりも更に、搬送方向の長さが短くなっている。このように、光学的な情報の読み取りと電磁的な情報の読み取りを一緒に行うとの思想の下で、RFアンテナ16を、イメージセンサ11を囲った状態となるように配設することで、従来のものと比べて飛躍的なコンパクト化を実現することができる。
【0066】
図8は、イメージセンサ11を銅箔21で覆ったときの様子を示す模式図である。図6や図7を用いて説明したようなコンパクト化を実現したとき、情報記録媒体内に埋設されたアンテナコイル34とRFアンテナ16が情報を送受信するのに用いる電磁波がイメージセンサ11に当たる(通過する)場合があるが、かかる場合であっても、その悪影響(例えばイメージセンサ11によって撮像された画像データにノイズがのる等)を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る情報読取装置は、操作性や読取精度の低下を防ぎつつ、1度の操作で、光学的な情報の読み取りと電磁的な情報の読み取りが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナの外観構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナの機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナの機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナの機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係るスワイプ式イメージスキャナの機械的・電気的構成の概要を示す模式図である。
【図6】RFアンテナを、イメージセンサと隣接して配設したときの様子を示す模式図である。
【図7】RFアンテナを、イメージセンサを囲った状態となるように配設したときの様子を示す模式図である。
【図8】イメージセンサを銅箔で覆ったときの様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 スワイプ式イメージスキャナ
1a 搬送路
2 カード
11 イメージセンサ
12 パッドローラ
13 エンコーダ
14 画像メモリ
15 画像処理手段
16 RFアンテナ
17 ゴム板
18 レバー
19 ボタン
20 アクチュエータ
21 銅箔
31 二次元バーコード
32 顔写真
33 RFICチップ
34 アンテナコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体を搬送する搬送路を有する情報読取装置において、
前記搬送路には、情報記録媒体の通過を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記規制部材は、情報記録媒体の搬送方向と略垂直に移動する可動規制部材であることを特徴とする請求項1記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記可動規制部材は、前記搬送路内に突出する所定形状のレバーであることを特徴とする請求項2記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記可動規制部材は、アクチュエータによって移動することを特徴とする請求項2又は3記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記所定形状のレバーは、ボタンと連結されていることを特徴とする請求項3記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記所定形状のレバーは、前記ボタンによって移動することを特徴とする請求項5記載の情報読取装置。
【請求項7】
情報記録媒体を搬送する搬送路と、
前記搬送路を形成するフレームに配設され、情報記録媒体に記録された情報を光学的に読み取るイメージセンサと、
前記搬送路を形成するフレームに配設され、情報記録媒体内に埋設されたコイルと電磁誘導によって情報の送受信を行うRFアンテナと、を有する情報読取装置であって、
前記RFアンテナは、前記イメージセンサの近傍に配設されていることを特徴とする情報読取装置。
【請求項8】
前記RFアンテナは、前記イメージセンサと隣接して配設されていることを特徴とする請求項7記載の情報読取装置。
【請求項9】
前記RFアンテナは、前記イメージセンサを囲った状態で配設されていることを特徴とする請求項7記載の情報読取装置。
【請求項10】
前記イメージセンサは、その一部又は全部が電磁界シールド部材で覆われていることを特徴とする請求項7から9のいずれか記載の情報読取装置。
【請求項11】
前記搬送路を形成するフレームを有し、当該フレームの一部が搬送基準面として形成され、当該搬送基準面に沿って情報記録媒体がスワイプされることによって情報を読み取ることを特徴とする請求項1から10のいずれか記載の情報読取装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−236083(P2006−236083A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51062(P2005−51062)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】