説明

情報読取装置

【課題】 利便性の高い情報読取装置を提供する。
【解決手段】 情報読取装置1によれば、非接触ICカードリーダライタ30の読取り位置(通信可能な位置)が、イメージセンサ40の読取り位置(焦点位置)とほぼ一致し、さらに、非接触ICカードリーダライタ30で読取り可能な範囲が、イメージセンサ40の画角におさまる範囲とほぼ一致し、これらの読取手段が互いに向かい合っているため、同じ読取位置で、非接触ICカードリーダライタ30とイメージセンサ40とのいずれでも情報の読取りを行うことができる。すなわち、利用者は単一の読取り位置のみを認識していれば足りるため、利便性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、上面に、カードに搭載されたICチップに記録されているカード情報を非接触で読取る非接触読取機能を有するカード読取部6aと、下面に設けられた搭乗券等に付されたバーコードを読取るバーコードリーダ6b等を備えているチェックイン端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利便性の高い情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報読取装置は、情報記録媒体を接触させる接触面と、前記接触面の近傍に設けられ、前記情報記録媒体から情報を読み取る第1の読取手段と、前記接触面と向かい合う面に設けられ、前記接触面の方向で画像情報を読み取る第2の読取手段とを有し、前記第1の読取手段及び前記第2の読取手段は、前記接触面の同じ位置で、前記情報記録媒体から情報を読み取ることができる。
【0006】
好適には、前記第1の読取手段は、前記情報記録媒体から、非接触で情報を読み取るためのアンテナであり、前記第2の読取手段は、光学レンズを用いて、前記情報記録媒体に表示された情報を撮影するカメラであり、前記光学レンズは、前記接触面上でフォーカスが合うように設計されている。
【0007】
好適には、前記接触面は、上方を向いた面であり、前記第2の読取手段は、下方を撮影するカメラである。
【0008】
好適には、情報読取装置の筐体前面に設けられ、情報記録媒体を配置可能な深さに窪んだ凹部をさらに有し、前記接触面は、前記凹部の底面に設けられ、前記第2の読取手段は、前記凹部の天面に設けられている。
【0009】
好適には、前記接触面は、前記筐体の前面に向けて、下方に傾斜してなる。
【0010】
好適には、前記第1の読取手段又は前記第2の読取手段による読取結果に基づいて、既定の情報処理が終了後に情報記録媒体が前記接触面に残存している旨を検知する残存検知手段をさらに有する。
【0011】
好適には、前記第1の読取手段又は前記第2の読取手段による読取結果に基づいて、情報記録媒体の表裏をひっくり返すように通知する通知手段をさらに有する。
【0012】
好適には、表示装置と、前記第2の読取手段により読み取られた画像と、情報記録媒体を配置すべき領域を示すガイド画像とを合成し、合成された画像を前記表示装置に表示させるガイド画像表示手段とをさらに有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利便性の高い情報読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の情報読取装置1の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】情報読取ユニット10の凹部100近傍における断面を模式的に示す図である。
【図3】情報読取装置1の全体動作(S10)を説明するフローチャートである。
【図4】変形例1における凹部100近傍の断面を模式的に示す図である。
【図5】撮影された画像とガイド情報との合成画像を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の情報読取装置1の全体構成を模式的に示す。
図1に示すように、情報読取装置1は、情報読取ユニット10と、情報処理ユニット20とを備える。情報読取ユニット10の筐体前面には、情報記録媒体を挿入するための凹部100が設けられている。ここで、情報記録媒体は、情報を記録できる媒体であれば何でもよいが、例えば、ICチップが搭載されたICカード、二次元コードなどのコードパターンが表面に印刷されたカード、ICチップ及びバーコードの両方が設けられたカード、又は、ICチップが搭載され二次元コードが表示可能な携帯電話などである。
情報読取ユニット10は、情報処理ユニット20の下方に設けられており、凹部100は、例えば、利用者の腰から肩の間の高さに位置するよう配置されている。
【0016】
情報処理ユニット20は、タッチパネル200と、センサ202と、情報処理装置50(不図示)とを有する。タッチパネル200は、凹部100と同じ筐体前面に設けられており、利用者の操作をガイドするガイド情報などの表示、及び、利用者による入力操作の受付を行う。センサ202は、例えば、利用者の接近を検知する対人センサであり、タッチパネル200の下方に設けられる。情報処理装置50は、情報処理ユニット20の筐体内部に設けられ、例えば、CPU(中央演算装置)、メモリ及び入出力制御装置などを有する。
【0017】
図2は、情報読取ユニット10の凹部100近傍における断面を模式的に示す。
図2に示すように、情報読取ユニット10の前面(すなわち、利用者と対向する操作面)に設けられた凹部100は、略水平な底面102及び天面106と、略鉛直な奥側面104とを有する。
底面102及び天面106は、互いに向かい合っており、少なくとも、情報記録媒体(例えば、カード状の媒体及び携帯電話)が挿入できる程度に離間している。例えば、天面106は、後述するイメージセンサ40が情報記録媒体を画角におさめることができ、かつ、イメージセンサ40の焦点位置が底面102となるように、離間している。より具体的には、底面102と天面106とは、4.5cm〜10.5cm離間している。
また、奥側面104は、情報読取ユニット10の前面から、情報記録媒体全体を収容できる程度に後退した位置にある。すなわち、凹部100は、情報記録媒体を配置可能な深さ(例えば、10cm〜20cmの深さ)に窪んだ領域である。
【0018】
底面102には、非接触ICカードリーダライタ30が設けられている。非接触ICカードリーダライタ30は、本発明に係る第1の読取手段の一例である。より具体的には、底面102の直下に、非接触ICカードリーダライタ30のアンテナが埋め込まれている。非接触ICカードリーダライタ30は、底面102上の読取領域(本発明の接触面)に配置されたICカードから、非接触で情報の読出し及び書込みを行う。
【0019】
天面106には、イメージセンサ40が設けられている。イメージセンサ40は、本発明に係る第2の読取手段の一例である。イメージセンサ40は、下方を撮影するように天面106に設置されている。イメージセンサ40は、レンズ400と、発光装置402とを有する。レンズ400は、底面102と天面106との間の距離に対応する焦点距離に設計されている。発光装置402は、例えば、情報記録媒体を配置すべき位置を示すガイド情報を、底面102上に投影する。また、発光装置402は、イメージセンサ40による撮影に必要な光を底面102に向けて照射する。
【0020】
図3は、情報読取装置1の全体動作(S10)を説明するフローチャートである。
図3に示すように、ステップ100(S100)において、センサ202は、利用者が情報読取装置1の前面に接近したことを検知すると、検知した旨を情報処理装置50に出力する。
【0021】
ステップ102(S102)において、情報処理装置50は、センサ202からの出力に応じて、初期画面をタッチパネル200に表示させる。
タッチパネル200は、初期画面を表示して、利用者の操作を受け付ける。
【0022】
ステップ104(S104)において、情報処理装置50は、タッチパネル200に、順次、メニュー又は入力画面を表示させて、利用者が望むサービスに対応する入力操作を受け付ける。
【0023】
ステップ106(S106)において、情報処理装置50は、利用者に要求されたサービスが非接触ICカードの情報のみを必要とするものであるか否かを判断し、非接触ICカードの情報のみが必要とするものであると判断した場合に、S108の処理に移行し、これ以外の場合(すなわち、二次元コードなどで表された情報を必要とするサービスである場合)に、S110の処理に移行する。
【0024】
ステップ108(S108)において、情報処理装置50は、タッチパネル200に、「規定の位置に媒体を置いてください。」と表示させて、情報記録媒体を底面102の読取領域に置くよう促す。さらに、発光装置402は、情報処理装置50の指示に応じて、情報記録媒体を置くべき位置を底面102上に投影する。
利用者は、タッチパネル200の表示に従って、底面102の読取領域に、情報記録媒体を置く。
【0025】
ステップ110(S110)において、情報処理装置50は、タッチパネル200に、「コードを上向きにして規定の位置に媒体を置いてください。」と表示させて、コードが表示された面を上向きにして、情報記録媒体を底面102の読取領域に置くよう促す。さらに、発光装置402は、情報処理装置50の指示に応じて、情報記録媒体を置くべき位置を底面102上に投影する。
利用者は、タッチパネル200の表示に従って、底面102の読取領域に、コードの表示面が上向きとなるように情報記録媒体を置く。
【0026】
ステップ112(S112)において、非接触ICカードリーダライタ30は、底面102の読取領域に置かれた情報記録媒体と、非接触に通信を行い、情報の読出しを行う。
また、イメージセンサ40は、コードの読取りが必要である場合(S106:No)、底面102の方向を撮影して、情報記録媒体に表示された二次元コードを読み取る。
【0027】
ステップ114(S114)において、情報処理装置50は、非接触ICカードリーダライタ30により読み取られたデータ、及び/又は、イメージセンサ40により読み取られたデータを検証し、データの読取りが正常に行われたか否かを判断する。
情報処理装置50は、データの読取りが正常に行われた場合に、S116の処理に移行し、データの読取りが正常に行われなかった場合に、S106の処理に戻って、再読取を行う。
【0028】
ステップ116(S116)において、情報処理装置50は、情報記録媒体から読み取られたデータに基づいて、サービスを継続し、サービス終了後に、タッチパネル200による表示、又は、発光装置402による投影によって、情報記録媒体の持ち帰りを促す。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の情報読取装置1によれば、非接触ICカードリーダライタ30の読取り位置(通信可能な位置)が、イメージセンサ40の読取り位置(焦点位置)とほぼ一致し、さらに、非接触ICカードリーダライタ30で読取り可能な範囲が、イメージセンサ40の画角におさまる範囲とほぼ一致し、これらの読取手段が互いに向かい合っているため、同じ読取位置で、非接触ICカードリーダライタ30とイメージセンサ40とのいずれでも情報の読取りを行うことができる。すなわち、利用者は単一の読取り位置のみを認識していれば足りるため、利便性が向上する。
また、発光装置402によるガイド情報を、非接触ICカードリーダライタ30による読取処理とイメージセンサ40による読取処理とで兼用できるため、コストダウンが期待できる。
また、発光装置402は筐体前面の凹部100の天面から底面に向けて光を照射するため、発光装置402による光が直接利用者の目に入る危険性が減少するものと期待される。
また、イメージセンサ40が下方を向いて設置されているため、イメージセンサ40に対する外来光の影響が小さくなり、コードデータなどの読取精度が向上するものと期待される。
【0030】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
[変形例1]
図4は、変形例1における凹部100近傍の断面を模式的に示す。
図4に示すように、底面102が略水平ではなく、傾斜した平面であってもよい。本変形例では、底面102が、情報読取ユニット10の筐体前面に向けて、下方に傾斜している。すなわち、利用者に向かって、底面102が低くなるため、この底面102に置かれた情報記録媒体は、利用者側に向かって滑り落ちる。そのため、利用者は情報記録媒体を支えながら操作することになり、情報記録媒体(ICカードなど)の置き忘れ防止が期待できる。さらには、情報記録媒体を底面102に置いた場合でも、情報記録媒体の視認性が確保され、利用者は安心して情報読取装置1を利用できる。
また、図4に示すように、本変形例では、底面102の読取領域の中央部分に、情報記録媒体を置くべき位置を示すガイドランプ108が設けられている。天面106からガイド情報を投影する代わりに、底面102にガイドランプ108を設けて、情報記録媒体の載置位置を示唆してもよい。
なお、情報記録媒体が凹部100から完全に滑り落ちることを防止するために、底面102にストッパー110を設けてもよい。本変形例のストッパー110は、読取領域よりも利用者側(前面側)に設けられ、上方に突出した突起物である。
【0031】
[変形例2]
情報処理装置50(残存検知手段)は、非接触ICカードリーダライタ30による通信の可否、又は、イメージセンサ40によるコード読取りの可否に基づいて、情報記録媒体の置忘れを検知し、利用者に警告するようにしてもよい。
また、情報処理装置50(通知手段)は、非接触ICカードリーダライタ30による通信の可否、及び、イメージセンサ40によるコード読取りの可否に基づいて、情報記録媒体の表裏をひっくり返すよう通知してもよい。より具体的には、情報処理装置50は、非接触ICカードリーダライタ30による通信が可能であると判断され、かつ、イメージセンサ40によるコード読取りが不可能であると判断された場合に、情報記録媒体の表裏をひっくり返すよう通知する。なお、情報処理装置50は、イメージセンサ40によって物体の存在が検知され、かつ、コード読取りが不可能である場合に、情報記録媒体の表裏をひっくり返すよう通知してもよい。
【0032】
[変形例3]
情報処理装置50(ガイド画像表示手段)は、図5に例示するように、イメージセンサ40により読み取られた画像に、情報記録媒体を置くべき位置を示すガイド情報を合成し、合成された画像をタッチパネル200に表示させてもよい。図5に例示する形態では、情報記録媒体を置くべき位置を示すガイド情報と、情報記録媒体のコード印字面を上にするように促すガイド情報とが、イメージセンサ40により撮影された画像に合成されているが、これに加えて、正常に読取りができたか否かを表す情報なども合成して表示されてもよい。
情報処理装置50は、リアルタイムで、イメージセンサ40により読み取られた画像に、これらのガイド情報を合成して表示させることにより、利用者はタッチパネル200を見ながら、情報記録媒体の位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…情報読取装置
10…情報読取ユニット
20…情報処理ユニット
30…非接触ICカードリーダライタ
40…イメージセンサ
50…情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体を接触させる接触面と、
前記接触面の近傍に設けられ、前記情報記録媒体から情報を読み取る第1の読取手段と、
前記接触面と向かい合う面に設けられ、前記接触面の方向で画像情報を読み取る第2の読取手段と
を有し、
前記第1の読取手段及び前記第2の読取手段は、前記接触面の同じ位置で、前記情報記録媒体から情報を読み取ることができる
情報読取装置。
【請求項2】
前記第1の読取手段は、前記情報記録媒体から、非接触で情報を読み取るためのアンテナであり、
前記第2の読取手段は、光学レンズを用いて、前記情報記録媒体に表示された情報を撮影するカメラであり、
前記光学レンズは、前記接触面上でフォーカスが合うように設計されている
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記接触面は、上方を向いた面であり、
前記第2の読取手段は、下方を撮影するカメラである
請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
情報読取装置の筐体前面に設けられ、情報記録媒体を配置可能な深さに窪んだ凹部
をさらに有し、
前記接触面は、前記凹部の底面に設けられ、
前記第2の読取手段は、前記凹部の天面に設けられている
請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記接触面は、前記筐体の前面に向けて、下方に傾斜してなる
請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記第1の読取手段又は前記第2の読取手段による読取結果に基づいて、既定の情報処理が終了後に情報記録媒体が前記接触面に残存している旨を検知する残存検知手段
をさらに有する請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記第1の読取手段又は前記第2の読取手段による読取結果に基づいて、情報記録媒体の表裏をひっくり返すように通知する通知手段
をさらに有する請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項8】
表示装置と、
前記第2の読取手段により読み取られた画像と、情報記録媒体を配置すべき領域を示すガイド画像とを合成し、合成された画像を前記表示装置に表示させるガイド画像表示手段と
をさらに有する請求項1に記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128759(P2012−128759A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281211(P2010−281211)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】