説明

情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、画像データに埋め込まれた関連情報を識別する情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】MFP1は、パターン決定機能部24が、複数のパターンのうち一部のパターンのみを画像データから取得する取得パターンとして決定し、パターン取得機能部25が、該決定したパターンを識別対象の画像データから取得して、識別機能部26が、該取得したパターンから該関連情報を識別する。したがって、取得したパターンから関連情報を復元することなく、埋め込まれた関連情報を識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像データに埋め込まれた関連情報を識別する情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像データの機密保護や付加価値を向上させる目的で、電子透かし技術やドットパターンによって画像データに関連する情報(関連情報)を該画像データに埋め込むことが行われている。この画像データに埋め込む関連情報としては、該関連情報の埋め込み対象である画像データの著作権に関する情報、該画像データに関連するセキュリティ情報、または、機密情報等がある。
【0003】
この関連情報を画像データに埋め込む方法としては、種々の方法が従来から提案されており、例えば、関連情報を所定の方式に従ってドットパターンに変換して、該ドットパターンを画像データに付加するドットパターン埋め込み方法、関連情報を所定の方式に従ってパターンに変換して該パターンに応じて画像データ中に存在する文字や図形等の要素の輪郭形状を変化させる輪郭形状変化埋め込み方法、画像データの周波数成分を変化させる周波数成分変化埋め込み方法等が提案されている。
【0004】
また、画像データに埋め込まれた関連情報を識別する方法は、上記各埋め込み方法に応じた種々の方法が提案されており、例えば、上記ドットパターン埋め込み方法や輪郭形状変化埋め込み方法によって関連情報が埋め込まれている場合、該関連情報が埋め込まれた画像データに対してパターン検出フィルタを用いたパターンマッチングを行うことで関連情報を識別する方法が提案されている。
【0005】
そして、従来、埋め込まれた関連情報をより高精度に識別するために、関連情報に対応するパターンを繰り返し画像データに付加する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
例えば、図12(a)に示すように、関連情報として、「10011」が埋め込まれている場合、付加パターンとして同じドットパターン「10011」を繰り返し付加して、ノイズの発生等によって一部のパターンが抽出できなくなっても、関連情報の識別を行えるようにしようとしている。なお、図12(a)における情報ビットとドットパターンとは、図12(b)に示す関係にあるものとする。
【0007】
【特許文献1】特開2006−238119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、関連情報の識別を行うためには、画像データを走査してパターンを取得し、取得したパターンを所定の方法により関連情報に変換する必要があるが、同じパターンが複数繰り返して付加されているため、処理効率が悪いという問題があった。すなわち、この従来技術にあっては、例えば、図12に示したように、画像データに「10011」が埋め込まれている場合に、繰り返しパターン「0011」が付加されていても、走査した領域から取得可能なパターンを全て取得して、該取得したパターンを集約し、さらに、関連情報に変換しなければ、関連情報を識別するができず、処理効率が悪いという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、画像データに埋め込まれている関連情報に対応するパターンから該関連情報を効率的にかつ高速に識別することのできる情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、本発明の情報識別装置は、上記目的を達成するために、画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別装置であって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定手段と、決定された前記パターンから前記関連情報を識別する識別手段と、を備え、前記パターン決定手段は、複数の前記パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の情報識別装置においては、前記関連情報を識別するための情報である基準情報を取得する基準情報取得手段を備え、前記識別手段は、決定された前記パターンと該基準情報とから該関連情報を識別することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明の情報識別装置においては、前記基準情報は、前記画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれている情報であることを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明の情報識別装置においては、前記パターン決定手段は、前記基準情報が基準画像データに埋め込まれている方式に基づいて、複数の前記パターンから一部のパターンのみを、取得するパターンとして決定することを特徴としてもよい。
【0014】
さらに、本発明の情報識別装置においては、前記識別手段は、識別対象の前記画像データから取得された前記パターンと前記基準情報との類似度から前記関連情報を識別することを特徴としてもよい。
【0015】
また、本発明の情報識別装置においては、前記識別手段は、前記関連情報と前記基準情報とが同種の情報であるか否かを前記類似度により判断し、同種の情報ではないと判断した場合、前記画像データに付加されている全てのパターンに基づいて前記関連情報を識別することを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の情報識別方法は、上記目的を達成するために、画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別方法であって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定ステップと、決定された前記パターンから前記関連情報を識別する識別ステップと、を有し、前記パターン決定ステップは、複数の前記パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴としている。
【0017】
本発明のプログラムは、上記目的を達成するために、画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定ステップと、決定された前記パターンから前記関連情報を識別する識別ステップと、を実行させ、前記パターン決定ステップは、複数の前記パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴としている。
【0018】
また、本発明のプログラムにおいては、コンピュータに、前記関連情報を識別するための情報である基準情報を取得する基準情報取得ステップをさらに実行させ、前記識別ステップで、決定された前記パターンと該基準情報から前記関連情報を識別させることを特徴としてもよい。
【0019】
さらに、本発明のプログラムにおいては、前記基準情報は、前記画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれた情報であって、前記パターン決定ステップは、該基準情報が基準画像データに埋め込まれている方式に基づいて、複数の前記パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定してもよい。
【0020】
また、本発明のプログラムにおいては、前記情報識別ステップは、取得された前記パターンと前記基準情報との類似度から前記関連情報を識別することを特徴としてもよい。
【0021】
さらに、本発明のプログラムにおいては、前記情報識別ステップは、前記関連情報と前記基準情報とが同種の情報であるか否かを前記類似度により判断し、同種の情報ではないと判断した場合、前記画像データに付加されている全てのパターンに基づいて前記関連情報を識別することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像データから取得するパターンとして決定し、取得されたパターンに基づいて関連情報を識別するので、画像データに埋め込まれている関連情報を効率よく識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成用件ではない。
【実施例1】
【0024】
図1〜図6は、本発明の情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体の第1実施例を適用したコピー、ファクシミリ、スキャナ、プリント等の複合機能を有するMFP(Multi Functional Peripheral)1のブロック構成図である。
【0025】
図1において、MFP1は、コントローラ2、通信インターフェイス3、ユーザインターフェイス4、スキャナエンジン5、プリンタエンジン6、FAXボード7、可搬性記録媒体読取部8及びハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)9等を備えており、上記各部は、バスライン10によって電気的に接続されている。なお、バスライン10としては、アドレスバス、データバス等を用いることができる。
【0026】
コントローラ2は、CPU(Central Processing Unit )11、ROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)等のメモリ(メインメモリ)13等を備えており、ROM12に、プログラム等の固定的なデータが格納されていて、CPU11が、ROM12内のプログラムやハードディスク9等のプログラムに基づいてメモリ13をワークメモリとして利用して、MFP1の各部を制御することによって、MFP1としての基本処理を実行するとともに、後述する情報識別方法を実行する。
【0027】
なお、MFP1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(magneto-optic disc)等の情報識別装置が読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の情報識別方法を実行するプログラムを読み込んでROM12やハードディスク9に導入することで、後述する画像データに埋め込まれている関連情報を効率的にかつ高速に識別する情報識別方法を実行する情報識別装置として構築されている。この情報識別方法を実行するプログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0028】
通信インターフェイス3は、コントローラ2によって制御され、MFP1の外部装置との通信を行う。なお、通信インターフェイス3は、イーサネット(登録商標)インターフェイス、IEEE1284インターフェイス、または、その他のインターフェイスでも構成可能である。
【0029】
ユーザインターフェイス4は、ポインティングデバイス(マウス、タッチペン等)やキーボード、タッチパネル等の各種入力デバイス及びLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(陰極線管:Cathode Ray Tube)等のディスプレイや音声インターフェイス等の出力デバイス等を備え、ユーザによる各種操作キーからの入力操作を受け付けるとともに、ユーザに対してディスプレイに各種情報の表示を行う。すなわち、ユーザインターフェイス4は、ユーザに対する情報の出力(提供)やユーザからの指示(情報)入力を行う。
【0030】
スキャナエンジン5は、コントローラ2によって制御され、原稿の画像を主走査及び副走査して原稿の画像を所定の解像度で読み取って、画像データを取得する。
【0031】
プリンタエンジン6は、コントローラ2によって制御され、所定の印刷方式、例えば、電子写真方式、インク噴射方式等で印刷対象の画像データに基づいて画像を用紙に記録出力(印刷出力)する。プリンタエンジン6は、電子写真方式の場合、図示しないが、レーザを用いた電子写真方式で用紙に画像データを記録出力するのに必要な部品、例えば、感光体、光書込部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えており、画像データ及び制御信号により光書込部を動作させて感光体上に静電潜像を形成し、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像してトナー画像を形成する。プリンタエンジン6は、給紙部から用紙搬送路を経由させて用紙を感光体と転写部との間に給紙して、感光体上のトナー画像を用紙に転写させ、トナー画像の転写された用紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙上のトナー画像を定着させることで、画像を用紙に印刷出力する。
【0032】
FAXボード7には、図示しないが、公衆回線(PN)等の通信回線が接続されており、FAXボード7は、コントローラ2によって制御されて、ファクシミリ送信及びファクシミリ受信機能を実現する。
【0033】
可搬性記録媒体読取部8は、コントローラ2によって制御され、装着/取り外し可能に装着されるICカードやフレキシブルディスク等の可搬性記録媒体の記録情報を読み込む読み込み処理を実行して、読み取った記録情報をコントローラ2に通知する。なお、可搬性記録媒体読取部8が読み取り対象とする可搬性記録媒体としては、上記の記録媒体に限定されるものではなく、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード、スマートメディア(登録商標)、メモリスティック(登録商標)、ピクチャーカード等のメモリ系の記録媒体、その他如何なる着脱可能な記録媒体を、単独あるいは組み合わせたものであってもよい。
【0034】
ハードディスク9は、画像データ、文書データ、プログラム及びフォントデータ等の各種データのストレージであり、コントローラ2によって該データの書き込み及び読み出しが行われる。
【0035】
MFP1は、通信インターフェイス3を介して外部装置から受信したデータをプリンタエンジン6で用紙に印刷出力するプリンタ機能、スキャナエンジン5で原稿の画像を読み取るスキャナ機能、FAXボード7を介して送信元から受信したファクシミリ画像をプリンタエンジン6で印刷出力し、また、スキャナエンジン5で読み取った原稿の画像をFAXボード7を介して送信先に送信するファクシミリ機能等の各種アプリケーション機能を実行する。
【0036】
そして、MFP1は、上記組み込まれたプログラムを実行することで、図2に示すような関連情報の埋め込まれた画像データから該関連情報を識別する情報識別処理を実行する。この画像データに埋め込まれた関連情報には、画像データの著作権を管理する情報やセキュリティに関する情報等がある。
【0037】
この画像データに埋め込まれる関連情報は、関連情報に対応するビット列(デジタルデータ)、図2では、「1001100111」に変換され、さらに、ビット列を構成する各ビット値に対応するパターンに置き換えられることにより、ビット列(デジタルデータ)に対応したパターンが生成される。そして、図2において、該生成されたパターンを、パターン付加前の画像とパターン付加後の画像として示すように、画像データにパターンが付加されることで、関連情報が画像データに埋め込まれる。なお、関連情報に対応するパターンは、図2では、ドットパターンにより付加されているが、ドットパターンに限るものではなく、例えば、バーコード、画像データの周波数変換、または、画像データ中に存在する図または文字等の画像要素の輪郭の変形により、画像データにパターンを付加するようにしてもよいし、これらのパターンに対応するビット情報(各ビット値、ビット列)であってもよい。また、関連情報に対応するパターンは、該パターンが複数回繰り返し付加されていてもよく、このようにパターンを複数回繰り返して付加されていると、ノイズ等により画像データに付加された複数のパターンのうちの一部が消失しても、繰り返して付加されている消失していない他のパターンによって、画像データに付加されているパターンを精度よく取得することができる。例えば、2回繰り返しによって関連情報が埋め込まれている場合、関連情報に対応するビット列(デジタルデータ)が「1011」であると、2回繰り返しによって、「10111011」のビット列に対応する複数のパターンが画像データに付加されていることになる。
【0038】
そして、MFP1は、上記情報識別方法を実行するプログラムを記録媒体からROM12やハードディスク9に読み込んで実行することで、図3に示す各機能部が構築される。すなわち、MFP1は、プログラムが実行されることで、データ取得機能部21、記憶機能部22、画像補正機能部23、パターン決定機能部24、パターン取得機能部25、識別機能部26及び制御機能部27が構築され、パターン取得機能部25は、さらに、付加情報取得機能部28と情報変換機能部29を備え、識別機能部26は、図4に示すように、基準情報取得機能部31、類似度算出機能部32、閾値取得機能部33及び照合機能部34を備えたものとして構築される。
【0039】
データ取得機能部21は、関連情報が埋め込まれた画像データを取得し、取得した画像データを記憶機能部22に入力する。なお、データ取得機能部21は、通信インターフェイス3が外部装置から電子データとして画像データを受信することで実現されてもよいし、スキャナエンジン5が原稿等の媒体用紙を読み取って画像データを取得することで実現されてもよい。
【0040】
記憶機能部22は、データ取得機能部21から入力された画像データを記憶し、コントローラ2内のメモリ13やハードディスク9により実現される。
【0041】
画像補正機能部23は、記憶機能部22に記憶されている画像データを読み出し、該読み出した画像データに対して所定の補正処理を行う。すなわち、スキャナエンジン5で読み取られた画像データには、ノイズがのっていたり、歪みや傾き等の不安定要素が生じている場合があり、この場合、画像データに生じている不安定要素の影響により、取得した画像データに埋め込まれた関連情報を精度よく抽出できない恐れがある。そこで、画像補正機能部23は、取得した画像データに対してノイズ除去、歪み補正等の画像補正処理を施す。なお、画像補正機能部23は、記憶機能部22に記憶されている画像データではなく、データ取得機能部21の取得した画像データに対して、直接、補正処理を行なってもよい。
【0042】
パターン決定機能部(パターン決定手段)24は、画像データに付加されている複数のパターンのうち、どのパターンを画像データから取得するかを決定するパターン決定処理を実行し、決定結果をパターン取得機能部25に渡す。
【0043】
パターン決定機能部24による取得パターンの決定方法は、なんら限定されるものではないが、パターンを取得する領域の候補を抽出することにより取得するパターンを決定する方法(領域抽出方法)と、取得するパターンの候補を抽出することにより直接取得するパターンを決定する方法(パターン抽出方法)に大別することができ、以下、この2つの方法について、順次説明する。
【0044】
まず、パターンを取得する領域の候補(領域候補)を抽出する領域抽出方法について説明する。
【0045】
領域抽出方法においては、領域候補は、画像データを複数の領域に分割することで抽出され、この領域分割方法としては、予め設定された所定の間隔をもって、画像データを複数の領域に分割する第1の分割方法、画像データを構成する文字領域、写真領域等の属性の異なる複数の領域に分割する第2の分割方法、画像データを走査して所定の閾値(第1の閾値)以上の画素濃度を有する画素であって、かつ、該画素の周辺画素が有する画像濃度より所定の閾値(第2の閾値)以上の差を有する画素を注目画素として、該注目画素を中心として予め設定した範囲を領域として分割する第3の方法等を用いることができる。
【0046】
次に、取得するパターンの候補(パターン候補)を抽出するパターン抽出方法について説明する。
【0047】
パターン抽出方法においては、取得するパターン候補の抽出は、予め用意したパターン形状に対応したマスターパターンを、画像データに順次照合することで行うことができ、また、照合を、画像データの走査順に行うことで、パターン候補をより確実に抽出することができる。なお、このマスターパターンは、通信インターフェイス3や可搬性記録媒体読取部8を介して入力してもよいし、コントローラ2内のROM12やハードディスク9から入力してもよい。
【0048】
そして、パターン決定機能部24は、上記領域抽出方法またはパターン抽出方法により抽出したパターンから、実際にパターン取得処理を施すパターンを決定する。この実際にパターン取得処理を行うパターンを決定する方法としては、例えば、ランダムサンプリングによる決定方法を用いることができ、ランダムサンプリングでは、抽出されたパターンの中から一部のパターンを無作為に抽出する処理を行うことで該パターンを決定する。具体的には、乱数発生器(図示略)により、各パターンに対して発生させた乱数を用いて、パターン抽出処理を施すパターンを決定する。この場合、発生した乱数が奇数であるパターンに対してパターン取得処理を行うパターンとし、偶数であるパターンに対してはパターンの取得処理を行なわないパターンとすることで、パターンを決定することができる。また、乱数を用いた処理ではなく、予め設定された位置に存在するパターンを、実際にパターン取得処理を行うパターンとして決定してもよい。
【0049】
パターン取得機能部(パターン取得手段)25は、上述のように、付加情報取得機能部28と情報変換機能部29を備えており、画像データに付加されているパターンを取得するパターン取得処理を実行する。
【0050】
付加情報取得機能部28は、パターン決定機能部24によって、パターン取得処理を行うパターンとして決定されたパターンに対して、パターン取得処理を実行してパターンを取得し、このパターン取得処理は、画像データに対する関連情報の埋め込み方法(上記ドットパターン埋め込み方法、輪郭形状変化埋め込み方法、周波数成分変化埋め込み方法等)により異なる。各パターン取得処理の詳細は周知であるためその詳細な説明は省略するが、付加情報取得機能部28は、このパターン取得処理を行うことで、複数種存在するパターンのうち、実際にどのパターン(凹型のパターンか、凸型のパターンか等)が付加されているかの情報を取得する。なお、パターン取得処理では、関連情報が、上記ドットパターン埋め込み方法、輪郭形状変化埋め込み方法で埋め込まれている場合には、埋め込みに用いられたパターンの検知フィルタを用いる。
【0051】
情報変換機能部29は、付加情報取得機能部28により取得されたパターン情報を変換し、画像データに付加されているパターンが表現するビット列を取得して、識別機能部26に渡す。
【0052】
識別機能部(識別手段)26は、図4に示したように、基準情報取得機能部31、類似度算出機能部32、閾値取得機能部33及び照合機能部34を備えており、パターン取得機能部25の取得したパターンから関連情報が画像データに含まれているかをその一致率(類似度)から識別する。
【0053】
すなわち、基準情報取得機能部(基準情報取得手段)31は、画像データに付加されている関連情報を識別するための情報である基準情報を取得する。基準情報取得機能部31は、この基準情報を、通信インターフェイス3を介して外部装置から取得したり、可搬性記録媒体読取部8を介して可搬性記録媒体から取得しても良いし、コントローラ2内のROM12やハードディスク9に保管されている基準情報を取得しても良い。
【0054】
類似度算出機能部32は、基準情報取得機能部31の取得した基準情報と、パターン取得機能部25の取得したパターンとの一致率(類似度)を求めて、該求めた類似度を照合機能部34に渡す。なお、類似度の算出には、基準情報のビット数とパターンのビット数とが一致しているとより正確な類似度を求めることができるため、基準情報取得機能部31が基準情報を取得した後に、該取得した基準情報のビット数に応じてパターン決定機能部24が取得するパターン数を決定するようにしてもよい。
【0055】
閾値取得機能部33は、記憶機能部22から予め設定されて格納されている閾値を取得して、照合機能部34に渡す。なお、閾値取得機能部33は、記憶機能部22に保管されている閾値を取得する取得方法に限るものではなく、例えば、データ取得機能部21を介して閾値を取得してもよい。
【0056】
照合機能部34は、類似度算出機能部32の求めた類似度と、閾値取得機能部33の取得した閾値とを照合して、該類似度が該閾値よりも大きい場合には、基準情報とパターンとが同一の情報、もしくは、類似の情報、または、同種の情報と判断し、該類似度が該閾値よりも小さい場合には、基準情報とパターンとは非類似の情報、または、異種の情報と判断する。
【0057】
再び、図3に戻って、制御機能部27は、上記データ取得機能部21、記憶機能部22、画像補正機能部23、パターン決定機能部24、パターン取得機能部25及び識別機能部26の動作を制御する。
【0058】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のMFP1は、画像データから識別するパターンを、該画像データに付加されている複数のパターンの一部を取得パターンとして決定して、該決定したパターンを画像データから取得することで、パターンの抽出処理を短縮しつつ、該取得したパターンから関連情報を復元することなく、画像データに埋め込まれた関連情報を識別する情報識別処理を、図5に示すように実行する。
【0059】
すなわち、MFP1は、図5に示すように、まず、データ取得機能部21により、関連情報が埋め込まれた画像データを取得して、ハードディスク9またはメモリ13によって実現される記憶機能部22に格納し(ステップS101)、画像補正機能部23が、該記憶機能部22に格納されている画像データを取得して、関連情報の抽出精度を向上させるために、該取得した画像データに対して、画像データのノイズ除去、歪み補正等の画像補正処理を行う(ステップS102)。なお、この画像補正機能部23による画像補正処理は、上述のように、記憶機能部22に格納されている画像データに対して実施する場合に限るものではなく、ステップS101でデータ取得機能部21が取得して記憶機能部22に格納される前の画像データに対して画像補正処理を実行してもよい。
【0060】
次に、MFP1は、基準情報取得機能部31が、画像データに付加された関連情報を識別するための基準情報を取得し(ステップS103)、記憶機能部22に格納されている画像データから処理対象の画像データを読み出して、付加情報取得機能部28が、該読み出した画像データに付加されている複数のパターンのうち、パターン決定機能部24の決定した一部のパターン(取得パターン)を、画像データから取得するパターン取得処理を行う(ステップS104)。
【0061】
そして、識別機能部26の類似度算出機能部32が、該取得された基準情報と該取得したパターンとの類似度を算出し(ステップS105)、識別機能部26の照合機能部34が、該算出された類似度と、識別機能部26の閾値取得機能部33が取得した閾値とを比較する(ステップS106)。
【0062】
なお、類似度算出機能部32は、該取得された基準情報と該パターンとの類似度を以下のようにして算出する。ただ、以下の説明では、説明を分かりやすくするために、該基準情報のビット数と該取得されたパターンのビット数とが同じである場合を例として、図6に基づいて説明する。図6は、基準情報と取得されたパターンが、同じ8ビットで構成されている場合を示している。
【0063】
図6においては、取得された各ビットの値全てが一致しているため、すなわち、取得されたパターン8ビットのうち8ビット全てが一致(8/8)しているため、一致率は100%となり、類似度も100%となる。なお、類似度算出機能部32は、一致率ではなく、確率として尤度を算出し、算出した尤度を類似度としてもよい。
【0064】
ここで、尤度は、1つの領域から正しく情報を抽出できる確率をPとし、基準情報のビットと、取得したパターンのビットとが一致した数をn、一致しなかったビットの数をmとした場合、次式により求めることができる。
【0065】
【数1】

【0066】
また、類似度の算出においては、抽出情報の信頼度が多値で得られる場合には、その値を類似度に反映させることができる。例えば、取得されたパターンのビット毎に信頼度を算出し、基準情報と一致するビットの信頼度を加算したものを類似度とする方法を用いてもよい。
【0067】
さらに、類似度の算出においては、信頼度を用いた確立モデルを用いてもよい。例えば、取得されたパターン中にあるビットの信頼度がαのとき、そのビットが正しい確率をP(α)として、正解したビットでは、P(α)を全てのビットに対して掛け合わせ、不正解のビットでは、1−P(α)を全てのビットに対して掛け合わせ、これらの掛け合わせた結果を類似度とする。
【0068】
そして、ステップS106で、照合機能部34が予め設定されている閾値よりも類似度の方が大きいと判断すると、識別機能部26が、基準情報とパターンとが同一の情報、もしくは、類似の情報、または、同種の情報と判断し(ステップS107)、制御機能部27は、該判断結果に基づいて、以降の処理を制御する。
【0069】
ステップS106で、該閾値よりも該類似度が小さいと、基準情報とパターンとは非類似の情報、または、異種の情報と判断し、照合機能部34が処理対象の画像データに埋め込まれている関連情報が基準情報と非類似または異種の情報であると判断して、処理対象の画像データに付加されている全てのパターンを抽出し、抽出されたパターンから処理対象の画像データに付加されている付加情報の識別処理を実行する(ステップS108)。なお、このステップS108での全てのパターンの抽出処理は、パターン決定機能部24により、取得対象を画像データに付加されている全てのパターンと決定したときの処理と同じ処理を行う。
【0070】
このように、本実施例のMFP1は、パターン決定機能部24が、複数のパターンのうち一部のパターンのみを画像データから取得する取得パターンとして決定し、パターン取得機能部25が、該決定されたパターンを識別対象の画像データから取得して、識別機能部26が、該取得したパターンから該関連情報を識別している。
【0071】
したがって、取得したパターンから関連情報を復元することなく、画像データに埋め込まれている関連情報を効率よくかつ高速に識別することができ、利用性を向上させることができる。
【0072】
また、本実施例のMFP1は、基準情報取得機能部31が、関連情報を識別するための基準情報を取得し、識別機能部26が、識別対象の画像データから取得されたパターンと該基準情報に基づいて関連情報を識別している。
【0073】
したがって、該取得したパターンから関連情報を復元することなく、埋め込まれた関連情報をより適切に識別することができ、識別効率をより一層向上させて、識別の正確性を向上させることができる。
【0074】
さらに、本実施例のMFP1は、基準情報取得機能部31が、識別対象の画像データに埋め込まれている情報を基準情報として取得している。
【0075】
したがって、基準情報用の画像データを用意することなく、基準情報を識別することができる。
【0076】
また、本実施例のMFP1は、識別機能部26は、識別対象の画像データから取得されたパターンと基準情報との類似度に基づいて関連情報を識別している。
【0077】
したがって、画像データから関連情報をより一層効率的にかつ適切に識別することができる。
【0078】
さらに、本実施例のMFP1は、識別機能部26が、関連情報と基準情報とが同種の情報であるか否かを類似度により判断し、同種の情報ではないと判断すると、パターン取得機能部25によって画像データに付加されている全てのパターンを取得し、識別機能部26が、該取得された全てのパターンに基づいて関連情報を識別している。
【0079】
すなわち、識別機能部26の識別結果に応じて、処理対象の画像データに埋め込まれた関連情報の識別処理を変更するため、処理速度を向上させることができるとともに、関連情報の識別処理の信頼性をより一層向上させることができる。
【0080】
例えば、出力が同じ画像データには、同一、または、同種の関連情報が埋め込まれている場合が多く、また、画像データに埋め込まれている関連情報を識別した場合、関連情報をハードディスク9や可搬性記録媒体に保存しておく場合が多い。このような場合、本実施例のMFP1は、過去に識別したことのある関連情報が埋め込まれた画像データから、再度パターンを抽出し、該パターンから関連情報を復元する処理を行うことなく、同一または同種の関連情報が埋め込まれていると判断している。
【0081】
したがって、画像データから関連情報を正確にかつより一層効率的に識別することができる。
【実施例2】
【0082】
図7〜図11は、本発明の情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体の第2実施例を示す図であり、図7は、本発明の情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体の第2実施例を適用したパーソナルコンピュータ40のハードウェアのブロック構成図である。
【0083】
本実施例は、処理対象の画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれている情報を基準情報として用いて処理対象の画像データの関連情報の識別処理を行う。
【0084】
なお、本実施の形態の説明において、第1の実施の形態と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については重複説明を省略する。
【0085】
パーソナルコンピュータ40は、CPU41、RAM42、ROM43、通信インターフェイス44、ユーザインターフェイス45及び外部記憶装置46等を備えており、上記各部は、バスライン47により電気的に接続されている。なお、バスライン47には、アドレスバス、データバス等がある。
【0086】
ROM43、または、外部記憶装置46は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)、プログラム等のソフトウェアを記憶する。
【0087】
CPU41は、ROM43または外部記憶装置46に記憶されているソフトウェアを実行し、バスライン47に接続された各デバイスを総括的に制御する。RAM42は、CPU41の主メモリであるワークエリア等として機能する。
【0088】
外部記憶装置46は、例えば、ハードディスク等で構成され、ブートプログラム、オペレーティングシステム、上記情報識別方法を実行するプログラム等の各種のアプリケーション等を記憶する。
【0089】
通信インターフェイス44は、例えば、イーサネット(登録商標)インターフェイス、IEEE1284インターフェイス、またはその他のインターフェイスにより構成され、CPU41によって制御されて、パーソナルコンピュータ40の外部装置と通信を行う。
【0090】
ユーザインターフェイス45は、ポインティングデバイス(マウス、タッチペン等)やキーボード、タッチパネル等の各種入力デバイス及びLCD、CRT等のディスプレイや音声インターフェイス等の出力デバイス等を備え、ユーザによる各種操作キーからの入力操作を受け付けるとともに、CPU41から送られてきた各種情報をユーザに対してディスプレイに表示する。すなわち、ユーザインターフェイス45は、ユーザに対する情報の出力(提供)やユーザからの指示(情報)入力を行う。
【0091】
パーソナルコンピュータ40は、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MO等のパーソナルコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の情報識別方法を実行するプログラムを読み込んでROM43や外部記憶装置46に導入することで、後述する画像データに埋め込まれている関連情報を効率的にかつ高速に識別する情報識別方法を実行する情報識別装置として構築されている。このプログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0092】
そして、パーソナルコンピュータ40は、プログラムが組み込まれて実行することで、図8に示すような関連情報の埋め込まれた画像データから該関連情報を識別する情報識別処理を実行する。この画像データに埋め込まれた関連情報には、画像データの著作権を管理する情報やセキュリティに関する情報等がある。
【0093】
画像データに埋め込まれる関連情報は、関連情報に対応するビット列(デジタルデータ)、図8では、「101101」に変換され、さらに、ビット列を構成する各ビット値に対応するパターン情報に置き換えられることにより、ビット列(デジタルデータ)に対応したパターン情報が生成される。そして、図8に示すように、該生成されたパターン情報を画像データに付加することで、関連情報が画像データに埋め込まれる。
【0094】
なお、関連情報に対応するパターンは、該パターンが複数回繰り返し付加されていてもよく、このようにパターンを複数回繰り返して付加されていると、ノイズ等により画像データに付加された複数のパターンのうちの一部が消失しても、繰り返して付加されている消失していない他のパターンによって、画像データに付加されているパターンを精度よく取得することができる。例えば、図8では、2回繰り返しによって関連情報が埋め込まれており、関連情報に対応するビット列(デジタルデータ)が「1011」であると、2回繰り返しによって、「10111011」のビット列に対応するパターン集合が画像データに付加されていることになる。なお、ここで、パターン集合とは、複数のパターンからなる集まりを意味する。
【0095】
なお、図8においては、関連情報がドットパターンにより画像データに付加されている場合を示しているが、ドットパターンにより付加するものに限るものではなく、例えば、バーコード、画像データの周波数変換、または、画像データ中に存在する図または文字等の画像要素の輪郭の変形により、画像データにパターンが付加されていてもよい。
【0096】
そして、パーソナルコンピュータ40は、上記情報識別方法を実行するプログラムを記録媒体からROM43や外部記憶装置46に読み込んで実行することで、図9に示す各機能部が構築される。すなわち、パーソナルコンピュータ40は、プログラムが実行されることで、データ取得機能部51、記憶機能部52、パターン決定機能部53、パターン取得機能部54、識別機能部55及び制御機能部56が構築され、パターン取得機能部54は、さらに、付加情報取得機能部57と情報変換機能部58を備え、識別機能部55は、図10に示すように、基準情報取得機能部61、特徴取得機能部62、類似度算出機能部63、閾値取得機能部64及び照合機能部65を備えたものとして構築される。
【0097】
パーソナルコンピュータ40は、情報識別処理として、関連情報を識別する画像データ(以下、必要に応じて、識別対象画像データという。)とは異なる基準画像データに埋め込まれている情報を基準情報として、また、関連情報の埋め込み方法に基づいて画像データから取得するパターンを決定し、該決定に応じて識別対象の画像データからパターンを取得して、該取得したパターンを該基準情報を照合することで、該識別対象の画像データの関連情報を識別する。そこで、パーソナルコンピュータ40のデータ取得機能部51、記憶機能部52、パターン決定機能部53、パターン取得機能部54、識別機能部55及び制御機能部56のうち、パターン決定機能部53、パターン取得機能部54及び識別機能部55が、上記第1実施例のパターン決定機能部24、パターン取得機能部25及び識別機能部26とは、その機能が異なっていて、複数の画像データを処理対象としており、他の機能部、すなわち、データ取得機能部51、記憶機能部52及び制御機能部56は、第1実施例のデータ取得機能部21、記憶機能部22及び制御機能部27と基本的にその機能が同じである。そこで、本実施例においては、第1実施例とは異なるパターン決定機能部53、パターン取得機能部54及び識別機能部55についてのみ、説明する。
【0098】
まず、パターン決定機能部(パターン決定手段)24について説明する。パターン決定機能部53は、第1実施例のパターン決定機能部24と同様に、画像データに付加されている複数のパターンのうち、どのパターンを画像データから取得するかを決定、すなわち、複数のパターンのうち一部のパターンを取得パターンとして決定するが、識別対象画像データと基準画像データとで決定方法が異なる。
【0099】
すなわち、パターン決定機能部53は、識別対象画像データに対しては、第1実施例と同様に、識別対象画像データに付加されている複数のパターンのうち、どのパターンを識別対象画像データから取得するかを決定する。
【0100】
一方、パターン決定機能部53は、基準画像データに対しては、(1)画像データに付加されているパターンであって、取得可能なパターンの全てを基準画像データから取得すべきパターンとして決定し、または、(2)識別対象画像データにおける、取得すべきパターンと決定したパターンが存在する位置に存在する、基準画像データ上のパターンを基準画像データから取得すべきパターンとして決定する。
【0101】
ここで、上記(1)のパターン決定方法を採用した場合、パターン決定機能部53は、取得すべきでないパターンを決定するための処理が不要になるために、処理速度の向上を図ることができる。
【0102】
一方、上記(2)のパターン決定方法を採用した場合、識別対象画像データから取得したパターンと、基準画像データから取得したパターンが同じビットになる。したがって、識別機能部55における類似度算出機能部(類似度算出手段)63における類似度算出の信頼性が向上し、より一層正確に関連情報を識別することができる。
【0103】
なお、上記(1)のパターン決定方法を採用する場合、パターン決定機能部53での決定を行なわず、次に説明するパターン取得機能部54が基準画像データの全体について、パターンの取得処理を実行するようにしてもよい。
【0104】
次に、パターン取得機能部(パターン取得手段)54について説明する。パターン取得機能部54は、基本的には、第1実施例のパターン取得機能部25と同様な処理を行うが、本実施の形態にかかるパターン取得機能部54は、識別対象画像データと基準画像データとの2つの画像データを処理対象とする点が、第1実施例のパターン取得機能部25と相違する。
【0105】
次に、識別機能部(識別手段)55について説明する。識別機能部55は、図10示したように、基準情報取得機能部61、特徴取得機能部62、類似度算出機能部63、閾値取得機能部64及び照合機能部65を備えており、これらの各機能部のうち、基準情報取得機能部61、類似度算出機能部63、閾値取得機能部64及び照合機能部65は、第1実施例の基準情報取得機能部31、類似度算出機能部32、閾値取得機能部33及び照合機能部34と同様であるので、説明を省略し、本実施例の識別機能部55の特徴である基準情報取得機能部61及び特徴取得機能部62について説明する。
【0106】
基準情報取得機能部61は、画像データに付加された関連情報を識別するための基準情報を、識別対象の画像データからではなく、予め用意されている基準画像データに埋め込まれている情報から取得する。基準情報取得機能部61は、この基準情報を、通信インターフェイス3を介して外部装置から取得したり、可搬性記録媒体読取部8を介して可搬性記録媒体から取得しても良いし、基準情報を保管するコントローラ2内のROM12やハードディスク9から取得してもよい。
【0107】
特徴取得機能部62は、基準情報取得機能部61が取得した基準画像データのパターンから、基準情報の埋め込み規則(方式)を認識し、認識した方式を基準情報の埋め込み特徴として取得する。
【0108】
具体的には、特徴取得機能部62は、基準画像データから取得されたパターンが有する、一度の繰り返しまでのパターン数(ビット数)を、基準情報の埋め込み特徴として取得する。
【0109】
そして、特徴取得機能部62は、取得した基準情報の埋め込み方式をパターン決定機能部53に出力し、パターン決定機能部53は、入力された基準情報の埋め込み方式に基づいて、識別対象画像データから取得すべきパターンを決定する。
【0110】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のパーソナルコンピュータ40は、識別対象画像データから識別するパターンを、該識別対象画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれているパターンから決定して、該決定したパターンを画像データから取得するとともに、基準情報の基準情報画像データへの埋め込み方式に基づいて取得パターンを決定することで、パターンの抽出処理を短縮しつつ、該取得したパターンから関連情報を復元することなく、画像データに埋め込まれた関連情報を認識する情報識別処理を、図11に示すように実行する。
【0111】
すなわち、パーソナルコンピュータ40は、図11に示すように、まず、データ取得機能部51により、情報が埋め込まれた画像データを複数取得して、RAM42または外部記憶装置46によって実現される記憶機能部22に格納する(ステップS201)。次に、識別機能部55の基準情報取得機能部61は、該記憶機能部22に格納されている画像データを1つ、基準画像データとして読み出して、該読み出した基準画像データに付加されているパターン(基準パターン)をパターン決定機能部53の決定に基づいて取得し、該基準パターンから、基準画像データに埋め込まれている情報を基準情報として取得する(ステップS202)。
【0112】
続いて、特徴取得機能部62が、ステップ202において取得された基準パターンから、基準画像データに埋め込まれている情報の埋め込み方式を取得し(ステップS203)、パターン決定機能部53が、該取得した埋め込み方式に基づいて、識別対象画像データに付加されているパターンの一部を取得する(ステップS204)。
【0113】
そして、類似度算出機能部63が、ステップS202で取得された基準情報と、ステップS204で識別対象画像データから取得されたパターンとの類似度を求め(ステップS205)、照合機能部65が、該求めた類似度と、閾値取得機能部64が取得した予め設定されている閾値とを比較する(ステップS206)。
【0114】
ステップS206で、照合機能部65が予め設定されている閾値よりも類似度の方が大きいと判断すると、識別機能部55が、基準情報とパターンとが同一の情報、もしくは、類似の情報、または、同種の情報と判断し(ステップS207)、制御機能部56は、該判断結果に基づいて、以降の処理を制御する。
【0115】
ステップS206で、該閾値よりも該類似度が小さいと、基準情報とパターンとは非類似の情報、または、異種の情報と判断し、照合機能部65が処理対象の画像データに埋め込まれている関連情報が基準情報と非類似または異種の情報であると判断して、処理対象の画像データに付加されている全てのパターンを抽出し、抽出されたパターンから処理対象の画像データに付加されている付加情報の認識処理を実行する(ステップS208)。なお、このステップS208での全てのパターンの抽出処理は、パターン決定機能部24により、取得対象を画像データに付加されている全てのパターンと決定したときの処理と同じ処理を行う。
【0116】
なお、上述のように、関連情報の耐性向上のために、一つの画像データに対して同じパターンが繰り返し付加される場合(インターリービング)がある。そこで、特徴取得機能部62の取得した付加形式がインターリービングにおける繰り返し周期であると、パターン取得機能部54は、一度の繰り返し周期分のみのパターンを取得して、関連情報を生成することで、上記ステップS205以降の処理を行うことなく、関連情報の識別処理を終了してもよい。
【0117】
このように、本実施例のパーソナルコンピュータ40は、識別対象の画像データとは異なる所定の基準画像データに埋め込まれている情報を基準情報として取得し、該基準情報と識別対象の画像データから取得したパターンを照合して関連情報を識別している。
【0118】
したがって、基準情報として適切な情報を簡単化強いに取得して、関連情報を識別することができる。
【0119】
また、本実施例のパーソナルコンピュータ40は、特徴取得機能部62の取得した基準情報の埋め込み方式に基づいて、パターン決定機能部53が、複数のパターンから一部のパターンのみを識別対象画像データから取得すべきパターンとして決定している。
【0120】
したがって、処理速度をより一層向上させつつ、適切に関連情報を識別することができる。
【0121】
なお、情報識別装置として、第1実施例では、MFP1に適用した場合について説明し、第2実施例では、パーソナルコンピュータ40に適用した場合について説明したが、を情報識別装置として本発明の説明を行ったが、情報識別装置としては、相互に適応可能であることは言うまでもない。
【0122】
また、情報識別装置としては、上記MFP1やパーソナルコンピュータ40に限られるものではなく、特定の用途に応じて、複写装置、プリンタ、印刷機等の画像形成装置、携帯電話、PDA、携帯型電子遊技装置等の携帯情報端末、スキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、テレビジョン、HDDレコーダ、オーディオセット等の音声映像入出力置、カーナビゲーション等の車載電子装置、デジタル家電機器及びサーバ等の着脱可能な記録媒体との情報のやり取りが可能な機器であれば、本発明の情報識別装置として適用することができる。
【0123】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、第1実施例及び第2実施例で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、画像データに埋め込まれた関連情報を識別する情報識別装置、情報識別方法、プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の第1実施例を適用したMFPのハードウェアのブロック構成図。
【図2】第1実施例における処理対象の画像データと関連情報の説明図。
【図3】図1のMFPの機能ブロック構成図。
【図4】図3の識別機能部の詳細な機能ブロック構成図。
【図5】図1のMFPによる情報識別処理を示すフローチャート。
【図6】図5の識別処理での類似度算出機能部による類似度算出処理の説明図。
【図7】本発明の第2実施例を適用したパーソナルコンピュータのハードウェアのブロック構成図。
【図8】第2実施例における処理対象の画像データと関連情報の説明図。
【図9】図7のパーソナルコンピュータの機能ブロック構成図。
【図10】図9の識別機能部の詳細な機能ブロック構成図。
【図11】図7のパーソナルコンピュータによる情報識別処理を示すフローチャート。
【図12】従来技術の説明図。
【符号の説明】
【0126】
1 MFP
2 コントローラ
3 通信インターフェイス
4 ユーザインターフェイス
5 スキャナエンジン
6 プリンタエンジン
7 FAXボード
8 可搬性記録媒体読取部
9 ハードディスク
10 バスライン
11 CPU
12 ROM
13 メモリ
21 データ取得機能部
22 記憶機能部
23 画像補正機能部
24 パターン決定機能部
25 パターン取得機能部
26 識別機能部
27 制御機能部
28 付加情報取得機能部
29 情報変換機能部
31 基準情報取得機能部
32 類似度算出機能部
33 閾値取得機能部
34 照合機能部
40 パーソナルコンピュータ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 通信インターフェイス
45 ユーザインターフェイス
46 外部記憶装置
47 バスライン
51 データ取得機能部
52 記憶機能部
53 パターン決定機能部
54 パターン取得機能部
55 識別機能部
56 制御機能部
57 付加情報取得機能部
58 情報変換機能部
61 基準情報取得機能部
62 特徴取得機能部
63 類似度算出機能部
64 閾値取得機能部
65 照合機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別装置であって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定手段と、決定された該パターンから前記関連情報を識別する識別手段と、を備え、該パターン決定手段は、複数の該パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴とする情報識別装置。
【請求項2】
前記情報識別装置は、前記関連情報を識別するための情報である基準情報を取得する基準情報取得手段を備え、前記識別手段は、決定された前記パターンと該基準情報とから該関連情報を識別することを特徴とする請求項1記載の情報識別装置。
【請求項3】
前記基準情報は、前記画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれている情報であることを特徴とする請求項2記載の情報識別装置。
【請求項4】
前記パターン決定手段は、前記基準情報が基準画像データに埋め込まれている方式に基づいて、複数の前記パターンから一部のパターンのみを、取得するパターンとして決定することを特徴とする請求項3記載の情報識別装置。
【請求項5】
前記識別手段は、識別対象の前記画像データから取得された前記パターンと前記基準情報との類似度から前記関連情報を識別することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の情報識別装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記関連情報と前記基準情報とが同種の情報であるか否かを前記類似度により判断し、同種の情報ではないと判断した場合、前記画像データに付加されている全てのパターンに基づいて該関連情報を識別することを特徴とする請求項5記載の情報識別装置。
【請求項7】
画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別方法であって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定ステップと、決定された該パターンから前記関連情報を識別する識別ステップと、を有し、該パターン決定ステップは、複数の該パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴とする情報識別方法。
【請求項8】
画像データに付加された複数のパターンから対応する関連情報を識別する情報識別方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記画像データから取得するパターンを決定するパターン決定ステップと、決定された該パターンから前記関連情報を識別する識別ステップと、を実行させ、該パターン決定ステップは、複数の該パターンから一部のパターンのみを取得するパターンと決定することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記プログラムは、コンピュータに、前記関連情報を識別するための情報である基準情報を取得する基準情報取得ステップをさらに実行させ、前記識別ステップで、決定された前記パターンと該基準情報から該関連情報を識別させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
前記基準情報は、前記画像データとは異なる基準画像データに埋め込まれた情報であって、前記パターン決定ステップは、該基準情報が該基準画像データに埋め込まれている方式に基づいて、複数の前記パターンから一部のパターンのみを、取得するパターンと決定することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
前記情報識別ステップは、取得された前記パターンと前記基準情報との類似度から前記関連情報を識別することを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項12】
前記情報識別ステップは、前記関連情報と前記基準情報とが同種の情報であるか否かを前記類似度により判断し、同種の情報ではないと判断した場合、前記画像データに付加されている全てのパターンに基づいて該関連情報を識別することを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−188965(P2009−188965A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29834(P2008−29834)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】