説明

感光性着色組成物及びそれを用いたカラーフィルタ

【課題】カラー液晶表示装置の高画質化、低消費電力化に対応できる高解像性を有する感光性着色組成物、特に、COA方式のような厚膜でも高解像度で、パターン剥がれをおこさない密着性の優れた感光性着色組成物、およびこれを用いたカラーフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】着色剤(A)と、樹脂(B)と、光重合性単量体(C)と、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含む光重合開始剤(D)と、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、およびベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である紫外線吸収剤(E)とを含むことを特徴とする感光性着色組成物により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物に関するものであり、特にカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される感光性着色組成物、特に薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上に着色層が形成されたフィルタセグメントを具備する、カラーフィルタオンアレイ方式(以下COA方式と略す場合がある)のカラーフィルタに用いられる感光性着色組成物、および該感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板の間に液晶物質と画素を介在させ、画素ごとに電圧を印加して液晶物質の配向状態を変化させ、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを変化させ、2枚目の偏光板を通過する透過光を制御して画面表示する表示装置である。
この2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになった。そして近年、カラー液晶表示装置の高画質、低消費電力が求められておりカラーフィルタに対しても高画質、低消費電力を達成する設計が求められている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス板などの透明な基板に透過光の混色を防ぎ、表示コントラストを高める目的で格子状の遮光膜ブラックマトリクス(以下BM)を設け、次に画素ごとに複数色(通常 赤、緑、青)のフィルタセグメントが設けられている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、フィルタセグメントの配列には、2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状に配置したもの(ストライプ配列)、あるいは縦横一定の配列で配置したもの(デルタ配列)がある。
【0004】
一般にカラー液晶表示装置の画質を向上させる場合、カラーフィルタの解像度をあげる、すなわち画素数を増やすといった事を行う。しかし画素数が増えると画素を囲む様に形成されるBMおよび、液晶を駆動させる為の薄膜トランジスター(TFT)等の遮光部も増え、カラーフィルタの単位面積あたりの光の透過部の割合、すなわち開口率が低くなる。その結果、カラーフィルタの輝度がさがり画面表示部が暗くなってしまう。それを補う為には、バックライトの照度をあげなくてはならず消費電力の増加に繋がってしまう。このことからカラー液晶表示装置の高画質、低消費電力化には、カラーフィルタの解像度をあげかつ開口率を上げるという相反する所作が必要であり、種々の方法・構造が考えられてきた。
【0005】
中でも、最近注目を集めている高開口率構造にTFTが配置された駆動用基板の上に、着色層を直接あるいは窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を介して形成し、この基板と、液晶を駆動させるための透明電極を蒸着あるいはスパッタリングにより形成した基板とを張り合わせるCOA方式等がある(特許文献1参照)。通常のカラーフィルタは、ゲート電極/透明電極間で起こるクロストークを防止するため遮光部の幅を一定以上狭くできないのに対し、COA方式は、TFTが配置された駆動用基板の上に、厚膜に着色層を形成する事で絶縁性を確保し遮光部の幅を狭くできる。この結果COA方式は、開口率が大幅に増大できカラー液晶表示装置の高画質、低消費電力を達成することが可能である。
【0006】
また、前述の様にCOA方式の画素は、絶縁性を要求されるため従来のカラーフィルタの画素よりも厚膜であることが必要であり、なおかつ透明電極とTFTとを繋ぐコンタクトホールを画素に設ける必要がある為、画素を形成する感光性着色組成物は、より優れた解像性が必要である。
【0007】
また、COA方式はその機構上、よりカラーフィルタの電気的な特性による影響を受けやすいという問題がある。液晶表示装置に使用されている液晶は液晶表示装置に内在するカラーフィルタ等の部材の電気的な特性による影響を受けやすく、液晶汚染による液晶の配向乱れやスイッチング性能に悪影響をあたえる等の表示不良が問題となることがある。このような問題を解決するために、カラーフィルタの画素には絶縁性が求められ、膜厚を厚くして絶縁性を高くしたり、低誘電率の画素を形成する必要がある。このような課題を解決するために、Green(緑)画素のオーバーコート層を積層した2層の誘電正接を特定の範囲に選択する方法等が検討されている(特許文献2参照)。
【0008】
また、特定の開始剤を用いる方法(特許文献3参照)や、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用したカラーフィルタ用組成物(特許文献4参照)等が開示されてはいるが、近年、カラー液晶表示装置の高画質化、低消費電力化の要求のため、画素を形成する感光性着色組成物には、より高解像性が要求されている。特にCOA方式カラーフィルタの画素は、絶縁性を要求されるため従来のカラーフィルタの画素よりも厚膜であることが必要であり、さらにその厚膜の部分にコンタクトホールを形成する必要がある為、さらに優れた解像性が必要となっている。
【0009】
また、感光性着色組成物の解像性は、光重合開始剤およびモノマーの種類・量で調整する事ができ、感度の低い光重合開始剤およびモノマーを選択あるいは、量を減らす事で向上できる場合もあるが、その反面、感度の低下から感光性着色組成物とガラス基板との密着性が低下して、パターン剥がれが起きやすくなる。特にCOA方式は、通常のカラーフィルタの画素膜厚が1〜2μm程度に対し3〜4μm程度と厚膜であり、パターン剥がれをおこさず、高解像度のパターンを作製するのが課題とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−94263号公報
【特許文献2】特開2004−117537号公報
【特許文献3】特開2001−324611号公報
【特許文献4】特開2000−214580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、近年のカラー液晶表示装置の高画質化、低消費電力化に対応できる高解像性を有する感光性着色組成物、特に、COA方式のような厚膜でも高解像度で、パターン剥がれをおこさない密着性の優れた感光性着色組成物、およびこれを用いたカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)と、樹脂(B)と、光重合性単量体(C)と、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含む光重合開始剤(D)と、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、およびベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である紫外線吸収剤(E)とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、紫外線吸収剤(E)が、一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
一般式(1)
【0014】
【化1】

[一般式(1)中、R1、R2は互いに独立して、水素原子または、ベンゼン環を含んでも良い炭素数1〜20のアルキル基、Xは、水素原子または、塩素原子を表す。]
また、本発明は、紫外線吸収剤(E)が、式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
式(2)
【0015】
【化2】

また、本発明は、光重合開始剤(D)が、式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
式(3)
【0016】
【化3】

また、本発明は、樹脂(B)が、感光性樹脂を含むことを特徴とする前記感光性着色組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、基材上に、感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
また、本発明は、基材が、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板であることを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の感光性着色組成物は、少なくとも着色剤(A)と、樹脂(B)と、光重合性単量体(C)と、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含む光重合開始剤(D)と、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である紫外線吸収剤(E)とを含む感光性着色組成物であるため、解像性が高くなおかつガラス基板との密着性も高い為、パターン剥がれがおきない。
【0019】
これは、光重合開始剤が反応する波長と紫外線吸収剤の吸収する波長(主に400nm以下)の違いを利用し、これらを上記組み合わせで使用する事により、画素膜厚が3〜4μmであっても紫外線吸収剤の吸収した波長域で光重合開始剤の反応が弱まり、解像性が高くなり、なおかつその他の波長域では光重合開始剤の反応で感度が確保され形成されるパターンの密着性も確保される為である。
【0020】
よって、本発明の感光性着色組成物を用いてフィルタセグメントを形成することにより、高解像度、高開口率のカラーフィルタおよびCOA方式にも適したカラーフィルタを製造でき、これを用いて高画質、低消費電力の液晶表示装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明の感光性着色組成物について説明する。
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)と、樹脂(B)と、光重合性単量体(C)と、光重合開始剤(D)と、紫外線吸収剤(E)とを含有し、
光重合開始剤(D)が、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含み、
紫外線吸収剤(E)が、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、およびベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0022】
<着色剤(A)>
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)を含有しており、カラーフィルタを構成する各色のフィルタセグメントを形成できる。
着色剤(A)としては、有機または無機の顔料および染料を、単独または2種類以上混合して用いることができる。着色剤は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い物が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよく、カラーフィルタのコントラスト適性においてより好ましい。
【0023】
以下に、本発明の感光性着色組成物に使用できる着色剤(A)の具体例を示す。
赤色フィルタセグメントを形成する赤色感光性着色組成物に用いる着色剤(A)は、C.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、又は287等の赤色顔料が用いられる。また赤色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を使用することもできる。
【0024】
また赤色感光性着色組成物には、C.I.ピグメント オレンジ 43、71、又は73等の橙色顔料及び/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、又は221等の黄色顔料を併用することができる。また橙色及び/または黄色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を使用することもできる。
【0025】
緑色フィルタセグメントを形成する緑色感光性着色組成物に用いる着色剤(A)は、C.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58等が挙げられる。
また緑色感光性着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、又は221等の黄色顔料を挙げることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を併用することもできる。
【0026】
青色フィルタセグメントを形成する青色感光性着色組成物に用いる着色剤(A)は、C.I.ピグメント ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、又は64等を用いることができる。青色感光性着色組成物には、C.I.ピグメント バイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、又は50等の紫色顔料を併用することができる。また紫色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を併用することもできる。
【0027】
着色剤(A)は、感光性着色組成物の固形分100重量%中、1〜80重量%の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは2〜70重量%の範囲で含まれる。着色剤(A)の含有量が1重量%未満であるとカラーフィルタの膜厚が過剰に厚くなる為好ましくなく、80重量%を超えると、良好な分散状態が得られず好ましくない。
【0028】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、着色剤(A)を分散するものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
樹脂(B)としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有する感光性樹脂を用いることもできる。
【0029】
樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、着色剤(A)を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0030】
また、顔料分散性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
樹脂(B)は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤(A)100重量部に対し、30重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量部以下の量で用いることが好ましい。
【0031】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0032】
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0033】
(感光性樹脂)
感光性樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂であれば、制限されないが、特に主鎖が直鎖状であることが好ましく、アルカリ現像性を付与するためにアルカリ可溶性を付与した樹脂であることがより好ましい。特に、特定構造を有する樹脂(B−1)が、基材や下地などとの密着性が良好となり、誘電率と誘電正接が低く良好な電気特性を持つ塗膜を得る事ができる。
【0034】
感光性樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等のモノマー・オリゴマーと、(メタ)アクリル酸などの酸価を有するモノマー・オリゴマーとを重合した高分子化合物の水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いることができる。
【0035】
[感光性樹脂(B−1)]
感光性樹脂のなかでも、下記(b1)、(b2)及び(b3)を共重合させて共重合体(b6)を得て、得られた共重合体(b6)と不飽和1塩基酸(b4)とを反応させて共重合体(b7)を得て、更に得られた共重合体(b7)と多塩基酸無水物(b5)とを反応させて得られる感光性樹脂(B−1)を含むことにより、基材や下地などとの密着性が良好となり、誘電率と誘電正接が低く良好な電気特性を持つ塗膜を得る事ができる。
(b1);1分子中に脂環式骨格とエチレン性不飽和結合とを有する化合物
(b2);1分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物
(b3);(a1)及び(a2)以外の、エチレン性不飽和結合を有する化合物
(b4);不飽和1塩基酸
(b5);多塩基酸無水物
【0036】
(b1);1分子中に脂環式骨格とエチレン性不飽和結合とを有する化合物として具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートおよびこれらの脂環式環上に置換基を有する誘導体が挙げられる。これらの単量体の脂環式環上の置換基としてはアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0037】
中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、最も好ましいものとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
【0038】
(b2);1分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル−α−エチルアクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルなどが挙げられ、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0039】
(b3);(a1)及び(a2)以外の、エチレン性不飽和結合を有する化合物として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換または置換アルキルエステル;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の芳香環を含むエステル化合物;
スチレン、α―メチルスチレン、α−フェニルスチレンおよびビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル;
(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物;
N―シクロヘキシルマレイミドやN−フェニルマレイミド、N―ベンジルマレイミドのようなN−置換マレイミド化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または組み合わせて用いることが可能である。
【0040】
(b4);不飽和1塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸などが挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0041】
(b5);多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物:無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物が挙げられる。中でもテトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸が好ましい。
【0042】
(感光性樹脂(B−1)の製造方法)
感光性樹脂(B−1)は、(b1)、(b2)及び(b3)を共重合させて共重合体(b6)を得て、得られた共重合体(b6)と不飽和1塩基酸(b4)とを反応させて共重合体(b7)を得て、更に得られた共重合体(b7)と多塩基酸無水物(b5)とを反応させて得られる共重合体である。
【0043】
まず共重合体(b6)を得るために(b1)、(b2)および(b3)を共重合させる。この共重合時は、通常の条件下で行われる。例えば、攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに(b1)、(b2)および(b3)の合計量に対して、重量基準で、0.5〜20倍量の溶剤を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素に置換する。その後、溶剤を40〜140℃に昇温した後、(b1)、(b2)および(b3)の所定量、(b1)、(b2)および(b3)の合計量に対して、質量基準で0〜20倍量の溶剤、および重合開始剤を(b1)、(b2)および(b3)の重量比に対して、0.1〜10部添加した溶液(室温または加熱下にて攪拌溶解)を滴下ロートから0.1〜8時間かけて前記のフラスコに滴下し、さらに40〜140℃で1〜10時間攪拌する。
【0044】
なお、上記の工程において、重合開始剤の一部または全量をフラスコ側に仕込んでも良いし、(b1)、(b2)および(b3)の一部または全量をフラスコ側に仕込んでもよい。また、分子量や分子量分布を制御するために、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として使用してもよい。α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物の使用量は、(b1)〜(b3)の合計量に対して、質量基準で、0.005〜5部である。なお、上記した重合条件は、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
【0045】
それぞれから導かれる構成成分の比率としては、前記の共重合体(b6)を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、(b1)から導かれる構成単位2〜40モル%、(b2)から導かれる構成単位2〜95モル%、(b3)から導かれる構成単位3〜65モル%であることが好ましく、可とう性および耐熱性のバランスから(b1)から導かれる構成単位5〜35モル%、(b2)から導かれる構成単位5〜80モル%、(b3)から導かれる構成単15〜50モル%であることがより好ましい。
【0046】
次に、前記の共重合体(b6)に(b4)を付加して樹脂(B)に光や熱硬化性を付与する。共重合体(b6)と(b4)との反応は、例えば、特開2001−89533号公報に記載の条件で行われることができる。具体的には、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒として、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノールを(b1)〜(b4)の合計量に対して、質量基準で、0.01〜5%、および重合禁止剤として、例えばハイドロキノンを(b1)〜(b4)の合計量に対して、質量基準で、0.001〜5%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、前記の共重合体(b6)と(b4)とを反応させることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
【0047】
(b4)の付加量は、(b1)〜(b3)を共重合させて得られた樹脂中のエポキシ基に対して5〜100モル%、好ましくは10〜95モル%である。(b2)の組成比が上記範囲内にあると、十分な光硬化性や熱硬化性が得られ、信頼性に優れるので好ましい。
【0048】
次に、前記共重合体(b7)と(b5)とを反応させて樹脂(B)にアルカリ溶解性を付与する。
共重合体(b7)と(b5)の反応は、例えば、特開2001−89533号公報に記載の条件で行われることができる。具体的には、反応触媒として、例えば、トリエチルアミンを(b1)〜(b4)の合計量に対して、質量基準で、0.01〜5%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、前記の共重合体(b7)と(b5)とを反応させることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
【0049】
(b5)の付加量は、共重合体(b7)のアルコール性の水酸基のモル数に対して、5〜100モル%、好ましくは10〜95モル%である。
【0050】
感光性樹脂(B−1)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは、3000〜100000であり、より好ましくは5000〜50000である。感光性樹脂(B−1)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗工性が良好であり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に未露光部分の現像性が良好である傾向にあり、好ましい。
【0051】
感光性樹脂(B−1)の分子量分布[重量平均分子量/数平均分子量]は、好ましくは1.5〜6.0であり、より好ましくは、1.8〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れるので好ましい。
【0052】
本発明の感光性着色組成物に用いられる感光性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100重量%中、通常5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%である。感光性樹脂の含有量が、前記の範囲にあると、現像液への溶解性に優れ、現像残渣が発生し難く、また現像時に露光部の膜減りが生じ難いため好ましい。
【0053】
また、感光性樹脂を使用する事で光硬化架橋度が高くなり、密着性が良好であり、断面形状も良好となる。
【0054】
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0055】
<光重合性単量体(C)>
本発明の感光性着色組成物に含まれる光重合性単量体(C)は、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーで、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
光重合性単量体(C)の含有量は、該着色組成物の固形分の合計100重量%中、10〜50重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から20〜40重量%であることがより好ましい。
【0056】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0057】
<光重合開始剤(D)>
本発明の感光性着色組成物は、紫外線照射により硬化し、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する為、光重合開始剤(D)等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調整する。
光重合開始剤(D)としては、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含み、必要に応じて任意の比率で2種以上を混合して用いることもできる。これら光重合開始剤(D)の含有量は、感光性着色組成物の固形分を基準(100重量%)として、密着性および解像性の観点から1〜16重量%であることが好ましく、2〜13重量%であることがより好ましい。
【0058】
アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、式(3)で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等があげられる。
式(3)
【0059】
【化4】

オキシムエステル系有機化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等があげられる。
【0060】
光重合開始剤(D)の中で密着性および解像性の観点で好適なのは、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物であり、中でもビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが最も好ましい。この開始剤は、露光照度および露光スペクトル(特に300〜410nm)の依存性が小さく安定した感度が得られる。また、比較的低感度で添加量が多い為、この開始剤と紫外線吸収剤の混合割合を調整する事で解像性の微調整がやりやすい等の特徴がある。
【0061】
また、併用できる光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、等のイミダゾール系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0062】
(増感剤)
本発明の感光性着色組成物には、光重合開始剤の反応をより一層高める為、増感剤を併用してもかまわない。増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。
【0063】
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0064】
上記増感剤の中で、併用できる増感剤の具体例としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N−エチルカルバゾール、3−ベンゾイル−N−エチルカルバゾール、3,6−ジベンゾイル−N−エチルカルバゾール等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の含有量は、光重合開始剤(D)100重量部に対して、0.1〜60重量部が好ましい。
【0065】
<紫外線吸収剤(E)>
本発明における紫外線吸収剤(E)とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、及びベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である。
【0066】
紫外線吸収剤(E)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)との合計100重量%中、5〜70重量%が好ましい。
紫外線吸収剤(E)の含有量が、上記より少ない場合、紫外線吸収剤の効果が小さく、解像性が確保できず、上記より多い場合には、感度が低くなり画素はがれやホール径が設計値より大きくなってしまうといった不具合が発生することがある。
特に、光重合開始剤(D)としてアシルフォスフィン系光重合開始剤を含む場合には、紫外線吸収剤(E)の含有量が、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%であり、オキシムエステル系光重合開始剤を含む場合には、好ましくは20〜70重量%であり、より好ましくは30〜60重量%である。
【0067】
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤(D)の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
【0068】
また、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)の合計含有量は、感光性着色組成物の固形分100重量%中、1〜20重量%が好ましい。
特に、光重合開始剤(D)としてアシルフォスフィン系光重合開始剤を含む場合には、、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)の合計含有量が、好ましくは5〜20重量%であり、より好ましくは8〜16重量%であり、オキシムエステル系光重合開始剤を含む場合には、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは2〜8重量%である。
【0069】
光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)の合計含有量が上記より少ない場合、密着性が弱まり画素はがれが発生し、上記より多い場合には、感度が高すぎ解像性が悪くなることがある。
【0070】
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤(D)の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
【0071】
ベンゾトリアゾール系有機化合物としては2−(5メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2−メトキシ−1−メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルの化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、が挙げられる。
【0072】
さらに具体的には、BASF社製「TINUVIN P」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 1130」等が挙げられる。
【0073】
密着性および解像性の観点で、一般式(1)の構造式で表されるベンゾトリアゾール系有機化合物が好ましく、式(2)の構造で表される2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールが、最も好ましい。
一般式(1)
【0074】
【化5】

[一般式(1)中、R1、R2は互いに独立して、水素原子または、ベンゼン環を含んでも良い炭素数1〜20のアルキル基、Xは、水素原子または、塩素原子を表す。]
式(2)
【0075】
【化6】

トリアジン系有機化合物としては、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。
【0076】
さらに具体的には、ケミプロ化成社製「KEMISORB 102」、BASF社製「TINUVIN 400」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 477−DW」、「TINUVIN 479」等が挙げられる。
【0077】
ベンゾフェノン系有機化合物としては、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸−3水温、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0078】
さらに具体的には、ケミプロ化成社製「KEMISORB 10」、「KEMISORB 11」、「KEMISORB 11S」、「KEMISORB 12」、「KEMISORB 111」、等が挙げられる。
【0079】
<溶剤>
本発明の感光性着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が1〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。
【0080】
溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0081】
中でも、本発明の感光性着色組成物の保存安定性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0082】
溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、感光性着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤(A)100重量部に対し、800〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0083】
<感光性着色組成物の製法>
本発明の感光性着色組成物は、樹脂(B)および溶剤を含む着色剤担体中に、着色剤(A)を三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター、ペイントコンデショナー等の各種分散手段を用いて微細に分散して顔料分散体を製造し、これに光重合性単量体(C)、光重合開始剤(D)、紫外線吸収剤(E)をディスパー等で混合して製造することができる。
【0084】
顔料分散体は、着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0085】
本発明の感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0086】
(分散助剤)
着色剤(A)を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
【0087】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられる。
中でも顔料誘導体が好ましく、その構造は、下記一般式(4)で示される化合物である。
P−Ln 一般式(4)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基
n:1〜4の整数である)
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0088】
色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の配合量は、分散性向上の点から、着色剤(A)100重量部に対し、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤(A)100重量部に対し、好ましくは40重量%以下、最も好ましくは35重量%以下である。
【0089】
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0090】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0091】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0092】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤(A)100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0093】
<その他の添加剤成分>
(多官能チオール)
本発明の感光性着色組成物には、さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2 個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4 −ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2− (N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤(A)100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜60重量部である。
【0094】
(レベリング剤)
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0095】
(貯蔵安定剤)
本発明の感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物に含まれる着色剤(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0096】
(密着向上剤)
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性着色組成物に含まれる着色剤(A)100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0097】
<カラーフィルタ>
次に、本発明の感光性着色組成物を用いて形成された画素カラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。前記フィルタセグメントは、スピンコート方式あるいはダイコート方式によって本発明の感光性着色組成物を塗布することにより、基材上に形成される。
【0098】
カラーフィルタの基材としては、可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板といった透明基板又は反射基板が挙げられる。これらの基板には、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。又、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫等からなる透明電極が形成されていてもよい。
【0099】
これらの透明基板又は反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめBMを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。BMとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。又、前記の透明基板又は反射基板上にTFTをあらかじめ形成し、液晶表示装置の駆動用基板にしておき、その上に画素を形成することもできる。薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板上にフィルタセグメントを形成したカラーフィルタとすることで、開口率が大幅に増大できカラー液晶表示装置の高画質、低消費電力を達成することができる。
【0100】
ここで、COA方式のカラーフィルタを形成する方法について説明する。まず、TFT基板の表面上、あるいは該駆動基板の表面に窒化けい素膜等のパッシベーション膜を形成した基板の表面上に、必要に応じてBMを形成する。この上に、感光性着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させて、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークする。これを各色感光性着色組成物で繰り返し行うことにより、画素が所定の配列で配置された画素アレイが形成できる。その際に使用されるフォトマスクには、画素を形成するためのパターンのほか、スルーホールあるいはコの字型の窪みを形成するためのパターンも設けられている。
【0101】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0102】
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0103】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記感光性着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0104】
透明基板又は反射基板上にフィルタセグメントを形成するときの塗布厚さは、乾燥膜厚が、好ましくは、1〜3μm、より好ましくは1〜2μmである。
また、特に本発明の感光性着色組成物をCOA方式に用いる場合には、ゲート電極/透明電極間で起こるクロストークを防止するために絶縁性が要求され、厚膜であることが好ましく、そのため乾燥膜厚1〜5μm、より好ましくは3〜4μmといった膜厚で用いることが好ましい。
【0105】
画素上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明電極、液晶配向膜等が形成される。その為、画素を形成する感光性着色組成物の形状は順テーパー状が好ましく、逆テーパー状だと透明電極の断線等の不具合が発生する。
【0106】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0107】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0108】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
【0109】
また、樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0110】
まず、実施例および比較例に用いた樹脂溶液、微細化顔料、および顔料分散体の製造方法から説明する。
【0111】
<樹脂溶液の製造方法>
(樹脂溶液(B1)の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(B1)を得た。
【0112】
(樹脂溶液(B2)の調製)
反応容器にシクロヘキサノン560部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で滴下管よりメタクリル酸34.0部、メチルメタクリレート23.0部、n−ブチルメタクリレート45.0部、グリセロールモノメタクリレート47.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0部、ラウリン酸ジブチル錫 0.4部、シクロヘキサノン120.0部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液(B2)を得た。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は12000であった。
【0113】
(樹脂溶液(B3)の調製)
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下して重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、およびハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12000の樹脂溶液を得た。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(B3)溶液を調製した。
【0114】
<微細化顔料の製造方法>
(微細化顔料製造例1)
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)100部、粉砕した食塩1000部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で8時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、100部の微細化顔料(PR−1)を得た。
【0115】
(微細化顔料製造例2)
アントラキノン系赤色顔料PR177(BASF社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で5時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、100部の微細化顔料(PR−2)を得た。
【0116】
(微細化顔料製造例3)
ハロゲン化銅フタロシアニン系緑色顔料PG36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)120部、粉砕した食塩1500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で15時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部の微細化顔料(PG−1)を得た。
【0117】
(微細化顔料製造例4)
金属錯体系黄色顔料PY150(ランクセス社「E4GN」)100部、粉砕した食塩1500部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で6時間混練した。この混練物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、95部の微細化顔料(PY−1)を得た。
【0118】
(微細化顔料製造例5)
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、色素誘導体(化合物2)5部、粉砕した食塩1000部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化顔料(PB−1)を得た。
【0119】
(微細化顔料製造例6)
ジオキサジン系紫色顔料PV23(東洋インキ製造社製「リオノゲンバイオレットRL」)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。得られた
アシッドペースティング処理顔料120部、粉砕した食塩1500部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で20時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の微細化顔料(PV−1)を得た。
【0120】
<顔料分散体の製造方法>
表1に示す組成(重量部)の混合物を均一に攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DR−1、2、DG−1、DY−1、DB−1、DV−1)を作製した。
【0121】
【表1】

【0122】
樹脂型分散剤:日本ルーブリゾール社製「SOLSPERSE−20000」
【0123】
[実施例1〜20、比較例1〜9]
<感光性着色組成物の調製>
表2〜表4に示す組成(重量部)の混合物を均一に攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し実施例1〜7および比較例1〜3の赤色感光性着色組成物、実施例8〜14および比較例4〜6の緑色感光性着色組成物、実施例15〜20および比較例7〜9の青色感光性着色組成物を作製した。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
(*1)紫外線吸収剤(E)含有量(%):
紫外線吸収剤(E)の含有量/光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)との合計量
(*2)光重合開始剤(D)+紫外線吸収剤(E)含有量(%):
光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(E)との合計含有量
/感光性着色組成物の固形分重量
ここで感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤(D)の含有量に増感剤の含有量を含むものとして計算する。
【0128】
表2〜4の略語を下記に示す。
<光重合性単量体(C)>
モノマー:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−402」)
<光重合開始剤>
光重合開始剤a:
(アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「IRGACURE 819」)
光重合開始剤b:
(オキシムエステル系有機化合物)エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
(BASF社製「IRGACURE OXE 02」)
光重合開始剤c:
(チタノセン系有機化合物)ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム
(BASF社製「IRGACURE 784」)
<増感剤>
増感剤a:2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬社製「カヤキュアDETX−S」)
【0129】
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤a:
(ベンゾトリアゾール系有機化合物)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール
(BASF社製「TINUVIN 900」)
紫外線吸収剤b:
(ベンゾトリアゾール系有機化合物)
5% 2−メトキシ−1−メチルエチルアセテート
95% ベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル
(BASF社製「TINUVIN 384−2」)
紫外線吸収剤c:
(トリアジン系有機化合物)2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール(BASF社製「TINUVIN 400」)
紫外線吸収剤d:
(ベンゾフェノン系有機化合物)2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(ケミプロ化成社製「KEMISORB 12」)
紫外線吸収剤e:
(ベンゾエート系有機化合物)2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート
(ケミプロ化成社製「KEMISORB 112」)
【0130】
<溶剤>
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0131】
<評価>
[密着性評価]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(基板1)上、及びTFT方式液晶駆動用基板の表面に窒化ケイ素膜を形成した基板(基板2)上に、スピンコーターを用いて加熱乾燥後の膜厚が3μmになる回転数で塗布した。
減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、直径30μmの正六角形ホールと50μmの細線を含むフォトマスクを介して積算光量50mJ、照度30mWで紫外線露光を行った。
その後、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液として用い、塗膜の未露光部分がなくなった所からさらに15秒間現像し、パターンを形成させた。
その後、230℃で赤:60分、緑:40分、青:20分加熱乾燥し評価基板を作成した。
この塗膜の密着性について、目視により下記の基準で3段階評価した。
○ : パターンハガレが全く認められない
△ : パターンハガレがわずかに認められる
× : パターンハガレが認められる
【0132】
[解像性評価]
密着性評価用作製評価に用いた基板について、光学顕微鏡を用いた解析ソフト((株)プラネトロン製Image−Pro)でマスクホール径30μmで露光され形成されたホール径を測定し、下記の基準で3段階評価した。
○ : 25μm以上〜31μm未満のホールが形成できる
△ : 15μm以上〜25μm未満のホールが形成できる
× : 15μm未満または、31μm以上のホールになってしまう
【0133】
[断面形状評価]
密着性評価用作製評価に用いた基板について、パターンの細線部分を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて下記の基準で3段階評価した。
○ : 順テーパー形状(断面が台形で露光面が小さい)
△ : ノンテーパー形状(露光面と基板面が同じ)
× : 逆テーパー形状(断面が台形で露光面が大きい)または、形状が不揃い
以下、評価結果を表5に示す。
【0134】
【表5】

【0135】
密着性、解像性、形状において、いずれもガラス基板(基板1)、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板(基板2)とも同評価結果であった。
【0136】
本発明の感光性着色組成物は、比較例に比べ密着性、解像性、形状の評価結果いずれも良好であった。これにより、特定の光重合開始剤と特定の紫外線吸収剤を組み合わせることで3μmの厚膜でも密着性、解像性を両立させる事ができ、COA方式のカラーフィルタを形成する感光性着色組成物としても優れていることが確認された。
【0137】
また、2μmの膜厚での評価結果も同じく、密着性、解像性、形状のいずれも良好であった。
【0138】
なかでも、紫外線吸収剤(E)が、ベンゾトリアゾール系有機化合物2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである場合、密着性が非常に優れていた。
【0139】
また、光重合開始剤(D)が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含む実施例7、8〜13、15〜20で得られた感光性着色組成物は、露光照度を30mWから20mWに変えた場合でも、露光機内にガラス板を介在させて300〜410nmの露光スペクトルを変化させた場合でも、いずれも変更前と解像性が変わらず、露光照度および露光スペクトルの依存性が小さくより安定した感度が確認できた。
【0140】
さらに、樹脂が感光性樹脂を含む場合、密着性が良好であり、特定の構造を有する感光性樹脂[B−1]である樹脂溶液(B3)を用いることで、形状も良好であった。
【0141】
また、増感剤を併用した場合、形状においてより良好な結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)と、樹脂(B)と、光重合性単量体(C)と、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物またはオキシムエステル系有機化合物を含む光重合開始剤(D)と、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、およびベンゾフェノン系有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である紫外線吸収剤(E)とを含むことを特徴とする感光性着色組成物。
【請求項2】
紫外線吸収剤(E)が、一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の感光性着色組成物。
一般式(1)
【化1】

[一般式(1)中、R1、R2は互いに独立して、水素原子または、ベンゼン環を含んでも良い炭素数1〜20のアルキル基、Xは、水素原子または、塩素原子を表す。]
【請求項3】
紫外線吸収剤(E)が、式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の感光性着色組成物。
式(2)
【化2】

【請求項4】
光重合開始剤(D)が、式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の感光性着色組成物。
式(3)
【化3】

【請求項5】
樹脂(B)が、感光性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
基材上に、請求項1ないし5いずれか1項に記載の感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
基材が、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の駆動用基板であることを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−163769(P2012−163769A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23981(P2011−23981)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】