説明

感光性記録媒体用記録再生装置

【課題】感光性記録媒体用カートリッジの側面に侵入する光を完全に遮断できる感光性記録媒体用記録再生装置を提供する。
【解決手段】カートリッジ本体と前記カートリッジ本体の外側に取り付けられたシャッタとを有し挿入方向先端の横幅が先細に形成されて成る感光性記録媒体用カートリッジを内部に収容して記録再生するための装置であって、挿入口が形成された筐体と、前記挿入口を遮光する挿入口フタと、前記挿入口近傍に設けられ前記挿入口から挿入されたカートリッジを筐体内に案内するカートリッジガイドと、を有する記録再生装置において、前記カートリッジガイドを前記カートリッジガイドの両側面に接触する可動部材と前記可動部材を出没自在に収納する収納部材とから成るガイド部材の2本で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録媒体などの感光性記録媒体用記録再生装置に関し、特に、感光性記録媒体を遮光状態で収容保管するカートリッジに遮光状態でデータを記録し、または記録されたデータを再生する感光性記録媒体用記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データをホログラムによって記録するホログラム記録媒体が発明されている(例えば、特許文献1参照)。このホログラム記録媒体は、円板形状の支持体上に感光性材料からなるホログラム記録層が層設された感光性記録媒体であり、データをレーザ光の干渉縞として多層記録することにより、従来普及している記録媒体であるDVDよりも大きなデータ記録容量を得ることができる。このホログラム記録媒体は、ホログラム記録層が曝光され、または塵芥が付着することによりその性能に悪影響が及ぶため、遮光機能及び防塵機能を有するカートリッジに収容されて取り扱われている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、DVD−RAMのカートリッジに類似したカートリッジにホログラム記録媒体を収容している。このカートリッジは、ホログラム記録層に影響を与える波長域の光線の透過率が小さい材質で形成されている。特許文献1には、カ一トリッジの詳しい構成は記載されていないものの、特許文献2に記載されているカートリッジと同様の構成を有しているものと考えられる。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、ホログラム記録層の感応色を遮光する材質でカートリッジを形成し、ホログラム記録媒体を外部に露呈させる可動部分の合せ目には、スポンジ状の遮光材を貼付している。また、記録媒体を回転自在な状態で収容するカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に設けられ、記録媒体の一部を外部に露呈させる開口と、この開口を開閉するシャッタとを備えたカートリッジが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004―029476号公報
【特許文献2】特開2003―317422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CD−R、DVD−R,BD−Rは光で記録するものであるが感光性が低いので、遮光性は不要であった。一方、本発明が対象としているホログラムディスクは感度が高いので、遮光が必要となっている。したがってホログラムディスクは遮光性のシャッタを備えており、したがってこのような遮光性カートリッジを収納する記録再生従来装置にあっても、遮光性に配慮する必要があった。
【0007】
図10および図11は本発明が対象としている記録再生装置の概略構成図である。図10および図11に示すように、カートリッジ2を装填して使用される記録再生装置10は、カートリッジ2を挿入可能な挿入口91が形成され、外部から遮光された内部空間92を有する筐体90を備える。挿入口91は、ピン93を中心として回動自在に筐体90の内部に配設された挿入口シャッタ94により開閉される。挿入口シャッタ94は、捩じりコイルばね96の一端が係止されて挿入口シャッタ94を閉じる方向に付勢している。挿入口91には、その開口全周に亘って遮光部材95が固着されており、挿入口シャッタ94が閉じられたとき挿入口シャッタ94と協働して挿入口91を外部から遮光する。
筐体90内には、ロック解除機構78およびシャッタ開放機構80が組み込まれている。
【0008】
シャッタ開放機構80は、カートリッジの先端にあるスライド部材の突起(被操作部)の外側に当接する一対の操作片81a,81bと、両端側に右ねじ82aおよび左ねじ82bがそれぞれ形成されたリードねじ82を備える。リードねじ82の右ねじ82aには操作片81aが螺合し、左ねじ82bには操作片81bが螺合している。リードねじ82の一端には、駆動モータ83の回転軸が固定されてリードねじ82を時計方向または反時計方向に回転させるようになっている。
【0009】
リードねじ82が反時計方向に回転すると、操作片81a,81bは互いに接近する方向に移動してカートリッジの被操作部を押圧し、シャッタ13を開き位置にスライドさせる。操作片81a,81bを一対設けたのは、カートリッジ2の反転挿入に対応するためである。
【0010】
筐体90の内部には、筐体90内の明るさを検出する照度センサ98が配備されており、この照度センサ98は筐体内部が所定の暗室となったことを検出して、上記シャッタ開放機構80を動作させる。
このように、本発明が対象とする記録再生装置10にあっては、カートリッジの挿入口91に開閉フタ94を設けて、感光性記録媒体用カートリッジ2を侵入光から保護していた。しかしながら、開閉フタ94を設けていても完全に遮光することは困難で、実際には光の何%かは開閉フタ94の隙間から筐体内に侵入していた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、感光性記録媒体用カートリッジの側面から筐体内に侵入する光を完全に遮断する感光性記録媒体用記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、感光性記録媒体を回転自在に収容すると共に前記感光性記録媒体の中心と記録面とを外部に露呈させる開口を有するカートリッジ本体と前記カートリッジ本体の外側に取り付けられて前記開口を閉じる閉じ位置と前記開口を開放する開き位置との間で移動自在に配設されたシャッタとを有し挿入方向先端の横幅が先細に形成されて成る感光性記録媒体用カートリッジを内部に収容して記録再生するための装置であって、挿入可能な挿入口が形成された内部空間を有する筐体と、前記筐体に設けられ前記挿入口を外部から遮光する挿入口フタと、前記挿入口近傍に設けられ前記挿入口から挿入されたカートリッジを筐体内に案内するカートリッジガイドと、を有する記録再生装置において、前記カートリッジガイドが前記カートリッジガイドの両側面に接触する可動部材と前記可動部材を出没自在に収納する収納部材とから成るガイド部材を、2本、それぞれの可動部材を互いに内側に向けてカートリッジの挿入方向に沿わせ、前記可動部材間の間隔が前記先細カートリッジの前記先端の横幅間隔より広く、前記カートリッジの本来の横幅間隔より狭い範囲で配設して成ることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置において、前記カートリッジガイドは前記カートリッジの挿入方向の長さ以上であることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置において、前記カートリッジガイドは、前記カートリッジの挿入方向の長さ以下であり、かつその場合、筐体内の所定位置に収納されたカートリッジの両側面の少なくともその挿入方向後端部に接触する位置に配設されていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置において、前記カートリッジガイドは、筐体内の所定位置に収納されたカートリッジの両側面の少なくともその挿入方向後端部に接触した状態で、前記カートリッジが上又は下方向に移動することを許容する押圧力であることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の感光性記録媒体用記録再生装置において、前記カートリッジガイドの上下方向の長さが前記カートリッジが上又は下方向に移動する範囲をカバーするものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、可動部材間の間隔が前記先細カートリッジの前記先端の横幅間隔より広く、前記カートリッジの本来の横幅間隔より狭い範囲で配設して成るため、カートリッジの側面が常時可動部材に接触しており、その間に隙間ができないので、カートリッジの側面から侵入する光は全て遮断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
〈実施形態1〉
図1は本発明の実施形態1である記録再生装置を示す平面図で、(a)はカートリッジの正規の使用の場合で、(1)〜(3)は時間の経過を示し、(b)はカートリッジの誤挿入の場合をそれぞれ示している。なお、(c)は従来装置の場合である。
まず、従来装置の(c)の場合、901は筐体の外側又は内部の壁面で、カートリッジ2が挿入される挿入口が設けられている。カートリッジ2が挿入口から挿入されるためには、挿入口の横幅はカートリッジ2の横幅よりも当然大きめに形成されている。そうすると、カートリッジ2の挿入時においては、挿入口の横幅とカートリッジ2の横幅と間にできる隙間から、侵入光Lが入ってくることになる。
【0015】
これに対して、本発明の場合、(a)において、901は筐体の外側又は内部の壁面で、カートリッジ2が挿入される挿入口が設けられている。カートリッジ2が挿入口から挿入されるためには、挿入口の横幅はカートリッジ2の横幅よりも当然大きめに形成されているが、本発明では、挿入口に挿入されたカートリッジを筐体内に案内するカートリッジガイドに次のような工夫を加えて、侵入光を防いでいる。このカートリッジガイドは可動部材930とこの可動部材930を出没自在に収納する収納部材920とから成るガイド部材910を、2本、それぞれの可動部材930を互いに内側に向けて配設したものである。
本発明が対象としているカートリッジ2はその平面図で見た形状が、挿入方向先端の両端部にて斜めにテーパ2Tが形成されている先細の形状をしているのが特徴である。
そこで、可動部材930、930間の間隔が先細カートリッジ2の先端両端部の横幅間隔より広く、カートリッジの本来の横幅間隔より狭い範囲にくるように配設されている。言い換えれば、可動部材930、930の間隔は、各可動部材930、930の手前の角がそれぞれテーパ2Tに当接するような幅となっている。
【0016】
したがって、このようなガイド部材910が2本奥に配設されている挿入口にカートリッジ2を挿入すると、(1)のように、まず、カートリッジ2の斜めテーパ2Tの部分が可動部材930、930に接触する。
【0017】
そして、さらにカートリッジ2の挿入を続けると、可動部材930はカートリッジ2の斜めテーパ部2Tに押圧されて、収納部材920の中に没入するので、カートリッジ2は挿入口から内部に入ることが可能となる。(2)はこの状態を示している。
【0018】
さらに、カートリッジ2の挿入が続くと、最終的にはカートリッジ2は筐体の所定位置に到達して、停止することとなる。その最終状態を(3)は示している。(3)によれば、カートリッジ2はその両側面が可動部材930、930に接触した状態で停止しているので、従来装置(c)で見られたような侵入光Lの侵入がなくなる。すなわち、カートリッジ2の挿入時にも、挿入後にも、カートリッジ2の側面と挿入口との間には隙間が一切生じないので、この間を通過する侵入光Lはなくなる(もっとも、カートリッジ2の上下面と挿入口との間には隙間が生じているが、それは別の解決策(上側から下に向けて、また、下側から上に向けてそれぞれ可撓性接触部材(ゴム)を敷設しておくことで解決する等)に委ねられるべき問題であって、カートリッジの側面と挿入口との間の隙間をいかになくするかという本発明の関心事ではない。)。
なお、このガイド部材910が設けられる挿入口は、筐体外部の挿入口であってもよいし、筐体内部に設けられた二重壁の挿入口であってもよい。この場合、挿入口に本来の挿入口フタが設けられていてもよいし、別のタイプの挿入口フタ(挿入口の手前側に置かれるフタ等)でもよい。
【0019】
図2および図3は、以上説明した本発明による可動部材930が収納部材920内に出没自在に収納されて成るガイド部材910の1例を示すものであるが、もちろん、本発明はこれに限定されるものではない。
図2の(1)において、ガイド部材910は図の左右にそれぞれ1本ずつ配置され、各ガイド部材910は収納部材920とこの収納部材920の中に出没自在に収納される可動部材930とで構成される。両可動部材930の間隔は挿入されるカートリッジ2の先端テーパ部2Tにそれぞれが接触するような間隔としてある。それ以下ではカートリッジ2は挿入できなくなり、それ以上では本発明の遮光効果が得られなくなる。
【0020】
収納部材920は、両端の端部延設フイン921、922と、これらの端部延設フイン921、922間に設けられる内部延設フイン923、924と、これらの内部延設フイン923、924との間に収納される押圧スプリング940とで構成される。
【0021】
一方、可動部材930は、両端の端部延設フイン931、932と、これらの端部延設フイン931、932間に設けられる内部延設フイン933、934と、これらの内部延設フイン933、934との間で押圧スプリング940の先端部を収納している。
【0022】
端部延設フイン931は端部延設フイン921と内部延設フイン923との間に介在し、また端部延設フイン934は端部延設フイン922と内部延設フイン924との間に介在しており、かつ、端部延設フイン921の先端は内側に曲折する曲折部921aと、端部延設フイン931の先端は外側に曲折する曲折部931aとを有し、互いの曲折部921aと931aは係合している。もう一方の端部延設フイン924と端部延設フイン934の側も同様で、互いの曲折部922aと932aは係合している。
可動部材930は押圧スプリング940により常時収納部材920から離れる方向に付勢されているが、互いの曲折部921aと931a、曲折部922aと932aの係合により、可動部材930は収納部材920から外れない。
また、可動部材930が押さえられると押圧スプリング940の押圧力に逆らって収納部材920の中に後退(没入)する。
【0023】
図2の(1)に戻って、このようなガイド部材910が2本奥に配設されている挿入口にカートリッジ2を挿入すると、まず、カートリッジ2の斜めテーパ2Tの部分が可動部材930、930に接触する。
【0024】
さらに、カートリッジ2の挿入を続けると、可動部材930はカートリッジ2の斜めテーパ部2Tに押圧されて、収納部材920の中に没入するので、カートリッジ2は挿入口から内部に入ることが可能となる。(2)はこの状態を示している。
【0025】
さらに、カートリッジ2の挿入が続くと、最終的にはカートリッジ2は筐体の所定位置に到達して、停止することとなる。その最終状態を図3(3)は示している。(3)によれば、カートリッジ2はその両側面が可動部材930、930に接触した状態で停止しているので、側面からカートリッジ2内に侵入する侵入光はなくなる。
【0026】
所定位置に到達して停止したカートリッジ2は、次の記録・再生動作をするため、下方に設置されているスピンドルモータ(図示せず)に向かってこのままの姿勢を保った状態で下に下降する。この場合でも、本発明に係る可動部材930はカートリッジ2の下降ストローク分をカバーする上下方向の長さを備えているので、図3(4)のように、カートリッジが下降して停止した状態でも、依然としてカートリッジ2はその両側面が可動部材930、930に接触した状態を保っているので、側面からカートリッジ2内に侵入する侵入光はない。
【0027】
なお、カートリッジ2の先端と後端を逆にして誤って挿入しようとすると、図4のように、カートリッジ2が本発明による可動部材930、930に接触するが、テーパ2Tが形成されていない部分であるので、可動部材930、930を収納部材920、920の中に没入させる力が作用しないため、挿入できない。
【0028】
〈実施形態2〉
以上の実施形態1のガイド部材910は挿入方向の長さがカートリッジ2の挿入方向長さ以上としたが、外から挿入口に侵入する光を遮光するには、カートリッジ2の挿入方向長さ以上とする必要はなく、挿入口近傍だけでもよい。実施形態2はこのようなコンセプトに基づき、ガイド部材910を短くして、材料およびスペースの節約を計るものである。
図5は実施形態2に係るガイド部材を示しており、(1)は挿入前、(2)は挿入完了後を示している。
実施形態1のガイド部材910は実施形態1のガイド部材と長さが異なるだけで、その構成および動作は全く同じであるので、重複説明は省略する。
カートリッジ2はその両側面が可動部材930、930に接触した状態で停止しているので、挿入口の側面からカートリッジ2内に侵入する侵入光はなくなる。
【0029】
〈本発明が扱うカートリッジ〉
ここで、本発明が扱う遮光性を考慮したカートリッジの構造について説明する。
図6〜図8はホログラム記録媒体用カートリッジの外観形状を示す斜視図であり、図6はカートリッジの一方の面を上方にした状態を示す斜視図、図7は反対側の面を上方にした状態を示す斜視図、図8はシャッタが開き位置にあり、ディスク収容部に円板形状のホログラム記録媒体(以下、記録ディスクと称する)が回転自在に収容された状態を示す斜視図である。
【0030】
図6〜図8に示すように、カートリッジ2は、このカートリッジを取り扱うホログラム記録装置等の記録再生装置10に対し、矢印C方向から装填される。カートリッジ2の挿入方向先端の両側面には、挿入方向先端の両端部にて斜めにテーパが形成されて先細の形状をしているのが判る。そして、カートリッジ2がホログラム記録装置等の記録再生装置10に装填された際に、記録再生装置10に設けられた位置決め部材が挿入される位置決め溝7(図6),8(図7)が設けられている。
【0031】
記録ディスク4は、中心部に穴をあけてディスク状にしたホログラム記録ディスクであり、両面にホログラム記録層が設けられている。このホログラム記録層には、例えば、緑色532nm〜青色405nmの波長域のレーザ光により、データがレーザ光の干渉縞として多層記録される。なお、記録ディスク4の穴部に補強材を付加してもよい。カートリッジ2は、記録ディスク4の両面の記録面に記録を行なうために、A面2aまたはB面2bのいずれかを上にして記録再生装置(ホログラム記録装置)10にセットされる。
【0032】
カートリッジ2は、ディスク収容部3が設けられたカートリッジ本体11と、このカートリッジ本体11の外側を挟み込むようにして取り付けられる遮光板12と、カートリッジ本体11と遮光板12との間に組み込まれるシャッタ13とを備えている。遮光板12の上下面には、第2の開口である略長方形の外部開口14、15が形成されている。これらの外部開口14,15は、シャッタ13が閉じ位置にあるときに、第1シャッタ55a,第2シャッタ55bによって閉じられている。
【0033】
図8に示すように、シャッタ13が矢印D方向の開き位置に向けて移動すると、外部開口14,15とともに、外部開口14,15に対面するようにカートリッジ本体11に設けられている同形状の内部開口18,19が開放される。これにより、ディスク収容部3内に収容されている記録ディスク4の中心部4aと、記録面4bとが外部に露呈される。
【0034】
シャッタ13は、内蔵するシャッタバネによって閉じ位置に付勢され、かつロック機構によって閉じ位置でロックされている。ロック機構の解除は、位置決め溝7内に突出されている第2のロック部材64をカートリッジ2内に押し込み、その状態でカートリッジ2のA面2a及びB面2bの開口73,72から露呈されている第1のロック部材63をカートリッジ挿入方向の後端側にスライドさせる。このように、シャッタ13は、2段階の操作を行なわなければ解除されないロック機構によって閉じ位置でロックされているため、シャッタ13が不用意に開放されることはない。
【0035】
図9は、カートリッジの構成を示す分解斜視図である。
図9に示すように、カートリッジ本体11は、略板状の第1シェル25と、この第1シェル25に接合される第2シェル26と、第1シェル25と第2シェル26との間に組み込まれてシャッタ13のロックを行なうロック機構27とから構成されている。
【0036】
第1シェル25と第2シェル26は、例えば、遮光性物質と滑剤とが添加された同一または類似の熱可塑性プラスチックを用いて、射出成形により形成されている。第1シェル25の内面には、記録ディスク4の外径よりも大きな径で形成された突条である第1の遮光壁30と、この第1の遮光壁30の外側に設けられた第2の遮光壁31と、端縁全周に設けられた突条32とが設けられている。第1の遮光壁30の内側には、記録ディスク4の中心部4aと記録面4bとを外部に露呈させる内部開口18が設けられている。
【0037】
第2シェル26の内面には、記録ディスク4の外径よりも大きな径で形成された突条であり、第1シェル25の第1の遮光壁30と第2の遮光壁31との間に挿入される第3の遮光壁35と、端縁全周に設けられた突条36とが設けられている。第3の遮光壁35の内側には、記録ディスク4の中心部4aと記録面4bとを外部に露呈させる内部開口19が設けられている。
【0038】
第2シェル26の第3の遮光壁35の内側に記録ディスク4を乗せ、第1シェル25を第2シェル26の上面に重ね合わせると、第3の遮光壁35が第1の遮光壁30と第2の遮光壁31との間に挿入され、第3の遮光壁35の先端が第1シェル25の内面25eに当接する。ディスク収容部3は、これらの遮光壁30、31、35と、第1シェル25及び第2シェル26の内面とによって形成される。ディスク収容部3の側壁は、3枚の遮光壁30,31,35が入り組んで形成されたラビリンス状の遮光構造となる。そのため、第1シェル25及び第2シェル26の合せ目から光や塵芥が入り込んでも、これらがディスク収容部3内にまで進入することはない。
【0039】
また、第2シェル26の第3の遮光壁35の先端は、超音波溶着によって第1シェル25の内面25eに固着される。これにより、第1シェル25と第2シェル26とが強固に接合されるため、両者の合せ目に隙間が開くようなことはない。
【0040】
上記構成により遮光性の保たれたカートリッジが記録再生装置の挿入口に挿入されると、可動部材がカートリッジ先端テーパ部に接触し、これ以降、カートリッジの側面が可動部材に接触し続けるので、カートリッジの側面から侵入する光は全て遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態1である記録再生装置を示す平面図で、(a)はカートリッジの正規の使用の場合で、(1)〜(3)は時間の経過を示し、(b)はカートリッジの誤挿入の場合をそれぞれ示し、(c)は従来装置の場合である。
【図2】ガイド部材の1例を示す斜視図で、(1)〜(2)は時間の経過を示している。
【図3】図2に続く時間の経過(3)〜(4)を示している。
【図4】本発明の副効果であるカートリッジの誤挿入を防止する理由を説明する斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るガイド部材を示しており、(1)は挿入前、(2)は挿入完了後を示している。
【図6】カートリッジの外観形状を示す外観斜視図である。
【図7】カートリッジの反対側の面を示す外観斜視図である。
【図8】カートリッジのシャッタ開放状態を示す外観斜視図である。
【図9】カートリッジの構成を示す分解斜視図である。
【図10】本発明が対象とする記録再生装置の構成を示す斜視図である。
【図11】記録再生装置の内部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0042】
2 カートリッジ(感光性記録媒体用カートリッジ)
2T 先端テーパ
4 記録ディスク(感光性記録媒体、ホログラム記録媒体)
4a 感光性記録媒体の中心
4b 感光性記録媒体の記録面
10 記録再生装置
11 カートリッジ本体
13 シャッタ
18 内部開口(開口)
19 内部開口(開口)
27 ロック機構
63 第1のロック部材
64 第2のロック部材
77a 位置決め部材(第2の解除部材)
77b 位置決め部材(第2の解除部材)
78 ロック解除機構
79a 係合ピン(第1の解除部材)
79b 係合ピン(第1の解除部材)
80 シャッタ開放機構
90 筐体
91 挿入口
94 挿入口シャッタ
98 照度センサ
901 筐体の壁面
910 ガイド部材
920 収納部材
921、922 端部延設フイン
923、924 内部延設フイン
930 可動部材
931、932 端部延設フイン
933、934 内部延設フイン
940 押圧スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性記録媒体を回転自在に収容すると共に前記感光性記録媒体の中心と記録面とを外部に露呈させる開口を有するカートリッジ本体と前記カートリッジ本体の外側に取り付けられて前記開口を閉じる閉じ位置と前記開口を開放する開き位置との間で移動自在に配設されたシャッタとを有し挿入方向先端の横幅が先細に形成されて成る感光性記録媒体用カートリッジを内部に収容して記録再生するための装置であって、挿入可能な挿入口が形成された内部空間を有する筐体と、前記筐体に設けられ前記挿入口を外部から遮光する挿入口フタと、前記挿入口近傍に設けられ前記挿入口から挿入されたカートリッジを筐体内に案内するカートリッジガイドと、を有する記録再生装置において、
前記カートリッジガイドは前記カートリッジガイドの両側面に接触する可動部材と前記可動部材を出没自在に収納する収納部材とから成るガイド部材を、2本、それぞれの可動部材を互いに内側に向けてカートリッジの挿入方向に沿わせ、前記可動部材間の間隔が前記先細カートリッジの前記先端の横幅間隔より広く、前記カートリッジの本来の横幅間隔より狭い範囲で配設して成ることを特徴とする感光性記録媒体用記録再生装置。
【請求項2】
前記カートリッジガイドは前記カートリッジの挿入方向の長さ以上であることを特徴とする請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置。
【請求項3】
前記カートリッジガイドは、前記カートリッジの挿入方向の長さ以下であり、かつその場合、筐体内の所定位置に収納されたカートリッジの両側面の少なくともその挿入方向後端部に接触する位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置。
【請求項4】
前記カートリッジガイドは、筐体内の所定位置に収納されたカートリッジの両側面の少なくともその挿入方向後端部に接触した状態で、前記カートリッジが上又は下方向に移動することを許容する押圧力であることを特徴とする請求項1記載の感光性記録媒体用記録再生装置。
【請求項5】
前記カートリッジガイドは、上下方向の長さが前記カートリッジが上又は下方向に移動する範囲をカバーするものであることを特徴とする請求項4記載の感光性記録媒体用記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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