説明

感圧接着剤

本発明は、少なくとも一つのポリイソブチレン、少なくとも一つの(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー、および場合により添加剤を含む感圧接着剤に関する。その際に、該感圧接着剤における上記のポリイソブチレンの割合が、該感圧接着剤の重量に対して少なくとも10重量%であることが予定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着剤、その製造方法、およびその感圧接着剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術から、ポリイソブチレンからの感圧接着剤が知られている。ポリイソブチレンの特性は、その分子量に応じて変わる。いずれのポリイソブチレンも、約−65℃のゴム様ガラス転移点を有する。しかしながら、ポリイソブチレンは飽和した性質を有するので、ポリイソブチレンの老化挙動および天候挙動(Witterungsverhalten)は、天然ゴムのそれらより非常に安定している。
【0003】
天然ゴムの場合と同様に、ポリイソブチレンは、一般に、粘着力を高める樹脂と混合され、その際、好ましくは高分子量および低分子量のポリイソブチレンからなる混合物が使用される。ポリイソブチレンをベースとする感圧接着剤は、一般に、天然ゴム系感圧接着剤のような接着技術的性質を有している。それに反して、ポリイソブチレンをベースとする感圧接着剤の老化安定性は、むしろアクリレート系感圧接着剤のそれに相当する。
【0004】
高分子量ポリイソブチレンをベースとする感圧接着剤の室温及びそれ以下の温度で不利な流動挙動(低温挙動)の傾向の他に、電子線照射によるその架橋のエラーがとりわけ不利である。以下、電子線硬化(ESH)と呼ぶ、電子線によるポリマーの架橋は、感圧接着剤の架橋成分の分子量を高めるのに配慮し、そしてそれにより、感圧接着剤の粘着性および剥離性に悪影響を及ぼすことなく、感圧接着剤の成分間の強い凝集に配慮するものである。ポリイソブチレンは、その飽和した性質に起因して、電子線硬化によらずに架橋すること場合があり、それにより、特に室温未満の温度において、ポリイソブチレンをベースとする感圧接着剤の不十分な凝集が引き起こされる場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie (4. Aufl.), Band 12, S. 525−555
【非特許文献2】Skelhorne, Electron Beam Processing, in Chemistry and Technology of UV and EB formulation for Coatings, Inks and Paints, Vol. 1, 1991, SITA, London
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術による欠点を取り除くことである。ポリイソブチレンをベースとする感圧接着剤であり、その際、特に、室温未満の温度において優れた流動挙動および高い凝集性を有する該感圧接着剤を提供することである。さらに、そうした感圧接着剤を製造するための方法およびその感圧接着剤の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの課題は、請求項1、15、19および20の特徴により解決される。本発明の目的にかなった形態は、請求項2〜14、並びに16〜18の特徴から明らかとなる。
【0008】
本発明によれば、少なくとも一つのポリイソブチレン、少なくとも一つの(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー、および場合により添加剤を含む感圧接着剤であり、その際、該感圧接着剤におけるポリイソブチレンの割合が、感圧接着剤の重量に基づいて少なくとも10重量%である、感圧接着剤が提供される。
【0009】
本発明の感圧接着剤は、アクリレート系感圧接着剤に比較して、低温においてさえ、高い接着力によって特徴付けられる。これは、特に室温より低い温度、たとえば5℃以下の温度が相当する。低い温度では、アクリレート系感圧接着剤は接着力を失うが、本発明の感圧接着剤の接着力はそれどころか高まる。この効果はポリイソブチレンの可撓性に起因しており、他方、この可撓性は、ポリイソブチレンの非常に低いガラス転移点(Tg)に基づいている。本発明の感圧接着剤の低温におけるその高い接着力によって、本発明の感圧接着剤は、特に屋外での使用に適している。
【0010】
さらに、本発明による感圧接着剤は、より長い貯蔵時間にわたり基材に対する比較的一定の接着力を示す(長期間接着)。アクリレート系感圧接着剤の場合、それとは逆に、長期間接着時に接着力が増える。この感圧接着剤を含む接着テープを再び剥がさなければならないときには、それが欠点となる。これに反し、本発明の感圧接着剤は、そのような感圧接着剤を有する接着テープが実質的に変化しない接着力を有し、所定の感圧接着剤の目的にかなった選択が容易となることを保証する。
【0011】
さらに、本発明による感圧接着剤は、高い老化耐性を有する。これは、ポリイソブチレン成分だけでなく(メタ)アクリレートポリマー成分または(メタ)アクリレートコポリマー成分の飽和された性質に由来する。
【0012】
さらに、本発明による感圧接着剤は、高温においても良好な加工性が得られ、これはその粘度に由来するものであり、そして、粗い基材に対してさえも高い接着強度が得られる。
【0013】
感圧接着剤におけるポリイソブチレンの割合は、いずれも感圧接着剤の重量に基づいて、好ましくは少なくとも25重量%、特に好ましくは少なくとも45重量%。なかんずく好ましくは少なくとも60%である。
【0014】
感圧接着剤における添加剤の割合は、感圧接着剤の重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%である。
【0015】
好ましい一実施形態において、ポリイソブチレンと(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとの重量比は、感圧接着剤中のポリ(メタ)アクリレートポリマーまたはポリ(メタ)アクリレートコポリマーに対するポリイソブチレンの全重量に基づいて、5:1〜1:5、特に好ましくは2:1〜1:2、なかんずく好ましくは1.5:1〜1:1.5である。
【0016】
一実施形態において、本発明による感圧接着剤は、該感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン40〜60重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー60〜40重量%、および
(c) 添加剤0〜10重量%を含む。
【0017】
第二の実施形態において、本発明の感圧接着剤は、その感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン45〜55重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー55〜45重量%、および
(c) 添加剤0〜5重量%を含む。
【0018】
さらなる実施形態において、本発明の感圧接着剤は、その感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン45〜55重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー55〜45重量%、および
(c) 添加剤0重量%を含む。
【0019】
本発明の感圧接着剤は粘着を高める樹脂を全く含まないことが好ましい。
【0020】
好ましい一実施形態において、本発明の感圧接着剤は電子線硬化に供される。
【0021】
特にポリイソブチレンは、高分子量のポリイソブチレンである。とりわけこのポリイソブチレンは、500,000以上、特に好ましくは800,000以上、なかんずく好ましくは1,000,000以上の重量平均分子量を有する。
【0022】
異なる分子量および異なる分子量分布を有するポリイソブチレンからなる混合物を使用することができる。
【0023】
感圧接着剤の接着作用は、実質的にポリイソブチレンと(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとからなる混合物に基づいており、それ故、この感圧接着剤には粘着を高める樹脂を添加する必要が全くない。
【0024】
(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとして、アクリレート系感圧接着剤の製造に使用される全てのポリマーおよび/またはコポリマーを使用できる。この(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーは、式CH=CH(R)(COOR)[式中、RはHおよび/またはCHであり、RはHおよび/または1〜30個の炭素原子、4〜14個の炭素原子、好ましくは4〜9個の炭素原子を有するアルキル鎖である。]で表されるアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルから製造できる。特定の例としては、それらに限定されることなく、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、およびそれらの分岐鎖状アイソマー(たとえば、2−エチルヘキシルアクリレートなど)である。
【0025】
添加剤として感圧接着剤には、ポリイソブチレン感圧接着剤およびアクリレート感圧接着剤の製造用として当業者に周知の全ての添加剤、例えば、フィラー、顔料、レオロジー添加剤、粘着性を向上させるための添加剤、可塑化剤、エラストマー、老化防止剤(酸化防止剤)、光保護剤、紫外吸収剤、ならびに、たとえば乾燥剤(たとえば分子篩ゼオライト、酸化カルシウム)、流動剤(Fliessmittel)および均染剤(Verlaufmittel)、湿潤剤(界面活性剤)または触媒のようなその他の補助剤および添加材を添加することができる。
【0026】
フィラーとしては、たとえば、チョーク、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カオリン、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化カルシウムのような微粉砕された固体の添加材を使用できる。さらなる例として、チャコ(Talkum)、雲母、シリカ、シリケート、または酸化亜鉛がある。これらの物質の混合物も使用できる。
【0027】
使用される顔料は、有機質のものでも無機質のものでもよい。あらゆる種類の有機または無機顔料、たとえば、光安定性および紫外安定性を向上させるための二酸化チタンのような白色顔料、ならびに金属顔料が考慮される。
【0028】
レオロジー添加剤の例としては、焼成シリカ、層状シリケート(ベントナイト)、高分子量ポリアミド粉末またはヒマシ油誘導体粉末である。
【0029】
粘着性を向上させるための添加剤は、たとえば、ポリアミド、エポキシド、またはシランの群からの物質であることができる。
【0030】
可塑化剤の例とは、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸のエステルならびに別の非環式ジカルボン酸エステル、脂肪酸エステル、ヒドロキシカルボン酸エステル、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、脂肪族、脂環族および芳香族の鉱油、炭化水素、液体もしくは半固体のゴム(たとえば、ニトリルゴムもしくはポリイソプレンゴム)、ブテンおよび/またはイソブテンからの液体もしくは半固体の重合体、アクリル酸エステル、ポリビニルエーテル、粘着力を高める樹脂のベースでもある、原料をベースとする液状樹脂および軟樹脂、ウールワックスおよび別のワックス類、シリコーン、ならびにポリエステルまたはポリウレタンのような高分子可塑化剤が挙げられる。
【0031】
適切な樹脂は、ロジン誘導体(たとえば、不均化、水素化もしくはエステル化により生じる誘導体)、クマロン−インデン樹脂およびポリテルペン樹脂、脂肪族もしくは芳香族炭化水素樹脂(C−5−、C−9−、(C−5)−樹脂)、混合されたC−5/C−9樹脂、前記の種類の水素化および部分水素化誘導体、スチレンもしくはメチルスチレンからの樹脂、ならびにテルペン−フェノール樹脂、およびUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie (4. Aufl.), Band 12, S. 525−555(非特許文献1)中で引用されているような、あらゆる天然樹脂および合成樹脂である。これらの樹脂を用いて、本発明による接着促進剤の接着加工特性を調整かつ制御できる。さらに、これらの樹脂は相調整剤(Phasenvermittler)として使うことができる。
【0032】
適切なエラストマーとは、たとえば、EPDMゴムもしくはEPMゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレン−酢酸ビニル、ジエンからの水素化ブロックコポリマー(たとえばSBR、cSBR、BAN、NBR、SBS、SISもしくはIRの水素化により得られるたとえばSEPSおよびSEBSとして知られているようなポリマー類)、またはACMのようなアクリレートコポリマーである。
【0033】
たとえばフィラーおよび可塑剤のような、さらなる構成成分を有する本発明の接着剤を処方(Rezeptierung)することは同様に従来技術である。
【0034】
本発明の感圧接着剤は、電子線硬化(ESH)を使って架橋させることができる。電子線加速器を用いる場合、使用できる典型的な照射装置は、線形陰極システム、スキャナー装置(Scannersysteme)、あるいはセグメント陰極システムである。従来技術の詳細な説明および最も重要な方法パラメータは、Skelhorne, Electron Beam Processing, in Chemistry and Technology of UV and EB formulation for Coatings, Inks and Paints, Vol. 1, 1991, SITA, London(非特許文献2)により明らかにされている。典型的な加速電圧は、50kV〜500kV、好ましくは80kV〜300kVの範囲内にある。適用される照射量は、5〜150kGyの間、特に20〜100kGyの間で変動する。
【0035】
電子線硬化は、本発明の感圧接着剤の(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーの架橋を引き起こす。したがって、短時間温度安定性試験(Kurzzeittemperaturbestaendigkeitstests(SAFT))が示しているように、本発明の感圧接着剤の温度安定性は明らかに向上される。
【0036】
最後に本発明は、少なくとも一つの支持体および一層の感圧接着剤からなる、片面または両面接着テープのための、前述した感圧接着剤の使用に関する。
【0037】
本発明の感圧接着剤、たとえば接着テープ用の支持体材料としては、フィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC、ポリイミド)、フリース、発泡体、織物および織物フィルム、ならびに剥離紙(グラシン、HDPE、LDPE)のような、当業者によく知られた、慣用的な材料が使用される。さらなる実施形態においては、該感圧接着剤を用いてマスキングテープが製造される。これらの列挙は完全なものではない。
【0038】
それ故、本発明の基準に従って、以下の工程を含む、本発明の感圧接着剤を製造するための方法がさらに提供される。
(a) 前記ポリイソブチレン、前記(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー、および場合により前記添加剤を提供する工程、および
(b) 均質な混合物を得ながら、工程(a)で提供された成分を混合する工程、および
(c) 工程(b)で得られた混合物を成形する工程。
【0039】
工程(b)は、適切な混合機、たとえば、遊星ローラー押出機または二軸スクリュー押出機中で遂行できる。好ましくは、押出し温度は130℃より高く、特に好ましくは130℃であり、そして混合操作もしくは送り出し操作(Foederbetrieb)における押出機の回転数は、50回転/分より高く、特に好ましくは75〜100回転/分であり、合目的的には温度プロフィルPWE(温度サイクル1、2および3を選択)である。
【0040】
以下でブレンド(Blends)とも呼ぶ、工程(b)で得られた混合物は、それから、ロール塗布装置(Walzenauftragwerk)を用いて接着層に成形できる。そのために、その混合物を、15〜200g/m、好ましくは50g/mの層厚でもって、支持体上、好ましくは紙またはフィルム上に合目的的に供する。
【0041】
この混合物を、特に電子線硬化(ESH)に供する。この方法工程は、混合物の成形に引き続いて合目的的に遂行される。
【0042】
以下に例に基づいて、図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】アクリレート系感圧接着剤と比較した、本発明の例示的感圧接着剤の、粘度、接着力、および短時間温度試験(SAFT)の結果を示すグラフである。
【図2】アクリレート系感圧接着剤と比較した、本発明の例示的感圧接着剤の80℃における温度(Temperatur)後の接着力の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0044】

表1に示す本発明の感圧接着剤を製造した。これらの感圧接着剤のいずれも添加剤を含まなかった。
【0045】
高分子量のゴム状ポリイソブチレン(Oppanol B 100、重量平均分子量1,100,000)を、遊星ローラー押出機(温度プロフィルPWE(温度サイクル1、2および3))中でアクリレートコポリマー(Primal PS 83 D)の弱いアンモニアの水性分散物と130℃で混合して、感圧接着剤を製造した。混合操作または巻上げ操作における押出機の回転数は75〜100U/分であった。こうして得られた本発明の感圧接着剤を、ロール塗布装置によりフィルム上に、50g/mの接着性被膜に成形した。
【0046】
【表1】

【0047】
図1に示したグラフにおいて、その図1中、PIB/アクリレート混合物として表される、本発明の感圧接着剤の、粘度(Visc)、鋼に対する接着力(KKS)、および選択された例についての短時間温度安定性(SAFT)が示されている。横軸には、アクリルコポリマーの重量割合(0〜100重量%)が示されている。ここで使用された略号は次の意味を有する。

【0048】
直線的に下降する曲線は感圧接着剤の粘度を示し、一方、放物線状に上昇する曲線は感圧接着剤の接着力を示す。本発明の感圧接着剤が好ましい混合割合である場合、樹脂を添加しなくても、3〜4N/cmの接着力を達成できることが分かる。これは、例えばマスキングテープの使用範囲において通常である。
【0049】
さらに、アクリレートのESH架橋を使って、本発明の感圧接着剤の温度安定性を著しく工場させることができる。これは、短時間温度安定性試験(SAFT)により示される。
【0050】
表2は、さまざまな感圧接着剤について、室温(RT)の場合、5℃の場合、および室温での巻き上げ(Aufziehen)及び貯蔵14日後の場合の鋼に対する接着力を示している。
【0051】
【表2】

【0052】
表2から、巻き上げ後の、あるいは温度の影響による接着力の変化が分かる。鋼のような基材に対する、貯蔵時間の感圧接着剤の接着力は、ポリイソブチレンとアクリレートコポリマーの選択された重量比に依存する。純粋なアクリレート系感圧接着剤は明らかに上昇した接着力を示しているが、ポリイソブチレンとアクリレートコポリマーの重量比が1:1である本発明による感圧接着剤の場合、その接着力は本質的に一定のレベルにとどまる。これは、長期間接着の場合の本発明による感圧接着剤の利点を、本発明の感圧接着剤を支持する接着テープが次に所望通りに剥離されることによって裏付けるものである。
【0053】
さらに、低い温度での、たとえば屋外での接着の場合の接着力は、ポリイソブチレンとアクリレートコポリマーの重量比によって影響し得ることが分かった。純粋なアクリレート系感圧接着剤は、低温で接着力を失うが、本発明による感圧接着剤の場合、ポリイソブチレンの含有量に応じて、接着力はむしろ上昇させることができ、これはポリイソブチレンの、非常に低いガラス転移温度(Tg)という特徴に基づくその可撓性によって引き起こされる。
【0054】
図2は、本発明による感圧接着剤の老化耐性を示している。本発明の感圧接着剤(ポリイソブチレン89重量%/アクリレートコポリマー11重量%、ポリイソブチレン18重量%/アクリレートコポリマー82重量%)は、純粋なアクリレート系感圧接着剤と比較して利点を有することがわかる。ポリイソブチレンだけでなく、アクリレートコポリマーの飽和した性質に基づいて、本発明の感圧接着剤の老化耐性は長期間にわたっても比較的一定である。これは、ポリイソブチレン/アクリレートコポリマーの重量比の幅広い範囲で適用される。
【0055】
図2で使用された略号は次の意味を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのポリイソブチレン、少なくとも一つの(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー、および場合により添加剤を含み、その際、感圧接着剤における該ポリイソブチレンの割合が、前記感圧接着剤の重量に対して少なくとも10重量%である、感圧接着剤。
【請求項2】
前記感圧接着剤における前記ポリイソブチレンの割合が、前記感圧接着剤の重量に対して少なくとも25重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
前記感圧接着剤における前記ポリイソブチレンの割合が、前記感圧接着剤の重量に対して少なくとも45重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
前記感圧接着剤における前記添加剤の割合が、前記感圧接着剤の重量に対して0〜10重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項5】
ポリイソブチレンと、前記(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとの重量比が、前記感圧接着剤中の、ポリ(メタ)アクリレートポリマーまたはポリ(メタ)アクリレートコポリマーに対するポリイソブチレンの全重量に基づいて、5:1〜1:5にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項6】
ポリイソブチレンと、(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとの重量比が、前記感圧接着剤中の(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーに対するポリイソブチレンの全重量に基づいて、2:1〜1:2にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項7】
ポリイソブチレンと、(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーとの重量比が、前記感圧接着剤中の(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマーに対するポリイソブチレンの全重量に基づいて、1.5:1〜1:1.5にあることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項8】
前記感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン40〜60重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー60〜40重量%、および
(c) 添加剤0〜10重量%を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項9】
前記感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン45〜55重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー55〜45重量%、および
(c) 添加剤0〜5重量%を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項10】
前記感圧接着剤の重量に基づいて、
(a) ポリイソブチレン45〜55重量%、
(b) (メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー55〜45重量%、および
(c) 添加剤0重量%を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項11】
電子線硬化に供されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項12】
前記ポリイソブチレンが、500,000以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項13】
前記ポリイソブチレンが、800,000以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項14】
前記ポリイソブチレンが、1,000,000以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の感圧接着剤を製造するための方法であって、
(a) 前記ポリイソブチレン、前記(メタ)アクリレートポリマーまたは(メタ)アクリレートコポリマー、および場合により前記添加剤を提供する工程、および
(b) 均質な混合物を得ながら、工程(a)で提供された成分を混合する工程、および
(c) 工程(b)で得られた混合物を成形する工程、
を含む、上記方法。
【請求項16】
工程(c)における混合物が、支持体上に供され、そしてその場で層に成形されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
混合物が電子線処理に供されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記電子線処理が、前記混合物の成形に引き続いて遂行されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の感圧接着剤の接着テープのための使用。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の感圧接着剤のマスキングテープのための使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500294(P2012−500294A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522478(P2011−522478)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060137
【国際公開番号】WO2010/018108
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】