説明

感熱インクジェット記録材料

【課題】感熱記録層とインクジェット受容層を同一面上に有する記録材料において、感熱記録のための最表層を設けることにより従来の課題を解決するものであり、感熱記録材料としての画像濃度、インクジェット記録材料としてのインクのにじみ、定着性等を改良するとともにインクジェット記録画像の耐擦過性に優れた感熱インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸、及びpH調整剤または前記脂肪族ヒドロキシ酸の緩衝液のうち少なくとも一種以上を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのアウトプットやファクシミリ、自動券売機あるいはPOSシステムのラベル、物流配送ラベルなど広範囲に用いられている感熱記録材料に関するものであり、特に、インクジェットによる印画を併用して用いる場合において、感熱記録によって形成された画像のみならず、インクジェットの記録画像が強い耐擦過性を有し、インクジェット印字における解像度の高い画像が得られる感熱・インクジェット複合記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料については、紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に無色もしくは淡色のロイコ染料と該ロイコ染料を接触時発色させる顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設け、該ロイコ染料と該顕色剤との間の熱、圧力等による発色反応を利用した記録材料として種々提案されている。この種の感熱記録材料は現像、定着等の煩雑な処理を施す必要がなく、比較的簡単な装置で短時間に記録することができること、騒音の発生が少ないこと、更にコストが安いこと等の利点により、図書、文書などの複写に用いられるほか、電子計算機、ファクシミリ、発券機、ラベルプリンター、レコーダー、ハンディターミナル用などの記録材料として広く使用されている。この種の感熱記録材料においては、さらに、速やかに高濃度に発色し、発色した画像および非発色部、つまり地肌の堅牢性の高いものが要望されている。
【0003】
しかしながら、このような感熱記録材料は、黒色、赤色、青色のうち一色ないし二色しか記録できないことから、フルカラーでオンデマンド印刷可能なインクジェット記録方法と併用することが求められてきた。例えば、特許文献1および2に記載の発明では、支持体の一方の面に感熱記録、もう一方の面にインクジェット記録あるいは種々の印刷に用いるための技術が開示されており、感熱記録による解像性、耐水性が必要とされる用途と、インクジェット記録や印刷によるフルカラー画像が必要とされる用途の表裏による使い分けが提案されている。さらに、最近では感熱記録材料の同一面上、すなわち感熱記録面上にロゴマーク、あるいは訂正情報、追加情報、更には偽造防止のための隠し文字といった付加情報を、異なる色の文字やカラー画像でオンデマンドに記録することが要求される。
しかしながら、従来のロイコ染料発色系感熱記録材料の感熱印字面にカラーのインクジェット記録を行うとインクジェットのカラー画像はくすんだ色相の滲みのある画像しか得られないと同時に、感熱記録材料上にインクが定着しにくく、耐擦過性が弱くなる。
すなわち、画像が擦れた場合にインクジェットによって形成された画像が汚れたり欠落したりするといった問題がある。
【0004】
従来からのこの様な問題を解決すべく、感熱層とインクジェット受容層(インクジェット受容機能)を同一面上に有した感熱インクジェット記録材料を改良するための種々の技術が提案されてきた。例えば、特許文献3に記載の発明では、インクジェット受容層の上に、透明または半透明の感熱記録層が設けられているが、このような構成ではインクジェットインクに含まれる界面活性剤や溶剤などが感熱記録層に影響するため、感熱発色部の濃度低下や非発色部に意図しない発色が起こる。また、感熱記録層にインクジェットインクが着弾するため、前述のような滲みが発生してインクが定着しにくくなり耐擦過性が弱くなる。また、特許文献4〜6に記載の発明では、感熱記録層の上にカチオン樹脂を含むインクジェット受容層が設けられているが、このような構成ではインクジェットインクが表面に定着して滞留するため、画像表面を擦ると容易に画像が欠損したり、汚れたりする。
このようなカチオン樹脂は、吸湿しやすいため高温高湿環境下で感熱記録層に形成した感熱記録層が意図しない発色を呈したり、感熱記録画像の耐擦過性や耐水性が乏しくなる原因となる。
また、特許文献7に記載の発明では、感熱層とインクジェット受容層を同一面上に有した感熱インクジェット記録材料の最表面に、金属石鹸、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックスを塗布する方法が記載されているが、このようなワックスは撥水機能が著しく高く、インクが浸透、定着しにくくなるため、耐擦過性が低下する。
【0005】
一方、特許文献8〜9に記載の発明は、インクジェット受容紙の光沢層として、乳酸や酢酸が含まれているが、これらは光沢層を塗工して乾燥させたときに亀裂が生じるという問題を解決するために用いられている。例えば、特許文献9に記載の発明では、膨潤する機能を持つゼラチンを母体として、この前処理剤として乳酸、リン酸、塩酸、酢酸およびアミン化合物などを用いられているが、インクの凝集機能については不明で、耐擦過性に寄与しない。さらに、これらの特許文献に記載の発明では、感熱記録と組み合わせて、感熱記録、インクジェット記録双方の特徴を生かすことが不可能である。
なぜならば、これらの技術は、光沢層を形成することが前提条件となるが、光沢層を形成する場合には、高温に加熱されたドラムで、湿潤状態の塗工液を圧接させる必要があるが、この時に圧力と高熱がかかるため感熱記録層が発色してしまうからである。逆に光沢層を塗布してから感熱記録層を塗布する場合は、光沢処理が無意味となるばかりか、先に示した特許文献3でも言及しているように、インクの定着性が低下し、耐擦過性が低下してしまうという問題がある。この様に感熱層とインクジェット受容層を同一面上に有した感熱・インクジェット記録材料において、感熱記録材料としての精細性、発色濃度を満足し、かつインクジェットインクのにじみが少なく、印字画像の耐擦過性に優れた感熱インクジェット記録材料は、未だ、存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感熱記録層とインクジェット受容層を同一面上に有する記録材料において、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸等のインクジェット記録のための最表層を設けることにより従来の課題を解決するものであり、感熱記録材料としての画像濃度、インクジェット記録材料としてのインクのにじみ、定着性等を両立させることができるだけでなく、インクジェット記録画像の耐擦過性に優れた感熱インクジェット記録材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の課題を解決するものとして、本願第1の発明によれば、支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸を含有することを特徴とする感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第2の発明によれば、支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸、及び、pH調整剤、または前記脂肪族ヒドロキシ酸の緩衝液の一種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第3の発明によれば、支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層の上に少なくとも水溶性樹脂を含む保護層を有することを特徴とする請求項1および2に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第4の発明によれば、保護層がジアセトン変性ポリビニルアルコールおよびヒドラジド化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第5の発明によれば、支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に撥水性の材料が含有されている特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第6の発明によれば、撥水性の材料が、フッ素系エマルションであることを特徴とする請求項5に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第7の発明によれば、感熱発色する側の表面pHが3.0〜4.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第8の発明によれば、支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に、顔料および結着樹脂を含有されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第9の発明によれば、顔料が、沈降法シリカおよびゲル法シリカの少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項8に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第10の発明によれば、結着樹脂が、シラノール変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項8又は9に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第11の発明によれば、感熱記録層中の顕色剤として4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホンおよび下記一般式
【化1】

【化2】

【化3】

[式中、XおよびYは、各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、(化2)もしくは(化3)(Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R〜Rはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時は、R〜Rはそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第12の発明によれば、支持体と感熱記録層との間に断熱機能をもつアンダー層を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第13の発明によれば、アンダー層中に中空率が80%以上である中空粒子を含有することを特徴とする請求項12に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第14の発明によれば、支持体の感熱記録層とは反対側の面に背面層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第15の発明によれば、アンダー層または背面層が水分散性樹脂および水溶性樹脂のいずれかを含有することを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第16の発明によれば、水分散性樹脂および水溶性樹脂のいずれかが、アクリル酸エステル共重合体を含有することを特徴とする請求項15に記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第17の発明によれば、支持体の感熱記録層とは反対側の面に粘着剤層および剥離紙を順次積層することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第18の発明によれば、支持体の感熱記録層とは反対側の面に加熱により粘着機能を発現する層を設けることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第19の発明によれば、支持体の感熱記録層とは反対側の面に磁気による記録が可能な磁性体層を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第20の発明によれば、支持体が、紙、合成紙、プラスチックフィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
本願第21の発明によれば、サーマルヘッド、ホットスタンプ、レーザ加熱、熱ペンのうち少なくとも一種以上の感熱記録方法およびサーマルインクジェット方式、およびピエゾインクジェット方式のうち少なくとも一種以上のインクジェット記録方法を併用して画像や文字などが印画記録されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願第1の発明は、感熱記録層とインクジェット受容層を同一面上に有する記録材料において、最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸を含有させてインクジェットインクの凝集を記録材料の最表層内で行わせることにより、画像濃度、インクジェット記録材料としてのインクのにじみ、定着性の両立が可能であるとともに、インクジェット記録画像の耐擦過性に優れた感熱インクジェット記録材料の提供が可能になる。
第2の発明によれば、感熱インクジェット記録材料においては、請求項1の効果に加え、表面の酸性度を調節することができるため、非印字部での感熱記録層の染料が発色するのを抑制することができる。
第3の発明によれば、感熱インクジェット記録材料においては、最表層中の酸が、感熱記録層に影響することを物理的に阻止するため、意図しない発色を防ぐ効果がある。
第4の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、請求項3の効果をより高く発現することができる。
第5の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、表面の濡れ性を低下させることで、最表層でのインクジェット記録によるにじみを抑制できる効果がある。
第6の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、請求項5の効果をより高く発現することができる。
第7の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、インクジェット画像の耐擦過性と非印字部の意図しない発色を防ぐ効果の、両立できる好ましい範囲を示すことができる。
第8の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、インクジェットインクをより好ましい状態で受容することができる形態で、顔料の隙間にインクが染み込みやすいため、インクのにじみが抑制でき、結着樹脂を添加することで、層の強度を向上させることができるため、耐擦過性により優れる、とりわけ層の破壊を抑制することができる。
第9の発明によれば、請求項8のより好ましい形態であり、インクのにじみをさらに抑制することができる。
第10の発明によれば、請求項8のより好ましい形態であり、層の強度をさらに向上させ、耐擦過性をさらに向上させることができる。
第11の発明に記載されている顕色剤を用いると、白色度が向上するため非印字部分の発色が抑えられる。
第12〜13の発明によれば、感熱インクジェット記録材料は、感熱記録に関する、熱エネルギーをより効率的に使用できるため、感熱記録材料としての画像濃度が向上する。
第14の発明によれば、感熱インクジェット記録材料では、カールの発生が抑制できる。
第15〜16の発明によれば、請求項12〜14のより好ましい態様を提供できる。
第17〜19の発明によれば、請求項1〜16の感熱インクジェット記録材料のより好ましい態様を提供できる。
第20の発明によれば、請求項1〜19の感熱インクジェット記録材料におけるより好ましい支持体の態様を提供できる
第21の発明によれば、本発明の効果を最も有効に利用するための記録方法で、感熱記録とインクジェット記録を併用することで、解像度の高い感熱記録と、フルカラーで、オンデマンドな記録ができるインクジェット記録のそれぞれの特徴を享受することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明は、感熱記録層とインクジェット受容層を同一面上に有する記録材料において、感熱記録材料としての画像濃度、インクジェット記録材料としてのインクのにじみ、定着性の両立が可能であるとともに、インクジェット記録画像の耐擦過性に優れた感熱インクジェット記録材料を提供するものであるが、このような種々の課題が解決された記録材料を製造するためには、最表層の物性を如何に制御することができるかが大きな要因となる。
本願発明における最表層は、支持体上のロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた側の最も支持体から遠い部分に位置し、インクジェット記録方法によるインクを捕捉し定着するために設けるものである。そして、この最表層内でインク液滴を凝集して強固に定着することができる機能を有する材料としては、カチオン性化合物や水溶性金属塩などが知られているが、このような化合物はインクと接触した直後にインクが凝集するためインクが記録材料の受容層に充分に浸透できなくなるという問題が生じてしまう。
このためインクと受容層との接着強度が不十分となり、記録画像を擦った際に画像が汚れる原因となる。本願発明はこのような従来からの課題を解決するために、最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸を含有させることを要旨とするものである。
【0010】
1.<最表層>
最表面の表面pHとしては、3.0から4.0の範囲にあることが好ましい。3.0未満では、感熱記録層のロイコ染料が反応し、熱を印加していない部分が発色する、いわゆる地肌かぶりが発生することがある。4.0を超えた場合は、インクの凝集能力が劣る傾向があるためインクジェット記録画像の耐擦過性が低下することがある。
なお、表面pHは、J′TAPPI49−1ないし3に記載されている方法で測定可能である。最表層の表面pHを上記の範囲にするため、pH調整剤や緩衝液を用いてもよい。pH調整剤としては、有機アミン、水溶性無機塩、水溶性無機水酸化物等が挙げられる。
【0011】
有機アミンとしては、例えば、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等が挙げられる。水溶性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。水溶性無機水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。緩衝液としては、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸の金属塩などが使用できる。これらは、単独で使ってもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、表面pHは、J′TAPPI49−1ないし3に記載されている方法で測定可能である。これらの酸は、2mol/L以下に水で溶解、希釈したものを乾燥重量0.1g/m以上、1.0g/m以下の範囲で最表層に含有させることが好ましい。乾燥重量が0.1g/m未満では、酸の凝集効果が十分発現しないことがあるため定着が十分に行われず、インクジェット記録画像の耐擦過性が低下することがある。
乾燥重量が1.0g/mを超えると、あるいは2mol/Lを超える濃度で含有させた場合には、感熱記録層のロイコ染料が反応することがあり、これによって地肌かぶりが発生する可能性がある。
【0012】
また、本発明での最表層には、インクジェット記録した場合のインクドット径の滲みを防止するために撥水性物質を用いることが好ましい。使用できる撥水性物質としては、フッ素系エマルション、シリコン系エマルション、各種のワックス系エマルションなどが挙げられる。また、別の撥水性物質として、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体エマルション、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体エマルション、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体エマルション、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体エマルション等が挙げられる。中でもフッ素系エマルションが特に撥水機能に優れるためより好ましい。これらは単独または二種以上を組み合わせて用いても良いが、混合する場合は、イオン性及び液pH等の相違等から凝集を起こす可能性があるため、その組み合わせには注意する必要がある。また、加熱すると凝集を起こす可能性があるので、Tg温度よりも低い温度で添加することが必要な場合もある。
【0013】
なお、このような撥水性物質の添加量としては、最表層の全固形分に占める割合が0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜6質量%の範囲である。添加量が少ないと滲みの防止効果が少なくなり、反対に多いと撥水性が強くなるためインク吸収性が低下することがある。さらに、本発明の最表層には、インクジェットインクの受容層としての機能向上のために、顔料や結着樹脂を添加することが好ましい。顔料としては、感熱記録での熱溶融物、インクジェット記録でのインクジェットインクを吸収する吸水性、吸油性を兼ね備えた顔料、例えば多孔性合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミニウム水和物、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、炭化水素系プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が好適に用いられる。なかでもコロイダルシリカ、多孔質合成非晶質シリカなど湿式法で合成される沈降法シリカあるいはゲル法シリカがより好ましく用いられる。使用される無機粒子の平均二次粒子径は手触り感や印字面質、及び表のインク受容層の耐傷性、インクジェット画像の耐擦過性を得られることから1〜10μmが好ましく、特に3〜7μmがより好ましい。上記範囲にすることによって、塗布層のひび割れ防止と高いインク吸収性に加え、筆記性、耐傷性、インクジェット記録画像の耐擦過性を得ることができる。
【0014】
最表層の結着樹脂としては、前記顔料や下に設けた層とを接着させる接着力、インクジェットインクに用いられている着色剤、あるいは印刷インキなどを定着させる接着力のみならず、インクジェットインクの溶剤に対して親和性のあるものが求められる。具体例としては、デンプンおよびその変性物、ゼラチンおよびその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子またはこれらの誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、部分ケン化ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール変性物、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体等のラテックス類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマーなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、これらを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。この中で、シラノール変性ポリビニルアルコールは、接着力が高く、シリカ系顔料との接着性も良いことから、より好ましく用いられる。本発明の最表層において、顔料と結着樹脂の含有比率は、層の強度を大きく低下させず、耐擦過性や乾燥性、インクの滲み防止効果を得るために、好ましくは質量比50:50〜80:20であり、より好ましくは50:50〜70:30である。上記範囲にすることによってインクの定着機能と堅牢性を両立することができる。これら顔料と結着樹脂の塗布量は、固形分で0.2〜10g/mであり、好ましくは0.5〜8g/mであり、より好ましくは0.5〜5g/mの範囲である。前記範囲にすることによって、最表層を塗設した面の塗布層のひび割れ防止効果と高いインク吸収性を得ることができる。
【0015】
2.<感熱記録層>
本発明における感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤、及びこれらの結着樹脂を少なくとも含有しており、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、通常感熱記録材料に使用されているものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
このようなロイコ染料の具体例としては、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−プロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′、5′−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピベリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−N−ブチルアニリノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(−2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−p−メトキシフェニル}エテニル−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジプロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−p−トリルスルホニルメタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
感熱記録層の顕色剤としては、前記ロイコ染料を接触時発色させる電子受容性の種々の化合物、又は酸化剤等が適用できる。前記顕色剤の具体例としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば4,4′−イソプロピリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4′−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4′−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−ターシャリ−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリ−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−ターシャリ−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4′−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン(4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン)、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、2,2′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4′−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホンと(化1)で示した架橋型ジフェニルスルホン化合物を併用することが好ましい。これらの顕色剤の含有量は、前記ロイコ染料1質量部に対し1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
【0017】
感熱記録層における結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体;メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの結着樹脂のなかでも、シラノール変性のポリビニルアルコールが特に好ましい。ポリビニルアルコールは、熱水に溶けるため水性樹脂として水溶液を塗工可能であり、さらに融点が比較的高いため、耐熱性や耐擦過性に優れているので、このような性能が必要な分野のバインダとして広く用いられているが、この中でも側鎖の一部をシラノール変性とすることで、さらに撥水性が付与され、インクの滲みが抑制できる。
【0018】
感熱記録層には、熱感度向上剤として種々の熱可融性物質を使用することができる。該熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記感熱記録層には、更に必要に応じて、各種補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤、填料等を併用することができる。該滑剤としては、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル;鯨ロウ、蜜ロウ、セラックワックスなどの動物性ワックス;パームロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどの植物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物性ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、α−オレフィンの共重合体などの合成ワックスなどが挙げられる。前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウム、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末;尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の有機系微粉末などが挙げられる。前記感熱記録層は、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができ、例えば、ロイコ染料、顕色剤を別々に結着樹脂、その他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が0.1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、滑剤等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、支持体上に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。前記感熱記録層の乾燥後の付着量は、前記感熱記録層の組成や用途等により異なり一概には規定できないが、1〜20g/mが好ましく、3〜10g/mがより好ましい。
【0020】
3.<アンダー層>
本発明においては、感熱記録層と支持体の間に断熱機能を有するアンダー層を設けることが好ましい。これにより、サーマルヘッド等から与えられる熱エネルギーを効率的に用いて発色させることができ、発色特性を向上させることができる。アンダー層を形成する材料としては、感熱記録層に用いられる結着樹脂、填料等が挙げられる。
アンダー層は、填料として、中空粒子を含有することが好ましい。これにより、断熱性及びサーマルヘッドとの密着性を向上させることができ、発色特性をさらに向上させることができる。また、中空粒子は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有し、発泡状態となっている中空粒子であることがさらに好ましい。かかる中空粒子の平均粒子径(粒子外径)は、0.4〜10μmであることが好ましい。平均粒子径が0.4μmより小さいものは、中空率を制御することが難しいこと等の生産上の問題がある。また、平均粒子径が10μmより大きいものは、支持体上に塗布する時にスクラッチ状のスジを形成しやすく、アンダー層の塗布ムラとなり、発色特性を向上させる効果が低下することがある。したがって、中空粒子は、粒子径分布のバラツキが少ないことが好ましい。
【0021】
さらに、中空粒子の中空率は、80%以上であることが好ましく、90〜98%が特に好ましい。なお、中空率とは、中空粒子の外径と内径の比であり、{中空率=(中空粒子の内径)/(中空粒子の外径)×100}で表される。中空粒子に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン及びこれらの共重合体が挙げられる。なかでも、中空率を良好に制御するためには、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体が好ましい。アンダー層には、結着樹脂として水分散性樹脂または水溶性樹脂のいずれかが好適に用いられる。これらの樹脂は、感熱記録層に用いられる結着樹脂と同様、公知のものを用いることができるが、ポリアクリル酸エステル、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エステル共重合体がより好ましく用いられる。
【0022】
4.<背面層>
本発明における感熱インクジェット記録材料には、支持体の、感熱記録層や最表層が塗工されている面と反対側に、カールの防止や搬送性の付与を目的として、背面層を設けても良い。このとき、背面層には、結着樹脂として水分散性樹脂または水溶性樹脂のいずれかが好適に用いられる。これらの樹脂は、感熱記録層に用いられる結着樹脂と同様、公知のものを用いることができるが、ポリアクリル酸エステル、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エステル共重合体がより好ましく用いられる。
【0023】
5.<保護層>
本発明における感熱インクジェット記録材料には、最表層に含まれる酸成分が感熱記録層に影響するのを抑制する目的で感熱記録層と最表層の間に、保護層を設けるのが好ましい。保護層に有用な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉およびその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合体およびその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミドおよびそれらの誘導体、スチレン/アクリル酸アクリル/アミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、水性ポリエステル、水性ポリウレタン、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体およびその誘導体等の水溶性樹脂や、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン/アクリル系共重合体、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルおよびこれらの誘導体が挙げられるが、中でもジアセトン変性ポリビニルアルコールおよび、カルボヒドラジド、シュウ酸ヒドラジド、ギ酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アゼライン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等に例示されるヒドラジド化合物を含有せしめ、架橋反応させたものが上記目的を達成するためにより好ましく用いられる。
また、保護層には填料を加えてもよく、かかる填料としては、例えば前述された感熱記録層に用いられるものと同様なものが適用可能であるが、水酸化アルミニウムやシリカなどが特に有用である。保護層に加えられる填料の量は、保護層全体の30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%が適当である。保護層の付着量は3.0g/m以下であり、これより多い付着量では保護層の下側の感熱記録層への熱の移動に支障を来たすようになる。
【0024】
6.<支持体>
本発明における支持体としては、中性紙、酸性紙、非木材紙など各種の紙のほか、不織布、布帛、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン、ポリ乳酸などを基材としたプラスチックフィルム、合成紙、ラミネート紙など、公知の支持体を用いることができるが、紙、合成紙、プラスチックフィルムを用いるのが好適である。
【0025】
7.<形成方法>
支持体上に感熱記録層および最表層、アンダー層、保護層などを形成するには従来公知の方法を用いればよく、支持体上に各層用塗布液を順次塗布して乾燥させればよい。これらの塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法、エクストルージョン塗布法、カーテン塗布法などの従来公知の塗布方法が利用できる。
また、塗布後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどの表面平滑処理をすることもできる。
【0026】
8.<記録方法>
本発明の感熱インクジェット記録材料の記録方法としては、特に限定はないがサーマルヘッド、レーザ加熱、熱ペン、ホットスタンプ等の感熱記録方法およびサーマルインクジェット方式、ピエゾインクジェット方式等によるインクジェット記録方法のいずれも使用することができる。精細性に優れた感熱記録方法と、フルカラーで記録ができるインクジェット記録方法の両方を併用することが、本発明では大変好ましい。
【0027】
9.<感熱インクジェット記録材料の形態>
本発明における感熱インクジェット記録材料としてのラベル形態として、第1形態では、支持体の感熱記録層を有する側の反対側の面上に、粘着剤層と、該粘着剤層表面に剥離紙を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有することができる。
前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
【0028】
ラベル形態の第2形態では、支持体の感熱記録層を有する側の反対側の面上に、加熱によって粘着機能を発現する感熱粘着層を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有することができる。前記感熱粘着層は、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などの熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を含有してなり、更に必要に応じて粘着付与剤を含有してなる。前記熱可塑性樹脂は、粘着力、及び接着力を付与するものである。前記熱溶融性物質は、常温では固体であり粘着力を発現させないようにしているものであるが、加熱により溶融して樹脂を膨潤または軟化させて粘着性を発現させるものである。また、前記粘着付与剤は粘着性を向上させる働きを有するものであり、粘着剤における公知の粘着付与剤を用いることができる。
また、別の形態として、券紙など磁気記録が必要な場合は、支持体の感熱記録層を有する側の反対側の面上に、強磁性体および結着樹脂を含む磁性体層を有することができ、さらに必要に応じてその他の構成を有することができる。強磁性体としては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、Co−γ−Fe、γ−Fe等の粉体が使用される。結着樹脂としては、前述のような樹脂を使用することができる。
【実施例】
【0029】
以下実施例によって、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。以下に示す添加量は、いずれも重量部である。

1.染料分散液[A液]の調製
・2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン・・・20部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・20部
・水・・・60部
上記組成よりなる混合液をサンドミルで平均粒子径0.5μmとなるように分散し、染料分散液[A液]を作製した。

2.顕色剤分散液[B液]の調製
・4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン・・・20部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・20部
・水酸化アルミニウム・・・20部
・水・・・40部
上記組成よりなる混合液をボールミルで、平均粒子径1.5μmとなるように分散し、顕色剤分散液[B−1液]を作製した。
また、
・4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン・・・10部
・(化1)で示される化合物(日本曹達社製、D−90)・・・10部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・20部
・水酸化アルミニウム・・・20部
・水・・・40部
上記組成よりなる混合液をボールミルで、平均粒子径1.5μmとなるように分散し、顕色剤分散液[B−2液]を作製した。

3.感熱記録層塗布液[C液]の調製
・上記染料分散液[A液]・・・18部
・上記顕色剤分散液[B−1液]・・・54部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・27部
・ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分=5%)・・・1部
上記組成よりなる液を混合し、感熱記録層塗布液[C−1液]を作製した。
また、
・上記染料分散液[A液]・・・18部
・上記顕色剤分散液[B−2液]・・・54部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・27部
・ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分=5%)・・・1部
上記組成よりなる液を混合し、感熱記録層塗布液[C−2液]を作製した。

4.最表層塗布液[D液]の調製
・多孔質アルミナ(日産科学社製、アルミナゾル200)・・・5部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・50部
・乳酸水溶液(濃度=10%)・・・45部
上記組成よりなる液を、混合、撹拌して最表層塗布液[D−1液]を作製した。
また、
・沈降法シリカ(水澤化学工業社製、ミズカシルP−803)・・・5部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・50部
・乳酸水溶液(濃度=10%)・・・45部
上記組成よりなる液を、混合、撹拌して最表層塗布液[D−2液]を作製した。
さらに、
・沈降法シリカ(水澤化学工業社製、ミズカシルP−803)・・・5部
・樹脂水溶液(シラノール変性ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・50部
・乳酸水溶液(濃度=10%)・・・45部
上記組成よりなる液を、混合、撹拌して最表層塗布液[D−3液]を作製した。

5.アンダー層塗布液[E液]の調製
・スチレン/ブタジエン共重合ラテックス(固形分47.5%)・・・20部
・水・・・80部
上記組成よりなる液を混合、撹拌してアンダー層塗布液[E−1液]を作製した。
また、
・プラスチック球状中空粒子(中空率90%、固形分40%)・・・15部
・スチレン/ブタジエン共重合ラテックス(固形分47.5%)・・10部
・水・・・75部
上記組成よりなる液を混合、撹拌してアンダー層塗布液[E−2液]を作製した。
【0030】
(実施例1)
坪量60g/mの上質紙を支持体として、この片面上にアンダー層塗布液[E−2液]を乾燥付着量2.0g/mとなるようにバーコーターで塗布し、乾燥させたのち、その上に感熱記録層塗布液[C−1液]を乾燥重量4.0g/mとなるように塗布し乾燥させ、さらにその上に最表層として、10%乳酸水溶液を乾燥重量1.0g/mとなるように塗布し乾燥させ、スーパーカレンダーで平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。なお、このときの表面pHは4.0であった。
(実施例2)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、
・10%乳酸水溶液・・・90部
・10%2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液・・・10部
よりなる溶液を乾燥重量1.0g/mとなるように塗布し乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。なお、このときの表面pHは、4.3であった。
(実施例3)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に保護層としてポリビニルアルコール水溶液(固形分=10%)を乾燥重量2.0g/mとなるように塗布、乾燥したのち、最表層として、10%乳酸水溶液を実施例1同様に塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例4)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に保護層として、
・ジアセトン変性ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製、D−700VH、固形分=10%)・・・80部
・アジピン酸ヒドラジド水溶液(固形分=10%)・・・20部
よりなる溶液を乾燥重量2.0g/mとなるように塗布、乾燥し、30度で1日間架橋反応させたのち、最表層として、10%乳酸水溶液を実施例1同様に塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
【0031】
(実施例5)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、
・10%乳酸水溶液・・・99部
・シリコン系エマルジョン(東レダウコーニング社製、SM7060、固形分=1%に希釈)・・・1部
よりなる溶液を乾燥重量1.0g/mとなるように塗布し乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例6)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、
・10%乳酸水溶液・・・99部
・フッソ系エマルジョン(明成化学工業社製、AG−E060、固形分=1%に希釈)・・・1部
よりなる溶液を乾燥重量1.0g/mとなるように塗布し乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例7)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、10%酒石酸水溶液を実施例1同様に塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。なお、このときの表面pHは、3.0であった。
(実施例8)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、10%酒石酸水溶液を乾燥重量5.0g/mとなるように塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。なお、このときの表面pHは、2.7であった。
(実施例9)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層として、10%乳酸水溶液を乾燥重量0.5g/mとなるように塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。なお、このときの表面pHは、4.3であった。
【0032】
(実施例10)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層塗布液[D−1液]を乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例11)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層塗布液[D−2液]を乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例12)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]、感熱記録層塗布液[C−1液]を塗布して設け、その上に最表層塗布液[D−3液]を乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥させ、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例13)
実施例1と同様にアンダー層塗布液[E−2液]を塗布して設け、感熱記録層塗布液[C−2液]を実施例1と同様に塗布して設け、その上に最表層塗布液[D−3液]を実施例12と同様に塗布して設け、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例14)
実施例1の支持体上に、感熱記録層塗布液[C−2液]を実施例1と同様に塗布して設け、その上に最表層塗布液[D−3液]を実施例12と同様に塗布して設け、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
(実施例15)
実施例1の支持体上に、アンダー層塗布液[E−1液]を実施例1と同様に塗布して設け、その上に感熱記録層塗布液[C−2液]および最表層塗布液[D−3液]を実施例13と同様に塗布して設け、実施例1同様の平滑処理をして感熱インクジェット記録材料を作製した。
【0033】
(比較例1)
実施例1の支持体上に、アンダー層塗布液[E−2液]、その上に感熱記録層塗布液[C−1液]を順次、実施例1と同様に塗布して設け、実施例1同様の平滑処理をして、感熱インクジェット記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例1の支持体上に、アンダー層塗布液[E−2液]、その上に感熱記録層塗布液[C−1液]を順次、実施例1と同様に塗布して設け、さらにその上に、
・カチオン性樹脂(昭和高分子社製、ポリフィックス601)・・・10部
・水・・・90部
よりなる液を、最表層として乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥し、その後実施例1と同様の平滑処理をして、感熱インクジェット記録材料を作製した。
(比較例3)
実施例1の支持体上に、アンダー層塗布液[E−2液]、その上に感熱記録層塗布液[C−1液]を順次、実施例1と同様に塗布して設け、さらにその上に、
・沈降法シリカ(水澤化学工業社製、ミズカシルP−803)・・・10部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・90部
よりなる組成物を、混合、撹拌したのち、最表層として乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥し、その後実施例1と同様の平滑処理をして、感熱インクジェット記録材料を作製した。
(比較例4)
実施例1の支持体上に、アンダー層塗布液[E−2液]、その上に感熱記録層塗布液[C−1液]を順次、実施例1と同様に塗布して設け、さらにその上に、
・沈降法シリカ(水澤化学工業社製、ミズカシルP−803)・・・5部
・樹脂水溶液(ポリビニルアルコール、固形分=10%)・・・50部
・p−トルエンスルホン酸(濃度=10%)・・・45部
よりなる組成物を、混合、撹拌したのち、最表層として乾燥重量3.0g/mとなるように塗布、乾燥し、その後実施例1と同様の平滑処理をして、感熱インクジェット記録材料を作製した。
【0034】
(評価方法)
上記の各実施例、及び各比較例において作製した感熱インクジェット記録材料を用いて、印字適性について、下記の方法により性能評価した。
(1)インクジェット画像の耐摩擦性
インクジェットプリンター(リコー社製、GX−5000)を用い、光沢紙モードにてフルカラーの画像を印字し、10分経過したのち、綿布「カナキン3号」を画像上に当てたクロックメータにて5回往復させ、その後の画像の汚れ、インクの脱落を目視で評価した。
判断基準
◎:画像の汚れがない
○:画像上にわずかに汚れ、脱落が見られる。実使用上問題のないレベル
×:顕著に画像が汚れる、またはインクが脱落する
(2)インクジェット画像のにじみ
インクジェットプリンター(リコー社製、GX−5000)を用い、モノクロモードにて6ポイントの漢字および数字を印字し、画像の太り、滲みを拡大鏡にて観察し、目視評価した。
判断基準
◎:漢字のにじみが目立たない
○:漢字はわずかににじみがあるが、数字のにじみは目立たない。実使用上問題のないレベル
×:漢字、数字ともにじみが目立つ
(3)感熱記録画像の濃度
感熱プリンター(MarkPoint社製、MP−104T)を用い、印字濃度100mm/sec、エネルギー10.32mJ/mm2の条件で、ベタ印字を行い、発色部分の光学濃度をX−Rite社X−Rite939を用いて測定した。
判断基準
◎:光学濃度1.20以上
○:光学濃度1.00以上1.20未満で、実使用上問題のないレベル
△:光学濃度0.90以上1.00未満で、濃度がやや薄い
×:光学濃度0.90未満で、濃度が薄く視認性に劣る
(4)非印字部の濃度
上記実施例および比較例の各感熱インクジェット記録材料において、感熱およびインクジェット記録されていない部分の光学濃度を、X−Rite社X−Rite939を用いて測定した。
判断基準
◎:光学濃度0.10以下
○:光学濃度0.10を超え0.20以下で、実使用上問題のないレベル
△:光学濃度0.20を超え0.30以下で、非記録部が発色している
×:光学濃度0.30を超え、非記録部が顕著に発色している
【0035】
以上の評価の結果を、表1に示す。
【表1】

これについて、実施例1〜15より、乳酸、酒石酸のような脂肪族ヒドロキシ酸を最表層に用いることにより、これらの含まれていない比較例1〜3に対して、インクジェット記録画像の耐擦過性が非常に優れていることが明確になった。さらに、比較例1と比較すると、感熱記録濃度も向上することができる。これは、上記の酸成分が、顕色剤としても機能しているからであると考えられる。比較例4では、上記のヒドロキシ酸のかわりに、より強い酸を用いているが、非記録部分の発色が顕著であり、実用的でなく、
実施例1〜15は、非記録部分の発色がほとんど見られず、これらが両立できることが示された。
実施例3、4のように、保護層を用いると、非記録部分の発色がより低減できる。
実施例5、6のように、撥水剤を用いるとインクジェット記録によるにじみを低減することができる。
実施例7、8のように、表面pHが低い程、耐擦過性は向上するが、非記録部分の発色がやや起こる。
逆に、実施例9のように、表面pHが高いと、耐擦過性はわずかに低下するが、実用上は問題のないレベルである。
実施例10〜12のように、多孔質顔料やバインダ樹脂を含有させてインク受容層としての機能を持たせると、インクジェット記録のにじみが低減できる。
実施例13は、最も好ましい実施例であり、請求項11に示された顕色剤の組み合わせで、感熱記録の特性を向上させることができるほか、非記録部分の発色がより低減できる。
実施例14は、アンダー層のない例であり、そのために断熱性が低下し、感熱記録の画像濃度はやや低下する(インクジェット記録特性については、他の実施例と同等の効果を有する)。
実施例15は、アンダー層を設けているが、中空粒子を含有していないため、実施例14と同様、感熱記録の画像濃度がやや低下する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明は、コンピュータのアウトプットやファクシミリ、自動券売機あるいはPOSシステムのラベル、物流配送ラベルなどで広範に用いられている感熱記録材料のなかで、特にインクジェットによる印画を併用して用いられる用途において、感熱記録によって形成された画像のみならずインクジェットの記録画像が強い耐擦過性を有し、インクジェット印字においても解像度の高い画像の得られる感熱・インクジェット複合記録材料を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2006−082373号公報
【特許文献2】特開2009−012247号公報
【特許文献3】特開2004−106305号公報
【特許文献4】特開2004−122403号公報
【特許文献5】特開2003−231357号公報
【特許文献6】特開2003−231344号公報
【特許文献7】特許第3833935号公報
【特許文献8】特許第4350673号公報
【特許文献9】特開2009−029125号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸を含有することを特徴とする感熱インクジェット記録材料。
【請求項2】
支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸から選ばれる少なくとも一種以上の脂肪族ヒドロキシ酸、及び、pH調整剤、または前記脂肪族ヒドロキシ酸の緩衝液の一種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項3】
支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層の上に少なくとも水溶性樹脂を含む保護層を有することを特徴とする請求項1および2に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項4】
保護層がジアセトン変性ポリビニルアルコールおよびヒドラジド化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項5】
支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に撥水性の材料が含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項6】
撥水性の材料が、フッ素系エマルションであることを特徴とする請求項5に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項7】
感熱発色する側の表面pHが3.0〜4.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項8】
支持体の一方の面に、少なくともロイコ染料および顕色剤を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層を設けた側の最表層に、顔料および結着樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項9】
顔料が、沈降法シリカおよびゲル法シリカの少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項8に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項10】
結着樹脂が、シラノール変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項8又は9に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項11】
感熱記録層中の顕色剤として4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホンおよび下記一般式
【化4】

【化5】

【化6】

[式中、XおよびYは、各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、(化5)もしくは(化6)(Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R〜Rはそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時はR〜Rはそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項12】
支持体と感熱記録層との間に断熱機能をもつアンダー層を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項13】
アンダー層中に中空率が80%以上である中空粒子を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項14】
支持体の感熱記録層とは反対側の面に背面層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項15】
アンダー層または背面層が水分散性樹脂および水溶性樹脂のいずれかを含有することを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項16】
水分散性樹脂および水溶性樹脂のいずれかが、アクリル酸エステル共重合体を含有することを特徴とする請求項15に記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項17】
支持体の感熱記録層とは反対側の面に粘着剤層および剥離紙を順次積層することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項18】
支持体の感熱記録層とは反対側の面に加熱により粘着機能を発現する層を設けることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項19】
支持体の感熱記録層とは反対側の面に磁気による記録が可能な磁性体層を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項20】
支持体が、紙、合成紙、プラスチックフィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。
【請求項21】
サーマルヘッド、ホットスタンプ、レーザ加熱、熱ペンのうち少なくとも一種以上の感熱記録方法およびサーマルインクジェット方式、およびピエゾインクジェット方式のうち少なくとも一種以上のインクジェット記録方法を併用して画像や文字などが印画記録されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の感熱インクジェット記録材料。

【公開番号】特開2012−91451(P2012−91451A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242403(P2010−242403)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】