説明

感熱性ポリマーの加熱による局所塞栓

温熱療法における正確さは、温度が体温より高く上昇される場合にゲル化する可逆ゲル化ポリマー組成物を提供することにより得られる。この組成物は、温熱療法の始めに、治療される組織の血液供給中に注入される。加熱により生じる温度上昇は組成物をゲル化し、治療中の領域における血流を一時的に遮断する。これは、治療の予測可能性および安定性を改善する。加熱の停止により、組成物は液化し、一時的な塞栓が除去される。局所加熱の使用はまた、加熱自体が治療効果を有しない場合でも、柔らかい器官からの腫瘍等の除去を促進し得る。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2008年2月29日に出願された米国仮特許出願第61/032,555号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、感熱性ポリマーの加熱による局所塞栓に関する。
【背景技術】
【0003】
内部組織を正確かつ選択的に除去するための有望な方法は、温熱療法である。温熱療法においては、高周波(RF)またはマイクロ波発光プローブのような熱エネルギーの局所供給源が、除去されるべき所定量の組織の内部または近くに配置される。位置決めは通常、例えば動脈または静脈を介する低侵襲的方法により得られる。その後、穏やかな加熱が組織に加えられ、周囲細胞は直接殺される、またはアポトーシスに入るように誘導される、あるいは別な方法で死に誘導される。いくつかの場合において、例えばアクセス経路が血管内である場合、血管の壁自体のように、保護されるべき組織の隣に冷却流が配置される。温熱療法は、約37から50℃までの範囲の温度で通常行われ、焼灼のような高温処理と区別される。
【0004】
そのような方法における1つの問題は、所望の温度パターンで組織内の血流の効果を制御することである。通常、血流は治療中の組織から熱を奪い、治療が意図されていない組織へ下流に熱を運ぶ。小規模の血流のパターンはよく特定されていないので、血流の効果は正確に補われず、除去されるべきいくつかの組織が生き残るかもしれない。そのような厄介な問題は、治療中の組織が転移性である場合に特に好ましくない。
【0005】
これらの問題を解決するための1つの方法が、本発明者らの同時継続出願である「潅流器官止血」と題される特許文献1(特定によりここに引用される)に記載される。この方法では、器官は、ゲル化温度Tgが体温よりも幾分低くなるように選択された組成および濃度の可逆ゲル化(reverse-gelling)ポリマーで潅流され、ポリマー溶液は温度が体温に向かって上昇するにつれてゲル化する。次に、器官中へのポリマーの流れが遅くなるまたは止まると、体温に達するところでポリマーがゲル化する。特許文献2(特定によりここに引用される)に示されるように、この方法は動脈を一時的に塞栓するのに使用でき、上記特許文献1(特定によりここに引用される)は、全器官に止血を提供する最初の応用法を示す。特定のポロキサマーのような可逆ゲル化ポリマーは、それぞれの分子がゲル化領域から拡散し、血清がゲル中に拡散するにつれて、血液中に徐々に溶解する。その結果、ゲルは最終的に液化する。液化の時間は、ポリマーの化学組成、使用される溶液中のポリマーの濃度、ポリマーの純度、および使用される溶液の量の選択の組合せにより制御できる。
【0006】
しかしながら、例えば肝臓のような大きい器官では、ゲルの形成に必要なポリマー組成物の量は大量になり得る。多くの可逆ゲル化ポリマーは、適当な量では哺乳類体内で安全であることが知られるが、投与される量は最小限であるべきである。さらに、大きい器官では、より小規模の静脈および動脈の枝分かれパターンはしばしば標準的でないので、小さい領域を塞栓するために適切な部位を特定するのが困難になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第60/874,062号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0008610号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、局所の一時的な塞栓のより良い方法が、手術、特に大きいおよび/または極めて血管が発達した器官の手術に有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、器官中のある部位における手術または医療処置の実施を容易にするための、器官またはその一部領域の一時的な塞栓のための改良された方法を記載する。第一の実施の形態において、局所温度が体温より高く上昇するとゲル化する可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液が提供される。器官、または器官の一部領域は、このポリマーを含む塞栓溶液で潅流される。潅流の前および間に、止血が所望である器官の部位で温度を上昇させる。この温度の増加は、任意の従来の手段、例えば、RF(高周波)エネルギーの適用による加熱の誘導により、または可視または赤外光からの光学的エネルギー変換による加熱により、あるいは、加熱された液体または気体の適用、または固体物体からの熱変換のような他の局所加熱手段により、行ってもよい。ある実施の形態において、当該加熱はまた、組織除去のような治療目的のために与えられる加熱である。当該部位において上昇した温度は、可逆ゲル化ポリマー組成物(RGP)をゲル化させ、それにより当該部位を局所的に塞栓し、可逆性止血を達成する。RGPの適用は、一時的な局所止血が達成されると通常は中止される。
【0010】
局所止血が選択された部位で達成されると、手術または医療処置が開始または続けられる。例えば、腫瘍を破壊するためにより強いRFエネルギーを使用してもよい、あるいは細胞を殺すまたはアポトーシスを誘導するためにある選択時間に亘って低エネルギー場を使用してもよい。任意の必要な縫合、補強または他の修復処置を行った後、低強度加熱場が除去され、病変組織が体温へ素早く冷却される。選択されたポリマー溶液は体温でゲル化しないので、止血は急速に解除される。必要に応じて、さらなる急速な冷却を、器官内、および必要に応じて器官の外部で、冷たい等張液による遮断されていない血液循環の潅流によって達成してもよい。
【0011】
別の実施の形態において、可逆ゲル化ポリマー溶液による組織の可逆性止血により、主としてまたは全体的に一時的な止血を誘導するために、組織の加熱を提供する。該当部位が塞栓される間、組織の一部が標準的な手術手段により除去される。次に、例えば縫合、焼灼、封鎖剤の適用、補強材の適用、および手術方法の他の従来の方法により、出血または他の液体流出を防ぐために除去の部位が処理される。その後、加熱が中止され、組織は正常な体温に戻され、これは必要に応じて該当部位への冷却液の適用により促進される。
【0012】
したがって、この改良された方法は、そのような作業における再潅流のタイミングの著しく良好な制御を医者に与える。さらに、ゲル化状態においても、ゲル化ポリマーが周囲組織、および接触する任意の血液に徐々に溶解し、したがって、合理的に予測可能な間隔で止血が確実に除去される。最初に不要な組織を除去し、その後焼灼するまたは別な方法で封鎖することは、器官への巻き添え被害を最小限にする点で好都合かもしれない。
【0013】
ある実施の形態において、本発明は、哺乳類の組織のある部位において一時的な止血を生じる方法を含み、この方法は、以下の工程を含む:
a)前記組織の脈管構造中に、血液循環を通って前記部位へつながる位置で、可逆感熱性ポリマーを含む一時的塞栓溶液を導入する工程であって、前記塞栓溶液が、前記部位で血流を有効に止めるようにゲル温度Tgで十分にゲル化させる組成および濃度を有し、前記温度Tgは治療される組織の局所組織温度よりも高い工程;b)前記可逆感熱性ポリマー組成物で前記部位を潅流する工程;およびc)前記潅流の前または間に、前記部位を少なくともTgの温度に加熱し、それにより前記哺乳類の前記部位において一時的な止血を生じる工程。
【0014】
この方法において、前記塞栓溶液のゲル温度Tgは約38℃から約42℃の間である。前記部位が内部に位置する組織の大領域を前記塞栓溶液で潅流することにより部位が一時的に塞栓されるが、加熱は部位の近くのみであり、それにより前記部位の近くでのみ最初にゲルを形成する。局所組織温度は多くの場合37℃であるが、より低くてもよい。可逆感熱性ポリマーまたはコポリマーは通常ブロックコポリマーであるが、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、あるいは分枝ポリマーまたはコポリマーでもよい。好ましい実施の形態において、可逆感熱性ポリマーは、必要に応じていくつかのアミン連結基を有する、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーのようなブロックコポリマーであり、より好ましい実施の形態においてはポロキサマーまたはポロキサミンである。例えば、可逆感熱性ポリマーは、ポロキサマー237,238および288の1つ以上でもよい。可逆感熱性ポリマーは好ましくは、既知の文献の方法により調製される、分画または精製ポロキサマーまたはポロキサミンである。
【0015】
本発明の方法の適用において、潅流は加熱の開始後に始まる。器官の加熱は、電磁放射、音響エネルギー、加熱した液体、加熱パッド、加熱要素、および手術道具または器具により生じる熱の1つ以上により提供される。特に、器官の加熱は電磁放射により提供される。
【0016】
別の実施の形態において、哺乳類の組織中のある部位において手術処置を行う方法は、以下の工程を含んでもよい:液体供給システムにより、前記部位の上流の、前記部位に血液を提供する脈管構造にアクセスし;局所組織温度より高くまで温度が上昇するとゲル化する可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液を、前記液体供給システムを通して供給し;前記部位でまたはその近くで局所組織温度より高くに前記塞栓溶液を加温し、それにより前記部位を塞栓するように塞栓溶液をゲル化し;手術処置を行う間前記加温を維持し、それにより前記部位における止血を維持し;および、処置の終わりに加熱を中止し、それによりゲル化を逆行させ、それにより当該部位において血流を回復させる。
【0017】
局所組織温度よりも高い温度でゲル化する塞栓溶液は、好ましくは、予備ゲル化ポリマーとしてポロキサマーまたはポロキサミンの1つ以上を含む。溶液の加温は、少なくとも一部は、処置を行う工程による組織の加温によるかもしれない。処置を行う工程は、組織を除去、治療または焼灼するためにRF(高周波)エネルギーの使用を含んでもよい。処置の部位は、通常、肝臓、子宮、前立腺、脳、脾臓、膵臓、胆嚢、肺、胸、腎臓から選択される組織であろうが、他の部位の使用を排除しない。処置は、癌、良性腫瘍または増殖、あるいは出血の除去または治療のためでもよい。
【0018】
可逆感熱性ポリマーを含む塞栓溶液はさらに、コントラスト促進剤(contrast-enhancingagent)を含んでもよく、これは、放射線不透過剤、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、色素、および放射性核種含有物質からなる群より選択されてもよい。塞栓溶液はさらに、例えばだがこれに限定されず、抗炎症剤、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、抗増殖性物質、および化学療法剤から選択される生物活性剤を含んでもよい。
【0019】
本発明のこれらの種類のいずれにおいても、血液による器官の再潅流を可能にするための温度の低下前に、縫合糸、止め金、封鎖剤、接着剤、および止血材の少なくとも1つにより部位を閉じてもよい。さらに、処置の終了後、器官を通過する経路または器官の外側に沿って通る経路から選択される1つ以上の経路により、37℃未満の温度で、等張液の循環により器官の再潅流を促進してもよい。再潅流液の温度は30℃未満でもよい。
【0020】
別の態様において、組織の温熱治療の効果は、以下の工程を含む方法により改良される:温熱装置を使用して治療されるべき部位において加熱を生じる工程;可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓組成物で前記部位を潅流する工程であって、前記ポリマーが、体温より高い温度で局所止血を生じるのに十分ゲル化する工程;および従来の方法における温熱療法により前記部位を治療する工程。この方法において、可逆ゲル化ポリマーを含有する塞栓溶液による潅流は、前記可逆ゲル化組成物を使用しない場合に生じるよりも、少なくとも1つのより確実なおよびより予測可能な程度の組織治療を生じる。
【0021】
本発明はまた、器官の熱治療のためのシステムを含み、このシステムは、以下を含む:37℃より高く約50℃の最大温度よりも低い温度に加熱することにより組織を選択的に破壊するための、器官の局所領域に熱を適用する手段;可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液により器官の前記局所領域を局所的に潅流する手段であって、前記可逆ゲル化ポリマーについてのゲル化温度が37℃より高く、前記最大温度より少なくとも1℃低い手段;およびそれによって、前記局所領域に熱を与える間に熱処理の部位において可逆性局所止血が得られ、前記熱処理の適用の終了後に前記止血が自然に終了する。
【0022】
別の態様において、本発明は、手術が行われる部位を一時的に塞栓することにより手術の結果を改善するための薬剤を含み、この薬剤は、前記部位で器官に注入される可逆ゲル化ポリマーを含み、この薬剤は、局所組織加熱により前記部位に一時的に固定される。
【0023】
別の態様において、本発明は、ある部位で局所可逆性止血を生じるための可逆ゲル化ポリマー溶液の使用を含み、この可逆ゲル化ポリマー溶液は、当該部位で体温より高い温度でゲル化し、ゲル化は、ポリマー溶液のゲル化温度より高い温度で前記部位を局所的に加熱することによって起こる。
【0024】
別の態様において、本発明は、器官の選択された部分の手術による除去を容易にするための塞栓溶液の使用を含み、この使用は、前記可逆ゲル化ポリマーが止血を生じるのに十分にゲル化する温度に前記器官を加熱する一方で、前記器官の少なくとも前記選択された部分に、可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液を提供する工程を含み;および器官が一時的に塞栓される一方で前記器官の前記選択された部分が手術により除去され、次に前記器官の残りの部分が血液または他の体液を失うことを防ぐのに十分に表面を封鎖するよう処置され;その後前記器官への加熱が中止され、それにより塞栓が回復され前記器官の残りにおける血流が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、温熱治療部位を概略的に示す図であり、血流による有効な治療の領域の偏位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、本発明の特定の好ましい実施の形態が示される添付の実施例を参照してより完全に説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、ここに記載される実施の形態に限定されるものと解釈されるべきでない;むしろ、これらの実施の形態は、本開示が十分におよび完全に行われ、当業者に本発明の範囲を十分に伝達するように提供されるものである。
【0027】
腎臓のような内部器官の病気の部分のみ、または良性前立腺肥大症におけるような増殖性組織の選択部分のみを手術により除去することは、器官の機能性の少なくとも一部にしばしば害を加えないでおける点で、患者に有益である。しかしながら、器官の一部のみが除去されれば患者のためになり得る器官の多くは柔らかい、および/または頻繁に出血する傾向がある、および/または内容物が混合されてはならない(例えば腎臓または肝臓)異なる区画を有する。例えば、本来正常な腎臓の機能は、2つの腎臓の1つの正常機能性の2分の1未満で維持でき、十分な解毒潜在力が維持または人工的に提供される場合には肝臓が再生し得る。外科医への課題は、血液が腹腔中に漏れないように、および器官の分離機能が早急に再生できるように、腫瘍または他の異常の除去後にそのような器官を効果的におよび完全に閉じることである。
【0028】
特許および特許出願に公開されているように、可逆ゲル化ポリマーすなわち温度が特定の温度(Tg)を超えて上昇するとゲル化するポリマー−は、動脈(特定によりここに引用される上記特許文献2)および他の内部器官(特定によりここに引用されるSchwartz等の上記特許文献1;Raymond et al., Biomaterials 2004 vol. 25, p.3983)を一時的に塞栓し得る。予備的な臨床前または臨床結果は有望と思われる。
【0029】
しかしながら、この方法にはいくつかの不確定性および改良できる部分が存在する。減少させたいと思われる1つの不確定性は、手術および任意の必要な封鎖または縫合が完了した後、器官を再潅流するのに必要な時間の長さである。これは、血液循環が閉鎖されると病変部が無酸素性になるためである。短い時間であれば、無酸素欠乏症は大体は回復可能であるが、損傷が生じ、再潅流に基づいて損傷を回復する能力は、器官依存性の速度で、酸素欠乏症の時間と共に減少する。したがって、一時的な塞栓の素早い回復が非常に望まれる。
【0030】
冷えたまたは冷たい等張食塩水のような冷却溶液の使用は、RGPのゲル化状態を元に戻すが、血液循環は可逆ゲル化ポリマーゲルにより局所的に遮断されるので、血液循環自体を介してこれを素早く行うことは常に可能ではない。したがって、再潅流は、外部冷却、およびゲルから上流または下流血液循環中へのあるいは組織間の間隔等への分子の拡散によるゲルの穏やかな希釈の組合せに依存する。
【0031】
解決されるべき別の問題は、特定の部位の近傍での止血が必要とされる場合の、全器官の止血の回避である。手術を必要としない器官の部分で血液循環を維持することができ、止血を受ける組織の容積を最小にできる場合、結果は改善でき、特に、処置の終わりに少なくとも部分的に器官が機能的のままである可能性が目に見えて改善される。
【0032】
解決されるべき別の問題は、熱または放射エネルギーにより治療される器官において、治療が意図される組織から治療域の外側の他の組織に熱を運ぶことにより血液の流れが治療の区域を変形することを防ぐことである。
【0033】
これらのおよび他の必要性に応じて、手術処置の部位において塞栓された区域を作成すること、および処置の終わりに塞栓を形成するゲルを除去すること、および手術部位から離れた器官の区域における潅流を維持することの問題への新しいアプローチが発明された。この新しいアプローチは、体温より数度高い比較的狭い範囲に亘ってゲル化する可逆ゲル化ポリマーの生成に起因する。器官中の血液の一部またはすべてを可逆性熱ゲル化性ポリマー溶液と交換することにより、ゲル化、および止血を生じる局所塞栓が生じる。可能であれば、ゲル化可能ポリマーは、治療される器官の領域中に注入されるのみである。
【0034】
特に、本発明の物質および方法において、ゲル化温度は局所体温より高い。体温は内部で約37℃であり、したがって、体内での使用のためには、熱−ゲル化可能ポリマー溶液のゲル化温度は、38℃または好ましくは少なくとも39℃から、約48℃までの範囲であり、より好ましくは約45℃より低く、さらにより好ましくは約42℃より低い。ポリマーが、処置のために皮膚の内部または近くで、またはそうでなければ全体温度が37℃より低い体の領域中で使用される場合、ゲルの好ましい可逆ゲル化温度は、加熱方法により特定の組織に導入される温度に依存して、低くてもよい。組織が約37℃より高い温度で治療される場合、局所組織温度に拘らず37℃より高い温度でゲル化するポリマーによる潅流が適切である。
【実施例】
【0035】
ポリマーの例
ある濃度範囲において、ポリマー濃度が変わると可逆ゲル化ポリマーのゲル化温度が変化することが知られている。(通常、ゲル化温度は、ポリマーがゲル化しなくなるまで、濃度が減少すると増加する。)したがって、ポロキサマーまたは他のRGP組成物の選択により、および必要であればその濃度の調整により、RGP溶液のゲル化温度を選択することが可能である。
【0036】
ポロキサマーは、本発明において好ましいRGPである。ポロキサマーは、よく知られた種類のポリアルキレンオキシドコポリマーであり、通常は各末端でポリ(エチレンオキシド)のブロックの付いたポリ(プロピレンオキシド)のコアブロックから成る。通常、ポリマーは枝分かれしていない。より高い割合のプロピレンオキシドを有するポロキサマーは、可逆ゲル化現象を示す傾向にある。具体的な例として、水中で約18%の濃度におけるBASFポロキサマー288の使用、または水中で約20%の濃度におけるBASFポロキサマー237の使用により、温度が約39−42℃の範囲内に上昇するとゲル化する物質を生じる(「可逆性」ゲル化)。ポロキサマー溶液は、ゲル化範囲を狭めるために好ましくは分画される。分画は、例えばReeve等により米国特許第5,800,711号、同第6,761,824号および同第6,977,045号(特定によりここに引用される)の各明細書に記載されている。分画処置はまた、それを超えると温度と共に急速に粘度が上昇する温度範囲の幅を減少させる傾向にあり、これは、ポリマーの投与のために加えられる圧力のような機械的要求を単純にする。
【0037】
BASFポロキサマー407、188、338、1107および1307のようなポロキサマー、および例えばF127および108のような「プルロニック(Pluronic)」ブランドのポロキサマーが、精製および濃度の選択後、37℃環境での使用、または体表面に近いより冷たい環境での使用に適切かもしれない。使用にあたって、実施される課題または方法に適切な塩度または張性の無菌溶液中でポリマーが提供される。骨格および末端においてアミン基が酸素を置換しているポロキサミンを使用してもよい。
【0038】
好ましいポロキサマーはポロキサマー188(BASF)である。このポロキサマーは、上記のReeve等により記載されるように精製される。約35%の有効濃度の精製されたポロキサマー188は、体温のすぐ上のゲル化濃度を有する。これらの濃度をガイドラインとして使用し、ポロキサマー溶液のゲル化温度を、溶液中のポロキサマーの濃度を変化させることにより妥当な範囲内に調整できる(ここに記載されるポリマーの全てのパーセンテージは、他に明示しない限り重量/重量(w/w)である)。
【0039】
他の適切なポロキサマーは、食塩水中で20%のBASF RTP 238;食塩水中で20%のRTP 237;食塩水中で14−15%のRTP 288;およびトリス緩衝食塩水中で15%のRTP 288を含む。
【0040】
関心のある器官および病気の例
本発明の方法は、一時的だが完全に可逆性止血が所望である体内の任意の器官または場所において使用できる。可逆ゲル化ポリマーによる一時的な止血を含む他の発明に対する本発明の特徴は、本発明におけるポリマーは、局所組織温度よりいくらか高い温度でゲル化するよう選択されることである。したがって、加熱の追加の供給源が提供されなければゲル化は生じない。そのような加熱は、任意の供給源により提供されてもよく、加熱は治療効果を有する必要はない。しかしながら、本発明の方法は、局所加熱の治療効果と共に使用される場合に特に有用である。可逆ゲル化ポリマーが提供される治療は、癌、良性腫瘍または増殖、あるいは出血の除去または治療のための処置を含むがこれに限定されない任意の目的のためでもよい。肝臓、子宮、前立腺、脳、脾臓、膵臓、胆嚢、肺、胸、および腎臓を含むがこれに限定されない任意の組織が関係してもよい。
【0041】
可逆ゲル化ポリマーによる組織および器官の局所塞栓は、補助的熱源なしに生じる局所塞栓について、他に、例えば本出願人らによる他の特許出願(例えば上記特許文献2)に記載される。局所加熱を必要としない系は、効力を有する場合は通常はより単純であり、したがって好ましいであろう。
【0042】
しかしながら、状況によっては、体温より高く加熱しながら可逆ゲル化ポリマーによる塞栓を使用することが好ましく、いくつかの利点を有する。第一に、本発明の方法の全体的な利点は、器官中に一時的に導入されるポリマーの量を最小限に抑える傾向にあるということである。第二に、本発明の方法は、止血が行われる組織の容積を最小限に抑える傾向にあり、関心のある器官の組織および周囲組織中の酸所欠乏症を最小限に抑える。第三に、体温より高い温度におけるポリマーの再液化により、本発明の方法の終わりに止血が素早く中止される。第四に、さらなる加熱の必要によって、止血が達成される組織領域のより正確な局在化が可能となる。
【0043】
加熱の経路
加熱の任意の方法を使用してもよい。器官の加熱は、電磁放射、音響エネルギー、加熱した液体、加熱パッド、加熱要素、および手術道具または器具により生じる熱の1つ以上により提供されてもよい。適切な方法は、マイクロ波、高周波、赤外または可視光、および他の非電離電磁放射を含むがこれに限定されない。電磁放射は、体または器官の外側に、あるいはカテーテル、局所ジェネレータ等を介して内側の部位に供給できる。体または組織の外側に加熱ユニットを接触させることにより、あるいはカテーテルまたは他の内部プローブを介して、直接の加熱を使用できる。ある抵抗の電気加熱により、または組織部位と接触する装置内における加熱した液体の循環によって、標的部位の加熱をしてもよい。加熱は、対象の部位に循環する、自然の液体、特に血液または血液循環の中に配置される血液の一時的代用物を加熱することにより達成してもよい。加熱は、水、食塩水等のような加熱した液体中に器官、または体の部位を浮かせることにより達成してもよい。加熱は、超音波または他の振動機構により達成してもよい。
【0044】
加熱の程度
部位における温度の上昇は、当該部位において選択されたゲル化溶液をゲル化させるのに十分でなければならない。例えば、ポロキサマー溶液が39℃を超えて粘度が急速に上昇し、42℃で固いゲルを形成する場合、当該部位における標的温度は少なくとも42℃である。ポロキサマー溶液が35℃を超えて粘度が急速に上昇し、38℃で固くゲルを形成する場合、少なくとも38℃の温度が十分であろう。粘度が急速に上昇するがゲル化しない場合、生理的温度範囲において、ポリマー溶液を注入するために比較的大口径の装置を使用する、または投与前に体温より低くポリマー溶液を冷却する必要があるかもしれない。
【0045】
熱分布の制御
図1は、治療部位を通過する血液循環中のポリマーの局所ゲル化の利点を示す。治療区域10は、図面の平面の下、おそらく別の動脈または静脈中に位置するプローブでもよい熱(warmth)の供給源15により与えられる。治療区域10の理論上の外側の限界は、この例では、基本的に環状の境界18であり、ここで加熱の程度が治療上のレベルより低くに低下する。
【0046】
血管20は、治療区域を通って流れ、より小さい血管24および28に枝分かれする。小さい矢印によって示される自然の血液循環は、血管20を通り血管24および28から出る。しかしながら、血流は治療区域から熱を奪う。これにより、斜線領域32として示される、加熱区域中への血液入口の近傍での冷却が生じ、斜線領域36および38で示される、外に出る血管に沿った標的区域10を超えた領域で加熱が生じる。領域32における組織は適切に治療されず、領域36および38における組織は標的区域の外側であるにも拘らず治療される可能性がある。これは好ましくない。しかしながら、加熱が始まり、およびその後に血管20へつながる標的領域の上流の位置で可逆ゲル化ポロキサマー溶液が注入されると、ゲルは治療中の領域に形成されるであろう。ゲルは、遠位血管26および28で形成を始めるかもしれず、一旦形成されると、治療部位を通る血液循環を停止するであろう。次に、区域10における熱分布は、環状の境界18において治療境界を有する、治療のために計画された分布をより近くに接近させるであろう。加熱要素15が停止されると、治療された組織を通って治療区域10の外側の組織への熱伝達により、組織は体温に急激に低下するであろう。血管20、24および28中のゲル化ポリマー分子は、再液化し、血液循環が再び始まるであろう。所望であれば、37℃未満、またはさらに30℃未満の温度で等張液を循環することにより、器官の再潅流を促進してもよい。循環は、器官の外側でもよく、および/またはポリマーのゲル化により循環が遮断されていない器官の領域を通ってもよい。
【0047】
治療の後に部位を閉じる必要がある場合、血液による器官の再潅流を可能にするための温度の低下前に、縫合糸、止め金、封鎖剤、接着剤、および止血材の少なくとも1つを含むがそれに限定されない任意の従来の方法により閉じてもよい。
【0048】
組織の手術による除去
温熱療法に加えて、本発明の可逆性局所塞栓技術は、組織を除去する、特に血管新生化または分画化器官の一部の除去、例えば肝臓または腎臓の部分的な除去のための手術処置に適用できる。そのような非常に代謝的に活性の器官は、空間的におよび所要時間の点で、塞栓により生じる酸素欠乏症の最小化を必要とする。そのような組織において、組織の一部は局所加温により塞栓されてもよく、これは、加温溶液による正常方向およびその逆の局所潅流、並びに他の手段による局所加熱を含んでもよい。次に、切除される領域に近い領域が十分に温められると、可逆ゲル化ポリマーを含有する塞栓溶液で潅流される。加温により、局所塞栓が生じる。除去されるべき組織が素早く切除され、封鎖剤バリヤ層が、例えば局所焼灼、組織接着剤およびバリヤ物質の提供、および縫合の1つ以上であるがこれに限定されない従来の手段により形成される。適切なタイミングで、加えられた加温がなくなるにつれて数分以内に器官の残りが脱塞栓される。切開され封鎖された器官はまた、再潅流を促進するように急速に冷却されてもよい。
【0049】
さらなる特徴
可逆ゲル化ポリマー溶液は、さらに他の医療物質を含んでもよい。これは、特に、放射線不透過剤、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、色素、および放射性核種含有物質からなる群より選択されるコントラスト促進剤を含んでもよい。溶液はまた、抗炎症剤、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、抗増殖性物質、および化学療法剤の1つ以上を含んでもよい生物活性剤、または他の生物活性剤をさらに含んでもよい。
【0050】
均等物および特定による引用
ここに引用される全ての特許および刊行物は、同じことを許容する管轄において特定によりここに引用される。当業者は、ここに記載される本発明の特定の実施の形態に対する多くの均等物を認識する、または通常の実験のみを使用して確かめることができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に含まれるものと意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の組織中の部位において一時的な止血を生じる方法であって、該方法が、
a)前記組織の脈管構造中に、血液循環を通って前記部位へつながる位置で、可逆感熱性ポリマーを含む一時的塞栓溶液を導入する工程であって、前記塞栓溶液が、前記部位で血流を有効に止めるようにゲル温度Tgで十分にゲル化させる組成および濃度を有し、前記温度Tgは治療される組織の局所組織温度よりも高い工程;
b)前記可逆感熱性ポリマー組成物で前記部位を潅流する工程;および
c)前記潅流の前または間に、前記部位を少なくともTgの温度に加熱する工程、
を含み、それにより前記哺乳類の前記部位において一時的な止血を生じる、方法。
【請求項2】
前記塞栓溶液のゲル温度Tgが約38℃から約42℃の間であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記部位が内部に位置する組織の大領域を前記塞栓溶液で潅流することにより前記部位が一時的に塞栓されるが、加熱は前記部位の近くのみであり、それにより前記部位の近くでのみゲルを形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記局所組織温度が37℃以下であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記可逆感熱性ポリマーが、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、あるいは分枝ポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記可逆感熱性ポリマーがブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記可逆感熱性ポリマーがポリオキシアルキレンブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記可逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーまたはポロキサミンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記可逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー237、238および288の1つ以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記可逆感熱性ポリマーが、分画ポロキサマーまたはポロキサミンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記潅流が、前記加熱の開始後に始まることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記器官の加熱が、電磁放射、音響エネルギー、加熱した液体、加熱パッド、加熱要素、および手術道具または器具により生じる熱により提供されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記器官の加熱が電磁放射により提供されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
哺乳類の組織中のある部位において手術処置を行う方法であって、該方法が、
液体供給システムにより、前記部位の上流の、前記部位に血液を提供する脈管構造にアクセスし;
局所組織温度よりも高い温度まで温度が上昇するとゲル化する可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液を、前記液体供給システムを通して供給し;
前記部位におけるまたはその近くで局所組織温度より高くに前記塞栓溶液を加温し、それにより前記部位を塞栓するように塞栓溶液をゲル化し;
手術処置を行う間前記加温を維持し、それにより前記部位における止血を維持し;
前記処置の終わりに加熱を中止し、それによりゲル化を逆行させ前記部位において血流を再開させる、
各工程を含む方法。
【請求項15】
局所組織温度よりも高い温度でゲル化する前記塞栓溶液が、可逆ゲル化ポリマーとして1つ以上のポロキサマーまたはポロキサミンを含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記溶液の加温が、少なくとも一部は前記処置を行う工程による前記組織の加温によることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記処置を行う工程が、組織を除去、治療または焼灼するためにRF(高周波)エネルギーの使用を含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
組織中の前記部位が、肝臓、子宮、前立腺、脳、脾臓、膵臓、胆嚢、肺、胸、および腎臓から選択されることを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項19】
前記処置が、癌、良性腫瘍または増殖、あるいは出血の除去または治療のためであることを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項20】
可逆感熱性ポリマーを含む前記塞栓溶液が、さらにコントラスト促進剤を含むことを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項21】
前記コントラスト促進剤が、放射線不透過剤、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、色素、および放射性核種含有物質からなる群より選択されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
可逆感熱性ポリマーを含む前記組成物が、さらに生物活性剤を含むことを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項23】
前記生物活性剤が、抗炎症剤、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、抗増殖性物質、および化学療法剤からなる群より選択されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記部位が、温度の低下によって血液が前記器官を再潅流する前に、縫合糸、止め金、封鎖剤、接着剤、および止血材の少なくとも1つにより閉じられることを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項25】
前記処置が終わった後、前記器官を通過する経路および前記器官の外側に沿って通る経路から選択される1つ以上の経路により、37℃未満の温度において等張液の循環により前記器官の再潅流が促進されることを特徴とする請求項1または14記載の方法。
【請求項26】
前記再潅流液の温度が30℃未満であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
組織の温熱治療の効果を改良する方法であって、該方法が、温熱装置を使用して治療されるべき部位において加熱を生じる工程;可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓組成物で前記部位を潅流する工程であって、前記ポリマーが、体温より高い温度で十分にゲル化して局所止血を生じる工程;および従来の方法における温熱療法により前記部位を治療する工程、を含む方法。
【請求項28】
前記可逆ゲル化ポリマーを含有する塞栓溶液による潅流は、前記可逆ゲル化組成物を使用しない場合に生じるよりも、少なくとも1つのより確実なおよびより予測可能な程度の組織治療を生じることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
器官の熱治療のためのシステムであって、該システムは:
37℃よりも高く約50℃の最大温度よりも低い温度に加熱することにより組織を選択的に破壊するための、器官の局所領域に熱を加える手段;
可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液により器官の前記局所領域を局所的に潅流する手段であって、前記可逆ゲル化ポリマーについてのゲル化温度が37℃より高く前記最大温度より少なくとも1℃低い手段、
を含み、
それによって、前記局所領域に熱を与える間に熱処理の部位において可逆性局所止血が得られ、前記熱処理の適用の終了後に前記止血が自然に終了することを特徴とするシステム。
【請求項30】
手術が行われる部位を一時的に塞栓することにより手術の結果を改善する薬剤であって、該薬剤が、前記部位で器官に注入される可逆ゲル化ポリマーを含み、前記薬剤が局所組織加熱により前記部位において一時的に固定されることを特徴とする薬剤。
【請求項31】
ある部位において局所的な可逆性止血を生じるための可逆ゲル化ポリマー溶液の使用であって、前記可逆ゲル化ポリマー溶液が、前記部位で体温より高い温度でゲル化し、該ゲル化は前記ポリマー溶液のゲル化温度よりも高い温度で前記部位を局所的に加熱することにより起こることを特徴とする使用。
【請求項32】
器官の選択された部分の手術による除去を容易にするための塞栓溶液の使用であって、該使用は、可逆ゲル化ポリマーが止血を生じるのに十分にゲル化する温度に前記器官を加熱する一方で、前記器官の少なくとも前記選択された部分に前記可逆ゲル化ポリマーを含む塞栓溶液を提供する工程を含み;
前記器官が一時的に塞栓される一方で前記器官の前記選択された部分が手術により除去され、次に前記器官の残りの部分が血液または他の体液を失うことを防ぐのに十分に表面を封鎖するよう処置され、
その後前記器官の加熱を停止することにより、塞栓が回復され前記器官の残りにおける血流が可能となることを特徴とする使用。

【公表番号】特表2011−514817(P2011−514817A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548803(P2010−548803)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/034480
【国際公開番号】WO2009/111173
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(506128226)プルーロームド インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】PLUROMED, INC.
【Fターム(参考)】