説明

感熱記録シートおよびその製造方法

【課題】装飾性や意匠性を高めた感熱記録シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材10上に、少なくとも感熱層7とトップコート層5とを備える感熱記録シート20であって、トップコート層5の材料が乾燥する前に、ホログラム加工が施されたフィルムを張り合わせ、トップコート層5の材料を乾燥させた後に、前記フィルムを剥離することによって、トップコート層5の表面に、ホログラム像が転写形成された感熱記録シート20を得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側にトップコート層を有すると共にその下側に感熱層を備えた感熱記録シート、およびその感熱記録シートを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録シートは、例えば、感熱ファクシミリ、感熱プリンタ、自動券売機などにおける記録用として広範な用途に使用されており、光沢性に優れた感熱記録シートも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4416989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、感熱記録シートの用途は、例えば、食料品や飲料品等のラベル用、コンサートや野球等の各種チケット用などにも拡大しており、より装飾性や意匠性の高いものが益々要求されている。
【0005】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、装飾性や意匠性を高めた感熱記録シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係る感熱記録シートは、基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とを備える感熱記録シートであって、前記トップコート層の表面には、ホログラム像が形成されている。
【0008】
本発明の感熱記録シートは、基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とを備えるものであり、基材と感熱層との間には、アンダーコート層などの他の層を設けてもよく、また、感熱層とトップコート層との間には、オーバーコート層などの他の層を設けてもよい。
【0009】
本発明の感熱記録シートによると、トップコート層の表面には、ホログラム像が形成されているので、ホログラム特有の立体的美観や光沢から優れた装飾効果を発揮することができる。また、ホログラムは、コピー機による複写が困難であるので、セキュリティ性が向上する。
【0010】
更に、ホログラム像は、トップコート層自体に形成されるので、別途、ホログラム層を設ける必要がなく、感熱記録シートの厚みが増すこともなく、感熱記録特性も良好なものとなる。
【0011】
(2)本発明の感熱記録シートの製造方法は、基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とが形成される感熱記録シートの製造方法であって、ホログラム加工が施されたフィルムに、前記トップコート層の材料を塗布し、乾燥させてトップコート層を形成する工程と、前記フィルムを前記トップコート層から剥離する工程とを含んでいる。
【0012】
本発明の感熱記録シートの製造方法によると、ホログラム加工が施されたフィルムに、トップコート層の材料を塗布し、乾燥させてトップコート層を形成した後に、トップコート層からフィルムを剥離することによって、トップコート層の表面に、ホログラム像が転写形成された感熱記録シートを容易に得ることができる。
【0013】
(3)本発明の感熱記録シートの製造方法は、基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とが形成される感熱記録シートの製造方法であって、前記基材上に、感熱層の材料を塗布し、乾燥させて感熱層を形成する工程と、前記感熱層上に、前記トップコート層の材料を塗布し、この塗布面に、ホログラム加工が施されたフィルムを密着させ、乾燥させてトップコート層を形成する工程と、前記フィルムをトップコート層から剥離する工程とを含んでいる。
【0014】
感熱層の材料は、基材上に直接的に塗布してもよいし、基材上に形成された他の層を介して間接的に塗布してもよい。
【0015】
また、トップコート層の材料は、感熱層上に直接的に塗布してもよいし、感熱層上に形成された他の層を介して間接的に塗布してもよい。
【0016】
本発明の感熱記録シートの製造方法によると、トップコート層の材料の塗布面に、ホログラム加工が施されたフィルムを密着させ、乾燥させてトップコート層を形成し、このトップコート層からフィルムを剥離することによって、トップコート層の表面に、ホログラム像が転写形成された感熱記録シートを容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とを備える感熱記録シートにおいて、トップコート層の表面には、ホログラム像が形成されているので、ホログラム特有の立体的美観や光沢から優れた装飾効果を発揮することができる。また、ホログラムは、偽造が困難であるので、セキュリティ性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る製造方法を実施する製造装置の概略構成図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態の感熱記録シートの概略断面図である。
【図3】図3は本発明の他の実施形態に係る製造方法を説明するための概略断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施形態の感熱記録シートの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る感熱記録シートの製造方法を実施する製造装置の概略構成図であり、図2は、その製造方法によって製造された感熱記録シートの断面図である。
【0021】
この実施形態の感熱記録シートの製造装置1は、ホログラム加工を施したフィルム3を送り出すフィルム送り出し装置2と、送り出されるフィルム3に対して、トップコート材料を塗布するトップコート材料塗布ローラ4と、トップコート材料が塗布されたフィルム3を乾燥させる乾燥装置6aと、フィルム3上に形成されたトップコート層5に対して、感熱発色材料を塗布する感熱発色材料塗布ローラ8と、感熱発色材料が塗布されたフィルム3を乾燥させる乾燥装置6bと、この乾燥装置6bからの感熱層7等が形成されたフィルム3と基材送り出し装置9から送り出される基材10とを接合する接合ロール11と、トップコート層5からフィルム3を剥離する剥離装置12と、剥離されたフィルム3を巻き取るフィルム巻き取りローラ13と、フィルム3を剥離して得られた本実施形態の感熱記録シート20が巻き取られる巻取りローラ14と、を備えている。
【0022】
フィルム送り出し装置2には、表面にホログラム加工が施されたフィルム3が巻回収納されている。フィルム送り出し装置2からフィルム3が矢印A方向に送り出され、この送り出されていく過程でフィルム3の表面3aに対して以下説明する処理が行われる。なお、フィルム3の表面3aには、ホログラム加工によって凹凸のホログラムパターン(ホログラム像)が形成されている。フィルム3の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、2軸延伸されたOPP(オリエンテッドポリプロピレン)などのポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどを例示することができる。
【0023】
フィルム3は、フィルム送り出し装置2から矢印A方向へと送り出されると共に、最初の処理として、その表面3aに、トップコート材料塗布ローラ4により、トップコート層5を形成するためのトップコート材料が塗布される。フィルム3の表面3aには、乾燥後のトップコート層5の厚さが0.3μm以上となるようにトップコート材料が塗布されることが好ましい。このようにすれば、ホログラム加工が施されたフィルム3からホログラム像を十分に転写することができる。前記トップコート層5は、感熱記録シートとしてサーマルヘッドに対向する層であると共に、装飾性や意匠性に関わる層である。
【0024】
フィルム3はトップコート材料塗布ローラ4でその表面3aにトップコート材料が塗布された後、同矢印A方向に配置の乾燥装置6aへと送り出され、この乾燥装置6aで乾燥処理される。フィルム3は、この乾燥装置6aによって、水分あるいは有機溶剤等の溶媒が乾燥されて除去される。この乾燥装置6aで乾燥させることによって、次の処理である感熱発色材料塗布ローラ8で感熱発色材料を塗布して感熱層7を形成する前に、その表面3aから溶媒を除去することで、感熱層7が形成しやすくなるとともに、当該感熱層7の感熱発色剤に溶媒が影響を及ぼす現象、いわゆるカブリ現象を回避できるようになる。
【0025】
こうしてフィルム3は、その表面3aにトップコート材料塗布ローラ4でトップコート材料が塗布され、乾燥装置6aで乾燥されることでトップコート層5が形成された後、感熱発色材料塗布ローラ8に導かれる。なお、乾燥装置6aと感熱発色材料塗布ローラ8との間に吸熱用のロールを設けたり、あるいは、乾燥装置6aと感熱発色材料塗布ローラ8との間隔を長くしたりすることなどによって、乾燥装置6aで加えられた熱の放熱を行い、感熱発色材料への熱的影響を更に少なくすることができるようにしてもよい。
【0026】
感熱発色材料塗布ローラ8に送りだされたフィルム3は、該感熱発色材料塗布ローラ8により、そのトップコート層5の表面に感熱発色材料が塗布される。こうしてトップコート層5の表面に感熱発色材料が塗布されたフィルム3は、別の乾燥装置6bへと導かれ、ここで乾燥されることでトップコート層5の表面に感熱層7が形成され、その後、接合ロール11へと送り出される。
【0027】
基材送り出し装置9には、基材10が巻回収納されており、この基材送り出し装置9から接合ロール11へ基材10が矢印B方向に送り出され、図示しない塗布装置によって接着剤が塗布、転写等によって設けられる。この基材10は、例えば、紙、合成紙、フィルム、シート等からなる長尺状基材であり、特に制限はない。
【0028】
基材送り出し装置9から送り出されて接着剤が設けられた基材10と、乾燥装置6bで乾燥された感熱層7が形成されたフィルム3とが、接合ロール11で合流し、ここで基材10とフィルム3とが接合された後、矢印C方向に送り出される。この送り出し方向には剥離装置12が配置されている。剥離装置12は、フィルム3をトップコート層5から剥離する。剥離装置12によって剥離されたフィルム3は、矢印D方向に送り出され、その送り出し方向に配置のフィルム巻き取りローラ13によって巻き取られる。こうしてフィルム巻き取りローラ13によって巻き取られたフィルム3は再使用することができる。
【0029】
一方、フィルム3が剥離された基材10側は、トップコート層5の表面が露出し、本実施形態の感熱記録シート20が得られ、矢印E方向に送り出され、巻取りローラ14に巻き取られる。こうして巻き取られた感熱記録シート20は、基材10、感熱層7およびトップコート層5から構成される。そして、感熱記録シート20のトップコート層5の表面5aには、図2に示すように、ホログラム加工が施されたフィルム3の表面3aのホログラム像から転写された凹凸のホログラム像が形成されている。
【0030】
この実施形態では、基材10に接着剤を設けて感熱層7が形成されたフィルム3と接合したけれども、本発明の他の実施形態として、トップコート層5の表面に感熱発色材料を塗布した後、感熱発色材料を乾燥させる前に、基材10と接合するようにしてもよい。
【0031】
なお、剥離装置12におけるフィルム3の剥離は、接合後、連続して行ってもよく、また、一旦フィルム3が存在したままで基材10を巻回してロールとした後にフィルム3を剥離してもよい。フィルム3を存在させたまま、基材10を巻回、保持することにより、感熱記録シート20として使用するまで、該感熱記録シート20のトップコート層5側表面を保護することができる。
【0032】
トップコート層5を形成する材料としては、結着剤中に充填剤、滑剤、架橋剤を添加し、必要に応じて分散剤、消泡剤、耐水化剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加したものが用いられる。
【0033】
結着剤たる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリルニトリル、メチルビニルエーテルなどの水溶性樹脂またはエマルジョンの1種類または2種類以上を選択して使用することができる。
【0034】
上述の樹脂等のなかから、1種類または2種類以上を選択し、例えば、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、トルエンなどの溶剤に溶解したものを用いることができる。
【0035】
また、充填剤としては、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイトなどのカオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子などの1種類または2種類以上を選択して使用することができる。
【0036】
さらに、滑剤としては、オレイン酸などの脂肪酸類、パラフィンワックスなどの酸化ワックス類、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス類、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸類、カルナバワックスなどのエステルワックス類、シリコンオイル、鯨油などの油類を1種類または2種類以上を選択して使用することができる。
【0037】
また、架橋剤としては、グリオキザール、ポリアルデヒド、アミノ−ホルムアルデヒドなどのジアルデヒド系、ポリエチレンアミンなどのポリアミン系、ポリエチレンイミンなどのポリイミン系、エポキシ系、エピククロヒドリン樹脂、ポリアミド樹脂、グリセリンジグリシジルエーテルなどのジグリシジル系、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム塩などを1種類または2種類以上を選択して使用することができる。また、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩とエピククロヒドリン樹脂とは、いずれか一方を架橋剤として用いることができると共に、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩とエピククロヒドリン樹脂とを4:1の割合で配合して用いることもできる。
【0038】
このトップコート層5を形成する材料の配合組成としては、結着剤が、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは25〜75重量%、充填剤が、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%、滑剤が、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%、架橋剤が、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0039】
この実施形態のトップコート層5の材料の配合組成は、結着剤が60重量%、充填剤が25重量%、滑剤が10重量%、架橋剤が5重量%である。
【0040】
感熱層7を形成する材料としては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、バインダの他に、増感剤、滑剤などを含有させることができる。
【0041】
ここで、加熱により発色する発色剤としては、一般に使用されている公知のロイコ系染料を用いることができ、このロイコ系染料としては、例えば、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジェチルアミノ−6−メチル−7−p−トルイジノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジェチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジェチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジェチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジメチルアミノ−5−メチル−7−メチルフルオラン、3−(N−メチル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エトキシプロピル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジェチルアミノ−6−メチル−8−メチルフルオラン、3−ジェチルアミノ−7−クロロフルオラン等を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、上記の顕色剤としては、上記のようなロイコ系染料に対して加熱時に反応して、これを発色させる種々の電子受容性物質を用いることができ、例えば、一般に使用されているベントナイト、ゼオライト、酸性白土、活性白土、シリカゲル、酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化アルミニウム、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、ジ−m−トリフロロメチルフェニルチオ尿素、ジ−フェニルチオ尿素、サリチルアニリド、4,4'−イソプロピリデンジフエノール、4,4'−イソプロピリデンビス(2−クロロフエノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフエノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフエノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2−メチルフエノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフエノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフエノール)、4,4'−sec−ブチリデンジフェシール、4,4'−シクロヘキシリデンビスフエノール、4,4'−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフエノール)、4−tert−ブチルフエノール、4−フエニルフエノール、4−ヒドロキシジフエノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、5−ヒドロキシフタル酸ジメチル、メチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−ヒドロキシアセトフエノン、ノボラツク型フエノール樹脂、2,2'−チオビス(4,6−ジクロロフエノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4−tert−オクチルカテコール、2,2'−メチレンビス(4−クロロフエノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフエノール)、2,2'−ジヒドロキシジフエニル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−クロルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−o−クロルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸亜鉛、4−ヒドロキシジフエニルスルホン、4,2'−ジフェノールスルホン、4−ヒドロキシ−4′−クロロジフエニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソブチルオキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)スルフイド、2−ヒドロキシ−p−トルイル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸錫、酒石酸、シユウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、ビイミダゾール、ヘキサフェニルビイミダゾール、4臭化炭素、メチレンビス−(オキシエチレンチオ)ジフェノール、エチレンビス−(オキシエチレンチオ)ジフェノール、ビス−(4−ヒドロキシフェニルチオエチル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル、m−キシリレンビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)エーテル等を用いることができる。
【0043】
また、感熱層7のバインダとしても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリルニトリル、メチルビニルエーテルなどの水系樹脂を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
また、この感熱層7に含有させる増感剤や滑剤なども、一般に使用されている公知のものを用いることができる。そして、増感剤としては、例えば、1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン、ワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、ナフトール誘導体、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ポリエーテル誘導体、ターフェニル誘導体、スルホン誘導体等、常温で固体、好ましくは約70℃以上の融点を有するものなどを用いることができる。また、滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、オレイン酸などの脂肪酸類、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス類、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸類、カルナバワックスなどのエステルワックス類、シリコンオイル、鯨油などの油類を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
上述のように、この実施形態の感熱記録シート20は、ホログラム加工が施されたフィルム(ホログラムフィルム)3に、トップコート材料を塗布し、乾燥させてトップコート層5を形成した後に、トップコート層5からフィルム3を剥離することによって、トップコート層5の表面に、ホログラム像が転写形成された感熱記録シート20を容易に得ることができる。
【0046】
この感熱記録シート20は、ホログラム特有の立体的美観や光沢から優れた装飾効果を発揮することができる。
【0047】
例えば、感熱記録シート20を、各種の飲料や食料品などの容器のラベルやシール用として使用する場合に、ホログラムの模様や色などを選択することによって、清涼飲料のみずみずしさや食肉の高級感を表したりすることができ、いわゆる、アイキャッチ効果によって類似商品と差別化して商品の販売促進を図ることができる。このようなラベルには、会社名などのロゴをホログラムで構成することもでき、ホログラムによる立体的美観によって、ロゴを鮮明にすることもできる。また、商品名や模様など様々なものをホログラムにより構成することができる。
【0048】
また、ホログラム像は、見る角度によって異なる像が観察され、コピー機による複写は困難であるので、コンサートや野球等の各種チケット用などの用途に使用する場合に、偽造が困難となり、セキュリティ性が向上する。
【0049】
更に、ホログラム像は、トップコート層5自体に形成されるので、別途、ホログラム層を設ける必要がなく、感熱記録シート20の厚みが増すこともなく、感熱記録特性も良好なものとなる。
【0050】
この実施形態の感熱記録シートの製造方法では、ホログラム加工が施されたフィルム3に、トップコート材料を塗布し、乾燥させてトップコート層5を形成し、更に、感熱層7を形成した後、フィルム3をトップコート層5から剥離したけれども、本発明の他の実施形態では、図3に示すように、基材10上に、感熱層7を形成し、感熱層7上に、トップコート材料を塗布し、この塗布面が湿潤状態にあるうちに、ホログラム加工が施されたフィルム3を張り合わせて密着させ、乾燥させてトップコート層5を形成した後、フィルム3をトップコート層5から剥離してもよい。なお、基材10上への感熱層7の形成は、基材10上に直接形成しても他の層を介して形成してもよく、また、感熱層7上へのトップコート層5の形成は、感熱層7上に直接形成しても、他の層を介して形成してもよい。
【0051】
図4は、本発明の他の実施形態の感熱記録シート20aの断面図であり、上述の図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0052】
この実施形態では、トップコート層5を形成した後、感熱層7を形成する前に、オーバーコート層15及び保護層16を形成している。
【0053】
オーバーコート層15は、トップコート層5と共に、サーマルヘッドに対する感熱記録シート20aのマッチング性を向上させて、感熱層7の発色が順調に行われるようにするものであり、保護層16は、感熱層7を保護する。
【0054】
また、この実施形態では、感熱層7が形成された後、アンダーコート層17を形成している。このアンダーコート層17は、感熱層7を発色させるためにサーマルヘッドから与えられる熱の放散を防ぐ断熱層として、また、クッション性を持たせる弾性層として機能する。
【0055】
更に、基材10の裏面には、障壁層18を設けている。この障壁層18は、当該感熱記録シート20aを、例えば、ラベルとして使用するような場合に、この障壁層18の裏面に、公知の粘着剤層(図示せず)を設けることになるが、この粘着剤層の成分が、基材10及びアンダーコート層17を介して感熱層7へ拡散するのを防止する機能を有する。
【0056】
保護層16は、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテルなどの水溶性樹脂またはエマルジョンの1種類以上を結着剤として選択して使用することができ、感熱層7の耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等に優れたものとするように形成される。
【0057】
オーバーコート層15を形成する材料としては、結着剤に充填剤を添加し、必要に応じ、滑剤、架橋剤、分散剤、消泡剤、耐水化剤などの添加剤を添加したものが用いられる。
【0058】
オーバーコート層15を形成する結着剤として、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール;ポリビニルピロリドン;ポリビニルカルバゾール;デンプン類;セルロース誘導体;アルギン酸塩;アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル樹脂;アルキッド樹脂;マレイン酸樹脂;アクリロニトリル樹脂;エポキシ樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;スチレン樹脂;ウレタン樹脂;ビニリデン樹脂等の1種類以上を選択して使用することができる。
【0059】
また、充填剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイトなどのカオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子などの1種類または2種類以上を選択して使用することができる。
【0060】
アンダーコート層17を形成する材料としては、結着剤に充填剤を添加し、必要に応じ、架橋剤、分散剤、消泡剤、耐水化剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加したものが用いられる。
【0061】
アンダーコート層17を形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテルなどの水溶性樹脂またはエマルジョンの1種類以上を選択して、結着剤として使用することができる。
【0062】
また、充填剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイトなどのカオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子などの1種類または2種類以上を選択して使用することができる。
【0063】
障壁層18は、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテルなどの水溶性樹脂またはエマルジョンの1種類以上を選択し、結着剤として使用することができ、感熱層7の耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等に優れたものとするように形成される。
【0064】
その他の構成及び効果は、上述の実施形態と同様である。
【0065】
なお、上記のオーバーコート層15などの各層は、必要に応じて設けるようにすることができるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 感熱記録シートの製造装置
3 フィルム
5 トップコート層
7 感熱層
10 基材
15 オーバーコート層
16 保護層
17 アンダーコート層
18 障壁層
20,20a 感熱記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に少なくとも感熱層とトップコート層とを備える感熱記録シートであって、
前記トップコート層の表面にホログラム像が形成されている、ことを特徴とする感熱記録シート。
【請求項2】
基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とが形成される感熱記録シートの製造方法であって、
ホログラム加工が施されたフィルムに、前記トップコート層の材料を塗布し、乾燥させてトップコート層を形成する工程と、
前記フィルムを前記トップコート層から剥離する工程と、
を含むことを特徴とする感熱記録シートの製造方法。
【請求項3】
基材上に、少なくとも感熱層とトップコート層とが形成される感熱記録シートの製造方法であって、
前記基材上に、感熱層の材料を塗布し、乾燥させて感熱層を形成する工程と、
前記感熱層上に、前記トップコート層の材料を塗布し、この塗布面に、ホログラム加工が施されたフィルムを密着させ、乾燥させてトップコート層を形成する工程と、
前記フィルムをトップコート層から剥離する工程と、
を含むことを特徴する感熱記録シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91439(P2012−91439A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241941(P2010−241941)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】