説明

感熱記録用粘着ラベル

【課題】保存後の発色感度に優れ、少ない粘着剤塗布量で十分な粘着性能を有する感熱記録用粘着ラベルの提供。
【解決手段】(1)支持体の表面に、ロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層が形成され、支持体の裏面にバックコート層、粘着剤層及び剥離紙を順次積層した感熱記録用粘着ラベルにおいて、バックコート層と粘着剤層の間に、熱可塑性樹脂を主体としフィラーを含有する粘着アンダーコート層を設けた感熱記録用粘着ラベル。
(2)前記フィラーがプラスチック球状中空粒子(中空フィラー)である(1)記載の感熱記録用粘着ラベル。
(3)前記フィラーの含有率が、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜100重量部である(1)又は(2)記載の感熱記録用粘着ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ない粘着剤塗布量で十分な粘着性能を有し、かつ、保存後の感熱記録層の発色感度を低下させない感熱記録用粘着ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発され実用化されているが、中でも感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能である;(2)必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取扱い易く安価である;などの利点を有する。そのため、これらの技術は、情報処理分野(卓上計算機、コンピューター等のアウトプット)、医療計測用のレコーダー分野、低〜高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券)、感熱複写分野、POSシステムのラベル分野、タグ分野等多岐にわたって用いられている。
感熱記録用粘着ラベルの一般的な構成は、支持体、感熱記録層、粘着剤層、剥離紙を積層したもので、剥離紙はグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等にシリコーン化合物やフッ素化合物のような剥離剤を塗工したものが用いられる。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型粘着剤等が使用されている。中でもアクリル系エマルジョン型粘着剤が安全面、品質面、コスト面から広範囲に使用されている。
しかし、エマルジョン型粘着剤は、粘着力、凝集力及びタックという性能において、溶剤型粘着剤より劣る傾向にある。そのため、高品質の粘着ラベルを製造する際、エマルジョン型粘着剤は溶剤型粘着剤よりも塗布量を多くする必要がある。
また、感熱記録用粘着ラベルは、一般に記録像の保存安定性が要求され、このため感熱記録層上に、フィルム形成能を有し耐薬品性のある樹脂の水性エマルジョンを塗布する方法や、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物を塗布する方法が提案されている。また、支持体の裏面には粘着剤層と剥離紙が設けられているが、通常、粘着剤には上記のようにゴム系、アクリル系等が使用されており、特にアクリル系エマルジョン型が多く使用されている。そのためラベルとして使用される以前でも長期間保存している間に粘着剤層に含まれる低分子量オリゴマー、界面活性剤等が感熱記録層へマイグレートして記録感度を低下させ、極端な場合には印字の白抜け等が発生するという問題があることが知られている。
【0003】
上記のような問題に対して、支持体の裏面にポリプロピレン樹脂又はアルキレンイミン化合物で変性したアクリル酸エステルを主成分とする下塗り剤層(バックコート層)を設け、粘着剤層を積層するという提案がされているが(特許文献1参照)、これは、粘着剤のマイグレートを抑えることはできるものの、粘着剤付着量を減らすと粘着力を十分発揮できない。また、非晶性α−オレフィン系共重合体からなる粘着剤を積層したフィルムが提案されているが(特許文献2参照)、粘着力が不十分であり、粘着ラベルとして機能しない。更に、感熱性粘着材料として支持体上に中空フィラーを含有するアンダーコート層を設け、その上に感熱粘着層を積層する提案(特許文献3、4参照)がされているが、これは、熱エネルギーを加える前は粘着性を有しない感熱粘着剤層とアンダーコート層を組み合わせており、本発明の構成とは異なる。更に、熱エネルギーを加えた後は、アンダーコート層と感熱粘着層が交わるため、本発明の形態とは異なっている。また、このアンダーコート層は感熱粘着層を溶融させるエネルギーの低減に寄与しており、本発明の効果とは異なるものである。
長期保存による感熱記録層の感度低下に対しては、粘着剤に配合する粘着付与剤として軟化点の高いものを選択して用いることが提案されているが(特許文献1、2参照)、粘着付与剤を選択しても、用いる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの種類によっては、記録感度の低下を防止することはできない。
また、感熱記録用粘着ラベルにソープフリーの粘着剤を用いることにより、長期保存した場合でも発色感度を低下し難くする提案がされているが(特許文献6参照)、一応の効果はあるものの、用いる(メタ)アクリル酸エステルモノマーのアルキル基の炭素数が4以下の場合、高温高湿環境下で記録感度の低下が見られる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−100156号公報
【特許文献2】特開2006−143948号公報
【特許文献3】特開2007−076252号公報
【特許文献4】特開2007−204549号公報
【特許文献5】特開2002−275437号公報
【特許文献6】特開2004−279853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、保存後の発色感度に優れ、少ない粘着剤塗布量で十分な粘着性能を有する感熱記録用粘着ラベルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は次の1)〜6)の発明によって解決される。
1) 支持体の表面に、ロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層が形成され、支持体の裏面にバックコート層、粘着剤層及び剥離紙を順次積層した感熱記録用粘着ラベルにおいて、バックコート層と粘着剤層の間に、熱可塑性樹脂を主体としフィラーを含有する粘着アンダーコート層を設けたことを特徴とする感熱記録用粘着ラベル。
2) 前記フィラーがプラスチック球状中空粒子(中空フィラー)であることを特徴とする1)記載の感熱記録用粘着ラベル。
3) 前記中空フィラーの中空率が50〜98%であることを特徴とする2)記載の感熱記録用粘着ラベル。
4) 前記フィラーの含有率が、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜100重量部であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。
5) 前記粘着アンダーコート層の熱可塑性樹脂がアクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。
6) 前記粘着剤層及び粘着アンダーコート層がカーテン塗工方式で塗工されていることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明で用いられるロイコ染料は電子供与性を示す化合物であり、単独で又は2種以上混合して適用される。それ自体無色又は淡色の染料前駆体であり、特に限定されることなく従来公知のものを用いることができる。例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好ましく用いられる。
このような化合物の具体例としては、以下に示すようなものが挙げられる。
【0008】
6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−s−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルチミルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4′,5′−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4′−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6′−ブロモ−2′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン等である。
【0009】
また、本発明で用いられる顕色剤としては、前記ロイコ染料に対して加熱時に反応し発色させる種々の電子受容性物質が適用され、その具体例を示すと、以下のようなフェノール性化合物、有機又は無機酸性化合物あるいはそれらのエステルや塩などが挙げられる。
没食子酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、4,4′−s−ブチリデンジフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、3,5−キシレノール、チモール、メチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−ヒドロキシアセトフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、2,2′−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4−t−オクチルカテコール、2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−ジヒドロキシジフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−o−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸亜鉛、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−クロロジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−ヒドロキシ−p−トルイル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸スズ、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、チオ尿素誘導体、4−ヒドロキシチオフェノール誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−プロピル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェネチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸−n−プロピル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−s−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−t−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−フェノキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(m−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(p−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(o−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(p−クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0010】
感熱記録層の付着量は、感熱記録層の組成や感熱記録材料の用途等により異なり、一概には規定できないが、1〜30g/mが好ましく、2〜20g/mがより好ましい。
また、本発明の感熱記録層(感熱発色層)においては、前記ロイコ染料及び顕色剤と共に、必要に応じて、この種の感熱記録層材料に慣用される補助添加成分、例えば、水溶性高分子及び水性樹脂エマルジョン、フィラー、熱可融性物質、界面活性剤等を併用することができる。
このようなフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができる。
【0011】
また、熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グレヤコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジロキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジフェニルチオブタン、1,4−ジフェニルチオ−2−ブテン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−フェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、4−アセトトルイジド等、その他の熱可融性有機化合物等で50〜200℃程度の融点を持つものが挙げられる。
【0012】
なお、本発明では、支持体と感熱記録層の間に、粘着剤の感熱記録層へのマイグレート防止、発色感度、平滑性、接着性の向上などの目的で、必要に応じて、バインダー、フィラー、熱可融性物質などを含有する中間層を設けることができる。
中間層は、乾燥時の重量が2〜10g/mとなるように設けるが、好ましくは、中空率80%以上で重量平均粒子径0.8〜5μmの大きさの中空粒子を含有し、乾燥時の重量が2.5〜7g/mの範囲のものがよい。これにより、画像印字時の感度が高い感熱記録用粘着ラベルを提供できる。
【0013】
本発明の感熱記録用粘着ラベルは、支持体の裏面にバックコート層を設けることが必須である。バックコート層が設けられていない場合、粘着加工した後、長時間保管してから使用すると、感圧性粘着剤層中に含まれる発色阻害要因が感熱記録層へ浸透し、発色阻害を引き起こす原因となることがある。
また、バックコート層の付着量は、0.5〜3.5g/mであることが好ましく、より好ましくは、1.0〜3.4g/mである。0.5g/m未満では、低湿環境下でのカールを抑えることができず、3.5g/mを超えると、ロール状に保管した時にブロッキングを引き起こしやすくなる。
バックコート層に用いられるポリビニルアルコール樹脂は、公知の方法で製造されるポリ酢酸ビニルの鹸化物で良いが、その他にビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していても良く、このような単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、あるいはその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、あるいはその塩が挙げられる。
また、バックコート層のバリア性を強くする為にグリオキザール、ホウ酸、ミョウバン、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ジアルデヒドデンプン等の硬化剤を添加することもできる。
【0014】
上記のような材料を主成分とするバックコート層塗布液中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種助剤を添加することができる。
助剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルギン酸塩、脂肪酸金属塩などの分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、炭酸マグネシウム、カルサイト系軽質炭酸カルシウム、アラゴナイト系軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、アルカリ変性シリカ、微粒子状無水シリカ、コロイダルシリカ等の無機顔料、スチレン−マイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の有機顔料を添加することができる。
【0015】
また、本発明の感熱記録用粘着ラベルは、感熱記録層上にオーバーコート層を設けることにより、通常、ロール状で保管・使用される粘着ラベル中の発色性阻害要因が、剥離紙を突き抜けて感熱記録層に悪影響を及ぼすことを防止できる。オーバーコート層がないと十分なバリア性が得られず、使用環境によっては、発色性の低下を起こす原因となる。
オーバーコート層は、ポリビニルアルコール樹脂及びフィラーを主成分とする。
樹脂としては、例えば公知の方法で製造され、ポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他のビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していても良く、このような単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、あるいはその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、あるいはその塩が挙げられる。
フィラーとしてはホスフェートファイバー、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、板状炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、板状水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、ハイドロタルイサイト等の無機フィラーや、架橋ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の有機フィラーが挙げられる。
【0016】
また、オーバーコート層の耐水性を向上させるため、耐水化剤を共に用いることが特に好ましく、その具体例としては、グリオキザール、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
更に、オーバーコート層には上記の樹脂及びフィラーの他に、従来から用いられている補助添加成分、例えば、界面活性剤、熱可融性物質、滑剤、圧力発色防止剤などを併用することができる。この場合、熱可融性物質の具体例としては、前記感熱記録層の説明で例示したものと同様なものが挙げられる。
オーバーコート層の付着量は、1.0〜5.0g/mであることが望ましく、1.0g/m未満の場合には、記録画像が食品に含まれる水及び酸性成分物質、包装に使用される有機高分子材料に含まれる可塑剤や油脂類等に対して保存安定性が悪くなり、5.0g/mを超えると、発色感度特性が悪くなってしまう。
【0017】
本発明の感熱記録用粘着ラベルに用いる粘着剤層の主成分は、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも1種を主体とする単量体を乳化重合して得られるアクリル樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。ここで「主成分」とは、必要に応じて配合する浸透剤、造膜助剤、消泡剤、防錆剤、増粘剤、濡れ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、無機充填剤などの添加剤を除き、前記高分子材料のみからなることを意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0018】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、上記成分以外に、必要に応じてカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体の各不飽和単量体と共重合可能なラジカル重合性不飽和単量体を加えてもよい。
上記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらは、2種以上組み合わせて使用してもよい。
粘着剤層の付着量は5〜20g/mが好ましい。付着量が5g/m未満では十分な粘着力が得られず、特にダンボールのような粗面被着体へ貼り付けることができない。また20g/mを超えると粘着力が飽和し、経済的にも好ましくない。
【0019】
粘着アンダーコート層に用いる熱可塑性樹脂は、本発明の粘着剤層にも用いられる熱可塑性樹脂が好ましく、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
また、粘着アンダーコート層に用いるフィラーは、一般的に使われる平均粒子径0.5〜10μmの無機又は有機フィラー、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、カオリン、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等でも良いが、粘着剤付着量の低減化を考慮すると、中空率が50%以上のプラスチック球状中空粒子(中空フィラー)が好ましく、特に中空率が70〜98%の範囲のものが好ましい。中空率が低いものは、粘着アンダーコート層の膜厚を確保することができず粘着特性の低下を引き起こす。また、安定して得られる中空フィラーの中空率は98%以下である。
【0020】
本発明で言うプラスチック球状中空粒子とは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有して既に発泡状態となっている中空粒子を言う。なお、“中空率”とは中空微粒子の外径と内径(中空部の直径)の比であり、下式で表わされるものである。
中空率(%)=(中空微粒子の内径)/(中空微粒子の外径)×100
また、上記の条件を満たすプラスチック球状中空粒子を形成する材料としては、アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−メタクリロニトリル−イソボニルメタクリレート共重合体が好ましい。
また、該粘着アンダーコート層に用いられる熱可塑性樹脂とフィラーの比率については、熱可塑性樹脂100重量部に対してフィラー2〜100重量部が好ましく、フィラーが2重量部より少ないと粘着特性が低下する。逆にフィラーが100重量部より多くなると、粘着アンダーコート層の凝集力は高くなるものの、粘着剤層のみの粘着力しか得られなくなってしまう。
本発明の粘着アンダーコート層の塗布量としては、乾燥塗布量で通常1〜10g/m、好ましくは2〜10g/mの範囲が好ましい。塗布量が1g/m未満であると、十分な粘着力が得られず、10g/mを超えると接着力が飽和し経済上好ましくない。
【0021】
剥離紙としては、グラシン紙等の高度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等の原紙に、例えば、カゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの天然又は合成の樹脂、又はこれらの樹脂と、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー(焼成カオリン)、酸化チタン、シリカ等の無機顔料やプラスチックピグメント等の有機顔料からなる目止め層を設けた基材、或いは、クラフト紙又は上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等に、溶剤型又は無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥重量が0.05〜3g/m程度になるように塗布した後、熱硬化や電子線又は紫外線硬化等によって剥離剤層を形成したものが適宜、使用される。なお、剥離剤を塗布する装置は特に限定されないが、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーター等が適宜、使用される。
粘着剤層及び粘着アンダーコート層の塗布方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター等が挙げられ、剥離紙の剥離剤面に塗工してもよいし、支持体の裏面(感熱記録層を設けた反対面)に塗工してもよい。なお、本発明では、粘着剤層と粘着アンダーコート層を塗工することから、カーテンコーターでの塗工が最適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、食品POSラベル、タグ、チケット、医療用ビデオプリンター用フィルム等の用途として、発色感度、耐保存性に優れ、少ない粘着剤塗布量で十分な粘着性能を有する極めて実用性の高い感熱記録用粘着ラベルを提供できる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、中空率を除き、何れも重量基準である。
【0024】
(実施例1)
<感熱記録層塗布液の調製>
下記組成からなる[A液]及び[B液]を、それぞれ平均粒径が2μm以下になるようにサンドミルを用いて分散し、染料分散液[A液]、顕色剤分散液[B液]を調製した。
[A液]
・3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン…10部
・イタコン酸変成ポリビニルアルコール
(KL−318、クラレ社製)の10%水溶液…10部
・水…30部
[B液]
・4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン…30部
・シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)…10部
・イタコン酸変成ポリビニルアルコール
(KL−318、クラレ社製)の10%水溶液…10部
・シリカ…15部
・水…197部
続いて、上記[A液]と[B液]を次の割合で攪拌混合して感熱記録層塗布液[C液]を調製した。
[C液]
・染料分散液[A液]…50部
・顕色剤分散液[B液]…292部
【0025】
<オーバーコート層塗布液の調製>
下記組成物を、サンドミルを用いて24時間分散し、[D液]を調製した。
[D液]
・水酸化アルミニウム
(平均粒径0.6μm、昭和電工株式会社製、ハイジライトH−43M)…20部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール
(KL−318、クラレ社製)の10%水溶液…20部
・水…60部
続いて、下記組成物を混合し、攪拌してオーバーコート層塗布液[E液]を調製した。
[E液]
・上記[D液]…75部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液(KL−318:クラレ社製)
…100部
・N−アミノポリアクリルアミド
(分子量10000、ヒドラジド化率50%)の10%水溶液…15部
・アンモニアの1%水溶液…5部
・水…90部
【0026】
<バックコート層塗布液の調製>
下記組成物を混合攪拌して、[F液]を調製した。
[F液]
・ポリビニルアルコールの10%水溶液…100部
・カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90)…10部
・水…90部
次に、支持体(上質紙:紙厚80μm)の表面に、感熱記録層及びオーバーコート層の乾燥後の付着量が各々5.0g/m、3.4g/mになるように、[C液]及び[E液]を塗布し乾燥させ、更に支持体の裏面にバックコート層が1.5g/mになるように[F液]を塗布して乾燥させ、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して感熱記録材を作製した。
【0027】
<粘着アンダーコート層の調製>
[G液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…20部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…22部
・水…75部
次に、感熱記録材のバックコート層側に、粘着アンダーコート層の乾燥後の付着量が3.0g/mになるように塗布し乾燥させた。
次に、感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造製)をワイヤバーで剥離紙(LSW:リンテック社製)に乾燥重量7g/mとなるように塗工乾燥後、この粘着剤塗工物を上記感熱記録材に粘着アンダーコート層を塗布したものに貼り合わせ、23℃50%の恒温室で10kg/(20cm×30cm)の荷重下に48時間放置し、感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0028】
(実施例2)
実施例1の[G液]を下記[H液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[H液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…3部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…82部
・水…15部
【0029】
(実施例3)
実施例1の[G液]を下記[I液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[I液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…6部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…84部
・水…10部
【0030】
(実施例4)
実施例1の[G液]を下記[J液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[J液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…22部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…15部
・水…10部
【0031】
(実施例5)
実施例1の[G液]を下記[K液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[K液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…22部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…12部
・水…65部
【0032】
(実施例6)
実施例1の[G液]を下記[L液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[L液]
・プラスチック球状中空粒子A(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率91%)…23部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…10部
・水…67部
【0033】
(実施例7)
実施例1の[G液]を下記[M液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[M液]
・プラスチック球状中空粒子B(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度41%、平均粒子径3.2μm、中空率70%)…16部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…22部
・水…62部
【0034】
(実施例8)
実施例1の[G液]を下記[N液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[N液]
・プラスチック球状中空粒子C(アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体)
(固形分濃度40%、平均粒子径1.5μm、中空率50%)…17部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…22部
・水…61部
【0035】
(実施例9)
実施例1の[G液]を下記[O液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[O液]
・カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90)…17部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…28部
・水…55部
【0036】
(実施例10)
実施例1の[G液]を下記[P液]に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
[N液]
・炭酸カルシウム(白石工業社製、ツネックスE)…17部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(固形分60%、東洋インキ製造社製)…28部
・水…55部
【0037】
(実施例11)
実施例1の[G液]の感圧粘着剤アクリルエマルジョンを2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/スチレンの共重合体(SE−4040、固形分55%、昭和高分子製)に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0038】
(実施例12)
実施例1の[G液]の感圧粘着剤アクリルエマルジョンを酢酸ビニル/エチレン/アクリル共重合体(S−900、固形分50%、住友化学社製)に変えた点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0039】
(比較例1)
粘着アンダーコート層を塗布しない点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0040】
(比較例2)
粘着アンダーコート層にフィラーを添加しない点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0041】
(比較例3)
バックコート層を塗布しない点以外は、実施例1と同様にして感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0042】
以上のようにして作製した各実施例及び比較例の感熱記録用粘着ラベルについて、粘着力試験、及び生保存後の動的発色特性に関する試験を以下のようにして行った。判定基準を〔表1〕に、結果を纏めて〔表2〕に示す。
<粘着力試験>
感熱記録用粘着ラベルを2.5cm×10cmの長方形にカットし、被着体(SUS板及びダンボール)に加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、30分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。その時の粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り平均化した数値を求めた。なお、この試験は常温環境(23℃50%RH)環境下で実施した。
<動的発色特性試験>
松下電子部品社製サーマルヘッドを備えた大倉電機社製感熱紙発色性試験装置を用い、印加電力:0.45W/dot、ライン周期:8ms/line、パルス幅0.8msの条件で印字し、印字濃度をマクベス濃度計RD−914で測定した。
<生保存後の動的発色特性試験>
感熱記録用粘着ラベルを40℃90%RHの環境下で1週間保管した。その後、上記の動的発色特性試験と同様の方法で、動的発色特性試験を実施し、次の式により減感率を算出した。
減感率(%)=(40℃90%RHで1週間保管後の濃度/初期の濃度)×100
【0043】
【表1】

【表2】

上記〔表2〕の結果から、実施例1〜12の各感熱記録用粘着ラベルは、比較例1〜3に比べて、粘着力及び保存後の発色感度に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の表面に、ロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層が形成され、支持体の裏面にバックコート層、粘着剤層及び剥離紙を順次積層した感熱記録用粘着ラベルにおいて、バックコート層と粘着剤層の間に、熱可塑性樹脂を主体とし、フィラーを含有する粘着アンダーコート層を設けたことを特徴とする感熱記録用粘着ラベル。
【請求項2】
前記フィラーがプラスチック球状中空粒子(中空フィラー)であることを特徴とする請求項1記載の感熱記録用粘着ラベル。
【請求項3】
前記中空フィラーの中空率が50〜98%であることを特徴とする請求項2記載の感熱記録用粘着ラベル。
【請求項4】
前記フィラーの含有率が、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。
【請求項5】
前記粘着アンダーコート層の熱可塑性樹脂がアクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。
【請求項6】
前記粘着剤層及び粘着アンダーコート層がカーテン塗工方式で塗工されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の感熱記録用粘着ラベル。

【公開番号】特開2009−190263(P2009−190263A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33259(P2008−33259)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】