説明

感知ヘッド

【課題】感熱体を備え、且つその保護部材を備えた感知ヘッドであって、要求される感知性能を十分に保持しつつ、感熱体を十分に保護することができる感知ヘッドを得る。
【解決手段】感熱体15を支持する支持部16を有する複数のアーム17,17とを備えた感知ヘッド10において、正面視で該複数のアーム17,17間に配置され、該感熱体15を外力から保護する保護板1−1であって、該感熱体15の長さ方向に沿って延設される第1保護板2−1を含む保護板1−1を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感熱体を備えた感知ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
感知ヘッドは、特開平10−272204号公報(特許文献1)に開示される様に、一斉開放弁を備えた消火設備に用いられるものである。この感知ヘッドは消火用ヘッドを利用するのが一般的である。
【0003】
【特許文献1】特開平10−272204号公報
【0004】
消火用ヘッドには、散水口を塞ぐ弁体を支持し、火災時の熱により破裂又は溶融する感熱体を備えたものがある。この感熱体を備えた消火用ヘッドも感知ヘッドとして利用可能である。
【0005】
感熱体を備えた消火用ヘッドについて、特開2001−340481号公報(特許文献2)には、その感熱体を外力から保護するために、感熱体の外周をリング状に覆う保護部材(覆い壁3)を備えたものが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の消火用ヘッドは、消火用ヘッドとしての利用を前提とするものであり、消火用ヘッドに要求される散水性能を保持しつつ、感熱体を保護しようとするものであるので、その感熱体の保護機能は十分なものとはいえない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記事情に鑑み、感熱体を備え、且つその保護部材を備えた感知ヘッドであって、要求される感知性能を十分に保持しつつ、感熱体を十分に保護することができる感知ヘッドを得ることを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するこの発明について述べれば、それは、放水口を有するヘッド本体と、該放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持し、火災時の熱により破裂又は溶融する感熱体と、該ヘッド本体に接続され、該感熱体を支持する支持部を有する複数のアームとを備えた感知ヘッドにおいて、正面視で該複数のアーム間に配置され、該感熱体を外力から保護する保護板であって、該感熱体の長さ方向に沿って延設される第1保護板を含む保護板を設けたことを特徴とする感知ヘッドである。
【0009】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板は、該感熱体を間に対向して一対設けられるものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0010】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板は、該感熱体の長さ方向に対し傾斜して延設される第2保護板を含むものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0011】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板はその固定部により感知ヘッドの先端部に固定されるものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0012】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板を固定する固定部には感知ヘッドの先端部を保護する先端保護板が設けられるものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0013】
又、前記感知ヘッドであって、該一対の保護板は、固定部を介して連続して設けられるものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0014】
又、前記感知ヘッドであって、該固定部には第1の挿通部が設けられ、該第1の挿通部は、該感知ヘッドの先端部に設けられた先端凸部が挿通されると共に、その挿通縁が該先端凸部にカシメ付けられていることを特徴とする感知ヘッドである。
【0015】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板は、該ヘッド本体と該アームとの接続部分に設けられたフランジ部の側面に当接する当接部を有していることを特徴とする感知ヘッドである。
【0016】
又、前記感知ヘッドであって、該当接部は、該フランジ部の側面に形成された側方凸部が挿通される第2の挿通部を有していることを特徴とする感知ヘッドである。
【0017】
又、前記感知ヘッドであって、該第2の挿通部は該側方凸部と嵌合するものであることを特徴とする感知ヘッドである。
【0018】
又、前記感知ヘッドであって、該保護板において該第1保護板と該第2保護板とが連続して設けられていることを特徴とする感知ヘッドである。
【発明の効果】
【0019】
この発明においては、感知ヘッドにおいて、正面視で複数のアーム間に配置され、感熱体を外力から保護する保護板であって、感熱体の長さ方向に沿って延設される第1保護板を含む保護板を設けているので、感熱体をその長さ方向に沿って第1保護板で十分に保護することができ、一方第1保護板は感熱体を平面で覆うものであるので、感熱体の感知性能は十分保持することができる。
【0020】
即ち、この発明によれば、感知ヘッドにおいて、要求される感知性能を十分に保持しつつ、感熱体を十分に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の実施の形態を図1乃至7に基づき説明する。尚、図1は、この発明の感知ヘッドを示し、保護板が装着されている状態における正面図であり、図2は同上の右側面図であり、図3は同上の平面図であり、図4は同上の保護板の展開平面図であり、図5は同上の保護板が装着されていない状態における一部断面正面図であり、図6は同上の他の形態の保護板が装着されている状態における正面図であり、図7は同上の保護板の展開平面図である。
【0022】
[第1の実施の形態]
先ず図1乃至5に基づきこの発明の第1の実施の形態を説明する。
【0023】
図5は、感熱体を外力から保護する保護板が装着されていない状態を示すものであるが、同図に示す様に、感知ヘッド10は、基部外周に図示しない感知ヘッド用配管に接続される螺子部11、内部に放水口12を有するヘッド本体13、放水口12を塞ぐ弁体14、弁体14を支持し、火災時の熱により破裂又は溶融する感熱体15、ヘッド本体13に接続され、感熱体15を支持する支持部としての先端連結部16を有する左右一対のアーム17,17とを有している。
【0024】
そして、この感知ヘッド10には、感熱体15を外力から保護する保護板であって、その第1の形態である保護板1−1が設けられている。即ち、図1の正面図に示される様に、正面視で感知ヘッド10のアーム17,17間に配置され、感熱体15の長さ方向に沿って延設される第1保護板の一例である垂直保護片2−1と、感熱体15の長さ方向に対し傾斜して延設される第2保護板の一例である傾斜保護片3−1,3−1によって構成される感熱体保護部1a−1を有する保護板1−1が、図2の側面図に示す様に、感熱体15(図面上はアーム17の影になっている)を間に対向して一対設けられている。
【0025】
保護板1−1において、感熱体保護部1a−1は、全体としてはホームベース様の形状を有し、その中央に垂直保護片2−1が、それに連続してその左右に傾斜保護片3−1,3−1が一対、正面視でアーム17,17間に配置されて設けられている。
【0026】
又保護板1−1は、ヘッド本体13とアーム17,17との接続部分に設けられたフランジ部18の側面18aに当接する当接部4を有し、且つその当接部4にフランジ部18の側面18aに形成された側方凸部18bが挿通される挿通部4aを有している。
【0027】
更に、保護板1−1はその基部に設けられた固定部5によって感知ヘッド10の先端部19に固定されるものであるが、感熱体15を間に対向して一対設けられる保護板1−1,1−1はこの固定部5を介して連続して形成され、本実施の形態においては、この固定部5には感知ヘッド10の先端部19側を保護する矩形の先端保護板6が設けられている。即ち、一対の保護板1−1,1−1は、図4の展開正面図に示す様な形状をなしている。
【0028】
一対の保護板1−1,1−1の固定部5には挿通部7が形成されている。一対の保護板1−1,1−1は、挿通部7に感知ヘッド10の先端部19に設けられた先端凸部19aが挿通され、挿通縁7aが先端凸部19aにカシメ付けられることで(図1、図2、図3参照)、感知ヘッド10に固定されている。更に、前記の様に、保護板1−1は、その当接部4の挿通部4aに感知ヘッド10の側方凸部18bが挿通嵌合されており、これにより一対の保護板1−1,1−1の両端側は感知ヘッド10のフランジ部側面18aに貼り付く様に固定されて、正面視左右方向からの衝撃に対して、位置ズレが防止され、また、衝撃力を分散できるようになっている。
【0029】
尚、感知ヘッド10は、フランジ部側方凸部18bの表面18c及び保護板1−1の先端保護板6の表面6aを感知ヘッドに必要な文字表示面としている。文字表示は、必要な文字の刻印、または、文字を記したシールの貼付などによる。
【0030】
[第2及び第3の実施の形態]
次に図6及び図7に基づきこの発明の第2の実施の形態を説明する。
【0031】
第2の実施の形態が第1の実施の形態と構成上異なる点は、保護板の形状と、先端保護板を一体に設けていない点にある。第2の実施の形態におけるその他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同一図面符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図6及び7に示す様に、第2の実施の形態における保護板1−2は、感熱体15の長さ方向に沿って延設される第1保護板の一例である垂直保護片2−2と、感熱体15の長さ方向に対し傾斜して延設される第2保護板の一例である傾斜保護片3−2を有するものであるが、当該垂直保護片2−2及び傾斜保護片3−2によって形成される感熱体保護部1a−2の形状が第1の実施の形態とは異なる。
【0033】
即ち、第2の実施の形態における感熱体保護部1a−2は、全体としては錨様の形状を有し、その中央に垂直保護片2−2が、垂直保護片2−2の先端部2a−2より連続してその左右に折り返しの傾斜保護片3−2,3−2が一対、正面視でアーム17,17間に配置されて設けられている。尚、折り返しの傾斜保護片3−2,3−2の末端3a−2,3a−2と垂直保護片2−2との間には間隙3b−2,3b−2が形成されている。
【0034】
更に、この第2の実施の形態における感熱体保護板1−2は、第1の実施の形態における保護板1−1と同様に固定部5によって感知ヘッド10の先端部19に固定され、感熱体15を間に対向して一対設けられる保護板1−2,1−2は固定部5を介して連続して形成され、本実施の形態においては、第1の実施の形態とは異なり、先端保護板6は一体に設けられてはいない。即ち、第2の実施の形態における一対の保護板1−2,1−2は、図7の展開正面図に示す様な形状をなしている。尚、第2の実施の形態においては、先端保護板6を設けるのに代えて、感知ヘッド10にデフレクタを装着しておいてもよい。つまり、感知ヘッド10として、既存のデフレクタ付消火用ヘッドを用い、その消火用ヘッドに保護板1−1を装着することができる。なお、第1の実施の形態における保護板1−1にも適用できる。
【0035】
この発明の感知ヘッド10は、前記の様に構成され、感熱体15を間に対向して一対設けられる感熱体保護板1−1,1−1又は1−2,1−2の感熱体保護部1a−1,1a−1又は1a−2,1a−2により、正面視で左右一対のアーム17,17間において、即ち感熱体15の前後から、感熱体15の長さ方向に沿って配設される垂直保護片2−1,2−1又は2−2,2−2により、及び感熱体15の長さ方向に対して傾斜して配設される傾斜保護片3−1,3−1又は折り返しの傾斜保護片3−2,3−2により、感知体15を保護することができ、且つその保護を極力開口を設けた平面で行うので、必要以上の感度低下を防止して、感熱体15の感知性能を要求される範囲に保持することができる。なお、一対のアーム17方向はアーム17で保護されており、また、アーム17により感度が他の方向より悪いことから、敢えて感熱体保護板1−1、1−1又は1−2、1−2では保護していない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の感知ヘッドを示し、保護板が装着されている状態における正面図である。
【図2】同上の右側面図である。
【図3】同上の平面図である。
【図4】同上の保護板の展開平面図である。
【図5】同上の保護板が装着されていない状態における一部断面正面図である。
【図6】同上の他の形態の保護板が装着されている状態における正面図である。
【図7】同上の保護板の展開平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1−1 感熱体保護板
1−2 感熱体保護板
1a−1 感熱体保護部
1a−2 感熱体保護部
2−1 垂直保護片
2−2 垂直保護片
3−1 傾斜保護片
3−2 傾斜保護片
4 当接部
4a 挿通部
5 固定部
6 先端保護板
7 挿通部
7a 挿通縁
10 感知ヘッド
11 螺子部
12 放水口
13 ヘッド本体
14 弁体
15 感熱体
16 アーム先端連結部
17 アーム
18 フランジ部
18a フランジ側面
18b フランジ側方凸部
18c フランジ側方凸部表面
19 ヘッド先端部
19a ヘッド先端凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放水口を有するヘッド本体と、該放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持し、火災時の熱により破裂又は溶融する感熱体と、該ヘッド本体に接続され、該感熱体を支持する支持部を有する複数のアームとを備えた感知ヘッドにおいて、正面視で該複数のアーム間に配置され、該感熱体を外力から保護する保護板であって、該感熱体の長さ方向に沿って延設される第1保護板を含む保護板を設けたことを特徴とする感知ヘッド。
【請求項2】
該保護板は、該感熱体を間に対向して一対設けられるものであることを特徴とする請求項1記載の感知ヘッド。
【請求項3】
該保護板は、該感熱体の長さ方向に対し傾斜して延設される第2保護板を更に含むものであることを特徴とする請求項1又は2記載の感知ヘッド。
【請求項4】
該保護板は、固定部により感知ヘッドの先端部に固定されるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の感知ヘッド。
【請求項5】
該保護板を固定する固定部には、感知ヘッドの先端部を保護する先端保護板が設けられるものであることを特徴とする請求項4記載の感知ヘッド。
【請求項6】
該一対の保護板は、固定部を介して連続して設けられるものであることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の感知ヘッド。
【請求項7】
該固定部には第1の挿通部が設けられ、該第1の挿通部は、該感知ヘッドの先端部に設けられた先端凸部が挿通されると共に、その挿通縁が該先端凸部にカシメ付けられていることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の感知ヘッド。
【請求項8】
該保護板は、該ヘッド本体と該アームとの接続部分に設けられたフランジ部の側面に当接する当接部を有し、該当接部は、該フランジ部の側面に形成された側方凸部が挿通される第2の挿通部を有し、そして、該第2の挿通部は該側方凸部と嵌合するものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の感知ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−244576(P2007−244576A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70848(P2006−70848)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】