説明

慢性の創傷を治療するための方法

慢性の創傷は、壊死組織および他の失活組織を創傷から創面切除し、金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有する細胞外ポリマー物質の溶媒和系を創傷に適用して治療できる。溶媒和系は創傷の中に存在するバイオフィルムを破壊し、通常の治癒による回復を補助し、または可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、慢性の創傷治療に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]慢性の創傷は何百万という人々を襲い、多額の入院費用および他の費用および不便さに関与している。糖尿病および他の循環障害を患う人々は糖尿病潰瘍および静脈うっ滞性潰瘍になりやすい。麻痺し、意識のない、またはひどく衰弱した患者は褥瘡性潰瘍になりやすい。さまざまな慢性の創傷緩和治療処置が検討されてきたが、多くの創傷は適切に治療することができない。場合によっては障害を来した四肢の切断手術が唯一可能な治療である場合もある。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明者らは、創傷から少なくともいくつかの壊死組織または他の失活組織を創面切除し、創傷の中の健康な組織または治療可能な組織に金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含む細胞外ポリマー物質(EPS)溶媒和系を塗布することで慢性の創傷が治療できることを見出した。創面切除工程と塗布工程とを、十分な流量または十分な圧力を使用した溶媒和系を適用する工程と組み合わせて、創傷から少なくともいくつかの失活組織を創面切除することが望ましい。
【0004】
[0004]本発明は、別の態様では慢性の創傷を治療するための方法を提供し、該方法は、創傷中の健康な組織または治療可能な組織に、約1,000〜約4,000ミリオスモル(mOsm)のオスモル体積濃度を有する、金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有するEPS溶媒和系を適用する工程を含む。
【0005】
[0005]本発明は、別の態様では慢性の創傷を治療するための装置であって、創面切除装置と、金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有するEPS溶媒和系を含む容器であって、溶媒和系を創傷に塗布するために塗布器と流体連通する容器と、少なくともいくつかの創面切除された壊死組織または他の失活した組織および過剰な溶媒和系を創傷から除去する吸引装置とを含む装置を提供する。溶媒和系塗布器は望ましくは、十分な流量または十分な圧力の溶媒和系を適用して創傷から少なくともいくつかの失活組織を創面切除する創面切除装置としても機能する。
【0006】
[0006]本発明は、別の態様では慢性の創傷を治療するための患者ケアキットを提供し、キットには、トレイ;シリンジ;金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有するEPS溶媒和系を含む入れ物;および慢性の創傷を治療するためにキットの適切な使用が記載された印刷された指示書が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】[0007]図1は、開示された溶媒和系で治療される慢性の脚創傷の斜視図である。
【図2】[0008]図2は、慢性の創傷を治療するための装置の斜視図である。
【図3】[0009]図3は、慢性の創傷を治療するためのホームケアキットの斜視図である。
【0008】
[0010]図面の多様な図中の同様な参照符号は類似の要素を示す。図中の要素は正確な縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0011]以下の詳細な説明は特定の実施形態を記載し、限定する意味には解釈されないものとする。すべての重量、量および比は、本明細書において、特に別に記載しない限り、重量による。以下に示す用語は、以下の意味を有する。
【0010】
[0012]用語「抗菌剤」とは、慢性の創傷に存在する1つまたは複数の好気性菌または嫌気性菌の個体群における90%を超える数の減少(すなわち、少なくとも1対数の桁の減少)を提供する能力を有する物質を指す。
【0011】
[0013]用語「付着した」および「接着した」が細菌バイオフィルムおよび表面に言及して使用される場合には、バイオフィルムが表面に置かれ、少なくとも部分的に表面をコーティングするかまたは覆い、表面から除去されることに何らかの抵抗性を有することを意味する。この関係の性質は複雑で、ほとんど理解されていないので、こうした使用によって、付着または接着の如何なる特定の機構も意図されない。
【0012】
[0014]用語「細菌バイオフィルム」は、細菌によって産生されるEPSマトリックス内に含有されるコミュニティー中の生物を有する、表面に結合した細菌のコミュニティーを意味する。
【0013】
[0015]用語「生体適合性」は、物質に言及して使用される場合には、物質が人体にいかなる有意な有害なまたは厄介な効果を示さないことを意味する。
【0014】
[0016]用語「慢性の創傷」は、通常の治癒プロセスによっては医学的に許容できる期間(例えば、一ヶ月または二ヶ月以内)では治癒しない、露出して失活した、さもなければ損傷した組織を含む創傷を意味する。
【0015】
[0017]用語「創面切除(debride)」は、慢性の創傷の中に付着した失活組織に言及して使用される場合には、切り取る、さもなければ該組織がもうこれ以上付着しないように切り出すことを意味する。こうした使用によっては、デブリドマンの如何なる特定の機構も意図されない。
【0016】
[0018]用語「切り離し(detaching)」、「除去(removing)」および「分離(disrupting)」が表面に付着または接着した細菌バイオフィルムに言及して使用される場合には、初期に表面に存在したバイオフィルムの少なくとも相当量が、もはや表面に付着または接着していないことを意味する。こうした使用によっては、切り離し、除去または分離の如何なる特定の機構も意図されない。
【0017】
[0019]用語「失活した(devitalized)」が創傷組織に関連して使用される場合は、無治療では治癒される見込みが全くない組織を意味する。
【0018】
[0020]用語「オスモル重量濃度」は溶媒1キログラム当たりの溶質のオスモル数を意味し、モデル5002 Osmette A(登録商標)凝固点降下オスモメーター(Precision Systems,Inc.)を使用して測定される。
【0019】
[0021]用語「オスモル体積濃度」は溶媒1リットル当たりの溶質のオスモル数を意味する。オスモル体積濃度はオスモル重量濃度測定から都合良く演算してもよい。
【0020】
[0022]用語「封鎖剤」は、別の物質、特に金属イオンと結合して、該物質が溶液から出てくるのを阻止または防止する化学物質を意味する。用語「金属イオン封鎖剤」はアルカリ金属(すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウム)、アルカリ土類金属(すなわち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウム)、鉄などの1つまたは複数の金属イオンと結合して、該金属イオンが溶液から出てくるのを阻止または防止する封鎖剤を意味する。
【0021】
[0023]用語「溶融和する」は、溶質が溶解されているか懸濁されている溶媒または他のキャリアを含有する溶液または分散物を形成することを意味する。
【0022】
[0024]用語「創傷」は、皮下または深部の組織(例えば、皮下脂肪、筋肉または他の組織)が露出した皮膚の開口部を意味する。
【0023】
[0025]図1を参照すると、慢性の創傷12(この場合は、静脈うっ滞性潰瘍)の脚10は、開示されたEPS溶媒和系を失活組織を切除するために十分な流量または十分な圧力下で創傷12に適用するハイドロ創面切除(hydrodebriding)装置14を使用して治療されてもよい。装置14を提供するために必要であれば、さまざまな装置が使用または適用されてもよく、該さまざまな装置としてはPulsavac(商標)およびPulsavac Plus(商標)創傷デブリドマンシステム(Zimmer,Inc.)、Sonic One(商標)超音波創傷デブリドマンシステム(Misonix,Inc.)、Versajet(商標)ハイドロサージェリー(hydrosurgery)システム(Smith & Nephew,Inc.)、SpineJet(商標)ハイドロサージェリーシステム(HydroCision、Inc.)およびMHS(商標)ハイドロサージェリーシステム(Medtronic Xomed,Inc.)が挙げられる。装置14は、装置14の中のポンプ(図1に図示せず)を動作させるために、好適な電源(例えば、充電式バッテリーまたは低圧変圧器)を備え、または接続されてもよい。溶媒和系は導管18および弁20を介して装置14と流体連通しているバッグ16などの容器から適用されてもよい。無菌生理食塩水または他の好適なリンス溶液は、必要に応じて導管24および弁26を介して装置14と流体連通しているバッグ22などの容器から供給されてもよい。必要に応じて、他のデブリドマン技法が装置14とともに採用されてもよく、外科用メス、はさみ、スワブ、プラスチックスティック、舌圧子またはStraightshot(商標)M4マイクロデブライダ(Medtronic Xomed,Inc.)を含む他の好適な道具を使用して失活組織を切除または削り取ることが含まれる。創面切除された失活組織、創傷滲出物、過剰な溶媒和系溶液、過剰な食塩水または他のリンス溶液(使用する場合)および他の固体または液体残留物が受け皿24に収集されてもよい。不織布または他の好適な材料から製造される吸収パッド26は受け皿24中の少なくとも液体残留物を保持することに役に立つ。治療の最後に、さらなる感染を阻止するために、必要に応じて創傷包帯(図1に図示せず)が創傷12に適用されてもよい。
【0024】
[0026]図2は、開示された方法に使用される別の装置200の斜視図を示す。装置200を提供するために必要であれば、さまざまな装置が使用され、または適用されてもよく、さまざまな装置としてはKCI Licensing(San Antonio,TX)から入手できるV.A.C.Instill(商標)創傷治癒システム、およびInvia(商標)治癒システムまたはDominant(商標)35c/I吸引システム(両方ともMedela Healthcare、米国から供給される)が挙げられる。装置200は、ハンドル204を備える筐体202を具備する。タッチスクリーンディスプレイ206は装置200の操作を制御するために使用されてもよい。開示された溶媒和系はバッグまたは他の好適な容器(例えば、図1のバッグに類似するバッグ16)から慢性の創傷に管状物208を介して供給されてもよい。管状物208のコイル端部は、創傷の中に開示された溶媒和系が供給されてもよい、好適な分配チップ(図2では図示せず)に接続されてもよい。肩クランプ部210は装置200の管状物208を保持するために使用されてもよい。創面切除された失活組織、創傷滲出物、過剰な溶媒和系溶液、過剰な食塩水または他のリンス溶液(使用する場合)および他の固体または液体残留物は、管状物212のコイル端部に接続された好適な吸引チップ(図2では図示せず)を使用して創傷から収集されてもよい。管状物212の他の端部は、収集された固体または液体残留物が筐体202の中のポンプ(図2では図示せず)に入る、筐体202の取り付け部215に結合してもよい。肩クランプ部214は装置200の管状物212を保持することに使用されてもよい。取り外し可能なキャニスター216は、ポンプを通じて固体および液体残留物を収集し後に処分するために使用されてもよい。解除ボタン218および関連するクランプまたは他の保持機構(図2では図示せず)は、キャニスター216を除去することが望まれるまで、装置200にキャニスター216を係止するために使用されてもよい。
【0025】
[0027] 図2に示される装置はそれ自体では開示された溶媒和系を創傷に送り出すことはできない。失活組織のデブリドマンは、上述した切除またはスクレーピング技法を含む何れかの都合の良いデブリドマン手法を使用して、または圧縮無菌生理食塩水流などの別々に供給される有向液体流を使用して、失活組織を切り取ることによって実施されてもよい。図2の装置は必要に応じて溶媒和系溶液を圧縮して送出できるように変更されてもよく、例えば好適な分離ポンプを追加して、または装置200の既に存在するポンプまたは関連する管状物を変更して、ハイドロ創面切除するための十分な流量または十分な圧力、および創傷から固体および液体残留物を除去するために十分な吸引力が装置200で利用できる。図2の装置は、創傷の中の細菌の生存、再増殖または再コロニー化を阻止するための追加の方策を提供するように変更してもよい、その方策としては創傷を光に曝露する(例えば、非コヒーレント光またはレーザー照射として供給される紫外線および他の波長の光)、超音波処理(例えば、超音波)、ガス(例えば、窒素または酸素)、加熱、冷却、または、細菌または鉄または糖などの細菌栄養素を破壊、複合化、結合または置換する物質が挙げられる。
【0026】
[0028]図3は、開示された方法が採用され得る患者ケアキット300(例えば、ホームケアキットまたは旅行キット)の斜視図を示す。キット300は、吸収パッド304が裏打ちされてもよいトレイ302を含む。トレイ302には、シリンジ306、慢性創傷を家庭で治療するキット300の適切な使用が記載された印刷された指示書308、および開示された溶媒和系を含むビン310または他の好適な入れ物が含まれ、さもなければパッケージされてもよい。キット300には、治療後の創傷に使用する、はさみ、ナイフまたはスワブおよび1つまたは複数の創傷包帯(同様に図3では図示せず)などの創面切除道具(図3では図示せず)の1つまたは複数のマニュアルも含まれてもよい。シリンジ306の容量は、例えば約50cc〜約75cc(例えば、約60cc)であってもよく、ビン310の容量は、例えばシリンジ306容量の約2〜5倍あってもよい。キット300は小売店を通して、または処方箋によって販売されてもよく、キット300および許可された溶媒和系の詰め替えの何れかが一旦購入され、さらに医療専門家による創傷の監視が必要になる可能性がある場合には処方箋販売が好ましい。
【0027】
[0029]開示された方法を使用して治療可能な慢性の創傷には、典型的に1つまたは複数のバイオフィルムを占有する1つまたは複数の好気性または嫌気性生物のたくさんのコロニーが含まれる。長い期間の慢性の創傷では、好気性細菌よりも嫌気性細菌が存在する場合がある。慢性の創傷バイオフィルムに存在する代表的な生物としては、ぶどう球菌属(例えば、表皮ブドウ球菌、S.コリネバクテリウムおよびS.ブレビバクテリウムを含む常在皮膚細菌叢、および黄色ブドウ球菌を含む典型的な病原体)、プロピオニバクテリウムアクネスを含む常在皮膚細菌叢、および他の病原体、例えばアシネトバクター・バウマニを含むアシネトバクター属、炭疽菌を含む桿菌属、マルタ熱菌を含むブルセラ属、破傷風菌を含むクロストリジウム属、ジフテリア菌を含むコリネバクテリウム属、エリジペロスリックス・ルジオパシエを含むエリジペロスリックス属、大腸菌を含む大腸菌属、クレブシエラ−ニューモニエまたはクレブシエラ・オキシトカ菌を含むクレブシエラ属、レプトスピラ・インターロガンスを含むレプトスピラ属、マイコバクテリウム・マリヌムまたはマイコバクテリウム・ウルセランスを含むマイコバクテリウム属、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリスまたはプロテウス・ペンネリを含むプロテウス属、緑膿菌またはシュードモナス・マルトフィリアを含むシュードモナス属、ステノトロフォモナス・マルトフィリアを含むステノトロフォモナス属、化膿性連鎖球菌またはストレプトコッカス・アガラクチアを含むβ溶血性連鎖球菌種、梅毒トレポネーマを含む梅毒種、およびペスト菌を含むエルシニア属が挙げられる。
【0028】
[0030]創傷は化膿または他の滲出物の生成、腫れ、紅斑、痛み、局所的な発熱、創傷周囲の蜂巣炎、感染の増加または肉芽組織の外観変化(例えば、変色、出血またはもろさ)を示す場合がある。創傷は、摩擦、火傷、応圧、浸漬、手術または外傷を含むさまざまな外部要因によって引き起こされ、または悪化する。しかしながら創傷は、機能低下した循環系(例えば、多くの糖尿病患者などで)、機能低下した免疫系、または、とびひ、毛嚢炎、丹毒、蜂巣炎または壊死性筋膜炎を含む疾患を含むさまざまな内部要因によって頻繁に引き起こされ、悪化し、および慢性化する可能性がある。糖尿病患者の慢性の足創傷または脚創傷では、黄色ブドウ球菌およびβ溶血性連鎖球菌のコロニーを頻繁に含み、特に治癒が難しいので、切断手術を避けることができる開示された方法を使用する治療に対しては特に関心が高い。創傷は他の体の部分または他の四肢に存在し、ヒト(大人、小児および高齢者を含む)ばかりではなく動物(家畜、ペット、ショー動物および野生動物を含む)にも存在する場合がある。
【0029】
[0031]開示された溶媒和系は、慢性の創傷中の細菌バイオフィルムを分解し、したがってバイオフィルムを剥離、除去または破壊することを補助するために使用できる。溶媒和系は、好ましくは健康なおよび治療可能な創傷組織と生体適合性があり、望ましくは該組織を害する可能性、または過度に創傷の治癒を損なう成分を含まない。溶媒和系は望ましくは、例えば動力噴霧または他の噴霧塗布、洗浄、噴霧、拭う(mopping)、ウィッキング(wicking)または滴下を使用して創傷に容易に排出できるように、十分に低粘度である。溶媒和系は、引き続く吸引、洗い流し、すすぎ(rinsing)、排出(draining)または吸収(例えば、吸収パッドまたは他の好適な材料を使用して)によって望ましくは治療部位から容易に除去できる。理論に束縛することは望まないが、金属イオン封鎖剤は、EPSマトリックス中のポリマー鎖と、架橋、橋渡し、さもなければ結合を補助し得る金属イオンと錯体を形成、架橋、さもなければ結合してもよい。次に溶媒剤は非結合性ポリマー鎖またはフラグメントを取り巻いて、マトリックスを分解し、非結合性ポリマー鎖またはフラグメントを溶媒和し、それらを溶液または懸濁液中に運び、ここで例えば追加量の溶媒和系または別個のリンス剤を使用して容易に洗い流し、さもなければ創傷部位から除去することができる。
【0030】
[0032]特定の組織治療に使用される溶媒和系が米国特許出願公開第2007/0264296A1号およびPCT出願国際公開第2007/134055A1号に記載されている。これらの刊行物に記載された溶媒和系は特に中耳炎、真珠腫および鼻副鼻腔炎の治療などの耳、鼻および咽喉用途で有用である。一般に、これらの溶媒和系では慢性の創傷の有効な治療には不十分なオスモル濃度であるが、慢性の創傷の治療に使用されてもよい。耳、鼻および咽喉などに見られる繊毛組織は少し脆いので、繊毛を傷つけないために、オスモル濃度が低い溶媒和系を使用することが望ましく、例えば、オスモル濃度は約300〜約900mOsmである。慢性の創傷を治療する場合には、実質的に高オスモル濃度EPS溶媒和系を使用することが好ましく、例えばそのオスモル濃度は約1,000〜約4,000mOsmであり、より好ましくは約1,500〜約2,600mOsmである。このようにすることで、創傷治療または創傷治癒を容易にすることができる。
【0031】
[0033]金属イオン封鎖剤は望ましくは弱酸であり、その酸性度はEPSマトリックス中の1つまたは複数の金属イオンを隔離するには十分であるが、健康なまたは治療可能な創傷組織を害するほど酸性ではない。特に関心のある金属イオンは(標的となる細菌バイオフィルム中で関与する可能性があるので)としては、ナトリウム、カルシウムおよび鉄が挙げられる。金属イオン封鎖剤は望ましくは水溶性であり、過度に毒性ではない。代表的な酸としては、これらに限定されるものではないが、カルボン酸、二塩基酸、または三塩基酸、例えば、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、オキサミド酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イミノ二酢酸、グルタル酸、2−ケトグルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、クエン酸、グルクロン酸、粘液酸、ニトリロ三酢酸、サリチル酸、ケトピメリン酸、安息香酸、マンデル酸、クロロマンデル酸、フェニル酢酸、フタル酸およびホウ酸;鉱酸、例えば塩酸、オルトリン酸およびホスホン酸;およびそれらの混合物が挙げられる。クエン酸は好ましい酸である。金属イオン封鎖剤は、例えば、少なくとも約0.01モル、少なくとも約0.05モルまたは少なくとも約0.1モル、例えば、約0.01〜約1.5モル濃度で存在してもよい。金属イオン封鎖剤の量の増加によってバイオフィルム分解を促進し得る。
【0032】
[0034]溶媒和系は、界面活性剤も含む。界面活性剤は望ましくは水溶性であり無毒性である。典型的な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性イオン界面活性剤が挙げられる。典型的なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、C6−C24アルキルベンゼンスルホナート;C6−C24オレフィンスルホナート;C6−C24パラフィンスルホナート;クメンスルホナート;キシレンスルホナート;C6−C24アルキルナフタレンスルホナート;C6−C24アルキルまたはジアルキルジフェニルエーテルスルホナートまたはジスルホナート、C4−C24モノまたはジアルキルスルホスクシナート;スルホン化または硫酸化脂肪酸;C6−C24アルコールスルファート(例えばC6−C12アルコールスルファート);1〜約20のエチレンオキシド基を有するC6−C24アルコールエーテルスルファート;1〜約40エチレン、プロピレンまたはブチレンオキシド単位を有するC4−C24アルキル、アリールまたはアルカリルリン酸エステルまたはそれらのアルコキシル化類似体;およびそれらの混合物が挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤はケノデオキシコール酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ドデシル硫酸リチウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム塩、コール酸ナトリウム水和物、デオキシコール酸ナトリウム、硫酸ドデシルナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウムとも呼ばれる)またはグリコデオキシコール酸ナトリウムであってもよい。
【0033】
[0035]典型的なカチオン性界面活性剤は、これらに限定されるものではないが以下の式の第四級アミン化合物を含有し、
【化1】

式中、R、R’、R”、およびR’”は、各々、1つまたは複数のP、O、SまたはNヘテロ原子を場合によって含有してもよい、C1−C24アルキル、アリールまたはアラルキル基であり、XはF、Cl、Br、Iまたはアルキルスルファートである。例えば、カチオン性界面活性剤はヘキサデシルピリジニウムクロリド水和物またはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドであってもよい。
【0034】
[0036]典型的な非イオン界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、1〜約20エチレンオキシド基(例えば約9〜約20エチレンオキシド基)を有するC6−C24アルコールエトキシラート(例えばC6−C14アルコールエトキシラート);1〜約100エチレンオキシド基(例えば約12〜約20エチレンオキシド基)を有するC6−C24アルキルフェノールエトキシラート(例えばC8−C10アルキルフェノールエトキシラート);1〜約20グリコシド基(例えば約9〜約20グリコシド基)を有するC6−C24アルキルポリグリコシド(例えばC6−C20アルキルポリグリコシド);C6−C24脂肪酸エステルエトキシラート、プロポキシラートまたはグリセリド;C4−C24モノまたはジアルカノールアミド;およびそれらの混合物、例えば、非イオン界面活性剤はポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、ジギトニン、n−ドデシルB−D−マルトシド、オクチルB−D−グルコピラノシド、オクチルフェノールエトキシラート、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートまたはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートであってもよい。
【0035】
[0037]典型的な両性イオン界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、下式を有するアミノアルキルスルホナート化合物:
【化2】

式中、R、R’、R”、およびR’”は、各々、1つまたは複数のP、O、SまたはNヘテロ原子を場合によって含有してもよい、C1−C24アルキル、アリールまたはアラルキル基である;
下式を有するアミンオキシド化合物:
【化3】

式中、R、R’およびR”は、各々、1つまたは複数のP、O、SまたはNヘテロ原子を場合によって含有してもよい、C1−C24アルキル、アリールまたはアラルキル基である;および
下式を有するベタイン化合物:
【化4】

式中、R、R’およびR”は、各々、1つまたは複数のP、O、SまたはNヘテロ原子を場合によって含有してもよい、C1−C24アルキル、アリールまたはアラルキル基であり、nは約1〜約10である。例えば、両性イオン界面活性剤は、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1―プロパンスルホナート(CHAPSと称されることがある)、3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホナート内塩(カプリリルスルホベタインと称されることがある)、またはN−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホナートであってもよい;が挙げられる。
【0036】
[0038]好ましい界面活性剤としては、アルキルスルファート、アルキルスルホナート、アリールスルホナートおよび両性イオン界面活性剤が挙げられる。所望の界面活性剤を純粋な化合物として得てもよいし、またはいくつかの場合、液体カスティリアソープなどの製品を用いることによって得てもよい。界面活性剤は例えば少なくとも約0.002モル、少なくとも約0.005モルまたは少なくとも約0.01モル、例えば、約0.002〜約1モル、約0.005〜約0.7モルまたは約0.01〜約0.5モル濃度で存在してもよい。重量に基づいて表すと、界面活性剤は好ましくは溶媒和系の0.2重量%より多く、例えば溶媒和系の約0.3%〜約30%、約0.5%〜約25%または約1%〜約20%であってもよい。界面活性剤量の増加によってより迅速なバイオフィルム分解を促進し得る。
【0037】
[0039]溶媒和系には、緩衝剤も含有される。緩衝剤は好ましくは創傷に接触するのに適したpHに溶媒和系を維持し、例えば、pHは約4よりも大きく、または約5よりも大きく維持する。例えば、溶媒和系は中性に近いpH、例えば約5よりも大きく、約8.5未満であるpHに緩衝されてもよい。緩衝剤は、例えば溶媒和系の約50%まであってもよい。典型的な緩衝剤としては、これらに限定されるものではないが、塩化カリウム、グリシン、フタル酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム、バルビトンナトリウムおよびクエン酸ナトリウムが挙げられる。金属イオン封鎖剤が弱酸である場合には、緩衝剤は望ましくはその酸の塩である。
【0038】
[0040]溶媒和系は、水も含有する。水は蒸留され、脱イオン化されまたは滅菌された水であってもよい。水は、例えば溶媒和系の少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも75%である。
【0039】
[0041]溶媒和系は任意に、非水性溶媒(例えば、アルコール)、抗菌剤、治療薬およびさまざまな補助剤を含むさまざまな他の成分を含有してもよい。抗菌剤を含まない溶媒和系は、いくつかの用途では好ましい場合があり、例えば抗菌剤がより耐性がある細菌の進化を促進する危険性がある場合である。1つまたは複数の抗菌剤、特に1つまたは複数の局所抗生物質(すなわち、皮膚に適用してもよく、開示された方法に関連して慢性の創傷に適用される抗生物質)を含有する溶媒和系は、他の用途に好ましくともよい。EPSマトリックスによってバイオフィルムは、埋め込まれた生物を保護しながら下部の組織表面に粘着することができる。バイオフィルム中の細菌は、プランクトン性細菌よりも、抗生物質の効果に対して約100〜1000倍の耐性がある。バイオフィルムが非結合性ポリマーすなわちフラグメントに分解され、溶媒和系によって溶媒和され、または他の方法で破壊された後に、抗菌剤は残りの細菌をはるかにより効果的に攻撃できる。典型的な抗菌剤としては、活性酸素化合物、例えば過酸化水素、単離または平衡由来または分離された過酸、例えばクロロ過安息香酸、過酢酸、過へプタン酸、過オクタン酸、過デカン酸、過ギ酸、過クエン酸、過グリコール酸、過乳酸、過安息香酸、および二塩基酸またはジエステル由来のモノエステル過酸、例えばアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、またはマロン酸;アンフェニコール;アンピシリン;アンサマイシン;β−ラクタム、例えばカルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、セファマイシン、モノバクタム、オキサセフェム、ペニシリンおよびその誘導体のいずれか;カルボン酸エステル、例えばp−ヒドロキシアルキルベンゾアートおよび桂皮酸アルキル;キトサン塩;立方相脂質;ガリウム含有抗菌剤、例えばガリウム・アセチルアセトナート、臭化ガリウム、塩化ガリウム、フッ化ガリウム、ヨウ化ガリウム、ガリウムマルトラート、硝酸ガリウム、窒化ガリウム、ガリウムパーコラート、亜リン酸ガリウムおよび硫酸ガリウム;ヨード化合物および他の活性ハロゲン化合物、例えば、ヨウ素、インターハロゲン化物(interhalides)、ポリハロゲン化物、次亜塩素酸金属、次亜塩素酸、次亜臭素酸金属、次亜臭素酸、クロロ−およびブロモ−ヒダントイン、二酸化塩素および亜塩素酸ナトリウム;リンコサミド(lincosamides);マクロライド;ニトロフラン;過酸化ベンゾイルおよび過酸化アルキルベンゾイルを含む有機過酸化物;オゾン;フェノール性誘導体、例えばo−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノール、tert−アミルフェノールおよびC1−C6アルキルヒドロキシベンゾアート;四級アンモニウム化合物、例えば塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化ジアルキルジメチルアンモニウム;キノリン;一重項酸素生成剤;スルホンアミド;スルホン;スルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸;テトラサイクリン;バンコマイシン;これらの誘導体および混合物が含まれる。これらの列挙される剤の多くは、個々の有用性が一般に当業者によって認識されるであろう有用で特定な物質を含有するクラスに相当する。例えば、典型的なペニシリンには、これらに限定されるわけではないが、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリンアンピシリン、アパルシリン、アスポキシシリン、アキシドシリン(axidocillin)、アズロシリン、アカンピシリン(acampicillin)、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン(fenbenicillin)、フロキサシリン、ヘタシリン、レナンピシリン、メタンピシリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ナフシリンナトリウム、オキサシリン、ペナメシリン、ヨウ化水素酸ペネタナート、ペニシリンGベネタミン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGベンズヒドリルアミン、ペニシリンGカルシウム、ペニシリンGヒドラバミン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペニメピサイクリン、フェネチシリンカリウム、ピペラシリン、ピバンピシリンプロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テモシリン、チカルシリン、ならびにその、または他の物質との混合物(例えばクラブラン酸と組み合わせたペニシリン、例えばGlaxo Smith KlineからAugmentin(商標)として入手可能なアモキシシリンおよびクラブラン酸の組み合わせ)が挙げられる。
【0040】
[0042]好ましくは、抗菌剤は、慢性の創傷に存在する1つまたは複数の好気性菌または嫌気性菌の個体群における99%を超える数の減少(すなわち、少なくとも2対数の桁の減少)、99.9%を超える数の減少(すなわち、少なくとも3対数の桁の減少)、99.99%を超える数の減少(すなわち、少なくとも4対数の桁の減少)、または99.999%を超える数の減少(すなわち、少なくとも5対数の桁の減少)を提供する。
【0041】
[0043]典型的な療法剤には、創傷治療に適したいかなる物質も含まれ、例えば、鎮痛剤、抗コリン剤、抗真菌剤、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、生物静力学組成物、化学療法剤/抗新生物剤、サイトカイン、免疫抑制剤、核酸、ペプチド、タンパク質、ステロイド、血管収縮剤、ビタミン、その混合物、ならびに当業者に明らかであろう他の療法物質が含まれる。細菌選択性ペプチドは、例えば、いくつかの病原体に対して広域抗生物質によって提供されるよりも、より有用なまたはより安全な治療効果を提供してもよい。
【0042】
[0044]溶媒和系に含まれてもよい補助剤には、色素、顔料、または他の着色剤(例えば、FD&Cレッド第3番、FD&Cレッド第20番、FD&Cイエロー第6番、FD&Cブルー第2番、D&Cグリーン第5番、D&Cオレンジ第4番、D&Cレッド第8番、カラメル、二酸化チタン、果物または野菜着色剤、例えばビート粉末またはβ−カロテン、ターメリック、パプリカおよび当業者によく知られているであろう他の物質);指示薬;酸化防止剤;消泡剤;および増粘剤およびチクソトロープ(thixotropes)を含むレオロジー変性剤が挙げられる。
【0043】
[0045]創傷は上述した手動の創面切除道具を使用して創面切除されて、失活組織から分離されてもよい。好ましくは、創傷は開示された溶媒和系または他の好適な液体の有向流を使用して創面切除される。流量または圧力は望ましくは、迅速で、十分に完全な創面切除を促進できるほどに充分に高く、過度の痛み、または健康または治療可能な創傷組織への損傷を避けることができるほどに十分低い。少なくとも部分的および好ましくはすべての失活創傷組織が創面切除される。
【0044】
[0046]溶媒和系は、望ましくは創傷の中の健康または治療可能な組織を覆うことが十分な範囲に少なくとも適用される。場合によっては、溶媒和系は創傷の中に適用され、創傷の中の単に露出した組織の上だけではないことが望ましい。十分な溶媒和系が創傷およびそれに含まれる標的となるバイオフィルムに適用されるべきであり、治療中またはその後の時点の何れかで、バイオフィルムおよびその生物は全体的にまたは部分的に破壊され、溶媒和されまたは除去される。このようにすることで化学的な希釈または機械的な破壊を含んでもよく、金属イオン封鎖剤によるカルシウムイオンの封鎖によるバイオフィルムEPSマトリックスの破壊を伴ってもよく、生じた分解フラグメント(例えば、マンヌロン酸およびグルロン酸)の水溶液への溶媒和を伴ってもよく、吸引、洗浄または他の除去技法を使用してその除去を容易にする。高流量(例えば、7cm3/秒を超えおよび20cm3/秒未満)または高送出圧力(例えば、所望の塗布チップが付着された場合に、ポンプ出口で測定して約30〜約500KPaまたは約60〜約350KPa)によって創傷デブリドマンおよびバイオフィルム破壊を補助する場合がある。十分な溶媒和系を創傷に適用して、存在し得るすべての膿または他の創傷滲出物を置換させ、過剰な溶媒和系の色が変化しなくなるまで過剰な溶媒和系を創傷からあふれさせることが望ましい場合がある。溶媒和系は排水、さまなければ取り除かれまたは再吸収されるまで適切な場所に残ってもよく、または溶媒和系は好適な時間(例えば、数分、数時間またはそれよりも長く)放置され、次に無菌生理食塩水または別の好適な液体を使用して洗い流されてもよい。溶媒和系の適用および取り出されまたは破壊されたバイオフィルムおよび細菌の除去は、障害を起こす生物のより徹底的な除去のために、望ましいように反復されてもよい。
【0045】
[0047]溶媒和系は、望ましくは細菌バイオフィルムを破壊しその復帰を阻止する多段階治療措置の一部として使用されてもよい。例えば、洗浄/破壊、殺傷、保護/コーティング、通気、および治癒として広く分類される一連の工程を実施してもよい。溶媒和系を上記のような慢性の創傷に適用することによって、洗浄/破壊工程は実施されてもよい。殺傷工程は、好適な抗菌剤を創傷部位に適用することによって実施されてもよい。これは例えば溶媒和系に抗菌剤を含めることによって、または該剤を術中または術後に(例えば、局所、経口または全身的に)別々に適用することによって達成されてもよい。殺傷工程では、例えば、図2の装置と関連して上記で論じたように、創傷の中の細菌の生存、再増殖または再コロニー化を阻止するための追加の方策を採用してもよい。保護/コーティング工程は少なくとも一部の治療された創傷を、保護封止剤層でコーティングすることによって実施されてもよい。封止剤は、細菌および新しいバイオフィルム形成コロニーで、創傷の再コロニー形成を阻止または防止し、炎症を減少させ、創傷治癒を改善するまたは体の天然の自然免疫応答の回復を可能にするなどのさまざまな利益を提供できる。上述の洗浄/破壊工程後に残るすべての細菌バイオフィルム、バイオフィルムフラグメントまたは細菌をさらに攻撃し、その復帰を阻止するために、封止剤には、1つまたは複数の抗菌剤が含有されてもよい。好ましい封止剤は、2007年4月24日に出願された米国特許出願公開第2007/0264310A1号に開示された封止剤に基づいてもよい。好適な開口部(単数または複数)に創傷包帯(例えば、スリットまたは孔)を適用し、治療された創傷の通気を可能にする十分な期間、開口部を開放したままにすることによって、通気工程を実施してもよい。洗浄され、保護され、そして任意に封止された創傷が、例えば、炎症反応、線維芽細胞増殖および創傷再形成などの1つまたは複数の正常機構を通じて、正常状態への復帰を経験することを可能にすることによって、治癒工程が実施されてもよい。
【0046】
[0048]本発明はさらに以下の実施例に記述され、すべての部分およびパーセントは他に記載がない限り重量である。
【実施例】
【0047】
[0049]バイオフィルム形成。トリプチソイブロス(TSB、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO,米国)から製造された寒天培地で成長した緑膿菌PAO1(ATCC番号:BAA−47)、大便レンサ球菌V583(ATCC番号:700802)、および黄色ブドウ球菌50(ATCC番号:700699)をTSBブロスの中に接種し、37℃でシェーカーの中で16時間成長させた。アリコートはTSBブロスの中で、個々の細菌種に対して一連の希釈がされた。希釈された細菌はコロニー形成単位(CFU)をカウントするために取り出された。それらはさらに1×106cfu ml-1に希釈され、接種材料として等量が混合された。50%ウシ血漿(Biomeda、Foster City、CA、米国)を有するボルトンブロス(Oxoid Ltd、Basingstock、Hampshire、England)がバイオフィルム形成媒体として使用された。キャップ付きのガラス16mm×150mm試験管が加圧滅菌され、7mlバイオフィルム形成媒体が無菌でそれぞれの試験管に分注された。3つの細菌の正規化された培養物は混合され、混合されて正規化された1×106CFUml-1培養物の10μl部分が、ピペット先端を試験管の中に突き出してガラス試験管の中に接種された。ピペット先端はバイオフィルム形成のための表面として機能する。次に試験管は37℃でシェーカーの中で140rpmで24時間成長させた。
【0048】
[0050]溶媒和系の調製。溶媒和系(以下では「CAZS」と称する)は、以下の表1に示す量を使用して、脱イオン水、カプリリルスルホベタイン両性イオン界面活性剤(CH3(CH29+(CH32CH2CH2CH2SO3-、CAS15163−36−7)、クエン酸(CAS77−92−9)および緩衝液系をpH5.5に緩衝するのに十分なクエン酸ナトリウム(CAS6132−04−3)を混合して、4オスモル体積濃度レベルで調製された。
【表1】

【0049】
[0051]形成されたバイオフィルムによる培養。一連の操作で、形成されたバイオフィルムは洗浄され、次に3つのCAZS溶液で培養され、次にゲンタマイシンスルファート(MP Biomedicals、Illkirch、France)の30μg/ml溶液と蒸留水に溶解され、または2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン,KIC Chemicals,New Paltz,NY,米国)の20ppm溶液とプロピレングリコール(ScienceLab,Houston,TX,米国)に溶解された。結果として得られた混合物は37℃、140rpmで1時間、2時間、3時間および4時間撹拌された。バイオフィルム形成が主観的に観察され、バイオフィルムが収集された。バイオフィルムを入れた一組の試験管の乾燥した重量を得るために、オーブンに80℃で48時間置いた。バイオマス乾燥重量が総重量から使用前に測定された空の試験管重量を差し引いて測定された。試験はそれぞれの処理群に対して三重に実施された。三重試験の別々のセットの試験管がDNA抽出および定量PCR解析に使用され、治療されたバイオフィルムの相対細菌レベルが判定された。830mOsm CAZS溶液および1,586mOsm CAZS溶液の結果が以下の表2に示される。
【表2】

【0050】
[0052]表2の結果によって、バイオフィルム乾燥重量はすべての処置で減少することが示される。バイオフィルム乾燥重量はCAZS溶液単独を使用した場合にも減少し、さらにトリクロサンと組み合わせて使用した場合にも減少した。CAZS溶液は黄色ブドウ球菌に選択的阻害効果も示した。
【0051】
[0053]好ましい実施形態を記述する目的で、本明細書では特定の実施形態が図解され、説明されてきたが、同じ目的を達成することが予想される多数のさまざまな代替実施形態または均等実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され説明された特定の実施形態に置き換えられることが当業者には理解される。本出願は、本明細書で論述された好ましい実施形態のいかなる改変形態または変形形態をも含むことが意図される。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されることが明白に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性の創傷を治療するための方法であって、
a)前記創傷から少なくともいくつかの壊死組織または他の失活組織を創面切除する工程と、
b)前記創傷の中の健康な組織または治療可能な組織に金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有する細胞外ポリマー物質の溶媒和系を適用する工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記創面切除工程および適用工程が、十分な流量または十分な圧力の前記溶媒和系を適用する工程と組み合わされ、前記創傷から少なくともいくつかの失活組織を創面切除する方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
スプレー、洗浄(lavage)、噴霧、拭う(mopping)、ウィッキング(wicking)または滴下によって前記溶媒和系を適用する工程を含み、さらに流し(flushing)、すすぎ(rinsing)、排出(draining)または吸収することによって前記創傷から前記溶媒和系を除去する工程を含む方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記溶媒和系のオスモル体積濃度は約1,000〜約4,000mOsmである方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記溶媒和系のオスモル体積濃度は約1,500〜約2,600mOsmである方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、細菌バイオフィルム中の1つまたは複数の金属イオンを隔離するには十分であるが、前記創傷中の健康な組織または治療可能な組織を害するほどの酸性度ではない弱酸である方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、ナトリウム、カルシウムまたは鉄の封鎖剤を含有する方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、カルボン酸、二塩基酸、三塩基酸またはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、オキサミド酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イミノ二酢酸、グルタル酸、2−ケトグルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルクロン酸、粘液酸、ニトリロ三酢酸、サリチル酸、ケトピメリン酸、安息香酸、マンデル酸、クロロマンデル酸、フェニル酢酸、フタル酸、ホウ酸またはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、クエン酸を含有する方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤が約0.01モル〜約1.5モル濃度で存在する方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記界面活性剤は、両性イオン界面活性剤を含有する方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、
前記界面活性剤は前記溶媒和系の約0.3%〜約30%である方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記溶媒和系は、前記溶媒和系のpHが約4を超える十分な緩衝剤を含有する方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、
前記溶媒和系は、前記溶媒和系のpHが約5を超え、約8.5未満である十分な緩衝剤を含有する方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、
前記溶媒和系は、さらに抗菌剤を含有する方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、
前記抗菌剤は、局所抗生物質を含有する方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、
前記抗菌剤は、ペプチドを含有する方法。
【請求項19】
請求項16記載の方法において、
前記抗菌剤は、細菌選択性ペプチドを含有する方法。
【請求項20】
請求項16記載の方法において、
前記抗菌剤は、ガリウム・アセチルアセトナート、臭化ガリウム、塩化ガリウム、フッ化ガリウム、ヨウ化ガリウム、ガリウムマルトラート、硝酸ガリウム、窒化ガリウム、ガリウムパーコラート、亜リン酸ガリウムおよび硫酸ガリウムまたはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、
糖尿病患者の足または脚創傷の治療を含む方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、
細菌バイオフィルムを分解して前記創傷を治療し、その復帰を阻止する方法。
【請求項23】
慢性の創傷を治療するための方法であって、
前記創傷の中の健康な組織または治療可能な組織に、オスモル体積濃度が約1,000〜約4,000mOsmである、金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有するEPS溶媒和系を適用する工程を含む方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、
前記溶媒和系のオスモル体積濃度が約1,500〜約2,600mOsmである方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、細菌バイオフィルム中の1つまたは複数の金属イオンを隔離するには十分であるが、前記創傷中の健康な組織または治療可能な組織を害するほどの酸性度ではない弱酸である方法。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、 前記金属イオン封鎖剤は、ナトリウム、カルシウムまたは鉄の封鎖剤を含有する方法。
【請求項27】
請求項23記載の方法において、 前記金属イオン封鎖剤は、カルボン酸、二塩基酸、三塩基酸またはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、オキサミド酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イミノ二酢酸、グルタル酸、2−ケトグルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルクロン酸、粘液酸、ニトリロ三酢酸、サリチル酸、ケトピメリン酸、安息香酸、マンデル酸、クロロマンデル酸、フェニル酢酸、フタル酸、ホウ酸またはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤は、クエン酸を含有する方法。
【請求項30】
請求項23記載の方法において、
前記金属イオン封鎖剤が約0.01モル〜約1.5モル濃度で存在する方法。
【請求項31】
請求項23記載の方法において、
前記界面活性剤は、両性イオン界面活性剤を含有する方法。
【請求項32】
請求項23記載の方法において、
前記界面活性剤は前記溶媒和系の約0.3%〜約30%である方法。
【請求項33】
請求項23記載の方法において、
前記溶媒和系は、前記溶媒和系のpHが約4を超える十分な緩衝剤を含有する方法。
【請求項34】
請求項23記載の方法において、
前記溶媒和系は、前記溶媒和系のpHが約5を超え、約8.5未満となる十分な緩衝剤を含有する方法。
【請求項35】
請求項23記載の方法において、
前記溶媒和系は、さらに抗菌剤を含有する方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、
前記抗菌剤は、局所抗生物質を含有する方法。
【請求項37】
請求項35記載の方法において、
前記抗菌剤は、ペプチドを含有する方法。
【請求項38】
請求項35記載の方法において、
前記抗菌剤は、細菌選択性ペプチドを含有する方法。
【請求項39】
請求項35記載の方法において、
前記抗菌剤は、ガリウム・アセチルアセトナート、臭化ガリウム、塩化ガリウム、フッ化ガリウム、ヨウ化ガリウム、ガリウムマルトラート、硝酸ガリウム、窒化ガリウム、ガリウムパーコラート、亜リン酸ガリウムおよび硫酸ガリウムまたはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項40】
請求項23記載の方法において、
糖尿病患者の足または脚創傷の治療を含む方法。
【請求項41】
請求項23記載の方法において、
細菌バイオフィルムを分解して前記創傷を治療し、その復帰を阻止する方法。
【請求項42】
a)創面切除装置と、
b)金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有する細胞外ポリマー物質の溶媒和系を含む容器であって、前記溶媒和系を創傷に適用するために塗布器と流体連通する容器と、
c)少なくともいくつかの創面切除された壊死した組織または他の失活した組織および過剰な溶媒和系を前記創傷から除去する吸引装置と、を備える、慢性の創傷を治療するための装置。
【請求項43】
請求項42記載の装置において、
前記溶媒和系塗布器は、十分な流量または十分な圧力の溶媒和系を適用することによって、前記創傷から少なくともいくつかの失活組織を創面切除する創面切除装置としても機能する装置。
【請求項44】
請求項43記載の装置において、
前記塗布器は前記溶媒和系を流量7cm3/秒を超え、20cm3/秒未満で塗布する装置。
【請求項45】
請求項43記載の装置において、
前記塗布器は溶媒和系を送出圧力約30kPa〜約500kPaで塗布する装置。
【請求項46】
請求項43記載の装置において、
前記塗布器は溶媒和系を送出圧力約60kPa〜約350kPaで塗布する装置。
【請求項47】
請求項42記載の装置において、
前記金属イオン封鎖剤は、細菌バイオフィルム中の1つまたは複数の金属イオンを隔離するには十分であるが、前記創傷中の健康な組織または治療可能な組織を害するほどの酸性度ではない弱酸である方法。
【請求項48】
請求項42記載の装置において、
前記金属イオン封鎖剤は、ナトリウム、カルシウムまたは鉄の封鎖剤を含有する方法。
【請求項49】
請求項42記載の装置において、
前記金属イオン封鎖剤は、カルボン酸、二塩基酸、三塩基酸またはそれらの混合物を含有する方法。
【請求項50】
請求項42記載の装置において、
前記金属イオン封鎖剤は、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、オキサミド酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イミノ二酢酸、グルタル酸、2−ケトグルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルクロン酸、粘液酸、ニトリロ三酢酸、サリチル酸、ケトピメリン酸、安息香酸、マンデル酸、クロロマンデル酸、フェニル酢酸、フタル酸、ホウ酸またはそれらの混合物を含有する装置。
【請求項51】
請求項42記載の装置において、
前記金属イオン封鎖剤は、クエン酸を含有する装置。
【請求項52】
請求項42記載の装置において、
前記界面活性剤は、アルキルスルファート、アルキルスルホナートまたはアリールスルホナートまたはそれらの混合物を含有する装置。
【請求項53】
請求項42記載の装置において、
前記溶媒和系は、さらに抗菌剤を含有する装置。
【請求項54】
請求項53記載の装置において、
前記抗菌剤は、局所抗生物質を含有する装置。
【請求項55】
請求項53記載の装置において、
前記抗菌剤は、ペプチドを含有する装置。
【請求項56】
請求項53記載の装置において、
前記抗菌剤は、細菌選択性ペプチドを含有する装置。
【請求項57】
請求項53記載の装置において、
前記抗菌剤は、ガリウムアセトアセトナート、臭化ガリウム、塩化ガリウム、フッ化ガリウム、ヨウ化ガリウム、ガリウムマルトラート、硝酸ガリウム、窒化ガリウム、ガリウムパーコラート、亜リン酸ガリウム、硫酸ガリウムまたはそれらの混合物を含有する装置。
【請求項58】
慢性の創傷を治療するための患者ケアキットであって、
トレイ;シリンジ;金属イオン封鎖剤、界面活性剤および緩衝剤を含有するEPS溶媒和系を含む入れ物;および慢性の創傷を治療するために前記キットの適切な使用が記載された印刷された指示書を含むキット。
【請求項59】
請求項58記載のキットにおいて、
前記溶媒和系のオスモル体積濃度は約1,000〜約4,000mOsmであるキット。
【請求項60】
請求項58記載のキットにおいて、
前記溶媒和系のオスモル体積濃度は約1,500〜約2,600mOsmであるキット。
【請求項61】
請求項58記載のキットにおいて、
前記金属イオン封鎖剤は、細菌バイオフィルム中の1つまたは複数の金属イオンを隔離するには十分であるが、前記創傷中の健康な組織または治療可能な組織を害するほどの酸性度ではない弱酸であるキット。
【請求項62】
請求項58記載のキットにおいて、
前記金属イオン封鎖剤は、ナトリウム、カルシウムまたは鉄の封鎖剤を含有するキット。
【請求項63】
請求項58記載のキットにおいて、
前記金属イオン封鎖剤は、カルボン酸、二塩基酸、三塩基酸またはそれらの混合物を含有するキット。
【請求項64】
請求項58記載のキットにおいて、
前記金属イオン封鎖剤は、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、オキサミド酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イミノ二酢酸、グルタル酸、2−ケトグルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルクロン酸、粘液酸、ニトリロ三酢酸、サリチル酸、ケトピメリン酸、安息香酸、マンデル酸、クロロマンデル酸、フェニル酢酸、フタル酸、ホウ酸またはそれらの混合物を含有するキット。
【請求項65】
請求項58記載のキットにおいて、
前記金属イオン封鎖剤は、クエン酸を含有するキット。
【請求項66】
請求項58記載のキットにおいて、
前記界面活性剤は、アルキルスルファート、アルキルスルホナートまたはアリールスルホナートまたはそれらの混合物を含有するキット。
【請求項67】
請求項58記載のキットにおいて、
前記溶媒和系は、さらに抗菌剤を含有するキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−524367(P2011−524367A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513704(P2011−513704)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/047101
【国際公開番号】WO2009/152374
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】