説明

慣性感知方法及びシステム

【課題】ディスプレイに表示されるカーソルの移動を定義/制御するために検出を使用しながら、指定のレベル表面に関して慣性感知装置の傾きを検出できる慣性感知方法を提供する。
【解決手段】慣性感知装置は、手持ち入力デバイスとして働くことができるので、慣性感知装置を保持する手のスイングが、それによって検出され、ディスプレイの頁めくりを制御するために使用される。動作時に、前述の慣性感知装置のミクロ慣性感知モジュールは、慣性感知装置の傾きによって引き起こされる重力の変化を検出し、次に、傾斜信号を適宜発生すると共に、無線送信機がそれらの信号をミクロ処理ユニットに送信することを可能とし、そこで、傾斜信号がフィルタリングされ、次に、予め定義されたデータ信号と比較され、この比較に従って、カーソル制御回路がディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を定義/制御することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性感知方法及び装置に関し、より具体的には、ディスプレイに表示されるカーソルの移動を正確に定義/制御するために検出を使用しながら、指定のレベル表面に関して組み込み型ミクロ慣性感知モジュールの傾きを検出できる三次元慣性感知装置に関する。好適な態様では、慣性感知装置は、手持ち入力デバイスとして働くことができるので、三次元慣性感知装置を保持する手のスイングが、それによって検出され、ディスプレイ上に表示される頁めくりを制御するために使用され、本装置は、手持ちデバイスに対する人間工学的要件を満たすのみならず、三次元慣性感知装置を保持する手の指定の動きによって連続頁めくりを制御するために使用されることができ、従って、本装置は、カーソル制御デバイスとして使用されるのに適する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場で入手可能なコンピュータマウスには多くの種類があり、これらは、カーソル制御デバイスとしてコンピュータによって使用される最もポピュラーな人間機械系インターフェースである。検出手段の違いに関して、機械的マウス、LED光学マウス、及びレーザマウスの三つの基本的なタイプのマウスがある。しかしながら、前述のマウスは、作動表面での使用に制限されており、作動表面が機械的マウスのボールローリング及び二つの光学マウスの影発生に影響を及ぼすように、作動表面の状態は、前述のマウスの検出に大きな影響力を有するので、これらのマウスは、平らな表面及び空気中で作動できるカーソル制御デバイスを備えることが望ましい、今日のビデオゲーム及びマルチメディアアプリケーションの要件は、最早満たすことはできない。プレゼンテーションデバイスに関して、それは、通常、オンオフ操作、上下へのスクローリング操作、頁の前進後退操作等のような操作を制御するためにプレスキーとそれに関連する回路を有するように設計される、講師が透明体を循環できる遠隔制御デバイスである。それにも拘らず、ますます多くの人々は、自分のパーソナルコンピュータの使用によって自身のプレゼンテーションを行いたがるので、プレゼンテーションデバイスをコンピュータに接続すると共にプレゼンテーションを準備し、このプレゼンテーションデバイスと通常コンピュータマウスをこれら二つのデバイスの配線が扱い難く且つ面倒である同じ空間に同時に共存させなければならないことが益々一般的になっている。
【0003】
コンピュータマウスとプレゼンテーションデバイスの機能を統合する幾つかのカーソル制御デバイスが既にある。しかしながら、それにより採用されている制御方法は、これら従来のコンピュータマウスとなお同様であり、従って、同じ制約を受ける。最近積極的に研究されている慣性/重力マウスに関して、このマウスは、移動の加速度を検出するための加速度計を使用すると共に、コンピュータモニター上に表示されたオブジェクトや他の対話型デバイスを制御するために使用される検出を処理するが、多くの技術的困難さによってなお煩わしくなっており、従って、未だ改良点がある。
【0004】
慣性マウスに関する多くの研究がある。これらの研究の一つは、図1に示されるように、“Presentation Supporting Device(プレゼンテーション支援デバイス)”と題される、米国特許第5,874,941号に開示されている慣性マウスである。図1に示されるプレゼンテーション支援デバイス2は、X軸加速度計1A、Y軸加速度計1B、並びに1対の信号プロセッサ10Aと10Bを備え、プレゼンテーション支援デバイス2の傾斜によって引き起こされる加速度の変動がこの二つの加速度計1Aと1Bによって検出され、二つの加速度計に適宜加速度信号を発生させ、二つの信号プロセッサ10Aと10Bは、加速度信号を処理してコンピュータディスプレイスクリーン上のカーソルの移動を制御するためにカーソル移動制御信号を出力する。動作上、プレゼンテーション支援デバイス2の傾斜が指定の角度に達すると、それによって制御されるカーソルが、適宜移動するように起動され、カーソルがコンピュータディスプレイスクリーンの所望の位置に移動させられると、カーソルの移動が、プレゼンテーション支援デバイス2をその初期位置へ戻すことによって、停止される。しかしながら、プレゼンテーション支援デバイス2は、重力の影響を受けているので、プレゼンテーション支援デバイス2がすでにその初期位置へ戻ったときでも、カーソルが移動し続けるということがしばしば生じる。従って、支援デバイス2が確実にその初期位置に戻ったときに、このプレゼンテーション支援デバイス2がカーソルを正確に位置決めすることに失敗し、従って十分な安定性が得られない。ユーザが、まさに、自身が好む位置に正確にカーソルを位置決めするためには、多大なる努力と時間がかかる。更に、プレゼンテーション支援デバイス2の傾斜が大きくなればなるほど、結果として生じる加速度が大きくなり、従って、それにより制御されるカーソルが、コンピュータディスプレイスクリーン上を速く移動し、それによって、プレゼンテーション支援デバイス2を制御することが困難になる。更に、前述のプレゼンテーション支援デバイス2は、連続的頁めくり能力を備えない。
【0005】
台湾国特許出願第90221010号に開示された重力マウスである図2を参照する。重力マウスは、パーソナルコンピュータ(PC)のモニター上に表示されたカーソルの移動を制御するために、保持されて移動し且つ使用されるので、潜在的なエネルギー測定能力を有するその重力センサ(すなわち、Gセンサ)は、そのセンサの移動で引き起こされる重力マウスの潜在的エネルギー変動を検出できると共に、適宜発生される信号をそのミクロプロセスユニット(MCU)へ送信して処理される。MCUは、移動の存続期間を検出できると共にその移動によって引き起こされる加速度信号を受信できるので、MCUは、存続期間と加速度に関してカーソルを適宜移動するように制御するための制御信号を発生できる。カーソルの移動は、二つの直交する軸に重力マウスに従って構成される少なくとも二つの加速度計の検出に基づいて実行される統合動作によって決定されることが知られている。このように、移動は誤差を蓄積する傾向のある統合によって定義されるので、カーソルの位置決めは、正確でなくなる。更に、前述の重力マウスは、連続的頁めくり能力を備えていない。
【0006】
従って、従来の技術の欠点がないだけではなく、連続的頁めくり能力を備える慣性感知入力装置及び方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術の欠点に鑑み、本発明の主な目的は、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を正確に定義及び制御でき、従って、操作が容易な、三次元慣性感知方法と装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、人間工学的手持ち入力デバイスとして使用できる三次元慣性感知装置を提供することであり、そこでは、三次元慣性感知装置を保持する手のスイングがそれによって、検出され、ディスプレイの頁めくりを制御するために使用される、すなわち、特に、三次元慣性感知装置を保持する手の特定の動きによって連続的頁めくりが制御できる。
【0009】
本発明の更に他の目的は、三次元慣性感知方法および装置を提供することであり、それによって、慣性感知装置を定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系の一つの軸に沿って測定された振動(変動)が、直交座標系の他の軸に沿って測定された信号の振動の使用によって除去できる。
【0010】
更に、本発明の他の目的は、慣性感知装置を定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のY軸に共軸的に配置された二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力の間の差を使用して慣性感知装置に働く遠心力の影響を除去できる三次元慣性感知方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に従って、三次元慣性感知方法であって、
ミクロ慣性感知モジュールを使用して、生の傾斜信号を適宜発生するために重力加速度を検出するステップと;安定化傾斜信号を得るために生の傾斜信号(raw inclination signal)を低域フィルタリングするステップと;ミクロ慣性感知モジュールがカーソル制御モードにあるか又は頁めくりモードにあるかを検出して、それに対応して、カーソル制御プロセス及び頁めくりプロセスから成る群から実行されるべきプロセスを選択するステップと、を備える三次元慣性感知方法を提供する。
【0012】
好ましくは、カーソル制御プロセスは、ミクロ慣性感知モジュールの初期信号を登録するステップと;生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップと;補償傾斜信号と初期信号との間の差を計算するステップと;ディスプレイに表示されるカーソルの移動を制御するために座標信号として差同士をマッピングするステップと、を備える。
【0013】
好適な態様では、ミクロ慣性感知モジュールは、ミクロ慣性モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸7の直交座標系のX軸に関してミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計と、直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのY軸加速度計と、を備える。
【0014】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップは、更に、X軸加速度計によって検出されたX軸振動信号をX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;Y軸加速度計によって検出されたY軸振動信号をY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;修正されたX軸の生の傾斜信号からX軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸変動を登録するステップと;修正されたX軸生の傾斜信号からY軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸変動を登録するステップと、を備える。
【0015】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、更に、X軸加速度計とY軸加速度計によって夫々検出されるミクロ慣性感知モジュールのローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して、重力加速度を検出するために使用されるZ軸加速度計を備え、それによって、ミクロ慣性感知モジュールの位置決めに関する情報を得る。
【0016】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、更に、指定された距離だけY軸加速度計から離間された第2のY軸加速度計を備える。
【0017】
好ましくは、慣性感知装置に働く遠心力の影響は、以下の公式に関して二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力同士間の差を使用することによって除去できる:
Ay=(R+R2)/Rx(Tvy−Tvy2)
修正Tvy=Tvy−Ay
ここで、Ayは、Y軸加速度計によって検出される遠心力であり;
Rは、Y軸と第2のY軸加速度系との離間距離であり;
R2は、第2のY軸加速度計と回転中心との間の距離であり;
Tvyは、Y軸加速度計の傾斜信号であり;
Tvy2は、第2のY軸加速度計の傾斜信号である。
【0018】
即ち、修正Y軸傾斜信号は、遠心力Ayを生のY軸傾斜信号Tvyから引き算することによって得られる。
【0019】
好ましくは、遠心力の影響を除去するプロセスは、信号振動(変動)量を使用して、生の傾斜信号を補償するプロセスの前に実行される。
【0020】
好ましくは、頁めくりプロセスは、
X軸とY軸に関してミクロ慣性感知モジュールの傾きがバランスの範囲内に入るか否かを検出し、もしそうならば、検出を続け;そうでない場合、検出の後のステップが実行され、そうでない場合、プロセスが前述のモード検出ステップへ戻るステップと;
生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えているか否かを評価し、もしそうならば、頁めくりが有効とされ;そうでない場合、プロセスが前述のモード検出ステップへ戻るステップと、を備える。
【0021】
好ましくは、バランスの範囲は、0g±0.3gとして定義され、そこでは、g=9.8m/s2である。
【0022】
好ましくは、生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えている間、連続的頁めくりが実行され、生の傾斜信号が一時的ではなく、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定される。
【0023】
好ましくは、連続的頁めくりが停止され、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定されないとすぐ、プロセスがモード検出ステップに戻る。
【0024】
好適な態様では、ミクロ慣性感知モジュールは、ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関してミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計と;直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる重力加速度変動を測定するためのY軸加速度計と、を備える。
【0025】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、加速度の変動の測定結果を受信し、適宜、生の傾斜信号を発生できる中央演算ユニットに連結される。
【0026】
好ましくは、中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するための無線送信機に接続される。
【0027】
好ましくは、無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能することが可能である。
【0028】
好ましくは、ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される。
【0029】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、カーソル制御モードと頁めくりモードとの間でミクロ慣性感知モジュールを切り替えるために自動的或いは手動で起動されることができる制御キーへ接続される。
【0030】
本発明の他の態様に従って、三次元慣性感知装置であって、
生の傾斜信号を適宜発生するために重力の加速度を検出するための、ミクロ慣性感知モジュールを備え、このミクロ慣性感知モジュールは、更に、
ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関してミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる第1の重力加速度を測定するための第1のY軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる第2の重力加速度の変動を測定するための第2のY軸加速度計と;
ミクロ慣性感知モジュールの生の傾斜信号を受信するための受信端と、を備える三次元慣性感知装置が提供される。
【0031】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、更に、X軸加速度計とY軸加速度計によって夫々検出されるミクロ慣性感知モジュールのローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して、重力の加速度を検出するために使用されるZ軸加速度計を備え、それによって、ミクロ慣性感知モジュールの位置決めに関する情報を得る。
【0032】
好ましくは、第一と第二のY軸加速度計は、指定の距離だけ互いから離間されている。
【0033】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、加速度の変動の測定結果を受信し、従って生の傾斜信号を適宜発生できる中央演算ユニットに連結される。
【0034】
好ましくは、中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するための無線送信機に接続される。
【0035】
好ましくは、無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能することが可能である。
【0036】
好ましくは、ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される。
【0037】
好ましくは、ミクロ慣性感知モジュールは、カーソル制御モードと頁めくりモードとの間でミクロ慣性感知モジュールを切り替えるために自動的或いは手動で起動されることができる制御キーへ接続される。
【0038】
本発明の他の態様と利点は、例を介して本発明の原理を示す添付の図面とともに以下の詳細な記述から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
検討委員会の専門メンバーが本発明の十分な機能と構造的特徴を更に理解及び認識するために、詳細な記述と関連する幾つかの好適な実施形態が以下の通り提示される。
【0040】
本発明の第1の好適な実施形態に従う慣性感知装置を示す概略図とその機能ブロック図である図3と図4を夫々参照する。これらの図に示されるように、三次元慣性感知装置10は、主に、実質的にミクロ慣性感知モジュール20である送信端と、受信端30とを備える。好適な態様では、ミクロ慣性感知モジュール20は、更に、ミクロ慣性感知モジュール20を定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関して、ミクロ慣性感知モジュール20のローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計211と直交座標系のY軸に関して、ミクロ慣性感知モジュール20のピッチ運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのY軸加速度計212とを有するミクロ慣性センサ21と;ミクロ慣性センサ21からの信号を受信及び処理して、生の傾斜信号を適宜発生するための中央処理ユニット22と;中央処理ユニット22から受信した傾斜信号を送信するための無線送信機23と、を備える。更に、ミクロ慣性センサ21と中央処理ユニット22と無線送信機23は、全てハウジング24内に収容されていると共に、これら全ては、ハウジング24の外部に配置された制御ボタンに電気的に更に接続される回路によって互いに電気的にネットワーク化されている。ハウジング24の外部にこの制御ボタンを配置することによって、三次元慣性感知装置10を保持するユーザは、制御ボタンを押すことによって自動的に或いは手動で簡単に信号送信を開始できる。
【0041】
更に、実質的にコンピュータ或いはマルチメディアデバイスである受信端30は、無線受信機31と、ミクロ処理ユニット32と、ディスプレイ40に接続されるカーソル制御回路33を備える。そこで、無線受信機31は、無線受信機31が無線送信機23によって送信された生の傾斜信号を受信でき、従って、受信した生の傾斜信号をミクロ処理ユニット32に送信して、他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理されるように無線送信機23に対応するように機能でき、次に、ミクロ処理ユニット32は、処理結果に基づいて、ディスプレイ40上に表示されたカーソル41の動きを制御すると共にディスプレイ40上の頁めくり又は連続的頁めくりを制御するカーソル制御回路33へ処理結果を送る。
【0042】
本発明の第1の好適な実施形態の慣性感知装置の動作ステップを示すフローチャートである図5を参照する。慣性感知装置の動作ステップのフローが、図5に示されており、各ステップの詳細な記述が、以下に示される。
(a)ミクロ感知センサモジュール20に埋め込まれた各加速度計を使用して、各加速度計の検出に関して生の傾斜信号(傾き値)を発生するために重力加速度を検出すること。すなわち、X軸加速度計211とY軸加速度計を使用して、ミクロ慣性感知モジュール20のローリングとピッチングを検出すると共に、その検出を中央処理ユニット22へ送信して処理され、従って、X軸の生の傾斜信号TvxとY軸の生の傾斜信号Tvyを発生して、無線送信機23の送信によって受信端30によって受信され、そこで、無線受信機31は、受信信号を受信してこの受信信号をミクロ処理ユニット32に送信する。
(b)二つの安定化傾斜信号AvxとAvyを得るためにX軸の生の傾斜信号TvxとY軸の生の傾斜信号Tvyを低域フィルタリングすること。
(c)二つの安定化傾斜信号AvxとAvyが、ミクロ慣性感知モジュールの動作モードに基づいて処理されなければならないので、ミクロ慣性感知モジュール20がカーソル制御モードeにあるか頁めくりモードdにあるか否かを検出すること。即ち、押しボタン又は制御スイッチであり、図3に示されるようにハウジングに配置される制御キーは、制御ボタンが起動されている時に、ミクロ慣性感知モジュール20がカーソル制御モードeにあり、そうでない場合、ミクロ慣性感知モジュール20が頁めくりモードdにあるように、カーソル制御モードeと頁めくりモードdとの間でミクロ慣性感知モジュール20を切り替える。
(c1)初期信号として各加速度計によって夫々検出される現在の信号を登録すること(初期値、inx;iny)、即ち、初期信号としてX軸加速度計211とY軸加速度計212によって夫々検出された現在の信号を登録すること。
(d1)X軸とY軸に関してミクロ慣性感知モジュールの傾斜が、バランスの範囲内に入るか否かを検出すること。即ち、バランスの範囲が事前に0g±0.3gとして定義され、そこでは、g=9.8m/s2であると共にミクロ慣性感知モジュール20内に構成され、従って、傾斜信号(Tvs、Tvy)が、バランスの範囲内に入るとき、ミクロ慣性感知モジュール20は、意図しない手の震えによって行われる望ましくない頁めくりを防止するためのバランス状態にあると判断され、そうでない場合、ミクロ慣性感知モジュール20は、アンバランス状態にあると判断され、従って、フローは、前のモード検出ステップ(c)に戻る。バランスの範囲は、上述の範囲に限定されず、ユーザの好みによってその意思で定義されることができる。
(d2)ミクロ慣性感知モジュール20がバランス状態にある時、生のX軸傾斜信号の瞬間の変動が閾値範囲を超えているか否かを判断すること。即ち、生のX軸傾斜信号の瞬間の変動が閾値範囲を超えている時に、頁めくりステップ(d21)は、ミクロ処理ユニット32がカーソル制御回路33へ信号を送信できるように使用可能とされ、そこでは、ディスプレイ40上に表示される頁めくりの制御のために使用され、そうでない場合、プロセスは、前述のモード検出ステップ(c)へ戻る。
(d3)ミクロ慣性感知モジュールが指定の傾斜角度だけ傾くと、生のX軸傾斜信号の瞬間の変動がミクロ慣性感知モジュールの検出に永続的に固定されているか否かを判断すること。もしそうならば、連続的頁めくりステップ(d4)が実行される。連続的頁めくりステップが行われる理由は、めくられるのを待っている頁が沢山ある時に、ステップ(d1)、(d2)、及び(d21)によって、一回の手の動きは1頁をめくるに過ぎず、それは、非常に不便であり時間が掛かるからである。従って、連続的頁めくりステップ(d4)は、手の大きなスイングによってミクロ処理ユニット32が連続的且つ簡単に頁めくりを実行でき、次に、動くことなく指定の傾斜角度で静止を保持し、それにより、単純な動きによって複数頁をめくることができる。連続的頁めくりが停止され、ミクロ慣性感知モジュールが指定の角度だけ傾けられた時、生の傾斜信号がミクロ慣性感知モジュールの検出に永続的に固定されないとすぐ、プロセスはモード検出ステップに戻る。
(e1)X軸の生の傾斜信号と安定化されたX軸の生の傾斜信号との差の中間値としてX軸振動信号を登録すること。即ち、公式:Difx=(Tvx−Avx)/2に従ってX軸振動を計算すること。
Y軸の生の傾斜信号と安定化されたY軸の生の傾斜信号との差の中間値としてX軸振動(変動)信号を登録すること。即ち、公式:Dify=(Tvy−Avy)/2に従ってY軸振動を計算すること。
X軸振動信号をX軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたX軸傾斜信号を捕獲すること。即ち、公式:Tvx’=Tvx−Difxに従って変更されたX軸の生の傾斜信号を計算すること。
Y軸振動信号をY軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたY軸傾斜信号を捕獲すること。即ち、公式:Tvy’=Tvy−Difyに従って修正されたY軸の生の傾斜信号を計算すること。
(e2)変更されたX軸の生の傾斜信号からX軸加速度計の初期信号の減算値としてX軸振動(変動)を登録することと、また修正されたY軸の生の傾斜信号からY軸加速度計によって検出される初期信号の減算値としてX軸振動を登録すること。即ち、Dx=(Tvx’−inx)、Dy=(Tvy’−iny)。図6(a)、図6(b)、図7(a)、及び図7(b)を参照すると、図6(a)と図7(a)は、夫々、共に振動修正を含まない、X軸加速度計とY軸加速度計によって検出された加速度を示し、図6(b)と図7(b)は、夫々、共に振動修正を含む、X軸加速度計とY軸加速度計によって検出された加速度を示しめしている。図に示されているように、補償された後の、穏やかな凹凸を有する加速度プロファイルが達成でき、それによって、より正確なカーソルの位置決めが達成できる。
(e3)ディスプレイ40上に表示されたカーソル41の移動を制御するための座標信号として差(Dx、Dy)をマッピングすると共に、カーソルを制御するためのカーソル制御回路33へその座標信号を出力すること。
【0043】
本発明の第2の好適な実施形態に従う慣性感知装置を示す概略図とその機能ブロック図である図8と図9を夫々参照する。これらの図に示されるように、第1の実施形態の三次元慣性感知装置10に類似する、三次元慣性感知装置100は、主に、実質的にミクロ慣性感知モジュール20’である送信端と受信端30と、を備える。好適な態様では、ミクロ慣性感知モジュール20’は、更に、ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関して、ミクロ慣性感知モジュール20’のローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計211’と、直交座標系のY軸に関して、ミクロ慣性感知モジュール20’のピッチ運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのY軸加速度計212’、ミクロ慣性感知モジュール20’の位置決めに関する情報を得るためにX軸加速度計211’とY軸加速度計212’によって夫々検出されたミクロ慣性感知モジュール20’のローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して重力加速度を検出するためのZ軸加速度計213’と、Y軸に関してミクロ慣性感知モジュール20’のピッチ運動によって引き起こされる他の重力加速度の変動を測定するための第2のY軸加速度計214’と、を有するミクロ慣性センサ21’;ミクロ慣性センサ21’からの信号を受信及び処理して、生の傾斜信号を適宜発生する中央処理ユニット22;及び中央処理ユニット22から受信した傾斜信号を送信するための無線送信機23とを備える。ミクロ慣性感知モジュール20’が、上下逆さま、即ち、仰向けに位置決めされる時、Z軸加速度計213’の検出が、ミクロ慣性感知モジュール20’を起動してカーソル制御と頁めくり制御に関して逆さまになるように動作する。
【0044】
同様に、ミクロ慣性センサ21’と中央処理ユニット22と無線送信機23は、全てハウジング24内に収容されていると共に、これら全ては、ハウジング24の外部に配置された制御ボタンに電気的に更に接続される回路によって互いに電気的にネットワーク化されている。ハウジング24の外部にこの制御ボタンを配置することによって、三次元慣性感知装置100を保持するユーザは、制御ボタンを押すことによって信号送信を開始できる。
【0045】
本発明の第2の好適な実施形態の慣性感知装置の動作ステップを示すフローチャートである図10を参照する。慣性感知装置の動作ステップのフローが、図10に示されており、各ステップの詳細な記述は以下に示される。
(a)ミクロ感知センサモジュール20’に埋め込まれた各加速度計を使用して、各加速度計の検出に関して生の傾斜信号(傾き値)を発生するために重力加速度を検出すること。即ち、X軸加速度計211’とY軸加速度計212’、Z軸加速度計213’、及び第2のY軸加速度計214’を使用して、ミクロ慣性感知モジュール20’のローリングとピッチングを検出し、従って、X軸の生の傾斜信号Tvx、Y軸の生傾斜信号Tvy、Z軸の生の傾斜信号Tvz、及び第2のY軸の生の傾斜信号Tvy2を発生すること。
(b)三つの安定化された傾斜信号Avx、AvyおよびTvzを得るために、X軸の生の傾斜信号Tvx、Y軸の生の傾斜信号Tvy、および軸の生の傾斜信号Tvzを低域フィルタリングし、その間第2のY軸の生の傾斜信号は無視されること。
(c)ミクロ慣性感知モジュール20がカーソル制御モードeにあるのか、または頁めくりモードdにあるのか否かを検出すること。
(c1)各加速度計によって夫々検出された現在の信号をその初期信号として登録すること(初期値、inx;iny)。
(d1)X軸とY軸に関してミクロ慣性感知モジュールの傾斜がバランスの範囲内に入るか否かを検出すること。
(d2)ミクロ慣性感知モジュール20がバランス状態にある時、生のX軸の傾斜信号の瞬間の変動が閾値範囲を超えているか否かを判断すること。
(d3)ミクロ慣性感知モジュールが指定の傾斜角度だけ傾くと、生のX軸傾斜信号の瞬間の変動がミクロ慣性感知モジュールの検出に永続的に固定されているか否かを判断すること;ステップ(d1)、(d2)、及び(d3)は、図5に示されるものと同様であり、従って、ここでは、更には記述しない点に留意すべきである。
(e1’)以下の公式に関して二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力の間の差を使用して、慣性感知装置に働く遠心力の影響を除去すること。
Ay=(R+R2)/Rx(Tvy−Tvy2)
修正Tvy=Tvy−Ay
ユーザの腕のスイングは、循環移動として表されることができ、この循環移動に起因する遠心力は、ミクロ慣性感知モジュール20’の検出、特に、感知モジュール20’のY軸上に配置された加速度計に対して、悪影響を及ぼす重力振動を引き起こそうとすることが知られている。従って、Y軸加速度計212’と第2のY軸加速度計214’との間の加速度の差を使用して、このような誤差を修正することが意図される。図11に示されように、Y軸加速度計212’は、Y軸加速度計212’は、第2のY軸加速度計214’の位置よりもディスプレイ40により近い位置に配置されている。即ち、第2のY軸加速度計214’は、回転中心Cから距離R2に位置されていると共に、Y軸加速度計212’は、第2のY軸加速度計214’の背後の距離R2の位置に位置されており、それによって、遠心力が以下の公式によって計算されることができる。
Tvy=Ay+Gsinθ=(R+R2)×ω2+Gsinθ=R×ω2+R2×ω2+Gsinθ
Tvy2=Ay2+Gsinθ=R2×ω2+Gsinθ
Tvy−Tvy2=R×ω2
ω2=Tvy−Tvy2/R
ここで、Tvyは、Y軸加速度計の傾斜信号であり;
Tv2は、第2のY軸加速度計の傾斜信号であり;
Ayは、Y軸加速度計によって検出された遠心力であり;
Ay2は、第2のY軸加速度計によって検出された遠心力であり;
Gは、重力であり;
θは、二つの共軸のY軸加速度計の軸とレベル表面との間に形成される開先角度であり;
ωは、角速度であり;
Rは、Y軸と第2のY軸加速度計との間の離間距離であり;
R2は、第2のY軸加速度計と回転中心との間の距離である。
図12(a)と図13(a)は、夫々、遠心力によって及びY軸加速度計が循環的に動いている時の遠心力によってY軸加速度計が影響を受けている場合のY軸加速度計の検出を示すプロファイルであり、且つ図12(b)と図13(b)は、夫々、修正された加速度のプロファイルを示す図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)を参照する。図に示されるように、修正された後、穏やかな凹凸を有する加速度プロファイルが達成されることができ、それによって、Y軸に対する遠心力の悪影響が減少されることができる。
(e2’)X軸の生の傾斜信号と安定化されたX軸傾斜信号との差の中間値としてX軸振動信号を登録すること。即ち、公式:Difx=(Tvx−Avx)/2に従ってX軸振動を計算すること。
Y軸の生の傾斜信号と安定化されたY軸傾斜信号との差の中間値としてY軸振動信号を登録すること。即ち、公式:Dify=(Tvy−Avy)/2に従ってY軸振動を計算すること。
X軸振動信号をX軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたX軸傾斜信号を捕獲すること。例えば、公式:Tvx’=Tvx−Difxに従って変更されたX軸の生の傾斜信号を計算すること。
Y軸振動信号をY軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたY軸傾斜信号を捕獲すること。例えば、公式:Tvy’=Tvy−Difyに従って変更されたY軸の生の傾斜信号を計算すること。
(e3’)変更されたX軸の生の傾斜信号からX軸加速度計の初期信号の減算値としてX軸振動を登録することと;修正されたY軸の生の傾斜信号からY軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸振動を登録すること。即ち、Dx=(Tvx’−inx)、Dy=(Tvy’−iny)。
(e4’)ディスプレイ40上に表示されるカーソル41の移動を制御するための座標信号として差(Dx、Dy)をマッピングすると共に、カーソルを制御するためのカーソル制御回路33へその座標信号を出力すること。ステップ(e2’)乃至(e4’)は、図5のステップ(e1)乃至(e3)に類似しており、従って、ここでは、更には記述されないことに留意すべきである。
【0046】
上記から、本発明の方法と装置は、以下の特徴を有することを留意すべきである。
(1)図5のステップ(c)と図10のステップ(c)としてのモード検出のステップによって、本発明の三次元慣性感知装置は、頁めくりモードとカーソル制御モードとの間で切り替えでき、それに対応して、カーソル制御プロセスと頁めくりプロセスから成る群から実行されるべきプロセスを選択できる。
(2)図5のステップ(d21)と図10のステップ(d21)によって、複数の頁が、三次元慣性感知装置を保持する手のスイングによってめくられることができ、且つ図5のステップ(d4)と図10のステップ(d4)によって、手のスイングが、1頁のみをめくるように制御されることができる。
(3)信号振動は、図5のステップ(e1)と図10のステップ(e2’)によって修正されることができる。
(4)Z軸の加速度計の配置によって、ミクロ慣性感知モジュール20’が上下逆さま、即ち、仰向けに位置決めされると、Z軸加速度計213’の検出が、ミクロ慣性感知モジュール20’を起動してカーソル制御と頁めくり制御に関して逆さまに動作する。
(5)慣性感知装置を定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のY軸上に共軸状に配置された二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力の間の差を使用することによって、慣性感知装置上に働く遠心力の影響が減少されることができる。
(6)従来の加速度計装置と方法に共通する累積された総合誤差が回避されるので、三次元慣性感知装置と方法の制御の正確さは高い。
(7)本発明の三次元慣性感知装置は、操作が容易である。
【0047】
本発明の好適な実施形態が、開示目的で記述されたが、本発明の開示の実施形態の変更並びに本発明の他の実施形態は、当業者によって思いつかれるかもしれない。従って、添付の請求項は、本発明の精神と範囲から逸脱しない全ての実施の形態をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】米国特許第5,874,941号に開示されるプレゼンテーション支援デバイスを示す。
【図2】台湾国特許出願第90221010号に開示された重力マウスである。
【図3】本発明の第1の好適な実施形態に従う慣性感知装置を示す概略図である。
【図4】図3の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の好適な実施形態に従う慣性感知装置の動作ステップを示すフローチャートである。
【図6(a)】振動修正を含まないX軸加速度計によって検出された加速度を示す。
【図6(b)】振動修正を含むX軸加速度計によって検出された加速度を示す。
【図7(a)】振動修正を含まないY軸加速度計によって検出された加速度を示す。
【図7(b)】振動修正を含むY軸加速度計によって検出された加速度を示す。
【図8】本発明の第2の好適な実施形態に従う慣性感知加速度計を示す概略図である。
【図9】図8の機能ブロック図である。
【図10】本発明の第2の好適な実施形態に従う慣性感知装置の動作ステップを示すフローチャートである。
【図11】本発明に従う、Y軸加速度計と第2のY軸加速度計の相対的位置決めを示す。
【図12(a)】Y軸加速度計が遠心力によって影響を受けている時のY軸加速度計の検出を示すプロファイルである。
【図12(b)】遠心力の影響が除去される時の、Y軸加速度計の検出を示すプロファイルである。
【図13(a)】Y軸加速度計が循環的に移動している時の遠心力の修正を含まないY軸加速度計によって検出される加速度を示す。
【図13(b)】Y軸加速度計が循環的に移動している時の遠心力の修正を含むY軸加速度計によって検出される加速度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーソル制御のための三次元慣性感知方法であって、
ミクロ慣性感知モジュールを使用して生の傾斜信号を適宜発生するために重力加速度を検出するステップと;
安定化傾斜信号を得るために生の傾斜信号を低域フィルタリングするステップと;
ミクロ慣性感知モジュールの初期信号を登録するステップと;
生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップと;
補償傾斜信号と初期信号との間の差を計算するステップと;
ディスプレイに表示されるカーソルの移動を制御するために座標信号として差同士をマッピングするステップと、を備える三次元慣性感知方法。
【請求項2】
ミクロ慣性感知モジュールは、
ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関してミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度変動を測定するためのX軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる重力加速度変動を測定するY軸加速度計と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップは、更に
X軸加速度計によって検出されたX軸振動信号をX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;
Y軸加速度計によって検出されたY軸振動信号をY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;
修正されたX軸の生の傾斜信号からX軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸変動を登録するステップと;
修正されたY軸の生の傾斜信号からY軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてY軸変動を登録するステップと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
X軸とY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップは、
X軸の生の傾斜信号と安定化されたX軸の傾斜信号の差の中間値としてX軸振動信号を登録するステップと;
Y軸の生の傾斜信号と安定化されたY軸の傾斜信号の差の中間値としてY軸振動信号を登録するステップと;
X軸振動信号をX軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたX軸傾斜信号を捕獲するステップと;
Y軸振動信号をY軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたY軸傾斜信号を捕獲するステップと、を備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ミクロ慣性感知モジュールは、更に、X軸加速度計とY軸加速度計によって夫々検出されるミクロ慣性感知モジュールのローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して、重力加速度を検出するために使用されるZ軸加速度計を備え、それによって、ミクロ慣性感知モジュールの位置決めに関する情報を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ミクロ慣性感知モジュールは、更に、指定された距離だけY軸加速度計から離間された第2のY軸加速度計を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
慣性感知装置に働く遠心力の影響は、以下の公式に関して二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力同士間の差を使用することによって除去できる:
Ay=(R+R2)/Rx(Tvy−Tvy2)
修正Tvy=Tvy−Ay
ここで、Ayは、Y軸加速度計によって検出される遠心力であり;
Rは、Y軸と第2のY軸加速度計との離間距離であり;
R2は、第2のY軸加速度計と回転中心との間の距離であり;
Tvyは、Y軸加速度計の傾斜信号であり;
Tvy2は、第2のY軸加速度計の傾斜信号であり;
すなわち、修正Y軸傾斜信号は、遠心力Ayを生のY軸傾斜信号Tνyから引き算することによって得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ミクロ慣性感知モジュールは、加速度の変動の測定結果を受信し、生の傾斜信号を発生できる中央演算ユニットに適宜連結され;中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するための無線送信機に接続され;無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能することが可能であり;ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
頁めくりを指示するための三次元慣性感知方法であって、
ミクロ慣性感知モジュールを使用して、生の傾斜信号を発生するための重力加速度を適宜検出するステップと;
安定化傾斜信号を得るために、生の傾斜信号を低域フィルタリングするステップと;
X軸とY軸に関してミクロ慣性感知モジュールの傾きがバランスの範囲内に入るか否かを検出し、もしそうならば、検出を続け;そうでない場合、検出の後のステップが実行されるステップと;
生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えているか否かを判断し、もしそうならば、頁めくりが有効とされ;そうでない場合、プロセスが前述のモード検出ステップへ戻るステップと、を備える三次元慣性感知方法。
【請求項10】
生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えている間、連続的頁めくりが実行され、生の傾斜信号が一時的ではなく、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
連続的頁めくりが停止され、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定されないとすぐ、プロセスがモード検出ステップに戻る、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ミクロ慣性感知モジュールは、ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関して、ミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するための少なくともX軸加速度計を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ミクロ慣性感知モジュールは、加速度変動の測定値を受信でき、従って生の傾斜信号を適宜発生できる中央処理ユニットに連結され、;中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するための無線送信機に接続され;無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能することが可能であり;ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
バランスの範囲は、生の傾斜信号がバランスの範囲内に入るか否か判断するために使用されるようにミクロ処理ユニットにおいて定義され、もし、そうであるならば、ミクロ慣性感知モジュールが、バランス状態にあり、そうでない場合、ミクロ慣性感知モジュールは、アンバランス状態にある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バランスの範囲は、0g±0.3g及びg=9.8m/s2として定義される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
三次元慣性感知方法であって、
ミクロ慣性感知モジュールを使用して生の傾斜信号を適宜発生するために重力加速度を検出するステップと;
安定化傾斜信号を得るために生の傾斜信号を低域フィルタリングするステップと;
ミクロ慣性感知モジュールがカーソル制御モードにあるか又は頁めくりモードにあるかを検出して、それに対応して、カーソル制御プロセス及び頁めくりプロセスから成る群から実行されるべきプロセスを選択するステップと、
を備える三次元慣性感知方法。
【請求項17】
カーソル制御プロセスは、
ミクロ慣性感知モジュールの初期信号を登録するステップと;
生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップと;
補償された傾斜信号と初期信号間の差を計算するステップと;
ディスプレイに表示されるカーソルの移動を制御するために座標信号として差同士をマッピングするステップと、を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ミクロ慣性感知モジュールは、
ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関してミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するY軸加速度計と、を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
生の傾斜信号と安定化傾斜信号に基づく信号変動量を計算し、この信号変動量を使用して生の傾斜信号を補償するステップは、更に
X軸加速度計によって検出されたX軸振動信号をX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってX軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;
Y軸加速度計によって検出されたY軸振動信号をY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号から引き算することによってY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を修正するステップと;
修正されたX軸の生の傾斜信号からX軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸変動を登録するステップと;
修正されたX軸の生の傾斜信号からY軸加速度計によって検出された初期信号の減算値としてX軸変動を登録するステップと、を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
X軸とY軸加速度計によって検出された生の傾斜信号を変更するステップは、
X軸の生の傾斜信号と安定化されたX軸の傾斜信号の差の中間値としてX軸振動信号を登録するステップと;
Y軸の生の傾斜信号と安定化されたY軸の傾斜信号の差の中間値としてY軸振動信号を登録するステップと;
X軸振動信号をX軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたX軸傾斜信号を捕獲するステップと;
Y軸振動信号をY軸の生の傾斜信号から引き算することによって補償されたY軸傾斜信号を捕獲するステップと、を備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ミクロ慣性感知モジュールは、更に、X軸加速度計とY軸加速度計によって夫々検出されるミクロ慣性感知モジュールのローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して、重力の加速度を検出するために使用されるZ軸加速度計を備え、それによって、ミクロ慣性感知モジュールの位置決めに関する情報を得る、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ミクロ慣性感知モジュールは、更に、指定された距離だけY軸加速度計から離間された第2のY軸加速度計を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
慣性感知装置に働く遠心力の影響は、以下の公式に関して二つのY軸加速度計によって夫々検出された二つの遠心力同士間の差を使用することによって除去できる:
Ay=(R+R2)/Rx(Tvy−Tvy2)
修正Tvy=Tvy−Ay
ここで、Ayは、Y軸加速度計によって検出される遠心力であり;
Rは、Y軸と第2のY軸加速度系との離間距離であり;
R2は、第2のY軸加速度計と回転中心との間の距離であり;
Tvyは、Y軸加速度計の傾斜信号であり;
Tvy2は、第2のY軸加速度計の傾斜信号であり;
修正Y軸傾斜信号は、遠心力Ayを生のY軸傾斜信号Tvyから引き算することによって得られる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
頁めくりプロセスは、
X軸とY軸に関してミクロ慣性感知モジュールの傾きがバランスの範囲内に入るか否かを検出し、もしそうならば、検出を続け;そうでない場合、検出の後のステップが実行されるステップと;
生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えているか否かを評価し、もしそうならば、頁めくりが有効とされ;そうでない場合、プロセスが前述のモード検出ステップへ戻るステップと、を備える請求項16に記載の方法。
【請求項25】
バランスの範囲は、0g±0.3g及びg=9.8m/s2として定義される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生のX軸傾斜信号の瞬時の変動が閾値範囲を超えている間、連続的頁めくりが実行され、生の傾斜信号が一時的ではなく、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
連続的頁めくりが停止され、指定の傾斜角度だけミクロ慣性感知モジュールが傾斜される時に、生の傾斜信号が永続的にミクロ慣性感知モジュールの検出に固定されないとすぐ、プロセスがモード検出ステップに戻る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ミクロ慣性感知モジュールは、ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関して、ミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するために、少なくともX軸加速度計を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
ミクロ慣性感知モジュールは、加速度変動の測定値を受信でき、従って生の傾斜信号を適宜発生できる中央処理ユニットに連結され、;中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するために無線送信機に接続され;無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能することが可能であり;ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
三次元慣性感知装置であって、
生の傾斜信号を適宜発生するために重力加速度を検出するための、ミクロ慣性感知モジュールを備え、このミクロ慣性感知モジュールは、更に、
ミクロ慣性感知モジュールを定義するX軸、Y軸、及びZ軸の直交座標系のX軸に関して、ミクロ慣性感知モジュールのローリング運動によって引き起こされる重力加速度の変動を測定するためのX軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる第1の重力加速度を測定するための第1のY軸加速度計と;
直交座標系のY軸に関してミクロ慣性感知モジュールのピッチ運動によって引き起こされる第2の重力加速度の変動を測定する第2のY軸加速度計と;
ミクロ慣性感知モジュールの生の傾斜信号を受信するための受信端と、を備える三次元慣性感知装置。
【請求項31】
ミクロ慣性感知モジュールは、更に、X軸加速度計とY軸加速度計によって夫々検出されるミクロ慣性感知モジュールのローリングとピッチングによって引き起こされる直交座標系のZ軸に関して、重力の加速度を検出するために使用されるZ軸加速度計を備え、それによって、ミクロ慣性感知モジュールの位置決めに関する情報を得る、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
第一と第二のY軸加速度計は、指定の距離だけ互いから離間されている、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
ミクロ慣性感知モジュールは、加速度の変動の測定結果を受信し、従って生の傾斜信号を適宜発生できる中央演算ユニットに連結され;中央演算ユニットは、生の傾斜信号を送信するための無線送信機に接続され;無線受信機が、無線送信機によって送信された生の傾斜信号を受信できる、従って、受信された生の傾斜信号をミクロ処理ユニットへ送信して他の後の手順によって低域フィルタリング及び処理できるように、無線送信機は、無線受信機に対応するように機能可能であり;ミクロ処理ユニットは、ディスプレイ上に表示されたカーソルの移動を制御できると共にディスプレイ上の頁めくり又は連続頁めくりを制御することができるカーソル制御回路を介してディスプレイに接続される、請求項30に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【公開番号】特開2008−152751(P2008−152751A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134204(P2007−134204)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】