説明

成分分離装置におけるプロセス流のための分離方法及び組立体

一つ又はそれ以上のプロセス流を、希望の組成を有する成分プロセス流に分離するために成分分離装置において開口セルのセル状固体材料を利用するための方法及び組立体。成分分離装置において、プロセス流を希望の成分プロセス流に分離するために前記開口セルのセル状固体材料を使用するための方法及び組立体であって、開口セルのセル状固体材料は、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、セラミック、金属、ポリマー、及び化学蒸留物を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【関連特許とのクロスレファレンス】
【0001】
本願は、2003年3月25日付け、特許文献1の一部継続出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、プロセス流からの汚染物質の濾過を提供する方法に関する。別の態様においては、本発明は、プロセス装置内のプロセス流の流体分配を提供する方法に関する。なお別の態様においては、本発明は、プロセス流内のある種の化学物質の少なくも部分的な除去及び/又は変換のための少なくも一つの反応において触媒と協同しつつ濾過又は流体の分配或いはこれら両者を提供する。なお別の態様においては、本発明は、一つ以上のプロセス流を希望組成を有する一つ以上の成分プロセス流に分離するために、成分分離装置において少なくも1個のセル状固体材料を利用するための方法及び組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
プロセス流内の汚染物質は、プロセス及びプロセス装置に対して有害であり得る。汚染物質はプロセス装置を損傷させ、環境又は安全問題における重大な結果を招く可能性がある。汚染物質は、また、プロセス装置の効率を低下させ、生産を停止させ、生産品の仕様に影響を与え、或いはその他の同様な事項によりプロセスに損害を与えることが有り得る。汚染物質は、すべての種類の供給流、排出流、又は廃出流において見いだすことができる。汚染物質は、反応装置、抽出装置、蒸留塔、ガス洗浄装置、排出ガス処理装置、焼却炉、熱交換器、ボイラー、凝結器、及び同様な諸装置のような種々の種類のプロセス装置に影響を与える可能性がある。
【0004】
プロセス装置は、装置内のプロセス流が垂直方向下向き又は上向き或いは両方に流れるように構成することができる。或いは、装置内のプロセス流が中心から半径方向外向きに又は装置の外側部分から中心に或いは双方に流れることができる。
【0005】
反応装置はプロセス装置の一つの形式である。多くの反応装置は、1個以上の固定床に含まれる離散した固体触媒粒子を含む。触媒床は、触媒床に供給されるプロセス流内の汚染物質を極めて効率的に捕捉することが普通である。しかし、かかる触媒床はこれら捕捉された汚染物質により速やかに詰まる可能性がある。床が詰まると、プロセス装置を横切る圧力低下が大きくなり、プロセス装置の早期停止の事態が生ずる。
【0006】
この問題を部分的に緩和するために、触媒床プロセス装置並びに非触媒床プロセス装置は、詰まりに対する抵抗が幾らか少ない通常の担持材床を補うことが多い。この通常の担持材床は、典型的に、プロセス装置への入口に置かれる。触媒床プロセス装置の場合は、通常の担持材床の材料は、典型的に触媒床における反応に対して不活性である。この通常の担持材床は、プロセス装置に入ってくる又は出て行くプロセス流内の塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、触媒粉末、塩、酸性不純物、沈降物又はその他の捕捉された異物粒子材料のような汚染物質の全部又は一部の捕捉又は濾過に多少は有効である。汚染物質の捕捉は、望ましくない材料がプロセス装置を詰まらせ又は害を与え又は傷つけることを防ぐためである。これら通常の担持材床が不活性であるときは、これらは、ペレット、リング、サドル又は球の形状でかつ衝突、高温及び/又は高圧に耐えられる普通のセラミック材料で作られることが普通である。これら通常の担持材床はプロセス装置が詰まることを防ぐには多少は有効であるが、最終的には、通常の担持材床それ自体が詰まってしまう。
【0007】
通常の担持材床は、プロセス装置を横切るプロセス流の流れに対して直角方向のプロセス流の流れの分布を促進する。かかる挙動は、ここでは直角流の分布と呼ばれるであろう。一例として、上向き又は下向きに流れるプロセス装置においては、プロセス流の流れは軸方向であり、直角流の分布は半径方向にある。
【0008】
通常の担持材床の効率を上げるために、プロセス装置は、塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、触媒の微粉、沈降物、又はその他の捕捉された異物粒子材料のような汚染物質で詰まることを遅らせるように、穴空き円板又は網かごに加えて種々の大きさ及び形状の材料の級別の層が使用されてきた。
【0009】
プロセス装置の入口で汚染物質に暴露された通常の担持材床は、最後は汚染物質により詰まるであろう。これが発生すると、プロセス装置を横切る圧力低下が大きくなり、装置の最終的な停止が生ずる。触媒床プロセス装置においてこれが生ずるときは、触媒床それ自体が汚染物質で一部又は完全に詰まってしまうことが普通である。プロセス装置のかかる停止の後は、通常の担持材料の詰まった部分並びに触媒床の詰まった部分のスキミング又は除去が必要である。
【0010】
プロセス流内の汚染物質による詰まりに加えて、触媒床プロセス装置に供給されるプロセス流内に見られるポリマー前駆物質、例えばジオレフィンの重合もかかるプロセス装置を汚染し、粘着させ、又は詰まらせることがある。特に、二つの重合の機構、即ち、遊離基重合及び縮合重合が、触媒床を汚染し、粘着させ、又は詰まらせる。遊離基重合を管理するための酸化防止剤の添加は、プロセス流が酸素に遭遇する場合に有用であることが見いだされている。ジオレフィンの縮合重合は、有機ベースの供給物が加熱された後で生ずることが典型的である。従って、プロセス流が触媒床に入るより前の濾過は、装置内で重合反応が一般に生ずるときの汚染の除去には有用でない。
【0011】
汚染物質による詰まりがなくかつプロセス流から汚染物質を効率的にかつ効果的に除去する担持材を持つことが極めて望ましい。効率は、かかる材料によりプロセス流から除去される汚染物質の百分率並びにかかる材料により除去し得る汚染物質の大きさの範囲に関係する。有効性は、かかる材料が、担持材を通過する汚染されたプロセス流の流れを妨げない程度を呼ぶ。かかる材料は、プロセス装置を横切る容認できない圧力低下の増大を生ずることなく、かつ広範囲の大きさの汚染物質をプロセス流から事実上全部除去することが望ましい。直角流の分配を促進する担持材を有することもまた非常に望ましい。プロセス流の濾過及び流れの分布のための本発明の方法は、従来から提案されている従来技術の方法と比較して、汚染物質の高効率かつ高効果的な濾過の提供;触媒床プロセス装置の寿命及び触媒の活性の増加;触媒の損失の減少;プロセス装置の構成の最適化を許す製品の選択性の向上と生産量/生産性の増大;プロセス装置内への及び装置内におけるプロセス流の直角流の分布の改良;及び通常の担持材により装置を横切る圧力低下が容認できないレベルに上昇したときにプロセス装置をラインから外す必要を無くすことの利点を持つ。これらの便益は投資及び運転費の節減、停止時間の短縮、プロセス装置の性能の向上、及びプロセス装置の運転時間の増加をもたらすであろう。
【0012】
通常の担持材床の弱点は、濾過装置としてこれらが特に効率的でなくかつ効率的でもないことである。通常の担持材床は、ある限定された期間に対して、プロセス流からある種の汚染物質を除去する場合に有効であることが典型的である。こうして捕捉された汚染物質は、典型的に50ミクロン以上である。通常の担持材床の有効性は最終の詰まりにより悪化される。この詰まりは通常の担持材床を通過する汚染物質を含むプロセス流の流れを妨げて、プロセス装置の圧力低下を容認できないほどに大きくする。更に、通常の担持材床は、上部の152mm(6インチ)から305mm(12インチ)の深さ内で汚染物質を捕捉するように見える。より深い通常の担持材床は、これら材料の捕捉容量を大きくさせることがない。このため、本技術においては、50ミクロンより小さい粒子状汚染物質を除去する濾過方法であって、プロセス装置の圧力低下の著しい増大なしに汚染プロセス流の自由流れを許しつつ粒子状汚染物質を濾過し、更に床の深さと拘わりなしに床の深さと共に増加する濾過容量を有する濾過方法が探索されてきた。
【0013】
プロセス装置における現在の直角流の分配の設計及び方法に伴う欠点は、プロセス装置内の不十分な分布の発生である。粒子状汚染物質又は望ましくない重合反応の産物により生ずるような詰まり又はその他の汚れも不十分な分布を発生させる。不十分な分布はチャネリングを発生させ、そして対応してプロセス装置の諸部分の迂回が生じ、汚染物質除去の効率を下げ、そして装置の効率を低下させる。通常、不十分な分布の問題は、いわゆる温度のホットスポットにより確かめられる。かかるホットスポットは、例えば、触媒床プロセス装置におけるコーキングの増大及び活性度の低下を導く可能性がある。不十分な分布の問題及びコーキングに加えて、圧力低下の増大が、消耗の増大の結果として触媒の崩壊を導く。このため、本技術において、プロセス装置内でプロセス流をより均等に分布させ、汚染物質の効率的な濾過を提供し、ホットスポットの発生を減らし、触媒の消耗を最小とし、かつ好ましくは重合反応により生ずる汚れを最小にする直角流の分布方法が探索されてきた。
【0014】
参考文献として全部がここに取り入れられた特許文献2及び特許文献3は、化学反応装置において有機の供給流を濾過し分布させるために使用される網状組織のセラミック材料を説明する。有機ベースの流れとは別の種類のプロセス流に対し、及び化学反応装置とは別の種類のプロセス装置に対する濾過及び流れ分配能力について要求が存在する。
【0015】
全てのプロセス流及び全てのプロセス装置について濾過及び流れ分布の方法に対して、プロセス流から汚染物質を除去するために使用される材料の濾過効率及び有効性の向上、プロセス装置内の直角流の分布の改善、圧力低下以外の要因により決定される装置の運転期間の増加、プロセス設備を横切る圧力低下の最小化、並びにプロセスの安全性を最大としかつ触媒床のチャネリング及び流れの誤分布、温度のホットスポット及びプロセス装置の停止及び始動より生ずる環境関連事項の最小化が望まれる。
【0016】
成分分離装置は、プロセス流を希望の組成を有する複数の成分プロセス流に分離するために実験室、パイロットプラント、及び産業用設備において伝統的に使用されてきたプロセス装置の一つの特別な形式である。いかなる成分分離装置に関しても、供給流を「プロセス流」と呼び、装置からの製品流を「成分プロセス流」と呼び、更に装置内の個々の液相又は蒸気相を「相」と呼ぶことができる。成分の分離中、ある一方向に動いている相と反対方向に動いている相とは、成分分離装置内で互いに接触し、この2相間の界面において物質移動を引き起こす。この物質移動の結果として成分の分離が達成される。物質移動の一結果として、各が希望の成分を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流を形成するように一つ又はそれ以上のプロセス流が分離される。典型的に、相と相との間の接触及び物質移動を促進するために、装置内に複数のトレー及び/又はパッキング要素が位置決めされる。トレーは、典型的に、水平に互いに積み重ねられ、一方、パッキング要素は不規則に詰め込まれ又は決まった形に形成される。不規則に詰め込まれた要素は、一般に、互いに相互間の特別な方向付けを持たないが、決まった形にされた要素は特別な全体形状及び相互の方向付けを持つ。
【0017】
成分分離装置の例は、例えば、蒸留装置、クロマトグラフ装置、吸着装置、抽出装置、及びこれらの組合せが含まれる。蒸留装置は、装置に供給されるプロセス流内の種々の成分の沸点の差に基づいて成分の分離を行う。蒸留装置には、例えば、蒸留塔、分留塔、スプリッター、半連続蒸留装置、連続蒸留装置、フラッシュ蒸留装置、回分蒸留装置、放散塔、精留塔、抽出蒸留装置、共沸蒸留装置、及び真空蒸留装置が含まれる。吸着装置及び抽出装置は、蒸気相と液相とが接触し、一方の相の成分に対する他方の相の成分の新和性に基づいて希望の成分の分離を達成する。例えば、成分AとBとを含んだプロセス流を一つの位置からかかる装置に入れ、同時に、成分Cを含んだ別のプロセス流を別の位置から入れる。これらのプロセス流の一方は典型的に液体であり、一方、他方のプロセス流は液体又は気体である。ここで、成分Bは成分Cに対して成分Aよりも大きい親和性を有するとする。適切に設計され運転された接触装置におけるこの二つの流れの密接な接触により、成分Bが本質的になく成分Aを含んだ一つの製品流及び成分Cと本質的に全ての成分Bとを含んだ第2の製品流が得られるであろう。かかる装置の商業的使用はAからBの直接的分離の困難さに対するCからBの直接的分離の困難さの相違により推進される。この例において、第1の製品流は放出体と呼ばれ、第2の製品流は吸着体と呼ばれるであろう。吸着装置の特別な例は、連続吸着装置、温度変化吸着装置、圧力変化吸着装置、パージ/濃度変化吸着装置、及びパラメトリックポンプを含む。抽出装置は、混合しない液相を接触させ、そして大量の分離用薬剤を使用して成分の分離を達成する接触装置である。上の例において、第2の製品流内の成分Cが大量の分離用薬剤である。抽出装置の例は芳香族抽出装置であり、これにおいて、芳香族物質と非芳香族物質とを含んだ炭化水素の流れがスルフォラン又はモルフォリンのような分離用薬剤の大量と接触し、これら2種の混合しない液体の効率的な接触により、芳香族物質が炭化水素流から大量の分離用薬剤内に抽出される。成分分離装置は、成分分離装置における希望の化学反応を促進するために触媒材料の区域を含むこともできる。かかる装置の例は、反応蒸留装置及び抽出蒸留装置を含む。成分分離装置における分離を達成し又は強化するために使用される通常の装置の例は、例えば、トレー、不規則に詰め込まれたリング又はサドル、網、モノリス、金網又は同等品を有し決まった形に構成された包装、収集装置、分配装置、降下管、壁面ワイパー、支持格子、及びホールドダウンプレートを含む。
【0018】
成分分離装置の内部において、上昇する相と下降する相との間で密接な接触が繰り返される。この接触は、トレー及び/又はパッキング材料により促進される。トレーの各部又はパッキング材料の厚さが、分離の「理論段」の数をほぼ表す。希望の分離を達成するであろう適切な数の「理論段」を作るように成分分離装置内部が設計され、又は成分分離装置装置内に位置決めされる。
【0019】
蒸留装置においては、相間の繰り返し接触は、最終的に揮発度が高く沸点の低い物質よりなる蒸気相と、揮発度が低く沸点の高い物質よりなる液相とを生ずる。相間のこの物質移動は、相内の物質の沸点間の差により推進される。沸点の低い物質は上昇し、沸点の高い成分は下降する。希望の成分の一つ以上の相ができると、蒸気相の一部分は上方の成分プロセス流として回収され、残りの部分は凝結し還流相として通過して、更なる物質移動のために蒸留装置内に戻る。同様に、液相の一部分は低温プロセス流として回収され、残りの部分は再沸騰され(即ち、蒸発され)、そして更なる物質移動のために蒸留装置に戻される。更に、蒸留装置の頂部と底部との間の適宜の位置において、一つ又はそれ以上の成分プロセス流が蒸留装置から回収される。
【特許文献1】米国特願第10/396,851号 明細書
【特許文献2】米国特許第6,258,900号 明細書
【特許文献3】米国特許第6,291,603号 明細書
【特許文献4】米国特許第5,399.535号 明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
成分分離装置においては、装置内で効率的かつ費用効果的な分離を達成することが極めて望ましい。また、装置内の圧力低下が小さくかつ装置のHETP(理論段相当高さ)数が小さいことも非常に望ましい。装置により達成される分離の程度は、多くの要因の中でも相間の接触量、使用されるトレーの数、使用されるパッキング材料の量と形式、装置の運転温度と運転圧力、及び相内に含まれる物質の沸点又はその他の関連の分離特性間の差により影響される。分離は、例えば、トレーの設計、装置の断面を横切る相の均一な分布を促進するための装置内における配分装置の使用、及びパッキング材料の設計によっても影響を受ける。
【0021】
成分分離装置内の従来技術のパッキング材料は、不規則に装填されるか又はある形に構成されるかのいずれかである。不規則に装填され又は「ルーズ」なパッキングは、構成されたパッキング材料より安価であるが、大きな圧力低下又は低い物質移動特性を示し、そして装置内の分離効率の悪いことにより生ずる劣悪な相の分布に悩まされた。また、トレー又は「ルーズ」なパッキング材料を使用する従来技術の装置は、腐食及び詰まりの傾向がありかつ非効率的な分離を提供していたことが証明されている。結果として、従来技術のルーズなパッキング技術は高度に設計され構造化されたパッキング技術の開発への道を技術的に与える。構造化されたパッキング材料、改良された分離効率を提供できるが、構造化されたパッキング材料の製造は、大きな装置を完璧に設計するために洗練された機械装置、熟練技術者、構成技術を必要とする。更に、これら材料は、不規則なパッキングよりも一般に製作により大きな費用を要し、かつ設置するためにより多くの休止期間が必要である。構造化されたパッキング材料は、費用がより多くかかるが、不規則なパッキングに代わりしばしば使用される。これは、構造化されたパッキング材料は圧力低下及び物質移動特性が良好であるために現存の装置よりも高い生産量を提供するためである。しかし、構造化パッキング材料の使用は、一般に詰まり又は腐食を受けないプロセスに限定されてきた。構造化パッキングはより多くの費用を要しかつ設置が難しく、このため詰まり又は腐食のため頻度の大きい交換を必要とするプロセスにおけるその使用は経済的に歓迎されない。
【0022】
従って、本発明による開発以前は、小さいHETP値における効果的な分離;比較的小さい圧力低下;詰まり及び/又は腐食に対する抵抗性;低廉な製造費及び設置費;容易な交換;及び改良された総合性能及び生産性における望ましい特性及び/又はレベルを提供する成分分離装置において、プロセス流を、希望の組成を有する成分プロセス流に分離するための方法及び設備はなかった。従って、本技術は、プロセス流を、それの蒸留、吸着及び/又は抽出を経て希望の成分プロセス流に分離する方法及び装置であって、比較的大きい圧力低下を起こさず;小さいHETP数でのより効率的な分離を示し;詰まりと腐食とに耐え;容易に交換でき;製作及び据付けの費用が小さい更に改良された全体性能と生産性とを示す方法及び装置を探求してきた。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明により、以上の利点は、プロセス流の濾過及びプロセス装置内のプロセス流の分布の一方又は双方を、希望の触媒反応と同時に行う本方法により達成された。本発明のなお別の実施例は、一つ又はそれ以上のプロセス流を、特別な形式のセル状固体材料を使用する成分分離装置において希望の組成を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離する。セルディストは、本発明において使用される特別な形式のセル状固体材料を識別するための名称である。セルディスト材料は、3次元のセル状固体である。セル状固体は、固体の構成要素又は材料及びセルより構成される。(本明細書においては「セル」と「細孔」とは同義語である。)固体材料は、セラミック、金属、ポリマー及びこれらの混合物を含むことができる。セルは、開口セル又は閉鎖セル或いはこれらの混合物を含むことができる。開口セルは、セル内への窓を有し、この窓はセル自体の寸法に等しいか又はこれより小さい寸法のものである。開口セル材料は、セルの窓を通るセル間の通路を持つ。閉鎖セル材料は窓を持たずまたセル間の通路も持たない。セル状固体には2種の構造上の基本形式、即ち、2次元及び3次元がある。2次元セル状固体は2次元に併進するセルを持つ。これは、典型的に相互連結しない平行な通路を形成する。ハニカム及びモノリスは2次元セル状固体の例である。3次元セル状固体には2種の基本的な構造形式、即ち、周期的構造及び確率的構造がある。3次元周期的セル状固体は、構造を通じて併進する単位セルが3次元で周期的であることを特徴とする。例は、中空の球及びトラス及び格子構造を含む。確率的セル状固体は、セルの寸法及び形状の変動を伴う3次元形状を持つ。この材料は、単一の繰返し単位セルを特徴とすることはない。この材料の位相の不規則性のため名称「確率的」が使用される。開口セルの確率的セル状固体の例は、セラミック発泡体である。セルディスト材料の位相は、純粋に統計的でなくかつ純粋に周期的でもない。セルディスト材料は、完全な周期性を達成しようとしたときの性質の不正確のため、及びある程度疑似的な周期性を有する確率的材料を公式化しようとするあるレベルの機会のため、意図すると否とに拘わらず二者の組合せである。実質的に開口セルを有するセル状固体は網状材料とも呼ばれる。
【0024】
セルディスト材料は、分離の要求も満たさねばならない。本発明の分離の要求は、成分分離装置における満足な容量、相の接触、及び圧力低下を達成する要求により推進される。分離に対する諸要求のため、セルディスト材料は十分な開口セルでありかつ密度の比較的低いことが要求される。十分な開口セルは、セルディスト材料内のある量の閉鎖セルの有り得る存在を認識し、平均の窓寸法が(開口セルと閉鎖セルとを含んだ)セルの平均寸法の10%より大きい、好ましくは平均セル寸法の40%より大きいように開口セル内への十分な窓を持つ。相対密度は、セル状固体の密度を固体材料自体の密度で割った値である。相対密度は、50%以下、好ましくは30%以下と低い。
【0025】
本発明により、成分分離装置は、プロセス流を希望の組成を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離するために使用される特別な形式のプロセス装置である。いかなる成分分離装置に関しても、「プロセス流」は供給流を表すことができ、「成分プロセス流」は装置からの製品流を表すことができ、そして「相」は装置内の個々の液相又は蒸気相を表すことができる。本発明に関連する成分分離装置の例は、例えば、蒸留装置、吸着装置、抽出装置及びこれらの組合せを含む。例えば、蒸留装置における成分の分離中、ある方向に動いている相と反対方向に動いている相とが成分分離装置内で互いに接触させられ両相の間の境界面において質量移動が生ずる。例えば吸着装置における成分の分離中、一つ又はそれ以上の流体相から希望の物質を、装置内に詰め込まれた(セルディストを含んだ)適切に活性化された固体材料の表面に吸着することにより質量移動が達成される。例えば、抽出装置における成分の分離中、複数の流体相が、相間の希望の質量移動を達成するように、装置内で接触させられる。この質量移動の結果として成分の分離が達成される。質量移動の結果として、一つ又はそれ以上のプロセス流は、各が希望の成分を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離される。
【0026】
本発明の関係する成分分離装置の例は、例えば、蒸留装置、吸着装置、抽出装置及びこれらの組合せを含む。蒸留装置は、装置に供給されるプロセス流内に存在する物質の沸点の差に基づいて成分の分離を達成する。蒸留装置は、例えば、蒸留塔、分留装置、スプリッター、半連続装置、連続装置、フラッシュ装置、バッチ蒸留装置、ストリッパー、精留装置、抽出蒸留装置、共沸蒸留装置、及び真空蒸留装置、並びにこれらの組合せを含む。吸着装置及び抽出装置は接触装置であり、一つ又はそれ以上の流体相が接触し、そしてある相の成分に対する他の相の成分又は装置内に詰め込まれた適切に活性化された固体吸着材料のいずれかに対する親和力に基づいて希望の成分分離が達成される。例えば、成分AとBとを含んだプロセス流をある位置からかかる装置に入れることができ、一方、成分Cを含んだ別のプロセス流を別の位置から装置に入れることができる。これらプロセス流の一方は典型的に液体であり、他方は液相又は蒸気相で有り得る。ここで、成分Bは成分Aに対するより成分Cに対して大きい親和力を有するとする。適切に設計され運転された接触装置内の2個のプロセス流の親密な接触は、本質的に成分Bがなく成分Aを含む第1のプロセス流、及び成分Cと本質的に成分Bのすべてを含んだ第2のプロセス流を作るであろう。かかる装置の商業的な使用は、AからBを直接分離する困難に対するCからBを直接分離する困難との差により推進される。吸着装置の特別な例は、連続吸着装置、温度変動吸着装置、圧力変動吸着装置、パージ/濃度変動吸着装置及びパラメトリックポンピング(parametric pumping)を含む。抽出装置は、混合できない複数の液相が接触し、そして質量分離用エージェントを使用して分離を達成する接触装置である。以上の例において、第2のプロセス流内の成分Cが、質量分離用エージェントである。抽出装置の例は芳香族抽出装置であり、これにおいては、芳香族の物質と非芳香族の物質との両者を含んだ炭化水素流がスルホラン又はモルホリンのような質量分離用エージェントと接触し、そしてこれら2種の混合しない液体の効果的な接触により、炭化水素流から、質量分離用エージェントを含んだプロセス流内への本質的にすべての芳香族の物質の抽出が得られる。成分分離装置は、成分分離装置内の希望の化学反応を容易にするために触媒材料の区域を含むこともできる。かかる例は、反応蒸留装置及び抽出蒸留装置を含む。
【0027】
本発明は、汚染されたプロセス流より汚染物質を除去する方法を提供する。この方法は、好ましくは、プロセス装置内の複数の網状要素にわたりプロセス流を通過させることにより行われる。網状要素は、汚染の除去されたプロセス流が複数の網状要素を抵抗なしに通過することを許しつつ網状要素の表面における汚染物質の濾過を強化するように、各網状要素間に大きな空間があるようにプロセス装置に不規則に詰め込まれる。表面は内面及び外面を含むことができる。本発明による網状要素は、外側面積より大きい濾過用の内側面積を持つであろう。網状要素は、発泡材料とモノリス材料とを含むことができる。発泡材料は、一般に不規則なパターンを有するが、モノリスはより均一なパターンを持つ。網状要素は、市場で入手可能な適宜の材料、例えば、通常、共にZTAとして呼ばれるジルコニア、強化アルミナで作ることができる。ZTAは、ウイスコンシン、カダハイに本拠を置くファイバー・セラミックス・インク(Fiber Ceramics, Inc.)より入手可能である。セラミックの別の適切な形式は、ニューヨーク、コーニングに本拠を置くコーニング・インク(Corning, Inc.)により製造されたモノリスである。プロセス流は、液体流、蒸気相、又は両相の組合せとすることができ、汚染物質は、塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、塩、触媒の微粉、酸性不純物、沈降物又はその他の捕捉された粒子状異物、或いはガス排出装置からの硫黄、又は硫化物を含む。プロセス流は有機由来のプロセス流も含むことができる。網状要素は、プロセス流から汚染物質の一部又は全部を除去するに十分な量で提供されねばならない。本発明の別の特徴は、更なる処理のために汚染の除去されたプロセス流を提供する段階を含むことができる。
【0028】
より特別には、本発明は、プロセス装置に入ってくるプロセス流の品質を改善するためのプロセスに関係する。例として、触媒床プロセス装置に行く有機ベースのプロセス流の質の改善が含まれる。好ましくは、触媒床プロセス装置は、個々の固体要素、固定触媒床を使用する。触媒床プロセス装置は、水素化精製装置、水素化精留装置、水素化分解装置、改質装置、アルキル化装置、脱アルキル装置、異性化装置、酸化装置、エステル化装置、及び重合反応装置を含む。個々の固体触媒粒子は、1個又はそれ以上の固定床に、上向きの流れ、下向きの流れ又は半径方向の流れの設計で収容される。
【0029】
触媒床プロセス装置に加えて、本発明の網状要素は、別形式のプロセス設備から汚染物質を除去するために使用することができる。かかるプロセス設備は、焼却炉、集塵装置、排出ガス処理装置、及び蒸留塔、並びに連続運転する各種の製造装置を含む。網状要素は、蒸留塔において汚染物質の除去に使用するときは、蒸留プロセスによる塩及びその他の汚染物質を除去する濾過装置として作用するように、蒸留塔の底部、又は適宜の位置に置くことができる。塩及びその他の汚染物質の除去は、塔を横切る圧力低下を小さくし、塔のより良い分離効率を許し、かつ塔からこれらの塩及びその他の汚染物質を取り去るために典型的に必要な停止間の時間間隔を長くする。
【0030】
本発明は、プロセス装置における直角流の分布方法も有利に提供する。この直角流の分布方法は、プロセス装置内における1個又はそれ以上の網状要素の提供を含む。網状要素がただ1個だけ使用される場合は、これは、プロセス装置の断面を効果的に満たすに十分に大きいことが典型的である。多くの網状要素が使用される場合は、これらは不規則に詰め込まれた床に配列されることが典型的でる。網状要素の形状に拘わらず、各網状要素は、網状要素を通る複数の通路を定める複数のウエブ部材を持つ。従って、プロセス流は、各網状要素のウエブ部材により定められた複数の流路を通過するので、複数の網状要素と接触したプロセス流はより小さい複数の流体流に細分される。網状要素が使用されたとき、網状要素内の流路を通るプロセス流の流れ及び網状要素間の空虚な空間を通るプロセス流の流れが、プロセス装置を通るプロセス流の流れに対して直角方向の効果的な流れの分布を提供するために使用される。この方法は、プロセス装置内の適宜の位置において、プロセス装置からの出口において、又はこれら位置の適宜の組合せにおいて、プロセス装置に流入するプロセス流に対して提供することができる。この方法は、プロセス流からの汚染物質の除去と同時にプロセス流に適用することができる。この方法は、プロセス流内の希望の化学物質を部分的に又は全部を除去し又は変換させるために触媒反応を遂行すると同時に適用することができる。
【0031】
本発明の追加の特徴は、種々の形状で網状要素を使用する段階を含む。形状は、例えば、実質的に球状にされたボール、モノリス、正方形、ラッシヒリング、サドル、中空円筒体、孔空き円板、円板、単一シート、及び中実円筒体を含む。各形状は個々の仕様に応じた寸法とすることができる。使用し得る形状に対する寸法は、直径が約3.18から50.8mm(1/8から2インチ)の実質的に球状のボール;幅が約3.18から50.8mm(1/8から2インチ)で長さが約3.18から50.8mm(1/8から2インチ)のモノリス;幅が約3.18から50.8mm(1/8から2インチ)で長さが約3.18から50.8mm(1/8から2インチ)の正方形;内径が約3.18から25.4mm(1/8から1インチ)で外径が約6.35から38.1mm(1/4から1 1/2インチ)でかつ高さが約6.35から50.8mm(1/4から2インチ)のラッシヒリング;半径が約6.35から50.8mm(1/4から2インチ)のサドル形;内径が約3.18から31.8mm(1/8から1 1/4インチ)で外径が約6.25から50.8mm(1/4から2インチ)でかつ高さが約6.35から76.2mm(1/4から3インチ)の中空円筒体;及び直径が約3.18から25.4mm(1/8から1インチ)で高さが約6.35から50.8mm(1/4から2インチ)の中実円筒体を含むことができる。特別注文の一体型円板又は単一シート構造は、反応装置の物理的形状に特別に適合させることができる。本発明のこの態様の更なる特徴は、網状要素を、各が選択的に孔を有する円板又は単一シートに形成できることである。本発明の更なる態様は、網状要素が、構成されたとき、反応装置の物理的形状に合わせて適合するように形成するために複数のセグメントに形成できることである。
【0032】
本発明の追加の特徴は、種々の空隙度及び細孔寸法の網状要素を使用する段階を含むことができる。網状要素は、25.4mm(1インチ)当たりの細孔数(ppi)の多い空隙度を有するように網状要素を作り得ることである。例えば、30ppiの網状要素は、本技術熟練者により検査されたとき、25.4mm(1インチ)当たり平均30個の細孔を有するであろう。従って、かかる材料の細孔の寸法はまさに1mm以下であろう。本明細書における細孔の寸法は、細孔が完全な球ではないことを認めて細孔の空洞の一般的な寸法である。細孔寸法の別の重要な要素は細孔に開口している窓の寸法である。細孔内に捕捉され又は濾過される最大粒子寸法を決定するのはこの寸法である。本発明の網状要素の空隙度の範囲は、約4から約800ppiである。これにより、粒子の装填及び圧力低下の制限を含んだ応用の制限に対する網状要素の寸法及び形状のカスタム化を可能とする。網状要素を通る複数の流路を形成している複数のウエブ部材により定められる網状要素の細孔は約6mmから約100ミクロンの範囲とすることができる。これら材料の表面積は、ppiの値を一定に保ったままで変えることができる。
【0033】
本発明の追加の特徴は、広い寸法範囲の汚染物質を除去するように同じプロセス装置において異なる細孔寸法を有する網状要素を使用する段階を含み得ることである。本発明の材料は、寸法が約1ミクロン以上の汚染物質を濾過することができる。市場で入手できる担持材料は約50ミクロン以上の粒子を捕捉することができる。
【0034】
本発明の別の特徴は、プロセス装置の全長にわたり複数の網状要素の準備を有利に提供する。プロセス装置の至るところで、複数の網状要素と、触媒又は複数の触媒、或いは構成されたパッキング材料又は同等品のようなその他の材料とを混合することができる。
【0035】
本発明の別な態様により、汚染されたプロセス流と網状要素とを接触させる段階は、汚染されたプロセス流と接触する前に網状要素に触媒を置く段階を含むことができる。本発明のこの態様の別の特徴は、6B族の金属又は8族の金属或いはこの両者でコーティングした多孔性アルミニウムを含む選定された触媒の実質的に一様なコーティングを有する基層としての網状要素の使用を含む。好ましくは、6B族金属はモリブデンであり、8族金属はニッケル又はコバルトである。より好ましくは、6B族金属及び8族金属は、網状要素内に含浸される。本発明の方法は、触媒床の運転寿命を延ばすに有用である。触媒で活性化された網状要素は、ジオレフィン又はその他のポリマー前駆物質を反応させ、かつ濾過装置として、更に流れの分布装置として利用することができる。固体を濾過しかつポリマー前駆物質、例えばジオレフィンに部分的に作用することにより、触媒の汚れが減らされ、反応装置の運転時間を効果的に延ばす。
【0036】
本発明の別な態様により、濾過方法は、下流の設備の汚れ又は詰まりを減らすために固体粒子物質及びプロセス装置内で形成される沈降物を濾過する段階を含むことができる。本発明のこの態様は、1個又はそれ以上の網状要素の準備;粒子状物質又は沈降物を含んだプロセス流と網状要素との接触;プロセス流からの粒子状物質及び沈降物の除去;及び更なる処理のための粒子状物質と沈降物とが比較的ないプロセス流の提供の諸段階を含むことができる。網状要素は、プロセス装置内の1以上の位置、又はプロセス装置の出口、或いはこの両者の組合せに置くことができる。沈降物除去の方法は、更なる処理のために沈降物の比較的ないプロセス流を提供するために蒸留塔において使用することもできる。触媒床プロセス装置においてプロセス流を濾過する本発明の方法は、従来の方法と比較し、必要な担持材の量を減らし;設備費を減らし;供給流からの固体粒子物質の濾過を改善し:システムを横切る圧力低下を減らし;反応装置の運転時間を長くし、活性力の高い触媒の使用を許して運転費用を減らし;プロセスの安全性を高め;更に環境関連の問題を減らす利点を持つ。
【0037】
本発明の別の態様により、以上の利点は、少なくも一つのプロセス流を、成分分離装置においてセルディスト材料を使用して、希望の成分を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離するためのこの設備及び方法により達成することができた。
【0038】
この方法は、成分分離装置内にセルディスト材料を準備し、成分分離装置(以下「装置」と呼ぶ)の少なくも一つの区域内にセルディスト材料を置き、プロセス流の一つ又はそれ以上の相をセルディスト材料の含まれる区域内に導き、質量移動を容易にするためにセルディスト材料の表面又はその近くにおいて二つ又はそれ以上の相を接触させ、そして装置からから一つ又はそれ以上の相の少なくも一部分を一つ又はそれ以上の成分プロセス流として回収する諸段階を含み、成分プロセス流は希望の成分を含む。
【0039】
本発明の特徴は、セルディスト材料の区域から出たとき、相が希望の成分を有することである。一つ又はそれ以上の成分プロセス流を、装置の頂部と装置の底部との間の一つ又はそれ以上の位置から回収することができる。一実施例においては、セルディスト材料の表面は、装置内のセルディスト材料1立方メートル当たり約4000平方メートルまでの表面積を持つ。好ましくは、セルディスト材料の表面は、装置内のセルディスト材料1立方メートル当たり約250−4000平方メートルの範囲の表面積を持つ。
【0040】
一態様においては、装置内のセルディスト材料の固体成分は、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、セラミック材料、金属材料、ポリマー材料、及び化学蒸着材料、又はこれらの混合物よりなるグループから選定することができる。セルディスト材料は、耐食性材料から又は卓越して炭化ケイ素から形成することもできる。
【0041】
本発明の特徴は、成分分離装置がセラミック材料及び1個又はそれ以上の通常の装置内容物の両者を含むことである。装置に入ってくるプロセス流は、蒸気流、液体流、又は両者の混合である。装置内に含まれる一つ又はそれ以上の相は、装置内に設置されたセルディスト材料の一つ又はそれ以上の区域を通過することができる。
【0042】
本発明の別な態様により、成分分離装置における少なくも一つのプロセス流の成分を変える方法は、装置内でセルディスト材料の少なくも1個の床を位置決めし、少なくも一つのプロセス流から二つ又はそれ以上の希望の相を作り、二つ又はそれ以上の相にセルディスト材料の少なくも1個の床を通過させることを含み、これにより二つ又はそれ以上の相がセルディスト材料を通過するときに相の成分を変化させ、これにより希望の成分を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り、そして装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する。本発明の特徴は、一つ又はそれ以上の成分プロセス流が、装置の頂部と装置の底部との間の位置から回収されることである。一態様においては、セルディスト材料の床は装置の断面形状に合うように特別に作られる。別の態様においては、セルディストの床は複数の不規則に詰め込まれた要素からなる。
【0043】
本発明の別の態様により、蒸留装置における蒸留により少なくも一つのプロセス流の成分を変える方法は、蒸留装置内でセルディスト材料の少なくも1個の床を位置決めし、少なくも一つのプロセス流から希望の相を作り、相にセルディスト材料の少なくも1個の床を通過させることを含み、これにより相がセルディスト材料を通過するときに相の成分が変化され、これにより希望の成分を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り、そして蒸留装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する。本発明の特徴は、一つ又はそれ以上の成分プロセス流が、蒸留装置の頂部と分留装置の底部との間の位置から回収されることである。一態様においては、セルディスト材料の床は蒸留装置の断面形状に合うように特別に作られる。別の態様においては、セルディストの床は複数の不規則に詰め込まれたセルディスト要素からなる。
【0044】
本発明の別の態様により、吸着装置における吸着により少なくも一つのプロセス流の成分を変える方法は、吸着装置内でセルディスト材料の少なくも1個の床を位置決めし、少なくも一つのプロセス流から2個又はそれ以上の希望の相を作り、二つ又はそれ以上の相にセルディスト材料の少なくも1個の床を通過させることを含み、これにより二つ又はそれ以上の相がセルディスト材料を通過するときにこれらの相の成分が変化し、これにより希望の成分を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り、そして吸着装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する。本発明の特徴は、一つ又はそれ以上の成分プロセス流が、吸着装置の頂部と吸着装置の底部との間の位置から回収されることである。一態様においては、セルディスト材料の床は吸着装置の断面形状に合うように特別に作られる。別の態様においては、セルディストの床は複数の不規則に詰め込まれたセルディスト要素からなる。
【0045】
本発明の別の態様により、抽出装置における抽出により少なくも一つのプロセス流の成分を変える方法は、抽出装置内でセルディスト材料の少なくも1個の床を位置決めし、少なくも一つのプロセス流から希望の相を作り、相にセルディスト材料の少なくも1個の床を通過させることを含み、これにより相がセルディスト材料を通過するときにこの相の成分が変化し、これにより希望の成分を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り、そして抽出着装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する。本発明の特徴は、一つ又はそれ以上の成分プロセス流が、抽出装置の頂部と抽出装置の底部との間の位置から回収されることである。一態様においては、セルディスト材料の床は抽出装置の断面形状に合うように特別に作られる。別の態様においては、セルディストの床は複数の不規則に詰め込まれたセルディスト要素からなる。
【0046】
本発明の別の態様は、成分分離装置における質量移動によりプロセス流を成分プロセス流に分離することを促進することを含む。装置は、好ましくは1個又はそれ以上のセルディスト材料の床を持つ。かかる1個又はそれ以上の床は、複数の不規則に詰め込まれたセルディスト材料、又は装置の断面形状に合わせて特製されたセルディスト材料或いはこれらの組合せを含む。1個又はそれ以上の床の厚さは、プロセス流内の1種又はそれ以上の物質の一部又は全部の希望の分離を達成するに所要の十分な理論段数を提供するように設定される。
【0047】
なお別の態様においては、本発明は、内部に配置された少なくも1個のセルディスト材料を有する成分分離装置組立体であって、装置内の少なくも1個のセルディスト材料の量は、一つ又はそれ以上のプロセス流を、一つ又はそれ以上のプロセス流内の幾つかの物質の希望の成分を含んだ成分プロセス流に分離するに必要な理論段数を提供するに十分である。
【0048】
成分分離装置においてセルディスト材料を使用して、一つ又はそれ以上の流を、希望の成分を有する成分プロセス流に分離するための本発明による方法は、従来技術の方法と比較して、特に、複雑性の減少及び装置の設計、製作、設置、運転及び保守の諸費用の低下、及び希望の分離を達成するためのプロセス流のより効果的な混合の提供の諸利点を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明は好ましい実施例に関連して説明されるが、本発明はこの実施例に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、全ての変更、変化及び同等な事項は、特許請求の範囲により定められる本発明の精神及び範囲内に含まれることが意図される。
【0050】
図1を参照し、プロセス流を処理するための、実質的に球状のボール122の形の網状要素15(図11)を有する単一固定触媒床式のプロセス装置22が説明される。ただし、前述のようにその他の形状の網状要素15及びその他のプロセス装置を使用することができる。プロセス装置22が下降流方式のものである場合は、汚染されたプロセス流20は入口24からプロセス装置22に入るであろう。本発明は、固定触媒床式又は流動触媒床式のプロセス装置のいずれにも使用することができる。本発明は、下降流又は上昇流或いは半径流のいずれの方式においても1個又はそれ以上の固定床で使用されることが好ましい。触媒床式プロセス装置は、好ましくは、水素化清浄装置、水素化精製装置、水素化分解装置、改質装置、アルキル化装置、脱アルキル装置、異性化装置、エステル化装置、及び重合装置を含む。供給流に典型的に見いだされる汚染物質は、塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、煤煙、触媒粉末、沈降物又はその他の粒子状異物、蒸留塔内の塩類、気体流内の粒子、排出ガス装置からの硫黄又は硫化物、或いはジオルフィンのようなポリマー前駆物質を含む。限定するものではないが、反応装置内の触媒が反応装置の本来の運転を活性化するに十分である限り、プロセス流20から汚染物質を濾過する十分な量の網状要素15の層26、好ましくは層26、28が容器内に設けられる。到来したプロセス流が網状要素15を通過して流れるとき、ボール122のような網状要素15の寸法が、層26におけるある寸法から層28における別の寸法のように階層化されるように多くの層26、28を設けることができる。網状要素は、発泡材料又はモノリス材料を含むことができる。発泡材料は一般に不規則なパターンを有するが、モノリスはより均一なパターンを持つ。網状セラミック要素が使用される場合は、この網状セラミック要素は、市場で入手可能な適宜の材料、例えば、普通ZTAと呼ばれるジルコニア強化アルミナから作ることができる。ZTAは、ウイスコンシン州カダハイに本拠を置くファイバーセラミックス社より入手可能である。本発明に使用されるモノリスの例は、ニューヨーク、コーニングに本拠を置くコーニング社より入手可能である。網状要素15の階層化された大きさのため、広範囲の寸法の汚染物質の濾過が可能である。
【0051】
本発明は、汚染されたプロセス流から汚染物質を除去する方法を提供する。この方法は、汚染の除去されたプロセス流が網状材料に妨げられることなく通過できるような方法で汚染物質の濾過を強化するように、各網状要素間に空隙のある状態で、好ましくは不規則に詰め込まれた網状要素を設けることにより達成されることが好ましい。本発明は、網状要素の全部をプロセス流からの汚染物質の濾過に利用できる方法を提供する。触媒床プロセス装置においては、網状要素が汚染物質粒子を濾過する能力が無くなるより前に触媒床がその触媒の活性が無くなるように網状要素の寸法を決めることができる。この方法は、普通に入手できる担持材の上から152mm(6インチ)ないし305mm(12インチ)までが最終的には詰まる現在の方法とは対照的に網状要素の床全部の使用が可能である。かかる材料のため、プロセス流から粒子状汚染物質を除去する際は、305mm(1フィート)より厚い床は本質的に使用されない。更に、かかる材料のため、床の頂部が詰まると、装置内の圧力低下が増大し、プロセス装置から詰まった物質を除去し交換するために装置に停止が必要である。
【0052】
本発明の網状要素が実験された種々のプロセス装置からデータが収集された。本発明の網状要素は、市場で入手可能な通常の担持材より劇的に良好に使用できた。
【例1:蒸留水素化精製装置における使用】
【0053】
データは、実質的に同じ処理条件における4基の蒸留水素化精製装置用の精製装置から得られた。2基の水素化精製装置A及びBは「リンググレーディングシステム(ring grading systems)」として知られる通常の網状物質を備える。その他の2基の水素化精製装置C及びDは、本発明の網状要素を使用した。図17は、通常のリンググレーディングシステム及び本発明の網状要素を使用する4基の水素化精製装置の圧力低下の比較を示す。グラフに見られるように、網状要素を有するC及びDの水素化精製装置においては、450日を越える期間にわたり運転開始時の圧力低下と比較して低く留まり、一方、通常のリンググレーディングシステムを使用した水素化精製装置A及びBは僅か200日の使用後、顕著な圧力低下を示した。圧力低下の比較結果は表1に見ることができる。蒸留水素化精製装置内の汚染されたプロセス流は卓越して液相であった。水素化精製装置Cにおいては、圧力差は450日において僅か0.56kg/cm(8psi)であった。水素化精製装置Cにおいては、圧力差は450日において僅か0.035kg/cm(0.5psi)であった。水素化精製装置A及びBについての圧力差はそれぞれ5.80kg/cm(82.5psi)、及び3.80kg/cm(54psi)であった。比較して、本発明の網状要素を有する水素化精製装置C及びDは、通常のリンググレーディングシステムより格段に良好であった。本発明の網状要素に伴う低い圧力差のため、交換間の期間を劇的に長くすることができる。
【0054】
【表1】

【0055】
典型的な圧力低下のシナリオは、運転の最初の1カ月は圧力低下が小さいが、それから予測できないときに、比較的短期間で、詰まりの除去、除去された物質の交換及び装置の再起動のために装置を停止させねばならない点まで圧力が大きく上昇する。これにより、事象の予測ができない問題が生じ、猶予期間の極めて短い交換材料獲得の必要性又は交換材料の余分な在庫の維持或いは交換材料の供給待ちによる停止期間の延長が発生する。ここに説明された本発明による網状要素の使用により、圧力低下は、プロセス流内の汚染物質のレベル及びプロセス装置に装填された網状要素の容量に基づく予測可能な期間は低いままである。網状要素が飽和するより前に装置内の触媒を使い切るように十分な網状要素を装填することができる。
【例2:ナフサ水素化精製装置における使用】
【0056】
データは、4基のナフサ水素化精製装置を有する精製装置から得られた。3基の水素化精製装置(A、B、及びC)が通常のリンググレーディングシステムを使用し、残りの水素化精製装置(D)が本発明の網状要素を使用した。図18は4基の水素化精製装置間の圧力低下の比較を示す。200日後に、網状要素Dを有する装置は最小の圧力低下を経験した。即ち、リンググレーディングシステムを有する装置が経験した圧力低下、即ち水素化精製装置Bについての0.70kg/cm(10psi)及び水素化精製装置Cについての1.55kg/cm(22psi)と対比して、水素化精製装置Dに対する圧力低下は−0.28kg/cm(−4psi)であった。ナフサ水素化精製装置における汚染されたプロセス流は、卓越して蒸気相であった。本発明の網状要素は効率的かつ効果的に濾過したが、通常リンググレーディングシステムは詰まった。
【0057】
再び図1を参照すれば、別に記述されない限り、網状要素15は汚染プロセス流20の濾過に加えて、触媒床32に到来するプロセス流20の均一な分布及び流れを可能とする。
【0058】
層26、28内の網状材料15のウェブ部材123(図9)により定められた複数の流路120をプロセス流が通過することにより、到来したプロセス流20は、複数のより小さい流体の流れに細分され、この小さい流体の流れが更に複数回再分割され、このため、到来プロセス流は、触媒床32の線34−34に沿って、流体入口の全断面34にわたり均一に広げられる。プロセス流20は触媒床32において反応を受ける。触媒床32は離散した固体触媒粒子36を含むことが好ましい。
【0059】
本発明の方法は、触媒床プロセス装置については、粒子状汚染物質が触媒床に到達するより前にこれを濾過する。これにより、例1及び2において使用されたリンググレーディングシステムのような通常の担持材を有するシステムと比較したとき、触媒の表面積を触媒として利用できるため、触媒床の効率の向上が可能である。結果として、触媒活性度の利得を約10%から15%生ずる装置の小さい平均圧力低下のため、より小さい寸法で、触媒活性度のより大きい触媒要素を使用することができる。
【0060】
網状材料15は、出て行くプロセス流から粒子36を濾過し保持するために使用することができる。出口プロセス流に乗った小さい粒子状物質36は、網状材料の層40、42によりプロセス流38から濾過され又は捕捉されそして保持される。層40、42内の網状材料の大きさは、層40におけるある寸法から反応装置22の出口の層42における別の寸法まで階層化されることが好ましい。更に、材料の沈降物、例えば、下流の設備を詰まらせ又は汚染させる惧れのある残留石油の過度の水素化分解により形成された沈降物がプロセス装置内で形成されることがある。これら沈降物は、網状材料15により、出て行くプロセス流38から濾過することができる。層40、42内の網状材料の寸法は、層40におけるある寸法から反応装置22の出口の層42における別の寸法まで階層化されることが好ましい。或いは、本発明は、汚染されたプロセス流46が装置の下方の端部39から装置内に入りそして出口流25が反応装置22の上方の端部47においてプロセス装置から出て行く上昇流形態で使用することもできる。
【0061】
前述のように、本発明の別の利点は、汚染されたプロセス流20内のポリマー前駆物質と網状材料15との反応を活性化させ又は部分的に活性化させることである。ジオレフィンの縮合重合は、汚染されたプロセス流20が一般にプロセス装置22内への導入より前に加熱された後でプロセス装置32内で生じ、これによりプロセス装置32内で汚れを形成し、この汚れはそれ自体がゴム状であり又はプロセス装置32を詰まらせることがある。プロセス装置内で汚れが形成されるので、この流れは、流体が全断面34を横切って流れる前に汚染されたプロセス流20から濾過することができない。このため、網状材料15の層26、28、40、42にアルミナ粉末を塗布することがある。このアルミナ粉末は部分的に活性化された網状材料を形成するように触媒材料に対する基層としても作用する。ここで使用される「活性化された担持体」は、(1)触媒材料を含浸させた網状材料、又は(2)金属の酸化物、窒化物、又は炭化物となし得る網状材料、或いは(3)ゼオライト又は無機酸化物、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、シリカ−マグネシア、又はチタニアを含む網状材料を意味する。ここで使用される「部分的に活性化された担持体」は、活性化された担持体であって、ゆっくりした反応速度を達成するため又は接触材料と部分的に反応させるために、故意に活性度を小さくし又は部分的に脱活性化された担持体を意味する。
【0062】
汚染されたプロセス流に関連して、通常の幾つかの触媒の1種を含んだコーティングで被覆された網状材料15を使用することもできる。選択的であるが好ましくはアルミナを活性コーティングとして使用することができる。アルミナは触媒を強化するための担持材として使用することができる。本発明による触媒は、アルミナベースの担持体に含浸された6B族の金属又は8族のメンバー、又はこの両者を含むことが好ましい。従って、触媒は、鉄、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びイリジウムの少なくも1種と組み合わせられたクロム、モリブデン及びタングステンの少なくも1種を含む。パラジウムの使用は、エチレンからのアセチレン及びジオレフィンの除去、酸素の除去、及び水素の除去に特に有用である。6B族の金属ではモリブデンが最も好ましい。触媒は、好ましくは、約2重量%から約14重量%の6B族金属を含むであろう。8族金属ではニッケル及びコバルトが最も好ましい。触媒中の8族金属の量は、好ましくは、約0.5重量%から約10重量%である。
【0063】
図2を参照し、サドル126(図7)の形の網状材料15を有する2個の固定触媒床48、50を有する多層の固定触媒床プロセス装置46が説明されるであろう。汚染されたプロセス流51が入口52において装置46に入り、そして出口プロセス流54が出口56、60において装置から出る下降流方式の反応装置46が図示される。部分的に反応されたプロセス流58は、第1の固定床48の出口61に集められ、そして収集トレー60において引かれる。部分的に反応されたプロセス流58は、混合室64において部分的に処理されたプロセス流62として反応装置46内に再導入される前に加熱され又は冷却され又はその他の処理を受けることができる。部分的に反応されたプロセス流58は、部分的に反応されたプロセス流62が次段の触媒床50との反応のために反応装置46内に再導入されるより前に、再分布、加熱或いは要求されるその他の処理段階のために取り出すことができる。網状材料15の追加の層70は、塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、煤、触媒粉末、捕捉された沈降物又は異物粒子、蒸留塔の塩類、ガス流内の粒子、排煙装置からの硫黄又は硫化物、又はジオレフィンのようなポリマー前駆物質のような追加処理段階で使用される処理設備により捕捉され又は形成されたいかなる汚染物質も除去するための濾過及び分布を提供することができる。
【0064】
プロセス流51及び部分的に反応されたプロセス流62を濾過するに十分な量の網状材料15の層66、68、70が、反応装置46の入口52の下方及び混合室64に設けられる。到来した汚染プロセス流が網状材料15を通過して流れるとき、網状材料の15の空隙度が層66における空隙度から層68における空隙度に、更に層70における別の空隙度に階層化されるように多数の層66、68、70が設けられることが好ましい。選択的に、本発明は、通常のバスケット網72のあり又はなしで実行することができる。固定触媒床48、50が分離した固体の触媒粒子74を含むことが好ましい。
【0065】
本発明の別の特徴により、プロセス装置に全長にわたって複数の網状要素15を有利に設けることが提供される。図22に示されるように、複数の網状要素15が、触媒19をプロセス装置全体に混在させることができる。
【0066】
前述のように、本発明の利点は、これをプロセス流の分布にも使用できることである。プロセス流51は、網状要素15のウエブ部材123(図9)により定められた複数の流路120(図9)をプロセス流が通過することにより到来プロセス流を複数の小さいプロセス流に細分されることにより、濾過されている間に分配され、次いで更に複数回細分され、このため到来プロセス流は触媒床76の全流体断面にわたって均一に広げられる。次いで、供給流51は、収集板60において部分的に反応されたプロセス流58として引き出されるより前に触媒床48において反応される。次いで、部分的に反応されたプロセス流62が混合室64に流入し更に網状材料の層70を通過するときこの濾過及び分布の方法が繰り返される。
【0067】
本発明の別の特徴は、網状材料15が、外向きに流れる部分的に反応されたプロセス流58と反応されたプロセス流54とから触媒粒子74を捕捉してこれを保持するためにも使用できることである。第1の固定床48の出口61の層78、80内の網状材料126、及び第2の固定床50の出口56の層82、84内の網状材料126は、部分的に反応されたプロセス流58と反応されたプロセス流54とに捕捉された触媒粒子74を濾過し保持するために使用される。図1を参照し説明されたように、1基又は複数の固定床化学反応装置の部分的に反応され又は反応された外向きプロセス流から触媒74を捕捉し保持するために、網状材料15は、床48の層78,80、及び床50の層82、84について、図2に示されたようにある空隙度に階層化することが好ましい。選択的に、網状材料の空隙度は、小さい細孔から大きい細孔に階層化することもできる。或いは、触媒床からの沈降物を濾過するために、網状材料の空隙度を大きい細孔から小さい細孔に逆に階層化することもできる。
【0068】
本発明の更なる利点は、プロセス流51、62内のポリマー前駆物質と反応する触媒活性材料で網状材料15を活性化し又は含浸させ得ることである。図2に示されるように、網状材料15の層66、68、70は、好ましくはアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシア、シリカ−マグネシア又はチタニア或いは好ましくはゼオライトL、ゼオライトX、及びゼオライトYよりなるグループから選定されたゼオライトよりなるグループから選定された無機酸化物(これらは触媒材料の基層として網状材料に加えることができる)を含み活性化された担持体とすることができる。選択的に、網状材料は、触媒材料或いは特許文献4に開示されたような金属の酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物を含浸させることができる。この特許文献は本発明と矛盾することなく参考文献としてここに取り入れられる。
【0069】
上述のような活性化され又は部分的に活性化された網状材料は、汚れ又はガムの形成を避けるようにジオレフィン又はその他のポリマー前駆物質の水素化率を制御するために使用することができる。吸熱性反応のために部分的に反応されたプロセス流58への追加加熱が必要になったとき、層70の網状材料15も活性化され又は部分的に活性化されることが好ましい。本発明は、幾つかの通常の触媒の一つを含んだコーティングを塗布された網状材料で実行することもできる。活性的なコーティング又は担持体にアルミナを使うことができる。本発明による触媒は、網状材料に含浸された6B族金属又は8族メンバー又はこの両者、無機酸化物又はゼオライトを含む。従って、触媒は、鉄、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びイリジュウムの少なくも1種と組み合わせられたクロム、モリブデン及びタングステンの少なくも1種を含む。6B族金属ではモリブデンが最も好ましい。触媒は、好ましくは、約2重量%から約14重量%の6B族金属を含むであろう。8族金属ではニッケル及びコバルトが最も好ましい。触媒中の8族金属の量は、好ましくは、約0.5重量%から約10重量%である。
【0070】
図3は、通常の燃焼流動床式の反応装置88、90を示す。蒸気流又は空気流の入口損失及び不完全分布を減らすために、流動床化学反応装置90及び燃焼装置、又は再生装置88において、網状材料15の層86、92を使用することができる。燃焼装置又は再生装置88への流入空気93は、流れを複数の小量の流れに細分するために、網状材料の層86を通して流される。網状材料15は、図示された孔125のない1個の円板124(図6)とすることができる。しかし、これは長円形又は正方形のシート121(図9)とすることができ、或いは組立円板134(図10)を含んだ適宜の希望の形状とすることができる。選択的に、多くの円板86、92(図3)を使用することができる。また、円板124(図7)又はシート121(図9)は、選択的に孔を含むことができる。蒸気又は空気の流れを細分することにより、到来蒸気又は空気の流れの渦流を減らし、これにより特別な燃焼流動床反応装置(図3)の処理の制限に応じて、圧縮機の所要馬力を減らし又は空気流量の増大を許す。本発明の更なる利点は、細分された蒸気又は空気の流れが、燃焼装置又は再生装置88全体にわたる蒸気又は空気94の分布を均一にすることである。更に、網状材料の別の層92を、流動床反応装置90内で使用される漂っている蒸気96の分布を均一にするために使用することができる。
【0071】
或いは、通常の2段式再生装置の流動床反応装置104を示す図4において、網状材料15の層98、112を、1段式燃焼装置又は再生装置について図3において説明されたと同様に使用することができる。燃焼装置又は再生装置の第1段108への渦流入口空気102は、流れが網状材料15の層98を通って、好ましくは複数の小さい流れに細分される。好ましくは、網状材料15は、孔125なしの1個の円板124(図6)である。しかし、長円形又は正方形のシート121(図9)、或いは組立円板134(図10)を含んだ適宜の希望の形状とすることができる。選択的に、多くの円板98、112(図4)を使用することができる。また、円板124(図7)又はシート121(図9)は選択的に孔を含むことができる。同様に、第2段110については、渦流入口空気106は、流れが、網状材料15の層100を通って、複数の小さい流れに細分されることが好ましい。蒸気又は空気の流れの細分が、2段階再生装置流動床反応装置104、116のプロセスの制限に応じて、到来した蒸気又は空気の流れの渦流を減らし、圧縮の使用馬力を減らし、又は流量の増加を許す。本発明の更なる利点は、細分された蒸気又は空気の流れが、燃焼装置又は再生室108、110全体にわたる蒸気又は空気の分布を均一にすることである。更に、網状要素112の別の層を、流動床反応装置116内で使用される漂っている蒸気114の分布を均一にするために使用することができる。
【0072】
図5を参照すれば、蒸気の状態の汚染されたプロセス流を処理するための(前述のように他の形状を使用することができるが)実質的に球状のボール122(図11)の形の網状材料15を有する半径流固定床式の化学反応装置94が図示される。蒸気の状態の汚染されたプロセス流92は、入口96において半径流反応装置94に入るであろう。網状材料15の層98、より好ましくは網状材料15の層98、100が、反らせ用バッフル122とスカロップ104との間で容器内に設けられる。網状材料15の層98、100が、固定触媒床108における反応及び反応されたプロセス流112としての中央管110を通る排出より前の、汚染された蒸気供給物に捕捉された塵埃、酸化鉄、硫化鉄、アスファルト、炭塵、塩、触媒粉末、沈降物又はその他の捕捉された遺物の粒子、或いはジオレフィンのようなポリマーの前駆物質のような汚染物質の濾過を助ける。前述されたように、本発明の利点は、出口流から触媒を捕捉し保持するために、ここでは取出し用チューブ106内に示された網状材料15を使用できることである。
【0073】
別形式のプロセス設備においては、網状要素は、これを沈降物のような汚染物質を除去するために使うことができる。図15は本発明の別の実施例を示す。この実施例においては、網状要素95は、蒸留塔90において塩類のような沈降物の除去のために使用される。プロセス設備内で形成された沈降物を濾過する方法は、好ましくは網状要素間に空隙のある状態で詰め込まれた網状要素の層を設けることを含む。空隙は、網状要素の表面における小さな汚染物質の濾過を強化し、一方では網状要素の層の詰まりを防ぐために大きい汚染物質の通過を許すように変えられる。この方法は、沈降物を含んだプロセス流と網状要素との接触を更に提供し、これにより網状要素の表面における小さい汚染物質の除去によりプロセス流からの沈降物を除去し、かつ大きな汚染物質の各網状要素間の空隙の通過進行を許す。この方法は、更なる処理のための沈降物が比較的ないプロセス流を作る。
【0074】
図6は、網状要素円板124のような本発明の特別な実施例を示す。選択的に、この円板は孔125を持つ。好ましくは、選択的に網状要素で満たされたスクリーンバスケットに適応するように複数の孔が使用される。別の形状は、サドル126(図7)、中空円筒128(図8)、網状材料15の単一シート121(図9)、複数のセグメント134a−fより形成された円板134(図10)、実質的に球状のボール122(図11)、中実円柱132(図12)、ラシッヒリング130(図13)、正方形(図14)、及びモノリス(図14)を含むことができる。各形状は、個別の仕様の寸法にすることができる。使われる形状に対する寸法は、直径が約3.2から50.8mm(1/8 から2インチ)の実質的に球状のボール;内径が約3.2から25.4mm(1/8 から1インチ)、外径が約6.4から37.1mm(1/4 から1 1/2インチ)、そして高さが約6.4から50.8mm(1/4 から2インチ)のラシッヒリング;半径が約6.4から50.8mm(1/4 から2インチ)のサドル;内径が約3.2から31.8mm(1/8 から1 1/4 インチ)、外径が約6.4から50.8mm(1/4 から2インチ)、そして高さが約6.4から76.2mm(1/4 から3インチ)の中空円筒;及び外径が約3.2から25.4mm(1/8 から1インチ)、高さが約6.4から50.8mm(1/4 から2インチ)の中実円柱を含むことができる。特別注文のワンピース円板124又は単一シート構造121は、反応装置の物理的形態に合うように適合させることができる。本発明のこの態様の更なる特徴は、孔125を有する円板124又は単一シート121のいずれかで形成できることである。本発明の追加の特徴は、網状要素が、作られるとき、反応装置の物理的形状に適合した組合せシート又は円板を形成するために複数のセグメントに形成し得ることである。網状要素の空隙度は4から800ppiの範囲とすることができる。好ましくは濾過に対しては空隙度は4から80ppiの範囲である。より好ましくは、濾過に対しては空隙度は10から65ppiの範囲である。これにより、用途、大きさ、粒子の装填及び圧力低下の制限に対する網状材料15の大きさ及び形状を注文に合わせて作ることができる。網状要素の孔又は開口を取り巻いている網状要素の材料はウエブ部材123(図9)を形成し、これは、一方では流路120(図9)を定める。
【0075】
本発明は、プロセス装置内の直角流の分布方法を有利に提供する。この直角流の分布方法は、プロセス装置内に1個又はそれ以上の網状要素を設けることを含む。ただ1個の網状要素が使用されるときは、これはプロセス装置を効果的に満たすに十分に大きいことが普通である。複数の網状要素が使用される場合は、これらは不規則に詰め込まれた床になるように配置されることが普通である。網状要素の形状とは無関係に、各網状要素は、網状要素を通る複数の流路を定める複数のウエブ部材を持つ。このため、複数の網状要素と接触したプロセス流は、各網状要素のウエブ部材により定められた複数の流路を通るプロセス流の通過により複数の小さい流体の流れに細分される。網状要素内の流路を通るプロセス流の流れ及び多くの網状要素が使用されたときの、網状要素間の空隙を通るプロセス流の流れが、プロセス装置を通るプロセス流の流れに対して直角流の分布を効果的に提供する。この方法は、図19に示されるようにプロセス装置の適宜に位置においてプロセス装置内に入り、そしてプロセス装置から又はこれら位置の適宜の組合せから出て行くプロセス流に適用することができる。この方法は、プロセス流の汚染物質の濾過を提供しつつ同時にプロセス流に適用することができる。この方法は、プロセス流内の希望の化学物質の部分的除去又は完全除去或いは変換のための触媒作用を行うと同時にプロセス流に適用することができる。
【0076】
図21は、本発明の網状要素が作り得る直角流を示す。実験は、ドロッパー直径が約1.6mm(1/16 インチ)のドロッパーを使用して行われた。網状要素が、液体を、直角方向でドロッパーの直径の約7倍の直径に分布させる。流れは網状要素の下には同量には分布されない。重要な分布は直角方向の面ではなく水平方向に作られた。プロセス装置において使用されたとき、網状要素は流体を卓越して直角方向に分布させ、ここに説明されたチャネリング及びその他の諸問題を防止する。
【0077】
本発明の追加の特徴は、図20に示されるように、種々の空隙度及び空隙寸法の網状要素を使用する段階である。網状要素は、25.4mm(1インチ)当たりの細孔数(ppi)がある値を有するように製造することができる。例えば、30ppiの網状要素は、本技術の熟練者により検査されたとき、25.4mm(1インチ)当たり30個の細孔を有するであろうことを意味する。かかる材料の細孔の大きさは約1mmであろう。本文における細孔の寸法は、細孔が完全な球形でないことを認めた上で細孔の空洞の一般的な寸法である。細孔寸法の別の重要な要素は細孔内に開いている窓の寸法である。これは、細孔内で捕捉し又は濾過し得る最大の粒子寸法を決定する尺度である。本発明の網状要素の空隙度の範囲は約4から800ppiである。これが、微粒子の装填及び圧力低下の制限を含んだ用途の制限に対する網状要素の寸法及び形状のカスタム化を可能とする。網状要素の細孔は、約6mmから約100ミクロンの範囲とすることができ、各は、網状要素を通る複数の流路を形成している複数のウエブ部材により定められる。
【0078】
本発明の利点として、この濾過方法は、プロセス装置内のより効率的な濾過を提供する。汚染物質は、通常の担持材の場合と同様に網状要素の最初の2.54mm(1インチ)間におけるケークの堆積がないため、すべての濾過床を効果的に使用することができる。網状要素を通しての圧力低下は、プロセス装置が圧力低下の増加以外で運転終了状態に達するような十分な網状要素が使用される限り、低い状態に留まることができる。圧力低下の小さいことは、下流の設備の流量を減らすことなくかつ上流の設備の圧力を上昇させることもないので、装置運転の安全性を大きくする。プロセス設備は、従来の濾過方法によるプロセス設備の運転終了条件に至るまでよりも長く運転できるため、触媒変更間の運転時間が著しく増大した。
【0079】
本発明の別の利点は、触媒床の周期平均圧力低下がより小さいため、触媒床式プロセス装置において、より小型の触媒床を使用できることである。小型でかつ触媒活性の高い触媒の使用の結果は、約10%ないし15%の活性度の利得である。プロセス装置の周期当たりの平均圧力低下が小さいため、触媒の全表面面積を、反応速度の変更及び増大というその意図された目的のために使用することができる。
【0080】
本発明の別の利点は、図21に示されるように、チャネリング及びその他の流れの分布の不具合の症状を緩和するために直角流の再分布を容易にするようにプロセス装置内に種々の位置における1層又は複数層の網状要素の使用である。プロセス装置内のこのような1層又は複数層の網状要素は、プロセス装置内の粒子状汚染物質の濾過も容易にする。
【0081】
図23を参照すれば、通常のトレー12及び装置の頂部付近と底部付近とに置かれた2個の通常の分配装置11を有する従来技術の蒸留塔が示される。装置に入ってくるプロセス流は投入プロセス流151、凝結装置を出て行く塔頂液体流152の一部分、及び底部のリボイラーを出て行く蒸気流153を含む。成分プロセス流は凝結装置から出る液体流154の一部分及び装置の底部から出て行く液体流155の一部分として回収される。
【0082】
図24を参照し、プロセス流を分離するために成分分離装置内でセルディスト材料15を使用する方法及び組立体が説明されるであろう。この実施例においては、装置内の通常のトレー12の幾つかと置換してセルディスト材料15が装置内に配置される。例えば、大きくてかさ張ったトレーを小さな簡単なトレーで置換するころことができ、そして改良された分離を達成するために、装置内に作られた追加の空間をセルディスト材料15で完全に又は部分的に満たすことができる。
【0083】
図25は、通常のパッキング材料10を収容している従来技術による成分分離装置を示す。図26は、セルディスト材料15、通常の分配装置11、及び成分分離装置内の通常のパッキング10を使用している本発明の実施例を示す。
【0084】
セルディスト材料15は、所要の構造に作ることができ、かつ成分分離装置の温度、圧力、腐食及びその他の諸要求に耐え得る適宜の材料で構成することができる。プロセス流内の成分と反応しないことが望まれるときは、不活性セルディスト材料15を使用することができる。別の実施例においては、セルディスト材料15は、塩酸又は硫酸のような腐食性のものの処理を許すため、設計費、据え付け時間を減らすため、及び装置の熱損失を減らすために非金属材料から構成される。
【0085】
セルディスト材料15は、図27に示されるような通路120を形成している開口連結された細孔を有する種々の形状を取ることができる。セルディスト材料15の通路は、相の連続流がこの材料を通ることを許す。かかる通路が、セルディスト材料15を通過している相と相との間の物質移動を容易にする。セルディスト材料15は、広範囲の空隙度を示すように製造することができる。これが特別な用途に対するセルディスト材料15の空隙度のカスタム化を可能とする。また、これにより、セルディスト材料15が、装置における希望の成分分離を達成するに必要な理論段数を提供するに十分な質量及び空隙度を持つことを確実化する。セルディスト材料15は、流路120の境界を定める細孔又は開口を取り囲むウエブ部材123を持つ(図27、28)。
【0086】
セルディスト材料の空隙度は25.4mm(1インチ)当たりの細孔数(ppi)の単位で測定される。多孔性材料の空隙度は、本技術熟練者に知られるように階層化される。ミクロ多孔性材料は、一般に約5オングストロームから約5nmの最小の細孔寸法を持つ。メゾ多孔性材料は、一般に約5nmから約50nmの細孔寸法を持つ。マクロ多孔性材料は、一般に約50nm以上の細孔寸法を持つ。マクロ多孔性の細孔又はセルよりなるセルディスト材料は、図28に示されるように不規則なパターンを持つ。本発明のセルディスト材料15の空隙度の範囲は約4から約800ppiである。成分分離装置に使用される好ましい実施例においては、本発明のセルディスト材料15は約4から約30ppiの空隙度を有するであろう。セルディスト材料15における相互に連結された細孔の表面積が、装置内における相の混合及び物質移動を容易にする。一実施例においては、本発明のセルディスト材料15は、従来技術において使用されるパッキング材料及びその他の装置内部のものと比較して増加した表面積を提供し有利である。セルディスト材料1立方メートル当たり4000平方メートルまでの本発明のセルディスト材料の表面積が、従来技術のパッキング材料において典型的に提供される1立方メートル当たりほぼ60−750平方メートルの表面積と比較される。この増加した表面積が、相と相との間の接触が発生し得るより広い場所を有利に提供する。対応して増加した相と相との間の接触の程度が装置における改良された分離容量を提供する。相間の接触レベルの増加は、改良された物質移動の効率及び従来装置より低いHETPを生み出す。
【0087】
本発明の実施例において、相は、図24及び26に示されるように、装置内に置かれた1個又はそれ以上のセルディスト材料15の区域を通過する。装置に入ってくるプロセス流は液体流、蒸気流、又は両者の混合とすることができ、そして、例えば、供給流、還流、再循環流、再沸騰流、圧送循環流、圧送還流及び側流再循環流の一つ又はそれ以上を含むことができる。プロセス流は、液体−液体抽出の場合のように質量分離用材料としても機能することもできる。本発明の実施例によるセルディスト材料15を使用した蒸留は、通常の装置内で気体又は蒸気の多量の装填を達成することができる。
【0088】
一実施例においては、セルディスト材料15は、図27に示されるように単一の構成された要素である。構成された要素は、成分分離装置の内側断面内に適合するような形状及び寸法にすることができる。要素は、例えば、円板、長円形、正方形又は材料が装置の断面に適合するに必要な適宜の形状とすることができる。或いは、装置の断面が比較的大きい場合は、装置の断面にわたるように、図28に示されるように1個又はそれ以上の小さい断面のセルディスト材料15を一緒に適合させることができる。セルディスト材料が15は、装置内の単一の層を形成することができる。また、装置内で多層のセルディスト材料15を使用することができる。セルディスト材料15は、装置内のセルディスト材料の区域内における漏洩又はチャネリングの可能性を減らすためにずらしたパターンで置くことができる。装置の全長にわたって1個又はそれ以上のセルディスト材料15を置くこともできる。装置全体にわたり、多数のセルディスト材料15を1種又はそれ以上の通常装置内部要素、例えば、図24に示されるようなトレー図26に示されるようなパッキング材料、又は図24及び26に示されるような分配装置と一緒にすることができる。
【0089】
装置のセルディスト材料15の細孔内の空隙又は開口空間、及びセルディスト材料15の外面を囲んでいる空隙又は開口空間がある。典型的に、大きい空虚な空間又は空隙は大きな空隙度及び装置内の小さい圧力低下に相当し、これは分離の目的に対して望ましい。セルディスト材料15の内部空隙分は70%と大きいことが望ましい。対照的に、現在最も入手容易な金属で構成されたパッキングは約98−99%であり、非金属で構成されたパッキングでは約65%である。これら従来技術の幾つかは本発明のものより高い空隙分を持つかもしれないが、本発明のセルディスト材料15の増加した表面積に伴う質量移動効率の増加のため、装置は、より低いフラッジング数(flooding number)で運転することができる。このことにより、本発明によるセルディスト材料15を有し運転される装置は、大きい空隙%を有する従来技術の材料を使用している装置と同じ、又はより良い生産性が得られ好ましい。
【0090】
セルディスト材料15は、従来技術のパッキング材料と比較して良好な湿潤性を示す。湿潤性は、パッキング材料の表面上の相の接触と分布のレベルに関係し、そして材料の構造の影響を受ける。湿潤性の高い値は、装置内の相の不具合な分布を避けるために決定的である。
【0091】
一般に、圧力低下が小さく所与のフラッジング数において高い理論段数を達成するパッキング材料は、効果的で好ましいパッキング材料である。目標は、使用するパッキング材料の量を最小にし、しかも希望の分離を生ずるであろう理論段数を作ることである。本発明のセルディスト材料15は、成分分離装置に使用される従来技術の材料と比較して高い分離効率と低い圧力低下特性を示し有利である。これはセルディスト材料15の増加した表面積と好ましい空隙と湿潤特性の結果である。
【0092】
本発明は、本技術熟練者にとって変更例及び相当例は明らかであろうため、図示され説明された構造、作用、正確な材料、又は実施例の正確な詳細には限定されないことを理解すべきである。例えば、装置を横切る液体の拡散を容易にするために、特別な液体分布装置又は通常の液体の分布装置を網状要素と共に使用することができる。逆に、網状用を粒子の除去のためにだけ使用することができる。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の特別な実施例を示している単一固定触媒床の部分的断面側面図である。
【図2】本発明の別の実施例を示している多固定床化学反応装置の部分的断面側面図である。
【図3】本発明の一実施例を示している燃焼式再生流動床反応装置の部分的断面側面図である。
【図4】本発明の一実施例を示している2段式再生流動床反応装置の部分的断面側面図である。
【図5】本発明の別の実施例を示している半径流反応装置の部分的断面側面図である。
【図6】本発明による網状構造材料製の多孔円板の斜視図である。
【図7】本発明による網状構造材料製のサドルの斜視図である。
【図8】本発明による網状構造材料製の中空円筒体の斜視図である。
【図9】本発明による網状構造材料製のワンピースシートの例の斜視図である。
【図10】本発明による網状構造材料製の組立て円板の斜視図である。
【図11】本発明による網状構造材料製のボールの斜視図である。
【図12】本発明による網状構造材料製の中実円筒体の斜視図である。
【図13】本発明による中空構造材料製の中実円筒体の斜視図である。
【図14】本発明による中空構造材料製のモノリスの斜視図である。
【図15】本発明の一実施例を示している蒸留塔の部分的断面側面図である。
【図16】本発明により変更された各網状部材間に空虚部を有する網状要素の層の斜視図である。
【図17】担持材が置かれた従来技術の蒸留式水素化精製装置の圧力低下図に置かれた本発明の網状構造部材を有する蒸留式水素化精製装置の圧力低下を比較しているグラフである。
【図18】ナフサ水素化精製装置における圧力低下における本発明の効果のグラフ表示である。
【図19】本発明の方法を提供するために、本発明の実施例によりプロセス装置の入口、プロセス装置内の他の2カ所、及びプロセス装置お出口に多層の網状要素を有する下降流プロセス装置の部分的断面の側面図である。
【図20】本発明の実施例により、広範囲の粒子寸法を有する汚染物質の濾過ができるように異なった空隙度を有する網状要素の層を有するプロセス装置の部分的断面図である。
【図21】食品用染料で染色された水が滴下された網状要素の頂部及び底部の斜視図であり、本発明による網状要素の直角流の分布を示している。
【図22】本発明の実施例により触媒床の全長にわたって不規則に詰め込まれた本発明の網状要素を有するプロセス装置の斜視図である。
【図23】従来技術による通常の成分分離装置の部分的断面の側面図である。
【図24】本発明により、セルディスト材料、通常のトレー、及び通常の分布装置を有する成分分離装置の部分的断面の側面図である。
【図25】本発明によるプロセス流の成分プロセス流への分離を達成するために、通常のパッキング材料及び通常の分布装置を使用している成分分離装置の部分的断面の側面図である。
【図26】本発明の実施例によるプロセス流の成分プロセス流への分離を達成するために、セルディスト材料、通常のトレー、及び通常の分布装置を有する成分分離装置の部分的断面の側面図である。
【図27】本発明による成分分離装置において使用するためのセルディスト材料製のワンピースシートの例の斜視図である。
【図28】本発明による成分分離装置において使用するためのセルディスト材料製の組立て円板の例の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分分離装置において、少なくも一つのプロセス流を、希望の組成を有する一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離する方法であって:
(a)固体構成要素及び一つ又はそれ以上のセルを有する3次元のセル状固体材料を装 置内に準備し;
(b)セル状固体材料を装置の少なくも一つの区域内に位置決めし;
(c)少なくも一つのプロセス流の二つ又はそれ以上の相を、セル状固体材料を収容し ている区域内に導き;
(d)質量移動を容易にするためにセル状固体材料の表面において二つ又はそれ以上の 相を接触させ;
(e)少なくも一つの成分プロセス流から一つ又はそれ以上の相の少なくも一部分を少 なくも一つの成分プロセス流として回収し、少なくも一つの成分プロセス流が希 望の組成を持つ
諸段階を含む方法。
【請求項2】
セル状固体材料が周期的な単位セルを有する請求項1の方法。
【請求項3】
セル状固体材料が複数のセル寸法及び形状を有する請求項1の方法。
【請求項4】
セル状固体材料の区域から出る際に、相が希望の成分を有する請求項1の方法。
【請求項5】
一つ又はそれ以上の成分プロセス流が、装置の一つ又はそれ以上の位置から回収される請求項1の方法。
【請求項6】
セル状固体材料の表面が、装置内のセル状固体材料1立方メートル当たり約250から約4000平方メートルの範囲の表面積を有する請求項1の方法。
【請求項7】
セル状固体材料が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、セラミック材料、金属材料、高分子材料、及び化学蒸着物よりなるグループから選定される請求項1の方法。
【請求項8】
セル状固体材料が、耐食性材料から形成される請求項1の方法。
【請求項9】
セル状固体材料が、卓越して炭化ケイ素から形成される請求項1の方法。
【請求項10】
装置が、一つ又はそれ以上の通常の装置内容物を収容する請求項1の方法。
【請求項11】
セル状固体材料が、約4から約30ppiの空隙度を有する請求項1の方法。
【請求項12】
固体の構成要素及びその中に配置された1個又はそれ以上のセルを有しかつ質量移動を容易にするために少なくも一つのプロセス流からの二つ又はそれ以上の相が接触する表面を有する3次元のセル状固体材料を有する装置を備えた成分分離装置組立体。
【請求項13】
セル状固体材料が周期的な単位セルを有する請求項12の組立体。
【請求項14】
セル状固体材料が、複数のセル寸法及び形状を有する請求項12の組立体。
【請求項15】
成分分離装置が、蒸留装置、吸着装置、及び抽出装置、並びにこれらの組合せよりなるグループから選定される請求項12の組立体。
【請求項16】
(空白)
【請求項17】
相が少なくも一つの液相及び少なくも一つの蒸気相よりなる請求項12の組立体。
【請求項18】
セル状固体材料の表面が、装置内のセル状固体材料1立方メートル当たり約250から約4000平方メートルの範囲の表面積を有する請求項12の組立体。
【請求項19】
セル状固体材料が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、セラミック材料、金属材料、高分子材料、及び化学蒸着物よりなるグループから選定される請求項12の組立体。
【請求項20】
セル状固体材料が、耐食性材料から形成される請求項12の組立体。
【請求項21】
セル状固体材料が、卓越して炭化ケイ素から形成される請求項12の組立体。
【請求項22】
装置が、一つ又はそれ以上の通常の装置内容物を収容する請求項12の組立体。
【請求項23】
セル状固体材料が、約4から約30ppiの範囲の空隙度を有する請求項12の組立体。
【請求項24】
少なくも1個のプロセス流の成分を、成分分離装置における分離を介して改変する方法であって:
(a)固体構成要素及び1個又はそれ以上のセルを有する3次元のセル状固体材料の床 を少なくも1個、装置内で位置決めし;
(b)少なくも一つの流れを、セル状固体材料の床を通過させ、これにより装置内の一 つ又はそれ以上のプロセス流の組成は、相がセル状固体材料を通過するときに変 化し、これにより希望の組成を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り;更 に
(c)装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する
諸段階を含む方法。
【請求項25】
相が、少なくも一つの液相及び少なくも一つの蒸気相よりなる請求項24の方法。
【請求項26】
セル状固体材料が周期的な単位セルを有する請求項24の方法。
【請求項27】
セル状固体材料が、複数のセル寸法及び形状を有する請求項24の方法。
【請求項28】
セル状固体材料が、装置内のセル状固体材料1立方メートル当たり約250から約4000平方メートルの範囲の表面積の表面を有する請求項24の方法。
【請求項29】
一つ又はそれ以上の成分プロセス流が装置の1カ所又はそれ以上の位置から回収される請求項24の方法。
【請求項30】
セル状固体材料が装置の断面形状に合うように特別に適合される請求項24の方法。
【請求項31】
少なくも1個の床が不規則に詰め込まれた複数のセル状固体要素よりなる請求項24の方法。
【請求項32】
セル状固体材料が、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、セラミック材料、金属材料、高分子材料、及び化学蒸着物よりなるグループから選定される請求項24の方法。
【請求項33】
セル状固体材料が、耐食性材料から形成される請求項24の方法。
【請求項34】
セル状固体材料が、卓越して炭化ケイ素から形成される請求項24の方法。
【請求項35】
装置が、1個又はそれ以上の通常の装置内容物を収容する請求項24の方法。
【請求項36】
セル状固体材料が、4から約30ppiの範囲の空隙度を有する請求項24の方法。
【請求項37】
成分分離装置が蒸留装置である請求項24の方法。
【請求項38】
成分分離装置が、蒸気相/液体相又は液体相/液体相の接触している接触装置である請求項24の方法。
【請求項39】
固体の構成要素及び其の中に配置された1個又はそれ以上のセルを有する3次元のセル状固体材料のある少なくも1基の成分分離装置を備え、セル状固体材料の量が一つ又はそれ以上のプロセス流を希望の組成の一つ又はそれ以上の成分プロセス流に分離するに必要な理論段階数を提供するに十分である成分分離装置組立体。
【請求項40】
セル状固体材料が、周期的な単位セルを有する請求項39の組立体。
【請求項41】
セル状固体材料が、複数のセル寸法及び形状を有する請求項39の組立体。
【請求項42】
装置が通常の装置内容物を収容する請求項39の組立体。
【請求項43】
セル状固体材料が、装置内のセル状固体材料1立方メートル当たり約250−4000平方メートルの範囲の表面積の表面を有する請求項39の組立体。
【請求項44】
セル状固体材料が、約4から約30ppiの範囲の空隙度を有する請求項39の組立体。
【請求項45】
成分分離装置が蒸留装置である請求項39の組立体。
【請求項46】
成分分離装置が蒸気相/液体相又は液体相/液体相の間の物質移動を行う接触装置である請求項39の組立体。
【請求項47】
接触装置において少なくも一つのプロセス流の組成を変える方法であって:
(a)固体構成要素及び1個又はそれ以上のセルを有する3次元のセル状固体材料の床 を少なくも1個、接触装置内で位置決めし;
(b)少なくも一つのプロセス流に、セル状固体材料の床を通過させ、これにより二つ 又はそれ以上の相は、これらがセル状固体材料を通過するときに変えられ、これ により希望の組成を有する少なくも一つの成分プロセス流を作り;更に
(c)接触装置から少なくも一つの成分プロセス流を回収する
諸段階を含む方法。
【請求項48】
セル状固体材料が周期的な単位セルを有する請求項47の方法。
【請求項49】
セル状固体材料が、複数のセル寸法及び形状を有する請求項47の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2008−545527(P2008−545527A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513612(P2008−513612)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/019854
【国際公開番号】WO2006/127671
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387402)クリスタフエーズ・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】