説明

成形シート打ち抜き型

【課題】打ち抜きユニットの取付け位置の調節のできる成形シート打ち抜き型で、ネジが損傷して打ち抜きユニットの取付けに支障が出ないようにする。
【解決手段】取付け板21の打ち抜きユニット11の取付け部位に、メスネジ付き部材51を固定する。同ユニット11のメスネジ付き部材51に対応する部位には、それが隙間を保持して挿通可能の貫通孔19を形成しておく。打ち抜きユニット11を取付け板21に取付ける際に、メスネジ付き部材51が、貫通孔19に挿通されるようにして打ち抜きユニット11を取付け板21に配置し、その位置を調節して頭部付きボルト71をメスネジ付き部材51のネジにねじ込んで、取付け板21に取付ける構成とした。取付け板21には、予め、ボルトでなくメスネジ付き部材51が固定されているため、打ち抜きユニット11を配置する際、それがメスネジ付き部材51に当ってもそのネジを傷めない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形シート打ち抜き型に関し、詳しくは、惣菜等の食品を梱包するため等に用いられるトレイを製造するため、そのトレイを縦横に連ねる形で形成されてなる一枚の成形シート(以下、単にシートとも言う)から、個々のトレイを打ち抜いて形成するために用いられる成形シート打ち抜き型に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等においては、肉、魚、果物等の食品類は、樹脂シート又は発泡スチロールからなるトレイ(皿又は盆状容器)に小分けされ、或いは梱包された形で陳列、販売されている。このような陳列、販売に使用されるトレイは、通常、真空成形等により、碁盤目状に多数、縦横に連なる形に形成された、一枚の大きな成形シート(トレイ群成形体)として成形された後で、個々のトレイに成形シート打ち抜き型にて打ち抜かれることで製造される。そして、この打ち抜きには、通常、トレイの大きさ、形状に合わせて、1又は複数のトレイを打ち抜くように形成された打ち抜き刃を有する打ち抜きユニットを複数、取付け板の上に、縦横に並べて取付けてなる成形シート打ち抜き型が用いられる。
【0003】
ところで、真空成形等により形成された段階の成形シートは、それが同一のものであるとしても、使用される原料樹脂や製造条件等のばらつきにより、常時、一定のものとして形成されることはなく、例えば、製造ロット毎に、寸法誤差や反り等の変形が異なったものとして成形されることがある。そして、このような誤差等のあるシートの段階でトレイの打ち抜きを行う場合には、成形シート打ち抜き型における打ち抜き刃がそのシートにおいて切断されるべき位置に正しく位置しないことになる。したがって、このような場合には、位置がずれた状態でその打ち抜きが行われることになり、所望とする寸法、形状のトレイが得られないという打ち抜き不良が発生するという問題があった。こうした問題は、成形シートの特に外周寄り部位において、誤差や反り等が発生しやすいことから顕在化しやすい。
【0004】
そこで、従来はこうした打ち抜き不良の発生を防止するため、成形シートの打ち抜きに際しては、その誤差等に対応できるように、取付け板に対する打ち抜きユニット(以下、単にユニットとも言う)の取付け位置を微妙に調整して、その打ち抜き位置を調整するという作業が行われており、そのための位置の調整手段が成形シート打ち抜き型に設けられていた(特許文献1)。この特許文献1に記載の発明は、取付け板における各打ち抜きユニットに対応する位置に、ボルトを立設状に取付けておく一方、この取付け板に取付けられるべき各ユニットにはそのボルトが隙間を保持して挿通できる大きさの貫通孔をあけておき、各ユニットを取付け板上に配置して、その貫通孔内にボルトを挿入状態とした後で、成形シートの切断位置にあわせて、各ユニットの位置を調節して、その打ち抜き刃の位置を調節するというものである。すなわち、このようにその調節をした後において、立設されたボルトに上からナットをねじ込んで各ユニットを取付け板に固定して取付けるというものである。
【特許文献1】特開平09−047999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記した特許文献1に記載の技術は、各ユニットを成形シートの誤差等に対応して、その位置決めないし調節はできるが、次のような解決すべき課題があった。というのは、このものにおいては、取付け板上に各ユニットに対応してボルトが立設されており、したがって、取付け板としてみると、多数のボルトがその外周面のネジを露出させた状態で立設されたものとなっている。一方、各ユニットを取付け板に取付ける工程は、各ユニットを取付け板上の所定位置に配置し、そしてその貫通孔にボルトが挿入されるようにすることになる。したがって、このような作業過程において、そのボルトのネジに各ユニットの裏面や、その裏面と貫通孔の内周面とのなす角が衝突することがある。また、取付け板自体の保管やその取り扱い過程においても、工具等の様々な物体がそのボルトのネジに衝突する危険性がある。
【0006】
このように、特許文献1に記載の技術においては、取付け板に、各ユニットに対応してボルトが多数立設されていると共に、そのネジが外部に露出しているためにそのネジに損傷や変形を受けやすい。しかして、このような傷や変形があると、各ユニットの取付けにおいてナットを締める際、その螺合が円滑にできなかったり、その円滑な締め付けができない場合があるといった問題があり、結果的に、取付け板に対する各ユニットの取付けに支障が出ることがあった。
【0007】
本発明はこうした課題を解決するためになされたもので、ネジが損傷して取付け板に対する各打ち抜きユニットの取付けに支障が出ることなく、その取付け位置の調節のできる成形シート打ち抜き型を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、所定形状のトレイを縦横に連ねる形で形成されてなる成形シートから個々のトレイを打ち抜くために用いられる成形シート打ち抜き型であって、
1又は複数のトレイを打ち抜くように形成された打ち抜き刃を有する複数の打ち抜きユニットが取付け板に取付けられてなるもので、前記打ち抜きユニットのうちの少なくとも1つが、前記取付け板に取付けられる際に、その取付け位置の調節が可能な取付け位置調節手段を有してなるものにおいて、
その取付け位置調節手段として、
前記取付け板における前記打ち抜きユニットが取付けられる部位に、内部にメスネジを有するメスネジ付き部材が固定されている一方、前記メスネジ付き部材に対応する前記打ち抜きユニットにおける部位には該メスネジ付き部材が隙間を保持して挿通可能の貫通孔が形成されており、
前記打ち抜きユニットを前記取付け板に取付ける際に、前記メスネジ付き部材が、前記貫通孔に挿通されるようにして該打ち抜きユニットを前記取付け板に配置し、前記隙間の範囲内において該打ち抜きユニットの取付け位置を調節し、頭部付きボルトを前記メスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで前記打ち抜きユニットを締め付けることにより、前記打ち抜きユニットを前記取付け板にその取付け位置を調節して取付ける構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記頭部付きボルトを、金属製の座金を介在させてねじ込むことを特徴とする請求項1に記載の成形シート打ち抜き型である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記座金と、前記打ち抜きユニットとの間に、ゴム又は樹脂製の緩衝材を介在させたことを特徴とする請求項2に記載の成形シート打ち抜き型である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記メスネジ付き部材を、そのメスネジを貫通して形成し、このメスネジ付き部材の前記取付け板に対する固定を、該取付け板における該メスネジ付き部材が取付けられる面と反対側の面から、固定用ネジ部材を該取付け板を貫通させて前記メスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで固定してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形シート打ち抜き型である。。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記の構成を有することから、頭部付きボルトをメスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで、打ち抜きユニットを取付け板に取付ける際には次のようである。打ち抜きユニットを取付け板に配置し、その貫通孔の内部にメスネジ付き部材が挿通されるようにする。このとき、その取付け位置調節手段により、貫通孔の内周面とメスネジ付き部材の外周面との間に隙間が保持されている。したがって、この隙間がある分、前記取付け板上において、打ち抜きユニットはその平面的な位置の調節ができる。すなわち、この調節により、該打ち抜きユニットの打ち抜き刃を成形シートの切断すべき位置に合わせるように調整することができる。
【0013】
そして、本発明において重要なのは次の点である。本発明では、該打ち抜きユニットを取付け板上に配置する際において、その貫通孔の周縁のうち、取付け板側を向く裏面や、その裏面と貫通孔の内周面の角が、メスネジ付き部材に衝突したとしても、そのネジ山が変形する等、ねじ山が損傷するといった問題の発生を防止できる。すなわち、従来のように、ボルトが取付け板に立設されている場合には、打ち抜きユニットにおける取付け板側を向く裏面等が、そのボルトに当ると、そのボルトが変形したりネジが外周面に露出していることからそのねじ山が損傷するといった問題があるのに対し、本発明ではこうした問題の発生を防止できる。これにより、本発明では、頭部付きボルトをメスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで取付けるに際して、そのねじ込みが円滑にできなかったり、ねじ込み自体に支障が出るといった不具合の発生を防止できる。なお、頭部付きボルトをメスネジ付き部材にねじ込むのは、前記打ち抜きユニットのそれぞれにおいて複数箇所とするのが好ましい。1箇所の場合には、そのネジを中心として打ち抜きユニットが回転して位置が狂いやすいのに対し、2箇所以上とした場合には、そうした回転を容易に防止できるためである。
【0014】
位置の調節が必要となる打ち抜きユニットは、通常は、その全てではなく、成形シートの外周縁部(又は外周縁寄り部位)に位置するトレイ部位を打ち抜くための打ち抜きユニットであることが多い。というのは、縦横に多数のトレイ(部位)の連なる成形シートにおいて、反りや収縮等の影響が出て、誤差が問題となりやすいのは、その外周縁部に位置するトレイの部位であることが経験的に判明しているためである。こうしたことから、そのような問題が発生しやすい打ち抜きユニットについて、その取付け位置の調節が可能な取付け位置調節手段を有するものとすればよい。もっとも、本発明では、全ての打ち抜きユニットについてその取付け位置の調節ができるようになっていてもよい。また、その位置の調節が可能の打ち抜きユニットは、1つのトレイ部位を打ち抜くものがユニット(単位)を構成していもよいし、複数のトレイ部位を打ち抜くものがユニットを構成していてもよい。
【0015】
また、請求項2に記載のように、座金を介してねじ込むようにするのが好ましく、特に好ましくは、請求項3に記載のように、緩衝材を介在させたものである。というのは、打ち抜きユニットは、その打抜き刃を除くと、木製合板からなる基板で構成されることが多い。一方、このような合板は、ボルトの頭部で直接締め付けられると、圧縮変形(塑性変形)を受けやすく、弛緩の原因となりやすく、安定した固定が得られない。これに対して、請求項2又は3に記載のようにすることで、こうした問題が解消される。なお、メスネジ付き部材を取付け板に固定する手段としては、両者が溶接可能であれば、溶接によることとしてもよいが、請求項4に記載のようにすることで、固定の簡易化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を具体化した実施の形態について、図1〜図7に基づいて詳細に説明する。図1は本形態の成形シート打ち抜き型1及びその一部である1つの打ち抜きユニット11の部位を拡大して示した平面図である。この成形シート打ち抜き型1は、図2に示したような、上方が開口された矩形のトレイTを打ち抜くためのものである。図3は、このようなトレイTが打ち抜かれる前の成形シートSを示したものであり、真空成形等によりトレイTが縦横に連なる形で多数一体的に形成されてなるものである。ただし、このような成形シートSは、トレイTをなす部位相互の境界に、所定幅でスクラップをなす矩形枠部位を有しており、打抜かれた状態において全体としてみると格子状のスクラップとなる。
【0017】
本発明において成形シート打ち抜き型1を構成する、各打ち抜きユニット11は、1つのトレイTを打ち抜くように形成された1つの打ち抜き刃を有するものと、複数のトレイを打ち抜くように形成された、複数の打ち抜き刃を有するものとからなるが、以下の本形態では、説明を簡易とするため、1つの打ち抜き刃を有する打ち抜きユニット11が、取付け板21上において、それぞれ縦横に配置され、それらが個別に取付けられてなるものとして説明する。なお、打ち抜きユニット11が取付け板21に取付けられている状態においては、設計上、各打ち抜きユニット11相互間には、その位置調節のために若干の間隙が存在するようにされている。以下、各打ち抜きユニット11は同一のものであるため、その1つに基づいて説明する。
【0018】
すなわち、本形態における成形シート打ち抜き型1は、図1に示したように、矩形の平坦な取付け板(例えば薄鉄板)2に、それぞれ1のトレイを打ち抜くように形成された打ち抜きユニット11が、縦横に所定のピッチで碁盤目状に配置され取付けられている。そして、それぞれの打ち抜きユニット11に設けられた打ち抜き刃31により、成形シートSにおける隣接する各トレイTの部位を打ち抜くように形成されている。ただし、本形態では、前記もしたように、各打ち抜きユニット11における打ち抜き刃31相互の間には所定の間隔(例えば10〜20mm)が存在するように設定されており、したがって、成形シートSにおけるトレイT相互の間には、上記もしたように、この所定の間隔を幅とする格子状のスクラップが打ち抜き形成される設定とされている。
【0019】
本形態における打ち抜きユニット11は、平面視、1つのトレイTの輪郭に対応する矩形よりも一回り大きい矩形に形成された基板13と、その基板13の外周面より内側において、打ち抜き刃31が埋め込み状に立設、配置されたものからなっている(図1、図4、図5参照)。ただし、図4、図5に示したように、基板13は、それぞれ厚さ15mm程度の合板(ベニヤ板)13a,13bを、2枚積層して接着及び図示しないボルト締め等により固定してなるものである。また、打ち抜き刃31は、基板13の上面15において、平面視、トレイTの矩形輪郭と一致するように曲げ形成されたトムソン刃からなるもので、その刃先を所定量、図4、図5において上向きに突出する形で植設状に設けられている。すなわち、その刃先部位が所定高さ露出し、成形シートを打ち抜くようにされている。なお、この打ち抜き刃31における一端側(図4,図5下側)は、その適所が取付け板21の表面(図4,図5上面)23に当接するように、基板13の裏面17と面一とされている。また、基板13の上面15のうち、打ち抜き刃31の外側に沿う部位、すなわち、隣接する打ち抜きユニットにおける打ち抜き刃31相互の間となる部位には、ゴム部材41が枠状に接着等により設けられている。これは、成形シートを打ち抜くことで、この打ち抜き刃31相互の間の部位はスクラップをなすが、その打ち抜きにおいて、スクラップをゴム部材41の弾性で押出すためである。
【0020】
一方、このような打ち抜き刃31を有する打ち抜きユニット11は、図4、図5に示したように、取付け板21上に取付けられている。すなわち、本形態では、1枚の矩形の取付け板21の上面23の、各打ち抜きユニット11が配置されるべき位置のうち、その基板13における打ち抜き刃31の内側であって、打ち抜き刃31の平面視、短辺をなす打ち抜き刃31aの対向する両短辺の中央寄り部位に対応する位置(2箇所)に対し、内部にメスネジ50の形成されたメスネジ付き部材51が、そのネジ50の軸線を垂直にして取付けられ、固定されている。本形態のメスネジ付き部材51は、そのメスネジ50が同部材51をネジの軸線方向に貫通して形成されている。一方、取付け板21におけるそのメスネジ50に対応する部位には、そのネジ50より大径の貫通孔27が取付け板21の裏面(図4,5下面)25から皿もみ状に設けられており、その裏面25側から、固定用ネジ部材をなす例えばさらビス61をその各メスネジ付き部材51におけるメスネジ50の図4下寄り部位にねじ込むことでその固定がされている。
【0021】
一方、打ち抜きユニット11を構成する基板13のうち、上記したメスネジ付き部材51のメスネジ50の軸線部位に位置すべき部位には、このメスネジ付き部材51がその外周面に所定の隙間を保持して挿通可能の挿通部をなす貫通孔19が形成されている。なお、メスネジ付き部材51の高さは、この貫通孔19の深さ、すなわち、打ち抜きユニット11を構成する基板13の厚さよりも小さく設定されている。
【0022】
しかして、打ち抜きユニット11を取付け板21に取付けるには、次のようである(図6参照)。すなわち、各打ち抜きユニット11を、メスネジ付き部材51が取付けられた取付け板21上の所定位置に配置し、その基板13における貫通孔19に、そのメスネジ付き部材51を挿通(内挿)させた状態とする(図6の下図参照)。そして、その状態において、頭部付きボルト71を前記メスネジ付き部材51のメスネジ50にねじ込む。ただし、本形態では、このねじ込みに際して、そのボルト71の首に金属製の環状の座金(平座金)81を介在させると共に、この座金81と基板13の上面15との間に、例えば、ゴム又は樹脂からなり一定厚さで環状をなす緩衝材85を介在させている。しかして、この状態の下で、そのボルト71をねじ込んで、打ち抜きユニット11を締め付けることにより、打ち抜きユニット11は図4,5に示したように、前記取付け板21に取付けられる。なお、座金81の外径は、貫通孔19の内径より大きく、緩衝材85の外径は座金81の外径より大きく設定されており、打ち抜きユニット11が貫通孔19の径方向に移動して、その内周面がメスネジ付き部材51の外周面に当接したとしても、ボルト71は座金81を介して基板13を取付け板21に締め付けて、打ち抜きユニット11を締め付け可能とされている。
【0023】
そして、このような取付け構造では、打ち抜きユニット11を、取付け板21上の所定位置に配置し、その貫通孔19にメスネジ付き部材51を挿通させた状態とした段階で、各打ち抜きユニット11は、その貫通孔19の内周面とメスネジ付き部材51の外周面との隙間の分、取付け板21の上面23に沿って、平面上いずれの方向にも横方向に動かすことができる。すなわち、その隙間の分、各打ち抜きユニット11は、取付け板21上においてその取付け位置の調節ができる。このため、取付け板21に対する各打ち抜きユニット11の取付けに際しては、成形シートSに、特定のロットごとに発生している誤差に対応して、所望とする打ち抜きができるように、その位置を調節してから、それぞれ2本のボルト71を取付け板21上に固定された各メスネジ付き部材51のメスネジ50にねじ込む(締め込む)。こうすることで、その取付け位置の調節をしながらその取付けができる。
【0024】
一方、本形態では、打ち抜きユニット11を、取付け板21上の所定位置に配置する段階で、同ユニット11の裏面(基板の裏面)17、或いはその裏面17と貫通孔19内周面とのなす角が、メスネジ付き部材51に衝突することがある。しかし、このように衝突したとしても、その衝突においては、メスネジ付き部材51の上部や外周面に衝突するに過ぎない。すなわち、本形態では、従来のように、取付け板21上にボルトが立設されているものと異なり、メスネジ付き部材51におけるネジ50は外周面に露出していないから、そのような衝突があっても、メスネジ付き部材51のネジ50が損傷を受けることはない。したがって、打ち抜きユニット11を取付け板21に取付ける際のねじ込み作業において、その締め付けに支障を招くことを確実に防止できる。しかも、本形態では、頭部付きボルト71の頭部73の下(首)に金属製の座金81を介在させ、その座金81が基板13の上面15を押付けるようにしていると共に、座金81と基板13の上面15との間には緩衝材85を配置している。このため、基板13の上面15がボルト71の頭部73で圧縮変形等して傷が付くのが防止される上に、打ち抜きユニット11の安定した固定が得られる。なお、座金81等を介在させない場合には、ボルト71の頭部73で基板13の上面15を押付け可能なように、貫通孔の内径ないしボルト71の頭部73の大きさを設定すればよい。
【0025】
なお、このように打ち抜きユニット11を、取付け板21上の所定位置に位置決めして固定した後は、図7に示したように、その成形シート打ち抜き型1を打抜き用プレス装置の固定盤201の上に載置、取付け、各打ち抜きユニット11の上に、成形シートSが位置決めされるように配置し、その上からプレス装置の可動盤(図示せず)に取付けた面板221が、打ち抜き刃31に対応する部位に押付けられるようにプレスすることで、所望とするトレイTが打ち抜かれる。図7では、トレイTが裏返しで打ち抜かれる状態を例示している。なお、図7に示したように、隣接する打ち抜きユニット11相互間の打ち抜き刃31の相互間の部位Skがスクラップとなる。なお、面板221を押付けると、打ち抜き刃31の刃先は成形シートSに食い込み、面板221の表面に押付けられ、成形シートSが切断(裁断)されるのであるが、本形態では、その切断において、スクラップSkは、ゴム部材41の弾性作用により、基板13の上面15から押し出される。図7に示した面板221は、打ち抜き刃31に対応する部位以外がくりぬかれた格子形状を呈しており、成形シートSの打抜き時においては、そのくりぬき部にトレイTが遊嵌状に納まるものとされている。
【0026】
本発明は前記形態のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更して具体化できる。前記形態では、1つの打ち抜きユニット11は、1つのトレイを打ち抜き形成するものとしたが、複数のトレイを打ち抜き形成するものとしてもよい。また、前記形態では、1つのトレイを打ち抜き形成するように形成された打ち抜きユニット11のすべてについて、取付け位置調節手段を有するものとして具体化したが、本発明では、成形シートのうち、それに誤差が発生し易い部位が例えば、例えば外周寄り部位であるとするならば、ユニットごとの打ち抜き数に関係なく、外周寄り部位に位置することとなる打ち抜きユニットに関してのみ、取付け位置調節手段を有するものとして具体化してもよい。したがって、このような場合には、成形シートのうち、誤差が発生し難い中央寄り部位に位置することとなるトレイの部位を打抜くための打ち抜きユニットには取付け位置調節手段がなくともよい。
【0027】
そして、取付け位置調節手段の有無に関係なく、取付け板に取付けられる打ち抜きユニットは、複数のトレイの打ち抜きを受け持つものとして形成してもよい。誤差の少ない成形シートの部位を打ち抜くものでは、複数のトレイの打ち抜きを受け持つ1つの打ち抜きユニットとして、取付け位置調節手段を有するものとしてもよい。なお、複数のトレイの打ち抜きを受け持つ打ち抜きユニットのように、1つのトレイの打ち抜きを受け持つ打ち抜きユニットと比べて、比較的大型となるものにおいては、それを取付け板に取付ける頭部付きボルトの数(及び対応するメスネジ付き部材の数)は、打ち抜きユニットの大きさに応じて決めればよいが、なるべく多くするのが好ましい。なお、本発明におけるメスネジ付き部材としては、市販のナットで代用することもできる。また、頭部付きボルトは、通常の六角ボルトが代表的なものとして例示されるが、頭部の付いたボルト(ねじ部材)であればいずれのものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の成形シート打ち抜き型、及びその一部である1つの打ち抜きユニットの部位を拡大して示した平面図。
【図2】図1の成形シート打ち抜き型で打抜かれるトレイの斜視図。
【図3】図2のトレイが打ち抜かれる前の状態にある成形シートを説明する説明用平面図。
【図4】図1の拡大図におけるA−A線断面図及びその要部拡大図。
【図5】図1の拡大図におけるB−B線断面図。
【図6】図4の分解図、及び打ち抜きユニットを取付け板へ取付ける過程を説明する図。
【図7】図1の成形シート打ち抜き型に成形シートを位置決め配置して、トレイを打抜く状態を説明する部分断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 成形シート打ち抜き型
11 打ち抜きユニット
19 貫通孔
21 取付け板
31 打ち抜き刃
50 メスネジ
51 メスネジ付き部材
61 さらビス(固定用ネジ部材)
71 頭部付きボルト
81 金属製の座金
85 緩衝材
T トレイ
S 成形シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状のトレイを縦横に連ねる形で形成されてなる成形シートから個々のトレイを打ち抜くために用いられる成形シート打ち抜き型であって、
1又は複数のトレイを打ち抜くように形成された打ち抜き刃を有する複数の打ち抜きユニットが取付け板に取付けられてなるもので、前記打ち抜きユニットのうちの少なくとも1つが、前記取付け板に取付けられる際に、その取付け位置の調節が可能な取付け位置調節手段を有してなるものにおいて、
その取付け位置調節手段として、
前記取付け板における前記打ち抜きユニットが取付けられる部位に、内部にメスネジを有するメスネジ付き部材が固定されている一方、前記メスネジ付き部材に対応する前記打ち抜きユニットにおける部位には該メスネジ付き部材が隙間を保持して挿通可能の貫通孔が形成されており、
前記打ち抜きユニットを前記取付け板に取付ける際に、前記メスネジ付き部材が、前記貫通孔に挿通されるようにして該打ち抜きユニットを前記取付け板に配置し、前記隙間の範囲内において該打ち抜きユニットの取付け位置を調節し、頭部付きボルトを前記メスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで前記打ち抜きユニットを締め付けることにより、前記打ち抜きユニットを前記取付け板にその取付け位置を調節して取付ける構成としたことを特徴とする成形シート打ち抜き型。
【請求項2】
前記頭部付きボルトを、金属製の座金を介在させてねじ込むことを特徴とする請求項1に記載の成形シート打ち抜き型。
【請求項3】
前記座金と、前記打ち抜きユニットとの間に、ゴム又は樹脂製の緩衝材を介在させたことを特徴とする請求項2に記載の成形シート打ち抜き型。
【請求項4】
前記メスネジ付き部材を、そのメスネジを貫通して形成し、このメスネジ付き部材の前記取付け板に対する固定を、該取付け板における該メスネジ付き部材が取付けられる面と反対側の面から、固定用ネジ部材を該取付け板を貫通させて前記メスネジ付き部材のメスネジにねじ込んで固定してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形シート打ち抜き型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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