説明

成形ローラを伴うコンプライアント・ローラの上に位置するベルト

本発明の実施態様は、固形フィルム作製する装置及び方法に関する。粘性材料(163)をパターン化ローラ(165)とベルト(167)の間のニップに入れる。このパターン化ローラ(165)とベルト(167)の間のニップは、コンプライアントローラ(169)によって助けられる。したがって、不連続な光学素子及び平滑な裏面を有するフィルムを作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、フィルムの一方の側に光学素子を有し、そしてフィルムの他方の側には平滑面を有する熱可塑性フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化表面を有するフィルムが種々の用途のために形成される。例えば、印画紙は、艶消し仕上げ又は光沢仕上げを有するフィルムを含むことができる。この艶消し仕上げ又は光沢仕上げは、通常の観察者が見る場合、写真に対して望ましい効果を生み出すことができる。光沢仕上げ又は艶消し仕上げは、或る特定の許容差(すなわち或る特定の精度レベル)を有する印画紙製造プロセスを必要とする。製造プロセスの許容差が厳しくなるにつれて、その製造プロセスは一般により複雑且つ高価になる。換言すれば、印画紙のためのパターン化フィルムを製造するのに必要とされる許容差は、液晶ディスプレイのための光再指向フィルムを製造するのに必要とされる許容差よりも著しく甘いことがある。
【0003】
光再指向フィルムは種々の用途に使用することができる。例えば、光指向フィルムを液晶ディスプレイ(LCD)の一部として使用することにより、LCDの電力効率を高めることができる。LCD(又はその他の類似のディスプレイ)の電力効率を高めることは有意であり得る。液晶ディスプレイはしばしば、バッテリーで動くモバイル・デバイス(例えば携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、デジタル・カメラなど)内に含まれる。これらのモバイル・デバイスにとっては、デバイスのバッテリーの動作時間を最大化することが望ましい。バッテリー技術は向上しつつあるものの、モバイル・デバイスのバッテリー寿命を長くする1つの方法は、品質を劣化させずにデバイスの電力消費量を低減することである。液晶ディスプレイをより効率的にすることにより、モバイル・デバイスのバッテリー寿命を延ばすことができ、このことは使用者にとって大きな利益になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光再指向フィルムの光学素子は、写真上の艶消し仕上げ又は光沢仕上げの光学特性と比較して、極めて特異的であり、そして緻密である。従って、印画紙上の光沢仕上げ又は艶消し仕上げを生成するための製造プロセスの精度は、光再指向フィルムの製造を目的とする場合には不十分なことがある。例えば、他のパターン化フィルムを製造するのに用いられる製造プロセスは、光再指向フィルムの光学素子を十分に再現することができず、或いは、均一なフィルム厚を十分に提供することができない。均一なフィルム厚は、光再指向フィルムを利用可能にするために必要となることがある。以前の製造プロセスがこのように不十分であることは、光再指向フィルムの製造にとって、重大な考慮事項である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は、硬質面とコンプライアント面とを含む装置に関する。硬質面は、光学素子成形用パターンを含む。コンプライアント面と硬質面とは、ニップを形成し、そしてニップは、ニップ内に挿入された粘性材料から固形フィルムを形成するように構成されている。
【0006】
他の実施態様は、エンドレス・ベルトを含むコンプライアント圧力ベルトに関する。エンドレス・ベルトは、1つ以上のエラストマー層と1つ以上の金属層とを含む。ベルトの外面は、平均粗さが50ナノメートル未満であり、そしてショア硬度タイプAが70〜100である。平均粗さは、全長、典型的には1〜5 mmにわたって測定された表面粗さのピークから谷までの距離である。
【0007】
他の実施態様は、パターンを有するシートを形成する方法に関する。この方法は、熱可塑性ポリマーの溶融カーテンを準備し、そして成形ローラとコンプライアント圧力ベルトとの間の成形ニップ内にカーテンを運ぶことを含む。コンプライアント圧力ベルトはエンドレス・ベルトを含む。エンドレス・ベルトは、1つ以上のエラストマー層を含む。ベルトの外面は、粗さ平均が50ナノメートル未満であり、そしてショア硬度タイプAが70〜100である。
【0008】
他の実施態様は、パターンを有するシートを形成する方法に関する。この方法は、熱可塑性ポリマーの溶融カーテンを準備し、そして成形ローラと圧力ベルトとの間の成形ニップ内にカーテンを運ぶことを含む。圧力ベルトは、溶融カーテンに接触する接触ベルトと、溶融カーテンとは反対側で金属ベルトに接触する緩衝ベルトとを含む。緩衝ベルトのショア硬度タイプAは70〜100である。
【0009】
本発明の実施態様によれば、この製造方法は、種々の用途に使用することができる光再指向フィルムを製造することができる。例えば、本発明の実施態様による製造方法を用いることにより、光再指向フィルムは、特定の光学素子の正確な複製によって製造することができる。特定の光学素子のこのような複製により、液晶ディスプレイの効率を相当高めることができるフィルムを可能にする。従って、効率をこのように高めると、モバイル・デバイス(例えば携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、デジタル・カメラなど)のバッテリー寿命を延ばすことができる。実施態様の製造方法は、薄いフィルムが不連続的な光学素子を有し、均一の厚さを有するように製造されるのを可能にする。不連続的な光学素子及び均一な厚さのない光再指向フィルムは、ディスプレイ・デバイスの効率を高めるのに有効とはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び2の例は、本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム・システム1の1形態を概略的に示す。光再指向フィルム・システム1は、光再指向フィルム2を含んでよい。光再指向フィルム2は、バックライトBL(又はその他の光源)によって放射された光のより多くを、フィルムの表面に対してより垂直な方向に向かって再分配する。フィルム2を使用することにより、ほとんどどの照明用光源からも、所望の視野角内で光を再分配することができる。例えば、フィルム2をディスプレイD(例えば、ラップトップ・コンピュータ、ワード・プロセッサ、航空電子工学ディスプレイ、携帯電話、及びPDAにおいて使用される液晶ディスプレイ)とともに使用することにより、ディスプレイをより明るくすることができる。液晶ディスプレイは、図1及び2の例に概略的に示されているような透過型液晶ディスプレイ、図3の例に概略的に示されているような反射型液晶ディスプレイ、又は図4の例に概略的に示されているような半透過型液晶ディスプレイを含む、いかなるタイプのものであってもよい。
【0011】
図3の例に示された反射型液晶ディスプレイDは、ディスプレイに入った周囲光を反射させてディスプレイから戻すために、背面に隣接してバック・リフレクタ40を含むことにより、ディスプレイの明るさを増大させることができる。本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム2は、反射型液晶ディスプレイの上側に隣接して配置することにより、周囲光(又はフロントライトからの光)をディスプレイ内へ、フィルム平面に対してより垂直な方向に向かって再指向して、所望の視野角内でバック・リフレクタによって反射させて戻すことにより、ディスプレイの明るさを高める。光再指向フィルム2は、液晶ディスプレイの上側に所定の位置に取り付けるか、ラミネートするか、又はその他の形式で保持することができる。
【0012】
図4の例に示された半透過型液晶ディスプレイDは、ディスプレイとバックライトBLとの間に配置されたトランスリフレクタTを含むことにより、ディスプレイ前面に入った周囲光を反射させてディスプレイから戻し、これにより明環境においてディスプレイの明るさを増大させ、また、バックライトからの光をトランスリフレクタを透過させてディスプレイから出し、これにより暗環境においてディスプレイを照明する。この実施態様において、光再指向フィルム2は、ディスプレイの上側に隣接して、又はディスプレイの下側に隣接して、又は図4の例に概略的に示されたように上側及び下側の両方に配置することにより、周囲光及び/又はバックライトからの光をフィルム平面に対してより垂直に再指向又は再分配して、光線出力分布をより受け入れられるものとし、光がディスプレイ中を移動するようにしてディスプレイの明るさを増大させる。
【0013】
光再指向フィルム2は、入射配光を屈折させるために、フィルムの光射出面6上に明確な形状を有する不連続的な個々の光学素子5のパターンを有する薄い透明なフィルム又は基板8を含むので、フィルムを出る光は、フィルムの表面に対してより垂直な方向に分配される。図5は、再指向フィルム2の例を示す。
【0014】
個々の光学素子5のそれぞれは、フィルムの幅及び長さの何分の1も小さな幅及び長さを有していてよく、そしてフィルムの射出面内の凹部又は射出面上の突起によって形成することができる。これらの個々の光学素子5は、光射出面に対して垂直な方向に向かって入射光を屈折させるために、1つ以上の傾斜面を含んでよい。光学素子5のアスペクト比は0.5を上回ってよい。光学素子5の深さは15マイクロメートルを上回ってよい。図5の例は、フィルム2上の個々の光学素子5の1パターンを示している。光学素子5は多くの種々異なる形状を成すことができる。「光再指向フィルム及びフィルム・システム(Light Redirecting Films and Film Systems)」と題される米国特許出願公開第2001/0053075号明細書全体を参考のため本明細書中に引用する。この出願は光学素子の多くの変更形を示している。しかし、当業者は本発明の実施態様によってカバーされる光再指向システムの光学素子の他の変更形を識別するであろう。
【0015】
図2の例に示されているように、フィルム2の光入射面7は、光学被膜25(例えば反射防止被膜、反射偏光子、リターデーション被膜又は偏光子)を有することができる。また、実施態様において、所望の視野角的な外見に応じて、光入射面7上に、艶消し又は拡散テクスチャを提供することもできる。艶消し仕上げは、さほど明るくない、よりソフトな画像をもたらすことができる。本発明の実施態様の個々の光学素子5の平坦面と湾曲面との組み合わせは、これらの面に衝突した光線のうちのいくつかを種々異なる方向に再指向することにより、フィルムの入射面上にディフューザ又は艶消し仕上げを施す必要なしに、よりソフトな画像を生成するように構成することができる。光再指向フィルム2の個々の光学素子5は、ねじれ形態、絡み合い形態、及び/又は交差形態を成して互いにオーバーラップし、適正な表面積被覆率で光学構造を形成することもできる。
【0016】
バックライトBLは実質的に平坦であるか又は湾曲していてよい。バックライトBLは単層又は多層であってよく、そして種々異なる厚さ及び形状を有することができる。バックライトBLは軟質又は硬質であってよく、そして種々の化合物から形成することができる。さらに、バックライトは中空であるか、液体、空気を充填されているか、又は中実であってよく、そして孔又はリッジを有することができる。
【0017】
光源26は、任意の好適なタイプ(例えばアーク灯、着色、フィルタリング又はペイントすることもできる白熱電球、レンズ末端バルブ、ライン・ライト、ハロゲン・ランプ、発光ダイオード(LED)、LEDから形成されたチップ、ネオン管、冷陰極蛍光灯、遠隔源から伝送する光ファイバー・ライトパイプ、レーザー又はレーザー・ダイオード、又は任意の他の好適な光源)であってよい。加えて、光源26は、所望の有色又は白色光出力分布を可能にするために、多色LED、又は複数の有色輻射源の組み合わせであってもよい。例えば、複数の有色光、例えば種々の色(例えば赤、青、緑)のLED、又は複数の色チップを有する単一LEDを採用して、それぞれの個々の有色光の強度を変化させることにより、白色光又は任意の他の有色光の出力分布を形成することができる。
【0018】
図1及び図2の例に概略的に示されているように、バックライトBLの一方の側に、バック・リフレクタ40を取り付けるか、又はこの一方の側に対して位置決めすることにより、その側から放射された光を反射させて戻し、バックライトを経て反対側を通るように放射することにより、バックライトの光出力効率を改善することができる。加えて、図1及び図2の例に概略的に示されているように、バックライトBLの一方又は両方の側に、光学変形部50のパターンを施すことにより、光路を変化させて、臨界内角を上回り、光の一部がバックライトの一方又は両方の側から放射されるようにすることができる。
【0019】
テクスチャが施された表面を有する熱可塑性フィルムは、包装材料から光学フィルムに及ぶ用途範囲を有する。テクスチャは、圧力ローラとパターン化ローラとから成る流延ニップ内で形成することができる。熱可塑性フィルムに転写されるパターンいかんでは、フィルムの全幅にわたって均一な複製度を得ることが難しい場合がある。このような均一な複製度を得、しかもフィルムの平滑な裏側を有することが難しい場合もある。
【0020】
ゴム圧力ローラを使用することにより、流延ニップ全体にわたって比較的均一な圧力を提供することができる。それというのもこれらのローラの被覆体は、溶融カーテンの厚さ不均一性に対応するように変形することができるからである。これらの厚さ不均一性は、ネックインから生じる、又は押出ダイからの流れが不均一となるその他の原因から生じる厚いエッジの存在に起因することがある。しかしゴム被覆体は、光沢のある(例えば平滑な)裏面を形成するのに十分に粗さが低い表面を有することはできない。
【0021】
図6の例は、本発明の実施態様に基づく、コンプライアント・ベルト・システムを有する押出ロール成形システムを示す概略図である。押出ダイ161は、材料(例えばポリマー、ポリカーボネートなど)を粘性状態に維持し、且つ/又は粘性状態に変換する。粘性材料163(例えば溶融ポリマー)は、パターン・ローラ165とベルト167との間のニップ内に投入される。粘性材料は熱可塑性ポリマーであってよい。粘性材料の粘度は10Pa.S〜100 Pa.Sであってよい。(固体に変化するのに伴う)粘性材料の滞留時間は、20〜40ミリ秒であってよい。ニップ圧は、1.4×108ダイン/cm〜2.6×108ダイン/cmであってよい。材料のガラス転移温度は200℃未満であってよい。材料は、ランド領域(下でさらに説明する)を最小化するために、ニップに入るときに十分な粘度を必要とする。しかし、材料がニップを出るときには、材料は固体状態にあることが必要である。実施態様において、ニップ直前の点と、ベルトがニップを出た直後との間の熱勾配は、148℃以上である。ベルト167は、ベルト・ローラ169によって強化される。ベルト167の十分な張力を維持するために、ベルト・ローラ171も使用される。
【0022】
実施態様において、パターン・ローラ165は、ニップから産出された光学フィルム上に特定の光学素子を複製するためのパターンを含む。実施態様において、パターン・ローラ165は硬質であり、パターン・ローラ165上のパターンは正確である。ベルト・ローラ169は、パターン・ローラ165と比較して相対的にコンプライアントである。しかし、ベルト167はニップに圧力を加えるときにはコンプライアントである一方、ニップから産出された固形フィルムの一方の側に平らな面を形成するのに十分な硬度をも有している。実施態様において、ベルト・ローラ169の押込硬度は90ショアA〜50ショアDである。ニップから生成されたフィルムは、固体状態(又は半固体状態)に転移した後しばらくはベルト167に乗って動くことができる。実施態様において、ベルト167は、完全に金属から形成されており、そしてローラ169はエラストマー材料である。ベルト167及びベルト・ローラ169のために使用できる他の材料が当業者には明らかであり、この材料によって、ベルトのコンプライアント部分が、均一な厚さ及び十分に平滑な表面を一方の側に有するフィルムを形成するのに対して、フィルムの他方の側が、パターン・ローラ165からの適正に複製されたパターンを有するようにすることができる。
【0023】
ベルト167は、ニップから生成されたフィルムの一方の側に平滑仕上げを形成するように構成された連続的な金属ベルトであってよい。実施態様において、ベルト167の外面の粗さ平均は、50ナノメートル未満である。他の実施態様において、ベルト167の粗さは15〜30ナノメートルである。ベルト167のショア硬度タイプAは、70〜100であってよい。いくつかの実施態様の場合、ベルト167は全体的に金属から形成されるのに対して、他の実施態様では、ベルト167は金属とエラストマー材料との組み合わせから形成される。ベルト167は、円周が0.75〜10メートルであってよく、そして幅が0.5〜2メートルであってよい。エラストマー材料は実施態様において、ベルトの外側にあってよい。エラストマー材料は、1平方センチメートル当たり22〜35ダインの表面エネルギーを有する、1〜10重量パーセントのポリマーを含んでよい。
【0024】
本発明の実施態様において、ニップに入る前にベルト167を加熱することができる。ベルトの加熱することは、光再指向フィルム上に形成された光学素子のランド領域(下でさらに説明する)を低減する助けとなり得る。さらに、フィルムがそのニップを出ると、ベルト167が加熱されているので、光再指向フィルムは、ベルトに一時的に付着させられたままでいることができる。このことは、製造プロセスの制御を容易にする。当業者には明らかなように、ベルト167に加えられる熱は、多くの種々異なる方法によって達成することができる。例えば、熱は、伝導又は誘導によってベルトに加えることができる。実施態様において、ベルトは、ニップでのみ材料と接触する。実施態様において、ベルトは剥離剤を有している。剥離剤は、生成されるフィルムが、ニップを出た後にベルトから容易に解離するのを可能にする。実施態様において、ベルト167は、パターン・ローラ169よりもニップにおける温度が高い。
【0025】
図7の例に示された実施態様において、ベルト・システム141は、ベルト143上にタイミング隆起145を含むことができる。タイミング隆起145は、ニップにおけるベルト143内のローラの運動を較正する際に、製造機械を支援することができる。当業者には明らかなように、タイミング隆起145はベルト143の内側又は外側に配置することができる。
【0026】
図8の例に示された実施態様において、ベルト151は、三次元パターン153を含むことができる。三次元パターンは、生成された光学フィルムのための光学拡散層となることができる。ディスプレイのための光再指向フィルムのような用途において、光学拡散層は、LCDの視野角を広くするのに役立つことができる。光学ビューイング層の増大は、多くの製品、例えばLCDテレビ受像機において望ましい特徴である。
【0027】
図9の例は、図6の例に類似している。しかし図9の例の場合、表面ベルト167上に、往復する軟質リントフリー織物クリーナー181が配置されている。クリーナーは、ベルトがニップに入る前に、ベルトをクリーニングするための機構を提供することができる。図10に示された実施態様の場合、研磨ローラ191が含まれる。研磨ローラ191は、ベルト167との間にニップを形成する。研磨ローラ191は、ベルト167の研磨を容易にすることができるので、パターン・ローラ165とベルト167との間のニップから生成されたフィルム上に、十分に平滑な表面を形成することができる。
【0028】
図11の例の実施態様に示されているように、ベルト167に近接して、静電放電システム201を配置することができる。静電放電システム201は、ベルトがニップに入る前に、ベルトの電荷を除去する。静電気の放電は、システムから生成されたフィルムの品質を高める。フィルムの品質は望ましい効果を有することができる。
【0029】
図12の例に示された実施態様の場合、ベルト・ローラ169とパターン・ローラ165との間のニップで、金属ベルト211をエラストマー・ベルト213と併用することができる。エラストマー・ベルト213と金属ベルト211との組み合わせは、ニップのコンプライアント側上で、十分なコンプライアンス及び平滑さをもたらすのに理想的であり得る。
【0030】
図13は、本発明の実施態様に基づく、ランド及びリッジを形成する光再指向フィルムの一部を示す図である。各光学素子219は、ランド215及びリッジ217を含む。リッジ217、及びこれらを形成する表面は、光パワーを提供し、そして光を再指向するのに役立つ。逆に、ランド215は、システムに光パワーを加えず、光を再指向することもない。従って、有意な光再指向が必要とされる光再指向フィルムは、ランド215を有さず、リッジ217だけを有する。しかし、製造許容差に基づき、ランドを形成しない製造法及び材料を用いることは、現実的でない(例えばあまりにも高価である)。従って、光再指向フィルムの場合、リッジ217に対するランド215の比は、所定のレベルよりも良好であることを必要とする。
【0031】
実施態様において、ランド215の幅は、5マイクロメートル未満である。実施態様において、ランド215の幅は、3マイクロメートル未満である。実施態様において、ランド215の幅は、1マイクロメートル未満である。実施態様において、固形フィルムのランドの総表面積が、光再指向フィルムの表面積の約20 %未満であるのに対して、固形フィルム上のリッジの総表面積は、固形フィルムの表面積の約80 %を上回る。実施態様において、固形フィルムのランドの総表面積が、固形フィルムの表面積の約6 %未満であるのに対して、固形フィルム上のリッジの総表面積は、固形フィルムの表面積の約93 %を上回る。実施態様において、固形フィルムのランドの総表面積が、固形フィルムの表面積の約3%未満であるのに対して、固形フィルムのリッジの総表面積は、固形フィルムの表面積の約96 %を上回る。当業者には明らかなように、リッジの表面積は、固形フィルムに対して平行な光学活性領域の量である。
【0032】
当業者には明らかなように、光再指向フィルムのランド領域を減らすために、材料及び製造プロセスの注意深い選択が必要とされる。さらに、ランド215の領域を低減する一方で、フィルムの反対側ではまた、平滑面221が維持される。加えて、均一なフィルム厚を維持するように考慮されなければならない。
【0033】
ベルト・システムのベルトの金属層は、溶融カーテンの厚さ不均一性に対応するのに十分な可撓性を提供するように、十分に薄くあるべきである。好ましくは、金属層の厚さは50〜2000マイクロメートルである。35マイクロメートル未満では、金属層は脆弱になり、製造時の寿命を短くするおそれがある。金属層の厚さが2500マイクロメートル以上である場合、金属層の可撓性が小さくなり、ニップ全体にわたる均一な圧力の維持が難しくなるおそれがある。金属層の好ましい材料はステンレス鋼、ニッケル、高リン・ニッケル、クロム、合金、又は任意のその他の金属を含む。スリーブは好ましく継ぎ目がないことにより、フィルム上に再現されるフィルム裏面に欠陥が生じるのを防止する。
【0034】
ベルトのエラストマー層は高分子材料を含んでよい。溶融カーテンの全幅にわたって厚さが変動するにもかかわらず、エラストマー層は、比較的均一なニップ圧を可能にするコンプライアントな表面を提供することができる。エラストマー層は、熱伝導特性を犠牲にすることなしに、適正な弾力性を提供するために、3ミリメートル〜20ミリメートルであるべきである。被覆体は、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、EPDM、バイトン(Viton)、ハイパロン(Hypalon)、ポリウレタン、又は好適な硬度及び耐久性を有する任意のその他の材料から形成することができる。しかし、当業者には他の材料も明らかである。
【0035】
ベルト・システムは、押出流延ニップ内に見いだされる高い温度及び高いニップ圧を生き延びる耐久性を有することができる。スリーブは、研摩して光学仕上げを施すことができ、そして押し出される材料に対して十分な剥離特性を有することができる。スリーブは、高温におけるプラスチックの押出に関連する残留物の形成に抵抗することができ、そして受け入れがたい残留物レベルがその表面上に堆積されたときには容易にクリーニングすることもできる。製造中にこのローラの表面をクリーニングするための装置を有することが好ましい場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム・システムを示す概略側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様に基づく、バックライト及び光再指向フィルム・システムの一部を示す拡大部分側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム・システムを示す概略側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム・システムを示す概略側面図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様に基づく光再指向フィルム上の光学素子を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施態様に基づくコンプライアント・ベルト・システムを有する押出ロール成形システムを示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施態様に基づく、タイミング隆起を備えたベルト・システムを示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施態様に基づく、外側金属層上に三次元パターンを有するベルト・システムを示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施態様に基づく、コンプライアント・ベルト・システムと、往復する軟質リントフリー織物クリーナーとを有する押出ロール成形システムを示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の実施態様に基づく、コンプライアント・ベルト・システムと研磨ロールとを有する押出ロール成形システムを示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の実施態様に基づく、コンプライアント・ベルト・システムと静電放電システムとを有する押出ロール成形システムを示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の実施態様に基づく、ランド及びリッジを形成する光再指向フィルムの一部を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 光再指向フィルム・システム
2 光再指向フィルム
5 光学素子
6 光射出面
7 光入射面
25 光学被膜
26 光源
30 光学ディフューザ層
40 バック・リフレクタ
141 タイミング隆起を備えたベルト・システム
143 ベルト
145 タイミング隆起
151 三次元パターンを備えたベルト
153 三次元パターン
161 押出ダイ
163 溶融ポリマー
165 パターン化ローラ
167 ベルト
169 ベルト・ローラ
171 ベルト・ローラ
181 往復する軟質リントフリー織物クリーナー
191 研磨ローラ
201 静電放電システム
211 金属ベルト
213 エラストマー・ベルト
215 ランド
217 リッジ
219 光学素子
BL バックライト
D ディスプレイ
R 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーの溶融カーテンを準備し;そして前記カーテンを、成形ローラと、コンプライアント圧力ローラとの間の成形ニップ内に運ぶことを含んで成るパターンを有するシートを形成する方法であって、該圧力ローラが、その表面の上に位置する平滑なベルトを有しており、そして前記ベルトに熱が供給される前記方法。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が、200℃未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーが、前記ニップに入るときに、100 Pa.S未満の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマーが、前記成形ローラと前記コンプライアント圧力ローラとの間に入る前に、10Pa.S〜100 Pa.Sの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベルトが該ニップに入る直前の点と、前記ベルトが前記ニップを出た直後の点との間の温度勾配が、少なくとも148℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ニップ内の前記熱可塑性ポリマーの滞留時間が20〜40ミリ秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーが、前記ニップを出るときには固体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該ニップ圧が、1.4×108ダイン/cm〜2.6×108ダイン/cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コンプライアント圧力ロールが90ショアA〜50ショアDの押込硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ベルトが、合金鋼又はステンレス鋼から成る材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ベルトが、50ナノメートル未満の平均粗さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ベルトが、15ナノメートル〜30ナノメートルの平均粗さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
往復する軟質リントフリー織物クリーナーで、前記ベルトをクリーニングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
熱が対流伝導によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
熱が誘導によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
熱が輻射によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
熱が伝導によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ベルト及び前記熱可塑性ポリマーが、ニップのところでだけ接触している、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ベルトが剥離剤を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ベルトが、前記ニップに入る前に静電荷を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記成形ローラが、少なくとも1つの湾曲面と少なくとも1つの平坦面とを有する隙間を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記成形ローラが、0.4を上回るアスペクト比(幅に対する高さ)を有する隙間を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記成形ローラが、10マイクロメートルを上回る深さを有する隙間を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記成形ローラが、15マイクロメートル〜30マイクロメートルの深さを有する隙間を有している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属ベルトが、前記ニップに入る直前の点で、前記圧力ローラよりも高温である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記金属ベルトの温度が、前記圧力ローラよりも30〜110℃高い、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記金属ベルトの厚さが、0.5ミリメートル〜4ミリメートルである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−502514(P2008−502514A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516557(P2007−516557)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020186
【国際公開番号】WO2006/001997
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】