説明

成形加工用着色二軸配向積層ポリエステルフィルム

【課題】 フィルム表面への染料の析出を防止でき、窓貼り用や基材金属板への貼合せ成形加工に好適に使用でき、フィルムとしての意匠性に優れ、フィルム製造工程および金属板貼合せ工程、成形工程での着色剤による汚染を抑制することで他の生産品種への悪影響を防止することができる成形加工用着色ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも3層のポリエステル層からなる共押出積層フィルムの内層のいずれかの層がポリエステルに溶解する染料を含有し、当該層がブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とを主成分とするポリエステル樹脂組成物よりなることを特徴とする成形加工用着色ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の窓、建築物の窓等のガラスに貼り合わせをして使用される窓貼り用として好適な二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、フィルム表面への染料の析出を抑え、曲面を有するガラス面等への施工性と意匠性に優れた窓貼り用として好適な二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の窓や建築物の窓等に、プライバシーの保護、意匠性、日照調整、ガラス飛散防止等の目的で貼り合わされるフィルムには、透明性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れているポリエステルフィルムが良く用いられる。遮光性を有する窓貼り用ポリエステルフィルムとしては、例えば、3層以上の積層ポリエステルフィルムの内層に染料を含有させた複合フィルムを用いることが提案されている(特許文献1、2)。このような遮光フィルムを窓や基材金属板等に貼り合わせる際に、フィルム表面に染料が析出し、成形加工時に汚染による他の生産品種への悪影響を及ぼし、改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2699397号公報
【特許文献2】特開平10−157040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、フィルム製造工程および金属板貼合せ工程、成形工程での着色剤による汚染を抑制することで他の生産品種への悪影響を防止することが可能である成形加工用着色ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の物性を有する積層ポリエステルフィルムによりば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3層のポリエステル層からなる共押出積層フィルムの内層のいずれかの層がポリエステルに溶解する染料を含有し、当該層がブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とを主成分とするポリエステル樹脂組成物よりなることを特徴とする成形加工用着色ポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、染料の昇華等によって生産機を汚染することがなく、曲面ガラスなどへの施工性に優れるとともに、透明性に優れた窓貼り用二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上のポリエステル層が積層されたフィルムであることが必要で、さらに詳しくは、全ての層が押出口金から共に溶融押し出しされる、いわゆる共押出法により押し出されたフィルムである。また、フィルムは未延伸の状態や一軸延伸フィルムではなくて、縦方向および横方向の二軸方向に延伸して配向させ、その後に熱固定を施したフィルムであることが好ましい。このような積層フィルムは、両面に共押出表層を有し、その間には共押出内層を有するが、この共押出内層自体が積層構造となっていてもよい。
【0009】
ポリエステルフィルが単層構成である場合には、添加した染料がフィルム表面に湧き出す現象(ブリードアウト)、およびそれが昇華する現象が発生しやすく、これによってフィルム製膜機の汚染されるため、生産自体ができない場合が多く、仮に作成できたとしても、その表層にはブリードアウトによるフィルム内部からの湧出物が存在して、それによって後加工に悪影響を及ぼすことが多いため、好ましくない。
【0010】
本発明のポリエステルフィルムを構成する各層に用いるポリエステルは、通常、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。これらの中でも、PETは物性とコストのバランスが良好であり、最も良く用いられるポリエステルである。
【0011】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、その積層構造の内層のいずれかの層に、ポリエステルに実質的に溶解する染料を含有する必要がある。本発明で言う実質的に溶解するとは、ポリエステルの溶融状態で混練りしたときに、凝集体などが残らずに均一に混ざることを意味し、これによって後述するフィルムヘーズが通常6.0%以下、好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下となる。
【0012】
用いる染料は、可視光領域(380〜780nm)に吸収を持つものが好ましく、ポリエステルの成型温度で分解が少ないものが好ましい。このような染料は、化学構造的にはアントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、アゾメチン系、複素環系の染料等が好ましく挙げられ、染色処方的には、分散性染料、油溶性染料が好適である。また一般に顔料として分類されているものであっても、上記のように溶融ポリエステル中で溶解するものであれば、本発明では染料として用いることができる。この例としては、フタロシアニン系などの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロムなどの金属イオンとの錯塩染料などを挙げることができる。
【0013】
上記の染料は、例えばグレー調やブラウン調に調色するために、適宜選択して数種混合して使用されるのが一般的で、また、これらの染料のポリエステル中の含有量は、通常0.01〜10.0重量%、好ましくは0.05〜5.0重量%の範囲の中から選択することが好ましい。具体的には、フィルム全体の可視光線透過率が3〜75%、さらには5〜50%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0014】
本発明のフィルムは、内層のいずれかの層またはそれ以外の内層に前述した染料のほかに、公知の紫外線吸収剤あるいはラジカルトラップ剤等を共存させることができる。しかし、添加剤によってはフィルムに濁りを生じる場合がある。
【0015】
本発明で用いる染料およびその他の添加剤をポリエステルに添加する方法は、フィルムを溶融成型する際に、これらの粉体やペーストあるいは液体などとして添加する方法でもよいが、装置の汚染の問題や銘柄切り替えのしやすさを考慮すると、あらかじめ染料等のマスターバッチを作成しておき、フィルムの溶融成型時にこれらのマスターバッチをクリアーレジンで希釈しながら添加することが好ましい。またこれらの溶融成型の際には、ポリエステルに分散良く混練りしながら行うために、特に二軸押出機を用いることが好ましい。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムは、表層面の滑り性を確保するために、その両側の共押出表層面に微細な突起を形成させ得るに十分な粒子径と添加量の微粒子を含有させることができる。この目的で使用できる微粒子は、例えば、平均粒径が例えば0.02〜5.0μmの酸化ケイ素、炭酸カルシウム、カオリン、架橋有機高分子微粉体などの一種または二種以上を挙げることができ、添加量は通常0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%から適宜選択することが、フィルムヘーズを上昇させないで、かつ必要最小限の滑り性を確保することができて好ましい。フィルム表面の平均表面粗さ(Ra)が、0.005〜0.050μmの範囲となるように、上記条件を選択することが好ましい。
【0017】
さらに、共押出表層を構成するポリエステルには、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を本発明の要旨を越えない範囲の量だけ添加することも可能である。
【0018】
また、共押出表層と内層の積層厚み構成に関しては、フィルム全体の濁り(フィルムヘーズ)を抑えるために、微粒子の添加された共押出表層はできるだけ薄いことが好ましい。一方で、内層に存在する染料や他の添加剤がブリードアウトするのを防止するためには、共押出表層はむしろ厚い方が好ましい。これらを勘案して、本発明の積層フィルムにおいて、各表層の厚さは、フィルム全体の厚みにかかわらず、片側0.5〜5.0μmとすることが好ましい。また、両表層の厚みは同じであっても、異なっていてもよいが、異なる場合にも両者共に上記の厚み範囲内であることが好ましい。
【0019】
最外層の厚さが0.5μm未満の場合は、製膜工程中の熱固定処理の際に内層中の染料の昇華を十分に抑制できないことがある。また、最外層の厚さが5μmを超える場合は、中間層が薄くなり、高遮光性のフィルムを得るために必要な染料の含有量が多くなりすぎる傾向があり、未溶解の染料の析出によって生じる濁りによりフィルムヘーズが大きくなったり、ポリエステルの極限粘度が低下し、ポリエステル自体の特性が失われたり、中間層の厚さが不均一となって色斑が生じたりすることがある。
【0020】
本発明のフィルムは、少なくとも3層からなる共押出積層フィルムであって、その内層のいずれかの層にポリエステルに溶解する染料を有し、当該層は、ブチレンテレフタレート単位を主体とする、融点が通常216〜265℃のポリエステル樹脂と、エチレンテレフタレート単位を主体とする、融点が通常246〜270℃のポリエステル樹脂とを主成分とする、ガラス転移温度(Tg)が通常60℃以上であるポリエステル樹脂組成物よりなる。
【0021】
次に本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について具体的に説明するが、本発明のフィルムは以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0022】
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、複数台の押出機、複数層のマルチマニホールドダイまたはフィードブロックを用い、それぞれのポリエステルを積層して口金から複数層の溶融シートを押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法を採用することが好ましい。
次いで、得られた未延伸フィルムを二軸方向に延伸して二軸配向させる。すなわち、前記の未延伸シートを縦方向にロール延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、横方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。
【0023】
上記の延伸においては、1回の延伸操作で所定倍率まで延伸する方法の他、延伸を2段階以上に振り分けて所定の延伸倍率とする方法を用いることもできる。その場合にも、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。さらに、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0025】
(1)粘度(IV)
フェノール/テトラクロルエタン=1/1(重量比)の混合溶媒100mlにポリマー1gを溶解し、30℃で測定した。
【0026】
(2)平均粒径
遠心沈降式粒度分布測定装置((株)島津製作所製「SA−CP3型」)を使用し、ストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を平均粒径とした。
【0027】
(3)フィルム各層の厚さ
エポキシ樹脂にてフィルム小片を固定し、ミクロトームで切断し、透過型電子顕微鏡写真にてフィルムの断面を観察した。フィルム表面とほぼ平行な2本の明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
【0028】
(4)可視光線透過率
分光式測色計SE−2000(日本電色(株)製)を用いてD65光源で各波長の光線透過率を測定し、JIS S 3107に従って可視光線透過率を算出した。
【0029】
(5)染料析出評価
フィルムに180℃10分間、窒素雰囲気で熱処理行い、その熱処理後のフィルム250cm(12.5cm×20cm)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mlでフィルム表面を3分洗浄する。次に、フィルム表面を洗浄したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を試料瓶に移し、試料瓶の外観を以下のとおり判定する
○:染料による汚染は観察されない場合
△:染料による汚染が若干観察される場合
×:染料による汚染が激しく、成形加工に支障をきたす場合
以下の実施例および比較例で用いたポリエステル原料の製造方法は次のとおりである。
【0030】
<ポリエステルA>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部、および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後系内を常圧に戻し、実質的に微粒子を含まないポリエステルAを得た。このポリエステルの固有粘度は0.64であった。
【0031】
<ポリエステルB>
ポリエステルAの製造方法において、テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール120重量部とを出発原料とし、極限粘度0.85に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステルAの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルBを得た。
【0032】
<ポリエステルC>
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径1.4μmのシリカ粒子を1.0部含有するエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらにエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後系内を常圧に戻しポリエステルBを得た。得られたポリエステルBのシリカ粒子含有量は0.6重量%であった。またこのポリエステルの固有粘度は0.61であった。
【0033】
<ポリエステルD>
ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、三菱化学(株)製ダイアレジンレッドHS3.0重量%、同ブルーH3G5.5重量%、および同イエローF1.5重量%の各濃度となるように混合して添加し、溶融混練りを行ってチップ化を行い、染料マスターバッチのポリエステルDを作成した。
【0034】
<ポリエステルEの製造>
ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック20重量%の濃度となるように混合して添加し、溶融混練りを行ってチップ化を行い、顔料マスターバッチのポリエステルEを作成した。
【0035】
<ポリエステルFの製造>
ポリエステルAの製造において、テトラブチルチタネートの添加量を変えた以外は、概製造法と同様の方法でポリエステルFチップを得た。得られたポリエステルFの極限粘度は0.62、ジエチレングリコールの含有量は4.0モル%であった。
【0036】
実施例1:
<ポリエステルフィルムの製造>
ポリエステルA、D、F各チップを46.7:13.3:40.0の割合で、それぞれ中間層用レジンとして中間層用押出機に投入した。これとは別にポリエステルA、Cの各チップを87.5:12.5の割合で表層用レジンとして表層用押出機に投入した。それぞれの押出機はいずれもベント付きの異方向二軸押出機であり、レジンは乾燥すること無しに290℃の溶融温度で押出しを行い、その後溶融ポリマーをフィードブロック内で合流して積層した。その後静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して3層構成の積層未延伸シートを得た。得られたシートを83℃で3.5倍縦方向に延伸した。次いで、フィルムをテンターに導き93℃でフィルムを乾燥・予熱した後、横方向に4.0倍延伸し、200℃にて熱固定を行った。さらに幅方向に5%弛緩処理を行って、冷却した後巻き取って二軸配向フィルムのロールを作成した。このフィルムの各層の厚みは2/21/2μmの構成で、総厚みは25μmであった。塗布層の厚みは0.11μmであった。
【0037】
(塗布剤の組成:重量比)
e/f/g/h=47/20/30/3
ここで、eは、テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/トリエチレングリコール=31/16/3/22/21(モル比)のポリエステル分散体;fは、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリルニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤);gは、ヘキサメトキシメチルメラミン(メラミン系架橋剤);hは、粒子径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体(無機粒子)である。
【0038】
比較例1:
実施例1のポリエステルフィルムの製造において、ポリエステルA、D、各チップを86.7:13.3の割合でそれぞれ中間層用レジンとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例1のフィルムを作成した。塗布層の厚みは0.11μmであった。
【0039】
比較例2:
比較例1のポリエステルフィルムの製造において、ポリエステルB、Cの各チップを87.5:12.5の割合で表層用レジンとした以外は、比較例1と同様の方法で比較例2のフィルムを作成した。塗布層の厚みは0.11μmであった。
【0040】
比較例3:
実施例1のポリエステルフィルムの製造において、ポリエステルA、D、E各チップを46.7:13.3:40.0の割合でそれぞれ中間層用レジンとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例1のフィルムを作成した。塗布層の厚みは0.11μmであった。以上、得られた結果をまとめて下記表1に示す。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のフィルムは、例えば、自動車の窓、建築物の窓等のガラスに貼り合わせをして使用される窓貼り用として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層のポリエステル層からなる共押出積層フィルムの内層のいずれかの層がポリエステルに溶解する染料を含有し、当該層がブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂とを主成分とするポリエステル樹脂組成物よりなることを特徴とする成形加工用着色ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2012−218335(P2012−218335A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87941(P2011−87941)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】