説明

成形品吸着ユニット及び成形品吸着部材

【課題】取り付けスペースを狭小化して小型化する。
【解決手段】外周面に多数の孔が軸線方向へ樹脂成形品における製品間隔をおいて形成された共通排気管23・25と、樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔33aが形成された開口凹所33を有すると共に基端側に上記共通排気管に挿嵌して固定され、かつ孔に一致する空気流路が形成された固定部を有した吸着本体29、上記吸着本体内に収容され、上記吸引孔に接続される負圧発生手段37、上記負圧発生手段に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部39、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材を備えた成形品吸着部材3とからなる。該共通排気管に対して複数の該成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば成形品取出し機に設けられ、金型内から複数個の樹脂成形品を同時に取り出す際に、各樹脂成形品を吸着して保持する成形品吸着ユニット及び成形品吸着部材、詳しくは金型内から複数個の微小な樹脂成形品を同時に吸着保持して取り出すのに適した成形品吸着ユニット及び成形品吸着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形された樹脂成形品における複数個の製品を同時に吸着して金型内から取り出す成形品吸着ユニットとしては、取り付け板に対して複数の吸着パッドを各製品に相対してそれぞれ取り付けると共に各吸着パッドの近傍に、吸着した製品に向かって光を照射する発光素子及び製品からの反射光を受光して電気信号を出力する受光素子からなる光学的検知器をそれぞれ取り付けて製作している。
【0003】
上記成形品吸着ユニットは、型開した金型間に進入した際に、各吸着パッドによる負圧吸引力により樹脂成形品における各製品を吸着して保持すると共に吸着された製品に向かって照射された光の反射光を受光して樹脂成形品の吸着を検知し、すべての光学的検知器により製品の吸着が検知されると、樹脂成形品を金型内から所定の開放位置へ移動して取出し動作を実行している。
【0004】
しかし、上記成形品吸着ユニットにあっては、複数個の微小製品を同時に吸着するには、微小製品の吸着面より小さい大きさの吸着パッドを使用し、これら吸着パッドを樹脂成形品における各製品に相対するように配置すると共に各吸着パッドに近傍に光学的検知器を配置して製作しなければならない。このため、それぞれの樹脂成形品に応じて成形品吸着ユニットを製作しなければならず、製作に手間と時間がかかり、高コスト化する問題を有している。
【0005】
また、微小な樹脂成形品にあっては、各製品間の間隔が狭小であるため、各吸着パッドに光学的検知器を取り付けるスペースを確保することが困難な問題をも有している。
【0006】
上記欠点を解決するため、チャック板における複数の吸引個所に所定深さで複数の吸引孔を有した凹所を各製品に相対するようにそれぞれ形成すると共に各凹所の側面に光学的検知器を取り付けて成形品吸着ユニットを製作している。
【0007】
しかし、上記成形品吸着ユニットにあっては、上記した成形品吸着ユニットと同様に取り出す樹脂成形品毎にチャック板に凹所を形成すると共に光学的検知器を配置して製作する必要があり、汎用性が低く、製作に手間と時間がかかって高コスト化する問題を有している。
【0008】
また、特許文献1には、製品吸引孔内に光を照射する発光部材及び上記吸引孔内に設けられた反射部材からの光を受光する受光部材からなる光学的検知器を一体に設けた成形品吸着ユニットが開示されている。しかし、該成形品吸着ユニットにあっては、上記した従来の成形品吸着ユニットと同様に複数の吸着ノズルを各製品に対応するように配置しなければならず、1台で各種の樹脂成形品を取り出すことが可能な汎用性の高い成形品吸着ユニットとして使用できない。
【0009】
更に、上記成形品吸着ユニットにより微小な製品を吸着するには、吸着ノズル自体を微小化する必要があるが、吸着ノズルを微小化した場合には、吸着ノズルの吸引孔内に反射部材を取り付けるのが極めて困難であった。このため、吸着孔内に光を照射して反射部材からの反射光を受光して製品の吸着を確認することができない問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−155052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、吸着部材の周囲に光学的検知器を取り付けるのに多くのスペースを必要とし、小型化するのが困難になる点にある。また、取り出す樹脂成形品に応じて成形品吸着ユニットを製作する必要があり、各種の樹脂成形品に対応することができず、汎用性が低く、製作に手間と時間がかかって製作コストが増大する点にある。更に、吸着ノズル毎の微小空間に光学的検知器を取り付ける必要があり、この取り付け作業に手間と時間がかかり、製作コストが増大する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1は、外周面に多数の孔が軸線方向へ樹脂成形品における製品間隔をおいて形成された共通排気管と、樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に上記共通排気管に挿嵌して固定され、かつ孔に一致する空気流路が形成された固定部を有した本体、上記本体内に収容され、上記吸引孔に接続される負圧発生手段、上記負圧発生手段に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材を備えた成形品吸着部材とからなり、上記共通排気管に対して複数の成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付けたことを主要な特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、外周面に多数の孔が軸線方向へ樹脂成形品における製品間隔をおいて形成された共通吸気管と、樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に上記共通吸気管に挿嵌して固定され、かつ孔に一致する負圧流路が形成された固定部を有した本体、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材を備えた成形品吸着部材とからなり、上記共通吸引管に対して複数の成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付けたことを主要な特徴とする。
【0014】
請求項11の発明は、樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に排気流路が形成された固定部を有した本体と、上記本体内に収容され、上記吸引孔に接続される負圧発生手段と、上記負圧発生手段に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材とを備えたことを主要な特徴とする。
【0015】
請求項16の発明は、樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に負圧流路が形成された固定部を有した本体と、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材とを備えたことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、取り付けスペースを狭小化して小型化することができる。また、取り出す樹脂成形品に応じて吸着部材の位置を簡易に変更して対応することができ、汎用性が高く、製作に係る手間と時間を低減することができる。更に、吸着部材に光学的検知器を一体化することにより光学的検知器の取り付け作業をなくして製作コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】成形品取出し機における成形品吸着ユニットの取り付け状態を示す概略斜視図である。
【図2】成形品吸着ユニットの拡大分解斜視図である。
【図3】成形品吸着部材の内部構造を示す説明図である。
【図4】共通排気管に対する成形品吸着部材の取り付け状態及び空気の流れを示す説明図である。
【図5】製品非吸着状態における開口凹所内の光反射状態を示す説明図である。
【図6】製品吸着状態における開口凹所内の光反射状態を示す説明図である。
【図7】実施例2に係る成形品吸着ユニットを構成する成形品吸着部材の概略を示す説明図である。
【図8】共通排気管に対する成形品吸着部材の取り付け状態及び空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、共通排気管に対して複数の成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付けたことを最良の形態とする。
【実施例1】
【0019】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3において、本発明に係る多数の成形品吸着部材3が設けられた成形品吸着ユニット1は、例えば樹脂成形機の固定盤5に固定され、成形された樹脂成形品を金型内から樹脂成形機の操作側または反操作側へ取り出す成形品取出し機7の上下アーム9下部に取り付けられる。
【0020】
なお、上記成形品取出し機7は、固定盤5に固定され、樹脂成形機における中心軸線の直交方向へ延出する本体フレーム11上を上記直交方向へ移動するように支持される第1走行体13、該第1走行体13に上記軸線方向へ延出して固定される前後フレーム15に上記軸線方向へ移動するように支持される第2走行体17及び該第2走行体17に昇降するように設けられる上下アーム9から構成される。
【0021】
また、上記樹脂成形機は、例えば枝状に分岐した各ランナ10aに先端部に微小な製品10bを有した樹脂成形品10を成形する構造からなる。樹脂成形品10としては、図示するように2列4行で製品10bを有している例を示すが、この例に限定されるものではないことは、勿論である。上記成形品取出し機7は、成形品吸着ユニット1を上記軸線方向、軸線直交方向及び上下方向へ移動して金型内の樹脂成形品を樹脂成形機の操作側または反操作側へ取出す。
【0022】
上記成形品吸着ユニット1は、上下アーム9の下部に所要の間隔をおいて相対するように固定された上下一対の取り付けブロック19・21に固定される。即ち、上記一対の取り付けブロック19・21には、上下アーム9と一致する上下方向に軸線を有し、かつ後述する成形品吸着部材3の取り付け可能な個数に応じた軸線長さからなり、互いの軸線が平行で、樹脂成形品10における製品の列間隔をおいた2本の共通排気管23・25の軸線方向端部がそれぞれ固定される。これら共通排気管23・25には、軸線方向に対して後述する成形品吸着部材3に応じた間隔をおいて多数の排気孔23a・25aが形成されている。
【0023】
なお、上記共通排気管23・25の開口端部には、消音器24・26が取り付けられ、排気音を消音させる。また、共通排気管23・25に関し、図は軸線直交方向断面が円形状のものを示すが、同方向の断面が四角形状等の異径断面形状とすることにより、上記共通排気管23・25に対して複数個の成形品吸着部材3を取り付ける際に、排気孔23a・25aに対して排気流路27cを一致させる位置決めを簡易に行うことができる。
【0024】
上記各共通排気管23・25には、複数個の成形品吸着部材3が樹脂成形品10の各製品10bに相対する間隔でそれぞれ取り付けられる。成形品吸着部材3は、上記共通排気管23・25に挿嵌されて固定される固定部27に吸着本体29を固着して一体化した構造からなる。上記固定部27は、共通排気管23・25が挿嵌可能な内径の取り付け孔27aが形成され、該取り付け孔27aの基端側に応じた固定部27には、割溝27bが形成される。
【0025】
そして割溝27bに応じた固定部27には、固定ねじ31が螺合され、共通排気管23・25に対して固定部27の取り付け孔27aを挿入可能な内径に拡径または共通排気管23・25に対して固定部27を固定可能な内径に縮径させる。また、上記取り付け孔27aの吸着本体29側に応じた固定部27には、排気流路27cが相対する孔としての排気孔23a・25aに一致するように形成される。
【0026】
吸着本体29の上部には、一方の側面が開放され、かつ残りの側面が側壁により囲まれた平面横U字型で、製品10bの厚さに応じた深さの開口凹所33が形成され、該開口凹所33の底板には、多数の吸引孔33aが形成されている。上記底板下方の吸着本体29内には、負圧発生部材37が設けられる。該負圧発生部材37には、吸着本体29の側面に取り付けられた圧縮空気供給ノズル39に接続され、供給される圧縮空気を排気流路27c側へ流通させることにより負圧を発生させる。
【0027】
なお、上記開口凹所33の側壁内面にあっては、後述する光の反射を効率化する必要から鏡面加工することが望ましい。
【0028】
上記開口凹所33の開放側面側の吸着本体29上部には、製品検知器41が取り付けられている。該製品検知器41は、例えば開口凹所33内に向かって光を照射する発光部材41a及び開口凹所33内にて乱反射する反射光を受光して反射光量に応じた電気信号を出力する受光部材41bからなる光学的検知器により構成される。該製品検知器41は、受光部材41bから出力される電気信号が所定の敷居値以下の場合に製品検知信号を出力する。
【0029】
なお、上記開口凹所33の底板上面に、超極細繊維不織布の表面に導電性ポリマーを反応形成した静電気除去テープ(図示せず)を貼着し、製品10bに帯電した静電気を除電し、製品10bの吸着を解除して開放する際に、開放動作を確実に行えるようにしてもよい。また、上記開口凹所33の底板上面に、シリコンゴムシート等の弾性シート(図示せず)を貼着し、製品10bを吸着した際の傷付きを防止してもよい。
【0030】
次に上記のように構成された成形品吸着ユニットによる樹脂成形品10の吸着作用を説明する。
【0031】
図2及び図4に示すように、各成形品吸着部材3における固定部27の取り付け孔27a内に共通排気管23・25を挿嵌した状態でそれぞれの成形品吸着部材3を樹脂成形品10の製品10bに相対した所定の間隔で、かつ各排気流路27cが対応する排気孔23a・25aに一致するように配置した後、固定ねじ31を締め付けて固定させる。なお、共通排気管23・25に対して各成形品吸着部材3を、例えば1個置きの間隔をおいて取り付ける場合にあっては、各成形品吸着部材3の相互間に位置する共通排気管23・25の排気孔23a・25aが開放されたままの状態になっているため、開放状態の排気孔23a・25aに図示しない閉鎖板(閉鎖キャップ)を取り付けて閉鎖させる。
【0032】
上記のように共通排気管23・25に対して各成形品吸着部材3を固定して成形品吸着ユニット1を樹脂成形品10の製品10bに対応して製作した後、上下アーム9の下部に成形品吸着ユニット1を固定させる。
【0033】
次に、成形品取出し機7の制御装置(図示せず)は、第1走行体13、第2走行体17及び上下アーム9を移動制御して上下アーム9の下部に固定された成形品吸着ユニット1を、型開した樹脂成形機の金型間に進入させて樹脂成形品10を保持した金型に相対させる。このとき、各成形品吸着部材3の圧縮空気供給ノズル39から負圧発生部材37へ圧縮空気を供給し、圧縮空気の流通に伴って負圧を発生させることにより吸引孔33aから負圧吸引させる。そして各負圧発生部材37から排出される圧縮空気は、固定部27の排気流路27c及び排気孔23a・25aを介して共通排気管23・25へ導入された後に消音器24・26を介して大気へ放出される。
【0034】
また、製品検知器41は、発光部材41aを発光駆動して各開口凹所33内に光を照射すると、照射された光は、各開口凹所33の側壁により乱反射させられ、その戻り光が受光部材41bに受光され、該受光部材41bは、受光される戻り光の光量に応じた所定電圧の電気信号を出力する。(図5参照)
【0035】
上記状態にて制御装置は、第2走行体17を金型側へ移動制御して成形品吸着ユニット1における各成形品吸着部材3の開口凹所33内に金型内の樹脂成形品10における製品10bを位置させて吸着させる。この状態において、開口凹所33内に照射されて側壁により乱反射される光は、一部が製品10bにより吸収されたり、遮蔽されたりして乱反射状態が乱され、受光部材41bにより受光される戻り光の光量が少なくなる。(図6参照)
【0036】
製品検知器41は、受光部材41bから出力される電気信号が所定の基準電圧以下になったとき、開口凹所33内にて製品10bが吸着保持されたと判定して製品検知信号を出力する。即ち、開口凹所33内に製品10bが吸着されていず、受光部材41bから出力される電気信号が所定の基準電圧以上のときには、製品非検知と判定して製品検知信号LOWに、反対に開口凹所33内に製品10bが吸着されて、受光部材41bから出力される電気信号が所定の基準電圧以下のときには、製品検知と判定して製品検知信号HIGHへそれぞれ遷移させる。
【0037】
そして全ての開口凹所33内に製品10bが吸着保持されてそれぞれの製品検知器41から製品検知信号HIGHが出力されて論理ANDになると、制御装置は、樹脂成形品10の全ての製品10bが対応する成形品吸着部材3に吸着されて保持されたと判定し、第2走行体17を復動制御して成形品吸着ユニット1を金型から離間する方向へ移動して金型から抜き出させた後、上下アーム9を上昇移動して金型間の上方へ移動させ、次に第1走行体13を移動制御して成形品吸着ユニット1を樹脂成形機の操作側または反操作側の開放位置へ移動させる。
【0038】
そして制御装置は、上記開放位置にて各成形品吸着部材3における負圧発生部材37に対する圧縮空気の供給を遮断して負圧発生を中断させることにより製品10bの吸着を解除して樹脂成形品10を開放させる。この開放動作時においては、開口凹所33内から製品10bが離脱して開口凹所33内における光の反射状態が初期状態に戻り、受光部材から所定電圧以上の電気信号が出力されるため、制御装置は、製品検知器41から出力される製品検知信号LOWにより樹脂成形品10が開放されたことを判別する。
【0039】
本実施例は、成形品吸着部材3の開口凹所内へ光を照射して乱反射する光戻り光の光量変化に基づいて製品10bの吸着を検知することができ、従来のように吸引孔内に反射部材を設けて製品を検知する場合に比べて成形品吸着部材を小型化することができる。また、各成形品吸着部材3から排気される圧縮空気を共通排気管23・25により共通排気することにより圧縮空気の消音処理を一括で行うことができ、装置自体を簡易化することができる。
【実施例2】
【0040】
本実施例の成形品吸着ユニット81は、共通負圧管83・85を介して各成形品吸着部材87を負圧形成して樹脂成形品10の製品10bを吸着するもので、他の構成に付いては実施例1と同様であるため、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
図7に示すように、上下アーム9の下部には、互いの軸線が平行配置された共通負圧管83・85の一方端部が固定され、これら共通負圧管83・85は、電磁バルブ(図示せず)を介して負圧源(図示せず)に接続される。これら共通負圧管83・85には、多数の吸引開口83a・85aが軸線方向へ後述する成形品吸着部材87に対応する間隔をおいて形成される。
【0042】
これら共通負圧管83・85には、複数個の成形品吸着部材87が軸線方向へ所定の間隔をおいて、または隣接した状態で取り付けられる。各成形品吸着部材87は、上記共通負圧管83・85に固定される固定部89と、該固定部89に対して気密状に固定される吸着本体91とから構成される。固定部89には、上記共通負圧管83・85に挿嵌される取り付け孔89aが形成されると共に基端側には、上記取り付け孔89aに連通する割溝89bが形成される。そして固定部89には、上記取り付け孔89aの軸線と直交する方向へ延びて吸着本体91内及び取り付け孔89a内と連通する負圧流路89cが形成される。
【0043】
吸着本体91の上部には、開口凹所33が形成され、該開口凹所33の底板には、内部と連通する多数の吸引孔33aが形成される。また、開口凹所の開放側壁側に応じた吸着本体91には、製品検知器41が取り付けられる。
【0044】
なお、上記開口凹所33の底板上面に、上記と同様の静電気除去テープ(図示せず)や、弾性シート(図示せず)を貼着してもよい。また、取り付け孔89aの内周面に位置する負圧流路89cの端部に、Oリング等のパッキングを取り付けてもよい。
【0045】
そして上記の各成形品吸着部材87は、取り付け孔89a内に共通負圧管83・85を挿嵌した状態で負圧流路89cを吸引開口83a・85aに一致させた後に、固定ねじ31を締め付けて取り付け孔89aを縮径して固定させる。このとき、各成形品吸着部材87は、共通負圧管83・85に対して樹脂成形品10における製品10a間の間隔をおくように固定される。
【0046】
上記の成形品吸着ユニット81にあっては、樹脂成形品10の製品10bを吸着する際に、共通負圧管83・85を負圧形成することにより各成形品吸着部材87を負圧化して開口凹所33内にて製品10bを吸引して保持させる。(図8参照)
【0047】
本実施例は、共通負圧管83・85により取り付けられた各成形品吸着部材87をそれぞれ負圧形成するため、実施例1のように各成形品吸着部材3に負圧発生部材37及び圧縮空気供給ノズル39を設ける必要がなく、成形品吸着部材87の構造を簡易化して軽量化することができる結果、成形品吸着ユニット81自体を小型化及び軽量化することができる。これにより成形品吸着ユニット81の移動応答性を良好にし、樹脂成形品10の取出し時間を短縮することを可能にする。
【符号の説明】
【0048】
1 成形品吸着ユニット
3 成形品吸着部材
5 固定盤
7 成形品取出し機
9 上下アーム
10 樹脂成形品
10a ランナ
10b 製品
11 本体フレーム
13 第1走行体
15 前後フレーム
17 第2走行体
19・21 取り付けブロック
23・25 共通排気管
23a・25a 排気孔
24・26 消音器
27 固定部
27a 取り付け孔
27b 割溝
27c 排気流路
29 吸着本体
31 固定ねじ
33 開口凹所
33a 吸引孔
35 負圧接続部
37 負圧発生部材
39 圧縮空気供給ノズル
41 製品検知器
41a 発光部材
41b 受光部材
81 成形品吸着ユニット
83・85 共通負圧管
83a・85a 吸引開口
87 成形品吸着部材
89 固定部
89a 取り付け孔
89b 割溝
89c 負圧流路
91 吸着本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に多数の孔が軸線方向へ樹脂成形品における製品間隔をおいて形成された共通排気管と、
樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に上記共通排気管に挿嵌して固定され、かつ孔に一致する空気流路が形成された固定部を有した本体、上記本体内に収容され、上記吸引孔に接続される負圧発生手段、上記負圧発生手段に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材を備えた成形品吸着部材と、
からなり、
上記共通排気管に対して複数の成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付けた成形品吸着ユニット。
【請求項2】
請求項1において、共通排気管には、それぞれの孔に対して負圧発生手段の排気流路を一致させた状態で各成形品吸着部材を固定し、各成形品吸着部材における負圧発生手段から排気される圧縮空気を共通排気可能にする成形品吸着ユニット。
【請求項3】
請求項1において、負圧発生部材は、供給される圧縮空気の流通に伴って負圧を発生させることを特徴とする成形品吸着ユニット。
【請求項4】
請求項1において、共通排気管の開放端部には、消音器を取り付けた成形品吸着ユニット。
【請求項5】
請求項1において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した静電気除去シートを設けた成形品吸着ユニット。
【請求項6】
請求項1において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した弾性シートを設けた成形品吸着ユニット。
【請求項7】
請求項1において、共通排気管は、軸線直交方向断面が円形状及び異径形状のいずれかとした成形品吸着ユニット。
【請求項8】
外周面に多数の孔が軸線方向へ樹脂成形品における製品間隔をおいて形成された共通吸気管と、
樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に上記共通吸気管に挿嵌して固定され、かつ孔に一致する負圧流路が形成された固定部を有した本体、上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材を備えた成形品吸着部材と、
からなり、
上記共通吸引管に対して複数の成形品吸着部材を、樹脂成形品の製品に相対して位置変更可能に取り付けた成形品吸着ユニット。
【請求項9】
請求項8において、共通吸気管には、それぞれの孔に対して負圧流路を一致させた状態で各成形品吸着部材を固定し、共通吸引管を介して各成形品吸着部材を負圧形成可能にした成形品吸着ユニット。
【請求項10】
請求項8において、共通吸引管は、軸線直交方向断面が円形状及び異径形状のいずれかとした成形品吸着ユニット。
【請求項11】
樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に排気流路が形成された固定部を有した本体と、
上記本体内に収容され、上記吸引孔に接続される負圧発生手段と、
上記負圧発生手段に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、
上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材と、
を備えた成形品吸着部材。
【請求項12】
請求項11において、本体の排気流路は、負圧発生手段から排出される圧縮空気を本体外へ排気する成形品吸着部材。
【請求項13】
請求項11において、負圧発生部材は、供給される圧縮空気の流通に伴って負圧を発生させる成形品吸着部材。
【請求項14】
請求項11において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した静電気除去シートを設けた成形品吸着部材。
【請求項15】
請求項11において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した弾性シートを設けた成形品吸着部材。
【請求項16】
樹脂成形品の製品に相対する上部に一側面が開放し、他側面が閉鎖され、樹脂成形品の製品を吸着する多数の吸引孔が形成された開口凹所を有すると共に基端側に負圧流路が形成された固定部を有した本体と、
上記開口凹所の開放側面側に設けられ、開口凹所内に光を照射する発光部材及び上記空間部からの戻り光を受光する受光部材からなる光検知部材と、
を備えた成形品吸着部材。
【請求項17】
請求項16において、本体の排気流路は、負圧源に接続される成形品吸着部材。
【請求項18】
請求項16において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した静電気除去シートを設けた成形品吸着部材。
【請求項19】
請求項16において、本体の開口凹所上面には、多数の開口を有した弾性シートを設けた成形品吸着部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−240559(P2011−240559A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113947(P2010−113947)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 
【出願人】(000132231)株式会社スター精機 (47)
【Fターム(参考)】