説明

成形型モデルの形状決定方法、成形型、及び成形品の製造方法

【課題】 非可展面を備える成形型をプレス成形に適した形状に修正することにより、しわや亀裂を低減した良質な成形品の製造を可能とした成形型の形状決定方法、成形型、及び成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、第1の可展面と非可展面と第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と非可展面との交線の長さが全て一致するように、非可展面の形状を修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型モデルをプレス成形に適した形状に修正する成形型モデルの形状決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、航空機、自動車、船舶、列車などの構造部材として、熱硬化性樹脂複合材や熱可塑性樹脂複合材などの繊維強化樹脂複合材が用いられている。構造部材の製造は、繊維強化樹脂複合材を平板上に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することによりプレス成形し、成形したプリプレグ積層品をオートクレーブ(焼付け)することにより行われる。
例えば、特開2000−280364号公報(特許文献1)には、上面両端部にそれぞれ複数のロッドを立設した略直方体の下型と、この下型に組み合わされる一対の上型とを備え、上型は断面逆L字状をなし、上型の上部に案内ロッドが挿通される孔を設けるとともに、上型の下端に外方に広がる曲面部を有する成形装置を用いて、上記プリプレグ積層品をプレス成形する技術が開示されている。この技術によれば、成形品にしわを発生させることなく、安定した品質の複合材成形品を成形することが可能となる。
【特許文献1】特開平2000−280364号公報(第2−11頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、プリプレグ積層品をプレス加工する成形型は、様々な形状がある。例えば、その一例を図27に示す。図27に示される成形型は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面S01、S05と、2つの部分円筒面S01、S05の中心軸に直交する平面S03と、平面S03と部分円筒面S01、S05のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面S02、S04とを備えている。
このような成形型は、フィレット面が非可展面となってしまうため、単に、平板上のプリプレグ積層品を上記形状の成形型に押圧すると、しわや亀裂が生じてしまう。
そして、このような成形型については、上記特許文献1に開示されている技術を用いたとしても、しわの低減を図ることができなかった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、非可展面を備える成形型をプレス成形に適した形状に修正することにより、しわや亀裂を低減した良質な成形品の製造を可能とした成形型の形状決定方法、成形型、及び成形品の製造方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、非可展面を備える成形型モデルとして、図27に示すような成形型モデルを例に挙げ、この成形型モデルの曲面解析、例えば、ガウス曲率を求めることにより、しわや亀裂の原因の解明を図った。
【0006】
ここで、ガウス曲率とは、以下に説明するものである。
図28に示すような曲面S上の点Pにおいて、接平面に垂直に立てられた単位ベクトルを単位法線ベクトルn、この単位法線ベクトルnを含む平面を法平面、この法平面と曲面Sとの交線を法断面という。
この法断面の微分を曲率として、法平面を単位法線ベクトルnの周りに回転させると、その回転角θと曲率との関係が、例えば、図29に示すようなグラフとして得られる。
【0007】
ここで、最大曲率K及び最小曲率Kを点Pにおける曲面Sの主曲率と呼び、これら主曲率K及びKを乗算した値がガウス曲率Kg、平均した値が平均曲率Kmとなる。そして、これらガウス曲率Kg及び平均曲率Kmにより、曲面Sの形状を把握することができる。
図30に、ガウス曲率と平均曲率とにより決定される形状の一例を示す。この図に示すように、ガウス曲率Kg=0であれば、つまり、一方又は両方の主曲率がゼロであれば、曲面Sは可展面となる。また、ガウス曲率Kgがマイナスの値を取れば、曲面Sは鞍型であり、逆に、ガウス曲率Kgがプラスの値を取れば、曲面Sは皿型となる。
【0008】
そして、図27に示した成形型モデルについて、上述のガウス曲率Kgを求めた結果、中心軸に対して外側のフィレット面S02のガウス曲率Kgは、プラスの数値をとり、内側のフィレット面S04のガウス曲率はマイナスの数値を取ることが確認された。つまり、図30に示した表から、成形型モデルの外側のフィレット曲面S02は、皿型であり、内側のフィレット曲面S04は鞍型であることが確認された。
【0009】
次に、鞍型の曲面、及び皿型の曲面に成形素材シートを貼り付ける場合、どのようなしわが生じるかを検証した。例えば、鞍型の曲面に対して平板の成形素材シートを貼り付けると、図31に示すように、中央部にしわが発生することが確認された。また、皿型の曲面に対して平板の成形素材シートを貼り付けると、図32に示すように、端部にしわが発生することが確認された。これは、鞍型では、中央部のガース長さ(曲面の周長)が短く、皿型では、端部のガース長さが短くなることに起因していると考えられる。
更に、上記成形型モデルに平板の成形素材シートをプレス成形することにより製造した成形品を解析した。この結果、図33に示すように、成形型モデルの周方向にしわが顕著に生じていることが確認された。
以上のことから、しわの発生要因は、曲面の端部及び中央部のガース長さの不整合に起因すると考えられ、曲面上のガース長さが変化する曲面は、非可展面(皿型、鞍型)であり、可展面と非可展面を判別するためにガウス曲率分布で確認することが有効であるとの検証結果が得られた。
【0010】
本発明は、上述したような検証結果に基づきなされたものであり、非可展面を含む成形型の形状をプレス成形に適した形状に修正することにより、しわや亀裂を低減した良質な成形品の製造を可能とすべく、以下の手法を提案する。
【0011】
本発明は、成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記成形型モデルの曲面解析を行う解析過程と、前記解析過程の結果に基づいて、非可展面を抽出する非可展面抽出過程と、前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正する修正過程とを具備する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
【0012】
本発明の成形型モデルの形状決定方法によれば、成形型モデルを曲面解析し、この曲面解析の結果に基づいて、非可展面を抽出し、抽出した非可展面を可展面に近づけるように、非可展面の形状を修正するので、修正後の成形型モデルに含まれる非可展面を極めて少なくすることが可能となり、しわを大幅に低減させることができる。
【0013】
上記記載の成形型モデルの形状決定方法において、前記解析過程は、前記成形型モデルのガウス曲率分布を求め、前記非可展面抽出過程は、前記ガウス曲率がゼロでない領域を非可展面として抽出し、前記修正過程は、前記非可展面のガウス曲率がゼロに近づくように、前記非可展面の形状を修正することが好ましい。
【0014】
このように、成形型モデルのガウス曲率分布を求め、このガウス曲率分布からガウス曲率がゼロでない領域を非可展面として抽出し、抽出した非可展面のガウス曲率がゼロに近づくように、非可展面の形状を修正するので、非可展面の抽出や非可展面の修正を非常に簡便に行うことが可能となる。
【0015】
上記記載の成形型モデルの形状決定方法において、前記修正過程は、前記非可展面の曲率半径を変更することが好ましい。
このように、非可展面の曲率半径を変更することにより、非可展面を容易に修正することが可能となる。
【0016】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
本発明によれば、第1の可展面と非可展面と第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と非可展面との交線の長さが全て一致するように、非可展面の形状を修正するので、非可展面を可展面に容易に近づけることが可能となり、成形品のしわや亀裂の低下を図ることができる。
上記複数の平面は、互いに交差することはない。また、上記複数の平面は、対象となる成形型モデルの形状に応じて任意に配することができるものである。
【0017】
上記記載の成形型モデルの形状決定方法において、前記交線の曲率半径を変化させることにより、前記非可展面の形状を修正することが好ましい。これにより、形状修正を容易に行うことが可能となる。
【0018】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差するとともに、互いに交差しない複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
本発明によれば、第1の可展面と非可展面と第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差するとともに、互いに交差しない複数の平面と非可展面との交線の長さが全て一致するように、非可展面の形状を修正する。これにより、非可展面を可展面に近づけることができ、成形品のしわや亀裂の低下を図ることができる。
上記複数の平面は、互いに交差することはない。また、上記複数の平面は、対象となる成形型モデルの形状に応じて任意に配することができるものである。
【0019】
上記記載の成形型モデルの形状決定方法において、前記第1の可展面と前記非可展面との境界部及び前記非可展面と前記可展面との境界部における曲率が滑らかに、且つ、連続的になるように、前記非可展面の形状を修正することが好ましい。
非可展面の形状修正をこのように行うことにより、成形品のしわや亀裂を更に低減させることができる。
【0020】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とからなる第1の曲面を備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
本発明によれば、第1の可展面と非可展面と第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、第1の可展面及び第2の可展面の少なくとも一方の形状を修正する。これにより、しわや亀裂の低下を図ることができる。
上記複数の平面は、互いに交差することはない。また、上記複数の平面は、対象となる成形型モデルの形状に応じて任意に配することができるものである。
【0021】
本発明は、成形型モデルを曲面解析し、前記曲面解析の結果に基づいて、前記非可展面を抽出し、前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正することにより、プレス成形に適した成形型モデルを生成し、生成した前記成形型モデルに基づいて製造された成形型を提供する。
【0022】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を提供する。
【0023】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差する複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を提供する。
【0024】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方が形成された成形型を提供する。
【0025】
本発明は、成形型モデルを曲面解析し、前記曲面解析の結果に基づいて、前記非可展面を抽出し、前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正することにより、プレス成形に適した成形型モデルを作成し、作成した前記成形型モデルに基づいて製作された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0026】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0027】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差する複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0028】
本発明は、第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0029】
本発明は、前記成形型の形状を曲面解析する解析工程と、前記曲面解析の結果に基づいて、表面のガース長さを算出する算出工程と、前記ガース長さに応じて、前記成形型に成形素材シートの各端部を圧縮或いは引張りながら前記成形型に押圧する押圧工程とを具備する成形品の製造方法を提供する。
【0030】
本発明は、前記成形型の形状を曲面解析する解析工程と、前記曲面解析の結果に基づいて、表面のガース長さを算出する算出工程と、前記ガース長さに応じて決定される形状に、成形素材シートを裁断する裁断工程と、前記成形型に断裁された前記成形素材シートを押圧する押圧工程とを具備する成形品の製造方法を提供する。
【0031】
本発明は、成形型モデルの形状を曲面解析する解析工程と、前記曲面解析の結果に基づいて、前記成形型モデルの表面のガース長さを算出する算出工程と、前記ガース長さに応じて、成形素材シートを裁断する裁断工程とを具備する成形素材シートの製造方法を提供する。
【0032】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を、中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記フィレット面上の各位置における周方向の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
【0033】
これにより、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの部分円筒面の中心軸に直交する平面と、平面と部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルにおいて、フィレット面上の各位置における周方向(以下「長手方向」という。)の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正するので、フィレット面の周長を一定にすることが可能となる。
これにより、しわの発生が顕著に現れていた長手方向の歪みを解消することが可能となるので、しわや亀裂を低減させることができる。
【0034】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
【0035】
本発明によれば、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの部分円筒面の中心軸に直交する平面と、平面と部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルにおいて、中心軸を含む平面で成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正するので、断面の外周の長さを一定にすることが可能となる。これにより、断面方向の歪みを解消することが可能となる。また、上記長手方向の長さを一致させた上で、更に、断面方向の長さを一致させることにより、しわや亀裂の更なる低減を図ることが可能となる。
【0036】
また、前記各断面において、前記フィレット面に対応する円弧の曲率半径を変化させることにより、前記フィレット面の形状を修正することが好ましい。
このように、曲率半径を変化させることにより、フィレット面を可展面に近づけることが可能となるので、成形品のしわや亀裂を大幅に低減させることができる。
【0037】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、前記平面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法を提供する。
【0038】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型において、前記フィレット面上の各位置における周方向の長さが、その最大の長さに一致するように、フィレット面が形成された成形型を提供する。
【0039】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型において、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面が形成された成形型を提供する。
【0040】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルにおいて、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、前記平面が形成された成形型を提供する。
【0041】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型において、前記フィレット面上の各位置における周方向の長さが、その最大の長さに一致するように、フィレット面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0042】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型において、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【0043】
本発明は、同心に配置された半径の異なる2つの円筒面を中心軸を含み相互に角度をなして配置される2つの平面によって切り出した2つの部分円筒面と、2つの前記部分円筒面の中心軸に直交する平面と、前記平面と前記部分円筒面のそれぞれとを一定の曲率変形で滑らかに接続するフィレット面とを備える成形型モデルにおいて、前記中心軸を含む平面で前記成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、前記平面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0044】
本発明の成形型モデルの形状決定方法このように、しわや亀裂の原因となっていた非可展面を極めて少なくすることが可能となるので、品質の高い成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明による3次元形状処理装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る3次元形状処理装置は、CAD(Computer
Aided Design)やCAM(Computer Aided Manufacturing)などのコンピュータシステムであり、CPU(中央演算処理装置)1、RAM(Random
Access Memory)などの主記憶装置2、HDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置3、キーボードやマウスなどの入力装置4、及びプリンタなどの出力装置5などを備えて構成されている。
補助記憶装置3には、各種プログラムが格納されており、CPU1が補助記憶装置3からプログラムをRAMなどの主記憶装置2に読み出し、実行することにより、後述する各種処理、例えば、3次元形状モデルの作成、作成されている3次元モデルの変形処理などを実現させる。
【0046】
次に、上述のような構成を備える3次元形状処理装置において、既に作図されている非可展面を備える成形型モデルの形状をプレス成形に適した形状に修正させる成形型モデルの形状決定方法について、説明する。
〔第1の実施形態:成形型モデルの形状決定方法〕
本実施形態においては、非可展面を備える成形型モデルの一例として、図2に示した形状の成形型モデルを挙げ、この成形型モデルをプレス成形に適した形状に修正させる方法について説明する。
【0047】
図2には、O−XYZの直交座標系に配置された成形型モデルが示されている。この成形型モデルは、Z軸を中心軸とする内側部分円筒面S05と外側部分円筒面S01とを備えている。これら部分円筒面S01、S05を接続するように平面S03が図において上方に設けられている。この平面S03と各部分円筒面S01、S05とは、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04によって滑らかに接続されている。
この成形型モデルにおいて、内側部分円筒面S05、平面S03、及び外側部分円筒面S01は、可展面である。また、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04は、非可展面である。
【0048】
内側部分円筒面S05は、図3に示すように、Z軸(中心Oを通り、紙面に垂直な軸)を中心軸とする半径r1の円筒面C1を、中心軸Zを含み相互に角度θsをなして配置される2つの平面F1(Y−Z面に相当)及びF2によって切り出されている。
外側部分円筒面S01についても、内側部分円筒面S05と同様に、Z軸を中心軸とする半径r2(>r1)の円筒面C2を、中心軸Zを含み相互に角度θsをなして配置される2つの平面F1(Y−Z面に相当)及びF2によって切り出されている。
平面S03は、Z軸に直交する平面の一部とされている。すなわち、X−Y面を平面視した場合、中心角θsとされた扇形の一部を切り取った形状となっている。
外側フィレット面S02は、図2に示したように、平面S03の外周縁と外側部分円筒面S01とを一定の曲率半径で滑らかに接続する面とされている。
同様に、内側フィレット面S04は、平面S03の内周縁と内側部分円筒面S05とを一定の曲率半径で滑らかに接続する面とされている。
図4は、図2及び図3に示した成形型モデルのY−Z(X=0.0)断面図を示している。
【0049】
本実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法においては、成形型モデルの各位置における周方向の長さが、その最大の長さに一致するように、成形型モデルの形状を修正する。ここで、周方向の長さとは、以下のように定義される。
図5に示すように、外側部分円筒面S01と外側フィレット面S02と平面S03とを繋ぐ方向に複数の平面N(図5では、1つの平面のみ例示している)を配置する。そして、この平面Nに交差する複数の平面(図5では、1つの平面のみ例示している)Tを配置する。そして、この平面Tと成形型モデルとの交線の長さを周方向の長さLとする。
なお、内側部分円筒面S05と内側フィレット面S04と平面S03とを繋ぐ方向に上記平面Nを配置されても良い。また、複数の平面Nは、互いに交差するものではなく、複数の平面Tについても、互いに交差するものではない。
【0050】
例えば、図4に示したY−Z断面図において、断面の外周を50分割する分割点を設定する。続いて、各分割点を通る各周方向(図5及び図8参照)の長さL(以下、周方向の長さを「周長」という。)を計測し、周長Lが最大である分割点Qとその長さLmaxを特定する。
続いて、図4に示すように、分割点QとZ軸との距離、つまり周方向の回転半径Rmaxを計測し、この分割点Qにおける周方向の外形線をX−Y平面上に描く。この結果、図6に示すような部分曲線Kが得られる。
【0051】
次に、断面(図4参照)の外周上に設定した各分割点(図示略)を通る周長を上記最大の長さLmaxに一致させるように、修正する。
具体的には、図4に示すように、ある分割点A(Z=Zv)において、回転半径Rvを計測する。続いて、図6に示すX−Y平面上において、Y軸に上記回転半径Rvをとり、原点Oを中心とした長さLmaxの円弧Kvを描く。この円弧の他端のX座標Rvsinθv、Y座標Rvcosθvを取得する。
他の各分割点においても上述と同様の処理を行うことにより、各分割点における座標値(Xi,Yi,Zi)を取得する。
上述の手法により得られた各分割点の座標値を滑らかに結ぶことにより、例えば、図7に示すような成形型モデルを得ることができる。修正後における成形型モデル(図中実線)は、修正前の形状(図中点線)に対して、少し膨らみを帯びた形状となる。なお、図7は、外形の特徴を把握するために示したモデルであり、実際のモデルとは異なる。
なお、本実施形態では、図4に示したY−Z断面を50分割したが、この分割数を多くする程、周長の長さを精度よく一致させることが可能となる。
【0052】
〔第2の実施形態:成形型モデルの形状決定方法〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法について、図を参照して説明する。
本実施形態の成形型モデルの形状決定方法では、図2に示した成形型モデルにおいて、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04上の各位置における周長(図8に示す各実線の長さL)が、その最大の長さに一致するように、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04の形状を修正する。
具体的には、上述した第1の実施形態と同様に、周長の最大の長さLmaxを特定する。その後、図8に示すように、内側フィレット面S04上に存在する各分割点における周長を長さLmaxとするべく、内側フィレット面S04の形状を修正する。例えば、図9に示すように、成形型モデルの内側フィレット面S04を、Z軸(図示略)を含む平面でそれぞれ切り出した各フィレット断面Dの曲率半径r´を各フィレット断面D毎に、変化させることにより、内側フィレット面S04の形状を変更させる(以下、フィレット断面の曲率半径を変更する修正方法を「修正方法1」という。)。
より好ましくは、内側部分円筒面S05とフィレット面S04との境界部における曲率、及びフィレット面S04と平面S03との境界部における曲率が、滑らかに、且つ、連続的になるように、言い換えると、内側部分円筒面S05とフィレット面S04と平面S03とを繋ぐ稜線が2階微分可能な曲線となるように、フィレット断面Dの弧の形状を修正する(以下、この修正方法を「修正方法2」という。)。例えば、弧の膨らみ加減を変えることにより、フィレット面の弧の形状を修正する。これにより、成形型モデルを非常に滑らかな曲線にて表現することが可能となるので、成形品のしわや亀裂を更に低減させることができる。
そして、外側フィレット面S02においても、同様にフィレット面の形状を変更することにより、同様の効果を得ることが可能となる。
【0053】
ここで、内側フィレット面S04上及び外側フィレット面S02上に存在する各分割点における周長が、長さLmaxとなるように、内側フィレット面S04及び外側フィレット面S02の形状を修正したときの成形型モデルの形状を図10及び図11に示す。
図10は、修正後における内側部分円筒面S05、内側フィレット面S04、及び平面S03の形状を示している。図11は、修正後における外側部分円筒面S01、外側フィレット面S02、及び平面S03の形状を示している。
図10に示すように、内側フィレット面S04においては、中央部に近づくほど幅が細くなるような形状となる。また、図11に示すように、外側フィレット面S02においては、中央部に近づくほど、幅が広がるような形状となる。これは、上述したように、修正前の成形型モデルにおいて、内側フィレット面S04は、鞍型形状をしており、外側フィレット面S02は、皿型形状をしているためであると考えられる。
【0054】
次に、図12は、修正前における周長の変化と、修正後における周長の変化とを対比して示した図である。図13は、修正前における断面方向(図8参照)の曲率の変化と、修正後における断面方向の曲率の変化とを対比して示した図である。図14は、修正前における周方向(図8参照)の曲率の変化と、修正後における周方向の曲率の変化とを対比して示した図である。
図12乃至図14において、X軸に、図4に示したY−Z断面において設定した各分割点(点列)をとり、Y軸に、各分割点における周長、断面方向における曲率、周方向における曲率をそれぞれとる。
【0055】
X軸において、図4に示した外側部分円筒面S01のZ=0の位置を分割点1とし、ここから断面の外周に沿って分割点2、3と順に設定をしている。
分割点11乃至21は、外側フィレット面S02上に設定された分割点であり、分割点31乃至41は、内側フィレット面S04上に設定された分割点である。
これらの図において、実線は修正前、二点鎖線は周長を一致させるためにフィレット断面Dの曲率半径を変えた場合、つまり修正方法1の場合、点線は、フィレット断面Dの曲率変形を変更した上、更に、各部分円筒面と平面とを繋ぐ稜線の曲率が滑らかに、且つ、連続的に変化するようにフィレット断面Dの形状を変形させた場合、つまり修正方法2の場合の各値を示している。
【0056】
図12から、修正前の成形型モデルでは、周長が大幅に変化しているが、修正後の成形型モデルでは、修正方法1及び修正方法2の双方において、各分割点における周長が全て同じ長さとなっていることが確認できる。
【0057】
図13から、修正前並びに修正方法1の場合においては、断面方向の曲率が不連続になっていることがわかる。特に、各部分円筒面S01、S05と各フィレット面S02、S04との接続箇所(分割点11乃至13など)、及び、平面S03と各フィレット面S02、S04との接続箇所において、曲率が急激に高い値を示していることが確認できる。これに対して、修正手法2の場合には、上記接続箇所における曲率変化が滑らかであり、分割点の全体にわたって滑らかに、且つ、連続的に曲率が変化していることが確認できる。
同様に、図14についても、修正前並びに修正方法1の場合においては、上記接続箇所における周方向の曲率が急な傾斜を描いて変化しているが、修正方法2の場合においては、接続箇所付近においても周方向の曲率がゆるやかなカーブを描いて変化していることが確認できる。
【0058】
以上述べたように、本実施形態によれば、非可展面である各フィレット面S02及びS04における周長を一致させるように、フィレット断面Dの曲率半径を変更することにより、修正前の成形型を用いて製造された成形品に生じていた周方向のしわを解消することが可能となる。これにより、しわや亀裂の少ない良質な成形品を製造することが可能となる。
更に、内側部分円筒面S05とフィレット面S04との境界部における曲率、及びフィレット面S04と平面S03との境界部における曲率が、滑らかに、且つ、連続的になるように、言い換えると、内側部分円筒面S05とフィレット面S04と平面S03とを繋ぐ稜線が2階微分可能な曲線となるように、フィレット断面Dの形状を変形させることにより、図13、図14に示すように、各面を非常に滑らかに接続することが可能となるので、成形品のしわや亀裂を大幅に低減させることができる。
なお、上記実施形態においては、フィレット面S02及びS04の周長を全て一致させたが、フィレット面S02とフィレット面S04とにおいて、個別に周長を一致させるようにしても良い。つまり、フィレット面S02における周長が均一となるようにフィレット面S02の形状を変更し、同様に、フィレット面S04における周長が均一となるように、フィレット面S04の形状を変更するようにしても良い。
また、上記実施形態では、最大の長さに周長を一致させていたが、この例に限られず、最短の周長に一致させても良い。要は、周方向における基線を一本設定し、この基線の長さに他の周方向の長さを一致させれば良い。
【0059】
〔第3の実施形態:成形型モデルの形状決定方法〕
次に、本発明の第3の実施形態における形状決定方法について、図を参照して説明する。
本実施形態の形状決定方法では、図2に示した成形型モデルにおいて、Z軸を含む平面で成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正する。
言い換えれば、図3に示した外側円筒面S01と外側フィレット面S02と平面S03とを繋ぐ方向に配された複数の平面N(図3では1つのみを例示)として、Z軸(図2参照)を含む複数の平面Nを設定する。そして、これら複数の平面Nで切り取られたときの成形型モデルの外形線が全て一致するように、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04の少なくともいずれか一方の形状を変更する。
【0060】
例えば、成形型モデルをZ軸(図示略)を含む複数の平面Nにより50分割し、51個のY−Z断面を得る。続いて、各Y−Z断面の外周を計測し、最大の長さを特定する。
このようにして、最大の長さDmaxを特定すると、各断面の外周が最大の長さDmaxに一致するように、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04の形状を変更する。
例えば、フィレット断面D(図9参照)の曲率半径r´を変更することにより、外周の長さを一致させる。
このとき、上述の第2の実施形態に係る形状決定方法と同様に、内側部分円筒面S05と平面S03とを繋ぐ稜線、又は、外側部分円筒面S01と平面S03とを繋ぐ稜線が連続的、且つ、滑らかに変化するように、フィレット断面Dの弧の形状を修正することが好ましい。例えば、フィレット断面のふくらみ具合を変えることにより、フィレット面の弧の形状を修正する。
【0061】
以上、述べたように、本実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法によれば、中心軸を含む複数の平面Nで成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、フィレット面の形状を修正するので、断面の外周の長さを一定にすることが可能となる。これにより、断面方向の歪みを解消することが可能となる。
特に、本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法と組み合わせることにより、周方向における長さを一致させるとともに、断面の外周の長さも一致させることが可能となるので、成形品に生ずるしわや亀裂を更に低減させることができる。
【0062】
なお、上述したように、複数の平面Nで成形型モデルを切り出したときの全長が一致するように外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04の少なくともいずれか一方の形状を修正するのではなく、複数の平面Nと外側フィレット面S02との交線の長さが全て一致するように、外側フィレット面S02の形状を修正するとともに、複数の平面Nと内側フィレット面S04との交線の長さが全て一致するように、内側フィレット面S04の形状を修正するようにしても良い。
また、上記外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04における全ての交線の長さを一致させるように、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04の形状を修正するようにしても良い。
【0063】
〔第4の実施形態:成形型モデルの形状決定方法〕
次に、本発明の第4の実施形態における形状決定方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態の形状決定方法では、図2に示した成形型モデルにおいて、Z軸(図示略)を含む複数の平面Nで成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、可展面の形状を修正する。本実施形態では、一例として、平面S03の形状、例えば、平面S03の高さを修正する。
ここで、図15乃至図17に、修正前の成形型モデルの上面図、側面図、正面図をそれぞれ示す。また、図18乃至図20に、修正後の成形型モデルの上面図、側面図、正面図をそれぞれ示す。これらの図からわかるように、修正後の生成型モデルでは、平面S03の中央部分Hが高くなり、中央部から端部に向けて除々に高さが低くなっている。
【0064】
このように、本実施形態に係る形状決定方法によれば、図2に示した成形型モデルにおいて、Z軸を含む複数の平面Nで成形型モデルを切り出したときの各断面の外周の長さが一致するように、平面S03の形状を修正するので、断面の外周の長さを一定にすることが可能となる。これにより、断面方向の歪みを解消することが可能となり、成形品に生じるしわや亀裂を低減させることが可能となる。
特に、第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法と組み合わせることにより、成形品に生ずるしわや亀裂を更に低減させることができる。
【0065】
〔第5の実施形態:成形型モデルの形状決定方法〕
次に、本発明の第5の実施形態における形状決定方法について、図面を参照して説明する。図21は、本実施形態に係る成形モデルの形状決定方法の処理手順を示したフローチャートである。
本実施形態に係る形状決定方法は、まず、曲面解析を行うことにより、ガウス曲率分布を求め(解析過程:図21のステップSA1)、続いて、このガウス曲率分布の結果に基づいて、非可展面を抽出する(非可展面抽出過程:ステップSA2)。具体的には、ガウス曲率がゼロでない領域を非可展面として抽出する。続いて、抽出した非可展面が許容できる範囲にあるか否かを判断する(図21のステップSA3)。例えば、非可展面のガウス曲率が予め設定されている閾値以下であるか、つまり限りなく可展面に近づいているか否かを判断する。この結果、非可展面が許容できる範囲になかった場合には(ステップSA3において「NO」)、抽出した非可展面を可展面に近づけるように、例えば、ステップSA2において抽出した非可展面のガウス曲率をゼロに近づけるように、非可展面の形状を修正する(修正過程:ステップSA4)。このステップSA4では、例えば、非可展面の曲率半径を変更することにより、ガウス曲率をゼロに近づける。このようにして、上述のステップSA1からステップSA4の処理を繰り返し行い、非可展面が許容できる範囲であると判断された場合に(ステップSA3において「YES」)、当該処理を終了する。
【0066】
例えば、図2に示す成形型モデルを対象に曲面解析を行った場合、各フィレット面S02及びS04並びにその周辺において、ガウス曲率がゼロ以外の値を示した。従って、この各フィレット面S02及びS04並びにその周辺の形状を修正して、ガウス曲率をゼロに近づける。修正手法としては、例えば、各フィレット面S02及びS04の曲率半径を変更する方法がある。
ここで、図22に、修正前における成形型モデルのフィレット面におけるガウス曲率を示す。図23に、フィレット面S02及びS04の曲率半径を修正したときの生成型モデルのフィレット面におけるガウス曲率を示す。ここでは、一例として3箇所のガウス曲率を示している。なお、図22及び図23において、平面S03が台形をしているが、この平面S03は可展面であるため、ここでの形状の違いは、本実施形態の効果に影響を与えるものではない。
【0067】
図22及び図23に示すように、本実施形態の形状決定方法によれば、修正前の成形型モデルにおいて、ガウス曲率が最も高い値を示していた中央部において、ガウス曲率を顕著に低くすることができた。これにより、成形型モデルの歪みを低減させることが可能となる。
更に、図2に示した成形型モデルにおいて、外側部分円筒面S01と平面S03とを繋ぐ稜線、並びに、平面S03と内側部分円筒面S05とを繋ぐ稜線の曲率が滑らかに、且つ、連続的に変化するように、言い換えると、前記稜線が2階微分可能なように、各フィレット面S02及びS04のふくらみ加減を変化させることにより、非可展面であった各フィレット面S02及びS04を更に可展面に近づけることが可能となる。
【0068】
図24に、このような修正を施した場合のガウス曲率を示す。図24に示すように、全ての箇所において、ガウス曲率を極めて低くすることができた。更に、各箇所におけるガウス曲率を全てマイナス値に統一することにより、図22及び図23のように、皿型と鞍型とが混在することを回避できるので、成形型モデルの歪みを更に低減させることが可能となる。
【0069】
以上述べてきたように、本実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法によれば、非可展面を備える成形型モデルを曲面解析し、この曲面解析の結果に基づいて、非可展面を抽出し、抽出した非可展面を可展面に近づけるように、非可展面の形状を修正するので、修正後の成形型モデルに含まれる非可展面を極めて少なくすることが可能となり、しわを大幅に低減させることができる。
また、この手法は、図2に示すような形状の成形型モデルに限定されることなく、第1の可展面と、第2の可展面と、第1及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える様々な形状の成形型モデルに適用することが可能である。
【0070】
次に、本発明の一実施形態に係る成形品の製造方法について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態:成形品の製造方法〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る成形品の製造方法について説明する。
本実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法では、上述した第1乃至第5の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法により作成された成形型モデルに基づいて作成された成形型を用いて、成形品を製造する。
具体的には、上述のようにして製作された成形型の平面S03の上方からプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより、成形品を製造する。この成形品は、その後、オートクレーブ(焼付け)などの工程を経ることにより、完成品となる。この完成品は、例えば、航空機、自動車、船舶、列車などの構造部材として使用される。
プリプレグ積層品は、例えば、熱硬化性樹脂複合材や熱可塑性樹脂複合材などの繊維強化樹脂複合材を平板上に積層したものである。
このように、本実施形態に係る成形品の製造方法によれば、プレス成形に適した形状の成形型を用いて成形品を製造するので、しわや亀裂の極めて少ない成形品を製造することが可能となる。
【0071】
〔第2の実施形態:成形品の製造方法〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る成形品の製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る成形品の製造方法においては、上述の実施形態に係る成形品の製造方法とは異なり、上述した第1乃至第5の実施形態に係る形状決定方法により作成された成形型モデルに基づいて作成された成形型を使用せずに、修正を施していない従来の成形型を用いて、成形品を製造する。
【0072】
具体的には、まず、製造に用いる成形型の形状を曲面解析し(解析工程)、この曲面解析に基づいて、非可展面を抽出する。続いて、曲面解析の結果に基づいて、非可展面における表面のガース長さを算出する(算出工程)。続いて、算出したガース長さに応じて、プリプレグ積層品の各端部を圧縮或いは引張りながら、成形型に押圧して(押圧工程)、成形品を製造する。
例えば、図2に示す成形型モデルを使用して成形品を製造する場合、まず、この成形型を曲面解析することとなる。この結果、外側部分円筒面S01、平面S03、及び内側部分円筒面S05は、ガウス曲率が略ゼロとなるため、可展面と判断される。他方、外側フィレット面S02は、ガウス曲率がプラスの数値となり、内側フィレット部S04は、ガウス曲率がマイナスの数値となるため、非可展面と判断される。また、このガウス曲率から外側フィレット面S02は皿型形状であり、内側フィレット面S04は、鞍型形状であることがわかる。
【0073】
次に、曲面解析の結果に基づき、各フィレット面S02及びS04のガース長さを算出する。この結果、外側フィレット面S02は、皿型形状であるため図31に示すように両端部のガース長さが短く、他方、内側フィレット面S04は、鞍型形状であるため、図31に示すように、中央部のガース長さが短くなる。従って、プレス成形の工程においては、図25に示すように、外側フィレット面S02に相当する箇所については、プリプレグ積層品を両端部に引張りながら成形型に押圧し、他方、内側フィレット面S04に相当する箇所については、プリプレグ積層品を中央部に圧縮しながら成形型に押圧する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る成形品の製造方法によれば、成形型を曲面解析することにより非可展面を抽出し、抽出した非可展面のガース長さを算出し、算出したガース長さに応じて、プリプレグ積層品の各端部を圧縮或いは引張りながら成形型に押圧して、成形品を製造するので、成形品に発生するしわを大幅に低減させることが可能となる。
【0075】
〔第3の実施形態:成形品の製造方法〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る成形品の製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る成形品の製造方法においては、上述した第2の実施形態に係る成形品の製造方法と同様、修正を施していない従来の成形型を用いて、成形品を製造する。
具体的には、まず、製造に用いる成形型の形状を曲面解析し(解析工程)、この曲面解析に基づいて、非可展面を抽出する。続いて、曲面解析の結果に基づいて、非可展面における表面のガース長さを算出する(算出工程)。続いて、算出したガース長さに応じて、決定される形状に、プリプレグ積層品を裁断する(裁断工程)。そして、裁断したプリプレグ積層品を成形型に押圧して(押圧工程)、成形品を製造する。
例えば、図2に示す成形型を使用して成形品を製造する場合、上記解析工程、算出工程においては、上述した第2の実施形態に係る成形品の製造方法の場合と同じ結果が得られる。つまり、非可展面として、外側フィレット面S02及び内側フィレット面S04が抽出され、ガウス曲率の結果から、外側フィレット面S02は、皿型形状であり、内側フィレット面S04は、鞍型形状であることがわかる。
【0076】
この結果、外側フィレット面S02は、皿型形状であるため、図32に示すように両端部のガース長さが短く、他方、内側フィレット面S04は、鞍型形状であるため、図31に示すように、中央部のガース長さが短くなる。従って、裁断工程においては、図26に示すように、プリプレグ積層品の外側フィレット面S02に相当する箇所を長く裁断し、他方、内側フィレット面S04に相当する箇所を短く裁断する。
なお、裁断する場合には、成形型への貼付開始位置(展開基線)を予め決定しておく必要がある。ここで、展開基線は、最も歪みの小さい箇所に設定することが好ましい。例えば、図2に示す成形型であれば、平面S03の稜線部、即ち、回転中心から最も近い円弧と遠い円弧の中間の円弧を展開基線として設定することが可能である。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る成形品の製造方法によれば、成形型を曲面解析することにより非可展面を抽出し、抽出した非可展面のガース長さを算出し、算出したガース長さに応じて決定される形状に、成形素材シートを裁断し、断裁したプリプレグ成層品を成形型に押圧して、成形品を製造するので、成形品に発生するしわを大幅に低減させることが可能となる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元形状処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】非可展面を備える成形型モデルの一例を示す図である。
【図3】図2の上面図であり、図2の成形型モデルの形状を説明するための図である。
【図4】図2及び図3に示した成形型モデルのY−Z(X=0.0)断面図を示している。
【図5】図2に示した成形型モデルにおいて、周方向及び断面方向を定義するための複数の平面について説明するための図である。
【図6】図2に示した成形型モデルにおいて、周方向の長さを一致させる手順を説明するための図である。
【図7】図2に示した成形型モデルにおいて、周方向の長さを一致させたときの成形型モデルの上面図の一例を示した図である。
【図8】図2に示した内側フィレット面S04の拡大図である。
【図9】図2に示した成形型モデルをZ軸を含む複数の平面で切り出したときのフィレット断面を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正後の内側部分円筒面S05、内側フィレット面S04、及び平面S03の形状を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正後の外側部分円筒面S01、外側フィレット面S02、及び平面S03の形状を示した図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正前及び修正後における周長の変化を対比して示した図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正前及び修正後における断面方向の曲率の変化を対比して示した図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正前及び修正後における周方向の曲率の変化を対比して示した図である。
【図15】修正前の成形型モデルの上面図である。
【図16】修正前の成形型モデルの側面図である。
【図17】修正前の成形型モデルの正面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正後の成形型モデルの上面図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正後の成形型モデルの側面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法による修正後の成形型モデルの正面図である。
【図21】本発明の第5の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法の処理手順を示したフローチャートである。
【図22】修正前における成形型モデルのフィレット面におけるガウス曲率を示す図である。
【図23】本発明の第5の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法において、フィレット面の曲率半径を修正した後の成形型モデルのフィレット面におけるガウス曲率を示す図である。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る成形型モデルの形状決定方法において、フィレット面の曲率半径を修正するとともに、曲率が滑らかに、且つ、連続的に変化するように修正した後の成形型モデルのフィレット面におけるガウス曲率を示す図である。
【図25】本発明の第2の実施形態に係る成形品の製造方法について説明するための図である。
【図26】本発明の第3の実施形態に係る成形品の製造方法における裁断後の成形素材シートの形状を示す図である。
【図27】従来の成形型の一例を示す図である。
【図28】ガウス曲率などを説明するための図である。
【図29】図28に示した曲面における法断面の微分を曲率として、法平面を単位法線ベクトルnの周りに回転させることにより得られた回転角θと曲率との関係を示す図である。
【図30】ガウス曲率と平均曲率とにより決定される形状の一例を示す図である。
【図31】鞍型の曲面に対して平板の成形素材シートを貼り付けたときのしわのでき方について検証した図である。
【図32】皿型の曲面に対して平板の成形素材シートを貼り付けたときのしわのでき方について検証した図である。
【図33】成形型モデルの周方向の断面にしわが顕著に生じていることを検証した図である。
【符号の説明】
【0080】
1 CPU
2 主記憶装置
3 補助記憶装置
4 入力装置
5 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、
前記成形型モデルの曲面解析を行う解析過程と、
前記解析過程の結果に基づいて、非可展面を抽出する非可展面抽出過程と、
前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正する修正過程と
を具備する成形型モデルの形状決定方法。
【請求項2】
前記解析過程は、前記成形型モデルのガウス曲率分布を求め、
前記非可展面抽出過程は、前記ガウス曲率がゼロでない領域を非可展面として抽出し、
前記修正過程は、前記非可展面のガウス曲率がゼロに近づくように、前記非可展面の形状を修正する
請求項1に記載の成形型モデルの形状決定方法。
【請求項3】
前記修正過程は、前記非可展面の曲率半径を変更する請求項1又は請求項2に記載の成形型モデルの形状決定方法。
【請求項4】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、
前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法。
【請求項5】
前記交線の曲率半径を変化させることにより、前記非可展面の形状を修正する請求項4に記載の成形型モデルの形状決定方法。
【請求項6】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、
前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差する複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法。
【請求項7】
前記第1の可展面と前記非可展面との境界部及び前記非可展面と前記可展面との境界部における曲率が滑らかに、且つ、連続的になるように、前記非可展面の形状を修正する請求項6に記載の成形型モデルの形状決定方法。
【請求項8】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とからなる第1の曲面を備える成形型モデルをプレス成形に適したモデル形状に修正する成形型モデルの形状決定方法であって、
前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方の形状を修正する成形型モデルの形状決定方法。
【請求項9】
成形型モデルを曲面解析し、前記曲面解析の結果に基づいて、前記非可展面を抽出し、前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正することにより、プレス成形に適した成形型モデルを生成し、生成した前記成形型モデルに基づいて製造された成形型。
【請求項10】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型。
【請求項11】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差する複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型。
【請求項12】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方が形成された成形型。
【請求項13】
成形型モデルを曲面解析し、前記曲面解析の結果に基づいて、前記非可展面を抽出し、前記非可展面を可展面に近づけるように、前記非可展面の形状を修正することにより、プレス成形に適した成形型モデルを作成し、作成した前記成形型モデルに基づいて製作された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法。
【請求項14】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法。
【請求項15】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される平面に交差する複数の平面と前記非可展面との交線の長さが全て一致するように、前記非可展面が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法。
【請求項16】
第1の可展面と、第2の可展面と、第1の可展面及び第2の可展面を接続する非可展面とを備える成形型において、前記第1の可展面と前記非可展面と前記第2の可展面とを繋ぐ方向に配される複数の平面と前記第1の曲面との交線の長さが全て一致するように、前記第1の可展面及び前記第2の可展面の少なくとも一方が形成された成形型を用いて、成形素材シートを押圧して成形する工程を具備する成形品の製造方法。
【請求項17】
前記成形型の形状を曲面解析する解析工程と、
前記曲面解析の結果に基づいて、表面のガース長さを算出する算出工程と、
前記ガース長さに応じて、前記成形型に成形素材シートの各端部を圧縮或いは引張りながら前記成形型に押圧する押圧工程と
を具備する成形品の製造方法。
【請求項18】
前記成形型の形状を曲面解析する解析工程と、
前記曲面解析の結果に基づいて、表面のガース長さを算出する算出工程と、
前記ガース長さに応じて決定される形状に、成形素材シートを裁断する裁断工程と、
前記成形型に断裁された前記成形素材シートを押圧する押圧工程と
を具備する成形品の製造方法。
【請求項19】
成形型モデルの形状を曲面解析する解析工程と、
前記曲面解析の結果に基づいて、前記成形型モデルの表面のガース長さを算出する算出工程と、
前記ガース長さに応じて、成形素材シートを裁断する裁断工程と
を具備する成形素材シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−142585(P2006−142585A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333621(P2004−333621)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】