成形装置
【課題】低コストで簡単に製品を製造可能な成形装置を提供する。
【解決手段】成形装置1は、金属微粒子21と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部9と、前記貯蔵部9に貯蔵した前記金属微粒子21と前記氷の粒を金型40内に射出する押出部材11と、前記貯蔵部9を冷却する冷却部材12と、を備える。また、前記金属微粒子21を一時貯留する第1容器2と、水31を一時貯留する第2容器3と、前記第1容器2に連通し、前記金属微粒子21が通過する第1通路4と、前記第2容器3に連通し、前記第1通路4に交差する第2通路5と、前記第2通路5に設けられ前記水31から前記氷の粒を形成する氷粒製造部6aと、前記第1通路4と前記第2通路5が交差して形成されると共に、前記貯蔵部9に連通され、前記冷却部材12によって冷却される交差部7と、を備える。
【解決手段】成形装置1は、金属微粒子21と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部9と、前記貯蔵部9に貯蔵した前記金属微粒子21と前記氷の粒を金型40内に射出する押出部材11と、前記貯蔵部9を冷却する冷却部材12と、を備える。また、前記金属微粒子21を一時貯留する第1容器2と、水31を一時貯留する第2容器3と、前記第1容器2に連通し、前記金属微粒子21が通過する第1通路4と、前記第2容器3に連通し、前記第1通路4に交差する第2通路5と、前記第2通路5に設けられ前記水31から前記氷の粒を形成する氷粒製造部6aと、前記第1通路4と前記第2通路5が交差して形成されると共に、前記貯蔵部9に連通され、前記冷却部材12によって冷却される交差部7と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子を、射出圧を加えて金型に押込み、型に充填して成形する成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形は、樹脂微粒子をホッパー部に入れて、加熱したスクリューで粉砕し、溶融して、型部に射出した後、冷却することで製品を製造していた。
【0003】
しかしながら、従来の射出成形では、材料として樹脂を用いるので、硬い製品を製造することはできなかった。
【0004】
また、製品の製造方法として、金属の粒子とバインダを混合し、金型に射出成形した後、取り出した成形品を高熱で脱脂及び焼結して製品を作製する金属粒子射出成形法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−158925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属粒子射出成形は、形状及び材料選択の自由度があり、寸法精度も高いことが知られている。
【0007】
しかしながら、金属粒子射出成形法では、金型へ射出成形した後、バインダを取り除き、密度の高い金属組織を得るために、脱脂工程及び焼結工程において、成形品を高い温度で加熱する必要がある。脱脂工程及び焼結工程で、成形品を加熱する際には大きな設備と多くの燃料を用いるのでコストが高く、また、工程が多いので製造時間が長くなってしまっていた。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされてものであり、低コストで簡単に製品を製造可能な成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の成形装置は、金属微粒子と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部に貯蔵した前記金属微粒子と前記氷の粒を金型内に射出する押出部材と、前記貯蔵部を冷却する冷却部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記金属微粒子を一時貯留する第1容器と、水を一時貯留する第2容器と、前記第1容器に連通し、前記金属微粒子が通過する第1通路と、前記第2容器に連通し、前記第1通路に交差する第2通路と、前記第2通路に設けられ前記水から前記氷の粒を形成する氷粒製造部と、前記第1通路と前記第2通路が交差して形成されると共に、前記貯蔵部に連通され、前記冷却部材によって冷却される交差部と、を備える。
【0011】
また、前記交差部内で前記金属微粒子と前記氷の粒を混合する混合部材を備える。
【0012】
また、前記交差部と前記貯蔵部とを区切る開閉可能な開閉部材を備える。
【0013】
また、前記氷粒製造部は、氷粒の直径を調整する氷粒調整部を有する。
【0014】
また、前記氷粒調整部は、前記氷粒製造部が前記金属微粒子よりも直径の大きい氷及び前記金属微粒子よりも直径の小さい氷をそれぞれ製造するように調整する。
【0015】
また、前記氷粒調整部は、氷粒の量を調整する。
【0016】
また、前記氷粒調整部は、前記金属微粒子よりも直径の大きい氷の量が前記金属微粒子よりも直径の小さい氷の量よりも少ないように調整する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置を示す図である。
【図2】第1実施形態の射出成形装置による製造方法を示す図である。
【図3】第1実施形態の射出成形装置による混合工程を示す図である。
【図4】第1実施形態の射出成形装置による混合工程後を示す図である。
【図5】第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程直前を示す図である。
【図6】第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程を示す図である。
【図7】射出成形後の成形品を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る射出成形装置による混合工程を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る射出成形装置による混合工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る成形装置としての射出成形装置1を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る射出成形装置1は、固体粒子の一例としての金属微粒子21を一時貯留するホッパー2と、水31を一時貯留するタンク3と、ホッパー2に連通し金属微粒子21が通過する第1通路4と、タンク3に連通し第1通路4に交差する第2通路5と、第2通路5に設けられ水から氷の粒を形成する氷粒製造部6と、第1通路4と第2通路5が交差して形成される交差部7と、交差部7内で金属微粒子21と氷の粒を混合する混合部材としてのプロペラ8と、交差部7の下方と連通し、交差部7内で混合された金属微粒子21と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部9と、交差部7と貯蔵部9とを区切る開閉可能な開閉部材10と、貯蔵部9に貯蔵した金属微粒子21と氷の粒を金型40内に射出する押出部材としてのピストン11と、交差部7と貯蔵部9を冷却する冷却部材12と、を備える。
【0021】
ホッパー2は、下方に図示しない開閉可能な扉等を有する。扉が閉じている時、金属微粒子21は、ホッパー2に一時的に貯留する。扉を開くと、金属微粒子21は、管状の第1通路4を通過し、交差部7へ流れる。
【0022】
金属微粒子21は、直径約5μmの鋼、ステンレス鋼、磁性材料、チタン及びチタン合金等の金属微粒子射出成形で用いられる金属が好ましい。
【0023】
タンク3は、図示しない開閉可能な弁等を有する。弁が閉じている時、水31は、タンク3に一時的に貯留する。弁を開くと、水31は、管状の第2通路5に配置された氷粒製造部6へ流れる。
【0024】
氷粒製造部6は、タンク3から第2通路5に流れてきた水31を製氷し、製造した氷の粒を交差部7へ流す。製氷の際は、氷粒製造部6は、断熱膨張等を用いて水31から細かい粒の氷を製造する。氷粒製造部6は、氷の粒の直径及び量を調整することが可能な氷粒調整部6aを有する。したがって、氷粒製造部6が氷粒調整部6aを有することで、金属微粒子21の材料及び直径に応じて、氷の直径及び量を対応させることができ、状況に応じて的確な氷の粒を製造する事が可能となる。なお、氷の粒の直径と量はそれぞれ個別に調整することが可能である。
【0025】
本実施形態の氷粒製造部6は、氷粒調整部6aにより、直径が約2μm〜5μmの金属微粒子21よりも小さい氷の粒と、直径が約5μm〜8μmの金属微粒子21よりも大きい氷の粒と、をそれぞれ製造可能である。直径が金属微粒子21よりも大きい氷の粒は、混合の際に、全体をまんべんなく混合するために役立つ。また、直径が金属微粒子21よりも小さい氷の粒は、混合した後、金属微粒子21間及び金属微粒子21と金属微粒子21よりも直径が大きい氷の間の隙間を埋めるために役立つ。このような役割のため、氷粒製造部6は、直径が金属微粒子21よりも小さい氷が、直径が金属微粒子21よりも大きい氷よりも大量に製造されるように、氷粒調整部6aにより調整することが好ましい。
【0026】
交差部7は、金属微粒子21と氷をプロペラ8により混合する。プロペラ8を用いることにより、的確に効率よく混合することが可能となる。また、混合前及び混合中、開閉部材10は閉じている。開閉部材10を閉じることにより、一時的に金属微粒子21と氷を交差部7にとどめておくことができるので、さらに的確に効率よく混合することが可能となる。なお、混合の際には、交差部7を冷却部材12により冷却する。
【0027】
開閉部材10は、交差部7と貯蔵部9とを区切ることが可能である。金属微粒子21と氷を交差部7から貯蔵部9に流出させる際、開閉部材10は開かれる。また、金属微粒子21と氷を交差部7に流入させる際、金属微粒子21と氷を交差部7で混合中、及び金属微粒子21と氷を交差部7から貯蔵部9に流出させた後、開閉部材10は閉じられる。
【0028】
なお、第1実施形態では、開閉部材10を閉じて、交差部7で金属微粒子21と氷の粒をプロペラ8により混合したが、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、プロペラ8で混合せず、金属微粒子21と氷の粒をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0029】
貯蔵部9は、筒状の部材からなる。貯蔵部9には、交差部7から金属微粒子21と氷が流入される。金属微粒子21と氷は、ピストン11によって射出され、射出口9aから金型40に射出される。また、貯蔵部9は、少なくとも金属微粒子21と氷が貯蔵部9内に存在する間、冷却部材12により冷却される。
【0030】
次に、第1実施形態の射出成形装置1による具体的な製造方法を説明する。
【0031】
図2は第1実施形態の射出成形装置による製造方法を示す図、図3は第1実施形態の射出成形装置による混合工程を示す図、図4は第1実施形態の射出成形装置による混合工程後を示す図、図5は第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程直前を示す図、図6は第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程を示す図、図7は射出成形後の製品を示す図である。
【0032】
第1実施形態では、まず、図1で示したように、射出成形装置1のホッパー2に金属微粒子21、タンク3に水31を貯留する。
【0033】
次に、図3に示すように、ホッパー2から金属微粒子21を流出し、タンク3から水31を流出する。ここで、図2に示すように、ステップ1で、氷粒製造部6により、断熱膨張等により、水31から氷32を製造する(ST1)。
【0034】
次に、ステップ2で、金属微粒子21と氷32を混合する(ST2)。交差部7での混合は、図3に示すように、金属微粒子21と氷32を交差部7に流入させながらプロペラ8を回転させてもよいし、金属微粒子21と氷32が交差部7に流入し貯留した後にプロペラ8を回転させてもよい。
【0035】
交差部7で混合した後、図4に示すように、開閉部材10を開くことによって、金属微粒子21と氷32は、貯蔵部9に流入する。金属微粒子21と氷32が貯蔵部9に流入した後、図5に示すように、開閉部材10を閉じる。
【0036】
次に、ステップ3で、混合された金属微粒子21と氷32を貯蔵部9から金型40に射出する(ST3)。図6に示すように、ピストン11を押すことによって、混合された金属微粒子21と氷32は、貯蔵部9の射出口9aから金型40に押し出される。
【0037】
次に、ステップ4で、金型40に押し出された金属微粒子21と氷32を常温以上で処理する(ST4)。金型40に押し出された金属微粒子21と氷32を常温で放置又は低温で加熱することで、図7に示すように、氷32は溶けて金属微粒子21のみが残り、製品22が完成する。なお、加熱温度の違いにより、物性の異なる製品を製造することが可能となる。
【0038】
このように、本実施形態の射出成形装置では、成形品を高い温度で加熱する必要がなく、脱脂工程及び焼結工程を必要としない。したがって、小スペース、少燃料で製品を製造することが可能である。また、低コスト及び短時間で製品を製造することが可能である。
【0039】
図8は本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図、図9は本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【0040】
第1実施形態では、開閉部材10を閉じて、交差部7で金属微粒子21と氷の粒をプロペラ8により混合したが、図8に示すように、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、図9に示すように、プロペラ8を設けず、金属微粒子21と氷の粒をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。
【0042】
図10は、本発明の第2実施形態に係る成形装置としての射出成形装置による混合工程を示す図である。
【0043】
第2実施形態の射出成形装置1は、氷粒製造部6を用いることなく、タンク3から水31を霧状又は粒状に滴下させて第1連通部5を冷却部材12で冷却することで、氷32を製造する。その他の構造及び工程は第1実施形態と同様である。
【0044】
射出成形装置1は、水31を霧状又は粒状に滴下させるために、タンク3の下方に、粒径を調整する図示しない粒径調整部を有することが好ましい。粒径調整部は、例えば、水31の通過する穴の径を変更する板状の部材をタンク3の下に移動可能に配置すればよい。
【0045】
このように、図1に示した第1実施形態の氷粒製造部6を用いることなく、氷32を製造するので、射出成形装置1の部品点数を削減することができ、装置の小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
【0046】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷の粒32をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、プロペラ8で混合せず、金属微粒子21と氷の粒32をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0047】
次に、第3実施形態について説明する。
【0048】
図11は、本発明の第3実施形態に係る成形装置としての射出成形装置による混合工程を示す図である。
【0049】
第3実施形態の射出成形装置1は、あらかじめ混合タンク51で、図1に示した金属微粒子21と水31を混合させて、金属微粒子と水が混ざった物質61を霧状又は粒状に滴下させて通路52を冷却部材12で冷却することで、金属微粒子と水が混ざった物質61の水の部分を凍らせて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造する。その後の工程は第1実施形態と同様である。
【0050】
このように、あらかじめ金属微粒子21と水31を混合させて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造するので、図1に示した第1実施形態の氷粒製造部6、プロペラ8及び開閉部材10を用いることなく、並びに、第1実施形態のホッパー2又はタンク3のどちらか一つを用いて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造するので、射出成形装置1の部品点数をさらに削減することができ、さらに装置の小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
【0051】
以上、種々の実施形態について説明したが、本実施例はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【0052】
例えば、本実施形態では、固体粒子として金属微粒子を使用したが、直径数μmのセラミック粒子又はセメント粒子を使用することも可能である。セラミック粒子又はセメント粒子を使用すると、製品を軽量化することが可能となると共に、寸法精度が向上する。また、氷の代わりにドライアイスを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…射出成形装置(成形装置)、2…ホッパー(第1容器)、3…タンク(第2容器)、4…第1通路、5…第2通路、6…氷粒製造部、6a…氷粒調整部、7…交差部、8…プロペラ(混合部材)、9…貯蔵部、10…開閉部材、11…ピストン(押出部材)、12…冷却部材、21…金属微粒子、31…水、32…氷、40…金型、51…混合タンク、52…通路、61…金属微粒子と水が混ざった物質、62…金属微粒子と氷が混ざった物質
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子を、射出圧を加えて金型に押込み、型に充填して成形する成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形は、樹脂微粒子をホッパー部に入れて、加熱したスクリューで粉砕し、溶融して、型部に射出した後、冷却することで製品を製造していた。
【0003】
しかしながら、従来の射出成形では、材料として樹脂を用いるので、硬い製品を製造することはできなかった。
【0004】
また、製品の製造方法として、金属の粒子とバインダを混合し、金型に射出成形した後、取り出した成形品を高熱で脱脂及び焼結して製品を作製する金属粒子射出成形法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−158925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属粒子射出成形は、形状及び材料選択の自由度があり、寸法精度も高いことが知られている。
【0007】
しかしながら、金属粒子射出成形法では、金型へ射出成形した後、バインダを取り除き、密度の高い金属組織を得るために、脱脂工程及び焼結工程において、成形品を高い温度で加熱する必要がある。脱脂工程及び焼結工程で、成形品を加熱する際には大きな設備と多くの燃料を用いるのでコストが高く、また、工程が多いので製造時間が長くなってしまっていた。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされてものであり、低コストで簡単に製品を製造可能な成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の成形装置は、金属微粒子と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部に貯蔵した前記金属微粒子と前記氷の粒を金型内に射出する押出部材と、前記貯蔵部を冷却する冷却部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記金属微粒子を一時貯留する第1容器と、水を一時貯留する第2容器と、前記第1容器に連通し、前記金属微粒子が通過する第1通路と、前記第2容器に連通し、前記第1通路に交差する第2通路と、前記第2通路に設けられ前記水から前記氷の粒を形成する氷粒製造部と、前記第1通路と前記第2通路が交差して形成されると共に、前記貯蔵部に連通され、前記冷却部材によって冷却される交差部と、を備える。
【0011】
また、前記交差部内で前記金属微粒子と前記氷の粒を混合する混合部材を備える。
【0012】
また、前記交差部と前記貯蔵部とを区切る開閉可能な開閉部材を備える。
【0013】
また、前記氷粒製造部は、氷粒の直径を調整する氷粒調整部を有する。
【0014】
また、前記氷粒調整部は、前記氷粒製造部が前記金属微粒子よりも直径の大きい氷及び前記金属微粒子よりも直径の小さい氷をそれぞれ製造するように調整する。
【0015】
また、前記氷粒調整部は、氷粒の量を調整する。
【0016】
また、前記氷粒調整部は、前記金属微粒子よりも直径の大きい氷の量が前記金属微粒子よりも直径の小さい氷の量よりも少ないように調整する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置を示す図である。
【図2】第1実施形態の射出成形装置による製造方法を示す図である。
【図3】第1実施形態の射出成形装置による混合工程を示す図である。
【図4】第1実施形態の射出成形装置による混合工程後を示す図である。
【図5】第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程直前を示す図である。
【図6】第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程を示す図である。
【図7】射出成形後の成形品を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る射出成形装置による混合工程を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る射出成形装置による混合工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る成形装置としての射出成形装置1を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る射出成形装置1は、固体粒子の一例としての金属微粒子21を一時貯留するホッパー2と、水31を一時貯留するタンク3と、ホッパー2に連通し金属微粒子21が通過する第1通路4と、タンク3に連通し第1通路4に交差する第2通路5と、第2通路5に設けられ水から氷の粒を形成する氷粒製造部6と、第1通路4と第2通路5が交差して形成される交差部7と、交差部7内で金属微粒子21と氷の粒を混合する混合部材としてのプロペラ8と、交差部7の下方と連通し、交差部7内で混合された金属微粒子21と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部9と、交差部7と貯蔵部9とを区切る開閉可能な開閉部材10と、貯蔵部9に貯蔵した金属微粒子21と氷の粒を金型40内に射出する押出部材としてのピストン11と、交差部7と貯蔵部9を冷却する冷却部材12と、を備える。
【0021】
ホッパー2は、下方に図示しない開閉可能な扉等を有する。扉が閉じている時、金属微粒子21は、ホッパー2に一時的に貯留する。扉を開くと、金属微粒子21は、管状の第1通路4を通過し、交差部7へ流れる。
【0022】
金属微粒子21は、直径約5μmの鋼、ステンレス鋼、磁性材料、チタン及びチタン合金等の金属微粒子射出成形で用いられる金属が好ましい。
【0023】
タンク3は、図示しない開閉可能な弁等を有する。弁が閉じている時、水31は、タンク3に一時的に貯留する。弁を開くと、水31は、管状の第2通路5に配置された氷粒製造部6へ流れる。
【0024】
氷粒製造部6は、タンク3から第2通路5に流れてきた水31を製氷し、製造した氷の粒を交差部7へ流す。製氷の際は、氷粒製造部6は、断熱膨張等を用いて水31から細かい粒の氷を製造する。氷粒製造部6は、氷の粒の直径及び量を調整することが可能な氷粒調整部6aを有する。したがって、氷粒製造部6が氷粒調整部6aを有することで、金属微粒子21の材料及び直径に応じて、氷の直径及び量を対応させることができ、状況に応じて的確な氷の粒を製造する事が可能となる。なお、氷の粒の直径と量はそれぞれ個別に調整することが可能である。
【0025】
本実施形態の氷粒製造部6は、氷粒調整部6aにより、直径が約2μm〜5μmの金属微粒子21よりも小さい氷の粒と、直径が約5μm〜8μmの金属微粒子21よりも大きい氷の粒と、をそれぞれ製造可能である。直径が金属微粒子21よりも大きい氷の粒は、混合の際に、全体をまんべんなく混合するために役立つ。また、直径が金属微粒子21よりも小さい氷の粒は、混合した後、金属微粒子21間及び金属微粒子21と金属微粒子21よりも直径が大きい氷の間の隙間を埋めるために役立つ。このような役割のため、氷粒製造部6は、直径が金属微粒子21よりも小さい氷が、直径が金属微粒子21よりも大きい氷よりも大量に製造されるように、氷粒調整部6aにより調整することが好ましい。
【0026】
交差部7は、金属微粒子21と氷をプロペラ8により混合する。プロペラ8を用いることにより、的確に効率よく混合することが可能となる。また、混合前及び混合中、開閉部材10は閉じている。開閉部材10を閉じることにより、一時的に金属微粒子21と氷を交差部7にとどめておくことができるので、さらに的確に効率よく混合することが可能となる。なお、混合の際には、交差部7を冷却部材12により冷却する。
【0027】
開閉部材10は、交差部7と貯蔵部9とを区切ることが可能である。金属微粒子21と氷を交差部7から貯蔵部9に流出させる際、開閉部材10は開かれる。また、金属微粒子21と氷を交差部7に流入させる際、金属微粒子21と氷を交差部7で混合中、及び金属微粒子21と氷を交差部7から貯蔵部9に流出させた後、開閉部材10は閉じられる。
【0028】
なお、第1実施形態では、開閉部材10を閉じて、交差部7で金属微粒子21と氷の粒をプロペラ8により混合したが、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、プロペラ8で混合せず、金属微粒子21と氷の粒をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0029】
貯蔵部9は、筒状の部材からなる。貯蔵部9には、交差部7から金属微粒子21と氷が流入される。金属微粒子21と氷は、ピストン11によって射出され、射出口9aから金型40に射出される。また、貯蔵部9は、少なくとも金属微粒子21と氷が貯蔵部9内に存在する間、冷却部材12により冷却される。
【0030】
次に、第1実施形態の射出成形装置1による具体的な製造方法を説明する。
【0031】
図2は第1実施形態の射出成形装置による製造方法を示す図、図3は第1実施形態の射出成形装置による混合工程を示す図、図4は第1実施形態の射出成形装置による混合工程後を示す図、図5は第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程直前を示す図、図6は第1実施形態の射出成形装置による射出成形工程を示す図、図7は射出成形後の製品を示す図である。
【0032】
第1実施形態では、まず、図1で示したように、射出成形装置1のホッパー2に金属微粒子21、タンク3に水31を貯留する。
【0033】
次に、図3に示すように、ホッパー2から金属微粒子21を流出し、タンク3から水31を流出する。ここで、図2に示すように、ステップ1で、氷粒製造部6により、断熱膨張等により、水31から氷32を製造する(ST1)。
【0034】
次に、ステップ2で、金属微粒子21と氷32を混合する(ST2)。交差部7での混合は、図3に示すように、金属微粒子21と氷32を交差部7に流入させながらプロペラ8を回転させてもよいし、金属微粒子21と氷32が交差部7に流入し貯留した後にプロペラ8を回転させてもよい。
【0035】
交差部7で混合した後、図4に示すように、開閉部材10を開くことによって、金属微粒子21と氷32は、貯蔵部9に流入する。金属微粒子21と氷32が貯蔵部9に流入した後、図5に示すように、開閉部材10を閉じる。
【0036】
次に、ステップ3で、混合された金属微粒子21と氷32を貯蔵部9から金型40に射出する(ST3)。図6に示すように、ピストン11を押すことによって、混合された金属微粒子21と氷32は、貯蔵部9の射出口9aから金型40に押し出される。
【0037】
次に、ステップ4で、金型40に押し出された金属微粒子21と氷32を常温以上で処理する(ST4)。金型40に押し出された金属微粒子21と氷32を常温で放置又は低温で加熱することで、図7に示すように、氷32は溶けて金属微粒子21のみが残り、製品22が完成する。なお、加熱温度の違いにより、物性の異なる製品を製造することが可能となる。
【0038】
このように、本実施形態の射出成形装置では、成形品を高い温度で加熱する必要がなく、脱脂工程及び焼結工程を必要としない。したがって、小スペース、少燃料で製品を製造することが可能である。また、低コスト及び短時間で製品を製造することが可能である。
【0039】
図8は本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図、図9は本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の変形例を示す図である。
【0040】
第1実施形態では、開閉部材10を閉じて、交差部7で金属微粒子21と氷の粒をプロペラ8により混合したが、図8に示すように、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、図9に示すように、プロペラ8を設けず、金属微粒子21と氷の粒をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。
【0042】
図10は、本発明の第2実施形態に係る成形装置としての射出成形装置による混合工程を示す図である。
【0043】
第2実施形態の射出成形装置1は、氷粒製造部6を用いることなく、タンク3から水31を霧状又は粒状に滴下させて第1連通部5を冷却部材12で冷却することで、氷32を製造する。その他の構造及び工程は第1実施形態と同様である。
【0044】
射出成形装置1は、水31を霧状又は粒状に滴下させるために、タンク3の下方に、粒径を調整する図示しない粒径調整部を有することが好ましい。粒径調整部は、例えば、水31の通過する穴の径を変更する板状の部材をタンク3の下に移動可能に配置すればよい。
【0045】
このように、図1に示した第1実施形態の氷粒製造部6を用いることなく、氷32を製造するので、射出成形装置1の部品点数を削減することができ、装置の小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
【0046】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、開閉部材10を設けず、金属微粒子21と氷の粒32をそのまま貯蔵部9に流してもよい。また、プロペラ8で混合せず、金属微粒子21と氷の粒32をそのまま貯蔵部9に流してもよい。
【0047】
次に、第3実施形態について説明する。
【0048】
図11は、本発明の第3実施形態に係る成形装置としての射出成形装置による混合工程を示す図である。
【0049】
第3実施形態の射出成形装置1は、あらかじめ混合タンク51で、図1に示した金属微粒子21と水31を混合させて、金属微粒子と水が混ざった物質61を霧状又は粒状に滴下させて通路52を冷却部材12で冷却することで、金属微粒子と水が混ざった物質61の水の部分を凍らせて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造する。その後の工程は第1実施形態と同様である。
【0050】
このように、あらかじめ金属微粒子21と水31を混合させて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造するので、図1に示した第1実施形態の氷粒製造部6、プロペラ8及び開閉部材10を用いることなく、並びに、第1実施形態のホッパー2又はタンク3のどちらか一つを用いて、金属微粒子と氷が混ざった物質62を製造するので、射出成形装置1の部品点数をさらに削減することができ、さらに装置の小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
【0051】
以上、種々の実施形態について説明したが、本実施例はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【0052】
例えば、本実施形態では、固体粒子として金属微粒子を使用したが、直径数μmのセラミック粒子又はセメント粒子を使用することも可能である。セラミック粒子又はセメント粒子を使用すると、製品を軽量化することが可能となると共に、寸法精度が向上する。また、氷の代わりにドライアイスを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…射出成形装置(成形装置)、2…ホッパー(第1容器)、3…タンク(第2容器)、4…第1通路、5…第2通路、6…氷粒製造部、6a…氷粒調整部、7…交差部、8…プロペラ(混合部材)、9…貯蔵部、10…開閉部材、11…ピストン(押出部材)、12…冷却部材、21…金属微粒子、31…水、32…氷、40…金型、51…混合タンク、52…通路、61…金属微粒子と水が混ざった物質、62…金属微粒子と氷が混ざった物質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微粒子と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に貯蔵した前記金属微粒子と前記氷の粒を金型内に射出する押出部材と、
前記貯蔵部を冷却する冷却部材と、
を備えることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記金属微粒子を一時貯留する第1容器と、
水を一時貯留する第2容器と、
前記第1容器に連通し、前記金属微粒子が通過する第1通路と、
前記第2容器に連通し、前記第1通路に交差する第2通路と、
前記第2通路に設けられ前記水から前記氷の粒を形成する氷粒製造部と、
前記第1通路と前記第2通路が交差して形成されると共に、前記貯蔵部に連通され、前記冷却部材によって冷却される交差部と、
を備える
請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記交差部内で前記金属微粒子と前記氷の粒を混合する混合部材
を備える
請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記交差部と前記貯蔵部とを区切る開閉可能な開閉部材
を備える
請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記氷粒製造部は、氷粒の直径を調整する氷粒調整部
を有する
請求項2乃至請求項4のいずれか1つに記載の成形装置。
【請求項6】
前記氷粒調整部は、前記氷粒製造部が前記金属微粒子よりも直径の大きい氷及び前記金属微粒子よりも直径の小さい氷をそれぞれ製造するように調整する
請求項5に記載の成形装置。
【請求項7】
前記氷粒調整部は、氷粒の量を調整する
請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記氷粒調整部は、前記金属微粒子よりも直径の大きい氷の量が前記金属微粒子よりも直径の小さい氷の量よりも少ないように調整する
請求項7に記載の成形装置。
【請求項1】
金属微粒子と氷の粒を一時貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に貯蔵した前記金属微粒子と前記氷の粒を金型内に射出する押出部材と、
前記貯蔵部を冷却する冷却部材と、
を備えることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記金属微粒子を一時貯留する第1容器と、
水を一時貯留する第2容器と、
前記第1容器に連通し、前記金属微粒子が通過する第1通路と、
前記第2容器に連通し、前記第1通路に交差する第2通路と、
前記第2通路に設けられ前記水から前記氷の粒を形成する氷粒製造部と、
前記第1通路と前記第2通路が交差して形成されると共に、前記貯蔵部に連通され、前記冷却部材によって冷却される交差部と、
を備える
請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記交差部内で前記金属微粒子と前記氷の粒を混合する混合部材
を備える
請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記交差部と前記貯蔵部とを区切る開閉可能な開閉部材
を備える
請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記氷粒製造部は、氷粒の直径を調整する氷粒調整部
を有する
請求項2乃至請求項4のいずれか1つに記載の成形装置。
【請求項6】
前記氷粒調整部は、前記氷粒製造部が前記金属微粒子よりも直径の大きい氷及び前記金属微粒子よりも直径の小さい氷をそれぞれ製造するように調整する
請求項5に記載の成形装置。
【請求項7】
前記氷粒調整部は、氷粒の量を調整する
請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記氷粒調整部は、前記金属微粒子よりも直径の大きい氷の量が前記金属微粒子よりも直径の小さい氷の量よりも少ないように調整する
請求項7に記載の成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−60635(P2013−60635A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200265(P2011−200265)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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