説明

成形金型装置

【課題】溶製材からなる軸部の周囲に圧粉体からなる鍔部が一体成形された複合素材を、圧入によらずに、割れやひびといった損傷が生じることなく、一定、かつ高い接合強度で一体成形することが実現可能な成形金型装置を提供する。
【解決手段】軸部供給手段50によって軸部セット位置に供給された軸部3を、軸部装填ロッド61により上パンチ33内に挿入し、さらに上パンチ33の粉末圧縮動作に追従して軸部3をダイス孔10a内に挿入し、この状態で、ダイス孔10a内に充填した粉末を上パンチ33と下パンチ23によって軸方向に圧縮する構成とする。鍔部の圧粉体2を圧縮成形すると同時に、この圧粉体2を軸部3に一体成形することができ、圧入によらない成形を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧粉体の成形金型装置に係り、特に、溶製材等からなる軸部の周囲に鍔部の圧粉体を一体成形する成形金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶製材からなる円柱状の軸部の一端部に、焼結体からなる円板状の鍔部を一体成形した焼結複合部品の需要がある。このような部品を得るには、従来、次のような方法が採られていた。すなわち、図1に示すように中心に孔2aを有する鍔部の圧粉体2を、粉末の圧縮成形によって得、次いで鍔部(圧粉体)2の孔2aに、溶製材からなる軸部3を圧入して両者を一体化した複合素材1を得る。この後、複合素材1全体を焼結温度で加熱して、鍔部2を焼結体とするとともに軸部3に拡散接合させる(特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−87114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが従来の方法では、圧粉体の孔径と軸部の径とにばらつきがあると接合強度にばらつきが生じることになって一定の品質のものが得られにくく、しかも、接合強度が低いと軸部の抜けが生じ、一方、接合強度が高いと圧粉体に割れやひびが生じるといった不具合を招いている。そもそも、圧粉体の孔に軸部を圧入すると圧粉体に応力がかかって割れやひびが生じるおそれもあり、その上、圧入工程自体が手間のかかるものであるという不満もあったため、圧入の必要がない技術が求められた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、軸部に対し鍔部の圧粉体を、圧入によらずに、割れやひびといった損傷が生じることなく、一定、かつ高い接合強度で好適に一体成形することが実現可能な成形金型装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、軸部の周囲に鍔部が形成された部品を、少なくとも鍔部を粉末冶金法による焼結体で得るにあたり、軸部に対し鍔部に近似する形状の圧粉体を一体成形する成形金型装置であって、鍔部の外周面に対応した内周面を有する円筒状のダイス孔を有するダイスと、このダイス孔内に、下側から同軸的、かつ軸方向に移動自在に挿入され、軸部と同等の外径を有する円柱状のコアロッドと、ダイス孔の内周面とコアロッドとの間に摺動自在に嵌入され、ダイス孔内に充填された粉末を軸方向に圧縮する円筒状の上パンチおよび下パンチと、ダイス孔から離間した待機位置にある上パンチの近傍に配設され、軸部を該上パンチ内に挿入可能な軸部セット位置に供給する軸部供給手段と、この軸部供給手段によって軸部セット位置に供給された軸部を、待機位置にある上パンチ内に挿入し、さらに、該上パンチが待機位置からダイス孔内に嵌入されて粉末を圧縮する圧縮位置に達する動作に追従して、該軸部をダイス孔内に挿入する軸部装填ロッドとを備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の成形金型装置では、軸部供給手段によって軸部セット位置に供給された軸部を、軸部装填ロッドにより、上パンチ内に挿入し、さらに上パンチの粉末圧縮動作に追従してダイス孔内に挿入し、この状態で、ダイス孔内に充填された粉末を上パンチと下パンチによって軸方向に圧縮することにより、粉末が圧縮成形され、かつ軸部に圧着し、これによって軸部の周囲に鍔部の圧粉体が一体成形されたものを得る。本発明によれば、鍔部の圧粉体を圧縮成形すると同時に、この圧粉体を軸部に一体成形することができる。
【0008】
本発明によれば、圧粉体の孔に軸部を圧入することなく鍔部の圧粉体と軸部の一体化が図られる。このため、従来の圧入工程を省略することができるとともに、圧入で生じていた圧粉体の割れやひびといった損傷が圧粉体には生じず、不良品の発生が抑えられる。また、必要十分、かつ一定の圧縮荷重で圧粉体を圧縮成形することにより、高く、かつ一定の接合強度を得ることができ、歩留まりの向上が図られる。そして、圧入工程の省略や歩留まりの向上により、安価に成形することができるといった利点も得られる。
【0009】
本発明の上記軸部供給手段の具体例としては、軸部を、軸方向が上下方向に沿った状態で水平方向に移動自在に収容するカセットと、該カセット内の軸部を押し込んで軸部セット位置まで移動させるプッシュロッドとを備え、カセットの軸部セット位置に対応する箇所には、軸部装填ロッドが貫通する貫通孔が形成されている形態が挙げられる。
【0010】
また、軸部装填ロッドによって上パンチ内に挿入された軸部が不用意に落下することを防ぐ手段として、上パンチ内に該上パンチ内に軸部が挿入された状態を保持する保持手段が設けられている形態は、本発明の好ましい形態とされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軸部に対し鍔部の圧粉体を、圧入によらずに、割れやひびといった損傷が生じることなく、一定、かつ高い接合強度で好適に一体成形することができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]成形金型装置の構成
図2は、図1で示した圧粉体からなる鍔部2に軸部3が一体成形された複合素材1を成形する一実施形態の成形金型装置を示している。図2中、符号10はダイス、11はベースプレート、12はヨークプレートである。ダイス10とヨークプレート12は、複数のガイドロッド13によって連結されている。そして、ダイス10とヨークプレート12との間に、ベースプレート11がガイドロッド13に摺動自在な状態に配設されている。
【0013】
ダイス10の中心には、ダイス孔10aが形成されている。このダイス孔10aは、複合素材1の鍔部2の外径と同等の内径を有する円筒状で、軸方向が鉛直方向に沿っており、その内周面によって鍔部2の外周面が形成されるものである。ダイス10の上面には、ダイス孔10aに対して進退して粉末Pをダイス孔10aにすり切り状態で充填する粉末フィーダ14が設けられている。
【0014】
ベースプレート11の上面には、複数のベースシリンダ21を介して下パンチホルダ22が昇降可能に設けられており、この下パンチホルダ22上に、円筒状の下パンチ23がダイス孔10aと同軸的に固定されている。下パンチ23の内径および外径は、それぞれ鍔部2の内径(孔2aの内径)および外径と同等であり、下パンチ23の上端面によって鍔部2の一方の端面(軸部3が突出しない側の端面)が形成されるものである。下パンチ23は、ベースシリンダ21によって昇降する下パンチホルダ22と一体に昇降し、上昇するとダイス孔10aに下側から摺動しながら嵌入するようになされている。
【0015】
ヨークプレート12の上面の中心には、鉛直方向に延びる円柱状のコアロッド40が設けられている。このコアロッド40は、外径が軸部3と同等で、ダイス孔10aと同軸的に配されている。コアロッド40は、ベースプレート11と下パンチホルダ22を貫通して下パンチ23内に摺動自在に挿入される。コアロッド40は、ヨークプレート12の上面に設けられたコアロッドシリンダ41により軸方向に沿って昇降するようになされており、上昇限位置が、コアロッド40に螺合されてベースプレート11の下面に当接させられるナット42の位置によって調整可能となっている。ヨークプレート12の下面には、ヨークプレート12と、ヨークプレート12にガイドロッド13を介して連結されたダイス10およびベースプレート11をともに一体に昇降させる図示せぬ下ラムが設けられている。
【0016】
ダイス孔10aの上方には、ダイス孔10aに上方から摺動可能に嵌入される円筒状の上パンチ33がダイス孔10aと同軸的に配設されている。上パンチ33は下パンチ23と対をなすもので下パンチ23と同一寸法を有している。すなわち、上パンチ33の内径および外径は、それぞれ鍔部2の内径(孔2aの内径)および外径と同等であり、下端面によって鍔部2のもう一方の端面(軸部3が突出する側の端面)が形成されるものである。上パンチ33は、上ラム31によって昇降させられる筒状の上パンチホルダ32の下面に固定されており、上パンチ33は上パンチホルダ32とともに昇降し、下降するとダイス孔10aに上側から摺動しながら嵌入するようになされている。
【0017】
図2に示すように、上パンチホルダ32の近傍(図2で右側)には、予め製造された溶製材からなる多数の軸部3を、軸方向がほぼ上下方向に沿った状態で落下させて下方に供給する可撓性を有するホース51が配設されている。そしてこのホース51から落下する軸部3は、軸方向が上下方向に沿った状態でカセット52内に収容される。このカセット52は筒状で水平方向に延びており、上パンチホルダ32の下端部に支持されている。カセット52の一端部にはホース51から落下する軸部3を受けてカセット52内に導く軸部導入口52aが設けられており、他端部は上パンチ33の直上に配置されている。
【0018】
カセット52内には、軸部導入口52aが設けられた側の一端部の開口52bからプッシャシリンダ53のプッシュロッド54が往復動自在に挿入されるようになっている。プッシュロッド54は、プッシャシリンダ53に引き込まれた後退時には先端が軸部導入口52aの手前側(図2で右側)に位置する。そして軸部導入口52aからカセット52内に導入された1つの軸部3は、後退したプッシュロッド54が図2で左方に進出することにより、軸方向が上下方向に沿った状態が保持されたまま、そのプッシュロッド54に押されてカセット52内の左側の端部である軸部セット位置まで移送される。軸部3はセット位置において、プッシュロッド54にカセット52の端部に押し付けられて保持される。なお、軸部3をセット位置に保持するには、プッシュロッド54でカセット52の端部に押し付けるのではなく、例えばカセット52の下側の貫通孔52cを開閉するシャッタを設けるなどの手段を採ってもよい。
本実施形態では、上記ホース51、プッシュロッド54を備えたプッシャシリンダ53およびカセット52により、軸部供給手段50が構成されている。
【0019】
上パンチホルダ32には、軸部セット位置に位置付けられた1つの軸部3を上パンチ33内に挿入し、さらに上パンチ33の下方に押し込む軸部装填シリンダ60が設けられている。軸部装填シリンダ60は、ダイス孔10aと同軸的に配され、かつ軸方向に沿って上下動する軸部装填ロッド61を備えている。カセット52の軸部セット位置に対応する端部には、軸部装填ロッド61が貫通する貫通孔52cが形成されている。軸部装填ロッド61は、上方からカセット52の貫通孔52cを貫通して下降し、上パンチ33内に摺動しながら挿入可能とされている。ここで、カセット52内の軸部セット位置に軸部3がセットされている状態で軸部装填ロッド61がカセット52の上方から下降すると、その軸部3が軸部装填ロッド61で下方に押し込まれ、下側の貫通孔52cを通って上パンチ33内に摺動しながら挿入されるようになっている。
【0020】
上パンチ33には、上パンチ33内に連通するチューブ71の一端部が接続されており、このチューブ71の他端部は、上パンチ内圧調整シリンダ(保持手段)72に接続されている。上パンチ内圧調整シリンダ72が膨張動作すると、チューブ71を介して上パンチ33内の空気が吸引されて上パンチ33内の圧力が負圧となる。これによって、軸部装填ロッド61で上パンチ33内に挿入された軸部3は不用意に落下することが防がれ、上パンチ33内に挿入された状態が保持される。また、上パンチ内圧調整シリンダ72が圧縮動作すると、チューブ71から上パンチ33内に空気が送り込まれるようになっている。なお、上記各シリンダ21,41,53,60,72は、油圧、空気圧等の流体圧を利用したものであって、用途に応じて流体圧の種類が適宜に選択されて用いられる。
【0021】
[2]圧粉体の成形
以上が一実施形態の成形金型装置であり、次いでこの装置の動作手順を説明する。
図3に示すように、上ラム31により上パンチ33が上パンチホルダ32ごと上昇し、上パンチ33がダイス孔10aの上方に離間した待機位置で停止した状態とされる。また、軸部装填ロッド61が上昇し、カセット52内にホース51から供給された1つの軸部3が、プッシャシリンダ53のプッシュロッド54で押されて軸部セット位置に位置付けられる。
【0022】
一方、コアロッド40がコアロッドシリンダ41によって上昇し、その上端面がダイス10の上面と同一高さとされる。また、下パンチ23がベースシリンダ21により下パンチホルダ22ごと上昇してダイス孔10a内に嵌入し、ダイス孔10a内に所定の粉末充填用のキャビティCが形成される。この後、粉末フィーダが図3〜図4に示すように往復動して、キャビティC内に粉末Pがすり切り状態で充填される。
【0023】
次に、図4に示すように、軸部装填ロッド61が下降し、カセット52内の軸部セット位置にセットされていた軸部3が上パンチ33内に押し込まれて挿入され、軸部3が上パンチ33内から下方に突出する状態とされる。ここで、上パンチ内圧調整シリンダ72を膨張動作させて上パンチ33内を負圧とし、軸部3の落下を防ぐ。
【0024】
続いて図5に示すように、上パンチ33が下降して軸部3がコアロッド40の上端に当接させられる。軸部3は軸部装填ロッド61とコアロッド40とに挟まれた状態となり、ここからさらに上パンチ33が下降する。するとコアロッド40は軸部3を介して上パンチ33で押されて下降し、図6に示すように上パンチ33が粉末Pの上面に達して粉末Pが加圧される状態になる。これにより下パンチ23はやや下降するとともに、軸部3の下端部は下パンチ23内に挿入される。この段階で、軸部3は、上端部が上パンチ33内に、また下端部が下パンチ23内に挿入した状態となっているため、圧縮成形後の鍔部2に対する軸部3の同心度が高い精度で定められる。
【0025】
次に、図7に示すように、上パンチ33が下降してダイス孔10a内に嵌入する。また、軸部装填ロッド61が僅かに下降して、コアロッド40がヨークプレート12に当接する下限位置に位置付けられ、これにより、軸部3は成形位置に位置決めされる。上パンチ33がダイス孔10a内に嵌入すると粉末Pに圧縮荷重がさらにかかり、下パンチ23はベースシリンダ21が最も圧縮して上端面が軸部3の下端面と同じ高さ位置になる下限位置で停止する。この状態からさらに上パンチ33が下降し、粉末Pが所定荷重で軸方向に圧縮される。圧縮された粉末Pは鍔部2と同形状の圧粉体に成形され、かつ軸部3に圧着した状態となる。すなわち、軸部3の周囲に圧粉体からなる鍔部2が一体成形された複合素材1に成形される。
【0026】
複合素材1が成形されたら、図示せぬ下ラムが下降して図8に示すようにダイス10が下降し、複合素材1と下パンチ23がダイス孔10aから上方に抜き出され、次いで、図9に示すように、上パンチ33が上昇して、複合素材1が下パンチ23上に載った脱型の状態となる。上パンチ33を上昇させて複合素材1を脱型する際には、上パンチ内圧調整シリンダ72を圧縮動作させてチューブ71から上パンチ33内に空気を送り込み、上パンチ33内を正圧とする。これにより軸部3は上パンチ33から抜けやすくなり、円滑な脱型が図られる。なお、複合素材1は、この後、鍔部2の焼結温度に全体が加熱され、鍔部2が焼結体とされるとともに軸部3と拡散接合した複合焼結部品とされる。
【0027】
[3]一実施形態の作用効果
上記実施形態の成形金型装置によれば、圧粉体からなる鍔部2の成形と同時に鍔部2を軸部3に一体化させることができ、このような鍔部2と軸部3との複合素材1の成形を、従来のように圧粉体の孔に軸部を圧入することなく、容易に遂行することができる。したがって、従来の圧入工程を省略することができるとともに、圧入で生じていた圧粉体の割れやひびといった損傷が圧粉体には生じず、不良品の発生が抑えられる。また、必要十分、かつ一定の圧縮荷重で鍔部2を圧縮成形することにより、軸部3に対する鍔部2の接合強度を、高く、かつ一定とすることができ、歩留まりの向上が図られる。そして、圧入工程の省略や歩留まりの向上により、安価に成形することができる。
【0028】
また、上パンチ内圧調整シリンダ72は、上パンチ33からの軸部3の落下を防ぐだけでなく、上パンチ33内を正圧として脱型時に上パンチ33から軸部3を抜けやすくする機能も有しているため、円滑な脱型や、部品点数の増加の抑制が図られる。
【0029】
なお、上記実施形態では、上パンチ33内に軸部3が挿入された状態を保持する保持手段として上パンチ内圧調整シリンダ72が採用されているが、本発明の保持手段としてはこれに限定はされず、最低限度として軸部3を上パンチ33に保持する機能さえ備えていればよい。例えば図10に示すように、上パンチ33の内周面にシリコン等からなるゴムリング91を取り付け、このゴムリング91の摩擦力で軸部3を保持して落下を抑えるように構成することができる。
【0030】
また、上記実施形態では、軸部3が溶製材からなるものであるが、本発明では軸部3は溶製材に限定されず、例えば鍔部2と同様の圧粉体でもよい。鍔部2が圧粉体の場合には、軸部3との複合素材全体が焼結体とされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る成形金型装置で圧縮成形する複合素材の(a)斜視図、(b)断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る成形金型装置の全体断面図である。
【図3】同装置で複合素材を成形する過程の初期段階を示す断面図である。
【図4】図3の次の過程を示す断面図である。
【図5】図4の次の過程を示す断面図である。
【図6】図5の次の過程を示す断面図である。
【図7】図6の次の過程であって圧縮完了の状態を示す断面図である。
【図8】圧縮完了後の脱型過程を示す断面図である。
【図9】脱型完了状態を示す断面図である。
【図10】上パンチに設ける保持手段の他の実施形態(ゴムリング)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…複合素材、2…鍔部(圧粉体)、3…軸部、10…ダイス、10a…ダイス孔、23…下パンチ、33…上パンチ、40…コアロッド、50…軸部供給手段、52…カセット、52c…貫通孔、54…プッシュロッド、61…軸部装填ロッド、72…上パンチ内圧調整シリンダ(保持手段)、91…ゴムリング(保持手段)、P…粉末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の周囲に鍔部が形成された部品を、少なくとも鍔部を粉末冶金法による焼結体で得るにあたり、軸部に対し鍔部に近似する形状の圧粉体を一体成形する成形金型装置であって、
前記鍔部の外周面に対応した内周面を有する円筒状のダイス孔を有するダイスと、
このダイス孔内に、下側から同軸的、かつ軸方向に移動自在に挿入され、前記軸部と同等の外径を有する円柱状のコアロッドと、
前記ダイス孔の内周面と前記コアロッドとの間に摺動自在に嵌入され、ダイス孔内に充填された粉末を軸方向に圧縮する円筒状の上パンチおよび下パンチと、
前記ダイス孔から離間した待機位置にある前記上パンチの近傍に配設され、前記軸部を該上パンチ内に挿入可能な軸部セット位置に供給する軸部供給手段と、
この軸部供給手段によって前記軸部セット位置に供給された軸部を、前記待機位置にある前記上パンチ内に挿入し、さらに、該上パンチが前記待機位置から前記ダイス孔内に嵌入されて粉末を圧縮する圧縮位置に達する動作に追従して、該軸部をダイス孔内に挿入する軸部装填ロッドと
を備えることを特徴とする成形金型装置。
【請求項2】
前記軸部供給手段は、前記軸部を、軸方向が上下方向に沿った状態で水平方向に移動自在に収容するカセットと、該カセット内の軸部を押し込んで前記軸部セット位置まで移動させるプッシュロッドとを備え、カセットの前記軸部セット位置に対応する箇所には、前記軸部装填ロッドが貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形金型装置。
【請求項3】
前記上パンチには、該上パンチ内に前記軸部が挿入された状態を保持する保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の成形金型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−144241(P2010−144241A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325380(P2008−325380)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000233572)日立粉末冶金株式会社 (272)
【Fターム(参考)】