説明

成長因子/両親媒性ポリマー複合体、可溶性のカチオン塩及び有機支持体を含有する骨形成組成物

【課題】成長因子/両親媒性アニオン性多糖類複合体、可溶性のカチオン塩及び有機支持体を含む骨形成組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種の骨形成成長因子/両親媒性アニオン性多糖類複合体、1種の可溶性の少なくとも2価のカチオン塩、及び1種の有機支持体
を含む骨形成組成物から構成されるオープンインプラントであって、前記有機支持体は脱塩された骨マトリックスを含んでいない、オープンインプラントに関する。一の態様において、前記インプラントは凍結乾燥物の形態にある。本発明はまた、その製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨形成製剤の分野に、より特に、骨形成タンパク質であるBMPファミリーに属する骨形成タンパク質の製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨形成タンパク質(BMP)は、骨形成誘発の機構に伴う成長因子である。BMPは骨形成タンパク質(OP)としても知られており、1965年にUristにより最初に特定された(非特許文献1)。皮質骨から単離されるこれらタンパク質は、多種の動物の骨形成を誘発し得る(非特許文献1)。
【0003】
BMPは、翻訳後成熟の後に104ないし139残基の長さを有するプロペプチドの形態で発現する。それらは互いに非常に相同性の配列を有しており、且つ類似の三次元構造を有している。特に、それらは、所謂“システイン集団(cysteine knot)”を形成する分子内ジスルフィド架橋に包含される6個のシステイン残基を有している(非特許文献2及び3)。BMPのうちの数種は、ダイマーの形成に関与する分子間ジスルフィド架橋に包含される7番目のシステインを有している(非特許文献2)。
【0004】
それらの活性形態において、BMPは、Israel等により記載されるように、ホモダイマーとして及びヘテロダイマーとしてさえ会合する(非特許文献4)。ダイマー状BMPは、BMPR型の膜透過受容体と相互作用する(非特許文献5)。この認識は、特にSmadタンパク質を含有する一連の細胞内シグナル伝達を引き起こし、このことが標的遺伝子の活性化又は抑制化を誘発する。
【0005】
BMP1及び3を除いて、BMPは、間葉細胞(mesenchymal cell)を分化させるのに直接的な且つ間接的な役割を果しており、このことが骨芽細胞へのその分化を誘発する(非特許文献6)。それらはまた、走化性の特性を有し、且つ増殖及び分化を誘発する。
【0006】
幾種かのヒト組換体BMP、特にrhBMP−2及びrhBMP−7は、ヒトの生体内での骨形成を誘発する能力を明らかに示しており、そして幾つかの医療用途のため承認されている。このように、ヒト組換体BMP−2、即ち国際的な一般名に従うとジボテルミンα(dibotermin alfa)は、米国ではインフーズ(InFuse)(登録商標)、そして欧州ではインダクトOs(InductOs)(登録商標)の名称で販売される製品中に配合されている。この製品は、腰椎融合に対して、及び“非結合”骨折に対する脛骨の骨再生に対して処方される。腰椎の融合のためのインフーズの場合、外科的処置はまず第一に、rhBMP−2溶液中にコラーゲンスポンジを浸し、その後、腰椎間に前もって移植された中空ケージ(LTケージ)にそのスポンジを置くことからなる。
【0007】
ヒト組換体BMP−7、即ち国際的な一般名に従うとエプトテルミンα(eptotermin alfa)は、BMP−2と同じ治療指標を有し、2つの製品、即ち脛骨の開裂骨折に対するOP−1インプラント(OP−1Implant)及び腰椎融合に対するOP−1パテ(OP−1Putty)の基盤を形成している。OP−1インプラントは、rhBMP−7及び0.9%生理的食塩水が吸収されるコラーゲンを含有する粉末からなる。得られたペーストはその後、外科的処置中に骨折部に適用される。OP−1パテは、一方がrhBMP−7及びコラーゲンを含み、他方がカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む、2種類の粉末の形態にある。外科的処置中に、CMCの溶液は0.9%生理的食塩水によって再構成され、そしてrhBMP−7及びコラーゲンと混合される。得られたペーストは、治療部位に適用される。
【0008】
特許文献1は、無機セラミックを含有する支持体(骨格)、該支持体に一体的に結合された固形メンブラン及び骨形成剤から成る骨形成誘発インプラントを記載している。前記支持体は、好ましくはコラーゲンスポンジである。前記無機セラミックは、カルシウム誘導体、好ましくは二相性のリン酸カルシウムのような水不溶性の無機マトリックスである(p.2,[0024])。インプラントに一体的に結合された固形メンブランは、周囲の軟部組織からの細胞の進入を制限するために、そしてまた、炎症細胞の侵入を防止するために、不透過性でなければならない(p.3,[0030])。インプラントへのこれら細胞の進入が骨成長の低下及び治療の失敗を引き起こすおそれがある、と記載されている(p.1,[0007])。
この発明は、骨形成を改善するために、インプラントへのメンブランの添加を中心としている。
【0009】
特許文献2は、脱塩された骨マトリックス(即ちDBM)、コラーゲン微粒子及び物理的に架橋された多糖類マトリックスを含有するシート形態の発明品を記載している。さらには、このインプラントは、成長因子のような骨形成物質を含有し得る。前記物理的に架橋された多糖類は、脱塩された骨の粒子に対する安定化剤として作用し(p.3,[0026])、前記アルギネートを基剤とした多糖類は、塩化カルシウムの添加によって架橋される。
【0010】
特許文献3は、物理的強度を有する生体適合性の骨形成複合体材料を記載している。著者等によれば、この骨形成誘発材料は脱塩された骨から成り、そのことが、脱塩された骨の存在、或いは脱塩された骨のタンパク質抽出物の存在、或いはこれら2つの成分の存在においてのみ骨形成誘発が生じることを可能にしている(p.2,第2行ないし第5行)。カルシウム塩又は無機塩がこの材料に添加されている。無機塩は、場合により水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム又は水酸化マグネシウムであることが記載されている(p.17,第4行ないし第9行)。カルシウム塩は、可溶性塩であっても、又はそうでなくともよく(p.17,第21行ないし第21行)、好ましくは水酸化カルシウムである。添加される種々のカチオン、特にカルシウムの水酸化物の選択が、この環境におけるコラーゲン合成の向上に有利となるマトリックスのpHを上昇させる効果により、正当化される(p.15,第7行ないし第11行)。
この発明は、インプラントの物理学的及び骨形成特性がインプラントのpHの上昇によって改良された、新規の脱塩された骨を基剤としたインプラントの形成を包含している。
【0011】
さらには、複合体を安定化させる目的で、及び/又はその可溶性を高める目的で、及び/又はその活性を高める目的で、成長因子とポリマーとの間で複合体を形成させることが特に有利であることが示されている。
こうして、本出願人の名における特許出願である特許文献4において、BMP−2と両親媒性ポリマーとの間の複合体の形成が、生理学的pHにおいて比較的不溶性であるこの非常に疎水性のタンパク質の溶解性を高めることを特に可能としたことを示すことができた。
特許出願である特許文献4において、出願人はまた、疎水性置換基によって官能化されたデキストラン誘導体の存在下において、BMP−2の生理学的活性の増加を示した。生体外において、このBMP−2複合体は、BMP−2単独と比べて全て優れていることが判る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第2008/014197号明細書
【特許文献2】米国特許第2007/0254041号明細書
【特許文献3】国際公開第96/39203号明細書
【特許文献4】仏国特許第0705536号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Urist MR.Science 1965;150,893
【非特許文献2】Scheufler C.2004 J.Mol.Biol.1999;287,103
【非特許文献3】Schlunegger MP,Mol.Biol.1993;231,445
【非特許文献4】Israel DI,Growth Factors,1996,13(3−4),291
【非特許文献5】Mundy他 Growth Factors, 2004,22(4),233
【非特許文献6】Cheng H.,J.Bone and Joint Surgery,2003,85A 1544−1552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、例えば、投与量を低減し得るために、これらBMP成長因子の有効性を改良し得る製剤を見出すことをが不可欠である。
これらタンパク質は一般に、数桁の大きさだけ生理学的投与量を超える投与量で使用されるために、この課題は多くの成長因子製剤で共通である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
成長因子含有のヒドロゲルへの可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液の添加により、前記成長因子の活性を改良することを可能にする成長因子製剤であって、前記可溶性の少なくとも2価のカチオン塩が前記成長因子の効果を高める成長因子製剤を見出したことは、出願人の功績である。
驚くことに、この新規製剤は、より少量の成長因子で同様の骨形成効果を生じ得る。
本発明は、少なくとも
・1種の骨形成成長因子/両親媒性アニオン性多糖類複合体、
・1種の可溶性の少なくとも2価のカチオン塩、及び
・1種の有機支持体
を含有する骨形成組成物から構成されるオープンインプラント(open implant)であって、前記有機支持体は脱塩された骨マトリックスを含んでいない、オープンインプラント、に関する。
【0016】
用語“オープンインプラント”とは、インプラント周囲の組織との交換を制限又は規制し得るメンブランもシェルも含有していない、且つ、その構成について実質的に均質であるインプラントを意味する。
用語“脱塩された骨マトリックス”(即ちDBM)とは、脱塩された成分の大部分が無いが、成長因子を含有するコラーゲンタンパク質又はコラーゲンでないタンパク質を保持する自家骨の酸抽出によって得られるマトリックスを意味する。そのような脱塩された骨マトリックスはまた、カオトロピック剤を用いた抽出後に不活性形態で製造され得る。
用語“有機支持体”とは、有機マトリックス及び/又はヒドロゲルから成る支持体を意味する。
用語“有機マトリックス”とは、架橋されたヒドロゲル及び/又はコラーゲンから成るマトリックスを意味する。
【0017】
有機マトリックスは、ポリマー鎖の化学的架橋によって得られるヒドロゲルである。鎖間共有結合が有機マトリックスを定義する。有機マトリックスを構成するのに使用され得るポリマーは、Hydogels for biomedical applications(Adv.Drug Deliv.Rev,2002,43,3−12)なる表題の、Hoffmanによる概説に記載されている。
【0018】
一の態様において、マトリックスは、滅菌され、架橋され、精製された天然コラーゲンを基剤としたマトリックスより選択される。
コラーゲンのような天然ポリマーは、細胞付着、移動及び分化を促進する細胞外マトリックス成分である。それらは、顕著に生体適合性であるという利点を有し、そして酵素消化機構によって分解される。コラーゲンを基剤としたマトリックスは、ウシ又はブタの腱又は骨から抽出される繊維状コラーゲンI型又はIV型から得られる。これらコラーゲンはまず精製され、その後架橋され、そしてその後殺菌される。
【0019】
本発明に従う有機支持体は、造形され、又は成形されるに十分な機械的特性を有する材料の形態に、或いは“パテ”の形態にあり得る材料を得るために、混合物として使用され得るか、或いは、コラーゲン又はヒドロゲルは結合剤の役割を果たす。
【0020】
混合材料、例えば、コラーゲンと無機粒子とを組み合わせた、且つ強化された機械的特性を有する複合材料の形態に、或いは“パテ”の形態にあり得るマトリックスが使用され得るか、或いは、コラーゲンは結合剤の役割を果たす。
使用され得る無機材料は、主要な利点が骨の化学組成に非常に近い化学組成である、ヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、二相性リン酸カルシウム(BCP)又は非晶質リン酸カルシウム(ACP)のような、リン酸カルシウムを基剤としたセラミックを実質的に含有する。これら材料は、良好な機械的特性を有し、そして免疫学的に不活性である。これら材料は、粉末、顆粒又はブロックのような種々の形態であり得る。これらの材料は、それらの組成に応じて非常に種々の分解速度を有し;即ち、ヒドロキシアパタイトは非常にゆっくりと分解するが(数ヶ月)、リン酸三カルシウムはより迅速に分解する(数週間)。二相性のリン酸カルシウムは中間の吸収速度を有するために、この目的のために開発された。これらの無機材料は、主として骨誘導性として既知である。
【0021】
用語“ヒドロゲル”とは、大量の水又は生理学的流動体を吸着し得るポリマーの親水性三次元網目構造を意味する(Peppas他,Eur.J.Pharm.Biopharm.2000,50,27−46)。そのようなヒドロゲルは、物理的相互作用から構成され、そしてそれ故、ポリマー鎖の化学的架橋によっては得られない。
【0022】
これらのポリマーのうち、合成ポリマー及び天然ポリマーが見出され得る。ヒドロゲル形成多糖類は、例えば、Polysaccharide hydrogels for modified release formulations(Coviello他,J.Control.Release,2007,119,5−24)なる表題の文献に記載されている。
【0023】
一の態様において、架橋されていても、又は架橋されていなくてもよいヒドロゲル形成ポリマーは、エチレングリコール/乳酸コポリマー、エチレングリコール/グリコール酸コポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリビニル酸、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸である合成ポリマー群より選択される。
【0024】
一の態様において、ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、ケラタン、プルラン、ペクチン、デキストラン、セルロース及びセルロース誘導体、アルギン酸、キサンタン、カラギーナン、キトサン、コンドロイチン、コラーゲン、ゼラチン、ポリリシン及びフィブリン、及び生物学的に許容され得るそれらの塩である天然ポリマー群より選択される。
【0025】
一の態様において、天然ポリマーは、ヒアルロン酸、アルギン酸、デキストラン、ペクチン、セルロース及びその誘導体、プルラン、キサンタン、カラギーナン、キトサン及びコンドロイチン、及び生物学的に許容され得るそれらの塩であるヒドロゲル形成多糖類群より選択される。
【0026】
一の態様において、天然ポリマーは、ヒアルロン酸及びアルギン酸、及び生物学的に許容され得るそれらの塩であるヒドロゲル形成多糖類群より選択される。
【0027】
用語“両親媒性多糖類”とは、疎水性誘導体によって官能化された多糖類群より選択される多糖類を意味する。
【0028】
これら多糖類は、大部分が(1,4)及び/又は(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合から構成されている。それらは中性であり得る、即ち、酸官能基を保有していないか、或いはアニオン性であって且つ酸官能基を保有し得る。
それらは、少なくとも1つのトリプトファン誘導体(Trp)によって官能化されている。
・前記トリプトファン誘導体は、酸官能基によるカップリングによって多糖類にグラフトされているか又は結合されており、前記酸官能基が、アニオン性多糖類の酸官能基及び/又は官能基Fにより多糖類に結合しているリンカーアームRによって保有されている酸官能基となることを可能にしており、前記官能基Fは、リンカーアームRと、天然の又はアニオン性多糖類の官能基−OHとの間のカップリングの結果であり、
Fは、エステル官能基、チオエステル官能基、アミド官能基、カルボネート官能基、カルバメート官能基、エーテル官能基、チオエーテル官能基又はアミン官能基であり、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N及び/又はNのようなヘテロ原子を1つ以上含有し、且つ少なくとも1つの酸官能基を有する、所望により枝分れ状の及び/又は不飽和鎖であり、
・Trpは、トリプトファンのアミンと、R基により保有されている少なくとも1つの酸及び/又はアニオン性多糖類により保有されている1つの酸との間のカップリングから生じるL−又はD−トリプトファン誘導体の残基である。
【0029】
本発明に従うと、主として(1,4)、(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合を含有し、少なくとも1つのトリプトファン誘導体により官能化された多糖類は、下記の一般式I:

[式中、
多糖類は、大部分が(1,4)及び/又は(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合からなり、
Fは、リンカーアームRと、中性又はアニオン性多糖類の官能基−OHとの間のカップリング由来のものであって、エステル官能基、チオエステル官能基、アミド官能基、カーボネート官能基、カルバメート官能基、エーテル官能基、チオエーテル官能基又はアミン官能基のいずれかを表し、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N及び/又はSのような1個以上のヘテロ原子を含有し、そして少なくとも1つの酸官能基を有する、所望により枝分れ状及び/又は不飽和鎖を表し、
Trpは、トリプトファン誘導体のアミンと、R基により保有される少なくとも1つの酸及び/又はアニオン性多糖類により保有される少なくとも1つの酸との間のカップリングから生じるL−又はD−トリプトファン誘導体の残基を表し、
nは、Trp置換されたRのモル分率であって、0.05ないし0.7であり、
oは、Trp置換された多糖類の酸官能基のモル分率であって、0.05ないし0.7であり、
iは、糖単位当りのR基により保有される酸官能基のモル分率であって、0ないし2であり、
jは、糖単位当りのアニオン性多糖類により保有される酸官能基のモル分率であって、0ないし1であり、
(i+j)は、糖単位当りの酸官能基のモル分率であって、0.1ないし2であり、
RがTrpにより置換されていない場合、R基の酸(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン(群)であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属のカチオンであり、
前記多糖類がアニオン性多糖類である場合、多糖類の1つ以上の酸官能基(群)がTrpにより置換されておらず、その場合にそれ(それら)はカチオンにより塩化されており、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
前記多糖類は、中性pHにて両親媒性である。]
に対応し得る。
【0030】
一の態様において、Fは、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテル官能基を表す。
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)型のグリコシド結合からなる。
一の態様において、大部分が(1,4)型のグリコシド結合からなる多糖類は、プルラン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キシラン、ガラクツロン酸及び水溶性セルロースからなる群より選択される。
一の態様において、多糖類はプルランである。
一の態様において、多糖類はアルギン酸である。
一の態様において、多糖類はヒアルロン酸である。
一の態様において、多糖類はキシランである。
一の態様において、多糖類はガラクツロン酸である。
一の態様において、多糖類は水溶性セルロースである。
【0031】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,3)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,3)型のグリコシド結合から成る多糖類は、カードランである。
【0032】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,2)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,2)型のグリコシド結合から成る多糖類は、イヌリンである。
【0033】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)及び(1,3)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,4)及び(1,3)型のグリコシド結合から成る多糖類は、グルカンである。
【0034】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)及び(1,3)及び(1,2)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,4)及び(1,3)及び(1,2)型のグリコシド結合から成る多糖類は、マンナンである。
【0035】
一の態様において、本発明に係る多糖類は、R基が下記の基:

又はそれらのアルカリ金属カチオン塩より選択されることを特徴とする。
【0036】
一の態様において、本発明に係る多糖類は、トリプトファン誘導体が、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド及び2−インドールエチルアミン及びそれらのアルカリ金属カチオン塩からなる群より選択されることを特徴とする。
一の態様において、本発明に係る多糖類は、トリプトファン誘導体が式II:

[式中、
Eは、直鎖状の又は枝分れ状の(C1ないしC8)アルキル基;直鎖状の又は枝分れ状の(C6ないしC20)アルキルアリール基又はアリールアルキル基であり得る基である。]
で表されるトリプトファンエステルより選択されることを特徴とする。
【0037】
多糖類は、10ないし10000の重合度mを有し得る。
一の態様において、多糖類は、10ないし1000の重合度mを有する。
別の態様において、10ないし500の重合度mを有する。
【0038】
一の態様において、多糖類は、仏国特許第07/02316号明細書に記載される、トリプトファン及びトリプトファン誘導体のような疎水性アミノ酸によって官能化されたデキストラン群より選択される。
【0039】
本発明によれば、官能化されたデキストランは、下記の一般式III

[式中、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N又はSのような1つ以上のヘテロ原子を含有し、少なくとも1つの酸官能基を有する、所望により枝分れ状及び/又は不飽和鎖を表し、
Fは、リンカーアームRと、中性の又はアニオン性の多糖類の官能基−OHとの間のカップリング由来のものであって、エステル官能基、チオエステル官能基、アミド官能基、カーボネート官能基、カルバメート官能基、エーテル官能基、チオエーテル官能基又はアミン官能基のいずれかを表し、
AAは、アミノ酸のアミンと、R基により保有される酸との間のカップリングから生じる疎水性のL−又はD−アミノ酸残基を表し、
tは、グリコシド単位当りのF−R−[AA]n置換基のモル分率であって、0.1ないし2であり、
pは、AAにより置換されたR基のモル分率であって、0.05ないし1である。]
に対応し得る。
RがAAにより置換されていない場合、R基の酸(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン群であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
前記デキストランは、中性pHにて両親媒性である。
一の態様において、アルカリ金属カチオンはNaである。
一の態様において、Fは、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテルのいずれかである。
【0040】
一の態様において、本発明に係る多糖類は、式IV:

で表されるカルボキシメチレートデキストラン又は対応する酸である。
一の態様において、本発明に係る多糖類は、式V:

で表されるデキストランのモノコハク酸エステル又は対応する酸である。
【0041】
一の態様において、本発明に係る多糖類は、R基が下記の基:

又はそれらのアルカリ金属カチオン塩より選択されることを特徴とする。
【0042】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、疎水性アミノ酸が、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド及び2−インドールエチルアミン、及びそれらのアルカリ金属カチオン塩より選択されることを特徴とする。
【0043】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、トリプトファン誘導体が、上記定義された式IIで表されるトリプトファンエステルより選択されることを特徴とする。
【0044】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、式VI:

で表されるトリプトファン変性されたカルボキシメチレートデキストランである。
【0045】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、式VII:

で表されるトリプトファン変性されたモノコハク酸エステルである。
【0046】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、疎水性アミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン、及びそれらのアルコール、アミド又は脱カルボキシル誘導体より選択されることを特徴とする。
【0047】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン誘導体が、式VIII:

(式中、Eは、上記定義されたとおりである。)
で表されるこれらアミノ酸のエステルより選択されることを特徴とする。
【0048】
一の態様において、本発明に係るデキストランは、疎水性アミノ酸が、フェニルアラニン、又はそのアルコール、アミド又は脱カルボキシル誘導体であることを特徴とする。
【0049】
デキストランは、10ないし10000の重合度mを有し得る。
一の態様において、デキストランは、10ないし1000の重合度mを有する。
別の態様において、デキストランは、10ないし500の重合度mを有する。
【0050】
一の態様において、多糖類は、仏国特許出願第08/05506号明細書に記載されるもののような、少なくとも1つがAhで表される疎水性アルコール誘導体により置換されたカルボキシル官能基を含む多糖類群より選択され:
前記疎水性アルコール(Ah)は、カップリングアームRによりアニオン性多糖類にグラフトされているか又は結合されており、前記カップリングアームは、官能基F’によりアニオン性多糖類に結合しており、前記官能基F’はリンカーアームRのアミン官能基と、アニオン性多糖類のカルボキシル官能基との間のカップリング由来のものであり、前記カップリングアームは、カップリングアームのカルボキシル官能基、イソシアネート官能基、チオ酸又はアルコール官能基と、疎水性アルコールの官能基との間のカップリング由来の官能基Gによって疎水性アルコールに結合しており、アニオン性多糖類の未置換のカルボキシル官能基は、カルボン酸カチオンの形態にあり、該カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
F’は、アミド官能基を表し、
Gは、エステル官能基、チオエステル官能基、カーボネート官能基又はカルバメート官能基のいずれかを表し、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、所望によりO、N及び/又はSのようなヘテロ原子を1つ以上含有し、且つ少なくとも1つの酸官能基を有する所望により枝分れ状の及び/又は不飽和鎖を表し、
Ahは、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、R基により保有される少なくとも1つの求電子性官能基との間のカップリングから生じる、疎水性アルコールの残基を表し、
カルボキシル官能基を含有する前記多糖類は、中性pHにて両親媒性である。
【0051】
疎水性アルコールによって部分的に置換されたカルボキシル官能基を含有する多糖類は、一般式IX:

[式中、
qは、多糖類のF−R−G−Ahで置換されたカルボキシル官能基のモル分率であって、0.01ないし0.7であり、
F’、R、G及びAhは上記定義に対応し、そして多糖類のカルボキシル官能基がF’−R−G−Ahによって置換されていない場合、多糖類のカルボキシル官能基(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン群であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンを表す。]
で表されるカルボキシル官能基を含有する多糖類より選択される。
一の態様において、カルボキシル官能基を含有する多糖類は、カルボキシル官能基を本来保有する多糖類であって、アルギン酸、ヒアルロナン及びガラクツロナンより選択される。
【0052】
一の態様において、一般式X:

[式中、
天然多糖類は、大部分が(1,6)及び/又は(1,4)及び/又は(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合によって成る多糖類群より選択され、
Lは、リンカーアームQと、多糖類の官能基−OHとの間のカップリング由来の結合部であって、エステル官能基、チオエステル官能基、カーボネート官能基、カルバメート官能基又はエーテル官能基のいずれかを表し、
rは、多糖類の糖単位当りの置換基L−Qのモル分率を表し、
Qは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N及び/又はSのようなヘテロ原子を1つ以上含有し、且つ少なくとも1つのカルボキシル官能基−COHを有する所望により枝分れ状及び/又は不飽和鎖を表す。]
で表されるカルボキシル官能基を含有する多糖類は、カルボキシル官能基を本来含有する多糖類から、又は100の糖単位当り少なくとも15のカルボキシル官能基がグラフトされた中性多糖類から得られる合成多糖類である。
【0053】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,6)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,6)型のグリコシド結合から成る多糖類は、デキストランである。
【0054】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,4)型のグリコシド結合から成る多糖類は、プルラン、アルギン酸、ヒアルロナン、キシラン、ガラクツロナン及び水溶性セルロースからなる群より選択される。
一の態様において、多糖類はプルランである。
一の態様において、多糖類はアルギン酸である。
一の態様において、多糖類はヒアルロナンである。
一の態様において、多糖類はキシランである。
一の態様において、多糖類はガラクツロナンである。
一の態様において、多糖類は水溶性セルロースである。
【0055】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,3)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,3)型のグリコシド結合から成る多糖類は、カードランである。
【0056】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,2)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,2)型のグリコシド結合から成る多糖類は、イヌリンである。
【0057】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)及び(1,3)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,4)及び(1,3)型のグリコシド結合から成る多糖類は、グルカンである。
【0058】
一の態様において、多糖類は、大部分が(1,4)及び(1,3)及び(1,2)型のグリコシド結合から成る。
一の態様において、大部分が(1,4)及び(1,3)及び(1,2)型のグリコシド結合から成る多糖類は、マンナンである。
【0059】
一の態様において、本発明に係る多糖類は、Q基が以下の基:

より選択されることを特徴とする。
【0060】
一の態様において、rは0.1ないし2である。
一の態様において、rは0.2ないし1.5である。
【0061】
一の態様において、本発明に係るR基は、アミノ酸より選択されることを特徴とする。
一の態様において、アミノ酸は、α−アミノ酸より選択される。
一の態様において、α−アミノ酸は、天然のα−アミノ酸より選択される。
一の態様において、天然のα−アミノ酸は、ロイシン、アラニン、イソロイシン、グリシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンより選択される。
【0062】
一の態様において、疎水性アルコールは、脂肪アルコールより選択される。
一の態様において、疎水性アルコールは、4ないし18の炭素原子を含有する不飽和又は飽和アルキル鎖から成るアルコールより選択される。
一の態様において、脂肪アルコールは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ブチルアルコール、オレイルアルコール及びラノリンより選択される。
一の態様において、疎水性アルコールは、コレステロール誘導体より選択される。
一の態様において、コレステロール誘導体は、コレステロールである。
一の態様において、疎水性アルコールAhは、トコフェロールより選択される。
一の態様において、トコフェロールは、α−トコフェロールである。
一の態様において、α−トコフェロールは、α−トコフェロールのラセミ混合物である。
一の態様において、疎水性アルコールは、アリール基を有するアルコールより選択される。
一の態様において、アリール基を有するアルコールは、ベンジルアルコール及びフェネチルアルコールより選択される。
【0063】
多糖類は、10ないし10000の重合度mを有し得る。
一の態様において、多糖類は、10ないし1000の重合度mを有する。
別の態様において、多糖類は、10ないし500の重合度mを有する。
【0064】
一の態様において、前記組成物は、凍結乾燥物の形態にある。
【0065】
一の態様において、可溶性の少なくとも2価のカチオン塩は、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛カチオンより選択される可溶性の2価のカチオン塩である。
一の態様において、可溶性の少なくとも2価のカチオン塩は、可溶性のカルシウム塩である。
用語“可溶性の少なくとも2価のカチオン塩”とは、溶解度が、5mg/mL以上、好ましくは10mg/mL以上、好ましくは20mg/mL以上である塩を意味する。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩はカルシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択される。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩はマグネシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択される。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩は亜鉛塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択される。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩は、塩化カルシウムである。
一の態様において、可溶性のカチオン塩は、可溶性の多価カチオン塩である。
用語“多価カチオン”とは、鉄、アルミニウムのような2以上の正電荷を保有する種、ポリリシン、スペルミン、プロタミン又はフィブリンのようなカチオン性ポリマーを意味する。
【0066】
用語“骨形成成長因子”、又は“BMP”は、単独で、又は組み合せて、治療効果のあるBMP群より選択されるBMP(骨形成タンパク質)を意味する。
より特に、骨形成タンパク質は、BMP−2(ジボテルミンα(dibotermin−alfa))、BMP−4、BMP−7(エプトテルミンα(eptotermin−alfa))、BMP−14及びGDF−5からなる群より選択される。
一の態様において、骨形成タンパク質は、BMP−2(ジボテルミンα)である。
一の態様において、骨形成タンパク質は、GDF−5である。
使用されるBMPは、当業者に既知の技術に従い得られるか、或いは、例えば、リサーチ ダイアグノスチック社(Research Diagnostic Inc.)(USA)のような供給者から購入される、組換え体ヒトBMPである。
【0067】
一の態様において、ヒドロゲルは、移植直前に製造され得る。
一の態様において、ヒドロゲルは、予備充填されたシリンジ中で製造され且つ保管されて、その後に移植され得る。
一の態様において、ヒドロゲルは、移植直前に凍結乾燥物の再水和によって製造され得るか、又は脱水形態で移植され得る。
凍結乾燥は組成物を脱水させ得る水昇華技術であり、この技術はタンパク質の貯蔵及び安定化に普通使用される。
凍結乾燥物の再水和は非常に迅速であり、すぐ使用できる製剤をたやすく得ることができるので、移植前に前記製剤を再水和することを可能にし、或いは、体液と接触することによって移植後に再水和が生じるその脱水形態で移植される。
【0068】
さらには、他のタンパク質、特に、PDGF、VEGF又はFGFのような血管形成成長因子を、骨形成成長因子に添加することが可能である。
本発明はそれ故、PDGF、VEGF及びFGFからなる群より選択される血管形成成長因子をさらに含有することを特徴とする、本発明に係る組成物に関する。
【0069】
本発明に係る骨形成組成物は、例えば、骨欠損を充填するために、脊椎融合又は顎顔面の復元を行うために、或いは、骨折連結(偽関節)の欠損を治療するために、移植により使用される。
【0070】
これら種々の治療用途において、マトリックスの寸法及び骨形成成長因子の量は、充填される部位の容量に依存する。
一の態様において、アニオン性多糖類の溶液は、0.1mg/mLないし100mg/mL、好ましくは1mg/mLないし75mg/mL、より好ましくは5ないし50mg/mLの濃度を有する。
一の態様において、脊椎用インプラントについては、骨形成成長因子の投与量は、0.05mgないし8mgであり、好ましくは0.1mgないし4mgであり、より好ましくは0.1mgないし2mgであるが、文献において通常許容される投与量は、8ないし12mgである。
一の態様において、脊椎用インプラントについては、血管形成成長因子の投与量は、0.05mgないし8mgであり、好ましくは0.1mgないし4mgであり、より好ましくは0.1mgないし2mgである。
顎顔面の復元における、又は偽関節治療における用途に関し、例えば、投与量は1mg未満である。
【0071】
一の態様において、2価カチオンの溶液は、0.01ないし1M、好ましくは0.05ないし0.2Mの濃度を有する。
【0072】
一の態様において、アニオン性多糖類の溶液は、0.1mg/mLないし100mg/mL、好ましくは1mg/mLないし75mg/mL、より好ましくは5ないし50mg/mLの濃度を有する。
【0073】
本発明はまた、少なくとも、下記の段階:
a)骨形成成長因子/アニオン性多糖類複合体を含有する溶液、並びに有機マトリックス及び/又はヒドロゲルを生成する段階、
b)前記複合体を含有する溶液を、前記有機マトリックス及び/又はヒドロゲルに添加し、所望により該混合物を均質化する段階、
c)可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液を、b)において得られたインプラントに添加する段階、
d)所望により、c)段階において得られたインプラントの凍結乾燥を行う段階
を含有する、本発明のインプラントの製造方法にも関する。
【0074】
本発明はまた、少なくとも下記の段階:
a)骨形成成長因子/両親媒性アニオン性多糖類複合体を含有する溶液、並びに有機マトリックス及び/又はヒドロゲルを生成する段階、
b)可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液を、a)の前記有機マトリックス及び/又はヒドロゲルに添加する段階、
c)前記成長因子を含有する溶液を、b)で得られた前記有機マトリックス及び/又はヒドロゲルに添加し、そして所望により該混合物を均質化する段階、
d)所望により、c)段階において得られたインプラントの凍結乾燥を行う段階
を含む、本発明のインプラントの製造方法にも関する。
【0075】
一の態様において、有機マトリックスは、架橋されたヒドロゲル及び/又はコラーゲンからなるマトリックスである。
一の態様において、前記マトリックスは、滅菌された、好ましくは架橋された、精製された天然コラーゲンを基剤としたマトリックスより選択される。
一の態様において、a)段階において架橋されていても又は架橋されていなくとも良いヒドロゲル形成ポリマーは、エチレングリコール/乳酸コポリマー、エチレングリコール/グリコール酸コポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリビニル酸、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸からなる合成ポリマー群より選択される。
一の態様において、a)段階において架橋されていても又は架橋されていなくとも良いヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、ケラタン、ペクチン、デキストラン、セルロース及びセルロース誘導体、アルギン酸、キサンタン、カラギーナン、キトサン、コンドロイチン、コラーゲン、ゼラチン、ポリリシン及びフィブリン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなる天然ポリマー群より選択される。
一の態様において、天然ポリマーは、ヒアルロン酸、アルギン酸、デキストラン、ペクチン、セルロース及びその誘導体、プルラン、キサンタン、カラギーナン、キトサン及びコンドロイチン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択される。
一の態様において、a)段階において、天然ポリマーは、ヒアルロン酸及びアルギン酸、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択される。
【0076】
一の態様において、b)又はc)段階における可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液は、2価のカチオン溶液である。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩はカルシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択される。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩は、塩化カルシウムである。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩はマグネシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択される。
一の態様において、可溶性の2価のカチオン塩は亜鉛塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択され。
一の態様において、b)又はc)段階において、可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液は、多価カチオン溶液である。
一の態様において、多価カチオンは、鉄、アルミニウム、及びポリリシン、スペルミン、プロタミン又はフィブリンのようなカチオン性ポリマーより選択される多価カチオンである。
一の態様において、a)段階において、骨形成成長因子以外の溶液がさらに提供される。
【0077】
本発明はまた、骨インプラントとしての本発明の組成物の使用にも関する。
一の態様において、前記組成物は、脊椎補綴又はケージ型の脊椎融合の人工器官と組み合せて使用され得る。
本発明はまた、骨の復元における前記組成物を用いた治療方法及び外科的方法にも関する。
【0078】
本発明は、以下の実施例により例示される。
【実施例】
【0079】
実施例1:L−トリプトファンのナトリウム塩により変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランの製造
ポリマー1は、仏国特許出願第07.02316号明細書に記載の方法に従い、40kg/モルの重量平均分子量、即ち、154の重合度を有するデキストラン(Pharmacosmos)から得られたL−トリプトファンのナトリウム塩により変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランである。トリプトファンにより変性されていても、又はいなくともよいナトリウムカルボキシメチレート誘導体のモル分率、即ち、式I中のtは、1.03である。トリプトファンにより変性されたナトリウムカルボキシメチレート誘導体のモル分率、即ち式III中のpは、0.36である。
【0080】
実施例2:L−トリプトファンのエチルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランの製造
ポリマー2は、仏国特許出願第07.02316号明細書に記載の方法に従い、40kg/モルの重量平均分子量、即ち、154の重合度を有するデキストラン(Pharmacosmos)から得られたL−トリプトファンのエチルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランである。トリプトファンのエチルエステルにより変性されていても、又はいなくともよいナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち、式III中のtは、1.07である。トリプトファンのエチルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち式III中のpは、0.49である。
【0081】
実施例3:L−グリシンのデシルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランの製造
ポリマー3は、仏国特許出願第08.05506号明細書に記載の方法に従い、40kg/モルの重量平均分子量、即ち、154の重合度を有するデキストラン(Pharmacosmos)から得られたL−グリシンのデシルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランである。L−グリシンのデシルエステルにより変性されていても、又はいなくともよいナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち、式X中のrは、1.04である。L−グリシンのデシルエステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち式IX中のqは、0.09である。
【0082】
実施例4:L−フェニルアラニンのオクタン酸エステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランの製造
ポリマー4は、特許出願仏国第08.05506号明細書に記載の方法に従い、40kg/モルの重量平均分子量、即ち、154の重合度を有するデキストラン(Pharmacosmos)から得られたL−フェニルアラニンのオクタン酸エステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートデキストランである。L−フェニルアラニンのオクタン酸エステルにより変性されていても、又はいなくともよいナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち、式X中のrは、1.07である。L−フェニルアラニンのオクタン酸エステルにより変性されたナトリウムカルボキシメチレートのモル分率、即ち式IX中のqは、0.08である。
【0083】
実施例5:rhGDF−5/ポリマー3複合体の製造
製剤1:5mM HCl中の2.0mg/mLのrhGDF−5溶液50μLを、61.1mg/mLのポリマー3溶液50μLと混合した。ポリマー溶液を、20mMホスフェート(pH7.2)により緩衝した。GDF−5/ポリマー3複合体の溶液は、pH6.4であり、そして、10mMホスフェートを含有していた。GDF−5/ポリマー3のモル比は1/20であった。この溶液を、最終的に0.22μmで濾過した。最終溶液は清澄であり、動的光散乱により特徴付けた。対象物の大部分は、10nm未満の寸法を示した。
【0084】
実施例6:rhGDF−5/ポリマー4複合体の製造
製剤2:10mM HCl中の3.7mg/mLのrhGDF−5溶液679μLを、42.3mg/mLのポリマー4溶液1821μL(pH7.3)と混合した。GDF−5/ポリマー4複合体の溶液は、pH6.5であり、そして、1mg/mLのGDF−5及び30.8mg/mLのポリマー4を含有していた。GDF−5/ポリマー4のモル比は1/20であった。この溶液を、最終的に0.22μmで濾過した。最終溶液は清澄であり、動的光散乱により特徴付けた。対象物の大部分は、10nm未満の寸法を示した。
【0085】
実施例7:
コラーゲンスポンジ/rhBMP−2インプラントの製造
インプラント1:0.05mg/mLのrhBMP−2溶液40μLを、ヘリシュタット(Helistat)型の無菌の200mm架橋コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences,Plainsboro,ニュージャージー)中に無菌的に導入した。コラーゲンスポンジ中で溶液を30分間インキュベートした後に使用した。BMP−2の投与量は2μgであった。
インプラント2:0.5mg/mLのrhBMP−2溶液40μLを用いて、インプラント1と同様に製造した。BMP−2の投与量は20μgであった。
【0086】
実施例8:rhBMP−2/ポリマー1複合体の製造
製剤3:0.15mg/mLのrhBMP−2溶液50μLを、37.5mg/mLのポリマー1溶液100μLと混合した。rhBMP−2とポリマー1の溶液を、pH7.4にて緩衝した。該溶液を4℃にて2時間インキュベートし、そして0.22μmで無菌的に濾過した。
製剤4:1.5mg/mLのrhBMP−2溶液50μLを、37.5mg/mLのポリマー1溶液100μLと混合することにより、製剤3と同様に製造した。
【0087】
実施例9:凍結乾燥された、塩化カルシウムの存在中のコラーゲンスポンジ/BMP−2/ポリマー1複合体のインプラントの製造
インプラント3:40μLの製剤4を、ヘリシュタット型の無菌の200mm架橋コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences,Plainsboro,ニュージャージー)中に導入した。溶液をコラーゲンスポンジ中で30分間インキュベートした後、18.3mg/mLの濃度の塩化カルシウム溶液100μLを添加した。15分後に、スポンジは使用できる状態となった。BMP−2の投与量は、20μgであった。
【0088】
実施例10:凍結乾燥された、塩化カルシウムの存在中のコラーゲンスポンジ/BMP−2/ポリマー1複合体のインプラントの製造
インプラント4:40μLの製剤3を、ヘリシュタット型の無菌の200mm架橋コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences,Plainsboro,ニュージャージー)中に導入した。溶液をコラーゲンスポンジ中で30分間インキュベートした後、18.3mg/mLの濃度の塩化カルシウム溶液100μLを添加した。スポンジをその後、凍結し、且つ無菌的に凍結乾燥した。BMP−2の投与量は2μgであった。
インプラント5:40μLの製剤4を用いて、インプラント4と同様に製造した。BMP−2の投与量は20μgであった。
【0089】
実施例11:種々の製剤の骨誘導性能の評価
本実験の目的は、ラットにおける異所性の骨形成モデルにおける種々の製剤の骨誘導性能を示すことである。体重150ないし250gの雄ラット(Sprague Dawley OFA−SD,Charles River Laboratories France,B.p.109,69592 I‘Arbresle)をこの実験のために使用した。
鎮痛剤処理を施した後にブプレノルフィン(テムゲシック(Temgesic)(登録商標),ファイザー株式会社,フランス国)、外科的手段を行った。O−イソフルラン混合物(1−4%)の吸入により、ラットを麻酔した。広い背中部を刈ることによって毛皮を除去した。この背面部の皮膚を、ポビドン−ヨウ素溶液(ベテジン(Vetedine)(登録商標)溶液,Vetoquinol,フランス)を用いて消毒した。
右及び左の背面部の傍脊椎筋を剥き出しにするために、およそ1cmの傍脊椎切開を行った。トランス筋膜切開(transfascial incision)によって筋肉に到達した。各々のインプラントを、圧迫がそこに生じ得ないような方法で、窪みに置いた。ラット1匹当り4つのインプラントを移植した(1部位当り2つのインプラント)。その後、ポリプロピレン糸(プロレン4/0(Prolene4/0),Ethicon,フランス)を用いてインプラントの開口を縫合した。非吸収性縫合糸を用いて皮膚を再び閉じた。その後、ラットをそれぞれのケージに戻し、それらの回復の間、観察し続けた。
21日目に、チレタミン−ゾラゼパム(ゾレチル(ZOLETIL)(登録商標)25−50mg/kg,IM,VIRBAC,フランス)の注射によって、ラットを麻酔した。
その後、ペントバルビタール(ドレタール(DOLETHAL)(登録商標),ベトキノール(VETOQUINOL),フランス)の投与量を注射することによって、ラットを安楽死させた。その後、各々の部位の肉眼観察を行い、;局所的な過敏症(炎症、壊死、出血)のいずれかの兆候、及び、骨及び/又は軟骨組織の存在をも記録し、そして以下のスケールに従い、等級分けした。 0:なし,1:微弱,2:並み 3:著しい,4:相当。
各々インプラントをその移植部位から除去し、肉眼写真を撮った。その後、インプラントの寸法及び質量を決定した。その後、各々のインプラントを、緩衝した10%ホルモル溶液中に保存した。
【0090】
結果:
この生体内実験は、ラット背面部の筋肉にインプラントを置いたことにより、BMP−2の骨誘導効果を測定することを可能にしている。
移植片の肉眼観察によって、骨組織の存在及びインプラントの質量を評価することが可能である。

【0091】
コラーゲンスポンジ中のBMP−2の2μgの投与量(インプラント1)は、21日後にコラーゲンインプラントを見出すことができるほどの十分な骨誘導性能を有していなかった。
コラーゲンスポンジ中のBMP−2の20μgの投与量(インプラント2)によって、21日後に38mgの平均質量を有する骨化されたインプラントが得られた。
BMP−2の同様の20μgの投与量について、コラーゲンスポンジ中のCaCl溶液の存在中のBMP−2/ポリマー1複合体(インプラント3)は、BMP−2の骨形成活性を向上させることができた。インプラント3の平均質量は、インプラント2のそれよりもおよそ3倍大きかった。
コラーゲンスポンジ中で凍結乾燥された、CaClの存在中のポリマー1との複合体の形態における20μgのBMP−2を含有するインプラント(インプラント5)の平均質量は、CaClの存在中のBMP−2/ポリマー1複合体が溶液中であるインプラントのそれの2倍であったので、凍結乾燥は、骨形成活性の上記の向上を増幅することができた。
10倍低いBMP−2の投与量については、コラーゲンスポンジ中で凍結乾燥された、CaClの存在中のBMP−2複合体(インプラント4)によって、2倍の質量を有し、BMP−2単独のものに等しい骨スコアを有する骨化されたインプラントを生じさせることができた。この新規製剤は、BMP−2投与量を大きく低減させると同時に、かかるタンパク質の骨形成活性を維持することを可能にした。
【0092】
実施例12:rhBMP−2/ポリマー1複合体を含有する製剤の製造
製剤5:1.35mg/mLのrhBMP−2溶液552μLを、60.0mg/mLのポリマー1溶液619μLと混合した。製剤5の容量を、滅菌水を添加することにより1300μLとした。この溶液を、4℃にて2時間インキュベートし、そして0.22μmで無菌的に濾過した。製剤5中のrhBMP−2の濃度は0.571mg/mLであり、そしてポリマー1のそれは28.6mg/mLであった。
製剤6:1.47mg/mLのrhBMP−2溶液175μLと、60.0mg/mLのポリマー1溶液1224μLとを混合することにより、製剤5と同様に製造した。滅菌水を添加することにより、製剤6の容量を1800μLとした。製剤6中のrhBMP−2の濃度は0.14mg/mLであり、ポリマー1のそれは40.8mg/mLであった。
製剤7:1.46mg/mLのrhBMP−2溶液26.5μLを、60.0mg/mLのポリマー1溶液321.7μLと混合することにより、製剤5と同様に製造した。製剤の容量を、滅菌水を添加することにより772μLとした。製剤7中のrhBMP−2の濃度は0.05mg/mLであり、ポリマー1のそれは25mg/mLであった。
【0093】
実施例13:塩化カルシウムを含有するヒアルロン酸ナトリウムゲルの製造
ゲル1:滅菌水10.62mLを、50mLファルコンチューブ(Falcon tube)に入れた。0.44gのヒアルロン酸ナトリウム(ファルマ グレード80(Pharma grade),紀文フードケミファ社)を、ボルテックスにて激しく攪拌しながら添加した。その後、さらに攪拌しながら、0.14gの塩化カルシウムをヒアルロン酸ナトリウムゲルに添加した。ゲル中の塩化カルシウムの濃度は13.1mg/mLであった。
【0094】
実施例14:rhBMP−2/ポリマー1複合体及び塩化カルシウムを含有するヒアルロン酸ナトリウムゲルの製造
ゲル2:1230μLの製剤5を、10mL滅菌シリンジ中に移した。13.1mg/mLの濃度の塩化カルシウムを含有する4%ヒアルロン酸ナトリウムゲル1の5.8mLを、10mL滅菌シリンジに移した。2つのシリンジを併せることによって、製剤5の溶液を、ゲル1に添加し、そして、一方のシリンジから他方へと数回通すことによって、得られたゲルを均質化した。得られた不透明色のゲルを、50mLファルコンチューブに移した。ゲル2中のrhBMP−2の濃度は0.10mg/mLであり、ポリマー1のそれは5.0mg/mLであった。
200μLのゲル2を、移植部位に注入した。移植されたrhBMP−2の投与量は、20μgであった。
【0095】
実施例15:rhBMP−2/ポリマー1複合体及び塩化カルシウムを含有するヒアルロン酸ナトリウムゲルの製造
ゲル3:このゲルは、製剤6の1697μL及び15.8mg/mLの濃度の塩化カルシウムを含有する4%ヒアルロン酸ナトリウムゲルの8mLを用いて、実施例13に記載されるとおりに製造された。ゲル3中のrhBMP−2の濃度は0.025mg/mLであり、ポリマー1のそれは7.14mg/mLであった。
200μLのゲル3を、移植部位に注入した。移植されたrhBMP−2の投与量は、5μgであった。
【0096】
実施例16:
rhBMP−2/ポリマー1複合体及び塩化カルシウムを含有するアルギン酸ナトリウムゲルの製造
ゲル4:このゲルは、製剤7の772μL及び40mg/mLのアルギン酸ナトリウムゲルの386μLを用いて製造された。45.5mg/mLの塩化カルシウム溶液の40μLを、rhBMP−2/ポリマー1複合体を含有するアルギン酸ナトリウムゲルの60μLに添加した。ゲル4中のrhBMP−2の濃度は0.02mg/mLであり、ポリマー1のそれは10.0mg/mLであった。
100μLのゲル4を移植部位に注入した。移植されたrhBMP−2の投与量は2μgであった。
【0097】
実施例17:rhBMP−2/ポリマー1複合体及び塩化カルシウムを含有するアルギン酸ナトリウムゲルを含有するコラーゲンインプラントの製造
インプラント6:ゲル5を、製剤7の645μL及び40mg/mLのアルギン酸ナトリウムゲルの323μLを用いて製造した。rhBMP−2/ポリマー1複合体を含有するアルギン酸ナトリウムゲルの60μLを、ヘリシュタット型の無菌の200mm架橋コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences,Plainsboro,ニュージャージー)中に添加した。45.5mg/mLの塩化カルシウム溶液の40μLをも、このスポンジに添加した。30分間の接触時間の後、スポンジを凍結し、そして凍結乾燥した。このスポンジを、ラットに直接に移植した。
インプラント1中のrhBMP−2の投与量は2μgであり、ポリマー1のそれは1mgであった。
【0098】
実施例18:種々の製剤の骨誘導性能の評価
骨誘導性能を、実施例11に記載のプロトコルに従い評価した。
結果:
この生体外実験は、ラット背面部の筋肉に置いたrhBMP−2の骨形成効果を測定することを可能にしている。この骨でない部位を、異所性であるという。種々の実験結果を以下の表に概略する。

【0099】
コラーゲンスポンジ中のrhBMP−2の2μgの投与量(インプラント1)は、21日後に外植片を見出すことができるほどの十分な骨誘導性能を有していなかった。
コラーゲンスポンジ中のBMP−2の20μgの投与量(インプラント2)によって、21日後に38mgの平均質量を有する骨化された外植片が得られた。
20μgの同じBMP−2投与量について、塩化カルシウムの存在下でrhBMP−2/ポリマー1複合体を含有するヒアルロン酸ナトリウムゲル(ゲル2)は、rhBMP−2の骨形成活性を高めることができた。ゲル2を用いて得られた外植片の平均質量は、rhBMP−2を単独で20μg含有するコラーゲンインプラント(インプラント8)を用いて得られた外植片のそれよりも、およそ6倍大きかった、
4倍低いrhBMP−2、即ち5μgのrhBMP−2投与量については、ヒアルロン酸ナトリウムゲル(ゲル3)中のCaClの存在下のrhBMP−2/ポリマー1複合体は、9倍大きい質量を有し、rhBMP−2を単独で20μg含有するコラーゲンインプラント(インプラント8)を用いて得られた外植片と同等の骨スコアを有する骨化外植片を生じさせることができた。この新規製剤は、BMP−2投与量を大きく低減させると同時に、かかるタンパク質の骨形成活性を維持することを可能にした。
10倍低いrhBMP−2投与量については、塩化カルシウムを含有するアルギン酸ナトリウムゲル(ゲル4)中のrhBMP−2/ポリマー1複合体は、rhBMP−2を単独で20μg含有するコラーゲンインプラント(インプラント8)を用いて得られたものよりも、僅かに大きい質量を有する外植片を生じることを可能にした。この新規製剤は、rhBMP−2投与量を大きく低減させると同時に、かかるタンパク質の骨形成活性を維持することを可能にした。
rhBMP−2/ポリマー1複合体を含有するアルギン酸ゲルはまた、骨細胞の成長の支持体として補助するコラーゲンスポンジに配置し得る。この場合にまた、2μgのrhBMP−2(インプラント6)が、rhBMP−2を単独で20μg含有するコラーゲンインプラント(インプラント8)を用いて得られたものよりも大きい質量を有する骨化外植片を得ることを可能にした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の骨形成成長因子、1種の可溶性の少なくとも2価のカチオン塩、及び1種の有機支持体
を含有する骨形成組成物から構成されるオープンインプラントであって、前記有機支持体は脱塩された骨マトリックスを含んでいない、オープンインプラント。
【請求項2】
前記支持体は、有機マトリックス及び/又はヒドロゲル形成ポリマーから構成されることを特徴とする、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記有機マトリックスは、架橋されたヒドロゲル及び/又はコラーゲンから構成されたマトリックスであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記マトリックスは、滅菌された、好ましくは架橋された、精製された天然コラーゲンを基剤としたマトリックスより選択されることを特徴とする、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項5】
架橋されていても又は架橋されていなくとも良い前記ヒドロゲル形成ポリマーは、エチレングリコール/乳酸コポリマー、エチレングリコール/グリコール酸コポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリビニル酸、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸からなる合成ポリマー群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項6】
架橋されいても又は架橋されていなくとも良い前記ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、ケラタン、プルラン、ペクチン、デキストラン、セルロース及びセルロース誘導体、アルギン酸、キサンタン、カラギーナン、キトサン、コンドロイチン、コラーゲン、ゼラチン、ポリリシン及びフィブリン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなる天然ポリマー群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記天然ポリマーは、ヒアルロン酸、アルギン酸、デキストラン、プルラン、ペクチン、セルロース及びその誘導体、キサンタン、カラギーナン、キトサン及びコンドロイチン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択されることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記天然ポリマーは、ヒアルロン酸及びアルギン酸、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択されることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント。
【請求項9】
前記組成物は、凍結乾燥物の形態にあることを特徴とする、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記骨形成成長因子は、治療効果のあるBMP(骨形成タンパク質)群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記骨形成成長因子は、BMP−2(ジボテルミンα(dibotermin−alfa))、BMP−4、BMP−7(エプトテルミンα(eptotermin−alfa))、BMP−14及びGDF−5からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記骨形成タンパク質は、BMP−2(ジボテルミンα)であることを特徴とする、請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記骨形成タンパク質は、GDF−5であることを特徴とする、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項14】
PDGF、VEGF及びFGFからなる群より選択される血管形成成長因子をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし13のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項15】
少なくとも2価のカチオンは、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛カチオンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項16】
可溶性の2価のカチオン塩はカルシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択されることを特徴とする、請求項1ないし15のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項17】
前記可溶性の2価のカチオン塩は、塩化カルシウムであることを特徴とする、請求項1ないし16のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項18】
前記少なくとも2価のカチオンは、鉄、アルミニウムのカチオンからなる群より選択される多価カチオン、或いは、ポリリシン、スペルミン及びフィブリンより選択されるカチオン性ポリマー、それら単独又は組み合わせであることを特徴とする、請求項1ないし15のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項19】
両親媒性多糖類は、疎水性誘導体によって官能化された多糖類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし18のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項20】
両親媒性多糖類は、下記の一般式I:

[式中、
多糖類は、大部分が(1,4)及び/又は(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合からなり、
Fは、リンカーアームRと、中性又はアニオン性多糖類の官能基−OHとの間のカップリング由来のものであって、エステル官能基、チオエステル官能基、アミド官能基、カーボネート官能基、カルバメート官能基、エーテル官能基、チオエーテル官能基又はアミン官能基のいずれかを表し、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N及び/又はSのような1つ以上のヘテロ原子を含有し、そして少なくとも1つの酸官能基を有する、枝分れ状であっても、及び/又は不飽和であってもよい鎖を表し、
Trpは、トリプトファン誘導体のアミンと、R基により保有される少なくとも1つの酸及び/又はアニオン性多糖類により保有される少なくとも1つの酸との間のカップリングから生じるL−又はD−トリプトファン誘導体の残基を表し、
nは、Trp置換されたRのモル分率であって、0.05ないし0.7であり、
oは、Trp置換された多糖類の酸官能基のモル分率であって、0.05ないし0.7であり、
iは、糖単位当りのR基により保有される酸官能基のモル分率であって、0ないし2であり、
jは、糖単位当りのアニオン性多糖類により保有される酸官能基のモル分率であって、0ないし1であり、
(i+j)は、糖単位当りの酸官能基のモル分率であって、0.1ないし2であり、
RがTrpにより置換されていない場合、R基の酸(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン(群)であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属のカチオンであり、
前記多糖類がアニオン性多糖類である場合、多糖類の1つ以上の酸官能基(群)がTrpにより置換されておらず、その場合にそれ(それら)はカチオンにより塩化されており、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
前記多糖類は、中性pHにて両親媒性である。]
に対応する少なくとも1種のトリプトファン誘導体により官能化された、大部分が(1,4)、(1,3)及び/又は(1,2)型のグリコシド結合を含有するアニオン性多糖類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし19のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項21】
前記両親媒性多糖類は、下記の一般式III

[式中、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N又はSのような1つ以上のヘテロ原子を含有し、そして少なくとも1つの酸官能基を有する、枝分れ状であってもよく、及び/又は不飽和であってもよい鎖を表し、
Fは、リンカーアームRと、中性の又はアニオン性の多糖類の官能基−OHとの間のカップリング由来のものであって、エステル官能基、チオエステル官能基、アミド官能基、カーボネート官能基、カルバメート官能基、エーテル官能基、チオエーテル官能基又はアミン官能基のいずれかを表し、
AAは、アミノ酸のアミンと、R基により保有される酸との間のカップリングから生じる疎水性のL−又はD−アミノ酸残基を表し、前記疎水性のアミノ酸は、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド及び2−インドールエチルアミンのようなトリプトファン誘導体、及びそれらのアルカリ金属カチオン塩より選択されるか、或いは、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン、及びそのアルコール、アミド又は脱炭酸誘導体より選択され、
tは、グリコシド単位当りのF−R−[AA]n置換基のモル分率であって、0.1ないし2であり、
pは、AAにより置換されたR基のモル分率であって、0.05ないし1であり、
RがAAにより置換されていない場合、R基の酸(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン群であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンであり、
前記デキストランは、中性pHにて両親媒性である。]
で表される官能化されたアニオン性多糖類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし20のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項22】
前記両親媒性多糖類は、一般式IX:

[式中、
qは、F−R−G−Ahで置換された多糖類のカルボキシル官能基のモル分率を表し、0.01ないし0.7であり、
F’は、アミド官能基を表し、
Gは、エステル官能基、チオエステル官能基、カルボネート官能基又はカルバメート官能基のいずれかを表し、
Rは、1ないし18個の炭素原子を含有し、O、N又はSのような1つ以上のヘテロ原子を含有していてもよく、そして少なくとも1つの酸官能基を有する、枝分れ状であってもよく、及び/又は不飽和であってもよい鎖を表し、
Ahは、疎水性アルコールのヒドロキシル官能基と、R基により保有される少なくとも1つの求電子性官能基との間のカップリングから生じる、疎水性アルコールの残基を表し、
多糖類のカルボキシル官能基がF’−R−G−Ahにより置換されていない場合、多糖類のカルボキシル官能基(群)は、カルボン酸カチオン又はカルボン酸カチオン(群)であって、前記カチオンは、好ましくはNa又はKのようなアルカリ金属カチオンを表し、
前記カルボキシル官能基を有する多糖類は、中性pHにて両親媒性である。]
で表される疎水性アルコールにより一部が置換されたカルボキシル官能基を含有する多糖類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし21のうちいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項23】
少なくとも、下記の段階:
a)骨形成成長因子を含有する溶液を生成する段階、
b)有機マトリックス及び/又はヒドロゲル形成ポリマーを生成する段階、
c)前記成長因子を含有する溶液を前記有機マトリックスに及び/又は前記ヒドロゲルに添加し、そして所望により混合物を均質化する段階、
d)可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液を、c)において得られたインプラントに添加する段階、
e)所望により、d)段階において得られたインプラントの凍結乾燥を行う段階
を含む、本発明のインプラントの製造方法。
【請求項24】
前記有機マトリックスは、架橋されたヒドロゲル及び/又はコラーゲンからなるマトリックスであることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記マトリックスは、滅菌された、好ましくは架橋された、精製された天然コラーゲンを基剤としたマトリックスより選択されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
架橋されていても又は架橋されていなくとも良い前記ヒドロゲル形成ポリマーは、エチレングリコール/乳酸コポリマー、エチレングリコール/グリコール酸コポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリビニル酸、ポリアクリルアミド及びポリアクリル酸からなる合成ポリマー群より選択されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
架橋されていても又は架橋されていなくとも良い前記ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒアルロン酸、ケラタン、ペクチン、デキストラン、セルロース及びセルロース誘導体、アルギン酸、キサンタン、カラギーナン、キトサン、コンドロイチン、コラーゲン、ゼラチン、ポリリシン及びフィブリン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなる天然ポリマー群より選択されることを特徴とする、請求項23ないし26のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記天然ポリマーは、ヒアルロン酸、アルギン酸、デキストラン、ペクチン、セルロース及びその誘導体、プルラン、キサンタン、カラギーナン、キトサン及びコンドロイチン、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記天然ポリマーは、ヒアルロン酸及びアルギン酸、並びに生物学的に許容され得るそれらの塩からなるヒドロゲル形成多糖類群より選択されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記可溶性の少なくとも2価のカチオン塩の溶液は、2価のカチオン溶液であることを特徴とする、請求項23ないし29のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記可溶性の2価のカチオン塩はマグネシウム塩であり、その対イオンは、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記可溶性の2価のカチオン塩は、塩化物塩、D−グルコン酸塩、ギ酸塩、D−サッカラート、酢酸塩、L−乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ソルビン酸塩、重炭酸塩、臭化物塩又はアスコルビン酸塩より選択されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
d)段階において、前記可溶性の2価のカチオン塩は、塩化カルシウムであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
a)段階において、骨形成成長因子以外の溶液がさらに提供されることを特徴とする、請求項23ないし35のうちいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519292(P2011−519292A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504554(P2011−504554)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005235
【国際公開番号】WO2009/127940
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(508090088)
【Fターム(参考)】