説明

戸袋付き引戸ユニット

【課題】戸袋内の引戸走行案内部の点検を作業性良く行なうことができる戸袋付き引戸ユニットを提供する。
【解決手段】戸枠1内の戸袋領域に、複数本の縦材11と横材12を組合わせた骨組み体からなる戸袋壁本体10を戸枠1に固定して配置し、その戸袋壁本体10の外面を、戸枠1に設けられた溝部22に縁部を嵌込んで着脱可能に支持させた戸袋壁表面パネル24により覆うとともに、この戸袋壁表面パネル24を、戸袋壁本体10の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けた方立材28により戸袋口側から押え固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸袋付き引戸ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建屋内の隣合う室間や室と廊下との間の壁構造の開口内に設けられる戸袋付き引戸ユニットとしては、従来、特許文献1及び2に記載されている構成のものがある。
【特許文献1】特開2001−207750号公報
【特許文献2】特開2001−303870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の戸袋付き引戸ユニットは、その戸袋壁の取外しが面倒であり、そのために、戸袋内の引戸走行案内部の点検に手間がかかるという問題をもっている。
【0004】
この発明は、戸袋内の引戸走行案内部の点検を作業性良く行なうことができる戸袋付き引戸ユニットを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の戸袋付き引戸ユニットは、左右一対の縦枠材と鴨居材及び敷居材とを互いに連結して組立てられ、建屋内の壁構造の開口内に据付けられる戸枠と、前記戸枠内に設けられ、前記鴨居材の下面と前記敷居材の上面の少なくとも一方に設けられた走行案内部に沿って走行する引戸と、複数本の縦材と横材を組合わせた骨組み体からなり、前記戸枠内の戸袋領域に、前記戸枠に固定して配置される戸袋壁本体と、前記戸袋壁本体の外面を覆って配置され、前記戸枠に設けられた溝部に縁部を嵌込んで着脱可能に支持される戸袋壁表面パネルと、前記戸袋壁本体の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けられ、前記戸袋壁表面パネルを前記戸袋口側から押え固定する方立材とからなることを特徴とする。
【0006】
この戸袋付き引戸ユニットにおいて、前記戸袋壁本体は、前記骨組み体の少なくとも一方の面に、その上端側と下端側の部分を除いて補強板を固定したものが望ましい。
【0007】
また、この戸袋付き引戸ユニットにおいては、前記戸袋壁表面パネルを、前記戸袋壁本体の上端側と下端側のうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応するパネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域に対応する少なくとも1枚のパネル板とに分割し、前記戸袋壁本体の外面に、前記各パネル板の境界部に対応させて、上下に前記各パネル板の互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝を有する目地部材を設けるのが望ましい。
【0008】
その場合、前記戸袋壁表面パネルは、前記戸袋壁本体の上端側の領域に対応する上パネル板と、前記戸袋壁本体の下端側の領域に対応する下パネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域の複数段の領域にそれぞれ対応する複数枚の中間パネル板とに分割し、前記戸袋壁本体の外面に、前記上パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記下パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記複数枚の中間パネル板同士の境界部とにそれぞれ対応させて目地部材を設けのが好ましい。
【0009】
さらに、この戸袋付き引戸ユニットにおいては、前記目地部材に、壁掛け物を支持する壁掛け具を着脱可能に掛止するための壁掛け具掛止部を設けるのが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明の戸袋付き引戸ユニットは、戸枠内の戸袋領域に、複数本の縦材と横材を組合わせた骨組み体からなる戸袋壁本体を前記戸枠に固定して配置し、前記戸袋壁本体の外面を、前記戸枠に設けられた溝部に縁部を嵌込んで着脱可能に支持させた戸袋壁表面パネルにより覆うとともに、この戸袋壁表面パネルを、前記戸袋壁本体の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けた方立材により前記戸袋口側から押え固定したものであるため、前記戸袋壁本体から前記方立材を取外すことにより、前記戸袋壁表面パネルを簡単に取外すことができる。
【0011】
そして、前記戸袋壁本体は、複数本の縦材と横材を組合わせた骨組み体であるため、この戸袋壁本体を前記戸枠内に固定したまま、その縦材及び横材の間の空間から戸袋内の引戸走行案内部を点検することができる。
【0012】
したがって、この戸袋付き引戸ユニットによれば、戸袋内の引戸走行案内部の点検を作業性良く行なうことができる。
【0013】
この戸袋付き引戸ユニットにおいて、前記戸袋壁本体は、前記骨組み体の少なくとも一方の面に、その上端側と下端側の部分を除いて補強板を固定したものが望ましく、このようにすることにより、前記戸袋壁本体の強度を高くするとともに、前記戸袋内の引戸走行案内部を、前記縦材及び横材の間の空間から点検することができる。
【0014】
また、この戸袋付き引戸ユニットにおいては、前記戸袋壁表面パネルを、前記戸袋壁本体の上端側と下端側のうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応するパネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域に対応する少なくとも1枚のパネル板とに分割し、前記戸袋壁本体の外面に、前記各パネル板の境界部に対応させて、上下に前記各パネル板の互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝を有する目地部材を設けるのが望ましく、このようにすることにより、前記分割された各パネル板を、前記戸枠の溝部と前記目地部材のパネル板嵌込み溝とに支持させて配置するとともに、前記戸袋内の引戸走行案内部の点検を、前記分割された各パネル板のうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応するパネル板を取外すだけで簡単に行なうことができる。
【0015】
その場合、前記戸袋壁表面パネルは、前記戸袋壁本体の上端側の領域に対応する上パネル板と、前記戸袋壁本体の下端側の領域に対応する下パネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域の複数段の領域にそれぞれ対応する複数枚の中間パネル板とに分割し、前記戸袋壁本体の外面に、前記上パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記下パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記複数枚の中間パネル板同士の境界部とにそれぞれ対応させて目地部材を設けるのが好ましく、このようにすることにより、良好な外観の戸袋壁を構成することができる。
【0016】
さらに、この戸袋付き引戸ユニットにおいては、前記目地部材に、壁掛け物を支持する壁掛け具を着脱可能に掛止するための壁掛け具掛止部を設けるのが望ましく、このようにすることにより、前記戸袋壁に、飾り棚等の壁掛け物を支持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図8はこの発明の一実施例を示しており、図1は戸袋付き引戸ユニットの正面図、図2及び図3は図1のII−II線及びIII−III線に沿う拡大断面図、図4及び図5は前記戸袋付き引戸ユニットの戸枠の鴨居材及び敷居材の拡大平面図、図6は前記戸袋付き引戸ユニットの戸袋壁本体の正面図、図7は図6のVII−VII線に沿う拡大断面図である。
【0018】
この戸袋付き引戸ユニットは、図1〜図3に示したように、建屋内の隣合う室間または室と廊下等との間の壁構造Aの開口内に据付けられる戸枠1と、前記戸枠1内に設けられる引戸8と、前記戸枠1内の戸袋領域に、前記戸枠1に固定して配置される戸袋壁本体10と、前記戸袋壁本体10の外面を覆って配置され、前記戸枠1に設けられた溝部22,23に縁部を嵌込んで着脱可能に支持される戸袋壁表面パネル24と、前記戸袋壁本体10の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けられ、前記戸袋壁表面パネル24を前記戸袋口側から押え固定する方立材28とからなっている。
【0019】
なお、この実施例の戸袋付き引戸ユニットは、前記壁構造Aの一方の壁面側の開口部を前記戸枠1の外形に対応する形状に形成し、他方の壁面側の開口部を出入口幅に対応する幅に形成した戸枠据付け開口内に、前記一方の壁面側から据付けられるものであり、前記戸枠1内の戸袋領域の前後面の一方は、前記壁構造Aの他方の壁面部により覆われる。
【0020】
そのため、この実施例の戸袋付き引戸ユニットでは、その戸袋の一方の面側(壁構造Aの一方の壁面側)の戸袋壁を、前記戸袋壁本体10と戸袋壁表面パネル24とにより構成している。
【0021】
前記戸袋付き引戸ユニットの戸枠1は、左右一対の縦枠材2,3と鴨居材4及び敷居材5とを互いに連結して組立てられた木製の矩形状枠であり、縦枠材2,3のうち、出入口側の縦枠材2は、前記建屋内の壁構造Aの壁厚と略同じ幅の板材からなり、戸袋領域側の縦枠材3は、前記壁構造Aの一方の壁面側の開口部の深さ(壁構造Aの一方の壁面から他方の壁面部の前記戸袋領域を覆う部分の内面までの距離)と略同じ幅の板材からなっている。
【0022】
また、鴨居材4と敷居材5は、図4及び図5に示したように、前記出入口に対応する部分を出入口側の縦枠材2と略同じ幅に形成し、前記戸袋領域に対応する部分を、前記壁構造Aの他方の壁面部側を切欠して前記戸袋領域側の縦枠材3と略同じ幅に形成した板材からなっている。
【0023】
前記戸枠1は、建屋内の壁構造Aの開口内に、前記敷居材5の上面高さを室または廊下等の床面Bに一致されて配置され、前記壁構造Aに釘止めまたはボルト止めされて前記開口内に据付けられる。
【0024】
さらに、この実施例では、前記鴨居材4の下面に、その全長にわたる長さの戸吊レール6を設けて引戸8の走行案内部を構成し、前記出入口側の縦枠材2aの戸枠1内側の面に、戸当り部材7を設けている。
【0025】
前記引戸8は、その上端に車輪9を備えており、前記車輪9を戸吊レール6に支持させて戸枠1内に設けられ、前記戸吊レール6からなる走行案内部に沿って戸枠1内を走行する。
【0026】
また、前記戸袋壁本体10は、複数本の縦材11と横材12を図6のように組合わせた木製の骨組み体からなっており、この骨組み体の両面に、その上端側と下端側の部分を除いて、合板からなる補強板13が固定されている。
【0027】
この戸袋壁本体10は、例えば、3本の縦材11を等間隔に配置し、前記縦材11の高さ方向に間隔をおいて複数段に複数本(この実施例では7本)の横材12を設けたものであり、最も下の横材(以下、下横材という)12は、その下面を左右の縦材11の下端に一致させて設けられ、最も上の横材(以下、上横材という)12は、縦材11の上端よりもある程度下方に設けられている。
【0028】
また、前記下横材12以外の各横材12は等間隔に設けられており、下横材12と下から2つ目の横材12との間隔と、縦材11の上端と上から2つ目の横材12との間の距離はそれぞれ、下横材12以外の各横材12の間隔の約2倍に設定されている。
【0029】
そして、前記補強板13は、前記骨組み体の上から2つ目の横材12よりも上端側と、下から2つ目の横材12よりも下端側の部分を除く領域に、補強板上下縁を、前記上から2つ目の横材12の上縁と下から2つ目の横材12の下縁とにそれぞれ対応させて設けられ、その領域の各縦材11及び横材12に、釘または木ネジあるいは接着により固定されている。
【0030】
また、前記戸袋壁表面パネル24は、表面を化粧塗装するか、あるいは表面に化粧フィルムまたは壁紙等を貼付けた合板または樹脂板あるいは金属板からなっている。
【0031】
この戸袋壁表面パネル24は、前記戸袋壁本体10の上から2つ目の横材12よりも上端側の領域に対応する上パネル板24aと、前記戸袋壁本体10の下から2つ目の横材12よりも下端側の領域に対応する下パネル板24bと、前記戸袋壁本体10の他の領域の各横材12間の複数段の領域にそれぞれ対応する同一幅の複数枚(この実施例では4枚)の中間パネル板24cとに分割されており、前記戸袋壁本体10の外面(室内または廊下等に対向する面)には、前記上パネル板24aとそれに隣接する中間パネル板24cとの境界部と、前記下パネル板24bとそれに隣接する中間パネル板24cとの境界部と、複数枚の中間パネル板24c同士の境界部とにそれぞれ対応させて、前記各パネル板24a,24b,24cの互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持する横長の目地部材16が設けられている。
【0032】
前記目地部材16は、図7に示した断面形状の金属製または樹脂製形材からなっており、その上下に、前記各パネル板24a,24b,24cの互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝17が全長にわたって形成されるとともに、前面に、飾り棚等の壁掛け物を支持する壁掛け具30を着脱可能に掛止するための壁掛け具掛止部18が全長にわたって設けられている。
【0033】
なお、前記壁掛け具掛止部18は、目地部材16の前面から凹入し、目地部材16内に向かって斜め上方に傾斜する断面形状の溝部からなっており、壁掛け具30は、例えば飾り棚支持部30aの基端に前記目地部材16の壁掛け具掛止部18に挿入されてその掛止部18にスライド可能に掛止される掛止部嵌合部30bを設け、前記壁掛け物支持部の下側に、前記戸袋壁表面パネル24の目地部材16下のパネル板24b,24cの前面に当接する支え部30cを設けた金属または樹脂部材からなっている。
【0034】
また、前記目地部材16の基部にはフランジ部19が形成されており、この目地部材16は、前記戸袋壁本体10の外面に、前記補強板13の後側に位置する各横材12にそれぞれ対応させて配置され、前記フランジ部19を前記補強板13に当接させて、木ネジにより前記補強板13及びその後側の横材12に固定されている。
【0035】
そして、前記戸袋壁本体10は、前記戸枠1内の戸袋領域に、各縦材11の上端と、最下段の横材12の下面及び左右の縦材11の下端とに形成した凸部14,15を、戸枠1の鴨居材4の戸袋領域に対応する部分の下面と、敷居材5の戸袋領域に対応する部分の上面とに設けた壁本体嵌合溝20,21にそれぞれ嵌込むとともに、前記戸枠1の戸袋領域側の縦枠材3に対向する側縁部を、前記縦枠材3の戸枠1内側の面に設けた溝部22に嵌入させて配置され、下横材12を戸枠1内の敷居材5または前記敷居材5と戸袋領域側の縦枠材3とに木ネジにより固定される。
【0036】
なお、前記戸袋領域側の縦枠材3の溝部22は、前記戸袋壁本体10の側縁部と、前記戸袋壁表面パネル24の各パネル板24a,24b,24cの端縁部の両方を嵌入させる幅に形成されている。
【0037】
また、前記鴨居材4及び敷居材5の壁本体嵌合溝20,21は、鴨居材4及び敷居材5の戸袋領域側の端縁から、戸袋壁本体10の左右方向の幅と戸袋領域側の縦枠材3の溝部22の深さとの合計長よりも若干大きい長さにわたって形成されており、さらに、前記鴨居材4の壁本体嵌合溝20は、戸袋壁本体10の下側の凸部15を敷居材5の壁本体嵌合溝21に嵌込んだときの前記戸袋壁本体10の上側の凸部14の上端位置よりも深く形成され、前記戸袋壁本体10の上側の凸部14は、前記壁本体嵌合溝20の深さよりも高く形成されている。
【0038】
したがって、前記戸袋壁本体10を、まずその上側の凸部14を鴨居材4の壁本体嵌合溝20に嵌込み、この戸袋壁本体10を持ち上げてその下側の凸部15を敷居材5の壁本体嵌合溝21に嵌込み、その後に、戸袋壁本体10を戸袋領域の内奥方向に押込んで、その側縁部を前記縦枠材3の溝部22に嵌入させる簡単な作業で戸枠1内に配置することができる。
【0039】
そして、前記戸袋壁表面パネル24は、その各パネル板24a,24b,24cのうち、上パネル板24aを、戸枠1の鴨居材4の戸袋領域に対応する部分の下面に設けたパネル板嵌込み用溝部23と戸袋壁本体10の最上段の目地部材16の上側のパネル板嵌込み溝17とにパネル板上下縁を嵌込むとともに、戸袋領域側の縦枠材3に設けた前記溝部22にパネル板端縁を嵌込んで取付け、下パネル板24bを、戸袋壁本体10の最下段の目地部材16の下側のパネル板嵌込み溝17にパネル板上縁を嵌込み、戸枠1の敷居材5の戸袋領域の上面に前記戸袋壁本体10の外面に沿わせて固定したパネル受け材25上に貼付けた高反発ウレタン等の高反発弾性材26にパネル板下縁を支持させるとともに、パネル板下縁を支持させるとともに、前記縦枠材3の溝部22にパネル板端縁を嵌込んで取付け、複数枚の中間パネル板24cをそれぞれ、戸袋壁本体10の各段の目地部材16のパネル板嵌込み溝17にパネル板上下縁を嵌込むとともに、前記縦枠材3の溝部22にパネル板端縁を嵌込んで取付けることにより、前記戸袋壁本体10の外面全体を覆って配置される。
【0040】
なお、前記鴨居材4のパネル板嵌込み用溝部23は、鴨居材4の戸袋領域側の端縁から、前記パネル板24a,24b,24cの長さと戸袋領域側の縦枠材3の溝部22の深さとの合計長よりも若干大きい長さにわたって、前記上パネル板24aの下縁を最上段の目地部材16のパネル板嵌込み溝17に嵌込んだときのパネル板上縁位置よりも深く形成されている。
【0041】
したがって、前記上パネル板24aを、まずその上縁を鴨居材4のパネル板嵌込み用溝部23に嵌込み、この上パネル板24aを持ち上げてその下縁を最上段の目地部材16のパネル板嵌込み溝17に嵌込み、その後に、上パネル板24aを戸袋領域の内奥方向に押込んで、その端縁を前記縦枠材3の溝部22に嵌入させる簡単な作業で取付けることができる。
【0042】
また、前記下パネル板24bは、その下縁を前記パネル受け材25上の高反発弾性材26に当接させ、この下パネル板24bを前記弾性材26を圧縮させて押し下げて、パネル板上縁を最下段の目地部材16のパネル板嵌込み溝17に嵌込み、その後に、下パネル板24bを戸袋領域の内奥方向に押込んで、その端縁を前記縦枠材3の溝部22に嵌入させる簡単な作業で取付けることができる。
【0043】
そして、この実施例では、前記下パネル板24bの下端側の外面と前記パネル受け材25及びその上の高反発弾性材26を下縁板27により覆い隠し、この下縁板27を前記パネル受け材25に木ネジにより着脱可能に取付けている。
【0044】
また、前記複数枚の中間パネル板24cはそれぞれ、その上縁と下縁の一端を、隣合う目地部材16のパネル板嵌込み溝17の端部に嵌込み、このパネル板24cを、前記パネル板嵌込み溝17により案内させて戸袋領域の内奥方向に押込んで、その端縁を前記縦枠材3の溝部22に嵌入させる簡単な作業で取付けることができる。
【0045】
一方、前記方立材28は、前記戸枠1の枠内高さと同じ高さを有しており、前記戸袋壁本体10の戸袋口側縦材11の出入口に対向する側面を覆って配置され、その縦材11に木ネジにより着脱可能に取付けられて前記戸袋壁表面パネル24の各パネル板24a,24b,25cを戸袋口側から押え固定している。
【0046】
また、この戸袋付き引戸ユニットは、前記戸袋壁本体10及び戸袋壁表面パネル24の配置側とは反対側の戸袋口に配置する第2の方立材29を備え、この第2の方立材29を、前記壁構造Aの出入口幅に対応する開口部を形成した壁部の前記出入口に対向する側面に木ネジにより取付けている。
【0047】
この戸袋付き引戸ユニットは、戸枠1内の戸袋領域に、複数本の縦材11と横材12を組合わせた骨組み体からなる戸袋壁本体10を前記戸枠に固定して配置し、前記戸袋壁本体10の外面を、前記戸枠1に設けられた溝部22,23に縁部を嵌込んで着脱可能に支持させた戸袋壁表面パネル24により覆うとともに、この戸袋壁表面パネル24を、前記戸袋壁本体10の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けた方立材28により前記戸袋口側から押え固定したものであるため、前記戸袋壁本体10から前記方立材28を取外すことにより、前記戸袋壁表面パネル24を簡単に取外すことができる。
【0048】
そして、前記戸袋壁本体10は、複数本の縦材11と横材12を組合わせた骨組み体であるため、この戸袋壁本体10を前記戸枠1内に固定したまま、その縦材11及び横材12の間の空間から、戸枠1内の引戸走行案内部(鴨居材4の下面に設けられた戸吊レール6の戸袋内の部分)を点検することができる。
【0049】
したがって、この戸袋付き引戸ユニットによれば、戸袋内の引戸走行案内部の点検を作業性良く行なうことができる。
【0050】
また、この戸袋付き引戸ユニットは、前記戸袋壁本体10を、前記骨組み体の両面に、その上端側(上から2つ目の横材12よりも上端側)と下端側(下から2つ目の横材12よりも下端側)の部分を除いて補強板13を固定した構成としているため、戸袋壁本体10の強度を高くするとともに、戸枠1内の引戸走行案内部を、前記戸袋壁本体10の上端側の空間から点検することができるとともに、引戸8と戸袋口の方立材28,29との隙間から戸袋1内に入り込んで敷居材5上に落ちた異物等の除去を前記戸袋壁本体10の下端側の空間から行なうことができる。
【0051】
なお、前記戸袋壁本体10の補強板13は、前記骨組み体の一方の面だけに設けてもよく、その場合は、戸袋壁本体10の外面側に補強板13を設けるのが好ましい。
【0052】
また、この戸袋付き引戸ユニットにおいては、戸袋壁表面パネル24を、戸袋壁本体10の上端側の領域に対応する上パネル板24aと、前記戸袋壁本体10の下端側の領域に対応する下パネル板24bと、前記戸袋壁本体10の他の領域の複数段の領域にそれぞれ対応する複数枚の中間パネル板24cとに分割し、前記戸袋壁本体10の外面に、前記上パネル板24aとそれに隣接する中間パネル板24cとの境界部と、前記下パネル板24bとそれに隣接する中間パネル板24cとの境界部と、前記複数枚の中間パネル板24c同士の境界部とにそれぞれ対応させて、上下に前記各パネル板24a,24b,24cの互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝を有する目地部材16を設けているため、前記分割された各パネル板24a,24b,24cを、前記戸枠1の溝部22,23と前記目地部材16のパネル板嵌込み溝17とに支持させて配置し、良好な外観の戸袋壁を構成することができるとともに、前記戸袋内の引戸走行案内部の点検を、前記分割された各パネル板24a,24b,24cのうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応する上パネル板24aを取外すことにより、さらに簡単に行なうことができる。
【0053】
さらに、この戸袋付き引戸ユニットは、前記目地部材16に、壁掛け物を支持する壁掛け具30を着脱可能に掛止するための壁掛け具掛止部18を設けているため、前記戸袋壁に、飾り棚等の壁掛け物を支持させることができる。
【0054】
図8は、前記戸袋付き引戸ユニットの壁掛け物支持例を示す正面図であり、この例では、前記目地部材16の壁掛け具掛止部18に、図7に示したような飾り棚支持部30aを有する2つの壁掛け具30を掛止し、これらの壁掛け具30の上に飾り棚31を支持させている。
【0055】
なお、前記目地部材16の壁掛け具掛止部18に掛止する壁掛け具30は、飾り棚31を支持するものに限らず、他の壁掛け物を支持するものでもよい。
【0056】
また、上記実施例では、戸袋壁表面パネル24を、上パネル板24aと下パネル板24bと複数枚の中間パネル板24cとに分割しているが、戸袋壁表面パネル24は、前記上パネル板24a及び下パネル板24bと1枚の中間パネル板24cとに分割してもよい。
【0057】
さらに、戸袋壁表面パネル24は、戸袋壁本体10の上端側と下端側のうち、引戸走行案内部側の領域に対応する上パネル板24aと、前記戸袋壁本体10の他の領域に対応するパネル板とに分割し、前記戸袋壁本体の外面に、前記各パネル板の境界部に対応させて前記目地部材16を設けてもよく、このようにすることにより、前記分割された各パネル板を、前記戸枠1の溝部22,23と前記目地部材16のパネル板嵌込み溝17とに支持させて配置するとともに、戸袋内の引戸走行案内部の点検を、前記分割された各パネル板のうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応する上パネル板24aを取外すだけで簡単に行なうことができる。
【0058】
なお、上記実施例では、戸袋壁表面パネル24の上パネル板24aを、戸袋壁本体10の上から2つ目の横材12よりも上端側の領域に対応する幅に形成しているが、前記上パネル板24aを、前記戸袋壁本体10の最も上の横材12よりも上端側の領域に対応する幅に形成し、前記戸袋壁本体10の最も上の横材12に対応する部分にも目地部材16を設けてもよく、その場合は、前記戸袋壁本体10の補強板13を、その上縁を前記骨組み体の上から2つ目の横材12に対応させて設けてもよい。
【0059】
なお、上記実施例の戸袋付き引戸ユニットは、戸枠1の鴨居材4の下面に、戸吊レール6からなる引戸走行案内部を設けたものであるが、この発明は、戸枠1の敷居材5の上面と鴨居材4の下面とに例えば引戸案内溝からなる引戸走行案内部を設けた戸袋付き引戸ユニットにも適用することができる。
【0060】
その場合は、戸袋壁表面パネル24を、戸袋壁本体10の上端側と下端側の両方の領域(引戸走行案内部側の領域)にそれぞれ対応する2枚パネル板と、前記戸袋壁本体10の他の領域に対応する少なくとも1枚のパネル板とに分割し、前記戸袋壁本体10の外面に、前記各パネル板の境界部に対応させて、上下に前記各パネル板の互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝17を有する目地部材16を設ければよく、このようにすることにより、前記分割された各パネル板を、戸枠1の溝部22,23と前記目地部材16のパネル板嵌込み溝17とに支持させて配置するとともに、戸袋内の引戸走行案内部の点検を、前記分割された各パネル板のうち、前記引戸走行案内部側の領域に対応する上下のパネル板を取外すだけで簡単に行なうことができる。
【0061】
また、戸袋壁表面パネル24は、その全体を1枚板としてもよく、その場合も、1枚板からなる戸袋壁表面パネルを、その縁部を戸枠1に設けられた溝部22,23に嵌込んで着脱可能に支持させ、この戸袋壁表面パネルを、戸袋壁本体10の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けた方立材28により前記戸袋口側から押え固定することにより、戸袋壁表面パネルを、前記方立材28を取外すことにより簡単に取外すことができるようにし、戸袋内の上下の引戸走行案内部の点検を作業性良く行なうことができる。
【0062】
さらに、上記実施例の戸袋付き引戸ユニットは、壁構造Aの一方の壁面側の開口部を戸枠1の外形に対応する形状に形成し、他方の壁面側の開口部を出入口幅に対応する幅に形成した戸枠据付け開口内に据付けられるものであるが、この発明は、壁構造Aの両方の壁面側の開口部を前記戸枠1の外形に対応する形状に形成した戸枠据付け開口内に据付けらる戸袋付き引戸ユニットにも適用することができ、その場合は、戸袋の一方の面側の戸袋壁を、戸袋壁本体10と戸袋壁表面パネル24とにより構成し、他方の面側の戸袋壁を、前記戸袋壁本体10と戸袋壁表面パネル24と同じ部材により構成するか、あるいは他の壁材により構成すればい。
【0063】
また、上記実施例の戸袋付き引戸ユニットは、1枚の引戸8を備えたものであるが、この発明は、互いに平行に設けた複数の走行案内部に沿って出入口と戸袋領域とに走行する複数枚の引戸を備えた戸袋付き引戸ユニットにも、また、戸枠の両端側に戸袋を設け、2枚の引戸の一方を一端側の戸袋に格納し、他方の引戸を他端側の戸袋に格納する両開き型の戸袋付き引戸ユニットにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の一実施例を示す戸袋付き引戸ユニットの正面図。
【図2】図1のII−II線に沿う拡大断面図。
【図3】図1のIII−III線に沿う拡大断面図。
【図4】戸枠の鴨居材の拡大平面図。
【図5】戸枠の敷居材の拡大平面図。
【図6】戸袋壁本体の正面図。
【図7】図6のVII−VII線に沿う拡大断面図。
【図8】戸袋付き引戸ユニットの壁掛け物支持例を示す正面図。
【符号の説明】
【0065】
1…戸枠、2,3…縦枠材、4…鴨居材、5…敷居材、6…戸吊レール(引戸走行案内部)、8…引戸、10…戸袋壁本体、11…縦材、12…横材、13…補強板、16…目地部材、17…パネル板嵌込み溝、18…壁掛け具掛止部、22,23…溝部、24…戸袋壁表面パネル、24a,24b,24c…パネル板、28…方立材、30…壁掛け具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の縦枠材と鴨居材及び敷居材とを互いに連結して組立てられ、建屋内の壁構造の開口内に据付けられる戸枠と、前記戸枠内に設けられ、前記鴨居材の下面と前記敷居材の上面の少なくとも一方に設けられた走行案内部に沿って走行する引戸と、複数本の縦材と横材を組合わせた骨組み体からなり、前記戸枠内の戸袋領域に、前記戸枠に固定して配置される戸袋壁本体と、前記戸袋壁本体の外面を覆って配置され、前記戸枠に設けられた溝部に縁部を嵌込んで着脱可能に支持される戸袋壁表面パネルと、前記戸袋壁本体の戸袋口側の縁部に着脱可能に取付けられ、前記戸袋壁表面パネルを前記戸袋口側から押え固定する方立材とからなることを特徴とする戸袋付き引戸ユニット。
【請求項2】
戸袋壁本体の骨組み体の少なくとも一方の面に、その上端側と下端側の部分を除いて補強板が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の戸袋付き引戸ユニット。
【請求項3】
戸袋壁表面パネルは、戸袋壁本体の上端側と下端側のうち、引戸走行案内部側の領域に対応するパネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域に対応する少なくとも1枚のパネル板とに分割されており、前記戸袋壁本体の外面に、前記各パネル板の境界部に対応させて、上下に前記各パネル板の互いに隣接する縁部をそれぞれ着脱可能に支持するパネル板嵌込み溝を有する目地部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の戸袋付き引戸ユニット。
【請求項4】
戸袋壁表面パネルは、戸袋壁本体の上端側の領域に対応する上パネル板と、前記戸袋壁本体の下端側の領域に対応する下パネル板と、前記戸袋壁本体の他の領域の複数段の領域にそれぞれ対応する複数枚の中間パネル板とに分割されており、前記戸袋壁本体の外面に、前記上パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記下パネル板とそれに隣接する中間パネル板との境界部と、前記複数枚の中間パネル板同士の境界部とにそれぞれ対応させて目地部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の戸袋付き引戸ユニット。
【請求項5】
目地部材に、壁掛け物を支持する壁掛け具を着脱可能に掛止するための壁掛け具掛止部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の戸袋付き引戸ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−31975(P2007−31975A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213247(P2005−213247)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000116541)阿部興業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】