説明

所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法及びシステム、及び該システムにおける使用のために構成された装置及びサーバ

所定の数の選択された装置3、5間に通信チャネル17を確立するための方法。該装置はそれぞれ自身の識別子を持つ。該通信チャネルの確立は、サーバ1を介したペアリングにより実行される。該装置はそれぞれ、ペアリング操作モード及び通信操作モードを持つ。該方法は、該装置のそれぞれを前記ペアリング操作モードに設定するステップと、ペアリング信号19a、19bの選択に同意するステップと、サーバ1に対して自身の識別子及び同意されたペアリング信号19aを送信した装置のそれぞれにおいて同意されたペアリング信号19aを選択するステップと、所定の時間間隔内に、サーバ1が、該所定の数の選択された装置よりも多い装置が同意されたペアリング信号19a、19bを送信したと決定した場合、該同意するステップ及び該選択するステップを繰り返し、サーバ1が、該所定の数の選択された装置のみがペアリング信号19a、19bの同一のシーケンスを送信したと決定するまで、次のペアリング信号が同意されるステップと、サーバ1により、該装置間に通信チャネル17を確立するステップと、該装置のそれぞれを該通信操作モードに設定するステップと、を有する。実現される通信チャネルは非常にセキュアである。システムは、サーバ1と所定の数の選択された装置3、5を有し、使用の間、第1の装置3と第2の装置5との間の通信チャネルは、本発明の方法によりサーバ1を介して確立される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法に関する。
【0002】
本発明は更に、所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するためのシステムに関する。本発明はまた、該システムにおける使用のために構成された装置及びサーバに関する。
【背景技術】
【0003】
サーバを介して2つの装置間で通信を確立するための既知の方法は、一意な識別子を用いることに基づいている。これら装置はそれぞれが、該一意な識別子を入力するためのタッチスクリーン又はキーボードを持つ。通信を確立するため、該2つの装置のそれぞれに同じ一意な識別子が入力され、これら2つの装置のそれぞれが該一意な識別子をサーバに送信する。該サーバが該2つの装置から該一意な識別子を受信すると、該サーバはこれら装置間に通信を確立する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
該既知の方法は、セキュリティの問題を持つ。該一意な識別子はタッチスクリーン又はキーボードを介して入力されるため、望ましくない第三者が該一意な識別子の入力を見て、該一意な識別子が損なわれるリスクがある。一度損なわれると、該一意な識別子は、これら2つの装置の一方を用いた望ましくない通信を確立するために第三者により使用され得る。
【0005】
本発明の目的は、上述したセキュリティの問題を解決する方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、本発明の一態様において、請求項1に記載の本発明による所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法によって、達成される。前記装置はそれぞれ自身の識別子を持つ。前記通信チャネルの確立はサーバを介したペアリングにより実行される。前記装置はそれぞれペアリング操作モード及び通信操作モードを持つ。前記方法は、
前記装置のそれぞれを前記ペアリング操作モードに設定するステップと、
ペアリング信号の選択に同意するステップと、
前記サーバに対して自身の識別子及び前記同意されたペアリング信号を送信した装置のそれぞれにおいて前記同意されたペアリング信号を選択するステップと、
所定の時間間隔内に、前記サーバが、前記所定の数の選択された装置よりも多い装置が前記同意されたペアリング信号を送信したと決定した場合、前記同意するステップ及び選択するステップを繰り返し、前記サーバが、前記所定の数の選択された装置のみがペアリング信号の同一のシーケンスを送信したと決定するまで、次のペアリング信号が同意されるステップと、
前記サーバにより、前記装置間に通信チャネルを確立するステップと、
前記装置のそれぞれを前記通信操作モードに設定するステップと、
を有する。
【0007】
既知の方法とは異なり、本発明による方法は、所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するために、以上に説明したような比較的貧弱なセキュリティしか提供しない単一の一意な識別子を使用しない。その代わりに、ペアリング信号が同意され、装置間で選択され、これら装置によりサーバへと送信される。該サーバは、所定の時間間隔で、当該ペアリング信号を、選択された装置のそれぞれから受信し、該サーバが、所定の数の装置が同意されたペアリング信号を送信したことを検出すると、該サーバは、これら装置間で接続が確立されるべきであると結論する。この場合、ペアリングは、単一のペアリング信号の後に完了する。次のペアリング信号の同意、及び装置におけるペアリング信号の選択及びサーバへの送信は、サーバが、所定の数の装置がペアリング信号の同一のシーケンスを送信したと決定するまで繰り返される。この場合、ペアリングは、連続的なペアリング信号のセットの後に完了する。従って、単一の一意な識別子を用いる代わりに、単一のペアリング信号又は連続的なペアリング信号のセットが同意され利用される。斯かるペアリング信号又は連続的なペアリング信号のセットは、所定の数の装置が通信チャネルを確立する度に異なり得る。なぜなら、ペアリング信号の選択は毎回、互いに独立して同意されるからである。本発明による方法は、連続的なペアリング信号のセットが可変であり、独立した同意を受けるため、非常にセキュアである。従って、実現される通信チャネルは非常にセキュアである。
【0008】
該サーバは、数あるなかでも、例えばマイクロプロセッサ又はパーソナルコンピュータのような、適切なソフトウェア即ちプログラムを実行する、電子プロセッサ装置として実装されても良い。
【0009】
好適な実施例によれば、所定の数の選択される装置は2つであり、即ち第1の装置及び第2の装置である。第1の装置は第1の識別子を持ち、第2の装置は第2の識別子を持つ。本発明による方法の当該変形例は、
前記第1の装置及び前記第2の装置を前記ペアリング操作モードに設定するステップと、
ペアリング信号の選択に同意するステップと、
前記サーバに対して自身の識別子及び前記ペアリング信号を送信した前記第1の装置において前記同意されたペアリング信号を選択し、前記サーバに対して自身の識別子及び前記ペアリング信号を送信した前記第2の装置において前記同意されたペアリング信号を選択するステップと、
所定の時間間隔内に、前記サーバが、2つよりも多い装置が前記同意されたペアリング信号を送信したと決定した場合、前記同意するステップ及び選択するステップを繰り返し、前記サーバが、2つの装置のみがペアリング信号の同一のシーケンスを送信したと決定するまで、次のペアリング信号が同意されるステップと、
前記サーバにより、前記第1の装置と前記第2の装置との間に通信チャネルを確立するステップと、
前記第1の装置及び前記第2の装置を前記通信操作モードに設定するステップと、
を有する。
【0010】
2つの装置間で通信チャネルを確立することと同様に、本方法は2つよりも多い装置間で通信チャネルを確立するためにも利用され得る。従ってサーバは、特定の所定の数の装置のペアリングをサポートするように適切に構成又はパラメータ化されるべきである。
【0011】
本発明による方法の一実施例は、ペアリング信号の選択に対する同意は、直接の通信チャネルを介して実行されるという特徴を持つ。例えば、該直接の通信チャネルは、電話又はeメールの通信チャネルであっても良い。従って、これら装置のユーザは、ペアリング信号のシーケンスに同意するときには電話又は携帯電話を使用することとなる。本実施例の利点は、ペアリング信号に対する同意が、装置が、例えば異なる部屋又は異なる建物にあるといったような、相互に異なる位置にある場合にも、実行され得る点である。
【0012】
直接の通信チャネルの他の例は興味深い。装置のユーザは例えば、ペアリング信号に同意するときに、市販されているインターネットチャットプログラムの1つを使用しても良い。
【0013】
本発明による方法の一実施例は、装置において選択されるべきペアリング信号がサーバにより提供されるという特徴を持つ。該サーバは、2つの装置のユーザにペアリング信号のセット(例えば4つの信号)を提供し、装置のユーザがその都度同意し、該同意されたペアリング信号を選択する。
【0014】
ペアリング信号のセットは、装置自体によって提供されても良い。ユーザは装置のそれぞれにおいてペアリング信号に同意し、該同意したペアリング信号を選択することが可能である必要があるため、ペアリング信号の提供されるセットは、全ての装置上で同一である必要がある。1つの可能性は、全ての装置がペアリング信号の同一の所定のセットを持つことである。
【0015】
本発明による方法の一実施例は、ペアリング信号が画像を表現するという特徴を持つ。例えば、装置のユーザは、サーバによって又は当該装置によって提供される4枚の画像の1つを選択するように提案される。ユーザは選択すべき画像に同意し、ユーザのそれぞれが当該ユーザが使用する装置において同一の画像を選択する。斯かる実施例の利点は、ユーザが容易に且つ明確に、装置上で選択されるべき画像に同意することができる点である。
【0016】
本発明の別の態様においては、前記した目的は、請求項7に記載されるシステムにより達成される。本発明によるシステムは、サーバ及び所定の数の選択された装置を有し、使用の間、本発明の方法により、該サーバを介して該選択された装置間に通信チャネルが確立される。本発明によるシステムは、本発明による方法の利点と同様の利点を持つ。
【0017】
本発明はまた、それぞれ請求項8及び9に記載の前記システムにおける使用のために構成された装置及びサーバに関する。
【0018】
以下、本発明及び更なる態様が、図面を使用して、例として記載され以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるシステムの実施例を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の好適な実施例の説明において、該実施例の一部を形成する添付図面に参照が為される。本発明が実施され得る特定の実施例は、例として以下の説明に示される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施例も利用され得、構造的な変更も為され得ることは理解されよう。幾つかの実施例において、同一又は類似する部分を示すために、同一の参照記号が使用されることに留意されたい。
【0021】
図1は、本発明によるシステムの実施例を模式的に示す。第1の装置3と第2の装置5との間に通信チャネル17を確立するため、該第1の装置を操作する第1のユーザ7は該第1の装置をペアリング操作モードに設定し、第2のユーザ9は該第2の装置をペアリング操作モードに設定する。これら装置は、数あるなかでも、画像プレイヤ、ビデオプレイヤ、チャット装置、音楽プレイヤ、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、スマートホン、携帯電話、又はこれらのいずれかの組み合わせであっても良い。これら装置は、通信チャネル17を確立した後、互いと情報及びコンテンツを交換又は共有することができる。サーバは、第1及び第2の装置の例えばタッチスクリーン又はキーボードのようなユーザインタフェースを介して、同一のペアリング信号19a、19bのセットをユーザ7、9に提供する。ユーザ7、9は、電話11、13を用いて互いに対して直接の電話接続15を確立し、どのペアリング信号を選択するかで同意する。ユーザ間の直接接続の他の例は、eメール、インターネットを介したチャット、等である。ユーザ7、9は、装置3、5において同意されたペアリング信号を選択し、これら装置が該ペアリング信号をサーバに送信する。該サーバは、所定の期間内でこれら入力を取得し、幾つの装置が該同意されたペアリング信号を送信するかをチェックする。2つの装置のみが検出された場合、ペアリング処理は終了し、サーバはこれら2つの装置3、5間に通信チャネルを確立する。2つよりも多い装置がサーバにより検出された場合、該サーバは、それぞれ第1及び第2の装置のユーザインタフェースを介して、ユーザ7、9に対して、同一のペアリング信号19a、19bの新たなセットを提供する。同一の選択されたペアリング信号を伴う2つの装置のみが残るまで、上述のステップが繰り返される。該サーバは次いで、これらの装置間に通信が確立されるべきであると結論し、該サーバはこれら2つの装置間に通信チャネルを確立する。通信チャネルが確立されると、セキュアな通信が実現され、装置3、5は、例えばテキストメッセージ、画像、ビデオ、音楽等のような情報及びコンテンツを、互いと安全に交換又は共有することができる。
【0022】
本発明は図面及び以上の記述において説明され記載されたが、斯かる説明及び記載は説明するもの又は例示的なものであって、限定するものではないとみなされるべきであり、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0023】
1 サーバ
3 第1の装置
5 第2の装置
7 第1のユーザ
9 第2のユーザ
11 第1の電話
13 第2の電話
15 直接の通信チャネル
17 通信チャネル
19 ペアリング信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法であって、前記装置はそれぞれ自身の識別子を持ち、前記通信チャネルの確立はサーバを介したペアリングにより実行され、前記装置はそれぞれペアリング操作モード及び通信操作モードを持ち、前記方法は、
前記装置のそれぞれを前記ペアリング操作モードに設定するステップと、
ペアリング信号の選択に同意するステップと、
前記サーバに対して自身の識別子及び前記同意されたペアリング信号を送信した装置のそれぞれにおいて前記同意されたペアリング信号を選択するステップと、
所定の時間間隔内に、前記サーバが、前記所定の数の選択された装置よりも多い装置が前記同意されたペアリング信号を送信したと決定した場合、前記同意するステップ及び選択するステップを繰り返し、前記サーバが、前記所定の数の選択された装置のみがペアリング信号の同一のシーケンスを送信したと決定するまで、次のペアリング信号が同意されるステップと、
前記サーバにより、前記装置間に通信チャネルを確立するステップと、
前記装置のそれぞれを前記通信操作モードに設定するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記選択された装置の前記所定の数は2である、請求項1に記載の所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法。
【請求項3】
前記ペアリング信号の選択に対する同意は、直接の通信チャネルを介して実行される、請求項1又は2に記載の所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法
【請求項4】
前記直接の通信チャネルは、電話又はeメールの通信チャネルを有する、請求項3に記載の所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法
【請求項5】
前記装置において選択される前記ペアリング信号は、前記サーバにより提供される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法
【請求項6】
前記ペアリング信号は画像を表現する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の所定の数の選択された装置間に通信チャネルを確立するための方法
【請求項7】
サーバ及び所定の数の選択された装置を有するシステムであって、使用の間、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法によって、前記サーバを介して前記選択された装置間に通信チャネルが確立されるシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおける、前記選択された装置の1つとしての使用のために構成された装置。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムにおける使用のために構成されたサーバ。

【図1】
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【公表番号】特表2013−517731(P2013−517731A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549446(P2012−549446)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050187
【国際公開番号】WO2011/089543
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】