説明

扁平型電池およびその電池を用いた組電池

【課題】 接合後の電極タブの剛性を向上させる。
【解決手段】 扁平型電池(10)の本体からその長さ方向に引き出されている電極タブ(6、7)には、長さ方向に対して交差する幅方向に伸延し長さ方向に沿う折り曲げ線(8A、8B、9A、9B)から扁平型電池の厚み方向に折り曲げることができ、隣接する扁平型電池の電極タブと接合される折曲接合部が(6A、6B、7A、7B)設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合後の電極タブの剛性を向上させることができる構造の扁平型電池およびその電池を用いた組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりを受けて、自動車の動力源を、化石燃料を利用するエンジンから電気エネルギーを利用するモータに移行しようとする動きがある。このため、モータの電力源となる電池の技術も急速に発展しつつある。
【0003】
自動車には、小型軽量で、大きな電力を頻繁に充放電可能な、耐震動性、放熱性に優れた電池の搭載が望まれる。この要望を受けて、近年では、下記特許文献1に示されているような、扁平形の単電池を多数直列に接続してなる組電池が開発されている。
【特許文献1】特開2004−31162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組電池を製造する場合、その生産性を向上させるためには、扁平型電池の電極タブ同士の電気的な接合を、溶接によって行うことが望ましい。
【0005】
ところが、電極タブは非常に薄い金属板であるために、溶接後であっても剛性が高いとは言えず、組電池が車両に搭載されたときには、相互に接合された電極タブが振動し、これが電極タブ同士の接合信頼性を低下させると共に組電池の寿命に悪影響を与えるという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような従来の問題点を解消するために成されたものであり、接合後の電極タブの剛性を向上させることができる構造の扁平型電池およびその電池を用いた組電池の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る扁平型電池は、扁平型電池の本体からその長さ方向に引き出されている電極タブには、当該長さ方向に対して交差する幅方向に伸延し前記長さ方向に沿う折り曲げ線から当該扁平型電池の厚み方向に折り曲げることができ、隣接する扁平型電池の電極タブと接合される折曲接合部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明に係る組電池は、本発明に係る扁平型電池をその厚み方向に積層してなる組電池であって、積層方向に隣接する扁平型電池同士は、それぞれの折曲接合部同士が接合されることによって電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成された本発明に係る扁平型電池によれば、電極タブに折曲接合部が設けられているので、折曲接合部を介して電極タブ同士を接合することで電極タブの剛性が増し、耐振動性を向上させることができる。
【0010】
また、以上のように構成された本発明に係る組電池によれば、扁平型電池同士の電気的な接続は折曲接合部を介して行われているので、折曲接合部によって電極タブの剛性が補強される。このため、組電池を車両に搭載した場合でも耐振動性に優れ、組電池の寿命を向上させることができる。
【0011】
さらに、組電池を製造する場合、2つの扁平型電池の折曲接合部同士の接合を電極タブの反引き出し方向から接合治具を差し込むことによって行えるので、接合の作業性と接合の信頼性を共に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る扁平型電池およびその電池を用いた組電池の実施の形態を、電極タブの形状の相違などに基づき実施の形態1〜5に分けて、それぞれ図面を参照しつつ詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係る扁平型電池の構成図であり、図1Aは扁平型電池の本体である発電要素およびそれから引き出されている電極タブを示す図、図1Bは扁平型電池の外観図である。
【0013】
本発明に係る扁平型電池10は、その長さ方向に引き出されている正極タブ6と負極タブ7とを露出させるようにして発電要素5をラミネートフィルム15で包み込み、発電要素5の周囲を熱融着接合し封止することによって作成される。扁平型電池10は、矩形状の扁平形積層二次電池であり、発電要素5は、正極板と負極板を順に積層した積層型の、例えば、特開2003−059486号公報に開示されているような構造を持つものである。本明細書では正極タブ6と負極タブ7の総称として電極タブという用語を用いている。
【0014】
正極タブ6はアルミニウム製の薄い板で構成され、負極タブ7は銅製の薄い板で構成されている。正極タブ6は、扁平型電池10の長さ方向に対して交差する両幅方向に伸延している折曲接合部6A、6Bを有し、また、負極タブ7は、扁平型電池10の長さ方向に対して交差する両幅方向に伸延している折曲接合部7A、7Bを有している。正極タブ6の折曲接合部6A、6Bは、扁平型電池10の長さ方向に沿う仮想的な折り曲げ線8A、8Bを境に扁平型電池10の厚み方向に折り曲げることができるようになっており、負極タブ7の折曲接合部7A、7Bは、扁平型電池10の厚み方向に沿う仮想的な折り曲げ線9A、9Bを境に扁平型電池10の厚み方向に折り曲げることができるようになっている。折り曲げられた折曲接合部6A、6B、7A、7Bは、この扁平型電池10に積層される他の扁平型電池の折曲接合部と超音波接合によって接合される。
【0015】
図2は、図1に示した扁平型電池10の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。本実施の形態では、扁平型電池10の正極タブ6の折曲接合部6A、6Bを折り曲げ線8A、8Bを境に山折り(図示上方向)し、負極タブ7の折曲接合部7A、7Bを折り曲げ線9A、9Bを境に谷折り(図示下方向)している。
【0016】
図3は、図2のようにして折曲接合部を折り曲げた複数の扁平型電池100A〜100Dを積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。図2に示した扁平型電池10を積層する場合、まず、最下層に位置される扁平型電池100Aをその正極タブ106の折曲接合部106A、106Bが上向きになるようにして正極タブ106を手前側に向けて配置し、その上に積層される扁平型電池100Bをその負極タブ107の折曲接合部107A、107Bが下向きになるようにして負極タブ107を手前側に向けて配置する。なお、最下層の扁平型電池100Aの負極タブ107には折曲接合部は設けていない。そして、扁平型電池100Bの上に扁平型電池100Cをその正極タブ106の折曲接合部106A、106Bが上向きになるようにして正極タブ106を手前側に向けて配置し、最後に、最上層に位置されることになる扁平型電池100Dをその負極タブ107の折曲接合部107A、107Bが下向きになるようにして負極タブ107を手前側に向けて配置する。なお、最上層の扁平型電池100Dの正極タブ106には折曲接合部は設けていない。以上のように4枚の扁平型電池を配置することによって4枚の扁平型電池が直列に接続される電池積層体が形成される。
【0017】
4枚の扁平型電池100A〜100D、すなわち電池積層体を以上のように配置して、それぞれの、正極タブ106の折曲接合部106A、106Bと負極タブ107の折曲接合部107A、107Bとを重ね合わせると、2枚の扁平型電池の電極タブが図4に示すように接触することになる。
【0018】
図4は、扁平型電池100Aと100Bにおける電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。扁平型電池100Aの正極タブ106と扁平型電池100Bの負極タブ107は、折曲接合部106B、107Aと折曲接合部106A、107Bそれぞれが接合されることによって接続される。本実施の形態では、折曲接合部106Bと107A、および、折曲接合部106Aと107Bの接合を超音波接合機で行っている。
【0019】
折極接続部同士を超音波接合する場合には、図5および図6に示すように、電池積層体(図では扁平型電池100A、100Bしか記載されていないが)を超音波接合機のアンビル750上に配置し、正極タブ106と負極タブ107とで形成される隙間110(図4参照)から接合治具であるホーン755を指し込み、ホーン755で折曲接合部106A、107Bをアンビル750に押し付け、その状態でホーン755を図6の矢印で示す方向に振動させ、折曲接合部106Aと107Bとを超音波接合する。次に、ホーン755を指し込み直し、ホーン755で折曲接合部106B、107Aをアンビル750に押し付け、折曲接合部106Bと107Aとを超音波接合する。このように、1箇所の接合に2回の超音波接合を施し、4枚の扁平型電池を接合するために合計3箇所の接合が行われる。
【0020】
このように、本実施の形態に係る扁平型電池によれば、電極タブに折曲接合部を設けているので、扁平型電池を積層したときに電極タブ間に隙間が形成されることになり、その隙間から超音波接合機のホーンを差し込んで、折曲接合部を接合させることができるので、従来のように電極タブを両側から挟みこんで超音波接合するのに比較して、扁平型電池を開く(積層されている扁平型電池間にホーンを差し込まなければならないため)作業が不要になる分、接合の作業性が向上し、また接合も確実に行うことができるので、接合信頼性も向上する。
【0021】
また、本実施の形態に係る扁平型電池および組電池は、電極タブ同士が折曲接合部を介して接続されることになるので、扁平型電池の長さ方向から見た接合後の電極タブ形状は図4に示すようにロ字形状となるため、電極タブの剛性が折曲接合部によって補強されることになり、電極タブの対振動性が向上して、耐振動性に優れた、電池の寿命の長い組電池を構成することができる。
【0022】
以上のようにして扁平型電池同士を接合すると、4枚の扁平型電池が電気的に直列に接続された電池積層体が形成される。図7に示すように、その電池積層体150の上にヒートシンク200を積層し、さらにその上に電池積層体150、ヒートシンク200、電池積層体150を積層し、最後にこの積層体の両側からヒートシンク250、300で挟むと、組電池ユニット400が形成される。なお、組電池ユニット400を構成するすべての扁平型電池は電気的に直列に接続されている。ヒートシンク250、300は、その4隅が加圧力調整機能付きの保持手段410A〜410Dで固定される。したがって、ヒートシンク250、300で挟まれている電池積層体150は所定の加圧力を受けた状態でしっかりと固定される。
【0023】
図7に示す組電池ユニット400をさらに2段重ねて組電池ユニット450を形成し(図8参照)、そしてこの組電池ユニット450を図8に示すように4列並列に並べ、その全体をその上下から保持板500、550で挟んで固定すると組電池600が形成される。
【0024】
図9は、組電池600の電気的な接続状態を示す図である。組電池ユニット450は組電池ユニット400が2個直列に接続されることによって構成される。組電池ユニット450は、扁平型電池100が24枚直列に接続されることによって構成される。隣接する組電池ユニット450とは接続手段460、470、480によって直列に接続される。したがって、組電池ユニット600は96枚の扁平型電池100が直列に接続されることになり、電力端子490Aと490Bとの間で高電圧を得ることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、実施の形態1とは異なる形態の扁平型電池およびその電池を用いた組電池に関する。
【0025】
本実施の形態では、図10に示すように、扁平型電池30の正極タブ26の折曲接合部26Aを折り曲げ線28Aを境に山折りし、折曲接合部26Bを折り曲げ線28Bを境に谷折りし、負極タブ27の折曲接合部27Aを折り曲げ線29Aを境に谷折りし、折曲接合部27Bを折り曲げ線29Bを境に山折りしている。
【0026】
図11は、図10のようにして折曲接合部を折り曲げた複数の扁平型電池130A〜130Dを積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。図10に示した扁平型電池30を積層する場合、まず、最下層に位置される扁平型電池130Aをその正極タブ126の折曲接合部126Aが上向きになるようにして、およびその負極タブ127の折曲接合部127Aが上向きになるようにして、正極タブ126を手前側に向けて配置し、その上に積層される扁平型電池130Bをその負極タブ127の折曲接合部127Aが上向きに、127Bが下向きに、および正極タブ126の折曲接合部126Bが上向きに、126Aが下向きになるようにして、負極タブ127を手前側に向けて配置する。なお、最下層の扁平型電池130Aの正極タブ126と負極タブ127には片側しか折曲接合部を設けていない。そして、扁平型電池130Bの上に扁平型電池130Cをその正極タブ126の折曲接合部126Aが上向きに、126Bが下向きに、および負極タブ127の折曲接合部127Aが下向きに、127Bが上向きになるようにして、正極タブ126を手前側に向けて配置し、最後に、最上層に位置されることになる扁平型電池130Dをその負極タブ127の折曲接合部127Bが下向きになるようにして、およびその正極タブ126の折曲接合部126Aが下向きになるようにして、負極タブ127を手前側に向けて配置する。なお、最上層の扁平型電池130Dの正極タブ126と負極タブ127には扁平型電池130Aと同様に片側しか折曲接合部を設けていない。以上のように4枚の扁平型電池を配置することによって電池積層体が形成される。
【0027】
4枚の扁平型電池130A〜130D、すなわち電池積層体を以上のように配置して、それぞれの、正極タブ126の折曲接合部126A、126Bと負極タブ127の折曲接合部127A、127Bとを重ね合わせると、2枚の扁平型電池の電極タブが図12に示すように接触することになる。
【0028】
図12は、扁平型電池130A〜130Dにおける電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。扁平型電池130Aの正極タブ126と扁平型電池130Bの負極タブ127は、折曲接合部126Aと折曲接合部127Bとが接合されることによって接続される。扁平型電池130Bの負極タブ127と扁平型電池130Cの正極タブ126は、折曲接合部127Aと折曲接合部126Bとが接合されることによって接続される。さらに、扁平型電池130Cの正極タブ126と扁平型電池130Dの負極タブ127は、折曲接合部126Aと折曲接合部127Bとが接合されることによって接続される。本実施の形態でも、それぞれの折曲接合部同士の接合を超音波接合機で行っている。
【0029】
本実施の形態に係る扁平型電池および組電池は、電極タブ同士が折曲接合部を介して接続されることになるので、扁平型電池の長さ方向から見た接合後の電極タブ形状は図12に示すように連続したコ字形状となるため、電極タブの剛性が折曲接合部によって補強されることになり、電極タブの対振動性が向上して、耐振動性に優れた、電池の寿命の長い組電池を構成することができる。もちろん実施の形態1と同様に、接合の作業性と接合信頼性が向上する。
【0030】
本実施の形態に係る組電池も実施の形態1と同一の手順で作成されるのでその詳細な説明は省略する。
[実施の形態3]
本実施の形態では、図13に示すように、扁平型電池40の正極タブ36の折曲接合部36Aを折り曲げ線38Aを境に山折りし、負極タブ37の折曲接合部37Aを折り曲げ線39Aを境に谷折りしている。
【0031】
図14は、図13のようにして折曲接合部を折り曲げた複数の扁平型電池140A〜140Dを積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。図13に示した扁平型電池40を積層する場合、まず、最下層に位置される扁平型電池140Aをその正極タブ136の折曲接合部136Aが上向きになるようにして正極タブ136を手前側に向けて配置し、その上に積層される扁平型電池140Bをその負極タブ137の折曲接合部137Aが下向きに、正極タブ136の折曲接合部136Aが上向きになるようにして、負極タブ137を手前側に向けて配置する。なお、最下層の扁平型電池140Aの負極タブ137には折曲接合部を設けていない。そして、扁平型電池140Bの上に扁平型電池140Cをその正極タブ136の折曲接合部136Aが上向きに、負極タブ137の折曲接合部137Aが下向きになるようにして、正極タブ136を手前側に向けて配置し、最後に、最上層に位置されることになる扁平型電池140Dをその負極タブ137の折曲接合部137Aが下向きになるようにして、負極タブ137を手前側に向けて配置する。なお、最上層の扁平型電池140Dの正極タブ136には扁平型電池140Aと同様に折曲接合部を設けていない。以上のように4枚の扁平型電池を配置することによって電池積層体が形成される。
【0032】
4枚の扁平型電池140A〜140D、すなわち電池積層体を以上のように配置して、それぞれの、正極タブ136の折曲接合部136Aと負極タブ137の折曲接合部137Aとを重ね合わせると、2枚の扁平型電池の電極タブが図15に示すように接触することになる。
【0033】
図15は、扁平型電池140A〜140Dにおける電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
扁平型電池140Aの正極タブ136と扁平型電池140Bの負極タブ137は、折曲接合部136Aと折曲接合部137Aとが接合されることによって接続される。扁平型電池140Bの正極タブ126と扁平型電池140Cの負極タブ127は、図で示されているのと反対側において、折曲接合部136Aと折曲接合部137Aとが接合されることによって接続される。さらに、扁平型電池140Cの正極タブ136と扁平型電池140Dの負極タブ137は、折曲接合部136Aと折曲接合部137Aとが接合されることによって接続される。本実施の形態でも、それぞれの折曲接合部同士の接合を超音波接合機で行っている。
【0034】
本実施の形態に係る扁平型電池および組電池は、電極タブ同士が折曲接合部を介して接続されることになるので、扁平型電池の長さ方向から見た接合後の電極タブ形状は図15に示すようにコ字形状となるため、電極タブの剛性が折曲接合部によって補強されることになり、電極タブの対振動性が向上して、耐振動性に優れた、電池の寿命の長い組電池を構成することができる。もちろん実施の形態1と同様に、接合の作業性と接合信頼性が向上する。
【0035】
本実施の形態に係る組電池も実施の形態1と同一の手順で作成されるのでその詳細な説明は省略する。
[実施の形態4]
本実施の形態では、図16に示すように、扁平型電池50の正極タブ46の折曲接合部46A、46Bを折り曲げ線48A、48Bを境に山折りし、および負極タブ47の折曲接合部47A、47Bを折り曲げ線49A、49Bを境に山折りしている。
【0036】
図17は、図16のようにして折曲接合部を折り曲げた扁平型電池150A、150Bを積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。図16に示した扁平型電池50を積層する場合、まず、扁平型電池150Aをその正極タブ146の折曲接合部146A、146Bが上向きになるようにし、また、その負極タブ147の折曲接合部147A、147Bが上向きになるようにして正極タブ146を手前側に向けて配置し、その上に積層される扁平型電池150Bをその負極タブ147の折曲接合部147A、147Bが下向きになるようにし、またその正極タブ146の折曲接合部146A、146Bが下向きになるようにして負極タブ147を手前側に向けて配置する。以上のように2枚の扁平型電池を配置し、さらに同じように配置された2枚の扁平型電池をその上に配置することによって4枚の扁平型電池が直列に接続される電池積層体が形成される。
【0037】
4枚の扁平型電池150A〜150D、すなわち電池積層体を以上のように配置して、それぞれの、正極タブ146の折曲接合部146A、146Bと負極タブ147の折曲接合部147A、147Bとを重ね合わせると、2枚の扁平型電池の電極タブが図18に示すように接触することになる。
【0038】
図18は、扁平型電池150A〜150Dにおける電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。扁平型電池150Aの正極タブ146と扁平型電池150Bの負極タブ147は、折曲接合部146A、147Aと折曲接合部146B、147Bとがそれぞれが接合されることによって接続される。また、扁平型電池150Cの正極タブ146と扁平型電池150Dの負極タブ147は、折曲接合部146A、147Aと折曲接合部146B、147Bとがそれぞれが接合されることによって接続される。本実施の形態でも、折曲接合部146A、147Aと折曲接合部146B、147Bとの接合を超音波接合機で行っている。
【0039】
本実施の形態に係る扁平型電池および組電池は、電極タブ同士が折曲接合部を介して接続されることになるので、扁平型電池の長さ方向から見た接合後の電極タブ形状は図18に示すようにロ字形状となるため、電極タブの剛性が折曲接合部によって補強されることになり、電極タブの対振動性が向上して、耐振動性に優れた、電池の寿命の長い組電池を構成することができる。もちろん実施の形態1と同様に、接合の作業性と接合信頼性が向上する。
【0040】
本実施の形態に係る組電池も実施の形態1と同一の手順で作成されるのでその詳細な説明は省略する。
[実施の形態5]
本実施の形態では、図19に示すように、扁平型電池60の正極タブ56の折曲接合部56Aを折り曲げ線58Aを境に山折りし、負極タブ57の折曲接合部57Aを折り曲げ線59Aを境に谷折りしている。
【0041】
図20は、図19のようにして折曲接合部を折り曲げた扁平型電池160A、160Bを積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。図19に示した扁平型電池60を積層する場合、扁平型電池160Aをその正極タブ156の折曲接合部156Aが上向きになるようにし、また、負極タブ157の折曲接合部157Aが上向きになるようにして正極タブ156を手前側に向けて配置し、その上に積層される扁平型電池160Bをその負極タブ157の折曲接合部157Aが下向きに、正極タブ156の折曲接合部156Aが下向きになるようにして、負極タブ157を手前側に向けて配置する。以上のように2枚の扁平型電池を配置し、さらに同じように配置された2枚の扁平型電池をその上に配置することによって4枚の扁平型電池が直列に接続される電池積層体が形成される。
【0042】
4枚の扁平型電池140A〜140D、すなわち電池積層体を以上のように配置して、それぞれの、正極タブ156の折曲接合部156Aと負極タブ157の折曲接合部157Aとを重ね合わせると、2枚の扁平型電池の電極タブが図21に示すように接触することになる。
【0043】
図21は、扁平型電池160A、160Bにおける電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。扁平型電池160Aの正極タブ156と扁平型電池160Bの負極タブ157は、折曲接合部156Aと折曲接合部157Aとが接合されることによって接続される。本実施の形態でも、それぞれの折曲接合部同士の接合を超音波接合機で行っている。
【0044】
本実施の形態に係る扁平型電池および組電池は、電極タブ同士が折曲接合部を介して接続されることになるので、扁平型電池の長さ方向から見た接合後の電極タブ形状は図21に示すようにコ字形状となるため、電極タブの剛性が折曲接合部によって補強されることになり、電極タブの対振動性が向上して、耐振動性に優れた、電池の寿命の長い組電池を構成することができる。もちろん実施の形態1と同様に、接合の作業性と接合信頼性が向上する。
【0045】
本実施の形態に係る組電池も実施の形態1と同一の手順で作成されるのでその詳細な説明は省略する。
【0046】
図22〜図24は、上記の実施の形態1〜5とは異なる形態の扁平型電池を示す図である。
図22に示してある扁平型電池70は、その正極タブ66の折曲接合部66Aを折り曲げ線68Aを境に山折りし、折曲接合部66Bを折り曲げ線68Bを境に山折りしているものである。なお、負極タブ67には折り曲げ接合部を設けていない。また、図23に示してある扁平型電池80は、その正極タブ76の折曲接合部76Aを折り曲げ線78Aを境に山折りしているものである。なお、負極タブ77には折り曲げ接合部を設けていない。さらに、図24に示してある扁平型電池90は、その正極タブ86の折曲接合部86Aを折り曲げ線88Aを境に山折りし、折曲接合部86Bを折り曲げ線88Bを境に山折りし、その負極タブ87の折曲接合部87Aを折り曲げ線89Aを境に山折りし、折曲接合部87Bを折り曲げ線89Bを境に山折りしているものである。これらのような形態の扁平型電池70も複数積層することによって実施の形態1〜5と同様に組電池を構成することができる。
【0047】
なお、以上の実施の形態では、扁平型電池を直接積層するものについて説明したが、板状フレームに扁平型電池を積載し、これを積層することによって組電池を構成するものにもついても、本発明は適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、組電池における電極タブ部分の剛性の向上と生産性の向上を図ることができるので、車両に搭載される動力用の電池の分野において適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る扁平型電池の構成図であり、図1Aは扁平型電池の発電要素およびそれから引き出されている電極タブを示す図であり、図1Bは扁平型電池の外観図である。
【図2】図1に示した扁平型電池の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。
【図3】複数の扁平型電池を積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。
【図4】扁平型電池における電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
【図5】電極タブ同士の超音波接合の説明に供する図である。
【図6】電極タブ同士の超音波接合の説明に供する図である。
【図7】組電池ユニットの概略構成図である。
【図8】組電池の概略構成図である。
【図9】組電池の電気的な接続状態を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る扁平型電池の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。
【図11】複数の扁平型電池を積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。
【図12】扁平型電池における電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
【図13】実施の形態3に係る扁平型電池の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。
【図14】複数の扁平型電池を積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。
【図15】扁平型電池における電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
【図16】実施の形態4に係る扁平型電池の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。
【図17】複数の扁平型電池を積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。
【図18】扁平型電池における電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
【図19】実施の形態5に係る扁平型電池の電極タブを折り曲げた状態を示す図である。
【図20】複数の扁平型電池を積層して組電池を構成する場合の積層方法の説明に供する図である。
【図21】扁平型電池における電極タブの接触状態を扁平型電池の長さ方向から見た図である。
【図22】実施の形態1〜5とは異なる形態の扁平型電池を示す図である。
【図23】実施の形態1〜5とは異なる形態の扁平型電池を示す図である。
【図24】実施の形態1〜5とは異なる形態の扁平型電池を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
5 発電要素
6 正極タブ
6A、6B 折曲接合部
7A、7B 折曲接合部
7 負極タブ
8A、8B 折り曲げ線
9A、9B 折り曲げ線
10 扁平型電池
15 ラミネートフィルム
110 隙間
150 電池積層体
200 ヒートシンク
250 ヒートシンク
400 組電池ユニット
410A〜410D 保持手段
450 組電池ユニット
460 接続手段
500、550 保持板
600 組電池
600 組電池ユニット
750 アンビル
755 ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平型電池の本体からその長さ方向に引き出されている電極タブには、当該長さ方向に対して交差する幅方向に伸延し前記長さ方向に沿う折り曲げ線から当該扁平型電池の厚み方向に折り曲げることができ、隣接する扁平型電池の電極タブと接合される折曲接合部が設けられていることを特徴とする扁平型電池。
【請求項2】
前記折曲接合部は、前記電極タブの幅方向の少なくとも一方側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の扁平型電池。
【請求項3】
前記折曲接合部は、前記折り曲げ線から前記扁平型電池の厚み方向に山折または谷折されていることを特徴とする請求項1に記載の扁平型電池。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の扁平型電池をその厚み方向に積層してなる組電池であって、
積層方向に隣接する扁平型電池同士は、それぞれの折曲接合部同士が接合されることによって電気的に接続されていることを特徴とする組電池。
【請求項5】
前記折曲接合部同士が接合されることによって前記折曲接合部は前記電極タブの補強手段として機能することを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記接合は、接合治具を前記折曲接合部によって形成される電極タブ同士の隙間から差し込むことによって行われることを特徴とする請求項4に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−19075(P2006−19075A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193911(P2004−193911)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】