説明

扁平形電池缶の分離供給装置

【課題】搬送コンベア上に隙間無く連なった状態で搬送されている強磁性材料からなる扁平形電池缶4を傷や打痕なく電池組立設備に必要なピッチを開き設備内へと高速に供給することを目的としている。
【解決手段】扁平形電池缶4が相互に長辺同士が接触する隙間のない状態で連なって短辺方向に搬送される搬送コンベア1aの両端に、扁平形電池缶4の円弧部分を受け入れる複数個の凹部をその外周に等間隔で設けた二個同期間欠動作をする星形割出盤5aと、同期駆動運転する扁平形電池缶4のピッチを開き電池組立設備本体へと扁平形電池缶4を搬送するための突起部を有するアタッチメントコンベア7と、歯付ベルトと扁平形電池缶供給部の間に設置された本体駆動同期可動式電池当て板からなる電池組立設備へ一個ずつピッチを開き供給する扁平形電池缶4の分離供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送コンベア上に隙間無く連なった状態で搬送されている扁平形電池缶を、連続的にあるいは間欠的に回転する電池製造用の各種自動機へ一個ずつに分離し隣接する電池缶の干渉を排除し、傷や打痕なく安定して供給するための扁平形電池缶の分離供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信機器の市場規模拡大・低コスト化によりリチウムイオン二次電池の生産設備も高速化、高生産性が求められる傾向にある。生産設備の高速化を図ると電池缶同士又は電池缶と設備間の摩擦が大きくなることにより傷や打痕の発生頻度が高くなる傾向にある。
【0003】
特に扁平形電池缶を用いた電池は形状的な特徴から、電池缶の側面のフラット部分が強度面において不利なため、扁平形電池缶同士の接触、または扁平形電池缶と設備部品との接触により打痕が発生しやすく、またこのフラット部分では面接触をするため摩擦による傷も発生しやすい。更に、形状に方向性があるため整列搬送が困難で、外観上の品質を維持しながら高速で生産することが大きな課題となっていた。
【0004】
一般に製造工程が分断された場合、工程間の製品の搬送はスペース効率の高い搬送形態や供給形態が選択されるため、電池缶同士は密着状態でトレー詰めされた状態で供給される。そこで、外観品質を維持しながら高速で生産することを目的として、図6に示したように、偏平な物品62を横倒し状態で搬送する手段の搬出側に設けられた略弧状の搬送姿勢変換装置61を有し、その搬送路に沿って移動することにより前記物品62の搬送姿勢が起立状態に変換され、その搬送姿勢変換装置61の搬出側の下方に配置され、起立状態の前記物品62を搬送する星型割出盤63、搬送装置64、コンベア手段65、受け板部材66とを備えた物品起立供給装置において、搬送姿勢変換装置61を通過した物品62は、その曲面に沿って移動することにより、自動的に起立状態に変換されて搬出される。
【0005】
そして、搬出された起立状態の物品62は、星型割出盤63に当接しその回転にともない星型割出盤63の凹所にて物品の側面を支持しながら起立状態を維持しつつ徐々に下降移動する。その搬出直後に受け板部材66の天面上に移載される。次いで、受け渡し手段を構成するコンベア手段65は、下方傾斜状となっているため前進するにつれて受け板部材66の天面の位置も徐々に下降移動する。これにより、載置された物品62も徐々に下降移動する。
【0006】
そして、係る前進・下降移動が続くと、受け板部材66は次段の搬送装置64の搬送面よりも下方に位置するため、起立状態での物品62の下方部位は搬送装置64の搬送面に当接し、受け板部材66の天面より離反する。よって、以後搬送手装置64からの搬送力を受け、起立状態を維持したまま搬送される。そして、係る搬送装置64側への移載時にも受け板部材66が搬送面の下方に移動するだけであるので、とくに大きな衝撃が物品62に加わることはなく、起立状態を維持したままスムーズに移載させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−144554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術の特許文献1では搬送姿勢変換装置61内にある物品
62が垂直方向に積み重なる構造となっており、積み重なった物品62の自重が供給される直前の物品に掛かりその負荷と摩擦により物品62に傷や打痕を与え又は摩擦により金属粉の発生、製品内への金属紛の混入、開口部の変形を招き正常な品質を確保できないという課題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、搬送コンベア上に隙間無く連なった状態で搬送されている扁平形電池缶を傷や打痕なく、電池組立設備に必要なピッチを開き前記組立設備内へと供給することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の扁平形電池缶の分離供給装置は、両端が円弧形状をした扁平形電池缶を電池組立設備に供給する扁平形電池缶の分離供給装置であって、扁平形電池缶が相互に長辺同士が接触する隙間のない状態で連なって短辺方向に連続動作にて搬送される搬送コンベアと、搬送コンベアの終端付近の両端に設置された二個のストッパと、連続で回転し扁平形電池缶のピッチを開き電池組立設備本体へと扁平形電池缶を搬送するための突起部を有するアタッチメントコンベアを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の扁平形電池缶の分離供給装置によると、扁平形電池缶は搬送コンベア上を後方の扁平形電池缶からの圧力により倒れることなく前後の扁平形電池缶と密着した状態で星形割出盤まで到着し、この星形割出盤の凹部によって本体駆動と同期を取った間欠動作により一個ずつアタッチメントコンベア側へ供給されていき、その後アタッチメントコンベアの電池受面寸前に配置された当て板により一時的に受け止められアタッチメントコンベアの歯が回転し、電池に接触する寸前に当て板を開放しアタッチメントコンベアへ受け渡しが完了する。
【0011】
この一連の動作により扁平形電池缶が後方からの圧力を受けながらコンベアで切り出されたり、扁平形電池缶が静止した状態でアタッチメントコンベアと接触したりすることなく次工程の設備へと供給されていく。また星形割出盤自身と扁平形電池缶との接触により傷や打痕の発生の可能性があるため、星形割出盤を弾性体でライニングすることで金属同士の接触を避け外観品質を確保し、かつ摩擦による金属粉の発生を抑制し、金属異物の電池内への混入を防止する効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の発明においては、両端が円弧形状をした扁平形電池缶を電池組立設備に供給する扁平形電池缶の分離供給装置であって、扁平形電池缶が相互に長辺同士が接触する隙間のない状態で連なって短辺方向に連続動作にて搬送される搬送コンベアと、搬送コンベアの終端付近の両側に設置された二個のストッパと、連続で走行し扁平形電池缶のピッチを開き電池組立設備本体へと扁平形電池缶を搬送するための突起部を有するアタッチメントコンベアを具備したことにより設備本体へ一個ずつピッチを開き供給することが可能で、扁平形電池缶が密着状態で搬送されピッチ開きする過程において、傷や打痕の発生なく外観品質を確保したまま電池組立設備本体へ供給することができる。
【0013】
本発明の第2の発明においては、ストッパは搬送コンベアの終端付近の両側に配置され扁平形電池缶の円弧部分を受け入れる複数個の凹部をその外周に等間隔で設け、この二個のストッパが同期をとり間欠運転する回転ストッパの役割を持つ星型割出盤で構成することにより、扁平形電池缶を連続的に搬送し、衝撃を発生させず傷や打痕の発生なく外観品質を確保したまま電池組立設備へ供給することが出来る。
【0014】
本発明の第3の発明においては、星形割出盤は扁平形電池缶と接触する面全てに緩衝材として弾性体を有したことにより、搬送途中のふらつき、転倒を防止し、同時に扁平形電池缶の姿勢の不安定な状態を許容し星型割出盤の先端部分と扁平形電池缶との接触による打痕を防止する。
【0015】
本発明の第4の発明においては、ストッパは前記搬送コンベアの終端付近の両側に配置され扁平形電池缶の円弧部分を左右から保持するチャックシリンダで構成したことにより、傷や打痕の発生なく外観品質を確保したまま電池組立設備へ供給することができる。
【0016】
本発明の第5の発明においては、ストッパとアタッチメントコンベアの間に設置され前記ストッパとアタッチメントコンベアの間に設置され、扁平形電池缶とアタッチメントベルトとの接触を防止するための可動式の電池当て板を備えたことにより、回転中のアタッチメントベルトと扁平形電池缶との接触を防止し扁平形電池缶への傷や打痕、アタッチメントベルトの磨耗を防止することができる。
【0017】
本発明の第6の発明においては、搬送コンベアの搬送面に扁平形電池缶を自立させる手段を持つことにより、ストッパを離れた後も扁平形電池缶の姿勢が不安定にならず傷や打痕の発生を防止する。
【0018】
本発明の第7の発明においては、搬送コンベアの搬送面に扁平電池缶を自立させる手段として真空による吸着機構で構成したことにより搬送途中のふらつき、転倒を防止し傷や打痕、噛み込みにより設備停止することなく電池組立設備へ供給することが出来る。
【0019】
本発明の第8の発明においては、強磁性体からなる扁平形電池缶を自立させる手段としてマグネットによる吸着機構で構成したことにより、搬送途中のふらつき、転倒を防止し傷や打痕、噛み込みにより設備停止することなく電池組立設備へ供給することが出来る。
【0020】
以下発明を一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の扁平形電池缶の分離供給装置の平面図を示し、図1において扁平形電池缶を搬送するための搬送コンベア1a、その搬送コンベア1aに使用し扁平形電池缶を搬送するための搬送コンベアベルト1b、搬送中の列で最後方での扁平形電池缶4の倒れを防止し、搬送をスムーズに行うためのプッシャ2、搬送コンベア1aにて搬送中の扁平形電池缶4の位置規制をしながら搬送するためコンベアの左右に配置されたコンベアガイド3、扁平形電池缶4、搬送コンベア1aの終端付近に配置され回転式ストッパとしての機能を持ち、アタッチメントコンベア7と同期駆動をする一対の星形割出盤5a、その星形割出盤5aの外周にライニングされ扁平形電池缶4の傷を防ぐための弾性体5b、搬送コンベア1aの終端部に搬送コンベア1aと直角方向に配置され扁平形電池缶4をピッチ開きし電池組立設備へと供給するためのアタッチメントコンベア7、さらにアタッチメントコンベア7に駆動力を与えるタイミングプーリ9からなり、扁平形電池缶4とアタッチメントコンベア7の摩擦を防ぎ高速で連続的に運転するためアタッチメントコンベア7と同期駆動する当て板6とする。
【0021】
同図を用いて一実施の形態における動作を詳細に説明する。扁平形電池缶4が円弧形状の部分をコンベアガイド3にガイドされながら、搬送コンベア1a上を前後の扁平形電池缶4と密着した状態で短辺方向に一定数量まとまった状態で搬送される。
【0022】
この搬送コンベア1aは扁平形電池缶4の供給スピードより早い速度で運転され、また最後方からプッシャ2により一定程度の圧力を受けることにより搬送中の扁平形電池缶4はたえず後方の扁平形電池缶4により一定の圧力を受ける状態にある。これにより扁平形電池缶4の倒れ、傾きが防止される。搬送コンベアベルト1bは扁平形電池缶4の底面と
摩擦をするため、滑り性に優れた表面の平滑なベルトを選定することが望ましい。
【0023】
例えば、ポリエステルの表面に熱可塑性ポリウレタンを接着した多層構造のベルトを用いることができる。この状態のまま図中下方へと搬送され左右同期した回転駆動する星形割出盤5aにて搬送速度を規制された後、前記星形割出盤5aの回転に従いA部方向へと進む。星形割出盤5aは外周を樹脂などの弾性体5bにて覆われているため、扁平形電池缶4と金属製の設備部品が直接接触し傷や打痕の発生原因となることは無い。この樹脂などの弾性体5bは材料に、金属部品をゴムライニングした部品や、滑り性に優れた樹脂材料、例えばポリエチレンテレフタレートとガラス短繊維の成型材料やナイロンなどを使用することが扁平形電池缶4の外観品質保持の面から望ましい。
【0024】
星形割出盤5aを通過した扁平形電池缶4は後方からの圧力を失うが底面を真空吸着やマグネット、エアーブロ等の自立を促す手段、前後方向を近接する他の扁平形電池缶4により支えられ転倒を防止している。この状態で順次当て板6方向へと進み、もっともアタッチメントコンベア7に近いポジションでは扁平形電池缶4のフラット面を当て板6により保持されアタッチメントコンベア7のベルトとの摩擦を避け、扁平形電池缶4が供給されるアタッチメントコンベア7が回転してくるのと同期して当て板6が逃げアタッチメントコンベア7の歯部にて一個切り出しピッチ開きされ組立設備本体へと供給されていく。
【0025】
星形割出盤5a通過後、アタッチメントコンベア7まで進む扁平形電池缶4は星形割出盤5aによって後方からの圧力を受けない構造になっているため高速対応時にも圧力による傷や打痕の発生の心配がない。このアタッチメントコンベア7および星形割出盤5a、当て板6はそれぞれアタッチメントコンベアと同期運転され動作が連動しているため高速でもスムーズに運転でき、傷打痕無く扁平電池缶を電池組立設備へと供給することが可能になった。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について図面を参照しながらさらに詳細に説明する。図1に示したように扁平形電池缶4はロボットや人の作業により一定数量ずつ搬送コンベア1aに供給され、円弧形状の部分をコンベアガイド3にガイドされながら、搬送コンベア1a上をストレート面が互いに密着したままで図1に示した通り短辺方向に一定数量まとまった状態で搬送した。
【0027】
この状態のまま図中下方へと搬送され左右を同期した回転駆動する星形割出盤5aにて搬送速度を規制された後、前記星形割出盤5aの回転に従いA部方向へと搬送した。星形割出盤5aは外周を弾性体5bにて覆われているため扁平形電池缶4と金属部品が直接接触し傷や打痕の発生原因となることは無かった。
【0028】
この弾性体5bは材料に、金属部品に各種ゴムによるライニングをした部品や、滑り性に優れた樹脂材料を使用することが扁平形電池缶4の外観品質保持の面から望ましい。また星形割出盤5aの外周に加工された円弧形状の部分は回転しながら扁平形電池缶4の円弧部分を保持しその頂点で扁平形電池缶4に傷や打痕をつけないよう先端は0.3mm程度の円弧加工を施した。
【0029】
また左右の星形割出盤5aは同期を取りながら互いに逆回転をし扁平形電池缶4と左右の星形割出盤5aとのクリアランスは0.1mm程度とし、左右から保持した時には左右方向、上下方向の傾きが発生せず両側からの圧迫により打痕が発生しない間隔を確保した。
【0030】
星形割出盤5aを通過した扁平形電池缶4は後方からの圧力を失うが、底面を真空吸着
により自立を促す手段を用い、前後方向を近接する他の扁平形電池缶4により支えられ転倒を防止した。もっともアタッチメントコンベア7に近いポジションでは扁平形電池缶4のフラット面を当て板6により保持され扁平形電池缶4とアタッチメントコンベア7の搬送面との距離Bを確保していることによりアタッチメントコンベア7のベルトとの摩擦を避け、扁平形電池缶4が供給されるアタッチメントコンベア7が回転してくるのと同期して当て板6が逃げ、アタッチメントコンベア7の歯部にて一個切り出しピッチ開きされ組立設備本体へと供給した。
【0031】
当て板6とベルト面のクリアランスBは図4に示したような位置関係になりベルト面に若干のぶれ、ふらつきが発生しても待機中の扁平形電池缶4と干渉しない距離を確保しながら供給タイミングには速やかにベルトにより搬送され、扁平形電池缶4がガイドに衝突しない位置にする必要があり、その寸法は0.3mm程度とした。
【0032】
星形割出盤5a通過後、アタッチメントコンベア7まで進む扁平形電池缶4は星形割出盤5aによって後方からの圧力を受けない構造になっているため高速対応時にも圧力による傷や打痕の発生なく組立設備本体へと扁平形電池缶4を供給することができた。
【0033】
ここで扁平形電池缶4とコンベアガイド3とのクリアランスは搬送中の傷発生を抑制し、扁平形電池缶4を整列させながら搬送するために0.5mm程度を維持し、コンベアガイド3は表面をメッキ処理や研磨処理、バフ処理、など滑らかにする加工を施し、摩擦が発生しても傷がつかない状態とした。この搬送コンベア1aは扁平形電池缶4の供給スピードより早い速度で運転され、また最後方からプッシャ2により一定の圧力を受けることにより搬送中の扁平形電池缶4はたえず後方の扁平形電池缶4により一定の圧力を受ける状態とした。
【0034】
これにより扁平形電池缶4の倒れ、傾きが防止される。後方からのプッシャ2はスプリングやエアーシリンダ等により定圧にて動作され扁平形電池缶4と接触する面は樹脂材料やメッキ処理や研磨処理、バフ処理などを用いることで傷の発生を抑制した。またその設定圧力は扁平形電池缶4に変形を発生させない程度の圧力とし、周囲のほかの部品との取り合いからできるだけ接触面積を大きく設計し扁平形電池缶4へのダメージを最小限にした。
【0035】
搬送コンベアベルト1bは扁平形電池缶4の底面と摩擦をするため、滑り性に優れた表面が平滑で表面にベルトの繊維層が表れておらず繊維層に鉄粉や粉塵を保有し扁平電池缶4に傷をつけることのないベルトを選定することが望ましい。例えば、ポリエステル繊維の表面に熱可塑性ポリウレタンを含浸させた多層構造のベルトを用いることができる。
【0036】
図2は真空吸着による自立搬送の上面図および側面図である。滑り性に優れた樹脂材料を用い、真空吸着用孔31の加工を施し、搬送表面を算術平均粗さRa1.6以下に仕上げた吸着搬送面33を備え、その上面を扁平形電池缶4を搬送させることにより、搬送により扁平形電池缶4の姿勢が不安定になりながらも下面からの吸着により傾きや倒れなく安定した姿勢で搬送することができた。吸着搬送面33には、例えばナイロンや超高分子量ポリエチレンを主原料に成形加工した樹脂材料などを使用することができる。これにより電池を5万ショット供給させた結果、傷や打痕の発生率は0.002%であった。
【0037】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図面を参照しながらさらに詳細に説明する。扁平形電池缶4はロボットや人の作業により一定数量ずつ搬送コンベア1aに供給され、円弧形状の部分をコンベアガイド3にガイドされながら、搬送コンベア1a上をストレート面が互いに密着したままで図1に示した通り短辺方向に一定数量まとまった状態で搬送した。
【0038】
この状態のまま図中下方へと搬送され左右を同期した回転駆動する星形割出盤5aにて搬送速度を規制された後、前記星形割出盤5aの回転に従い当て板6方向へと搬送した。星形割出盤5aを通過した扁平形電池缶4は後方からの圧力を失うが、図3に示した通りにマグネットS極52とマグネットN極53を配置することにより進行方向と直角に磁界を発生させ、底部を吸着しながらも搬送時には安定した姿勢が得られるようにした。
【0039】
底面を真空吸着により自立を促す手段を用い、前後方向を近接する他の扁平形電池缶4により支えられ転倒を防止した。もっともアタッチメントコンベア7に近いポジションでは扁平形電池缶4のフラット面を当て板6により保持され扁平形電池缶4とアタッチメントコンベア7の搬送面との距離Bを確保していることによりアタッチメントコンベア7のベルトとの摩擦を避け、扁平形電池缶4が供給されるアタッチメントコンベア7が回転してくるのと同期して当て板6が逃げ、アタッチメントコンベア7の歯部にて一個切り出しピッチ開きされ組立設備本体へと供給した。
【0040】
当て板6とベルト面のクリアランスBは図4に示したような位置関係になりベルト面に若干のぶれ、ふらつきが発生しても待機中の扁平形電池缶4と干渉しない距離を確保しながら供給タイミングには速やかにベルトにより搬送され、扁平形電池缶4がガイドに衝突しない位置にする必要があり、その寸法は0.3mm程度とした。
【0041】
星形割出盤5a通過後、アタッチメントコンベア7まで進む扁平形電池缶4は星形割出盤5aによって後方からの圧力を受けない構造になっているため高速対応時にも圧力による傷や打痕の発生なく組立設備本体へと扁平形電池缶4を供給することができた。
【0042】
ここで扁平形電池缶4とコンベアガイド3とのクリアランスは搬送中の傷発生を抑制し、扁平形電池缶4を整列させながら搬送するために0.5mm程度を維持し、コンベアガイド3は表面をメッキ処理や研磨処理、バフ処理、など滑らかにする加工を施し、摩擦が発生しても傷がつかない状態とした。この搬送コンベア1aは扁平形電池缶4の供給スピードより早い速度で運転され、また最後方からプッシャ2により一定の圧力を受けることにより搬送中の扁平形電池缶4はたえず後方の扁平形電池缶4により一定の圧力を受ける状態とした。
【0043】
これにより扁平形電池缶4の倒れ、傾きが防止される。後方からのプッシャ2はスプリングやエアーシリンダ等により定圧にて動作され扁平形電池缶4と接触する面は樹脂材料やメッキ処理や研磨処理、バフ処理などを用いることで傷の発生を抑制した。またその設定圧力は扁平形電池缶4に変形を発生させない程度の圧力とし、周囲のほかの部品との取り合いからできるだけ接触面積を大きく設計し扁平形電池缶4へのダメージを最小限にした。
【0044】
搬送コンベアベルト1bは扁平形電池缶4の底面と摩擦をするため、滑り性に優れた表面が平滑で表面にベルトの繊維層が表れておらず繊維層に鉄粉や粉塵を保有し扁平電池缶4に傷をつけることのないベルトを選定することが望ましい。例えば、ポリエステル繊維の表面に熱可塑性ポリウレタンを含浸させた多層構造のベルトを用いることができる。図2は真空吸着による自立搬送の上面図および側面図である。滑り性に優れた樹脂材料を用い、真空吸着用孔31の加工を施し、搬送表面を算術平均粗さRa1.6以下に仕上げた吸着搬送面33を備え、その上面を扁平形電池缶4を搬送させることにより、搬送により扁平形電池缶4の姿勢が不安定になりながらも下面からの吸着により傾きや倒れなく安定した姿勢で搬送することができた。
【0045】
吸着搬送面33には、例えばナイロンや超高分子量ポリエチレンを主原料に成形加工し
た樹脂材料などを使用することができる。これにより電池を5万ショット供給させた結果、傷や打痕の発生率は0.002%であった。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図面を参照しながらさらに詳細に説明する。図5に示したように扁平形電池缶4はロボットや人の作業により一定数量ずつ搬送コンベア1aに供給され、円弧形状の部分をコンベアガイド3にガイドされながら、搬送コンベア1a上をストレート面が互いに密着したままで図1に示した通り短辺方向に一定数量まとまった状態で搬送した。
【0047】
アタッチメントコンベア7直前の扁平形電池缶4を弾性体8aにより先端をカバーされたエアーシリンダ8bにより左右から把持した。把持した状態で左右からの加圧力により扁平形電池缶4の変形、整列乱れによる傷つきを発生させないため各々8kgf程度の圧力に設定した。
【0048】
扁平形電池缶4が左右から把持された状態で当て板6を下げ後方の扁平形電池缶4からの圧力を受けることなくアタッチメントコンベア7付近まで搬送される。エアーシリンダ8bを通過した扁平形電池缶4は後方からの圧力を失うが、底面を真空吸着により自立を促す手段を用い、前後方向を近接する他の扁平形電池缶4により支えられ転倒を防止した。
【0049】
もっともアタッチメントコンベア7に近いポジションでは扁平形電池缶4のフラット面を当て板6により保持され扁平形電池缶4とアタッチメントコンベア7の搬送面との距離Bを確保していることによりアタッチメントコンベア7のベルトとの摩擦を避け、扁平形電池缶4が供給されるアタッチメントコンベア7が回転してくるのと同期して当て板6が逃げ、アタッチメントコンベア7の歯部にて一個切り出しピッチ開きされ組立設備本体へと供給した。
【0050】
当て板6とベルト面のクリアランスBは図4に示したような位置関係になりベルト面に若干のぶれ、ふらつきが発生しても待機中の扁平形電池缶4と干渉しない距離を確保しながら供給タイミングには速やかにベルトにより搬送され、扁平形電池缶4がガイドに衝突しない位置にする必要があり、その寸法は0.3mm程度とした。星形割出盤5a通過後、アタッチメントコンベア7まで進む扁平形電池缶4は星形割出盤5aによって後方からの圧力を受けない構造になっているため高速対応時にも圧力による傷や打痕の発生なく組立設備本体へと扁平形電池缶4を供給することができた。
【0051】
ここで扁平形電池缶4とコンベアガイド3とのクリアランスは搬送中の傷発生を抑制し、扁平形電池缶4を整列させながら搬送するために0.5mm程度を維持し、コンベアガイド3は表面をメッキ処理や研磨処理、バフ処理、など滑らかにする加工を施し、摩擦が発生しても傷がつかない状態とした。この搬送コンベア1aは扁平形電池缶4の供給スピードより早い速度で運転され、また最後方からプッシャ2により一定の圧力を受けることにより搬送中の扁平形電池缶4はたえず後方の扁平形電池缶4により一定の圧力を受ける状態とした。
【0052】
これにより扁平形電池缶4の倒れ、傾きが防止される。後方からのプッシャ2はスプリングやエアーシリンダ等により定圧にて動作され扁平形電池缶4と接触する面は樹脂材料やメッキ処理や研磨処理、バフ処理などを用いることで傷の発生を抑制した。またその設定圧力は扁平形電池缶4に変形を発生させない程度の圧力とし、周囲のほかの部品との取り合いからできるだけ接触面積を大きく設計し扁平形電池缶4へのダメージを最小限にした。
【0053】
搬送コンベアベルト1bは扁平形電池缶4の底面と摩擦をするため、滑り性に優れた表面が平滑で表面にベルトの繊維層が表れておらず繊維層に鉄粉や粉塵を保有し扁平電池缶4に傷をつけることのないベルトを選定することが望ましい。例えば、ポリエステル繊維の表面に熱可塑性ポリウレタンを含浸させた多層構造のベルトを用いることができる。
【0054】
図2は真空吸着による自立搬送の上面図および側面図である。滑り性に優れた樹脂材料を用い、真空吸着用孔31の加工を施し、搬送表面を算術平均粗さRa1.6以下に仕上げた吸着搬送面33を備え、その上面に扁平形電池缶4を搬送させることにより、搬送により扁平形電池缶4の姿勢が不安定になりながらも下面からの吸着により傾きや倒れなく安定した姿勢で搬送することができた。吸着搬送面33には、例えばナイロンや超高分子量ポリエチレンを主原料に成形加工した樹脂材料などを使用することができる。これにより電池を5万ショット供給させた結果、傷や打痕の発生率は0.002%であった。
【0055】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4について図面を参照しながらさらに詳細に説明する。実施の形態3に示したように扁平形電池缶4は一定数量ずつ搬送コンベア1aに供給され、搬送コンベア1a上をストレート面が互いに密着したままで図5に示した通り短辺方向に一定数量まとまった状態で搬送した。
【0056】
アタッチメントコンベア7直前の扁平形電池缶4を弾性体8aにより先端をカバーされたエアーシリンダ8bにより左右から把持した。扁平形電池缶4が左右から把持された状態で当て板6を下げ後方の扁平形電池缶4からの圧力を受けることなくアタッチメントコンベア7付近まで搬送される。
【0057】
エアーシリンダ8bを通過した扁平形電池缶4は後方からの圧力を失うが、図3に示した通りにマグネットS極52とマグネットN極53を配置することにより進行方向と直角に磁界を発生させ、底部を吸着しながらも搬送時には安定した姿勢が得られるようにした。
【0058】
もっともアタッチメントコンベア7に近いポジションでは扁平形電池缶4のフラット面を当て板6により保持され扁平形電池缶4とアタッチメントコンベア7の搬送面との距離Bを確保していることによりアタッチメントコンベア7のベルトとの摩擦を避け、扁平形電池缶4が供給されるアタッチメントコンベア7が回転してくるのと同期して当て板6が逃げ、アタッチメントコンベア7の歯部にて一個切り出しピッチ開きされ組立設備本体へと供給した。
【0059】
当て板6とベルト面のクリアランスBは図4に示したような位置関係になりベルト面に若干のぶれ、ふらつきが発生しても待機中の扁平形電池缶4と干渉しない距離を確保しながら供給タイミングには速やかにベルトにより搬送され、扁平形電池缶4がガイドに衝突しない位置にする必要があり、その寸法は0.3mm程度とした。チャックシリンダ8b通過後、アタッチメントコンベア7まで進む扁平形電池缶4は星形割出盤5aによって後方からの圧力を受けない構造になっているため高速対応時にも圧力による傷や打痕の発生なく組立設備本体へと扁平形電池缶4を供給することができた。
【0060】
ここで扁平形電池缶4とコンベアガイド3とのクリアランスは搬送中の傷発生を抑制し、扁平形電池缶4を整列させながら搬送するために0.5mm程度を維持し、コンベアガイド3は表面をメッキ処理や研磨処理、バフ処理、など滑らかにする加工を施し、摩擦が発生しても傷がつかない状態とした。この搬送コンベア1aは扁平形電池缶4の供給スピードより早い速度で運転され、また最後方からプッシャ2により一定の圧力を受けること
により搬送中の扁平形電池缶4はたえず後方の扁平形電池缶4により一定の圧力を受ける状態とした。
【0061】
これにより扁平形電池缶4の倒れ、傾きが防止される。後方からのプッシャ2はスプリングやエアーシリンダ等により定圧にて動作され扁平形電池缶4と接触する面は樹脂材料やメッキ処理や研磨処理、バフ処理などを用いることで傷の発生を抑制した。またその設定圧力は扁平形電池缶4に変形を発生させない程度の圧力とし、周囲のほかの部品との取り合いからできるだけ接触面積を大きく設計し扁平形電池缶4へのダメージを最小限にした。
【0062】
搬送コンベアベルト1bは扁平形電池缶4の底面と摩擦をするため、滑り性に優れた表面が平滑で表面にベルトの繊維層が表れておらず繊維層に鉄粉や粉塵を保有し扁平電池缶4に傷をつけることのないベルトを選定することが望ましい。例えば、ポリエステル繊維の表面に熱可塑性ポリウレタンを含浸させた多層構造のベルトを用いることができる。
【0063】
図2は真空吸着による自立搬送の上面図および側面図である。滑り性に優れた樹脂材料を用い、真空吸着用孔31の加工を施し、搬送表面を算術平均粗さRa1.6以下に仕上げた吸着搬送面33を備え、その上面に扁平形電池缶4を搬送させることにより、搬送により扁平形電池缶4の姿勢が不安定になりながらも下面からの吸着により傾きや倒れなく安定した姿勢で搬送することができた。吸着搬送面33には、例えばナイロンや超高分子量ポリエチレンを主原料に成形加工した樹脂材料などを使用することができる。これにより電池を5万ショット供給させた結果、傷や打痕の発生率は0.002%であった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る扁平形電池缶の分離供給装置は搬送経路の単純化、扁平形電池缶同士又は設備と扁平形電池缶の摩擦を小さくしているため、傷や打痕の発生率が低く、外観品質の特に重要な単独販売の電池の生産設備、又は異物の混入を極端に嫌う高容量電池の生産設備に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態に係る扁平形電池缶供給部の上面図
【図2】(a)実施の形態における吸着による扁平形電池缶自立の上面図、(b)実施の形態における吸着による扁平形電池缶自立の側面図
【図3】実施の形態におけるマグネットによる扁平形電池缶自立の上面図
【図4】実施の形態におけるアタッチメントコンベアと扁平形電池缶の上面図
【図5】本発明の一実施の形態に係る扁平形電池缶供給部の上面図
【図6】従来の物品起立供給装置の側面図
【符号の説明】
【0066】
1a 搬送コンベア
1b 搬送コンベアベルト
2 プッシャ
3 コンベアガイド
4 扁平形電池缶
5a 星形割出盤
5b 弾性体
6 当て板
7 アタッチメントコンベア
8a 弾性体
8b エアーシリンダ
9 タイミングプーリ
10 アタッチメント
11 アタッチメントコンベアガイド
31 吸着孔
33 吸着搬送面
41 アタッチメントベルト
42 当て板
52 マグネットS極
53 マグネットN極
61 搬送姿勢変換装置
62 物品
63 星型割出盤
64 搬送装置
65 コンベア手段
66 受け板部材
B 扁平形電池缶とアタッチメントベルト搬送面との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が円弧形状をした扁平形電池缶を電池組立設備に供給する扁平形電池缶の分離供給装置であって、扁平形電池缶が相互に長辺同士が接触する隙間のない状態で連なって短辺方向に連続動作にて搬送される搬送コンベアと、前記搬送コンベアの終端付近の両側に設置された二個のストッパと、連続で走行し扁平形電池缶のピッチを開き電池組立設備本体へと扁平形電池缶を搬送するための突起部を有するアタッチメントコンベアを具備したことを特徴とする扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項2】
前記ストッパは搬送コンベアの終端付近の両側に配置され前記扁平形電池缶の円弧部分を受け入れる複数個の凹部をその外周に等間隔で設け、この二個のストッパが同期をとり間欠運転する回転ストッパの役割を持つ星型割出盤で構成したことを特徴とする請求項1に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項3】
前記星形割出盤は扁平形電池缶と接触する面全てに緩衝材として弾性体を有したことを特徴とする請求項2に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項4】
前記ストッパは前記搬送コンベアの終端付近の両側に配置され前記扁平形電池缶の円弧部分を左右から保持するチャックシリンダで構成したことを特徴とする請求項1に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項5】
前記ストッパとアタッチメントコンベアの間に設置され、扁平形電池缶とアタッチメントベルトとの接触を防止するための可動式の電池当て板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項6】
前記搬送コンベアの搬送面に扁平形電池缶を自立させる手段を持つことを特徴とする請求項1に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項7】
前記搬送コンベアの搬送面に扁平電池缶を自立させる手段として真空による吸着機構で構成したことを特徴とする請求項6に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。
【請求項8】
強磁性体からなる扁平形電池缶を自立させる手段としてマグネットによる吸着機構で構成したことを特徴とする請求項6に記載の扁平形電池缶の分離供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−214003(P2008−214003A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52468(P2007−52468)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】